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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128164
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】スイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/52 20060101AFI20230907BHJP
   H01H 13/14 20060101ALI20230907BHJP
   H01H 13/04 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
H01H13/52 F
H01H13/14 Z
H01H13/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032325
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100197996
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 武彦
(72)【発明者】
【氏名】新井 孝弘
【テーマコード(参考)】
5G206
【Fターム(参考)】
5G206AS11H
5G206AS11J
5G206CS01N
5G206DS02H
5G206DS02J
5G206FS32J
5G206FS32K
5G206FU03
5G206HU55
5G206HU64
5G206KS15
5G206KS37
5G206NS02
5G206NS04
(57)【要約】
【課題】 押し子の材質や押し子を押すときの強さなどに関わりなく、可動接点の上方を覆うカバーシートが、スイッチ動作時に損傷を受けないスイッチを提供する。
【解決手段】 基板2と、基板2上に配置される第1固定接点3aと、第1固定接点3aの周囲に配置される第2固定接点3bと、第1及び第2固定接点の上方に配置され、弾性変形により第1固定接点3aに接触して第1固定接点3aと第2固定接点3bとを導通させる可動接点4と、可動接点4の周囲に配置されるベースシート5a,5bと、可動接点4およびベースシート5a,5bを覆うカバーシート6と、を備えるスイッチ1である。前記ベースシート5a,5bは可動接点4を収容する開口部8a,8bを有し、開口部8a,8bの内周縁10a,10bが開口部8a,8bに収容された可動接点4の外周縁11に沿って僅かな隙間Cを保ちながら延びている。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
基板上に配置される第1固定接点と、
第1固定接点の周囲に配置される第2固定接点と、
第1及び第2固定接点の上方に配置され、弾性変形により第1固定接点に接触して第1固定接点と第2固定接点とを導通させる可動接点と、
可動接点の周囲に配置されるベースシートと、
可動接点およびベースシートを覆うカバーシートと、を備えるスイッチであって、
前記ベースシートは可動接点を収容する開口部を有し、開口部の内周縁が開口部に収容された可動接点の外周縁に沿って僅かな隙間を保ちながら延びているスイッチ。
【請求項2】
前記ベースシートに設けられた開口部の形状が可動部材の外形形状に近いものである請求項1に記載のスイッチ。
【請求項3】
前記ベースシートは、開口部の一部の内周縁が入り込んだ凹部と、凹部の上方を覆うひさし部と、を有する請求項1又は2に記載のスイッチ。
【請求項4】
前記凹部および前記ひさし部は、ベースシートに設けられた開口部の四隅に設けられる請求項3に記載のスイッチ。
【請求項5】
前記ベースシートは、積層した複数のベースシートからなり、下層のベースシートに凹部が設けられ、上層のベースシートにひさし部が設けられる請求項3又は4に記載のスイッチ。
【請求項6】
前記ひさし部は、荷重を掛けたときに撓み変形する請求項3乃至5のいずれかに記載のスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プッシュ式のスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
プッシュ式のスイッチは、基板と、基板に配置される固定接点と、固定接点の上方に配置される可動接点と、可動接点の周囲に配置されるベースシートと、可動接点およびベースシートを覆うカバーシートと、を備える。カバーシートの上方にはスイッチ動作を行う押し子が配置され、この押し子を押して可動接点を反転動作させ固定接点に接触させることで、スイッチはオン状態となる。また、押し子を戻し可動接点が固定接点から離れることで、スイッチはオフ状態となる(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、前記ベースシートには可動接点を収容する開口部が設けられている。可動接点は、周囲がベースシートで囲まれることにより、また、上方がカバーシートで被覆されることにより、反転動作に伴う位置ずれや跳ね上がりなどを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-166984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたスイッチにおいて、可動接点の外周縁とベースシートの開口部の内周縁との間の隙間が大きいと、押し子を強く押したときなどにカバーシートが前記隙間に押し込まれ、可動接点のエッジなどに接触して損傷するおそれがあった。特に、押し子がゴムなどの弾性を備えた素材で作られている場合には、押し子を押したときに押し子の下面が変形して、カバーシートと共に隙間に押し込まれるおそれがあった。
【0006】
本発明は、押し子の材質や押し子を押すときの強さなどに関わりなく、可動接点の上方を覆うカバーシートが、スイッチ動作時に損傷を受けないスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るスイッチは、基板と、基板上に配置される第1固定接点と、第1固定接点の周囲に配置される第2固定接点と、第1及び第2固定接点の上方に配置され、弾性変形により第1固定接点に接触して第1固定接点と第2固定接点とを導通させる可動接点と、可動接点の周囲に配置されるベースシートと、可動接点およびベースシートを覆うカバーシートと、を備える。そして、前記ベースシートは可動接点を収容する開口部を有し、開口部の内周縁が開口部に収容された可動接点の外周縁に沿って僅かな隙間を保ちながら延びている。
【発明の効果】
【0008】
本発明のスイッチによれば、可動接点の外周縁と、可動接点を収容するベースシートの開口部の内周縁との間の隙間が僅かしかなので、可動接点およびベースシートを覆うカバーシートが、スイッチ動作時に前記隙間に押し込まれることがないので損傷を受けない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係るスイッチの分解斜視図である。
図2図1に示すスイッチの組付け状態の平面図である。
図3図2のIII-III線に沿った断面図である。
図4図2に示すスイッチのオン状態の断面図である。
図5】本発明の第2実施形態に係るスイッチのベースシートの斜視図である。
図6図5に示すベースシートを組み込んだスイッチの平面図である。
図7図6のVII-VII線に沿った断面図である。
図8図6示すスイッチのオン状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るスイッチの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面は、スイッチを模式的に表したものである。これらの実物の寸法および寸法比は、図面上の寸法および寸法比と必ずしも一致していない。また、重複説明は適宜省略させることがあり、同一部材には同一符号を付与することがある。
【0011】
図1乃至図4には、本発明の第1実施形態に係るスイッチが示されている。スイッチ1は、基板2と、基板2のほぼ中心に配置される第1固定接点3a及びその周囲に配置される第2固定接点3bと、第1固定接点3aおよび第2固定接点3bの上方に配置される可動接点4と、可動接点4の周囲に配置される積層した二枚のベースシート5a,5bと、可動接点4およびベースシート5a,5bを覆うカバーシート6と、を備える。なお、カバーシート6の上方には押し子7が配置されている(図3参照)。
【0012】
基板2は、絶縁性樹脂材料により形成される平面矩形状の平板部材からなり、表面のほぼ中央部に第1固定接点3aが、第1固定接点3aの周囲に第2固定接点3bがそれぞれ配置されている。基板2の裏面には第1固定接点3aおよび第2固定接点3bのそれぞれが電気的に接続される一対の電極13a,13b(図3参照)が配置されている。
【0013】
基板2の表面のほぼ中央部に配置される第1固定接点3aは、平面略楕円形状の導体であり、ドーム状に形成される可動接点4の頂部4aの下方に配置される。第2固定接点3bは、第1固定接点3aの周囲に配置される四角枠状の導体であり、基板2の表面に第1固定接点3aを囲むようにして配置される。
【0014】
可動接点4は、四隅の角を斜めに切り落とした平面略矩形状のバネ性を備えた薄板状部材からなり、バネに強さに応じて複数枚を重ねて使用されるが、いずれも同一の形状をしている。可動接点4は、全体がドーム状をしており、頂部4aが第1固定接点3aの上方に位置し、外周の端部4bが第2固定接点3bに接触している。可動接点4は、頂部4aを上から押されることで反転動作して第1固定接点3aに接触し、第1固定接点3aと第2固定接点3bとの間を導通させる。固定接点3a,3b同士の導通によりスイッチ1がオン状態となる。一方、可動接点4が反転動作を復帰させて第1固定接点3aから離れると、第1固定接点3aと第2固定接点3bとの間の電気的接続が遮断されるため、スイッチ1はオフ状態となる。
【0015】
上下二枚のベースシート5a,5bは、いずれも樹脂材料からなる同一形状の枠体であり、基板2上に重ねて配置される。ベースシート5a,5bは、その外周形状が基板2の外周形状と同一であり、ベースシート5bの裏面が接着剤又は接着シート等の接着部材によって基板2の表面に接着され、ベースシート5aの裏面が接着部材によってベースシート5bの表面に接着される。ベースシート5a,5bには前記可動接点4を収容する開口部8a,8bがそれぞれ設けられている。開口部8a,8bの形状はいずれも同一形状であり、可動接点4の外形形状に沿ったものとなっている。開口部8a,8bは平面略矩形状をしており、四隅には可動接点4の四隅の形状に対応した斜面9a,9bが設けられている。即ち、図1及び図2に示したように、ベースシート5a,5bの開口部8a,8bの内周縁10a,10bは、開口部8a,8bに収容された可動接点4の外周縁11に沿って僅かな隙間Cを保ちながら延びており、ベースシート5a,5bの開口部8a,8bの形状が可動接点4の外形形状に近いものとなっている。すなわち、ベースシート5a,5bの開口部8a,8bの形状と可動接点4の外形形状とは互いに相似形に近い形状となっている。僅かな隙間Cとは可動接点4の反転動作を妨げない程度の小さな隙間であり、また、可動接点4の外周縁11に沿って一定幅で形成されることが望ましい。
【0016】
前記可動接点4の頂部4aの上方には円柱状のアクチュエータ12が配置されている。アクチュエータ12は、可動接点4に押圧力を確実に伝えるため硬質の樹脂材料によって形成されることが望ましい。アクチュエータ12を配置することで可動接点4の反転動作が円滑になる。
【0017】
前記押圧部材12を介して、カバーシート6が可動接点4およびベースシート5a,5bを覆っている。カバーシート6は、可撓性を有する樹脂材料によって形成された防水性シートである。カバーシート6は、アクチュエータ12,可動接点4およびベースシート5a,5bを上方から覆い、外周部がベースシート5bの上面に接着部材によって接着されている。
【0018】
図3に示されるように、カバーシート6の上方にはスイッチ動作を行うための押し子7が配置されている。カバーシート6の上から押し子7でアクチュエータ12を押すことにより、可動接点4が反転作動して第1固定接点3aに接触し、スイッチ1がオン状態となる。押し子7は、アクチュエータ12を常に均等な力で押せるように、アクチュエータ12の直径より大きく形成されるのが望ましい。この実施形態において、押し子7は、柱状に形成されており、平坦状の下面7aでベースシート5a,5bの開口部8a,8bを覆い、且つ下面7aの外周部が開口部8a,8bの周縁部に多少重なる程度の大きさに形成されている。また、押し子7を押した時の操作性や接触音の低減なども考慮して、押し子7は、硬度の低い樹脂で形成されていてもよい。さらに弾性を備えた材料で形成されていてもよい。
【0019】
次に、上記構成からなるスイッチ1の作用を図4に基づいて説明する。カバーシート6の上から押し子7でアクチュエータ12を押すと可動接点4が反転動作し、可動接点4の頂部4aが第1固定接点3aに接触することでスイッチ1がオン状態となる。ベースシート5a,5bに設けられた開口部8a,8bの内周縁10a,10bと可動接点4の外周縁11との間の隙間Cが小さいので、カバーシート6の上から押し子7でアクチュエータ12を押したときにも、カバーシート6が前記隙間Cに押し込まることがない。さらにこの実施形態では、押し子7をスイッチ動作させたときに、押し子7の下面7aの外周部がベースシート5a,5bの開口部8a,8bの周縁部に接触して、それ以上押し子7でカバーシート6を押し下げるといったことがない。また、隙間Cが可動接点4の全周に亘って形成されているため、カバーシート6の隙間Cへの押し込みを確実に防ぐことができる。
【0020】
前記図5乃至図8には本発明に係るスイッチの第2実施形態が示されている。このスイッチ1’は、第1実施形態とは下層のベースシートの形状が異なるのみで、ほかは第1実施形態と同様の構成からなるので、図面において同一の部材には同一の符号を付することによって、詳細な説明は省略する。
【0021】
この実施形態における積層した二枚のベースシート5a,5cは、第1実施形態と同様、いずれも樹脂材料からなる枠体であり、基板2上に二枚重ねて配置される。また、ベースシート5a,5cは、その外周形状が基板2の外周形状と同一であり、ベースシート5cの裏面が接着剤又は接着シート等の接着部材によって基板2の表面に接着され、ベースシート5aの裏面が接着部材によってベースシート5cの表面に接着される。さらに、ベースシート5a,5cには前記可動接点4を収容する開口部8a,8cが設けられている。
【0022】
この実施形態において、上層のベースシート5aの開口部8aの形状は、第1実施形態におけるベースシートのそれと同一であり、可動接点4の外形形状に近いものとなっており、四隅には可動接点4の四隅の形状に対応した斜面9aが設けられている。一方、下層のベースシート5cの開口部8cの形状は、四隅に凹部14が設けられた形状となっている。この凹部14は、開口部8cの内周縁10cが内側に入り込んだ弓形の空間である。
【0023】
したがって、基板2にベースシート5a,5cを配置し、ベースシートに設けられた開口部に可動接点を収容したときには、図5及び図6に示されるように、ベースシート5cの四隅の凹部14を除いて、上下のベースシート5a,5cの開口部8a,8cの内周縁10a,10cが可動接点4の外周縁11に沿って一定の隙間Cを保ちながら延びる一方、開口部8a,8cの四隅では、べ―スシート5cに設けられた凹部14の内周縁は可動接点4の四隅の外周縁との間隔が大きくなっている。また、下層のベースシート5cの凹部14は、上層のベースシート5aの四隅によって上方が覆われている。便宜的にベースシート5cの凹部14を覆うベースシート5aの四隅をひさし部15として、以下に説明する。
【0024】
次に、第2実施形態に係るスイッチ1の作用を図7及び図8に基づいて説明する。カバーシート6の上から押し子7でアクチュエータ12を押すと可動接点4が反転動作し、可動接点4の頂部4aが第1固定接点3aに接触することでスイッチ1’がオン状態となる。ベースシート5a,5cに設けられた開口部8a,8cの内周縁10a,10cと可動接点4の外周縁11との間の隙間Cが小さいので、カバーシート6の上から押し子7でアクチュエータ12を押したときにも、カバーシート6が前記隙間Cに押し込まることがない。さらにこの実施形態では、押し子7をスイッチ動作させたときに、押し子7の下面7aの外周部がベースシート5aの開口部8aの四隅にあるひさし部15を押す。図8に示したように、ひさし部15に荷重を掛けたときに、ひさし部15が凹部14側に撓み変形することで、可動接点4と第1固定接点3aとが接触音が低減されると共に、押し子7がカバーシート6に当たるときの衝撃も和らげることができる。
【0025】
前記ひさし部15が十分に撓むように、二枚のベースシート5a,5cの材質を変えてもよい。例えば、上層のベースシート5aを下層のベースシート5cより硬度の低い可撓性のある樹脂材料や、さらに柔軟性や弾力性を持った材料で形成してもよい。また、上下のベースシート5a,5cの厚みを変えてもよい。例えば、可動接点4の枚数を増やしてバネ弾性を大きくするような場合には、上層のベースシート5aの厚みを下層のベースシート5cの厚みより大きくしてひさし部15の厚みを増し、押し子7を強く押してもひさし部15が撓みすぎないようにする。逆に、可動接点4の枚数を減らしてバネ弾性を小さくするような場合には、上層のベースシート5aの厚みを下層のベースシート5cの厚みよりも小さくしてひさし部15を薄く形成し、押し子7を弱い力で押してもひさし部15が十分に撓むようにすることができる。
【0026】
なお、上記いずれの実施形態において、積層した二枚のベースシート5a,5b又はベースシート5a,5cを基板2上に配置した場合について説明したが、本発明では積層するベースシートの数量については特に限定されない。また、ベースシートは一枚であってもよく、その場合には一枚のベースシートに凹部とひさし部が形成される。
【符号の説明】
【0027】
1,1’ スイッチ
2 基板
3a 第1固定接点
3b 第2固定接点
4 可動接点
4a 頂部
4b 外周の端部
5a.5b,5c ベースシート
6 カバーシート
7 押し子
7a 押し子の下面
8a,8b,8c 開口部
9a,9b 斜面
10a,10b,10c 内周縁
11 外周縁
12 アクチュエータ
13a,13b 電極
14 凹部
15 ひさし部
C 隙間


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8