(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012819
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】媒体搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 29/70 20060101AFI20230119BHJP
B41J 11/70 20060101ALI20230119BHJP
G03G 15/20 20060101ALI20230119BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
B65H29/70
B41J11/70
G03G15/20 555
G03G15/00 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116528
(22)【出願日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】廣田 聖仁
【テーマコード(参考)】
2C058
2H033
2H270
3F053
【Fターム(参考)】
2C058AB16
2C058AB23
2C058AC08
2C058AD03
2C058AD04
2C058AE04
2C058AE09
2C058AF06
2C058AF08
2C058AF15
2C058AF51
2C058AF64
2C058LA02
2C058LB07
2C058LB17
2C058LC02
2C058LC04
2C058LC11
2H033AA15
2H033BA30
2H033BB01
2H033BB28
2H033CA04
2H033CA17
2H033CA27
2H033CA43
2H270KA35
2H270LA25
2H270LC07
2H270LC14
2H270LD01
2H270LD08
2H270MA35
2H270MB27
2H270MC44
2H270MD02
2H270ZC03
2H270ZC04
3F053HA03
3F053HB01
3F053HB24
3F053LA01
3F053LB03
(57)【要約】
【課題】媒体の使用条件に応じて、媒体がカールするのを抑制することができるようにする。
【解決手段】ロール媒体を保持するロール媒体保持部と、媒体が搬送されるときの搬送時ロール媒体長さを決定する媒体情報処理部と、媒体を搬送する搬送処理部Pr2と、ロール媒体の媒体を所定のカット長さにカットする切断処理部Pr3と、搬送時ロール状媒体長さが短い場合に加熱部の目標加熱温度を高くする目標加熱温度決定処理部と、前記加熱部が目標加熱温度になるように熱源の制御を行う加熱制御処理部Pr6とを有する。搬送時ロール媒体長さが短い場合に加熱部の目標加熱温度が高くされるので、巻末における巻き癖が強くても、媒体がカールするのを抑制することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ロール状に巻回された媒体から成るロール媒体を保持するロール媒体保持部と、
(b)前記媒体が搬送されるときの前記ロール媒体の媒体の長さを表す搬送時ロール媒体長さを決定する媒体情報処理部と、
(c)前記ロール媒体の媒体をロール媒体保持部から加熱部に媒体搬送路を介して搬送する搬送処理部と、
(d)前記媒体搬送路の所定の箇所に配設されたカッタによって、前記ロール媒体の媒体を所定のカット長さにカットする切断処理部と、
(e)前記媒体情報処理部によって決定された搬送時ロール媒体長さが短い場合に加熱部の目標加熱温度を高くする目標加熱温度決定処理部と、
(f)前記加熱部が目標加熱温度になるように熱源の制御を行う加熱制御処理部とを有することを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記ロール媒体における、媒体の曲率が小さい部分である巻頭の媒体の目標加熱温度と、媒体の曲率が大きい部分である巻末の媒体との前記目標加熱温度の変化量が、ロール媒体を媒体の外側の面が画像形成面となる外巻きで設置した場合と、媒体の内側の面が画像形成面となる内巻きで設置した場合とで異なる請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記ロール媒体における、媒体の曲率が小さい部分である巻頭の媒体の目標加熱温度と、媒体の曲率が大きい部分である巻末の媒体との前記目標加熱温度の変化量が、ロール媒体を媒体の外側の面が画像形成面となる外巻きで設置した場合は大きく、媒体の内側の面が画像形成面となる内巻きで設置した場合は小さい請求項1又は2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記カット長さが長い場合、前記目標加熱温度が巻頭の媒体と巻末の媒体とで異なる請求項1~3のいずれか1項に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記媒体情報処理部は、前記搬送時ロール媒体長さを、初期ロール媒体長さからカット長さを積算した値を減算することによって決定する請求項1~4のいずれか1項に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
(a)前記ロール媒体保持部に、設置された前記ロール媒体に対応させて指標が形成され、
(b)前記媒体情報処理部は、前記指標に基づいて搬送時ロール媒体長さを決定する請求項1~4のいずれか1項に記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
(a)前記ロール媒体保持部に、設置されたロール媒体と対向させて媒体検出部が配設され、
(b)前記媒体情報処理部は、前記媒体検出部のセンサ出力に基づいて搬送時ロール媒体長さを決定する請求項1~4のいずれか1項に記載の媒体搬送装置。
【請求項8】
前記加熱部の目標加熱温度は、ロール媒体の外径が小さくなるにしたがって高くなる請求項1~7のいずれか1項に記載の媒体搬送装置。
【請求項9】
(a)請求項1~8のいずれか1項に記載の媒体搬送装置と、
(b)前記ロール媒体保持部と前記加熱部との間に配設され、前記媒体に画像を形成する画像形成部とを備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置、例えば、電子写真式のプリンタは画像形成ユニットを備え、該画像形成ユニットにおいて、帯電ローラによって一様に帯電させられた像担持体としての感光体ドラムの表面がLEDヘッドによって露光されて静電潜像が形成され、該静電潜像が現像剤担持体としての現像ローラによって現像されて感光体ドラムにトナー像が形成されるようになっている。
【0003】
そして、感光体ドラム上のトナー像は、転写装置によって媒体としての用紙に転写され、定着器において加熱され、加圧されて用紙に定着させられる。
【0004】
ところで、プリンタからプリンタの装置本体外に排出された用紙がカールしていると、用紙をスタッカ等に安定させて積載することができないだけでなく、排出された用紙の束を揃えるのが困難になってしまう。そこで、用紙がカールするのを抑制することができるように、定着器の設定温度である目標定着温度に応じて加熱ローラ及び加圧ローラの回転速度を変化させるようにしたプリンタが提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来のプリンタにおいては、用紙が連続紙、例えばロール紙である場合、媒体搬送装置としての用紙搬送装置におけるロール紙の設置状態、カッタユニットによってカットされた用紙の長さ、すなわち、カット長さ等の用紙の使用条件によってカール量が変化するので、用紙がカールするのを抑制することができない。
【0007】
本発明は、従来のプリンタの問題点を解決して、媒体の使用条件に応じて、媒体がカールするのを抑制することができる媒体搬送装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明の媒体搬送装置においては、ロール状に巻回された媒体から成るロール媒体を保持するロール媒体保持部と、前記媒体が搬送されるときの前記ロール媒体の媒体の長さを表す搬送時ロール媒体長さを決定する媒体情報処理部と、前記ロール媒体の媒体をロール媒体保持部から加熱部に媒体搬送路を介して搬送する搬送処理部と、前記媒体搬送路の所定の箇所に配設されたカッタによって、前記ロール媒体の媒体を所定のカット長さにカットする切断処理部と、前記媒体情報処理部によって決定された搬送時ロール媒体長さが短い場合に加熱部の目標加熱温度を高くする目標加熱温度決定処理部と、前記加熱部が目標加熱温度になるように熱源の制御を行う加熱制御処理部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、媒体搬送装置においては、ロール状に巻回された媒体から成るロール媒体を保持するロール媒体保持部と、前記媒体が搬送されるときの前記ロール媒体の媒体の長さを表す搬送時ロール媒体長さを決定する媒体情報処理部と、前記ロール媒体の媒体をロール媒体保持部から加熱部に媒体搬送路を介して搬送する搬送処理部と、前記媒体搬送路の所定の箇所に配設されたカッタによって、前記ロール媒体の媒体を所定のカット長さにカットする切断処理部と、前記媒体情報処理部によって決定された搬送時ロール媒体長さが短い場合に加熱部の目標加熱温度を高くする目標加熱温度決定処理部と、前記加熱部が目標加熱温度になるように熱源の制御を行う加熱制御処理部とを有する。
【0010】
この場合、媒体が搬送されるときの搬送時ロール媒体長さが短い場合に加熱部の目標加熱温度が高くされるので、ロール媒体における媒体の曲率の大きい部分である巻末における巻き癖が強くても、媒体がカールするのを抑制することができる。
【0011】
したがって、排出された媒体をスタッカ等に安定させて積載することができるだけでなく、排出された媒体の束を揃えるのが容易になる。しかも、媒体にQRコード(登録商標)等の識別子が印刷されている場合に、媒体がカールして識別子が歪むことがなくなるので、読取機による識別子の読取りを容易に行うことができる。
【0012】
また、画像形成装置に、巻き癖を矯正するための部材を取り付けたり、複雑な機構を配設したりする必要がないので、画像形成装置のコストを低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態におけるプリンタの概念図である。
【
図3】本発明の実施の形態における画像形成ユニットの概念図である。
【
図4】本発明の実施の形態における転写ユニットを示す図である。
【
図5】用紙に印刷されたQRコード(登録商標)の例を示す図である。
【
図6】実験におけるQRコード(登録商標)の読取り可否を示す図である。
【
図7】本発明の実施の形態におけるロール紙が繰出装置に外巻きで設置された状態を示す図である。
【
図8】本発明の実施の形態におけるロール紙が繰出装置に内巻きで設置された状態を示す図である。
【
図9】ロール紙が外巻きで設置された場合の用紙のカールの状態を示す図である。
【
図10】ロール紙が内巻きで設置された場合の用紙のカールの状態を示す図である。
【
図11】ロール紙を外巻きで設置し、巻頭の用紙を使用したときの定着温度とカール量との関係を示す図である。
【
図12】ロール紙を外巻きで設置し、巻末の用紙を使用したときの定着温度とカール量との関係を示す図である。
【
図13】ロール紙を内巻きで設置し、巻頭の用紙を使用したときの定着温度とカール量との関係を示す図である。
【
図14】ロール紙を内巻きで設置し、巻末の用紙を使用したときの定着温度とカール量との関係を示す図である。
【
図15】使用条件ごとの用紙がカールするのを抑制することができる定着温度を示す図である。
【
図16】本発明の実施の形態における用紙情報テーブルの例を示す図である。
【
図17】本発明の実施の形態におけるプリンタの制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図18】本発明の実施の形態におけるロール紙を外巻きで設置したときの搬送時ロール紙外径と目標定着温度との関係を示す図である。
【
図19】本発明の実施の形態におけるロール紙を内巻きで設置したときの搬送時ロール紙外径と目標定着温度との関係を示す図である。
【
図20】本発明の実施の形態におけるロール紙を外巻きで設置したときの搬送時ロール紙外径と目標定着温度との関係を示す図である。
【
図21】本発明の実施の形態におけるロール紙を内巻きで設置したときの搬送時ロール紙外径と目標定着温度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのプリンタについて説明する。
【0015】
図2は本発明の実施の形態におけるプリンタの概念図である。
【0016】
図において、10はプリンタであり、該プリンタ10は、画像形成装置本体部としてのプリンタ本体部Mb、該プリンタ本体部Mbに、任意のサイズ(幅及び長さ)並びに厚さの長尺状の連続紙である媒体としての用紙Pを供給するロール媒体保持部としてのフィーダユニットFd、及び該フィーダユニットFdと前記プリンタ本体部Mbとの間に配設され、フィーダユニットFdからプリンタ本体部Mbに用紙Pを給紙する給紙部Spを備える。
【0017】
また、12は、前記フィーダユニットFdによって保持され、前記用紙Pをロール状に巻回することによって形成されたロール媒体としてのロール紙、14は用紙Pを繰り出す繰出装置である。該繰出装置14は給紙部Spから傾斜させて立ち上げたアーム14aを備え、ロール紙12は前記アーム14aの先端に配設されたシャフトsh1によって回転自在に保持され、ロール紙12の回転に伴って用紙Pが繰り出される。繰出装置14から繰り出された用紙Pは、前記フィーダユニットFd、給紙部Sp及びプリンタ本体部Mbにわたって形成された、ほぼ直線状に延びる媒体搬送路としての用紙搬送路Rtに沿って搬送される。
【0018】
そして、16は用紙搬送路Rtの下方で用紙Pを案内する下方案内部、17は、ヒンジhgによって下方案内部16に対して揺動自在に配設され、用紙搬送路Rtの上方で用紙Pを案内する上方案内部である。該上方案内部17は、給紙部Spで紙詰まりが発生したときに操作者が用紙搬送路Rtを開放するためのジャム解除カバーとして機能する。
【0019】
前記給紙部Spには、ロール紙12が繰出装置14に設置されたことを検出する給紙用の検出部としてのセンサsf、並びに前記下方案内部16に配設されたローラra及び上方案内部17に配設されたローラrbから成る第1の搬送部材としての搬送ローラ対m1が配設され、該搬送ローラ対m1によって搬送された用紙Pがプリンタ本体部Mbに送られる。
【0020】
また、Csは前記プリンタ本体部Mbの筐体、Bdは、筐体Cs内に形成されたプリンタ10の本体、すなわち、装置本体、20は、装置本体Bdの下部に配設され、プリンタ10の制御装置の主要部を構成する制御基板部である。
【0021】
前記筐体Csは、前壁Wf、背壁Wr、頂壁Wt等から成り、前壁Wfに、フィーダユニットFdから給紙された用紙Pを受けるための給紙口h1が形成され、背壁Wrに、プリンタ本体部Mbにおいて画像が形成された用紙Pを排出するための排出口h2が形成される。
【0022】
さらに、Cuは、用紙搬送路Rtにおける所定の位置、本実施の形態においては、前壁Wfと交差する位置に隣接させて配設されたカッタユニットであり、該カッタユニットCuは、搬送ローラ対m1によってカッタユニットCuに送られた用紙Pを検出する切断用の検出部としてのカッタセンサsc、給紙口h1を介して供給された用紙Pを搬送する第2の搬送部材として搬送ローラ対m2、及び該搬送ローラ対m2より下流側に配設され、用紙Pを所定の長さにカットする回転式のカッタ18を備える。該カッタ18は、回転自在に配設され、用紙Pを搬送方向に送る図示されない回転刃、及び該回転刃と対向させて配設された図示されない固定刃を有する。
【0023】
前記カッタユニットCuより下流側には第3の搬送部材としての搬送ローラ対m3が配設され、該搬送ローラ対m3より下流側には、用紙Pの前端を検出し、用紙Pへの画像の書出し位置を設定するための第1の媒体検出部としての書出センサs1が配設される。該書出センサs1は、先端を用紙搬送路Rtに臨ませて揺動自在に配設されたレバー部、及び通過する用紙Pがレバー部を回動させることによって遮光状態又は透光状態に置かれるフォトインタラプタから成る。そして、書出センサs1より下流側には画像形成部Q1が配設される。
【0024】
該画像形成部Q1は、用紙搬送路Rtにおける上流側から下流側にかけて、装置本体Bdに対して着脱自在に配設され、それぞれ像担持体としての感光体ドラム22を備えた複数の、本実施の形態においては、イエロー、マゼンタ及びシアンの3個の画像形成ユニット21Y、21M、21C、該各画像形成ユニット21Y、21M、21Cの感光体ドラム22と対向させて配設された露光装置としてのLEDヘッド24、並びに画像形成ユニット21Y、21M、21Cの下方に配設された転写ユニットu1を備える。
【0025】
前記各LEDヘッド24は、印刷データに基づいて感光体ドラム22の表面に選択的に光を照射し、感光体ドラム22を露光して潜像としての静電潜像を形成する。
【0026】
前記転写ユニットu1は、駆動ローラR1、従動ローラR2、駆動ローラR1及び従動ローラR2によって走行自在に張設されたベルト26、該ベルト26を介して前記各感光体ドラム22と対向させて回転自在に配設された転写部材としての転写ローラ27、濃度センサ28等を備える。前記転写ローラ27は、感光体ドラム22とベルト26との間に形成されるニップ部において用紙Pを、現像剤としてのトナーと逆の極性に帯電させ、対応する感光体ドラム22に形成された現像剤像としてのトナー像を用紙Pに転写する。
【0027】
そして、30は、用紙搬送路Rtにおける画像形成部Q1より下流側に配設された定着装置としての、かつ、加熱部としての定着器である。該定着器30は、用紙P上のトナー像を加熱して溶融させる第1の定着部材としての加熱ローラ31、及び溶融させられたトナー像を用紙Pに押し付け、定着させる第2の定着部材としての加圧ローラ32を備える。
【0028】
前記用紙搬送路Rtにおける定着器30より下流側には、背壁Wrに隣接させて排出部材としての排出ローラ対m4が配設され、該排出ローラ対m4より下流側には、用紙Pの後端を検出する第2の媒体検出部としての排出センサs2が配設される。該排出センサs2は、定着器30において発生したジャム、用紙Pの加熱ローラ31への巻付き等を監視する。そのために、排出センサs2は、先端を用紙搬送路Rtに臨ませて揺動自在に配設されたレバー部、及び通過する用紙Pがレバー部を回動させることによって遮光状態又は透光状態に置かれるフォトインタラプタから成る。
【0029】
次に、前記画像形成ユニット21Y、21M、21Cについて説明する。
【0030】
図3は本発明の実施の形態における画像形成ユニットの概念図である。なお、画像形成ユニット21Y、21M、21Cは、トナーの色が異なるだけでいずれも同じ構造を有するので、
図3においては画像形成ユニット21Yだけを示す。
【0031】
画像形成ユニット21Y、21M、21Cは、画像形成ユニット21Y、21M、21Cの本体、すなわち、ユニット本体33、及び該各ユニット本体33に対して着脱自在に配設された現像剤収容装置としてのトナー収容装置Ctを備える。
【0032】
該トナー収容装置Ctは、各色の新品のトナーを収容する図示されない第1の現像剤収容部としてのトナー収容室、及び該トナー収容室に隣接させて配設され、廃棄現像剤としての廃トナーを収容する第2の現像剤収容部としての廃トナーボックスBx1を備える。
【0033】
該廃トナーボックスBx1が満杯になると、後述される表示部59(
図1)に表示されるメッセージによって操作者は廃トナーボックスBx1を交換するよう促される。
【0034】
本実施の形態において、印刷に使用される前記トナーは、ポリエステル樹脂、着色剤、帯電制御剤及び離型剤によって懸濁重合法で形成された、平均粒径が6.5〔μm〕の粉砕形状を有するトナー粒子、並びに該トナー粒子に添加された疎水シリカ等の外添剤から成る。
【0035】
前記ユニット本体33内には、回転自在に配設された前記感光体ドラム22、該感光体ドラム22に当接させて回転自在に配設された帯電装置としての帯電ローラ34、前記感光体ドラム22に当接させて回転自在に配設された現像剤担持体としての現像ローラ36、該現像ローラ36に当接させて回転自在に配設された現像剤供給部材としての供給ローラ38、現像ローラ36に圧接させて配設された現像剤規制部材としての現像ブレード39、感光体ドラム22に当接させて配設された第1のクリーニング部材としてのクリーニングブレード41、該クリーニングブレード41の下方において回転自在に配設され、前記廃トナーを前記廃トナーボックスBx1に搬送する廃棄現像剤搬送部材としての搬送コイル43、帯電ローラ34に当接させて配設され、帯電ローラ34に付着したトナーを除去する第2のクリーニング部材としてのクリーニングローラ44等を備える。
【0036】
前記感光体ドラム22は、画像形成用の駆動部としての後述される駆動モータM1(
図1)を駆動することによって矢印A方向に回転させられる。
【0037】
前記帯電ローラ34は感光体ドラム22の表面を一様に帯電させる。そのために、帯電ローラ34には、第1の電圧制御部としての後述される帯電電圧制御部Eaによって所定の帯電電圧が印加される。
【0038】
前記現像ローラ36は、金属製のシャフト、及び該シャフトの外周に配設された、ゴム硬度が70〔°〕(アスカーC)の半導電性のウレタンゴムから成る弾性体によって形成される。帯電ローラ34によって一様に帯電させられた感光体ドラム22の表面がLEDヘッド24によって露光されると、感光体ドラム22の表面に静電潜像が形成され、現像ローラ36が、静電潜像にトナーを付着させることによって静電潜像を現像し、可視像である各色のトナー像を形成する。そのために、現像ローラ36には、第2の電圧制御部としての後述される現像電圧制御部Ebによって所定の現像電圧が印加される。
【0039】
前記供給ローラ38は、現像ローラ36と同じ方向に回転させられ、前記トナー収容室からユニット本体33に供給されたトナーを現像ローラ36に供給するとともに、トナーを摩擦帯電させる。そのために、供給ローラ38には、第3の電圧制御部としての後述される供給電圧制御部Ecによって所定の供給電圧が印加される。
【0040】
前記現像ブレード39は、供給ローラ38によって現像ローラ36に供給されたトナーを薄層化し、現像剤層としてのトナー層を形成する。そのために、現像ブレード39には、第4の電圧制御部としての後述される規制電圧制御部Edによって所定の規制電圧が印加される。
【0041】
前記クリーニングブレード41は、感光体ドラム22上に残留したトナー、劣化し、現像ローラ36によって感光体ドラム22に付着させられたトナー等を掻き取り、廃トナーとして除去する。
【0042】
次に、前記転写ユニットu1について説明する。
【0043】
図4は本発明の実施の形態における転写ユニットを示す図である。
【0044】
図において、u1は転写ユニット、R1は駆動ローラ、R2は従動ローラ、26はベルト、27は転写ローラ、28は濃度センサである。
【0045】
また、45は、ベルト26に付着したトナー等を掻き取り、廃トナーとして除去する第3のクリーニング部材としてのクリーニングブレード、46はベルト26をクリーニングブレード45に押し付ける押付ローラ、Bx2は廃トナーを回収するための第3の現像剤収容部としての廃トナーボックスである。
【0046】
前記ベルト26は、プラスチックフィルムによってエンドレスに形成され、転写用の駆動部としての後述される転写モータM3(
図1)が駆動されると矢印B方向に走行させられる。
【0047】
前記転写ローラ27は、ベルト26を介して各感光体ドラム22(
図2)に押し付けられ、第5の電圧制御部としての後述される転写電圧制御部Eeによって所定の転写電圧が印加され、各感光体ドラム22に形成されたトナー像を順次重ねて用紙Pに転写し、用紙Pにカラーのトナー像を形成する。
【0048】
前記廃トナーボックスBx2は、回収された廃トナーを収容する収容部Rm1、該収容部Rm1内において揺動自在に配設され、廃トナーを収容部Rm1に導入する導入部材47と、収容部Rm1内の廃トナーの分布を均一にする規制部材48等を備える。
【0049】
ところで、プリンタ10から装置本体Bd外に排出された用紙Pがカールしていると、用紙Pを図示されないスタッカ等に安定させて積載することができないだけでなく、排出された用紙Pの束を揃えるのが困難になってしまう。また、例えば、用紙PにQRコード(登録商標)等の識別子が印刷されている場合に、用紙Pがカールして識別子が歪むと、読取機によって識別子を読み取ることが困難になってしまう。
【0050】
次に、用紙Pに印刷されたQRコード(登録商標)を読取機によって読み取る実験を行ったときの読取り結果について説明する。
【0051】
図5は用紙に印刷されたQRコード(登録商標)の例を示す図、
図6は実験におけるQRコード(登録商標)の読取り可否を示す図である。
【0052】
図において、Pは幅が85〔mm〕、長さが210〔mm〕の用紙であり、Cdは、セル数が57×57にされ、57〔mm〕×57〔mm〕の大きさで用紙Pに印刷されたバージョン10のQRコード(登録商標)である。
【0053】
実験において、該QRコード(登録商標)Cdが印刷された、カール量の異なる用紙Pを平らな台の上に水平状態に置き、QRコード(登録商標)Cdを読みとることができたかどうかを調べた。なお、カール量とは、プリンタ10から排出された用紙Pを、印刷面、すなわち、画像形成面を上にして平らな台の上に置いたときに、用紙Pがカールによってテーブル面から浮き上がっている高さをいう。
【0054】
カール量が15〔mm〕以下である場合、水平状態でQRコード(登録商標)Cdを読取機によって読み取ることができた(OK)のに対して、カール量が18〔mm〕である場合、QRコード(登録商標)Cdを読み取ることができたりできなかったりした(NG)。また、カール量が20〔mm〕である場合、水平状態でQRコード(登録商標)Cdを読み取ることができなかった(NG)。
【0055】
そこで、本実施の形態においては、カッタ18(
図2)によってカットされ、装置本体Bd外に排出される用紙Pがカールするのを抑制するようにしている。
【0056】
次に、用紙Pがカールする要因について説明する。
【0057】
図7は本発明の実施の形態におけるロール紙が繰出装置に外巻きで設置された状態を示す図、
図8は本発明の実施の形態におけるロール紙が繰出装置に内巻きで設置された状態を示す図、
図9はロール紙が外巻きで設置された場合の用紙のカールの状態を示す図、
図10はロール紙が内巻きで設置された場合の用紙のカールの状態を示す図である。なお、
図9及び10において、矢印は用紙Pの装置本体Bd外への排出方向を示す。また、本実施の形態において、内巻きとは画像形成面(表面)が内側になるように巻回されたロール紙12の形態をいい、外巻きとは画像形成面(表面)が外側になるように巻回されたロール紙の形態をいう。
【0058】
図において、Fdはフィーダユニット、12はロール紙、14は繰出装置、Rtは用紙搬送路、Spは給紙部、16は下方案内部、17は上方案内部、sfはセンサ、Pは用紙、Soは用紙Pの外側の面、Siは用紙Pの内側の面である。
【0059】
ロール紙12は長尺状の用紙Pをロール状に巻回することによって形成されるので、用紙Pに巻き癖が付く。すなわち、用紙Pがロール状に巻回され、長時間その状態に置かれている間、ロール状に巻かれた用紙Pの外側の面Soが伸長させられ、内側の面Siが収縮させられた状態で吸湿及び放湿が繰り返されるのに伴い、用紙Pの繊維の結合状態が変化したまま安定化することによって用紙Pが塑性変形し、用紙Pに巻き癖が付く。該巻き癖は、ロール紙12の、使用を開始するときの外径が大きく、用紙Pの曲率が小さい部分である巻頭より、使用を終了するときの外径が小さく、用紙Pの曲率が大きい部分である巻末において強く付く。
【0060】
また、用紙Pは、定着器30(
図2)において加熱ローラ31と加圧ローラ32との間のニップ部を通過する際に加熱ローラ31によって加熱されるので、加熱に伴い、トナー像が転写された面と反対側の面とで、水分の蒸発量に差が生じ、また、用紙Pの繊維の収縮差が生じ、変形する。しかも、用紙Pは、ニップ部を通過する際に、加熱ローラ31と加圧ローラ32とによって挟持され、圧力を受けるので一層変形する。
【0061】
このように、用紙Pは、元来付いた巻き癖によって、また、定着器30において熱及び圧力を受けて変形することによってカールする。
【0062】
図7に示されるように、ロール紙12が、用紙Pの外側の面Soが画像形成面になるように繰出装置14に外巻きで設置されると、
図9に示されるように、用紙Pは、長さ方向の両縁が湾曲するように、すなわち、カール軸がロール紙12の軸と平行になるようにカールする。また、
図8に示されるように、ロール紙12が、用紙Pの内側の面Siが画像形成面になるように繰出装置14に内巻きで設置されると、
図10に示されるように、用紙Pは、幅方向の両縁が湾曲するように、すなわち、カール軸がロール紙12の軸に対して垂直になるようにカールする。これは、ロール紙12の巻き癖、及び用紙Pの外側の面Soと内側の面Siとで紙の繊維の配向度合いが異なることによると考えられる。
【0063】
ところで、用紙Pのカール量は、ロール紙12が繰出装置14に外巻き及び内巻きのいずれで設置されるか、並びにロール紙12の巻頭及び巻末のいずれの用紙Pが印刷に使用されるかによるロール紙12の設置状態、カッタ18によってカットされた用紙Pの長さであるカット長さ、定着器30の温度である定着温度等の用紙Pの使用条件によって異なる。
【0064】
次に、主成分がセルロースであり、紙幅が85〔mm〕の連続紙(日本製紙社製「NPI上質70キロ」)を用紙Pとしてロール状に巻回することによって形成したロール紙12を外巻き又は内巻きで設置し、巻頭又は巻末の用紙Pを使用し、カット長さを異ならせて印刷をする実験を行ったときの定着温度とカール量との関係について説明する。なお、主成分とは、全体の配合率100〔%〕に対して50〔%〕以上を占める成分を意味する。
【0065】
図11はロール紙を外巻きで設置し、巻頭の用紙を使用したときの定着温度とカール量との関係を示す図、
図12はロール紙を外巻きで設置し、巻末の用紙を使用したときの定着温度とカール量との関係を示す図、
図13はロール紙を内巻きで設置し、巻頭の用紙を使用したときの定着温度とカール量との関係を示す図、
図14はロール紙を内巻きで設置し、巻末の用紙を使用したときの定着温度とカール量との関係を示す図、
図15は使用条件ごとの用紙がカールするのを抑制することができる定着温度を示す図である。なお、
図11~14において、横軸に定着温度を、縦軸にカール量を採ってある。
【0066】
図11~14において、L1は用紙Pのカット長さが90〔mm〕である場合の定着温度とカール量との関係を表す線、L2は用紙Pのカット長さが130〔mm〕である場合の定着温度とカール量との関係を表す線、L3は用紙Pのカット長さが170〔mm〕である場合の定着温度とカール量との関係を表す線、L4は用紙Pのカット長さが210〔mm〕である場合の定着温度とカール量との関係を表す線である。
【0067】
図11~14における定着温度とカール量との関係から、
図15に示されるような、外巻き又は内巻きの別、カット長さ、巻頭又は巻末の用紙Pの別による、用紙Pがカールするのを抑制することができる定着温度を算出し、決定した。
【0068】
ロール紙12を外巻きで設置し、巻頭の用紙Pを、カット長さを90〔mm〕又は130〔mm〕にして使用する場合において、従来170〔℃〕であった定着温度を130〔℃〕にした場合に、用紙Pがカールするのを抑制することができた。これは、巻頭の用紙Pへの外気による影響(湿度による影響)が大きいので、定着温度を低くし、ロール紙12に含まれる水分の蒸発量を減らすことによって、用紙Pがカールするのを抑制することができたと考えられる。
【0069】
また、カット長さを90〔mm〕又は130〔mm〕にして使用する場合において、巻頭から巻末まで定着温度を一定の値(本実施の形態においては130〔℃〕)にした場合に、用紙Pがカールするのを抑制することができた。
【0070】
これに対して、カット長さを170〔mm〕又は210〔mm〕にして使用する場合において、巻頭から巻末にかけて定着温度を変更(本実施の形態においては130〔℃〕から190〔℃〕に変更)した場合に、用紙Pがカールするのを抑制することができた。これは、加熱ローラ31の熱によって、用紙Pの繊維を構成する分子、すなわち、繊維分子が分子間力に抗して振動させられるとともに、加圧ローラ32による圧力によって繊維分子が再配置され、その後、用紙Pが冷却され、繊維分子が分子間力で結び付くことによって巻き癖が弱くなり、用紙Pがカールするのを抑制することができたと考えられる。そのため、巻き癖が強く付いている巻末においては、定着温度を高くすることによって、用紙Pがカールするのを抑制することができた。
【0071】
また、ロール紙12を内巻きで設置し、巻頭の用紙Pを、カット長さを90〔mm〕、130〔mm〕、170〔mm〕又は210〔mm〕にして使用する場合において、巻頭から巻末にかけて定着温度を変更(本実施の形態においては150〔℃〕から170〔℃〕に変更)した場合に、用紙Pがカールするのを抑制することができた。これは、ロール紙12の巻頭は外気による影響を受けやすく、含まれる水分が多いのに対して、ロール紙12の巻末は外気による影響を受けにくく、含まれる水分が少なく、巻頭と巻末とで繊維の収縮差が異なることから、巻頭では定着温度を低く(本実施の形態においては150〔℃〕)し、ロール紙12に含まれる水分の蒸発量を減らすことによって、巻末では定着温度を高く(本実施の形態においては170〔℃〕)し、ロール紙12に含まれる水分の蒸発量を多くすることによって、用紙Pがカールするのを抑制することができたと考えられる。
【0072】
そこで、本実施の形態においては、プリンタ10において印刷が可能にされる各種のロール紙12を、前述された
図11~14の実験と同様の各使用条件で、かつ、典型的な使用条件で使用したときの、用紙Pがカールするのを抑制することができる定着温度を取得し、各設定温度に基づいて作成した、後述される媒体情報テーブルとしての用紙情報テーブルTb1(
図16)を印刷を行う際に参照することによって、ロール紙12の使用条件に応じた適正な定着温度を目標定着温度として算出し、決定するようにしている。
【0073】
次に、プリンタ10の制御装置について説明する。
【0074】
図1は本発明の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図、
図16は本発明の実施の形態における用紙情報テーブルの例を示す図である。
【0075】
図において、10はプリンタ、PCは、USB、有線又は無線のLAN等によってプリンタ10に接続された情報入力装置としての、かつ、上位装置としてのホストコンピュータである。
【0076】
また、50は制御部、IFは、プリンタ10とホストコンピュータPCとを接続し、ホストコンピュータPCから、印刷データ、印刷命令(制御コマンド)等を受信したり、プリンタ10のステータス情報をホストコンピュータPCに送信したりする通信部としてのインタフェース部、53は第1の記憶部としてのROM(Read Only Memory)、54は第2の記憶部としてのRAM(Random Access Memory)、55は第3の記憶部としてのEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、56は操作・表示部としての操作パネル、Htは前記加熱ローラ31(
図2)内に配設され、図示されない定着用の電源部から電力の供給を受けて加熱ローラ31を加熱する熱源としてのヒータ、THPは加熱ローラ31の表面から放射される赤外線を受光して加熱ローラ31の温度を検出する、非接触の温度センサから成る第1の温度検出部としてのサーモパイル、THSは前記ヒータHtの近傍に配設され、非接触の温度センサから成る第2の温度検出部としてのサーモスタットである。なお、前記フィーダユニットFd(
図2)及び制御部50によって媒体搬送装置としての用紙搬送装置が構成される。
【0077】
さらに、Eaは帯電ローラ34に帯電電圧を印加する帯電電圧制御部、Ebは現像ローラ36に現像電圧を印加する現像電圧制御部、Ecは供給ローラ38に供給電圧を印加する供給電圧制御部、Edは現像ブレード39に規制電圧を印加する規制電圧制御部、Eeは転写ローラ27に転写電圧を印加する転写電圧制御部、Dr1はLEDヘッド24を駆動する露光制御部、Dr2は、感光体ドラム22を回転させる駆動モータM1を駆動する駆動制御部、Dr3は、搬送ローラ対m1~m3及び排出ローラ対m4を回転させる搬送用の駆動部としての搬送モータM2、ベルト26を走行させる転写用の駆動部としての転写モータM3、並びに加熱ローラ31及び加圧ローラ32を回転させる定着用の駆動部としての定着モータM4を駆動する搬送制御部である。
【0078】
前記駆動モータM1が駆動されると、感光体ドラム22が回転させられ、感光体ドラム22の回転に伴って帯電ローラ34が連回りで回転させられる。そして、感光体ドラム22、現像ローラ36及び供給ローラ38の一方の端部には、回転を伝達するための図示されないギヤが配設され、現像ローラ36及び供給ローラ38の各ギヤと感光体ドラム22のギヤとが噛合させられる。したがって、感光体ドラム22が回転させられると、現像ローラ36及び供給ローラ38が連動して回転させられる。
【0079】
前記制御部50は、図示されない演算装置としてのCPU(Central Processing Unit)、入出力ポート、計時部材としてのタイマ等を備え、プリンタ10の全体の制御を行うとともに、ROM53に記録されたプログラム(ソフトウェア)、制御データ等に基づいて各種の処理を行う。
【0080】
前記ROM53には、前記プログラムのほかに、制御部50が前記各種の処理を行うために必要な設定値、閾値等が記録されるだけでなく、本実施の形態においては、
図16に示される用紙情報テーブルTb1が記録される。
【0081】
該用紙情報テーブルTb1は、前述された、プリンタ10において印刷が可能にされる各種のロール紙12を外巻き及び内巻きで設置し、巻頭及び巻末の用紙Pを使用し、カット長さを異ならせて印刷をする実験の実験結果である定着温度とカール量との関係に基づいて作成される。
【0082】
また、用紙情報テーブルTb1には、
図16に示されるように、プリンタ10で使用されるロール紙12ごとに、ロール紙12を特定するための番号(「Nо.」)、「用紙の種類」、用紙Pの厚さを表す媒体厚としての「用紙厚d」、新品の(未使用時の)ロール紙12の用紙Pの長さを表す初期ロール媒体長さとしての「初期ロール紙長さLs」、新品のロール紙12の外径(直径)を表すロール媒体外径としての「ロール紙外径Ds」(巻頭外径)、ロール紙12の紙管の外径を表す「紙管外径De」(巻末外径)、ロール紙12の設置状態を表す「外巻き/内巻き」、「カット長さδL」等の用紙情報が記録されるとともに、該各用紙情報に対応させて巻頭の用紙Pがカールするのを抑制することができる定着温度Ts及び巻末の用紙Pがカールするのを抑制することができる定着温度Teが記録される。
【0083】
なお、本実施の形態において、「カット長さδL」は、ロール紙12の使用目的に応じた代表的な値にされ、各値に対応させて、巻頭の用紙Pの定着温度Ts及び巻末の用紙Pの定着温度Teが設定されるが、カット長さδLを所定の範囲ごとに分け、各範囲のカット長さδLに対応させて巻頭の用紙Pの定着温度Ts及び巻末の用紙Pの定着温度Teを設定することもできる。
【0084】
前記EEPROM55は、不揮発性メモリから成り、プリンタ10の電源を切断する直前の設定値、閾値、各種のデータ等が記録される。
【0085】
前記RAM54には、前記印刷データ、及び該印刷データに基づいて生成され、印刷を行うための画像データのほかに、プログラムの実行に伴って生成される各種情報が一時的に記録される。なお、RAM54は、前記CPUが演算を行う際にワークエリアとして機能する。
【0086】
前記操作パネル56は、操作者がプリンタ10への指示を入力するためのスイッチ、キー等から成る操作部58、及びプリンタ10の状態を表示するためのLED画面等から成る表示部59を備える。なお、操作パネル56がタッチパネルによって形成されている場合、表示部59は操作部としても機能する。
【0087】
また、前記制御部50は、印刷処理部Pr1、搬送処理部Pr2、切断処理部Pr3、媒体情報処理部としての用紙情報処理部Pr4、目標加熱温度決定処理部としての定着温度決定処理部Pr5、加熱制御処理部Pr6等を備える。
【0088】
前記印刷処理部Pr1は、印刷処理を行い、RAM54から画像データを読み出し、該画像データに基づいてLEDヘッド24を駆動し、用紙Pに画像を形成し、印刷を行う。
【0089】
前記搬送処理部Pr2は、搬送処理を行い、搬送モータM2を駆動し、搬送ローラ対m1~m3、排出ローラ対m4等を回転させて用紙Pを搬送する。
【0090】
前記切断処理部Pr3は、切断処理を行い、印刷データに含まれる切断指示に基づいて用紙Pをカット長さδLにカットする。そのために、切断処理部Pr3は、カッタセンサscが用紙Pの前端を検出すると、前記タイマによる計時を開始し、所定の時間が経過して用紙Pがカット長さの距離だけ搬送されると、カッタ18によって用紙Pをカットする。
【0091】
前記用紙情報処理部Pr4は、媒体情報処理としての用紙情報処理を行い、用紙情報テーブルTb1から用紙情報を取得し、後述される搬送時ロール紙外径Dpを算出し、決定する。
【0092】
前記定着温度決定処理部Pr5は、目標加熱温度決定処理としての定着温度決定処理を行い、前記搬送時ロール紙外径Dp、巻頭の用紙Pの定着温度Ts及び巻末の用紙Pの定着温度Teに基づいて、搬送時ロール紙外径がDpであるときの、用紙Pがカールするのを抑制することができる目標加熱温度としての目標定着温度Tpを算出し、決定する。
【0093】
前記加熱制御処理部Pr6は、加熱処理を行い、加熱ローラ31の温度が目標定着温度TpになるようにヒータHtの制御を行う。
【0094】
次に、プリンタ10の制御装置の動作について説明する。
【0095】
図17は本発明の実施の形態におけるプリンタの制御装置の動作を示すフローチャートである。
【0096】
プリンタ10の電源が投入されると、加熱制御処理部Pr6(
図1)は、サーモパイルTHPによって検出された加熱ローラ31の温度が、仮の目標定着温度、本実施の形態においては、170〔℃〕になるまでヒータHtをオンにして定着器30のウォーミングアップを行う(ステップS1)。定着器30のウォーミングアップが終了すると、加熱ローラ31の温度が目標定着温度Tpに維持された状態で、印刷処理部Pr1は、ホストコンピュータPCから印刷データを受信するのを待機する(ステップS2)。
【0097】
ホストコンピュータPCから印刷データを受信すると、印刷処理部Pr1は、印刷処理を開始し、印刷データを編集し、画像データを生成してRAM54に記録する(ステップS3)。
【0098】
そして、プリンタ10の操作者が、ロール紙12を繰出装置14に設置し、用紙Pの先端を、給紙部Spの下方案内部16と上方案内部17との間に挿入し、搬送ローラ対m1に突き当てると、センサsfが用紙Pを検出し、これにより、搬送処理部Pr2は、搬送モータM2を駆動し、搬送ローラ対m1~m3を回転させ、用紙Pを引き込み、所定の位置まで搬送する(ステップS4)。
【0099】
用紙Pが、プリンタ本体部Mbの給紙口h1を介して装置本体Bd内に入り、カッタユニットCuを通過し、搬送ローラ対m3に到達すると、書出センサs1が用紙Pを検出し、画像形成部Q1が画像の形成を開始する(ステップS5)。
【0100】
また、搬送処理部Pr2が転写モータM3を駆動し、これにより、用紙Pが、搬送ローラ対m3からベルト26に受け渡され、静電気力によってベルト26に吸着され、ベルト26の走行に伴って画像形成ユニット21Y、21M、21Cと転写ユニットu1との間を搬送される。
【0101】
続いて、画像形成部Q1は、各画像形成ユニット21Y、21M、21Cにおいて各感光体ドラム22にトナー像を形成し、転写ユニットu1によって各トナー像を順次重ねて用紙Pに転写し、用紙Pにカラーのトナー像を形成する(ステップS6)。
【0102】
そのために、画像形成部Q1は、各画像形成ユニット21Y、21M、21Cにおいて、帯電ローラ34によって感光体ドラム22の表面を帯電させ、印刷処理部Pr1は、RAM54から画像データを読み出し、該画像データに基づいてLEDヘッド24を駆動し、LEDヘッド24によって光を感光体ドラム22に照射して、感光体ドラム22の表面に静電潜像を形成する。これにより、現像ローラ36に保持されているトナーが静電潜像に付着させられ、静電潜像が現像されて感光体ドラム22の表面に各色のトナー像が形成される。
【0103】
そして、用紙Pが感光体ドラム22とベルト26との間のニップ部を通過するときに、転写ローラ27に転写電圧が印加されることによって、前記各色のトナー像が順次重ねて用紙Pに転写され、用紙Pにカラーのトナー像が形成される。転写後に感光体ドラム22上に残留したトナーは、前記クリーニングブレード41(
図3)によって掻き取られ、廃トナーとして除去される。
【0104】
また、画像形成部Q1において、各色のトナー像が形成され、用紙Pに転写されている間に、切断処理部Pr3は、ROM53に記録された印刷データからカット長さδLを読み出し、読み出したカット長さδLに基づいて用紙Pをカッタ18によってカットする(ステップS7)。
【0105】
カッタ18によってカットされ、かつ、カラーのトナー像が形成された用紙Pは、定着器30に送られ、加熱ローラ31と加圧ローラ32との間のニップ部を搬送される。
【0106】
定着器30は、用紙P上のカラーのトナー像を、加熱ローラ31によって加熱し、溶融させ、加圧ローラ32によって加圧することによって用紙Pに定着させる(ステップS8)。
【0107】
このようにして印刷が行われると、搬送処理部Pr2は、排出ローラ対m4によって用紙Pを排出口h2を介して装置本体Bd外に排出する(ステップS9)。
【0108】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 加熱制御処理部Pr6は定着器30のウォーミングアップを行う。
ステップS2 印刷処理部Pr1はホストコンピュータPCから印刷データを受信するのを待機する。ホストコンピュータPCから印刷データを受信した場合はステップS3に進む。
ステップS3 印刷処理部Pr1は画像データを生成してRAM54に記録する。
ステップS4 搬送処理部Pr2は用紙Pを所定の位置まで搬送する。
ステップS5 画像形成部Q1は画像の形成を開始する。
ステップS6 画像形成部Q1は用紙Pにカラーのトナー像を形成する。
ステップS7 切断処理部Pr3は用紙Pをカッタ18によってカットする。
ステップS8 定着器30は用紙P上のカラーのトナー像を用紙Pに定着させる。
ステップS9 搬送処理部Pr2は用紙Pを装置本体Bd外に排出し、処理を終了する。
【0109】
ところで、本実施の形態においては、画像形成部Q1が画像の形成を開始して印刷が開始されると、印刷が行われるたびに用紙Pが消費され、ロール紙12の外径が小さくなる。それに伴って、巻き癖が強い部分の用紙Pが繰出装置14から繰り出され、巻き癖が強い部分の用紙Pに画像が形成されるようになる。
【0110】
したがって、用紙Pがカールするのを抑制するためには、用紙Pの消費に伴って目標定着温度Tpを設定する必要がある。
【0111】
次に、目標定着温度Tpを設定するときのプリンタ10の制御装置の動作について説明する。
【0112】
まず、操作者が、繰出装置14に所定のロール紙12を設置し、操作パネル56の操作部58を操作して、ロール紙12を特定するための前記番号を入力すると、用紙情報処理部Pr4が、印刷データに含まれるカット長さδLを読み込み、印刷が行われ、カッタ18によって用紙Pがカットされるたびに、カット長さδLを積算することによって、印刷に使用され、消費されたロール紙12の長さを表す使用ロール媒体長さとしての使用ロール紙長さLuを算出して決定し、EEPROM55に記録する。
【0113】
なお、本実施の形態においては、操作者が、繰出装置14に所定のロール紙12を設置し、ロール紙12の番号を入力するようになっているが、操作者が、ホストコンピュータPCにインストールされたプリンタドライバのメニューにおいて、繰出装置14に設置したロール紙12を選択し、特定するようにすることもできる。
【0114】
次に、用紙情報処理部Pr4は、ROM53の用紙情報テーブルTb1を参照し、未使用の、すなわち、新品のロール紙12の用紙Pの長さを表す初期ロール媒体長さとしての初期ロール紙長さLsを読み出し、EEPROM55から、カット長さδLを積算した値である前記使用ロール紙長さLuを読み出し、初期ロール紙長さLsから前記使用ロール紙長さLuを減算することによって、ロール紙12の残りの用紙Pの長さを表す余剰ロール媒体長さとしての余剰ロール紙長さを算出して決定する。該余剰ロール紙長さは、次の印刷を行うために用紙Pを搬送する際(以下、「搬送時」という。)のロール紙12の用紙Pの長さを表す搬送時ロール媒体長さとしての搬送時ロール紙長さLpになる。
【0115】
該搬送時ロール紙長さLpに基づいて、搬送時のロール紙12の外径を表す搬送時ロール紙外径Dpを算出し、決定することができる。
【0116】
すなわち、搬送時の紙管部分を含むロール紙12の半径を表す搬送時ロール媒体半径としての搬送時ロール紙半径をRpとすると、搬送時の紙管部分を含むロール紙12の断面積Spは、
Sp=π×Rp2
になる。また、紙管の半径をRcとすると、紙管の断面積Scは、
Sc=π×Rc2
になる。
【0117】
そして、用紙厚をdとすると、新品の紙管部分を含まないロール紙12の断面積Sxは、
Sx=d×Lp
=Sp-Sc
=(π×Rp2)-(π×Rc2)
になる。したがって、搬送時ロール紙半径Rpは、
Rp=√〔{(d×Lp)+(π×Rc2)}/π〕
になるので、紙管部分を含む搬送時ロール媒体外径としての搬送時ロール紙外径Dpは、
Dp=2×Rp
=2×√〔{(d×Lp)+(π×Rc2)}/π〕
になる。
【0118】
続いて、定着温度決定処理部Pr5は、前記用紙情報テーブルTb1を参照し、外巻き又は内巻きの別、並びにカット長さδLに対応する巻頭の用紙Pの定着温度Ts及び巻末の用紙Pの定着温度Teを読み出し、搬送時ロール紙外径Dpに適した目標定着温度Tpを算出し、決定する。
【0119】
そのために、定着温度決定処理部Pr5は、用紙情報テーブルTb1から読み出したロール紙外径Dsに基づいて、新品のロール紙12の半径を表すロール紙半径Rs
Rs=Ds/2
を算出するとともに、紙管外径Deに基づいて紙管半径Re
Re=De/2
を算出する。
【0120】
そして、定着温度決定処理部Pr5は、巻頭の用紙Pの定着温度Ts、巻末の用紙Pの定着温度Te、並びに搬送時ロール紙半径Rp、ロール紙半径Rs及び紙管半径Reの各曲率1/Rp、1/Rs、1/Rcに基づいて、目標定着温度Tp
Tp=Ts+(Te-Ts)×(1/Rp-1/Rs)/(1/Rc-1/Rs)
を算出し、決定する。
【0121】
また、定着温度決定処理部Pr5は、算出し決定した目標定着温度Tpに基づいてヒータHtをオン・オフし、加熱ローラ31の温度を目標定着温度Tpにする。
【0122】
なお、本実施の形態においては、用紙情報処理部Pr4が搬送時ロール紙長さLpに基づいて搬送時ロール紙外径Dpを算出し、決定するようになっているが、繰出装置14のアーム14aに、設置されるロール紙12に対応する指標としての目盛りを形成し、操作者が、目盛りを読み、操作部58を操作して搬送時ロール紙外径Dp’を入力するようにすることもできる。
【0123】
その場合、前述されたように、紙管部分を含まないロール紙12の断面積Sxは、
Sx=d×Lp
=Sp-Sc
=(π×Rp2)-(π×Rc2)
であり、搬送時ロール紙長さLpは、
Lp={(π×Rp2)-(π×Rc2)}/d
={(π×(Dp’/2)2)-(π×Rc2)}/d
であるので、前記用紙情報処理部Pr4は、搬送時ロール紙外径Dp’に基づいて使用ロール紙長さLu
Lu=Ls-Lp
=Ls-{(π×(Dp’/2)2)-(π×Rc2)}/d
を算出し、決定する。
【0124】
さらに、フィーダユニットFdに、設置されたロール紙12と対向させて媒体検出部としての図示されない用紙センサを配設し、前記媒体情報処理部Pr4が、前記用紙センサのセンサ出力に基づいて搬送時ロール紙長さLpを算出し、決定するようにすることもできる。
【0125】
前記用紙情報処理部Pr4によって算出された搬送時ロール紙外径Dpと、前記定着温度決定処理部Pr5に基づいて算出され決定された目標定着温度Tpとの関係をグラフに示すと、
図18及び19のようになる。
【0126】
図18は本実施の形態におけるロール紙を外巻きで設置したときの搬送時ロール紙外径と目標定着温度との関係を示す図、
図19は本発明の実施の形態におけるロール紙を内巻きで設置したときの搬送時ロール紙外径と目標定着温度との関係を示す図である。なお、各図において、横軸に搬送時ロール紙外径Dpを、縦軸に目標定着温度Tpを採ってある。
【0127】
図18において、L11は従来の目標定着温度の推移を示す線、L12は、本実施の形態において、ロール紙12を外巻きで設置し、カット長さδLを90〔mm〕又は130〔mm〕にしたときの搬送時ロール紙外径Dpと目標定着温度Tpとの関係を表す線、L13は、本実施の形態において、ロール紙12を外巻きで設置し、カット長さδL170〔mm〕又は210〔mm〕にしたときの搬送時ロール紙外径Dpと目標定着温度Tpとの関係を表す線である。
【0128】
また、
図19において、L11は従来の目標定着温度の推移を示す線、L14は、本実施の形態において、ロール紙12を内巻きで設置し、カット長さδLを90〔mm〕又は210〔mm〕にしたときの搬送時ロール紙外径Dpと目標定着温度Tpとの関係を表す線である。
【0129】
線L13及び線L14で示されるように、搬送時ロール紙外径Dpが大きく、搬送時ロール紙長さLpが長い場合に目標定着温度Tpが低くなり、搬送時ロール紙外径Dpが小さく、搬送時ロール紙長さLpが短い場合に目標定着温度Tpが高くなるので、ロール紙12の巻末における用紙Pの巻き癖が強くても、用紙Pがカールするのを抑制することができる。
【0130】
また、線L13及び線L14で示されるように、巻頭の用紙Pの目標定着温度Tpと巻末の用紙Pの目標定着温度Tpとの変化量が、ロール紙12を外巻きで設置した場合と内巻きで設置した場合とで異なり、ロール紙12を外巻きで設置した場合、目標定着温度Tpは130〔℃〕及び190〔℃〕であって変化量が大きく、ロール紙12を内巻きで設置した場合、目標定着温度Tpは150〔℃〕及び170〔℃〕であって変化量が小さくなる。
【0131】
ロール紙12においては、用紙Pの外側の面が外気に触れやすく、外気の影響を受けやすく、用紙Pの内側の面が外気に触れにくく、外気の影響を受けにくいこと、また、巻頭の用紙Pは、外気に触れやすく、外気の影響を受けやすく、巻末の用紙Pは、外気に触れにくく、外気の影響を受けにくい。このことから、ロール紙12を外巻きで設置した場合、目標定着温度Tpの変化量を大きくし、内巻きで設置した場合、目標定着温度Tpの変化量を小さくすることによって、用紙Pがカールするのを抑制することができる。
【0132】
すなわち、ロール紙12を外巻きで設置し、巻頭の用紙Pを使用する場合、目標定着温度Tpを十分に低くし、ロール紙12を内巻で設置し、巻末の用紙Pを使用する場合、目標定着温度Tpを十分に高くするのが好ましい。
【0133】
さらに、線L12で示されるように、カット長さδLが170〔mm〕又は210〔mm〕であって長い場合、用紙Pが連続紙の使用条件の影響を受けやすいだけでなく、用紙Pがカールし易いので、目標定着温度Tpを、巻頭の用紙Pを使用する場合と巻末の用紙Pを使用する場合とで異ならせるのが望ましいのに対して、カット長さδLが90〔mm〕又は130〔mm〕であって短い場合、紙Pが連続紙の使用条件の影響を受けにくいだけでなく、用紙Pがカールしにくいので、目標定着温度Tpを、巻頭の用紙Pを使用する場合と巻末の用紙Pを使用する場合とで等しくするのが望ましい。
【0134】
なお、搬送時ロール紙半径Rp、ロール紙半径Rs及び紙管半径Reの各曲率1/Rp、1/Rs、1/Rcに代えて搬送時ロール紙外径Dp、ロール紙外径Ds及び紙管外径Deに基づいて目標定着温度Tp’を算出して決定することもでき、その場合、目標定着温度Tpは、
Tp’=Ts+(Te-Ts)×(Ds-Dp)/(Ds-De)
になる。
【0135】
搬送時ロール紙外径Dpと目標定着温度Tp’との関係をグラフに示すと、
図20及び21のようになる。
【0136】
図20は本発明の実施の形態におけるロール紙を外巻きで設置したときの搬送時ロール紙外径と目標定着温度との関係を示す図、
図21は本発明の実施の形態におけるロール紙を内巻きで設置したときの搬送時ロール紙外径と目標定着温度との関係を示す図である。なお、各図において、横軸に搬送時ロール紙外径Dpを、縦軸に目標定着温度Tp’を採ってある。
【0137】
図20において、L11は従来の目標定着温度の推移を示す線、L15は、ロール紙12を外巻きで設置し、カット長さδLを90〔mm〕又は130〔mm〕にしたときの搬送時ロール紙外径Dpと目標定着温度Tp’との関係を表す線、L16は、ロール紙12を外巻きで設置し、カット長さδLを170〔mm〕又は210〔mm〕にしたときの搬送時ロール紙外径Dpと目標定着温度Tp’との関係を表す線である。
【0138】
また、
図21において、L11は従来の目標定着温度の推移を示す線、L17は、ロール紙12を内巻きで設置し、カット長さδLを90〔mm〕又は210〔mm〕にしたときの搬送時ロール紙外径Dpと目標定着温度Tp’との関係を表す線である。
【0139】
このように、本実施の形態においては、定着器30の目標定着温度Tp、Tp’が、搬送時ロール紙長さLpが短い場合に高くされるので、巻末における用紙Pの巻き癖が強くても、用紙Pがカールするのを抑制することができる。
【0140】
したがって、装置本体Bd外に排出された用紙Pをスタッカ等に安定させて積載することができるだけでなく、排出された用紙Pの束を揃えるのが容易になる。しかも、用紙PにQRコード(登録商標)等の識別子が印刷されている場合に、用紙Pがカールして識別子が歪むことがなくなるので、読取機によって識別子を確実に読み取ることができる。
【0141】
また、プリンタ10に、巻き癖を矯正するための部材を取り付けたり、複雑な機構を配設したりする必要がないので、プリンタ10のコストを低くすることができる。
【0142】
なお、各実験においては、用紙厚dが約80〔μm〕のロール紙12を使用した。用紙厚dが80〔μm〕より小さいロール紙12を使用すると、用紙Pのカール量が大きくなり、用紙厚dが80〔μm〕より大きいロール紙12を使用すると、用紙Pのカール量が小さくなるが、本実施の形態においては、用紙の厚さに関わらず用紙Pがカールするのを抑制することができる。
【0143】
本実施の形態においてはプリンタ10について説明しているが、本発明を、複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置に適用することもできる。
【0144】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0145】
10 プリンタ
12 ロール紙
18 カッタ
30 定着器
Fd フィーダユニット
P 用紙
Pr2 搬送処理部
Pr3 切断処理部
Pr4 用紙情報処理部
Pr5 定着温度決定処理部
Pr6 加熱制御処理部
Rt 用紙搬送路