(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128227
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】紙葉類処理方法、及び、紙葉類処理装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/18 20190101AFI20230907BHJP
G07D 11/17 20190101ALI20230907BHJP
B65H 9/00 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
G07D11/18
G07D11/17
B65H9/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032430
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 奈緒
【テーマコード(参考)】
3E141
3F102
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141FA08
3E141FB01
3E141FC05
3E141FC07
3E141FG04
3E141FG11
3E141FG17
3E141FG18
3F102AA15
3F102AB03
3F102BA03
3F102BB06
(57)【要約】
【課題】長手搬送又は短手搬送の姿勢の紙葉類を収納する第1収納部に紙葉類を適切に収納することができる紙葉類処理方法を提供すること。
【解決手段】第1搬送部と、受入部と、第2搬送部と、第1収納部と、第2収納部と、第1搬送部と第2搬送部との間で紙葉類を第1方向に回転させて、当該紙葉類の姿勢を第1姿勢又は第2姿勢に変更する姿勢変更部と、を備える紙葉類処理装置が行う紙葉類処理方法であって、紙葉類処理装置は、第1収納部の収納状態に基づいて、受入部から第1搬送部に案内された紙葉類を、姿勢変更部及び第2収納部を経由させずに第1収納部に収納する第1収納処理、又は、受入部から第1搬送部に案内された紙葉類を、姿勢変更部を経由して第2収納部に収納し、第2収納部から姿勢変更部を経由させることにより第1方向に回転させて、第1収納部に収納する第2収納処理を、択一的に実施する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を、長手搬送の姿勢及び短手搬送の姿勢のうち一方の姿勢である第1姿勢で搬送する第1搬送部と、
紙葉類を前記第1姿勢で受け入れて前記第1搬送部に案内する受入部と、
紙葉類を、長手搬送の姿勢及び短手搬送の姿勢のうち他方の姿勢である第2姿勢で搬送する第2搬送部と、
前記第1搬送部により搬送される前記第1姿勢の紙葉類を収納する第1収納部と、
前記第2搬送部により搬送される前記第2姿勢の紙葉類を出し入れ可能な第2収納部と、
前記第1搬送部と前記第2搬送部との間で紙葉類を第1方向に回転させて、当該紙葉類の姿勢を前記第1姿勢又は前記第2姿勢に変更する姿勢変更部と、を備える紙葉類処理装置が行う紙葉類処理方法であって、
前記紙葉類処理装置は、
前記第1収納部の収納状態に基づいて、
前記受入部から前記第1搬送部に案内された紙葉類を、前記姿勢変更部及び前記第2収納部を経由させずに前記第1収納部に収納する第1収納処理、又は、
前記受入部から前記第1搬送部に案内された紙葉類を、前記姿勢変更部を経由して前記第2収納部に収納し、前記第2収納部から前記姿勢変更部を経由させることにより前記第1方向に回転させて、前記第1収納部に収納する第2収納処理を、択一的に実施する、
紙葉類処理方法。
【請求項2】
前記紙葉類処理装置は、
前記第1収納部内の複数の紙葉類により構成される収納体の前記紙葉類の肉厚部が含まれる部分と当該肉厚部が含まれない部分との厚さの差が、閾値以下である場合、前記第1収納処理を実施する一方で、前記閾値を超える場合、前記第2収納処理を実施する、
請求項1に記載の紙葉類処理方法。
【請求項3】
前記紙葉類処理装置は、
前記第1搬送部により前記第1姿勢で搬送中の紙葉類の向きを検知し、
前記第2収納処理を実施する場合、
前記第1収納部に収納された紙葉類に対して最も多く検知された前記搬送中の向きを判定基準向きとして決定し、
前記判定基準向きの決定後に検知された搬送中の向きが、前記判定基準向きの紙葉類を、前記姿勢変更部、前記第2収納部及び前記姿勢変更部を経由させて前記第1収納部に収納する一方で、前記判定基準向きでない紙葉類を、前記姿勢変更部及び前記第2収納部を経由させずに前記第1収納部に収納する、
請求項2に記載の紙葉類処理方法。
【請求項4】
前記紙葉類処理装置は、
前記第1搬送部により搬送される前記第1姿勢の紙葉類を一時的に収納する一時収納部を更に備え、
前記第2収納処理を実施する場合、
前記判定基準向きの紙葉類を、前記一時収納部に一時的に収納する一方で、前記判定基準向きでない紙葉類を、前記姿勢変更部及び前記第2収納部を経由させずに前記第1収納部に収納し、
前記受入部から前記第1搬送部に案内された全ての紙葉類が、前記一時収納部又は前記第1収納部に収納された後、前記一時収納部に収納された紙葉類を、前記姿勢変更部、前記第2収納部及び前記姿勢変更部を経由させて前記第1収納部に収納する、
請求項3に記載の紙葉類処理方法。
【請求項5】
紙葉類を、長手搬送の姿勢及び短手搬送の姿勢のうち一方の姿勢である第1姿勢で搬送する第1搬送部と、
紙葉類を、長手搬送の姿勢及び短手搬送の姿勢のうち他方の姿勢である第2姿勢で搬送する第2搬送部と、
前記第1搬送部により搬送される前記第1姿勢の紙葉類を収納する第1収納部と、
前記第2搬送部により搬送される前記第2姿勢の紙葉類を出し入れ可能な第2収納部と、
前記第1搬送部と前記第2搬送部との間で前記第2姿勢の紙葉類を第1方向又は前記第1方向と反対の第2方向に回転させて、当該紙葉類の姿勢を前記第1姿勢に変更する姿勢変更部と、を備える紙葉類処理装置が行う紙葉類処理方法であって、
前記紙葉類処理装置は、
前記第1収納部の収納状態に基づいて、前記第2収納部に収納された紙葉類を、前記姿勢変更部により前記第1方向に回転させて前記第1収納部に収納する第1収納処理、又は、
前記姿勢変更部により前記第2方向に回転させて前記第1収納部に収納する第2収納処理を、択一的に実施する、
紙葉類処理方法。
【請求項6】
前記紙葉類処理装置は、
前記第1収納部内の複数の紙葉類により構成される収納体の前記紙葉類の肉厚部が含まれる部分と当該肉厚部が含まれない部分との厚さの差が、閾値以下である場合、前記第1収納処理を実施する一方で、前記閾値を超える場合、前記第2収納処理を実施する、
請求項5に記載の紙葉類処理方法。
【請求項7】
前記紙葉類処理装置は、
前記第1搬送部により前記第1姿勢で搬送中の紙葉類の向きを検知し、
前記第2収納処理を実施する場合、
前記第1収納部に収納された紙葉類に対して最も多く検知された前記搬送中の向きを判定基準向きとして決定し、
前記判定基準向きの決定後に検知された搬送中の向きが、前記判定基準向きの紙葉類を、前記第2方向に回転させて前記第1収納部に収納する一方で、前記判定基準向きでない紙葉類を、前記第1方向に回転させて前記第1収納部に収納する、
請求項6に記載の紙葉類処理方法。
【請求項8】
前記紙葉類処理装置は、
前記第1収納部に収納された紙葉類の枚数が、設定枚数以下の場合、前記第1収納処理を実施する一方で、前記設定枚数を超える場合、前記第2収納処理を実施する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の紙葉類処理方法。
【請求項9】
紙葉類を、長手搬送の姿勢及び短手搬送の姿勢のうち一方の姿勢である第1姿勢で搬送する第1搬送部と、
紙葉類を前記第1姿勢で受け入れて前記第1搬送部に案内する受入部と、
紙葉類を、長手搬送の姿勢及び短手搬送の姿勢のうち他方の姿勢である第2姿勢で搬送する第2搬送部と、
前記第1搬送部により搬送される前記第1姿勢の紙葉類を収納する第1収納部と、
前記第2搬送部により搬送される前記第2姿勢の紙葉類を出し入れ可能な第2収納部と、
前記第1搬送部と前記第2搬送部との間で紙葉類を第1方向に回転させて、当該紙葉類の姿勢を前記第1姿勢又は前記第2姿勢に変更する姿勢変更部と、
前記第1収納部の収納状態を判定する収納状態判定部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記収納状態判定部により判定された前記第1収納部の収納状態に基づいて、
前記受入部から前記第1搬送部に案内された紙葉類を、前記姿勢変更部及び前記第2収納部を経由させずに前記第1収納部に収納する第1収納処理、又は、
前記受入部から前記第1搬送部に案内された紙葉類を、前記姿勢変更部を経由して前記第2収納部に収納し、前記第2収納部から前記姿勢変更部を経由させることにより前記第1方向に回転させて、前記第1収納部に収納する第2収納処理を、択一的に実施するように、前記第1搬送部、前記第2搬送部、前記第1収納部、前記第2収納部、及び、姿勢変更部を制御する、
紙葉類処理装置。
【請求項10】
前記収納状態判定部は、前記第1収納部内の複数の紙葉類により構成される収納体の前記紙葉類の肉厚部が含まれる部分と当該肉厚部が含まれない部分との厚さの差が、閾値以下であるか否かを判定し、
前記制御部は、厚さの差が前記閾値以下であると判定された場合、前記第1収納処理を実施する一方で、前記閾値を超えると判定された場合、前記第2収納処理を実施する、
請求項9に記載の紙葉類処理装置。
【請求項11】
前記第1搬送部により前記第1姿勢で搬送中の紙葉類の向きを検知する向き検知部を更に備え、
前記制御部は、前記第2収納処理を実施する場合、
前記第1収納部に収納された紙葉類に対して最も多く検知された前記搬送中の向きを判定基準向きとして決定し、
前記判定基準向きの決定後に検知された搬送中の向きが、前記判定基準向きの紙葉類を、前記姿勢変更部、前記第2収納部及び前記姿勢変更部を経由させて前記第1収納部に収納する一方で、前記判定基準向きでない紙葉類を、前記姿勢変更部及び前記第2収納部を経由させずに前記第1収納部に収納する、
請求項10に記載の紙葉類処理装置。
【請求項12】
前記第1搬送部により搬送される前記第1姿勢の紙葉類を一時的に収納する一時収納部を更に備え、
前記制御部は、前記第2収納処理を実施する場合、
前記判定基準向きの紙葉類を、前記一時収納部に一時的に収納する一方で、前記判定基準向きでない紙葉類を、前記姿勢変更部及び前記第2収納部を経由させずに前記第1収納部に収納し、
前記受入部から前記第1搬送部に案内された全ての紙葉類が、前記一時収納部又は前記第1収納部に収納された後、前記一時収納部に収納された紙葉類を、前記姿勢変更部、前記第2収納部及び前記姿勢変更部を経由させて前記第1収納部に収納する、
請求項11に記載の紙葉類処理装置。
【請求項13】
紙葉類を、長手搬送の姿勢及び短手搬送の姿勢のうち一方の姿勢である第1姿勢で搬送する第1搬送部と、
紙葉類を、長手搬送の姿勢及び短手搬送の姿勢のうち他方の姿勢である第2姿勢で搬送する第2搬送部と、
前記第1搬送部により搬送される前記第1姿勢の紙葉類を収納する第1収納部と、
前記第2搬送部により搬送される前記第2姿勢の紙葉類を出し入れ可能な第2収納部と、
前記第1搬送部と前記第2搬送部との間で前記第2姿勢の紙葉類を第1方向又は前記第1方向と反対の第2方向に回転させて、当該紙葉類の姿勢を前記第1姿勢に変更する姿勢変更部と、
前記第1収納部の収納状態を判定する収納状態判定部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記収納状態判定部により判定された前記第1収納部の収納状態に基づいて、前記第2収納部に収納された紙葉類を、前記姿勢変更部により前記第1方向に回転させて前記第1収納部に収納する第1収納処理、又は、
前記姿勢変更部により前記第2方向に回転させて前記第1収納部に収納する第2収納処理を、択一的に実施するように、前記第1搬送部、前記第2搬送部、前記第1収納部、前記第2収納部、及び、姿勢変更部を制御する、
紙葉類処理装置。
【請求項14】
前記収納状態判定部は、前記第1収納部内の複数の紙葉類により構成される収納体の前記紙葉類の肉厚部が含まれる部分と当該肉厚部が含まれない部分との厚さの差が、閾値以下であるか否かを判定し、
前記制御部は、厚さの差が前記閾値以下であると判定された場合、前記第1収納処理を実施する一方で、前記閾値を超えると判定された場合、前記第2収納処理を実施する、
請求項13に記載の紙葉類処理装置。
【請求項15】
前記第1搬送部により前記第1姿勢で搬送中の紙葉類の向きを検知する向き検知部を更に備え、
前記制御部は、前記第2収納処理を実施する場合、
前記第1収納部に収納された紙葉類に対して最も多く検知された前記搬送中の向きを判定基準向きとして決定し、
前記判定基準向きの決定後に検知された搬送中の向きが、前記判定基準向きの紙葉類を、前記第2方向に回転させて前記第1収納部に収納する一方で、前記判定基準向きでない紙葉類を、前記第1方向に回転させて前記第1収納部に収納する、
請求項14に記載の紙葉類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、紙葉類処理方法、及び、紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙葉類を長手搬送の姿勢で出し入れ可能な長手収納部と、紙葉類を短手搬送の姿勢で出し入れ可能な短手収納部と、長手収納部と短手収納部との間で搬送される紙葉類の姿勢を変更する姿勢変更部と、を備える紙葉類処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、紙葉類の中には、偽造防止等の目的で加工されることにより、所定部位の厚さが他の部位の厚さと異なる種類の紙葉類がある。このような紙幣が、長手収納部又は短手収納部に厚さが厚い肉厚部が重なるように収納されると、紙葉類の束の高さが当該束の面内で異なってしまうおそれがある。
【0005】
本開示は、長手搬送又は短手搬送の姿勢の紙葉類を収納する第1収納部に紙葉類を適切に収納することができる紙葉類処理方法、及び、紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る紙葉類処理方法は、紙葉類を、長手搬送の姿勢及び短手搬送の姿勢のうち一方の姿勢である第1姿勢で搬送する第1搬送部と、紙葉類を前記第1姿勢で受け入れて前記第1搬送部に案内する受入部と、紙葉類を、長手搬送の姿勢及び短手搬送の姿勢のうち他方の姿勢である第2姿勢で搬送する第2搬送部と、前記第1搬送部により搬送される前記第1姿勢の紙葉類を収納する第1収納部と、前記第2搬送部により搬送される前記第2姿勢の紙葉類を出し入れ可能な第2収納部と、前記第1搬送部と前記第2搬送部との間で紙葉類を第1方向に回転させて、当該紙葉類の姿勢を前記第1姿勢又は前記第2姿勢に変更する姿勢変更部と、を備える紙葉類処理装置が行う紙葉類処理方法であって、前記紙葉類処理装置は、前記第1収納部の収納状態に基づいて、前記受入部から前記第1搬送部に案内された紙葉類を、前記姿勢変更部及び前記第2収納部を経由させずに前記第1収納部に収納する第1収納処理、又は、前記受入部から前記第1搬送部に案内された紙葉類を、前記姿勢変更部を経由して前記第2収納部に収納し、前記第2収納部から前記姿勢変更部を経由させることにより前記第1方向に回転させて、前記第1収納部に収納する第2収納処理を、択一的に実施する。
【0007】
本開示に係る紙葉類処理方法において、前記紙葉類処理装置は、前記第1収納部内の複数の紙葉類により構成される収納体の前記紙葉類の肉厚部が含まれる部分と当該肉厚部が含まれない部分との厚さの差が、閾値以下である場合、前記第1収納処理を実施する一方で、前記閾値を超える場合、前記第2収納処理を実施しても良い。本開示に係る紙葉類処理方法において、前記紙葉類処理装置は、前記第1収納部内の複数の紙葉類により構成される収納体の最も厚い最厚部と最も薄い最薄部との厚さの差が、閾値以下である場合、前記第1収納処理を実施する一方で、前記閾値を超える場合、前記第2収納処理を実施しても良い。
【0008】
本開示に係る紙葉類処理方法において、前記紙葉類処理装置は、前記第1搬送部により前記第1姿勢で搬送中の紙葉類の向きを検知し、前記第2収納処理を実施する場合、前記第1収納部に収納された紙葉類に対して最も多く検知された前記搬送中の向きを判定基準向きとして決定し、前記判定基準向きの決定後に検知された搬送中の向きが、前記判定基準向きの紙葉類を、前記姿勢変更部、前記第2収納部及び前記姿勢変更部を経由させて前記第1収納部に収納する一方で、前記判定基準向きでない紙葉類を、前記姿勢変更部及び前記第2収納部を経由させずに前記第1収納部に収納しても良い。
【0009】
本開示に係る紙葉類処理方法において、前記紙葉類処理装置は、前記第1搬送部により搬送される前記第1姿勢の紙葉類を一時的に収納する一時収納部を更に備え、前記第2収納処理を実施する場合、前記判定基準向きの紙葉類を、前記一時収納部に一時的に収納する一方で、前記判定基準向きでない紙葉類を、前記姿勢変更部及び前記第2収納部を経由させずに前記第1収納部に収納し、前記受入部から前記第1搬送部に案内された全ての紙葉類が、前記一時収納部又は前記第1収納部に収納された後、前記一時収納部に収納された紙葉類を、前記姿勢変更部、前記第2収納部及び前記姿勢変更部を経由させて前記第1収納部に収納しても良い。
【0010】
本開示に係る紙葉類処理方法は、紙葉類を、長手搬送の姿勢及び短手搬送の姿勢のうち一方の姿勢である第1姿勢で搬送する第1搬送部と、紙葉類を、長手搬送の姿勢及び短手搬送の姿勢のうち他方の姿勢である第2姿勢で搬送する第2搬送部と、前記第1搬送部により搬送される前記第1姿勢の紙葉類を収納する第1収納部と、前記第2搬送部により搬送される前記第2姿勢の紙葉類を出し入れ可能な第2収納部と、前記第1搬送部と前記第2搬送部との間で前記第2姿勢の紙葉類を第1方向又は前記第1方向と反対の第2方向に回転させて、当該紙葉類の姿勢を前記第1姿勢に変更する姿勢変更部と、を備える紙葉類処理装置が行う紙葉類処理方法であって、前記紙葉類処理装置は、前記第1収納部の収納状態に基づいて、前記第2収納部に収納された紙葉類を、前記姿勢変更部により前記第1方向に回転させて前記第1収納部に収納する第1収納処理、又は、前記姿勢変更部により前記第2方向に回転させて前記第1収納部に収納する第2収納処理を、択一的に実施する。
【0011】
本開示に係る紙葉類処理方法において、前記紙葉類処理装置は、前記第1収納部内の複数の紙葉類により構成される収納体の前記紙葉類の肉厚部が含まれる部分と当該肉厚部が含まれない部分との厚さの差が、閾値以下である場合、前記第1収納処理を実施する一方で、前記閾値を超える場合、前記第2収納処理を実施しても良い。本開示に係る紙葉類処理方法において、前記紙葉類処理装置は、前記第1収納部内の複数の紙葉類により構成される収納体の最も厚い最厚部と最も薄い最薄部との厚さの差が、閾値以下である場合、前記第1収納処理を実施する一方で、前記閾値を超える場合、前記第2収納処理を実施しても良い。
【0012】
本開示に係る紙葉類処理方法において、前記紙葉類処理装置は、前記第1搬送部により前記第1姿勢で搬送中の紙葉類の向きを検知し、前記第2収納処理を実施する場合、前記第1収納部に収納された紙葉類に対して最も多く検知された前記搬送中の向きを判定基準向きとして決定し、前記判定基準向きの決定後に検知された搬送中の向きが、前記判定基準向きの紙葉類を、前記第2方向に回転させて前記第1収納部に収納する一方で、前記判定基準向きでない紙葉類を、前記第1方向に回転させて前記第1収納部に収納しても良い。
【0013】
本開示に係る紙葉類処理方法において、前記紙葉類処理装置は、前記第1収納部に収納された紙葉類の枚数が、設定枚数以下の場合、前記第1収納処理を実施する一方で、前記設定枚数を超える場合、前記第2収納処理を実施しても良い。
【0014】
本開示に係る紙葉類処理装置は、紙葉類を、長手搬送の姿勢及び短手搬送の姿勢のうち一方の姿勢である第1姿勢で搬送する第1搬送部と、紙葉類を前記第1姿勢で受け入れて前記第1搬送部に案内する受入部と、紙葉類を、長手搬送の姿勢及び短手搬送の姿勢のうち他方の姿勢である第2姿勢で搬送する第2搬送部と、前記第1搬送部により搬送される前記第1姿勢の紙葉類を収納する第1収納部と、前記第2搬送部により搬送される前記第2姿勢の紙葉類を出し入れ可能な第2収納部と、前記第1搬送部と前記第2搬送部との間で紙葉類を第1方向に回転させて、当該紙葉類の姿勢を前記第1姿勢又は前記第2姿勢に変更する姿勢変更部と、前記第1収納部の収納状態を判定する収納状態判定部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記収納状態判定部により判定された前記第1収納部の収納状態に基づいて、前記受入部から前記第1搬送部に案内された紙葉類を、前記姿勢変更部及び前記第2収納部を経由させずに前記第1収納部に収納する第1収納処理、又は、前記受入部から前記第1搬送部に案内された紙葉類を、前記姿勢変更部を経由して前記第2収納部に収納し、前記第2収納部から前記姿勢変更部を経由させることにより前記第1方向に回転させて、前記第1収納部に収納する第2収納処理を、択一的に実施するように、前記第1搬送部、前記第2搬送部、前記第1収納部、前記第2収納部、及び、姿勢変更部を制御する。
【0015】
本開示に係る紙葉類処理装置において、前記収納状態判定部は、前記第1収納部内の複数の紙葉類により構成される収納体の前記紙葉類の肉厚部が含まれる部分と当該肉厚部が含まれない部分との厚さの差が、閾値以下であるか否かを判定し、前記制御部は、厚さの差が前記閾値以下であると判定された場合、前記第1収納処理を実施する一方で、前記閾値を超えると判定された場合、前記第2収納処理を実施しても良い。本開示に係る紙葉類処理装置において、前記収納状態判定部は、前記第1収納部内の複数の紙葉類により構成される収納体の最も厚い最厚部と最も薄い最薄部との厚さの差が、閾値以下であるか否かを判定し、前記制御部は、厚さの差が前記閾値以下であると判定された場合、前記第1収納処理を実施する一方で、前記閾値を超えると判定された場合、前記第2収納処理を実施しても良い。
【0016】
本開示に係る紙葉類処理装置において、前記第1搬送部により前記第1姿勢で搬送中の紙葉類の向きを検知する向き検知部を更に備え、前記制御部は、前記第2収納処理を実施する場合、前記第1収納部に収納された紙葉類に対して最も多く検知された前記搬送中の向きを判定基準向きとして決定し、前記判定基準向きの決定後に検知された搬送中の向きが、前記判定基準向きの紙葉類を、前記姿勢変更部、前記第2収納部及び前記姿勢変更部を経由させて前記第1収納部に収納する一方で、前記判定基準向きでない紙葉類を、前記姿勢変更部及び前記第2収納部を経由させずに前記第1収納部に収納しても良い。
【0017】
本開示に係る紙葉類処理装置において、前記第1搬送部により搬送される前記第1姿勢の紙葉類を一時的に収納する一時収納部を更に備え、前記制御部は、前記第2収納処理を実施する場合、前記判定基準向きの紙葉類を、前記一時収納部に一時的に収納する一方で、前記判定基準向きでない紙葉類を、前記姿勢変更部及び前記第2収納部を経由させずに前記第1収納部に収納し、前記受入部から前記第1搬送部に案内された全ての紙葉類が、前記一時収納部又は前記第1収納部に収納された後、前記一時収納部に収納された紙葉類を、前記姿勢変更部、前記第2収納部及び前記姿勢変更部を経由させて前記第1収納部に収納しても良い。
【0018】
本開示に係る紙葉類処理装置は、紙葉類を、長手搬送の姿勢及び短手搬送の姿勢のうち一方の姿勢である第1姿勢で搬送する第1搬送部と、紙葉類を、長手搬送の姿勢及び短手搬送の姿勢のうち他方の姿勢である第2姿勢で搬送する第2搬送部と、前記第1搬送部により搬送される前記第1姿勢の紙葉類を収納する第1収納部と、前記第2搬送部により搬送される前記第2姿勢の紙葉類を出し入れ可能な第2収納部と、前記第1搬送部と前記第2搬送部との間で前記第2姿勢の紙葉類を第1方向又は前記第1方向と反対の第2方向に回転させて、当該紙葉類の姿勢を前記第1姿勢に変更する姿勢変更部と、前記第1収納部の収納状態を判定する収納状態判定部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記収納状態判定部により判定された前記第1収納部の収納状態に基づいて、前記第2収納部に収納された紙葉類を、前記姿勢変更部により前記第1方向に回転させて前記第1収納部に収納する第1収納処理、又は、前記姿勢変更部により前記第2方向に回転させて前記第1収納部に収納する第2収納処理を、択一的に実施するように、前記第1搬送部、前記第2搬送部、前記第1収納部、前記第2収納部、及び、姿勢変更部を制御する。
【0019】
本開示に係る紙葉類処理装置において、前記収納状態判定部は、前記第1収納部内の複数の紙葉類により構成される収納体の前記紙葉類の肉厚部が含まれる部分と当該肉厚部が含まれない部分との厚さの差が、閾値以下であるか否かを判定し、前記制御部は、厚さの差が前記閾値以下であると判定された場合、前記第1収納処理を実施する一方で、前記閾値を超えると判定された場合、前記第2収納処理を実施しても良い。本開示に係る紙葉類処理装置において、前記収納状態判定部は、前記第1収納部内の複数の紙葉類により構成される収納体の最も厚い最厚部と最も薄い最薄部との厚さの差が、閾値以下であるか否かを判定し、前記制御部は、厚さの差が前記閾値以下であると判定された場合、前記第1収納処理を実施する一方で、前記閾値を超えると判定された場合、前記第2収納処理を実施しても良い。
【0020】
本開示に係る紙葉類処理装置において、前記第1搬送部により前記第1姿勢で搬送中の紙葉類の向きを検知する向き検知部を更に備え、前記制御部は、前記第2収納処理を実施する場合、前記第1収納部に収納された紙葉類に対して最も多く検知された前記搬送中の向きを判定基準向きとして決定し、前記判定基準向きの決定後に検知された搬送中の向きが、前記判定基準向きの紙葉類を、前記第2方向に回転させて前記第1収納部に収納する一方で、前記判定基準向きでない紙葉類を、前記第1方向に回転させて前記第1収納部に収納しても良い。
【0021】
本開示に係る紙葉類処理装置において、前記収納状態判定部は、前記第1収納部に収納された紙葉類の枚数が設定枚数以下であるか否かを判定し、前記制御部は、前記第1収納部に収納された紙葉類の枚数が前記設定枚数以下であると判定された場合、前記第1収納処理を実施する一方で、前記設定枚数を超えると判定された場合、前記第2収納処理を実施しても良い。
【発明の効果】
【0022】
本開示の紙葉類処理方法、及び、紙葉類処理装置によれば、長手搬送又は短手搬送の姿勢の紙葉類を収納する第1収納部に紙葉類を適切に収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】実施形態に係る短手搬送時における紙葉類の向きの説明図
【
図3】実施形態に係る長手搬送時における紙葉類の向きの説明図
【
図4】第1実施形態に係る紙葉類処理装置の概略構成を示すブロック図
【
図5】第1実施形態に係る受入部により受け入れられた紙葉類の第1収納部への収納処理を示すフローチャート
【
図7】第2実施形態に係る紙葉類処理装置の概略構成を示すブロック図
【
図8】第2実施形態に係る第2収納部内の紙葉類の第1収納部への収納処理を示すフローチャート
【
図10】第3,第4実施形態に係る紙葉類処理装置の概略構成を示す模式図
【
図11A】第3,第4実施形態に係る第1収納処理の説明図
【
図11B】第3,第4実施形態に係る第2収納処理の説明図
【
図12】第3,第4実施形態に係る紙葉類処理装置の制御系を示すブロック図
【
図13】第3実施形態に係る入金部から入金された紙葉類のリサイクル収納部へ収納処理を示すフローチャート
【
図14】第3実施形態に係る入金部から入金された紙葉類のリサイクル収納部へ収納処理を示すフローチャート
【
図15】第3,第4実施形態に係る入金部から入金された紙葉類のリサイクル収納部へ収納処理を示すフローチャート
【
図16】第4実施形態に係る入金部から入金された紙葉類のリサイクル収納部へ収納処理を示すフローチャート
【
図17】第4実施形態に係る入金部から入金された紙葉類のリサイクル収納部へ収納処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0024】
[実施形態]
以下、本開示の実施形態について説明する。
【0025】
<紙葉類の構成>
まず、本実施形態の紙葉類処理装置により処理される紙葉類の構成について説明する。
図1は、紙葉類の構成を示す模式図である。
【0026】
図1に示される紙葉類Pは、長方形に形成された紙幣である。本実施形態において、長辺Paに沿う方向を、紙葉類Pの左右方向と言い、短辺Pbに沿う方向を、紙葉類Pの天地方向と言う。天地方向のうちの天側は、紙葉類Pの表面Pcに描かれた肖像画等の上下方向のうち上側であり、地側は、天側の逆側である。紙葉類Pの左右方向のうちの左側は、紙葉類Pを表面Pc側から天側が上方に位置するように見た場合の左側であり、右側は、左側の逆側である。
【0027】
紙葉類Pにおける予め決められた一部の部位には、他の部位(肉薄部)Pyよりも厚い肉厚部Pxが形成されている。肉厚部Pxを厚くする目的としては、偽造防止を例示することができる。肉厚部Pxは、エンボス加工等の加工により厚くなっていても良いし、ICタグ又は薄膜等の他の部材が取り付けられることにより厚くなっていても良い。側面視における肉厚部Pxが肉薄部Pyよりも突出する方向は、表面Pc側のみ又は裏面Pd側のみであっても良いし、表面Pc側及び裏面Pd側の両方であっても良い。平面視における肉厚部Pxの形状は、四角形でも良いし、他の形状であっても良い。肉厚部Pxは、1箇所に存在していても良いし、複数箇所に存在していても良い。本実施形態では、紙葉類Pの表面Pcにおける天側且つ左側に肉厚部Pxが存在する場合を例示する。
【0028】
<短手搬送時における紙葉類の向き>
次に、本実施形態の短手搬送時における紙葉類Pの向きについて説明する。短手搬送とは、長辺Paが搬送方向前方に位置するように、紙葉類Pを搬送することである。
図2は、短手搬送時における紙葉類の向きの説明図である。
【0029】
図2に示されるように、短手搬送時における紙葉類Pの向きには、Aパターン、Bパターン、Cパターン、及び、Dパターンの向きがある。Aパターンの向きは、表面Pcが上を向いた状態で、天側が搬送方向前方に位置する向きである。Bパターンの向きは、表面Pcが上を向いた状態で、地側が搬送方向前方に位置する向きである。Cパターンの向きは、裏面Pdが上を向いた状態で、地側が搬送方向前方に位置する向きである。Dパターンの向きは、裏面Pdが上を向いた状態で、天側が搬送方向前方に位置する向きである。
【0030】
<長手搬送時における紙葉類の向き>
次に、本実施形態の長手搬送時における紙葉類Pの向きについて説明する。長手搬送とは、短辺Pbが搬送方向前方に位置するように、紙葉類Pを搬送することである。
図3は、長手搬送時における紙葉類の向きの説明図である。
【0031】
図3に示されるように、長手搬送時における紙葉類Pの向きには、Eパターン、Fパターン、Gパターン、及び、Hパターンの向きがある。Eパターンの向きは、表面Pcが上を向いた状態で、右側が搬送方向前方に位置する向きである。Fパターンの向きは、表面Pcが上を向いた状態で、左側が搬送方向前方に位置する向きである。Gパターンの向きは、裏面Pdが上を向いた状態で、右側が搬送方向前方に位置する向きである。Hパターンの向きは、裏面Pdが上を向いた状態で、左側が搬送方向前方に位置する向きである。
【0032】
<第1実施形態>
次に、本開示の第1実施形態について説明する。
【0033】
<紙葉類処理装置の構成>
まず、紙葉類処理装置の構成について説明する。
図4は、紙葉類処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【0034】
図4に示される紙葉類処理装置1は、第1搬送部11と、受入部12と、第2搬送部13と、第1収納部14と、第2収納部15と、姿勢変更部16と、収納状態判定部17と、制御部18と、を備える。
【0035】
第1搬送部11は、長方形の紙葉類Pを、長手搬送の姿勢及び短手搬送の姿勢のうち一方の姿勢である第1姿勢で搬送する。受入部12は、紙葉類Pを、紙葉類処理装置1の外部から第1姿勢で受け入れて、第1搬送部11に案内する。第2搬送部13は、紙葉類Pを、長手搬送の姿勢及び短手搬送の姿勢のうち他方の姿勢である第2姿勢で搬送する。第1,第2実施形態では、第1姿勢が短手搬送の姿勢であり、第2姿勢が長手搬送の姿勢である場合を例示して説明するが、第1姿勢が長手搬送の姿勢であり、第2姿勢が短手搬送の姿勢であっても良い。
【0036】
第1収納部14は、第1搬送部11により第1姿勢で搬送される紙葉類Pを、第1姿勢のままで収納する。第1収納部14は、収納された紙葉類Pを、向きを変えずに収納方向とは逆の方向に排出する。第2収納部15は、第2搬送部13により第2姿勢で搬送される紙葉類Pを、第2姿勢のままで収納する。第2収納部15は、収納された紙葉類Pを、向きを変えずに収納方向とは逆の方向に排出する。
【0037】
第1収納部14及び第2収納部15は、複数の紙葉類Pが回転体に巻き取られた状態で収納される巻き取り式の収納ユニットにより構成されても良いし、複数の紙葉類Pが積層状態で収納される積層式の収納ユニットにより構成されても良い。第1収納部14及び第2収納部15の収納方式(巻き取り式、又は、積層式)は、同じであっても良いし、異なっていても良い。第1収納部14及び第2収納部15のうち少なくとも一方は、紙葉類処理装置1から着脱できるように構成されていても良い。第1,第2実施形態では、第1収納部14がリサイクル可能な紙葉類Pを収納するリサイクル収納部であり、第2収納部15が釣銭機等の他の紙葉類処理装置との間で紙葉類Pを移動させるための着脱式収納部である場合を例示して説明するが、第1収納部14が着脱式収納部であり、第2収納部15がリサイクル収納部であっても良い。
【0038】
姿勢変更部16は、第1搬送部11と第2搬送部13との間に配置され、第1搬送部11及び第2搬送部13のうち一方の搬送部により搬送された紙葉類Pを、第1方向D1(
図6B参照)に90°回転させる。姿勢変更部16は、紙葉類Pの主面に直交する軸を中心にして、紙葉類Pを回転させる。姿勢変更部16は、紙葉類Pの中心を通る軸を中心にして、紙葉類Pを回転させることが好ましい。
【0039】
収納状態判定部17は、第1収納部14における紙葉類Pの収納状態が所定基準を満たすか否かを判定する。所定基準としては、第1収納部14内の複数の紙葉類Pにより構成される収納体の最も厚い最厚部と最も薄い最薄部との厚さの差が閾値以下であること、又は、第1収納部14に収納された紙葉類Pの枚数が設定枚数以下であることを例示することができる。なお、収納体とは、第1収納部14が巻き取り式の場合には、ロール状の紙葉類Pの巻回物を意味し、第1収納部14が積層式の場合には、紙葉類Pの束を意味する。
【0040】
制御部18は、収納状態判定部17における判定結果に基づいて、受入部12により受け入れられた紙葉類Pを第1収納部14へ搬送するに際し、第1収納処理又は第2収納処理を行うように、第1搬送部11、第2搬送部13、第1収納部14、第2収納部15、及び、姿勢変更部16を制御する。第1収納処理及び第2収納処理の詳細については、後述する。
【0041】
<紙葉類処理装置の動作>
次に、紙葉類処理装置1の動作について説明する。第1実施形態の紙葉類処理装置1は、「受入部12により受け入れられた紙葉類Pの第1収納部14への収納処理」、「第2収納部15内の紙葉類Pの第1収納部14への収納処理」、及び、「第1収納部14内の紙葉類Pの第2収納部15への収納処理」を実施することができる。以下、「受入部12により受け入れられた紙葉類Pの第1収納部14への収納処理」について詳細に説明し、それ以外の処理については簡単に説明する。
図5は、受入部により受け入れられた紙葉類の第1収納部への収納処理を示すフローチャートである。
図6Aは、第1収納処理の説明図である。
図6Bは、第2収納処理の説明図である。
【0042】
<受入部により受け入れられた紙葉類の第1収納部への収納処理>
図5に示されるように、受入部12は、ユーザにより持ち込まれた複数枚の紙葉類Pを、第1姿勢で1枚ずつ受け入れる(ステップS1)。制御部18は、第1搬送部11を制御して、紙葉類Pを第1姿勢で搬送する。一方、収納状態判定部17は、第1収納部14における紙葉類Pの収納状態が、所定基準を満たすか否かを判定する(ステップS2)。
【0043】
制御部18は、収納状態判定部17により第1収納部14の収納状態が所定基準を満たすと判定された場合(ステップS2:YES)、第1収納処理を実施する(ステップS3)。ステップS3の第1収納処理において、制御部18は、第1搬送部11及び第1収納部14を制御して、
図6Aに示されるように、受入部12から第1搬送部11に案内された紙葉類Pを、姿勢変更部16及び第2収納部15を経由させずに、第1向き(第1姿勢)で第1収納部14に収納する。
【0044】
一方、
図5に示されるように、制御部18は、収納状態判定部17により第1収納部14の収納状態が所定基準を満たさないと判定された場合(ステップS2:NO)、第2収納処理を実施する(ステップS4)。ステップS4の第2収納処理において、制御部18は、第1搬送部11、第2搬送部13、第1収納部14、第2収納部15、及び、姿勢変更部16を制御して、
図6Bに示されるように、受入部12から第1搬送部11に案内された紙葉類Pを、姿勢変更部16、第2収納部15及び姿勢変更部16を経由させて、2回、第1方向D1に90°回転させることにより、第1向きと異なる第2向き(第1姿勢)で第1収納部14に収納する。なお、本開示において、第1向きがAパターン、Bパターン、Cパターン、Dパターン、Eパターン、Fパターン、Gパターン、又は、Hパターンの向きの場合、第2向きは、それぞれ、Bパターン、Aパターン、Dパターン、Cパターン、Fパターン、Eパターン、Hパターン、又は、Gパターンの向きである。
【0045】
図5に示されるように、制御部18は、ステップS3の第1収納処理、又は、ステップS4の第2収納処理を実施すると、受入部12により受け入れられた全ての紙葉類Pを第1収納部14に収納したか否かを判定する(ステップS5)。制御部18は、全ての紙葉類Pを第1収納部14に収納していないと判定した場合(ステップS5:NO)、ステップS2の処理を実施する。一方、制御部18は、全ての紙葉類Pを第1収納部14に収納したと判定した場合(ステップS5:YES)、処理を終了する。
【0046】
ここで、収納状態判定部17により第1収納部14の収納状態が所定基準を満たすか否かを判定せずに、
図6Aに示される第1収納処理のみを実施する構成にすると、例えば、受入部12により受け入れられた全ての紙葉類Pの向きがBパターンの向きの場合、全ての紙葉類PがBパターンの向き(第1向き)で第1収納部14に収納される。この場合、第1収納部14において、全ての紙葉類Pの肉厚部Pxが重なるため、収納体の最厚部と最薄部との厚さの差、つまり収納体の肉厚部Pxが含まれる部位と肉厚部Pxが含まれない部位との差が大きくなってしまうおそれがある。
【0047】
これに対し、第1実施形態では、制御部18は、第1収納部14の収納状態が所定基準を満たすか否かに基づいて、
図6Aに示される第1収納処理、又は、
図6Bに示される第2収納処理を択一的に実施する。このため、例えば、受入部12により受け入れられた全ての紙葉類Pの向きがBパターンの向きの場合、第1収納処理により搬送された紙葉類Pは、Bパターンの向き(第1向き)で第1収納部14に収納されるが、第2収納処理により搬送された紙葉類Pは、Aパターンの向き(第2向き)で第1収納部14に収納される。このため、第1収納部14内において、全ての紙葉類Pの肉厚部Pxが重なることを抑制することができる。したがって、紙葉類処理装置1は、収納体の最厚部と最薄部との厚さの差が大きくなることを抑制することができ、第1収納部14に紙葉類Pを適切に収納することができる。
【0048】
<第2収納部内の紙葉類の第1収納部への収納処理>
第2収納部15は、制御部18の制御に基づいて、当該第2収納部15内の複数枚の紙葉類Pを、第2姿勢で1枚ずつ排出する。制御部18は、第2搬送部13及び姿勢変更部16を制御して、紙葉類Pを第2姿勢で搬送し、第1方向D1に90°回転させる。そして、制御部18は、第1搬送部11及び第1収納部14を制御して、第2姿勢から第1姿勢に変換された紙葉類Pを第1収納部14に収納する。制御部18は、第2収納部15から排出された全ての紙葉類Pを第1収納部14に収納するまで、上述された処理を繰り返す。
【0049】
<第1収納部内の紙葉類の第2収納部への収納処理>
第1収納部14は、制御部18の制御に基づいて、当該第1収納部14内の複数枚の紙葉類Pを、第2姿勢で1枚ずつ排出する。制御部18は、第1搬送部11及び姿勢変更部16を制御して、紙葉類Pを第1姿勢で搬送し、第1方向D1に90°回転させる。そして、制御部18は、第2搬送部13及び第2収納部15を制御して、第1姿勢から第2姿勢に変換された紙葉類Pを第2収納部15に収納する。制御部18は、第1収納部14から排出された全ての紙葉類Pを第2収納部15に収納するまで、上述された処理を繰り返す。
【0050】
<第2実施形態>
次に、本開示の第2実施形態について説明する。
【0051】
<紙葉類処理装置の構成>
まず、紙葉類処理装置の構成について説明する。なお、第1実施形態の紙葉類処理装置1と同一の構成については、同一名称及び同一符号を付し、説明を省略する。
図7は、紙葉類処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【0052】
図7に示される紙葉類処理装置1Aは、第1搬送部11と、第2搬送部13と、第1収納部14と、第2収納部15と、姿勢変更部16Aと、収納状態判定部17と、制御部18Aと、を備える。
【0053】
姿勢変更部16Aは、第1搬送部11と第2搬送部13との間に配置され、第1搬送部11及び第2搬送部13のうち一方の搬送部により搬送された紙葉類Pを、第1方向D1(
図9A参照)又は第2方向(
図9B参照)に90°回転させる。
【0054】
制御部18Aは、収納状態判定部17における判定結果に基づいて、第2収納部15から排出された紙葉類Pを第1収納部14へ搬送するに際し、第1収納処理又は第2収納処理を行うように、第1搬送部11、第2搬送部13、第1収納部14、第2収納部15、及び、姿勢変更部16Aを制御する。第1収納処理及び第2収納処理の詳細については、後述する。
【0055】
<紙葉類処理装置の動作>
次に、紙葉類処理装置1Aの動作として、第2収納部15内の紙葉類Pの第1収納部14への収納処理について説明する。
図8は、第2収納部内の紙葉類の第1収納部への収納処理を示すフローチャートである。
図9Aは、第1収納処理の説明図である。
図9Bは、第2収納処理の説明図である。
【0056】
<受入部により受け入れられた紙葉類の第1収納部への収納処理>
図8に示されるように、第2収納部15は、制御部18Aの制御に基づいて、当該第2収納部15内の複数枚の紙葉類Pを、第2姿勢で1枚ずつ排出する(ステップS11)。制御部18Aは、第2搬送部13を制御して、紙葉類Pを第2姿勢で搬送する。収納状態判定部17は、第1収納部14における紙葉類Pの収納状態が、所定基準を満たすか否かを判定する(ステップS12)。所定基準としては、第1実施形態で例示された条件と同じ条件を例示することができる。
【0057】
制御部18Aは、収納状態判定部17により第1収納部14の収納状態が所定基準を満たすと判定された場合(ステップS12:YES)、第1収納処理を実施する(ステップS13)。ステップS13の第1収納処理において、制御部18Aは、第1搬送部11、第1収納部14、及び、姿勢変更部16Aを制御して、
図9Aに示されるように、第2収納部15から排出された紙葉類Pを、第1方向D1に90°回転させた第1向き(第1姿勢)で第1収納部14に収納する。
【0058】
一方、
図8に示されるように、制御部18Aは、第1収納部14の収納状態が所定基準を満たさないと判定された場合(ステップS12:NO)、第2収納処理を実施する(ステップS14)。ステップS14の第2収納処理において、制御部18Aは、第1搬送部11、第1収納部14、及び、姿勢変更部16Aを制御して、
図9Bに示されるように、第2収納部15から排出された紙葉類Pを、第1方向D1と反対の第2方向D2に90°回転させた第2向き(第1姿勢)で第1収納部14に収納する。
【0059】
図8に示されるように、制御部18Aは、ステップS13の第1収納処理、又は、ステップS14の第2収納処理を実施すると、第2収納部15から排出された全ての紙葉類Pを第1収納部14に収納したか否かを判定する(ステップS15)。制御部18Aは、全ての紙葉類Pを第1収納部14に収納していないと判定した場合(ステップS15:NO)、ステップS12の処理を実施する。一方、制御部18Aは、全ての紙葉類Pを第1収納部14に収納したと判定した場合(ステップS15:YES)、処理を終了する。
【0060】
ここで、収納状態判定部17により第1収納部14の収納状態が所定基準を満たすか否かを判定せずに、
図9Aに示される第1収納処理のみを実施する構成にすると、例えば、第2収納部15から排出された全ての紙葉類Pの向きがEパターンの向きの場合、全ての紙葉類PがAパターンの向き(第1向き)で第1収納部14に収納される。この場合、第1収納部14において、全ての紙葉類Pの肉厚部Pxが重なるため、収納体の最厚部と最薄部との厚さの差、つまり収納体の肉厚部Pxが含まれる部位と肉厚部Pxが含まれない部位との差が大きくなってしまうおそれがある。
【0061】
これに対し、第2実施形態では、制御部18Aは、第1収納部14の収納状態が所定基準を満たすか否かに基づいて、
図9Aに示される第1収納処理、又は、
図9Bに示される第2収納処理を択一的に実施する。このため、例えば、第2収納部15から排出された全ての紙葉類Pの向きがEパターンの向きの場合、第1収納処理により搬送された紙葉類Pは、Aパターンの向き(第1向き)で第1収納部14に収納されるが、第2収納処理により搬送された紙葉類Pは、Bパターンの向き(第2向き)で第1収納部14に収納される。このため、第1収納部14内において、全ての紙葉類Pの肉厚部Pxが重なることを抑制することができる。したがって、紙葉類処理装置1Aは、収納体の最厚部と最薄部との厚さの差が大きくなることを抑制することができ、第1収納部14に紙葉類Pを適切に収納することができる。
【0062】
<第3実施形態>
次に、本開示の第3実施形態について説明する。
【0063】
<紙葉類処理装置の構成>
まず、紙葉類処理装置の構成について説明する。
図10は、紙葉類処理装置の概略構成を示す模式図である。
図11Aは、第1収納処理の説明図である。
図11Bは、第2収納処理の説明図である。
図12は、紙葉類処理装置の制御系を示すブロック図である。なお、以下において、前側とは、紙葉類処理装置のユーザが対面する側であり、後側とは、前側の逆側である。また、右側とは、紙葉類処理装置に対面するユーザから見て右側であり、左側とは右側の逆側である。上側とは、紙葉類処理装置を水平面上に設置した場合の上側であり、下側とは上側の逆側である。
【0064】
図10に示される紙葉類処理装置2は、例えば、店舗、又は、銀行のバックオフィスに設置されている。紙葉類処理装置2は、店舗等のチェックアウトカウンタに設置された釣銭機等へ装填するための釣銭準備金を出金し、あるいは、当該釣銭機から回収した売上金を入金する。紙葉類処理装置2は、紙葉類搬送カセット20と、上部の処理部21と、下部の金庫部22と、を備える。
【0065】
紙葉類搬送カセット20は、紙葉類処理装置2と釣銭機との間における紙葉類Pの移動に利用される。紙葉類搬送カセット20は、本開示の第2収納部の一例である。紙葉類搬送カセット20は、長手搬送の姿勢で紙葉類Pを排出するための繰出機構と、長手搬送の姿勢で搬送される紙葉類Pを収納するための収納機構と、これらの機構を駆動するためのモータと、を有する。長手搬送の姿勢は、本開示の第2姿勢の一例である。
【0066】
処理部21は、上部筐体210を備える。上部筐体210の内部には、入金部211、出金部212、一時保留部213、識別部214、カセット装着部215、入出金部216、姿勢変更部217、上側搬送部23、制御部24が配置されている。
【0067】
入金部211は、本開示の受入部の一例である。入金部211は、重ねられた複数枚の紙葉類Pを、短手搬送の姿勢で1枚ずつ取り込む(受け入れる)ための繰出機構を有する。短手搬送の姿勢は、本開示の第1姿勢の一例である。
【0068】
出金部212は、例えば出金処理の際に、金庫部22から出金される紙葉類Pが搬送される部分である。
【0069】
一時保留部213は、本開示の一時収納部の一例である。一時保留部213は、例えば入金処理の際に、入金対象の紙葉類Pを一時的に収納する。一時保留部213は、収納した紙葉類Pを繰り出すことができる。一時保留部213は、巻き取り式の収納ユニットにより構成されている。
【0070】
識別部214は、上側搬送部23の第1搬送路281に配置されている。識別部214は、周知の方法を用いて、紙葉類Pの金種及び正損を識別する。識別部214は、第1搬送路281上の紙葉類Pの向きが、Aパターン、Bパターン、Cパターン、及び、Dパターンの向きのうち、いずれの向きであるかを検知する向き検出部としても機能する。識別部214は、紙葉類Pの肉厚部Pxの位置、又は、肖像画等の向きに基づいて、紙葉類Pの向きを検知しても良い。識別部214は、真偽判定結果、金種及び正損の識別結果、並びに、紙葉類Pの向きの検知結果を制御部24へ送信する。なお、識別部214を向き検知部として機能させずに、紙葉類Pの向きの検知処理のみを行う向き検知部を配置しても良い。
【0071】
カセット装着部215は、紙葉類搬送カセット20が装着できるように構成されている。カセット装着部215に紙葉類搬送カセット20が装着されると、制御部24によって紙葉類搬送カセット20を制御できるようになる。
【0072】
入出金部216は、カセット装着部215に装着された紙葉類搬送カセット20から排出される長手搬送の姿勢の紙葉類Pを受け入れて、姿勢を変更せずに上側搬送部23に搬送するための開口を有する。入出金部216の開口は、上側搬送部23から長手搬送される紙葉類Pを、その姿勢を変更せずに紙葉類搬送カセット20に搬送するための開口でもある。
【0073】
姿勢変更部217は、上側搬送部23の第3搬送路283に配置されている。姿勢変更部217は、入出金部216から識別部214に向けて搬送中の紙葉類Pを第1方向D1(
図11B参照)に90°回転させて、長手搬送の姿勢から、短手搬送の姿勢に変更する。姿勢変更部217は、識別部214から入出金部216に向けて搬送中の紙葉類Pを第1方向D1に90°回転させて、短手搬送の姿勢から、長手搬送の姿勢に変更する。姿勢変更部217としては、第3搬送路283の幅方向に並ぶ一対の搬送ローラであって、紙葉類Pを第3搬送路283に沿う方向へ搬送するための一対の搬送ローラを備え、当該一対の搬送ローラの回転速度を異ならせることにより、紙葉類Pの姿勢を変更する構成を例示することができる。また、姿勢変更部217として、特開2021-149754号公報に開示された構成を適用しても良い。
【0074】
制御部24は、紙葉類処理装置2を統括制御する。制御部24は、CPU(Central Processing Unit)を有し、紙葉類処理装置2の図示されないメモリに保存された紙葉類処理プログラムをCPUが実行することにより、制御部24の機能を実現する。制御部24の具体的な処理については後述する。
【0075】
金庫部22には、収納部25、回収部26、及び、下側搬送部27が配置されている。
【0076】
収納部25は、多目的収納部251と、3個のリサイクル収納部252を備える。各収納部251,252は、積層式の収納ユニットにより構成されている。各収納部251,252は、短手搬送の紙葉類Pを1枚ずつ取り込んで収納し、収納した紙幣を短手搬送の姿勢で1枚ずつ繰り出す。
【0077】
多目的収納部251は、本開示の一時収納部の一例である。多目的収納部251は、様々な用途に利用される。
【0078】
各リサイクル収納部252は、本開示の第1収納部の一例である。各リサイクル収納部252にそれぞれ収納される金種は、予め設定されている。なお、リサイクル収納部252の個数は、3個に限定されず、2個以下であっても良いし、4個以上であっても良い。
【0079】
回収部26は、例えば入金処理の際に、回収対象の紙葉類Pが搬送される部分である。回収対象の紙葉類Pは、例えば、正券の高額貨幣又は損券である。
【0080】
上側搬送部23及び下側搬送部27は、搬送部28を構成している。搬送部28は、紙葉類処理装置2内で、紙葉類Pと紙葉類Pとの間に適宜の間隔を空けて、紙葉類Pを一枚ずつ搬送する。
【0081】
上側搬送部23は、第1搬送路281、第2搬送路282、第3搬送路283、第4搬送路284、第5搬送路285、第6搬送路286、第7搬送路287、及び、第8搬送路288を有する。
【0082】
第1搬送路281は、ループ状に構成されている。第1搬送路281は、前後に延びる上側路281Aと、上側路281Aの下方において前後に延びる下側路281Bと、前側において上側路281Aと下側路281Bとを接続する前反転路281Cと、後ろ側において上側路281Aと下側路281Bとを接続する後反転路281Dと、を備える。上側路281Aには、識別部214が配置されている。
【0083】
第2搬送路282は、上側路281Aにおける識別部214よりも前側の位置と、入金部211とを接続する。第3搬送路283は、上側路281Aにおける第2搬送路282との接続位置よりも後側、且つ、識別部214よりも前側の位置と、入出金部216とを接続する。第3搬送路283には、姿勢変更部217が設けられている。第4搬送路284は、上側路281Aにおける第2搬送路282との接続位置よりも前側の位置と、出金部212とを接続する。第5搬送路285は、前反転路281Cと、一時保留部213とを接続する。第6搬送路286、第7搬送路287及び第8搬送路288は、それぞれ下側路281Bと下側搬送部27とを接続する。
【0084】
下側搬送部27は、第9搬送路289、第10搬送路290、及び、第11搬送路291を有する。第9搬送路289は、第6搬送路286と、多目的収納部251とを接続する。第10搬送路290は、第7搬送路287と、回収部26とを接続する。第11搬送路291は、第8搬送路288と、各リサイクル収納部252とを接続する。
【0085】
搬送部28の各部には、図示は省略するが、紙幣の通過を検知する通過センサが配置されている。搬送部28は、制御部24からの指令を受けると、通過センサの検知信号に基づいて、紙葉類Pを、所定の搬送先に搬送する。
【0086】
上述された第1搬送路281~第13搬送路293のうち、第3搬送路283における姿勢変更部217よりも入出金部216側の部位は、紙葉類Pを長手搬送する第2搬送部28B(
図12参照)を構成する。第3搬送路283における姿勢変更部217よりも第1搬送路281側の部位、及び、第1,第2,第4~第13搬送路281,282,284~293は、紙葉類Pを短手搬送する第1搬送部28A(
図12参照)を構成する。
【0087】
第1搬送部28A及び識別部214は、入金部211から短手搬送の姿勢で入金された紙葉類Pの天地方向(紙葉類Pの上下方向)及び表裏の向きと、識別部214により検知される紙葉類Pの天地方向及び表裏の向きとが同じになるように構成されている。例えば、入金部211からAパターンの向きで入金された紙葉類Pの向きは、識別部において、Aパターンの向きであると検知される。
【0088】
第1搬送部28A及び各リサイクル収納部252は、入金部211から短手搬送の姿勢で入金された紙葉類Pを、天地方向及び表裏の向きを変えずに各リサイクル収納部252に収納できるように構成されている。第1搬送部28A及び各リサイクル収納部252は、例えば、
図11Aに示されるように、入金部211からAパターンの向きで入金された紙葉類Pを、Aパターンの向きで各リサイクル収納部252に収納できるように構成されている。
【0089】
第1搬送部28A、一時保留部213、及び、多目的収納部251は、入金部211から短手搬送の姿勢で入金された紙葉類Pを、表裏を反転させる一方で、天地方向の向きを変えずに、一時保留部213、又は、多目的収納部251に収納できるように構成されている。第1搬送部28A、一時保留部213、及び、多目的収納部251は、例えば、
図11Bに示されるように、入金部211からAパターンの向きで入金された紙葉類Pを、Dパターンの向きで一時保留部213、又は、多目的収納部251に収納できるように構成されている。
【0090】
第1搬送部28A、一時保留部213、多目的収納部251、及び、姿勢変更部217は、一時保留部213、又は、多目的収納部251から排出された紙葉類Pを、表裏を反転させずに、第1方向D1に90°回転させて第2搬送部28Bに搬送できるように構成されている。第1搬送部28A、一時保留部213、多目的収納部251、及び、姿勢変更部217は、例えば、
図11Bに示されるように、多目的収納部251からCパターンの向きで排出された紙葉類Pを、Hパターンの向きに回転させて第2搬送部28Bに搬送できるように構成されている。
【0091】
第2搬送部28B、及び、紙葉類搬送カセット20は、姿勢変更部217により回転させられた紙葉類Pを、姿勢変更部217と紙葉類搬送カセット20との間で、表裏を反転させる一方で、左右方向の向きを変えずに、搬送するように構成されている。第2搬送部28B、及び、紙葉類搬送カセット20は、例えば、
図11Bに示されるように、姿勢変更部217によりHパターンの向きに回転させられた紙葉類Pを、Fパターンの向きで紙葉類搬送カセット20に収納できるように構成されている。また、第2搬送部28B、及び、紙葉類搬送カセット20は、例えば、
図11Bに示されるように、紙葉類搬送カセット20からEパターンの向きで排出された紙葉類Pを、Gパターンの向きで姿勢変更部217に搬送できるように構成されている。
【0092】
第1搬送部28A、姿勢変更部217、及び、各リサイクル収納部252は、紙葉類搬送カセット20から排出された紙葉類Pを、第1方向D1に90°回転させ、表裏を反転させて、各リサイクル収納部252に収納できるように構成されている。第1搬送部28A、姿勢変更部217、及び、各リサイクル収納部252は、例えば、
図11Bに示されるように、第2搬送部28BによりGパターンの向きで搬送される紙葉類Pを、Cパターンの向きに回転させた後、Bパターンの向きで各リサイクル収納部252に収納できるように構成されている。
【0093】
次に、紙葉類処理装置2の制御系について説明する。
図12に示されるように、制御部24は、紙葉類搬送カセット20と、一時保留部213と、識別部214と、入出金部216と、姿勢変更部217と、第1搬送部28Aと、第2搬送部28Bと、多目的収納部251と、各リサイクル収納部252と、収納状態判定部30と、の間で各種情報を送受信可能に構成されている。
【0094】
収納状態判定部30は、各リサイクル収納部252における紙葉類Pの収納状態が所定基準を満たすか否かを判定する。第3実施形態では、所定基準は、各リサイクル収納部252に収納された紙葉類Pの束における最厚部と最薄部との厚さの差が、閾値以下であることである。なお、所定基準は、紙葉類Pの束における肉厚部Pxが含まれる部位と肉厚部Pxが含まれない部位との差が、閾値以下であることであっても良い。
【0095】
収納状態判定部30は、例えば、各リサイクル収納部252がニアフルになったことを検知する検知センサと、各リサイクル収納部252における紙葉類Pの収納枚数を計数するカウンタと、判定基準枚数を記憶するメモリと、を含んで構成されている。ニアフルとは、各リサイクル収納部252内に新たな紙葉類Pを収納する物理的なスペースがわずかとなった状態を言う。判定基準枚数は、紙葉類Pの束の最厚部と最薄部との差が閾値以下の状態でニアフルになる場合の紙葉類Pの枚数である。収納状態判定部30は、リサイクル収納部252の収納枚数が判定基準枚数に到達していないにもかかわらず、検知センサによりニアフルであることが検知された場合、紙葉類Pの束における最厚部と最薄部との厚さの差が閾値を超えたと判定する。なお、収納状態判定部30を、撮像装置を含んで構成し、撮像画像に基づいて、紙葉類Pの束における最厚部と最薄部との厚さの差が閾値以下であるか否かを判定するようにしても良い。また、収納状態判定部30は、カウンタの計数結果の代わりに、識別部214における識別結果を用いても良い。
【0096】
<紙葉類処理装置の動作>
次に、紙葉類処理装置2の動作について説明する。第3実施形態の紙葉類処理装置2は、「入金部211から入金された紙葉類Pのリサイクル収納部252へ収納処理」、「紙葉類搬送カセット20内の紙葉類Pのリサイクル収納部252への収納処理」、及び、「リサイクル収納部252内の紙葉類Pの紙葉類搬送カセット20への収納処理」を実施することができる。以下、「入金部211から入金された紙葉類Pのリサイクル収納部252へ収納処理」について詳細に説明し、それ以外の処理については簡単に説明する。
図13~
図15は、入金部から入金された紙葉類のリサイクル収納部へ収納処理を示すフローチャートである。
【0097】
<入金部から入金された紙葉類のリサイクル収納部へ収納処理>
図13に示されるように、入金部211は、ユーザにより持ち込まれた複数枚の紙葉類Pを、短手搬送の姿勢で1枚ずつ受け入れる(ステップS21)。制御部24は、第1搬送部28Aを制御して、紙葉類Pを第2搬送路282及び上側路281A上で搬送する。識別部214は、上側路281A上の紙葉類Pの真偽判定処理、金種及び正損の識別処理、並びに、紙葉類Pの向きの検知処理を実施し、これらの処理結果を制御部24へ送信する。
【0098】
制御部24は、識別部214から送信される金種及び正損の識別結果に基づいて、紙葉類Pの収納先をリサイクル収納部252、又は、回収部26に決定する。制御部24により紙葉類Pの収納先がリサイクル収納部252に決定された場合、収納状態判定部30は、当該リサイクル収納部252内の紙葉類Pの束における最厚部と最薄部との厚さの差が閾値以下であるか否かを判定する(ステップS22)。
【0099】
制御部24は、収納状態判定部30により最厚部と最薄部との厚さの差が閾値以下であると判定された場合(ステップS22:YES)、第1搬送処理を実施する(ステップS23)。ステップS23の第1搬送処理において、制御部24は、第1搬送部28A及びリサイクル収納部252を制御して、第1搬送路281上において紙葉類Pを
図10における時計回り方向に搬送し、リサイクル収納部252へ収納する。第1収納処理では、例えば、
図11Aに示されるように、入金部211からAパターンの向きで入金された紙葉類Pは、Aパターンの向き(第1向き)でリサイクル収納部252に収納される。また、制御部24は、識別部214から送信される紙葉類Pの向きの検知結果に基づいて、各リサイクル収納部252における各向きの紙葉類の収納枚数を算出する。
【0100】
次に、制御部24は、第1搬送部28Aで搬送中の紙葉類Pが有るか否かを判定する(ステップS24)。制御部24は、第1搬送部28Aで搬送中の紙葉類Pが無い(ステップS24:NO)、つまり入金部211から入金された全ての紙葉類Pがリサイクル収納部252又は回収部26に収納されたと判定した場合、処理を終了する。一方、制御部24は、第1搬送部28Aで搬送中の紙葉類Pが有る(ステップS24:YES)、つまり入金部211から入金された全ての紙葉類Pがリサイクル収納部252又は回収部26に収納されていないと判定した場合、ステップS22の処理を実施する。つまり、制御部24は、次の紙葉類Pが収納されるリサイクル収納部252内の紙葉類Pの束における、最厚部と最薄部との厚さの差が閾値以下であるか否かを判定する。
【0101】
制御部24は、収納状態判定部30により最厚部と最薄部との厚さの差が閾値を超えたと判定された場合(ステップS22:NO)、第2収納処理を実施する(ステップS25)。
図14に示されるように、ステップS25の第2収納処理において、制御部24は、次の収納対象の紙葉類Pの収納先として決定されたリサイクル収納部252内の紙葉類Pについて、識別部214により検知された最も多い搬送時の向きを、判定基準向きとして特定する(ステップS31)。
【0102】
制御部24は、識別部214における識別結果に基づいて、短手搬送の収納対象の紙葉類Pの向きが判定基準向きであるか否かを判定する(ステップS32)。制御部24は、収納対象の紙葉類Pの向きが判定基準向きでないと判定した場合(ステップS32:NO)、ステップS23の第1搬送処理と同様の処理を行い、
図11Aに示されるように、当該紙葉類Pをリサイクル収納部252へ収納する(ステップS33)。一方、制御部24は、収納対象の紙葉類Pの向きが判定基準向きであると判定した場合(ステップS32:YES)、第1搬送部28A及び多目的収納部251を制御して、第1搬送路281上において紙葉類Pを時計回り方向に搬送し、
図11Bに示されるように、多目的収納部251へ一時的に収納する(ステップS34)。
【0103】
ここで、ステップS33,S34の処理において、収納対象の紙葉類Pの向きが判定基準向きか否かに応じて、当該紙葉類Pの収納先を変える理由について説明する。紙葉類Pをリサイクル収納部252へ収納する場合、入金部211からAパターンの向きで入金された紙葉類Pは、識別部214において、Aパターンの向きであることが検知された後、Aパターンの向きでリサイクル収納部252に収納される。つまり、リサイクル収納部252には、識別部214により検知された向きと同じ向きで紙葉類Pが収納される。このため、例えば、判定基準向きがAパターンの向きである場合、識別部214でAパターンの向きであると検知された紙葉類Pがリサイクル収納部252に収納されると、紙葉類Pの束の最厚部と最薄部との厚さの差が更に大きくなる。一方、識別部214でBパターン、Cパターン、又は、Dパターンの向きであると検知された紙葉類Pがリサイクル収納部252に収納されると、紙葉類Pの束の最厚部と最薄部との厚さの差が小さくなる。このように、紙葉類Pの束の最厚部と最薄部との厚さの差が大きくならないように、収納対象の紙葉類Pの向きが判定基準向きか否かに応じて、当該紙葉類Pの収納先を変える。
【0104】
制御部24は、ステップS33又はステップS34の処理後、第1搬送部28Aで搬送中の紙葉類Pが有るか否かを判定する(ステップS35)。制御部24は、第1搬送部28Aで搬送中の紙葉類Pが有ると判定した場合(ステップS35:YES)、次の収納対象の紙葉類Pに対するステップS32の処理を行う。一方、制御部24は、第1搬送部28Aで搬送中の紙葉類Pが無いと判定した場合(ステップS35:NO)、多目的収納部251に紙葉類Pが収納されているか否かを判定する(ステップS36)。
【0105】
制御部24は、多目的収納部251に紙葉類Pが収納されていないと判定した場合(ステップS36:NO)、処理を終了する。一方、制御部24は、多目的収納部251に紙葉類Pが収納されていると判定した場合(ステップS36:YES)、多目的収納部251を制御して、
図15に示されるように、多目的収納部251から紙葉類Pを短手搬送の姿勢で排出する(ステップS37)。制御部24は、第1搬送部28A及び姿勢変更部217を制御して、第1搬送路281上において紙葉類Pを反時計回り方向に搬送し、
図11Bに示されるように、姿勢変更部217により第1方向D1に90°回転させる(ステップS38)。更に、制御部24は、第2搬送部28B及び紙葉類搬送カセット20を制御して、姿勢変更部217により回転させた紙葉類Pを、紙葉類搬送カセット20へ一時的に収納する(ステップS39)。
【0106】
制御部24は、第1搬送部28A又は第2搬送部28Bで搬送中の紙葉類Pが有るか否かを判定する(ステップS40)。制御部24は、搬送中の紙葉類Pが有ると判定した場合(ステップS40:YES)、次の収納対象の紙葉類Pに対するステップS38の処理を行う。一方、制御部24は、搬送中の紙葉類Pが無いと判定した場合(ステップS40:NO)、紙葉類搬送カセット20を制御して、紙葉類搬送カセット20から紙葉類Pを長手搬送の姿勢で排出する(ステップS41)。制御部24は、第2搬送部28B及び姿勢変更部217を制御して、
図11Bに示されるように、姿勢変更部217により第1方向D1に90°回転させる(ステップS42)。更に、制御部24は、第1搬送部28A及びリサイクル収納部252を制御して、姿勢変更部217により回転させた紙葉類Pを、リサイクル収納部252へ収納する(ステップS43)。
【0107】
制御部24は、第2搬送部28Bで搬送中の紙葉類Pが有るか否かを判定する(ステップS44)。制御部24は、搬送中の紙葉類Pが有ると判定した場合(ステップS44:YES)、次の収納対象の紙葉類Pに対するステップS42の処理を行う。一方、制御部24は、搬送中の紙葉類Pが無いと判定した場合(ステップS44:NO)、処理を終了する。
【0108】
以上の処理により、例えば、基準判定向きがAパターンの向きの場合、入金部211にAパターンの向きで入金された紙葉類Pは、姿勢変更部217により向きを変えられてBパターンの向き(第2向き)でリサイクル収納部252に収納される。一方で、入金部211にB,C,Dパターンの向きで入金された紙葉類Pは、そのままの向き(第1向き)でリサイクル収納部252に収納される。このため、紙葉類処理装置2は、リサイクル収納部252内において、多くの肉厚部Pxが重なることを抑制することができる。したがって、紙葉類処理装置2は、紙葉類の束(収納体)の最厚部と最薄部との厚さの差が大きくなることを抑制することができ、リサイクル収納部252に紙葉類Pを適切に収納することができる。
【0109】
特に、識別部214により検知された向きに応じて、紙葉類Pを直接、リサイクル収納部252へ収納するか否かを決定するため、入金部211で紙葉類Pを受け入れたときの向きに関係なく、リサイクル収納部252に紙葉類Pを適切に収納することができる。
【0110】
制御部24は、第2収納処理を実施する場合、判定基準向きの紙葉類Pを多目的収納部251に一時的に収納する一方で、判定基準向きでない紙葉類Pをリサイクル収納部252に収納する。そして、制御部24は、入金部211から入金された全ての紙葉類Pが、多目的収納部251又はリサイクル収納部252に収納された後、多目的収納部251に収納された紙葉類Pを、姿勢変更部217、紙葉類搬送カセット20、及び、姿勢変更部217を経由させて、リサイクル収納部252に収納する。このため、判定基準向きの紙葉類Pを多目的収納部251に一時的に収納せずに、姿勢変更部217、紙葉類搬送カセット20、及び、姿勢変更部217を経由させて、リサイクル収納部252に収納する構成と比べて、第2収納処理の実施期間を短くすることができる。
【0111】
<紙葉類搬送カセット内の紙葉類のリサイクル収納部への収納処理>
紙葉類搬送カセット20内の紙葉類Pのリサイクル収納部252への収納処理は、例えば売上金の回収処理として実施される。紙葉類搬送カセット20は、当該紙葉類搬送カセット20内の複数枚の紙葉類Pを、長手搬送の姿勢で1枚ずつ排出する。制御部24は、長手搬送の姿勢の紙葉類Pを、姿勢変更部217により第1方向D1に90°回転させる。そして、制御部24は、長手搬送の姿勢から短手搬送の姿勢に変換された紙葉類Pをリサイクル収納部252に収納する。制御部24は、紙葉類搬送カセット20から排出された全ての紙葉類Pをリサイクル収納部252に収納するまで、上述された処理を繰り返す。
【0112】
<リサイクル収納部内の紙葉類の紙葉類搬送カセットへの収納処理>
リサイクル収納部252内の紙葉類Pの紙葉類搬送カセット20への収納処理は、例えば釣銭機用の釣銭準備金の補充処理として実施される。リサイクル収納部252は、制当該リサイクル収納部252内の複数枚の紙葉類Pを、短手搬送の姿勢で1枚ずつ排出する。制御部24は、短手搬送の姿勢の紙葉類Pを、姿勢変更部217により第1方向D1に90°回転させる。そして、制御部24は、短手搬送の姿勢から長手搬送の姿勢に変換された紙葉類Pを紙葉類搬送カセット20に収納する。制御部24は、リサイクル収納部252から排出された全ての紙葉類Pを紙葉類搬送カセット20に収納するまで、上述された処理を繰り返す。
【0113】
<第4実施形態>
次に、本開示の第4実施形態について説明する。第4実施形態は、第3実施形態の紙葉類処理装置2を用いるという点では、第3実施形態と同じなので、相違点を中心に説明する。
【0114】
<紙葉類処理装置の構成>
図10及び
図12に示される第4実施形態の紙葉類処理装置2Aは、制御部24A及び収納状態判定部30Aが実施する処理が、第3実施形態の制御部24及び収納状態判定部30が実施する処理と異なる。
【0115】
収納状態判定部30Aは、各リサイクル収納部252における紙葉類Pの収納状態が所定基準を満たすか否かを判定する。第4実施形態では、所定基準は、各リサイクル収納部252に収納された紙葉類Pの枚数が設定枚数以下であることである。設定枚数は、紙葉類処理装置2Aの図示されない操作部の入力操作に基づいて設定されても良く、この場合、認証機器により認証されたユーザのみが設定枚数を設定できるようにしても良い。また、設定枚数は、金種毎に異なっていても良いし、紙葉類処理装置2Aが行う取引毎に異なっていても良い。収納状態判定部30Aは、例えば、各リサイクル収納部252における紙葉類Pの収納枚数を計数するカウンタと、設定枚数を記憶するメモリと、を含んで構成されている。収納状態判定部30Aは、カウンタの計数結果の代わりに、識別部214における識別結果を用いても良い。
【0116】
<紙葉類処理装置の動作>
次に、紙葉類処理装置2Aの動作として、入金部211から入金された紙葉類Pのリサイクル収納部252へ収納処理について、
図15~
図17を参照しながら説明する。
図16及び
図17は、入金部から入金された紙葉類のリサイクル収納部へ収納処理を示すフローチャートである。なお、以下において、入金部211により受け入れられた全ての紙葉類Pの向きが同じ場合について説明する。また、第3実施形態と同じ処理については、説明を簡略化する。
【0117】
図16に示されるように、入金部211は、複数枚の紙葉類Pを、短手搬送の姿勢で1枚ずつ受け入れる(ステップS21)。識別部214は、上側路281A上で搬送されるの紙葉類Pの真偽判定処理、金種及び正損の識別処理、並びに、紙葉類Pの向きの検知処理を制御部24Aへ送信する。制御部24Aにより紙葉類Pの収納先がリサイクル収納部252に決定された場合、収納状態判定部30Aは、当該リサイクル収納部252内の紙葉類Pの収納枚数が設定枚数以下であるか否かを判定する(ステップS51)。
【0118】
制御部24Aは、収納状態判定部30Aにより収納枚数が設定枚数以下であると判定された場合(ステップS51:YES)、第1搬送処理を実施する(ステップS23)。次に、制御部24Aは、第1搬送部28Aで搬送中の紙葉類Pが有るか否かを判定する(ステップS24)。制御部24Aは、第1搬送部28Aで搬送中の紙葉類Pが無いと判定した場合(ステップS24:NO)、処理を終了する。一方、制御部24Aは、第1搬送部28Aで搬送中の紙葉類Pが有ると判定した場合(ステップS24:YES)、ステップS51の処理を実施する。つまり、制御部24Aは、ステップS23の処理により、次の紙葉類Pが収納されるリサイクル収納部252内の紙葉類Pの収納枚数が設定枚数以下であるか否かを判定する。
【0119】
制御部24は、収納状態判定部30Aによりリサイクル収納部252の収納枚数が設定枚数を超えていると判定された場合(ステップS51:NO)、第2収納処理を実施する(ステップS52)。
図17に示されるように、ステップS52の第2収納処理において、制御部24Aは、次の収納対象の紙葉類Pを、多目的収納部251へ一時的に収納する(ステップS34)。制御部24Aは、ステップS34の処理後、第1搬送部28Aで搬送中の紙葉類Pが有るか否かを判定する(ステップS35)。制御部24Aは、第1搬送部28Aで搬送中の紙葉類Pが有ると判定した場合(ステップS35:YES)、次の収納対象の紙葉類Pに対するステップS34の処理を行う。一方、制御部24Aは、第1搬送部28Aで搬送中の紙葉類Pが無いと判定した場合(ステップS35:NO)、第3実施形態と同様に、
図15に示されるステップS37~S44の処理を実施する。
【0120】
以上の処理により、例えば、全ての紙葉類PがAパターンの向きで入金部211に入金された場合、リサイクル収納部252内の収納枚数が設定枚数になるまでは、Aパターンの向き(第1向き)でリサイクル収納部252に収納され、前記収納枚数が設定枚数になった後は、姿勢変更部217により向きを変えられてBパターンの向き(第2向き)でリサイクル収納部252に収納される。このため、紙葉類処理装置2Aは、リサイクル収納部252内において、多くの肉厚部Pxが重なることを抑制することができる。したがって、紙葉類処理装置2Aは、紙葉類の束(収納体)の最厚部と最薄部との厚さの差が大きくなることを抑制することができ、リサイクル収納部252に紙葉類Pを適切に収納することができる。
【0121】
[実施形態の変形例]
本開示は、これまでに説明した実施形態に示されたものに限られないことは言うまでも無く、その趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の変形を加えることができる。上記実施形態及び以下に示す変形例を、適用可能な範囲において、どのように組み合わせても良い。
【0122】
例えば、第1~4実施形態において、第1収納処理により第1収納部14又はリサイクル収納部252に収納された紙葉類Pの表裏の向きと、第2収納処理により第1収納部14又はリサイクル収納部252に収納された紙葉類Pの表裏の向きとを異ならせるように、紙葉類処理装置1,1A,2,2Aを構成しても良い。
【0123】
例えば、第3,4実施形態において、紙葉類Pを、多目的収納部251のみに一時的に収納したが、一時保留部213のみに一時的に収納しても良いし、多目的収納部251又は一時保留部213に選択式に収納しても良い。
【0124】
第3,4実施形態において、紙葉類Pを、多目的収納部251に一時的に収納してから、姿勢変更部217を介して紙葉類搬送カセット20へ収納したが、多目的収納部251に一時的に収納せずに、姿勢変更部217を介して紙葉類搬送カセット20へ収納できるように、紙葉類処理装置2,2Aを構成しても良い。
【0125】
第3,4実施形態において、入金部211、一時保留部213、多目的収納部251、及びリサイクル収納部252を、長手搬送の姿勢の紙葉類Pを出し入れできるように構成すると共に、紙葉類搬送カセット20を、短手搬送の姿勢の紙葉類Pを出し入れできるように構成し、上述された処理と同様の処理を実施するようにしても良い。
【0126】
第3,4実施形態において、入金部211、一時保留部213、多目的収納部251、及びリサイクル収納部252を、長手搬送の姿勢の紙葉類Pを出し入れできるように構成すると共に、紙葉類搬送カセット20を、短手搬送の姿勢の紙葉類Pを出し入れできるように構成し、上述された処理と同様の処理を実施するようにしても良い。
【0127】
第3,4実施形態において、紙葉類搬送カセット20内の紙葉類Pをリサイクル収納部252へ収納する処理の際に、第2実施形態と同様に、収納状態判定部30,30Aにおける判定結果に基づいて、姿勢変更部217により、紙葉類Pを第1方向D1、又は、第1方向D1と反対の第2方向D2に回転させてから、リサイクル収納部252へ収納するようにしても良い。また、収納状態判定部30,30Aを紙葉類搬送カセット20における紙葉類Pの収納状態を判定できるように構成し、リサイクル収納部252内の紙葉類Pを紙葉類搬送カセット20へ収納する処理の際に、収納状態判定部30,30Aにおける判定結果に基づいて、姿勢変更部217により、紙葉類Pを第1方向D1、又は、第1方向D1と反対の第2方向D2に回転させてから、紙葉類搬送カセット20へ収納するようにしても良い。
【0128】
本開示の紙葉類処理装置で処理する紙葉類は、商品券、小切手、有価証券、カード状媒体等であっても良い。
【符号の説明】
【0129】
1,1A,2,2A 紙葉類処理装置
11,28A 第1搬送部
12 受入部
13,28B 第2搬送部
14 第1収納部
15 第2収納部
16,16A,217 姿勢変更部
17,30,30A 収納状態判定部
18,18A,24,24A 制御部
20 紙葉類搬送カセット
21 処理部
22 金庫部
23 上側搬送部
25 収納部
26 回収部
27 下側搬送部
28 搬送部
210 上部筐体
211 入金部
212 出金部
213 一時保留部
214 識別部
215 カセット装着部
216 入出金部
251 多目的収納部
252 リサイクル収納部
281 第4~第13搬送路
281,282,283,284,285,286,287,288,289,290,291,292,293 搬送路
281A 上側路
281B 下側路
281C 前反転路
281D 後反転路
D1 第1方向
D2 第2方向
P 紙葉類
Pa 長辺
Pb 短辺
Pc 表面
Pd 裏面
Px 肉厚部
Py 肉薄部