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  • -心電図センサーシート 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128189
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】心電図センサーシート
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/282 20210101AFI20230907BHJP
【FI】
A61B5/282
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032361
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】713007558
【氏名又は名称】川崎 隆治
(72)【発明者】
【氏名】川崎隆治
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127LL08
4C127LL15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】心電図の四肢電極をアイントーベンの正三角形の関係に配置し、腹部筋電図および呼吸に伴う基線のドリフトの混入がない心電図センサーシートを安価に提供する。
【解決手段】アース電極を有する被検者前胸部を覆うシートに四肢電極をML誘導に設け、右足電極と左足電極を導線でリークした下肢電極と右手電極と左手電極とをアイントーベンの正三角形の関係に配置し、胸部誘導電極を設けた心電図センサーシート。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アース電極を有する被検者前胸部を覆うシートに四肢電極を設け、右足電極と左足電極を導線でリークした下肢電極と右手電極と左手電極を、アイントーベンの正三角形の関係に配置したことを特徴とする心電図センサーシート。
【請求項2】
胸部電極を設けたことを特徴とする請求項1に記載の心電図センサーシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心電図検査を行うための心電図センサーシートに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に安静時心電図検査は、図5に示すように右手電極(以下、RA電極という)、左手電極(以下、LA電極という)、右足電極(以下、RF電極という)、左足電極(以下、LF電極という)の四肢電極と、胸部のV1~V6の部位に胸部電極C1~C6電極を装着する標準12誘導(以下、STD誘導という)心電図検査が行われている(非特許文献1参照)。
【0003】
なおRF電極はボディーアース電極(以下、N電極という)で、LF電極は下肢電極(以下、F電極という)で、RA電極、LA電極、LF電極を結ぶ形がEinthovenの正三角形15である。
心電図検査は、双極四肢誘導(I・II・III誘導)と単極四肢誘導(aVR・aVL・aVF誘導)と、単極胸部誘導(V1~V6誘導)の心電図波形を判読し、総合診断されている(非特許文献1参照)。
【0004】
前記複数の電極を、一気に所定の位置に装着することを可能とした心電図センサーシートがある(特許文献1~2)。
これは被検者5の前胸部を覆うことで、複数の電極が所定の部位に迅速かつ正確に装着でき、またコネクターを介して心電計と接続するので電極とリード線の誤接続がなくなるため、緊急時の心電図検査では、非常に便利で重宝なツールとして使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-023882公報
【特許文献2】特表平11-513854号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】心電図:誘導法、[令和4年3月1日検索]、インターネット http://www.udatsu.vsl.jp/ecg-lead.htm
【非特許文献2】標準12誘導とMason-Likar誘導の臨床心電図的比較検討、 [令和4年3月1日検索]、インターネット https://www.jstage.jst.go.jp/article/jse1981/7/2/7_2_205/_pdf/-char/ja
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の心電図センサーシートは、前記電極を被験者5の前胸部の所定部位に迅速かつ正確に装着するために、図2のようにシート10の電極をMason-Likar誘導(以下、ML誘導という)に配置している。
ML誘導は、運動負荷心電図検査用の電極装着法であり、STD誘導の四肢電極を躯幹に移動した修正12誘導で、腹部の筋電図や呼吸による基線のドリフトが四肢誘導心電図波形に混入しない特徴がある。
【0008】
一方、ML誘導心電図波形は、図6~8のようにSTD誘導心電図波形より、II・III誘導とaVF誘導の心電図波形が増高するため、心電図波形の判読には注意が必要と非特許文献2に記載されている。
【0009】
心電図波形の判読は、Einthovenの正三角形由来の心電図波形が原理原則である。
つまり、四肢電極を図3-D1のようにEinthovenの正三角形に配置し、描出される四肢誘誘導心電図波形が判読する心電図である。
しかし、四肢電極をEinthovenの正三角形に装着した場合、F電極は腹部直上の装着となるため、描出される四肢誘導心電図波形は、腹部の筋電図や呼吸による基線のドリフトが激しく混入し、心電図波形の判読は非常に困難である。
【0010】
本発明は、前記問題を解決するために、従来の心電図センサーシートでML誘導に配置された四肢電極を修正・改良配置し、四肢誘導心電図波形に腹部の筋電図や呼吸による基線のドリフトが混入しない、Einthovenの正三角形由来の心電図波形を描出する心電図センサーシートを安価に提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
図1-A1は本発明の構造図で、N電極を有するシート10に、四肢電極と胸部電極をML誘導に配置し、中間端子21を有する導線20で、RF電極とLF電極をリークし、中間端子21をGoldbergerの不関電極としている。
【0012】
本発明は、図1-A2のように被験者5の前胸部に覆い、RA電極は右鎖骨下窩の三角筋内側付近に、LA電極を左鎖骨下窩の三角筋内側付近に装着し、中間端子21とRA電極とLA電極とがEinthovenの正三角形15となるように、RF電極とLF電極を左右対称の肋骨弓部に装着する。
これによりGoldbergerの不関電極であった中間端子21がF電極となる。
【0013】
本発明と心電計の接続は、中間端子21を左足リード線、N電極を右足リード線、RA電極を右手リード線、LA電極を左手リード線に接続し、さらに胸部のC1~C6電極(図1,2,5参照)を、コネクターを介して対応する胸部リード線と接続する。
【発明の効果】
【0014】
本発明で描出される四肢誘導心電図波形は、Einthovenの正三角形由来の心電図波形であり、腹部の筋電図や呼吸による基線のドリフト混入がなく、判読可能な12誘導心電図波形が描出される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の心電図センサーシートの説明図 A1は、本発明の心電図センサーシートの外観図 A2は、本発明の心電図センサーシート被検者装着実施様態図
図2】従来の心電図センサーシートの説明図 B1は、従来の心電図センサーシートの外観図 B2は、従来の心電図センサーシートの被検者装着実施様態図
図3】四肢電極装着別の模式図 D1は、Einthovenの正三角形模式図 D2は、ML誘導法の非Einthovenの正三角形模式図 D3は、本発明のEinthovenの正三角形模式図
図4】心起電力ベクトルHに対するF電極のベクトル成分の説明図 E1は、心起電力ベクトルHに対する各四肢電極のベクトル成分図 E2は、LF電極とRF電極をリ-クしたF電極のベクトル成分図
図5】STD誘導心電図の電極装着実施様態とEinthovenの正三角形の模式図
図6】四肢電極装着別、四肢誘導心電図波形の一覧表
図7】四肢電極装着別、II・III誘導心電図波形の拡大一覧表
図8】四肢電極装着別、aVF誘導心電図波形の拡大一覧表
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、従来の心電図センサーシートでML誘導に配置された四肢電極を、Einthovenの正三角形15に修正・改良配置した心電図センサーシートであり、その修正・改良配置を図3で説明する。
【0017】
図3は、四肢電極装着別の模式図であり、図3-D1はEinthovenの正三角形、図3-D2はML誘導、、3-D3は本発明の模式図である。
いずれも、RA電極は右鎖骨下窩の三角筋内側付近に、LA電極は左鎖骨下窩の三角筋内側付近に装着している。
【0018】
図3-D1は、四肢電極を被検者5の前胸部にEinthovenの正三角形15に装着した様態の模式図である。この場合F電極は腹筋直上の装着となるため、四肢誘導心電図波形に腹筋の筋電図や呼吸による基線のドリフト混入が激しいため、心電図波形の判読は困難である。
【0019】
図3-D2は、被検者5の前胸部にML誘導に四肢電極を装着した様態の模式図である。
ML誘導は、STD誘導の四肢電極を躯幹に移動した修正12誘導であり、LF電極を左肋骨弓部に、RF電極を右肋骨弓部に装着する。
ML誘導のRA電極とLA電極とLF電極の装着は、非Einthovenの正三角形16となり、II・III誘導とaVF誘導心電図波形が、STD誘導より大きく描出されるので、心電図波形の判読には注意が必要と特許文献2に記載されている。
【0020】
図3-D3は、被検者5の前胸部に本発明の四肢電極を装着した様態の模式図である。
本発明は、ML誘導に配置された四肢電極(図3-D2)を、図3-D1のEinthovenの正三角形15配置にするために、RF電極とLF電極でF電極を作成した。
【0021】
本発明のF電極は、非特許文献1記載のGoldbergerの増大単極肢誘導に基づき、ML誘導に配置した四肢電極のRF電極とLF電極を、中間端子21を有する導線20でリークし、中間端子21をGoldbergerの不関電極としている。
【0022】
さらに、中間端子21をGoldbergerの不関電極からF電極にするために、中間端子21とRA電極とLA電極がEinthovenの正三角形15となるように、中間端子21をAR電極とLA電極の位置より (√3/2)×(AR電極-LA電極間の長さcm)下方の両肋骨弓部に、RF電極とLF電極を装着する。
例えば、AR電極からLA電極間の長さが30cmの場合、約26cm下方の両肋骨弓部の装着となる。
【0023】
以上で中間端子21 は、Goldbergerの不関電極がF電極となる。
つまり本発明は、F電極を腹部に装着しない心電図センサーシートであり、RA電極、LA電極、F電極から描出される波形は、Einthovenの正三角形由来で、腹部の筋電図や呼吸による基線のドリフト混入がない、判読可能な心電図波形である。
【0024】
図4は、心起電力ベクトルHに対するF電極のベクトル成分の説明図である。
図4-E1は、被験者5前胸部にML誘導による四肢電極を装着した場合の、各四肢電極の心起電力ベクトルHに対するベクトル成分の模式図である。
【0025】
図4-E2は、本発明のF電極の心起電力ベクトルHに対するベクトル成分の模式図である。
RF電極のベクトル成分は(-x,y)で、LF電極のベクトル成分は(x,y)である。
本発明は、RF電極とLF電極を中間端子21を有する導線20でリ-クするため、中間端子21のベクトル成分は心起電力ベクトルHに対して(-x,y)+(x,y)=(0,y)となり、心起電力ベクトルHのベクトル成分xは相殺され、ベクトル成分yのみを捉える下肢電極となる。
【0026】
本発明と心電計の接続に関しては、中間端子21を左足リード線、N電極を右足リード線、RA電極を右手リード線、LA電極を左手リード線と、C1~C6胸部電極は心電計のC1~C6胸部リ-ド線とコネクターを介して接続する。
【0027】
図6は、四肢電極装着別に、四肢誘導心電図波形を比較した一覧表である。
STD以外の3種の四肢電極装着では、図3に示したように、RA電極とLA電極が全て共通した位置にある。その結果、I誘導、aVR誘導、aVL誘導では同一の心電図波形が得られる。
以下、F電極に関係する四肢誘導のII・III・aVF誘導心電図波形について説明する。
【0028】
図7は電極装着別に、II・III誘導を拡大した心電図波形の比較一覧表である。
II誘導心電図波形は、本発明電極装着が最もEinthovenの正三角形電極装着に近似している。
なおML誘導電極装着の心電図波形は、非特許文献2に記載されているように、STD誘導電極装着よりも大きい波形を描出している。
【0029】
図8は電極装着別に、aVF誘導を拡大した心電図波形の比較一覧表である。
電極装着別の心電図波形の差異は軽微であるが、本発明電極装着が最もEinthovenの正三角形電極装着の心電図波形と近似している。
ML誘導電極装着の心電図波形は、STD誘導電極装着よりも大きい。
【0030】
以上、本発明は、従来の心電図センサーシートの電極を修正・改良配置した心電図センサーシートであり、四肢電極の配置をEinthovenの正三角形とした心電図波形であり、F電極を腹部に装着しないため、腹部の筋電図や呼吸による基線のドリフト混入がなく、描出される心電図波形は判読を可能とする。
なお四肢誘導心電図波形のみ描出する場合は、C1~C6の胸部電極を削除する。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、救急救命やスポーツ医学の発展に寄与する。
【符号の説明】
【0032】
5 被検者
10 シート
15 Einthovenの正三角形
16 非Einthovenの正三角形
20 導線
21 中間端子
H 心起電力
F 下肢電極
N ボディーアース電極
RA、LA、RF、LF 四肢電極
C1、C2、C3、C4、C5、C6胸部電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8