(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128210
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】音声出力装置
(51)【国際特許分類】
H04R 29/00 20060101AFI20230907BHJP
H04R 1/06 20060101ALI20230907BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20230907BHJP
H04R 1/10 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
H04R29/00 310
H04R1/06 310
H04R1/00 318Z
H04R1/10 101
H04R1/10 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032393
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 康太郎
【テーマコード(参考)】
5D017
【Fターム(参考)】
5D017AC16
5D017AH10
(57)【要約】
【課題】音声再生機器と無線で接続されている音声出力装置に異常が発生したときに異常発生時の状況証拠を確保することができる音声出力装置を提供する。
【解決手段】制御部10C(異常判定部)は、音声出力装置103の本体部がユーザ以外の第三者によって本体部を装着している部位から取り外されたと想定される異常が発生したか否かを判定する。制御部10C(書込・読出制御部)は、撮像部31が撮像した画像の画像データをリングバッファ33に書き込むよう制御し、異常が発生したと判定されたとき、リングバッファ33に記憶されている、少なくとも異常が発生したと判定された時点以前の画像データを読み出すよう制御する。制御部10C(送信制御部)は、リングバッファ33より読み出された画像データを、通信部1によって音声再生機器50に送信するよう通信部1を制御する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザのいずれかの部位に装着される本体部と、
前記本体部に収納され、音声再生機器と無線通信する通信部と、
前記本体部に収納され、前記音声再生機器より送信されて、前記通信部が受信した音声データに基づく聴取用音声を出力する音声出力部と、
前記本体部に収納され、前記ユーザの外方を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した画像に基づく画像データを記憶するバッファと、
前記本体部に収納され、前記本体部が前記ユーザ以外の第三者によって前記部位から取り外されたと想定される異常が発生したか否かを判定する異常判定部と、
前記本体部に収納され、前記画像データを前記バッファに書き込むよう制御し、前記異常判定部によって前記異常が発生したと判定されたとき、前記バッファに記憶されている、少なくとも前記異常が発生したと判定された時点以前の画像データを読み出すよう制御する書込・読出制御部と、
前記書込・読出制御部による制御によって前記バッファより読み出された画像データを、前記通信部によって前記音声再生機器に送信するよう前記通信部を制御する送信制御部と、
を備える音声出力装置。
【請求項2】
前記本体部に収納され、前記本体部の加速度を検出する加速度センサをさらに備え、
前記異常判定部は、前記加速度センサが検出した加速度検出値が所定の閾値以上であるときに前記異常が発生したと判定する
請求項1に記載の音声出力装置。
【請求項3】
前記異常判定部は、前記撮像部が撮像した画像に基づいて前記異常が発生したか否かを判定する請求項1に記載の音声出力装置。
【請求項4】
前記異常判定部によって前記異常が発生したと判定されたとき、前記送信制御部は、前記通信部による前記音声再生機器より送信された音声データの受信を停止するよう前記通信部を制御した後に、前記バッファより読み出された画像データを前記音声再生機器に送信するよう前記通信部を制御する請求項1~3のいずれか1項に記載の音声出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
音楽プレーヤまたはスマートフォン等の音声再生機器と、音声出力装置とを無線にて接続して、音声再生機器で再生された音声データを、音声出力装置で聴取することが広く行われている。音声出力装置としては、ネックスピーカと称される首掛け型のスピーカ、放音部を左右の耳に装着するイヤホン、左右の耳を覆うように装着する放音部をバンドによって連結したヘッドホン等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザが音声出力装置を使用している際に音声出力装置が盗難されるおそれがある。特許文献1には、携帯通信機器に接続されているイヤホンがイヤホンジャックから外されたときに警告することが記載されている。音声再生機器と音声出力装置とが無線で接続されている場合には、特許文献1に記載されているような技術を応用することができない。音声出力装置の盗難等の異常が発生したときに異常発生時の状況証拠を確保することができる音声出力装置とすることが求められる。
【0005】
本発明は、音声再生機器と無線で接続されている音声出力装置に異常が発生したときに異常発生時の状況証拠を確保することができる音声出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ユーザのいずれかの部位に装着される本体部と、前記本体部に収納され、音声再生機器と無線通信する通信部と、前記本体部に収納され、前記音声再生機器より送信されて、前記通信部が受信した音声データに基づく聴取用音声を出力する音声出力部と、前記本体部に収納され、前記ユーザの外方を撮像する撮像部と、前記撮像部が撮像した画像に基づく画像データを記憶するバッファと、前記本体部に収納され、前記本体部が前記ユーザ以外の第三者によって前記部位から取り外されたと想定される異常が発生したか否かを判定する異常判定部と、前記本体部に収納され、前記画像データを前記バッファに書き込むよう制御し、前記異常判定部によって前記異常が発生したと判定されたとき、前記バッファに記憶されている、少なくとも前記異常が発生したと判定された時点以前の画像データを読み出すよう制御する書込・読出制御部と、前記書込・読出制御部による制御によって前記バッファより読み出された画像データを、前記通信部によって前記音声再生機器に送信するよう前記通信部を制御する送信制御部とを備える音声出力装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の音声出力装置によれば、音声再生機器と無線で接続されている音声出力装置に異常が発生したときに異常発生時の状況証拠を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態の音声出力装置を示すブロック図である。
【
図2】第1及び第2実施形態の音声出力装置を示す外観斜視図である。
【
図3】第1実施形態の音声出力装置が備える制御部の構成例を示すブロック図である。
【
図4】第2実施形態の音声出力装置を示すブロック図である。
【
図5】第2実施形態の音声出力装置が備える制御部の構成例を示すブロック図である。
【
図6】第3実施形態の音声出力装置を示すブロック図である。
【
図7】第3及び第4実施形態の音声出力装置を示す外観斜視図である。
【
図8】第3実施形態の音声出力装置が備える制御部の構成例を示すブロック図である。
【
図9】第4実施形態の音声出力装置を示すブロック図である。
【
図10】第4実施形態の音声出力装置が備える制御部の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各実施形態の音声出力装置について、添付図面を参照して説明する。各実施形態は、音声出力装置がネックスピーカと称される首掛け型のスピーカである場合を例とする。音声出力装置は、放音部を左右の耳に装着するイヤホンであってもよいし、左右の耳を覆うように装着する放音部をバンドによって連結したヘッドホンであってもよい。
【0010】
第1及び第2実施形態は、音声再生機器と無線で接続されている音声出力装置に異常が発生したときに音声出力装置によって警告するように構成した音声出力装置である。第3及び第4実施形態は、音声再生機器と無線で接続されている音声出力装置に異常が発生したときに異常発生時の状況証拠を確保するように構成した音声出力装置である。
【0011】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の音声出力装置101を示す。
図1に示すように、音声出力装置101は、通信部1、復号部2、切替部3、D/A変換器4、増幅器5、音声出力部6、操作ボタン7、加速度センサ8、ROM9、制御部10Aを備える。操作ボタン7を除くこれらの各構成は、
図2に示す本体部110内に収納されている。
図2では図示を省略しているが、操作ボタン7は本体部110の表面に配置されている。音声出力部6は、左右のメッシュ状の放音口6L1及び6R1に向けて音を出力するように配置された左右のスピーカを含む。
【0012】
音声出力装置101はネックスピーカを例としているので、本体部110はユーザの首に装着される。音声出力装置がイヤホンであれば、音声出力装置の本体部はユーザの左右の耳に装着される。音声出力装置がヘッドホンであれば、音声出力装置の本体部はユーザの頭部に装着される。本体部はユーザのいずれかの部位に装着されていればよい。
【0013】
図1において、通信部1は音声再生機器50と無線通信する。音声再生機器50は一例としてスマートフォンである。音声再生機器50が備える通信部と通信部1とは、所定の近距離無線通信規格の無線通信方式によって互いに無線通信する。近距離無線通信規格は、典型的にはブルートゥース(登録商標)である。復号部2は、音声再生機器50より送信されて通信部1が受信した楽曲等の圧縮音声データを復号して切替部3に供給する。圧縮音声データは、SBC(Sub Band Codec)またはAAC(Advanced Audio Coding)等の所定の音声圧縮方式によって圧縮された音声データである。
【0014】
切替部3が復号部2からの復号された音声データをD/A変換器4に供給するとき、D/A変換器4は入力された音声データをアナログ音声信号に変換して増幅器5に供給する。増幅器5は、入力されたアナログ音声信号を増幅して音声出力部6に供給する。音声出力部6は、入力されたアナログ音声信号に基づいて聴取用音声を出力する。このとき、ユーザは操作ボタン7を操作することによって音声出力部6より出力される聴取用音声の音量を調整することができる。ユーザが操作ボタン7を操作すると、制御部10Aは増幅器5におけるアナログ音声信号の増幅度を制御して、聴取用音声の音量を調整する。
【0015】
音声再生機器50によって聴取用音声の音量を調整してもよい。ユーザが音声再生機器50によって聴取用音声の音量を調整すると、音量の調整信号は通信部1を介して制御部10Aに供給される。制御部10Aは増幅器5におけるアナログ音声信号の増幅度を制御して、聴取用音声の音量を調整する。
【0016】
このように、放音口6L1及び6R1に向けて配置された左右のスピーカを含む音声出力部6は、音声再生機器50より送信されて、通信部1が受信した音声データに基づく聴取用音声を所定の音量で出力する。
【0017】
加速度センサ8は本体部110の加速度を検出する。ユーザが音声出力装置101を使用しているとき、加速度センサ8が所定の閾値以上の加速度を検出することはほとんどない。ユーザが首から音声出力装置101(本体部110)を外すときには本体部110は所定の加速度で動かされるから加速度センサ8は所定の加速度を検出する。第三者がユーザの首に装着されている音声出力装置101を強奪しようとして本体部110を強引に引っ張ったとすると、本体部110はかなり大きな加速度で動かされるから、加速度センサ8は所定の閾値以上の加速度を検出する。
【0018】
加速度センサ8が検出する加速度検出値は制御部10Aに供給される。制御部10Aは、加速度センサ8より供給される加速度検出値と閾値とを比較する。制御部10Aは、加速度センサ8より供給される加速度検出値(加速度センサ8が検出した加速度)が所定の閾値以上であれば、本体部110がユーザ以外の第三者によって首から取り外されたと想定される異常が発生したと判定する。
【0019】
ROM9には警告音データが記憶されている。ROM9は警告音データを記憶する記憶部の一例である。制御部10Aは、上記の異常が発生したと判定したとき、ROM9より警告音データを読み出して切替部3に供給する。また、制御部10Aは、切替部3が復号部2から供給される音声データに代えて、警告音データをD/A変換器4に供給するよう切替部3を制御する。
【0020】
切替部3が警告音データをD/A変換器4に供給するとき、D/A変換器4は入力された警告音データをアナログ音声信号に変換して増幅器5に供給する。増幅器5は、入力されたアナログ音声信号を増幅して音声出力部6に供給する。音声出力部6は、入力されたアナログ音声信号に基づいて警告音を出力する。
【0021】
このとき、ユーザが確実に警告音を聞くことができるよう、音声出力部6はできるだけ大きな音量で警告音を出力することが好ましい。そこで、制御部10Aは、聴取用音声の音量よりも警告音の音量が大きくなるように、増幅器5における増幅度を制御して音量を増大させる。制御部10Aは、増幅器5における増幅度が最大となるよう増幅器5を制御して、警告音の音量を最大に調整するのがよい。
【0022】
図3は、制御部10Aの好ましい構成例を示している。制御部10Aは、機能的な構成として、異常判定部11、切替制御部12、音量制御部13を含む。異常判定部11は、加速度センサ8より供給される加速度検出値と閾値とを比較することによって、本体部110がユーザ以外の第三者によって本体部110を装着している部位から取り外されたと想定される異常が発生したか否かを判定する。
【0023】
異常判定部11は、加速度センサ8が検出する本体部110の加速度以外を用いて音声出力装置101の盗難等の異常の発生の有無を判定してもよい。加速度センサ8を用いると異常の発生の有無を判定しやすいため、加速度センサ8を用いることが好ましい。
【0024】
切替制御部12は、異常判定部11によって異常が発生したと判定されたとき、切替部3に切替制御信号を供給して、音声出力部6より出力する音声を聴取用音声から警告音に切り替えるよう切替部3を制御する。音量制御部13は、切替制御部12が、音声出力部6より出力する音声を、聴取用音声から警告音に切り替えるよう切替部3を制御するのに併せて、増幅器5に音量制御信号を供給して、音声出力部6が警告音を出力するときの音量を増大させるよう増幅器5を制御する。上記のように、音量制御部13は、警告音を出力するときの音量を最大とするよう増幅器5を制御することが好ましい。
【0025】
図3では図示を省略しているが、音量制御部13は、音声出力部6より聴取用音声を出力しているとき、ユーザが操作ボタン7または音声再生機器50を操作することによって音量を調整したときには、聴取用音声の音量を調整するよう増幅器5に音量制御信号を供給する。
【0026】
以上のように、第1実施形態の音声出力装置101によれば、音声再生機器50と無線で接続されている音声出力装置101に異常が発生したときに音声出力装置101によって警告することができる。ユーザ、または音声出力装置101を強奪する犯人以外の第三者は、異常の発生に容易に気付くことができる。さらに、警告音の発生によって、犯人が音声出力装置101の強奪を断念することもあり得る。
【0027】
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態の音声出力装置102を示す。
図4において、
図1と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略することがある。
図4に示すように、音声出力装置102は、音声出力装置101が備えない構成として、GNSS受信部21を備える。GNSS受信部21は
図2に示す本体部110内に収納されている。
【0028】
GNSS受信部21は、全地球航法衛星システム(Global Navigation Satellite System:GNSS)用の複数の衛星からの電波を受信する。制御部10Bは、GNSS受信部21が受信したGNSS信号に基づいて位置情報を算出する。GNSSは、一例としてGPS(Global Positioning System)である。
【0029】
バイクまたは自転車を運転しているユーザが、首に音声出力装置102を装着して聴取用音声を聴取しているとする。このような状態でユーザが運転中に首から音声出力装置102を外すことはほぼあり得ない。ランニングをしているユーザも同様に、走りながら、首から音声出力装置102を外す可能性は低い。ユーザは、止まっている状態で音声出力装置102を外すことが多い。
【0030】
即ち、ユーザが動いている状態で音声出力装置102が外されたとすれば、第三者がユーザの首に装着されている音声出力装置102を強奪しようとして本体部110を強引に引っ張った可能性が高い。
【0031】
第1実施形態においては、加速度センサ8が検出した加速度検出値のみに基づいて異常が発生したか否かを判定する。仮にユーザが本体部110を極めて強い力で引っ張ると、加速度センサ8が閾値以上の加速度を検出することがある。第2実施形態は、加速度センサ8が検出した加速度検出値と、音声出力装置102の位置情報の変化に基づく音声出力装置102の動きの程度とを併用して、異常が発生したか否かを判定する。
【0032】
図5は、音声出力装置102における制御部10Bの好ましい構成例を示している。制御部10Bは、機能的な構成として、異常判定部11、切替制御部12、音量制御部13、位置算出部14を含む。位置算出部14は、GNSS受信部21から供給されるGNSS信号に基づいて音声出力装置102(本体部110)の位置情報を算出する。異常判定部11は、位置算出部14によって算出される本体部110の位置の変化に基づいて算出される本体部110が動く速度と、加速度センサ8が検出した加速度検出値との双方に基づいて異常が発生したと判定する。
【0033】
具体的には、異常判定部11は次のようにして異常が発生したと判定するのがよい。ユーザが止まっているとき、通常の速度で歩いているときには、ユーザは首から音声出力装置102を外すことがある。一方で、ユーザがバイクまたは自転車を運転していたり、ランニングしていたりするときには、首から音声出力装置102を外すことはほとんどない。通常の歩行速度は時速2.9km/h~3.6km/hであり、時速4km/h以上となることはさほどない。ユーザがランニングしていれば、移動する速度は時速4km/h以上となる。自転車の平均速度は4km/h~20km/hである。ユーザがバイクまたは自転車を運転していれば、移動する速度は時速4km/h以上となる。
【0034】
そこで、異常判定部11は、本体部110が動く速度が第1の閾値である時速4km/h未満であり、加速度センサ8が検出した加速度検出値が第2の閾値以上であるときには、異常が発生したとは判定しない。これは、加速度検出値が第2の閾値以上であっても、ユーザ自らが音声出力装置102を外した可能性があるからである。第2の閾値は第1実施形態における所定の閾値と同じでよい。
【0035】
異常判定部11は、本体部110が動く速度が第1の閾値以上であり、かつ、加速度センサ8が検出した加速度検出値が第2の閾値以上であるときに、異常が発生したと判定する。これは、ユーザ自らが音声出力装置102を外した可能性はさほど高くないからでる。第1の閾値を時速4km/hとするのは一例である。ユーザが比較的ゆっくり自転車を運転しているときにユーザは首から音声出力装置102を外すことがあるということを考慮する場合には、第1の閾値を時速5km/h~7km/hとしてもよい。
【0036】
切替制御部12及び音量制御部13の動作は、
図3における切替制御部12及び音量制御部13の動作と同じである。
【0037】
第2実施形態の音声出力装置102によれば、第1実施形態の音声出力装置101よりも、音声再生機器50と無線で接続されている音声出力装置101に異常が発生したか否かの誤判定を少なくすることができる。第2実施形態の音声出力装置102によれば、音声出力装置101に異常が発生したときに音声出力装置101によって警告することができる。
【0038】
<第3実施形態>
図6は、第3実施形態の音声出力装置103を示す。
図6において、
図1と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略することがある。
図6に示すように、音声出力装置103は、通信部1、復号部2、D/A変換器4、増幅器5、音声出力部6、操作ボタン7、加速度センサ8、制御部10C、撮像部31、符号化部32、リングバッファ33を備える。操作ボタン7を除くこれらの各構成は、
図7に示す本体部110内に収納されている。
図7では図示を省略しているが、操作ボタン7は本体部110の表面に配置されている。
【0039】
撮像部31は、
図7に示すレンズ31Lと、いずれも図示していない撮像素子及び画像信号生成回路とを含む。レンズ31Lは、本体部110の背面部111に配置されて、ユーザの後方の被写体からの光を取り込む。レンズ31Lは、背面部111の左右方向の中央部に配置されているのがよい。
【0040】
撮像素子は、レンズ31Lを介して取り込まれた被写体からの光によって撮像する。画像信号生成回路は、撮像素子によって光電変換された電気信号に基づいて画像信号を生成する。撮像部31はユーザを撮像するのではなく、ユーザの外方を撮像すればよい。撮像部31はユーザの後方を含む所定の角度領域を撮像するのがよい。
【0041】
図6において、符号化部32は撮像部31より供給された画像信号をデジタル信号に変換して符号化し、符号化画像データを制御部10Cに供給する。符号化部32は、画像信号をH.264/MPEG-4 AVC等の所定の画像圧縮方式によって圧縮符号化して符号化画像データを生成する。制御部10Cは、符号化画像データをリングバッファ33に循環的に記憶させる。リングバッファ33は、撮像部31が撮像した画像に基づく画像データを記憶するバッファの一例である。
【0042】
図8は、音声出力装置103における制御部10Cの好ましい構成例を示している。制御部10Cは、機能的な構成として、異常判定部11、書込・読出制御部15、送信制御部16を含む。異常判定部11は、加速度センサ8より供給される加速度検出値と閾値とを比較することによって、本体部110がユーザ以外の第三者によって本体部110を装着している部位から取り外されたと想定される異常が発生したか否かを判定する。
【0043】
書込・読出制御部15は、符号化画像データをリングバッファ33に書き込むよう制御する。また、書込・読出制御部15は、異常判定部11によって異常が発生したと判定されたとき、リングバッファ33より符号化画像データを読み出すよう制御する。送信制御部16は、書込・読出制御部15による制御によってリングバッファ33より読み出された符号化画像データを、音声再生機器50に送信するよう通信部1を制御する。
【0044】
書込・読出制御部15は、少なくとも異常が発生したと判定された時点以前の符号化画像データを読み出すよう制御すればよい。書込・読出制御部15は、異常が発生したと判定された時点以前の符号化画像データに加えて、その時点以降の符号化画像データを読み出すよう制御するのがよい。送信制御部16は、通信部1が音声再生機器50との通信が確立されている期間中、符号化画像データを音声再生機器50に送信するよう通信部1を制御するのがよい。
【0045】
図8において、異常判定部11によって異常が発生したと判定されたとき、送信制御部16は、通信部1による音声再生機器50より送信された音声データの受信を停止するよう通信部1を制御してもよい。この場合、異常判定部11は、異常が発生したと判定したら、送信制御部16に音声データの受信の停止を指示すればよい。送信制御部16は、音声データの受信を停止するよう通信部1を制御した後に、リングバッファ33より読み出された符号化画像データを音声再生機器50に送信するよう通信部1を制御する。
【0046】
通信部1が音声データの受信を停止すれば、通信部1は符号化画像データを送信する処理のみを実行すればよいから、通信部1における処理が効率化される。
【0047】
なお、音声再生機器50は、音声出力装置103から符号化画像データが送信されたとき、符号化画像データを受信して記憶部に記憶させるように構成されている。また、音声再生機器50は、記憶部に記憶した符号化画像データを復号して、表示部に表示するように構成されている。音声再生機器50は、符号化画像データを受信して記憶部に記憶させ、所定の操作に応答して、記憶部に記憶した符号化画像データを復号して表示部に表示するアプリケーションプログラムを記憶するのがよい。
【0048】
以上のように、第3実施形態の音声出力装置103は、音声出力装置103に異常が発生したときにユーザの外方を撮像した画像の少なくとも異常が発生したと判定された時点以前の画像データを音声再生機器50に送信するように構成されている。よって、第3実施形態の音声出力装置103によれば、音声再生機器50と無線で接続されている音声出力装置103に異常が発生したときに異常発生時の状況証拠を確保することができる。
【0049】
図6に示す音声出力装置103においてもGNSS受信部21を備え、制御部10C内に位置算出部14を設けてもよい。
図5と同様に、異常判定部11は、位置算出部14によって算出される本体部110の位置の変化に基づいて本体部110が第1の閾値以上の速度で動いており、かつ、加速度センサ8が検出した加速度検出値が第2の閾値以上であるときに異常が発生したと判定してもよい。
【0050】
<第4実施形態>
図9は、第4実施形態の音声出力装置104を示す。
図9において、
図6と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略することがある。
図9に示すように、音声出力装置104は、加速度センサ8を備えず、A/D変換器34を備える。A/D変換器34は、
図7に示す本体部110内に収納されている。A/D変換器34は、撮像部31より出力された画像信号をデジタル画像データに変換して、制御部10Dに供給する。
【0051】
図10は、音声出力装置104における制御部10Dの好ましい構成例を示している。制御部10Dは、機能的な構成として、異常判定部11、書込・読出制御部15、送信制御部16を含む。
図10における異常判定部11は、加速度検出値に基づいて異常の発生の有無を判定するのではなく、A/D変換器34より供給された、撮像部31が撮像した画像の画像データに基づいて異常の発生の有無を判定する。
【0052】
第三者がユーザの背後から
図7に示す音声出力装置104をつかんで強奪しようとすると、レンズ31Lが手で覆われて撮像部31より出力される画像信号はほぼ黒の画像となる。
図10において、異常判定部11は、入力される画像データの輝度が黒レベルに近い所定の閾値以下に低下したときに、異常が発生したと判定する。
【0053】
異常判定部11は、画像データの輝度が急激に閾値以下に低下したときに異常が発生したと判定してもよい。この場合、異常判定部11は、画像データの輝度の変化量が所定の値より大きく、かつ輝度が閾値以下に低下したときに異常が発生したと判定する。
【0054】
書込・読出制御部15及び送信制御部16の動作は、
図8における書込・読出制御部15及び送信制御部16の動作と同じである。
【0055】
以上のように、第4実施形態の音声出力装置104は、撮像部31が撮像した画像に基づいて、本体部110がユーザ以外の第三者によって首から取り外されたと想定される異常が発生したと判定する。音声出力装置104は、異常が発生したときにユーザの外方を撮像した画像の少なくとも異常が発生したと判定された時点以前の画像データを音声再生機器50に送信するように構成されている。
【0056】
よって、第4実施形態の音声出力装置104によれば、音声再生機器50と無線で接続されている音声出力装置104に異常が発生したときに異常発生時の状況証拠を確保することができる。
【0057】
本発明は以上説明した第1~第4実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 通信部
2 復号部
3 切替部
4 D/A変換器
5 増幅器
6 音声出力部
7 操作ボタン
8 加速度センサ
9 ROM
10A,10B,10C,10D 制御部
11 異常判定部
12 切替制御部
13 音量制御部
14 位置算出部
15 書込・読出制御部
16 送信制御部
21 GNSS受信部
31 撮像部
31L レンズ
32 符号化部
33 リングバッファ
34 A/D変換器
50 音声再生機器
101~104 音声出力装置
110 本体部