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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128162
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】温泉水噴射除草機
(51)【国際特許分類】
   A01M 21/04 20060101AFI20230907BHJP
   E01H 11/00 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
A01M21/04 Z
E01H11/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032323
(22)【出願日】2022-03-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】517105825
【氏名又は名称】株式会社TAMAYA
(74)【代理人】
【識別番号】100116296
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幹生
(72)【発明者】
【氏名】吉弘 雄三
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA19
2B121BB21
2B121BB32
2B121BB35
2B121BB40
2B121DA43
2B121EA21
2B121FA02
2B121FA05
2B121FA06
2B121FA15
2B121FA20
(57)【要約】
【課題】エネルギー資源の節約が可能であり、操作性に優れた安全性の高い除草機を提供する。
【解決手段】温泉水噴射除草機は、温泉水を保温貯蔵してトラック1に搭載されて運搬される温泉水タンク2と、温泉水を噴射する噴射ノズル3と、温泉水タンク2から流出する温泉水を噴射ノズル3に送るホース4と、噴射ノズル3から噴射する温泉水の圧力を加圧調整する加圧ポンプ5とを備えている。噴射ノズル3は、噴射ノズル取付部7に着脱可能に取り付けられており、噴射ノズル取付部7は、作業者が保持して操作する移動台車8に取り付けられている。噴射ノズル3と噴射ノズル取付部7が移動台車8に近接する部位には、噴射ノズル3と噴射ノズル取付部7から移動台車8への熱伝導を抑制する断熱部10を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温泉水を保温貯蔵してトラックに搭載されて運搬される温泉水タンクと、温泉水タンクから流出する温泉水を噴射ノズルに送るホースと、温泉水を噴射する噴射ノズルと、噴射ノズルから噴射する温泉水の圧力を加圧調整する加圧ポンプと、噴射ノズルが着脱可能に取り付けられる噴射ノズル取付部と、噴射ノズル取付部が取り付けられて作業者が保持して操作する移動台車とを備え、温泉水が噴射されて除草を行う温泉水噴射除草機であって、噴射ノズルと噴射ノズル取付部とが移動台車に近接する部位に、噴射ノズルと噴射ノズル取付部から移動台車への熱伝導を抑制する断熱部を備えていることを特徴とする温泉水噴射除草機。
【請求項2】
前記噴射ノズルは、前記移動台車に取り付けられたときに、噴射口を下向きにして整列して配列されている構造であることを特徴とする請求項1記載の温泉水噴射除草機。
【請求項3】
前記移動台車の支柱として機能するアウトリガーを備え、アウトリガーは、前記移動台車が地面上に置かれた噴射前の状態では、底部が地面に接して前記移動台車を支持し、温泉水の噴射時には、底部が地面から離れるように形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の温泉水噴射除草機。
【請求項4】
温泉水を保温貯蔵してトラックに搭載されて運搬される温泉水タンクと、温泉水タンクから流出する温泉水を噴射ノズルに送るホースと、温泉水を噴射する噴射ノズルと、噴射ノズルから噴射する温泉水の圧力を加圧調整する加圧ポンプと、噴射ノズルが着脱可能に取り付けられる前記ホースの長手方向に沿って前記ホースに連結されて作業者が保持して操作する操作棒とを備え、温泉水が噴射されて除草を行う温泉水噴射除草機であって、噴射ノズルが前記操作棒に近接する部位に、噴射ノズルから操作棒への熱伝導を抑制する断熱部を備えていることを特徴とする温泉水噴射除草機。
【請求項5】
前記噴射ノズルは、噴射口の形状と加圧ポンプによる加圧調整とにより、噴射される温泉水の噴射方向と射程距離を可変とする構造であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の温泉水噴射除草機。
【請求項6】
温泉水の噴射時には、弁が開いて前記温泉水タンクへ空気が注入され、温泉水を噴射しないときは、弁が閉じて前記温泉水タンクへの空気の注入が停止される機能を有する逆止弁を備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の温泉水噴射除草機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温の温泉水を噴射して除草を行う温泉水噴射除草機に関する。
【背景技術】
【0002】
熱湯や蒸気を散布して、熱湯や蒸気の熱により雑草を枯死させる除草装置が提案されている。一例として、持ち運びや取り扱いが容易となることを目的とした熱水式除草装置が、特許文献1において開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-191839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高温の熱水や蒸気を生産するためには、ボイラー等の加熱手段が必要であり、その燃料も必要となる。重量のあるボイラーや燃料を搭載し、除草作業を行う現場まで運搬することが必要となり、ボイラーを搭載するスペースも必要となる。また、ボイラーは燃料の燃焼によって高温の熱水や蒸気を生産するものであるため、相当のエネルギー資源を消費するとともに、安全性の確保の点でも問題が生じうる。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、エネルギー資源の節約が可能であり、操作性に優れた安全性の高い除草機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明の温泉水噴射除草機は、温泉水を保温貯蔵してトラックに搭載されて運搬される温泉水タンクと、温泉水タンクから流出する温泉水を噴射ノズルに送るホースと、温泉水を噴射する噴射ノズルと、噴射ノズルから噴射する温泉水の圧力を加圧調整する加圧ポンプと、噴射ノズルが着脱可能に取り付けられる噴射ノズル取付部と、噴射ノズル取付部が取り付けられて作業者が保持して操作する移動台車とを備え、温泉水が噴射されて除草を行う温泉水噴射除草機であって、噴射ノズルと噴射ノズル取付部とが移動台車に近接する部位に、噴射ノズルと噴射ノズル取付部から移動台車への熱伝導を抑制する断熱部を備えていることを特徴とする。
【0007】
高温の温泉水を噴射して雑草に対して熱的なダメージを与えて雑草を枯らすとともに、温泉成分の化学的な作用によっても雑草の育成を阻止することができる。温泉成分は、人工的に生成された化学物質による除草剤と異なり、自然界に存在するものであるため、これを散布しても環境への影響が少ない。また、加熱手段を用いて熱水や蒸気を生産するのではなく、天然に存在する温泉水を用いるため、ボイラーのような加熱手段を搭載して運搬する必要がなく、燃料の搭載も必要ない。そのため、エネルギー資源の節約が可能であり、安全性を高めることができる。
【0008】
温泉水を散布するものであるため、噴射ノズルの噴射部に温泉成分が付着すると、目詰まりを起こして温泉水の噴射ができなくなる可能性があるが、噴射ノズルの取付を溶接のような永久固定ではなく、着脱可能な取付とすることにより、噴射ノズルが目詰まりを起こす前に簡便に取り換えて、長期間の使用が可能となる。
【0009】
また、温泉水として源泉をそのまま使用することもできるが、別府地域の源泉温度は90℃を超えるものがあり、相当な高温液体が流れることが想定される。そのため、作業者が保持して操作する移動台車に、高温である温泉水の熱が伝達されてしまうと、移動台車も直ちに高温となり、作業者は移動台車に触れることができず、散布作業を行うことができなくなる。しかし、噴射ノズルと噴射ノズル取付部とが移動台車に近接する部位に、噴射ノズルと噴射ノズル取付部から移動台車への熱伝導を抑制する断熱部を備えていることにより、移動台車は高温にならず、移動台車を用いた作業を継続して行うことができる。
【0010】
本発明においては、前記噴射ノズルは、前記移動台車に取り付けられたときに、噴射口を下向きにして整列して配列されている構造とすることができる。
【0011】
噴射ノズルをこのように配列することにより、作業時に移動台車を傾斜させて温泉水を噴射する際に、噴射ノズルからの温泉水の噴射位置を定めやすくなり、操作性が向上する。また、噴射される温泉水の圧力調整を加圧ポンプによって行うことと、移動台車の傾斜の程度を調整することにより、噴射される温泉水が到達する射程域の調整を容易に行うことができる。
【0012】
本発明においては、前記移動台車の支柱として機能するアウトリガーを備え、アウトリガーは、前記移動台車が地面上に置かれた噴射前の状態では、底部が地面に接して前記移動台車を支持し、温泉水の噴射時には、底部が地面から離れるように形成されている構成とすることができる。
【0013】
アウトリガーは、移動台車が地面上に置かれて噴射前の状態では、地面にその底部が接して移動台車を支持するため、作業者が移動台車から手を放しても、移動台車を安定的に設置することができる。また、温泉水の噴射時には、アウトリガーの底部が地面から離れるため、移動台車を自由に移動させて、温泉水の噴射位置を選択することができる。
【0014】
また、本発明の温泉水噴射除草機は、温泉水を保温貯蔵してトラックに搭載されて運搬される温泉水タンクと、温泉水タンクから流出する温泉水を噴射ノズルに送るホースと、温泉水を噴射する噴射ノズルと、噴射ノズルから噴射する温泉水の圧力を加圧調整する加圧ポンプと、噴射ノズルが着脱可能に取り付けられる前記ホースの長手方向に沿って前記ホースに連結されて作業者が保持して操作する操作棒とを備え、温泉水が噴射されて除草を行う温泉水噴射除草機であって、噴射ノズルが前記操作棒に近接する部位に、噴射ノズルから操作棒への熱伝導を抑制する断熱部を備えていることを特徴とする。
【0015】
噴射ノズルから噴射する温泉水の圧力を調整する加圧ポンプを備えているため、温泉水の圧力を高めて、遠くに温泉水を噴射することができる。例えば、法面や崖のような傾斜地には、作業者が立ち入ることが困難であるが、加圧ポンプにより温泉水の圧力を高めて噴射することにより、作業者の位置から離れた場所にある法面や崖のような傾斜地での除草を安全に行うことができる。このような場合には、噴射ノズルを操作棒に取り付けて噴射するのが適している。
【0016】
噴射ノズルが操作棒に近接する部位に、噴射ノズルから操作棒への熱伝導を抑制する断熱部を備えていることにより、操作棒は高温にならず、操作棒を用いた作業を継続して行うことができる。
【0017】
本発明においては、前記噴射ノズルは、噴射口の形状と加圧ポンプによる加圧調整とにより、噴射される温泉水の噴射方向と射程距離を可変とする構造とすることができる。
【0018】
これにより、雑草の繁茂状態に応じて、噴射ノズルから噴射される温泉水の噴射パターンを変えることができ、除草作業を合理的に行うことができる。また、除草を行う場所の地形等にかかわりなく、除草作業を行うことができる。
【0019】
本発明においては、温泉水の噴射時には、弁が開いて前記温泉水タンクへ空気が注入され、温泉水を噴射しないときは、弁が閉じて前記温泉水タンクへの空気の注入が停止される機能を有する逆止弁を備えている構成とすることができる。
【0020】
この逆止弁を備えていない場合には、作業を開始するために温泉水を噴射すると、温泉水タンク内の温泉水の水位が下がり、温泉水タンク内の圧力が急激に低下して、温泉水タンクが破損する恐れがある。しかし、逆止弁を備えていることにより、温泉水の噴射時には、弁が開いて温泉水タンクへ空気が注入されるため、温泉水タンク内の圧力の急激な低下による破損を防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、エネルギー資源の節約が可能であり、操作性に優れた安全性の高い除草機を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る温泉水噴射除草機の全体概略図である。
図2】噴射ノズルの詳細を示す図である。
図3】移動台車への噴射ノズルの取り付けの詳細を示す図である。
図4】移動台車への噴射ノズルの取り付けの詳細を示す図である。
図5】移動台車への噴射ノズルの取り付けの詳細を示す図である。
図6】移動台車への噴射ノズルの取り付けの詳細を示す図である。
図7】他の実施形態に係る温泉水噴射除草機を示す図である。
図8】逆止弁の取付状態を示す図である。
図9】逆止弁の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の温泉水噴射除草機を、その実施形態に基づいて説明する。
図1に、本発明の実施形態に係る温泉水噴射除草機の全体概略図を示す。
温泉水噴射除草機は、温泉水を保温貯蔵してトラック1に搭載されて運搬される温泉水タンク2と、温泉水を噴射する噴射ノズル3と、温泉水タンク2から流出する温泉水を噴射ノズル3に送るホース4と、噴射ノズル3から噴射する温泉水の圧力を加圧調整する加圧ポンプ5とを備えている。加圧ポンプ5には、これを稼働させる発電機6が接続されている。ホース4は、耐熱性のある素材で形成することが望ましい。
【0024】
図2に、噴射ノズル3の詳細を示す。
噴射ノズル3から温泉水を噴射する際の噴射パターンは可変であり、図2(a)は、直進方向に加えて横方向にも散布する散水タイプであり、図2(b)は、直進方向にのみ噴射するシャワータイプであり、図2(c)は、直進方向に遠くへ噴射するジェットタイプである。これらの噴射パターンの変更は、噴射ノズル3の噴射口の形状の変更と、加圧ポンプ5による温泉水の圧力調整によって行うことができる。
【0025】
図3図4図5図6に、移動台車への噴射ノズルの取り付けの詳細を示す。図3は正面図であり、図4は側面図である。また、図5は、設置状態での側面図であり、図6は、設置状態での斜視図である。
【0026】
噴射ノズル3は、噴射ノズル取付部7に取り付けられており、噴射ノズル取付部7は、作業者が保持して移動させて操作する移動台車8に取り付けられている。高温の温泉水は、ホース4から噴射ノズル取付部7を経て噴射ノズル3へ送られる。噴射ノズル取付部7は、耐熱性のある塩化ビニル製の継手とエルボーを組み合わせて形成することができる。噴射ノズル3は、温泉水の噴射を繰り返すと、温泉水の成分によるスケールが付着して目詰まりを引き起こすが、噴射ノズル取付部7に着脱可能に取り付けられているため、噴射ノズル3を適時取り替えることにより、簡単な操作でスケールによる問題を解決することができる。
【0027】
噴射ノズル3は、移動台車8に取り付けられたときに、噴射口9を下向きにして整列して配列されている。図においては、噴射ノズル3を3基整列させたものを示しているが、噴射ノズル3の数は、適宜選択できる。噴射ノズル3と噴射ノズル取付部7が移動台車8に近接する部位には、噴射ノズル3と噴射ノズル取付部7から移動台車8への熱伝導を抑制する断熱部10を備えている。断熱部10を備えていることにより、移動台車8は高温にならず、移動台車8を用いた作業を継続して行うことができる。断熱部10は、一例として、木材や布地のように、熱伝導率の低い素材で形成することができる。
【0028】
移動台車8が地面上に置かれた際に、地面に底部11が接して移動台車8を支持するように形成されたアウトリガー12を備えているため、移動台車8を安定して設定することができる。また、移動台車8を移動可能とするために、タイヤ13が取り付けられている。温泉水の噴射時には、移動台車8を斜め上方に傾けることにより、アウトリガー12の底部11が地面から離れるため、移動台車8を自由に移動させて、温泉水の噴射位置を選択することができる。
【0029】
次に、図7(a)、(b)に基づいて、他の実施形態に係る温泉水噴射除草機について説明する。図7(b)は、図7(a)に示すものを、噴射ノズルの噴射口側から見た側面図である。この実施形態は、法面や崖のような傾斜地であって、作業者が立ち入ることが困難な場所に、加圧ポンプにより温泉水の圧力を高めて噴射することにより、作業者の位置から離れた場所にある法面や崖のような傾斜地での除草を、安全に行うためのものである。
【0030】
この温泉水噴射除草機は、図1に示すように、温泉水を保温貯蔵してトラック1に搭載されて運搬される温泉水タンク2と、温泉水を噴射する噴射ノズル3と、温泉水タンク2から流出する温泉水を噴射ノズル3に送るホース4と、噴射ノズル3から噴射する温泉水の圧力を加圧調整する加圧ポンプ5とを備えている。加圧ポンプ5には、これを稼働させる発電機6が接続されている。
【0031】
図7に示すように、噴射ノズル3が着脱可能に取り付けられるホース4の長手方向に沿って、ホース4に連結されて作業者が保持して操作する操作棒14を備えており、噴射ノズル3が操作棒14に近接する部位に、噴射ノズル3から操作棒14への熱伝導を抑制する断熱部10を備えている。ホース4と操作棒14との連結は、複数の連結部材15によってなされる。連結部材15は、ホース4を通過する高温の温泉水から操作棒14への熱伝導を抑制するために、断熱性の高い素材で形成することが好ましい。噴射ノズル3は着脱可能に取り付けられているため、噴射ノズル3を適時取り替えることにより、簡単な操作でスケールによる問題を解決することができる。
【0032】
また、断熱部10を備えていることにより、操作棒14は高温にならず、操作棒14を用いた作業を継続して行うことができる。カプラ継手16への着脱操作により、ホース4を付け替えることにより、図7に示す操作棒タイプにするか、図3から図6に示す移動台車タイプにするかを簡便に変更することができる。
【0033】
図8に、逆止弁の取付状態を示し、図9に、逆止弁の動作を示す。
図8(a)は、逆止弁の取付状態の正面図であり、図8(b)は、その平面図である。
温泉水タンク3の上部には、配管17を介して逆止弁18が取り付けられており、配管17にはバルブ19が取り付けられている。逆止弁18は、ボルト20により固定されている。
【0034】
温泉水の運搬時や、作業場所に到着しても温泉水を噴射する前には、温度維持のためにバルブ19を閉めて温泉水タンク3に空気が入らないように密閉状態となっており、作業を開始する際に、バルブ19を開いて、空気を温泉水タンク3内に送っている。これは、バルブ19を閉めたまま密閉状態で温泉水タンク3から温泉水を流出させると、温泉水タンク3内の温泉水の水位が下がり、温泉水タンク3内の圧力が急激に低下して、温泉水タンク3が破損する恐れがあるからである。
【0035】
しかし、作業者のヒューマンエラーでバルブ19を閉めたままで、温泉水タンク3内の温泉水を流出させる事態が発生することがあり、温泉水タンク3が破損して大きな損害が発生する。
【0036】
これを防止するために、逆止弁18を備えており、逆止弁18の動作を、図9に基づいて説明する。
図9(a)は、温泉水の運搬時や、作業場所に到着しても温泉水を噴射する前において、逆止弁18が閉じた状態を示している。このとき、加圧ポンプは停止しているため、逆止弁18は閉じたままであり、温泉水タンク3には、外界からの空気は流入しない。
【0037】
図9(b)は、噴射作業を開始するために、加圧ポンプを稼働させた状態を示しており、これに伴って、逆止弁18は開いて、空気給溝口22を通って外界から温泉水タンク3へ空気が流入する。そのため、ヒューマンエラーでバルブ19を閉めたままであっても、圧力の急激な低下により温泉水タンク3が破損することを防止できる。
【0038】
逆止弁18はバネ21を備えており、逆止弁18が開いたときに、バネ21は上方から押されて圧縮しているが、加圧ポンプを停止させて噴射作業が終了すると、バネ21は復元力により元の状態に戻って、逆止弁18は閉じた状態となる。
【0039】
以上説明したように、本発明の温泉水噴射除草機は、高温の温泉水を噴射して雑草に対して熱的なダメージを与えて雑草を枯らすとともに、温泉成分の化学的な作用によっても雑草の育成を阻止することができる。この温泉成分は、人工的に生成された化学物質による除草剤と異なり、本来的に自然界に存在するものであるため、環境保全の観点から優れたものである。日本は温泉大国であり、源泉温度と温泉成分の異なる源泉が全国的に多く存在している。特に別府地域は、世界的に類を見ないほどの数多くの源泉を有しているため、最適な条件を有する温泉水を選択して輸送することが可能である。また、温泉水の使用により加熱手段が不要である上に、温泉水を利用することによる課題を解決することが可能な手段を有している。そのため、操作性良く、安全に除草作業を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、エネルギー資源の節約が可能であり、操作性に優れた安全性の高い除草機として、除草現場において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 トラック
2 温泉水タンク
3 噴射ノズル
4 ホース
5 加圧ポンプ
6 発電機
7 噴射ノズル取付部
8 移動台車
9 噴射口
10 断熱部
11 底部
12 アウトリガー
13 タイヤ
14 操作棒
15 連結部材
16 カプラ継手
17 配管
18 逆止弁
19 バルブ
20 ボルト
21 バネ
22 空気給溝口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温泉水を保温貯蔵してトラックに搭載されて運搬される温泉水タンクと、温泉水タンクから流出する温泉水を噴射ノズルに送るホースと、温泉水を噴射する噴射ノズルと、噴射ノズルから噴射する温泉水の圧力を加圧調整する加圧ポンプと、噴射ノズルが着脱可能に取り付けられる噴射ノズル取付部と、噴射ノズル取付部が取り付けられて作業者が保持して操作する移動台車とを備え、温泉水が噴射されて除草を行う温泉水噴射除草機であって、噴射ノズルと噴射ノズル取付部とが移動台車に近接する部位に、噴射ノズルと噴射ノズル取付部から移動台車への熱伝導を抑制する断熱部を備え、温泉水の噴射時には、弁が開いて前記温泉水タンクへ空気が注入され、温泉水を噴射しないときは、弁が閉じて前記温泉水タンクへの空気の注入が停止される機能を有する逆止弁を備えていることを特徴とする温泉水噴射除草機。
【請求項2】
前記噴射ノズルは、前記移動台車に取り付けられたときに、噴射口を下向きにして整列して配列されている構造であることを特徴とする請求項1記載の温泉水噴射除草機。
【請求項3】
前記移動台車の支柱として機能するアウトリガーを備え、アウトリガーは、前記移動台車が地面上に置かれた噴射前の状態では、底部が地面に接して前記移動台車を支持し、温泉水の噴射時には、底部が地面から離れるように形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の温泉水噴射除草機。
【請求項4】
温泉水を保温貯蔵してトラックに搭載されて運搬される温泉水タンクと、温泉水タンクから流出する温泉水を噴射ノズルに送るホースと、温泉水を噴射する噴射ノズルと、噴射ノズルから噴射する温泉水の圧力を加圧調整する加圧ポンプと、噴射ノズルが着脱可能に取り付けられる前記ホースの長手方向に沿って前記ホースに連結されて作業者が保持して操作する操作棒とを備え、温泉水が噴射されて除草を行う温泉水噴射除草機であって、噴射ノズルが前記操作棒に近接する部位に、噴射ノズルから操作棒への熱伝導を抑制する断熱部を備え、温泉水の噴射時には、弁が開いて前記温泉水タンクへ空気が注入され、温泉水を噴射しないときは、弁が閉じて前記温泉水タンクへの空気の注入が停止される機能を有する逆止弁を備えていることを特徴とする温泉水噴射除草機。
【請求項5】
前記噴射ノズルは、噴射口の形状と加圧ポンプによる加圧調整とにより、噴射される温泉水の噴射方向と射程距離を可変とする構造であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の温泉水噴射除草機。