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特開2023-12823センサー用光部品の製造方法、センサー用光部品、センシングシステムの製造方法およびセンシングシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012823
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】センサー用光部品の製造方法、センサー用光部品、センシングシステムの製造方法およびセンシングシステム
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20230119BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
G02B6/42
G01N21/84 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116534
(22)【出願日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】寺田 信介
【テーマコード(参考)】
2G051
2H137
【Fターム(参考)】
2G051AB03
2G051BB17
2G051CB01
2G051CC17
2H137AA14
2H137AB12
2H137AC05
2H137BA55
2H137BB02
2H137BB12
2H137CC02
2H137CC03
2H137CD33
2H137DA07
2H137DA39
(57)【要約】
【課題】被着体の表面に生じた変化を光強度の変化として捉える光導波路と、光導波路に対する光の入出力を担うモジュールと、の間で、損失の少ない接続状態を容易に確立し得るとともに、被着体に取り付ける作業の作業性が高いセンサー用光部品およびその製造方法、ならびに、かかるセンサー用光部品を備えるセンシングシステムおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明のセンサー用光部品の製造方法は、シート状をなす光導波路およびソケットを備え、前記光導波路が被着体に取り付けられた状態で用いられるセンサー用光部品の製造方法であって、治具により、前記光導波路と前記ソケットの位置合わせを行う工程と、前記光導波路と前記ソケットとを接着し、接着体を得る工程と、前記接着体から前記治具を取り除く工程と、を有することを特徴とする。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状をなす光導波路およびソケットを備え、前記光導波路が被着体に取り付けられた状態で用いられるセンサー用光部品の製造方法であって、
治具により、前記光導波路と前記ソケットの位置合わせを行う工程と、
前記光導波路と前記ソケットとを接着し、接着体を得る工程と、
前記接着体から前記治具を取り除く工程と、
を有することを特徴とするセンサー用光部品の製造方法。
【請求項2】
前記光導波路は、前記治具に対する相対位置が規制される第1被規制部を有し、
前記ソケットは、前記治具に対する相対位置が規制される第2被規制部を有する請求項1に記載のセンサー用光部品の製造方法。
【請求項3】
前記第1被規制部は、前記光導波路を貫通する貫通孔であり、
前記第2被規制部は、前記ソケットの前記光導波路に臨む面に開口する開口部であり、
前記貫通孔の内径と前記開口部の内径とが等しい請求項2に記載のセンサー用光部品の製造方法。
【請求項4】
前記開口部は、前記ソケットを貫通している請求項3に記載のセンサー用光部品の製造方法。
【請求項5】
前記治具は、棒状をなす少なくとも2つの挿入部を有し、
前記位置合わせは、前記挿入部を前記貫通孔に挿通し、かつ、前記開口部に挿入する操作である請求項3または4に記載のセンサー用光部品の製造方法。
【請求項6】
前記治具は、前記挿入部同士を連結する基部を有する請求項5に記載のセンサー用光部品の製造方法。
【請求項7】
前記光導波路は、
光を伝搬するコア部と、
前記コア部に設けられ、光の進行方向を変換する光路変換部と、
を有する請求項1ないし6のいずれか1項に記載のセンサー用光部品の製造方法。
【請求項8】
前記光導波路の前記被着体とは反対側の面に、前記ソケットを接着する請求項1ないし7のいずれか1項に記載のセンサー用光部品の製造方法。
【請求項9】
光を伝搬する長尺状のコア部、前記コア部に設けられ、前記コア部を伝搬する光の進行方向を変換する光路変換部、および、前記光路変換部に対応する位置に設けられている少なくとも2つの貫通孔、を有し、シート状をなす光導波路と、
前記光導波路に接着され、前記貫通孔と重なる位置に開口し、内径が前記貫通孔と等しい開口部を有するソケットと、
を備え、
前記光導波路が被着体に取り付けられた状態で用いられることを特徴とするセンサー用光部品。
【請求項10】
シート状をなす光導波路、ソケット、ならびに、発光素子および受光素子を有する光電変換モジュールを備え、前記光導波路が被着体に取り付けられた状態で用いられるセンシングシステムの製造方法であって、
治具により、前記光導波路と前記ソケットの位置合わせを行う工程と、
前記光導波路と前記ソケットとを接着し、接着体を得る工程と、
前記接着体から前記治具を取り除く工程と、
前記ソケットに対する前記光電変換モジュールの装着を行い、前記光導波路と前記光電変換モジュールとを光学的に接続する工程と、
を有することを特徴とするセンシングシステムの製造方法。
【請求項11】
前記治具は、棒状をなす少なくとも2つの挿入部を有し、
前記接着体は、前記光導波路を貫通する貫通孔、および、前記ソケットを貫通する開口部を有し、
前記位置合わせは、前記挿入部を前記貫通孔に挿通し、かつ、前記開口部に挿入する操作であり、
前記光電変換モジュールは、少なくとも2つの突出部を有し、
前記装着は、前記突出部を前記開口部に挿入する操作である請求項10に記載のセンシングシステムの製造方法。
【請求項12】
請求項9に記載のセンサー用光部品と、
前記ソケットに装着され、前記光導波路と光学的に接続されている発光素子および受光素子を有する光電変換モジュールと、
を備えることを特徴とするセンシングシステム。
【請求項13】
前記開口部は、前記ソケットを貫通しており、
前記光電変換モジュールは、前記開口部に挿入されている突出部を有する請求項12に記載のセンシングシステム。
【請求項14】
前記ソケットは、凹部を有し、
前記光電変換モジュールは、前記凹部に嵌っている請求項12に記載のセンシングシステム。
【請求項15】
前記光電変換モジュールは、
前記発光素子を収容する第1筐体と、
前記受光素子を収容する第2筐体と、
を有する請求項12ないし14のいずれか1項に記載のセンシングシステム。
【請求項16】
前記光電変換モジュールは、前記発光素子および前記受光素子の双方を収容する第3筐体を有する請求項12ないし14のいずれか1項に記載のセンシングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサー用光部品の製造方法、センサー用光部品、センシングシステムの製造方法およびセンシングシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ファイバブラッググレーティング(Fiber Bragg Grating : FBG)を用いて被検出箇所の歪みを計測する貼り付け型光ファイバセンサが開示されている。この貼り付け型光ファイバセンサは、FBGが書き込まれている光ファイバと、光ファイバを支持するフィルムと、光ファイバをフィルムに固着させる樹脂と、を備えた、フィルム状の検出素子である。
【0003】
このような貼り付け型光ファイバセンサを被検出箇所に貼り付け、FBG用波長計測装置から光ファイバに光を入力するとともに、FBGから光が反射する。FBG用波長計測装置では、この反射光を検出し、波長変化に基づいて、被検出箇所における歪みの有無を捉える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-296110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の貼り付け型光ファイバセンサは、被検出箇所の歪みの有無を長期にわたって監視する目的で用いられることもある。このような場合、監視の時間間隔が長くなるために、歪みの有無を確認するときのみ、貼り付け型光ファイバセンサにFBG用波長計測装置を接続する使い方も考えられる。したがって、必要なタイミングで、光ファイバに対して計測装置を簡単に接続できることが好ましい。
【0006】
そこで、光ファイバと計測装置との間は、接続作業が容易で、かつ、接続箇所の損失が少ないことが求められる。しかしながら、接続箇所の損失を少なくするためには、光軸を合わせる作業が伴う。この作業は、難易度が高く、煩雑であるため、作業効率が低いという課題がある。
【0007】
また、光ファイバは、断面が円形をなす線状体であるため、被検出箇所に再現性よく貼り付ける作業の難易度が高い。つまり、光ファイバと被検出箇所との接触状態を均一にすることが難しい。
【0008】
本発明の目的は、被着体の異常を光強度の変化として捉える光導波路と、光導波路に対する光の入出力を担うモジュールと、の間で、損失の少ない接続状態を容易に確立し得るとともに、被着体に取り付ける作業の作業性が高いセンサー用光部品およびその製造方法、ならびに、かかるセンサー用光部品を備えるセンシングシステムおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的は、下記(1)~(16)の本発明により達成される。
(1) シート状をなす光導波路およびソケットを備え、前記光導波路が被着体に取り付けられた状態で用いられるセンサー用光部品の製造方法であって、
治具により、前記光導波路と前記ソケットの位置合わせを行う工程と、
前記光導波路と前記ソケットとを接着し、接着体を得る工程と、
前記接着体から前記治具を取り除く工程と、
を有することを特徴とするセンサー用光部品の製造方法。
【0010】
(2) 前記光導波路は、前記治具に対する相対位置が規制される第1被規制部を有し、
前記ソケットは、前記治具に対する相対位置が規制される第2被規制部を有する上記(1)に記載のセンサー用光部品の製造方法。
【0011】
(3) 前記第1被規制部は、前記光導波路を貫通する貫通孔であり、
前記第2被規制部は、前記ソケットの前記光導波路に臨む面に開口する開口部であり、
前記貫通孔の内径と前記開口部の内径とが等しい上記(2)に記載のセンサー用光部品の製造方法。
【0012】
(4) 前記開口部は、前記ソケットを貫通している上記(3)に記載のセンサー用光部品の製造方法。
【0013】
(5) 前記治具は、棒状をなす少なくとも2つの挿入部を有し、
前記位置合わせは、前記挿入部を前記貫通孔に挿通し、かつ、前記開口部に挿入する操作である上記(3)または(4)に記載のセンサー用光部品の製造方法。
【0014】
(6) 前記治具は、前記挿入部同士を連結する基部を有する上記(5)に記載のセンサー用光部品の製造方法。
【0015】
(7) 前記光導波路は、
光を伝搬するコア部と、
前記コア部に設けられ、光の進行方向を変換する光路変換部と、
を有する上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のセンサー用光部品の製造方法。
【0016】
(8) 前記光導波路の前記被着体とは反対側の面に、前記ソケットを接着する上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のセンサー用光部品の製造方法。
【0017】
(9) 光を伝搬する長尺状のコア部、前記コア部に設けられ、前記コア部を伝搬する光の進行方向を変換する光路変換部、および、前記光路変換部に対応する位置に設けられている少なくとも2つの貫通孔、を有し、シート状をなす光導波路と、
前記光導波路に接着され、前記貫通孔と重なる位置に開口し、内径が前記貫通孔と等しい開口部を有するソケットと、
を備え、
前記光導波路が被着体に取り付けられた状態で用いられることを特徴とするセンサー用光部品。
【0018】
(10) シート状をなす光導波路、ソケット、ならびに、発光素子および受光素子を有する光電変換モジュールを備え、前記光導波路が被着体に取り付けられた状態で用いられるセンシングシステムの製造方法であって、
治具により、前記光導波路と前記ソケットの位置合わせを行う工程と、
前記光導波路と前記ソケットとを接着し、接着体を得る工程と、
前記接着体から前記治具を取り除く工程と、
前記ソケットに対する前記光電変換モジュールの装着を行い、前記光導波路と前記光電変換モジュールとを光学的に接続する工程と、
を有することを特徴とするセンシングシステムの製造方法。
【0019】
(11) 前記治具は、棒状をなす少なくとも2つの挿入部を有し、
前記接着体は、前記光導波路を貫通する貫通孔、および、前記ソケットを貫通する開口部を有し、
前記位置合わせは、前記挿入部を前記貫通孔に挿通し、かつ、前記開口部に挿入する操作であり、
前記光電変換モジュールは、少なくとも2つの突出部を有し、
前記装着は、前記突出部を前記開口部に挿入する操作である上記(10)に記載のセンシングシステムの製造方法。
【0020】
(12) 上記(9)に記載のセンサー用光部品と、
前記ソケットに装着され、前記光導波路と光学的に接続されている発光素子および受光素子を有する光電変換モジュールと、
を備えることを特徴とするセンシングシステム。
【0021】
(13) 前記開口部は、前記ソケットを貫通しており、
前記光電変換モジュールは、前記開口部に挿入されている突出部を有する上記(12)に記載のセンシングシステム。
【0022】
(14) 前記ソケットは、凹部を有し、
前記光電変換モジュールは、前記凹部に嵌っている上記(12)に記載のセンシングシステム。
【0023】
(15) 前記光電変換モジュールは、
前記発光素子を収容する第1筐体と、
前記受光素子を収容する第2筐体と、
を有する上記(12)ないし(14)のいずれかに記載のセンシングシステム。
【0024】
(16) 前記光電変換モジュールは、前記発光素子および前記受光素子の双方を収容する第3筐体を有する上記(12)ないし(14)のいずれかに記載のセンシングシステム。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、治具を用いて光導波路とソケットとを位置合わせすることにより、被着体の異常を光強度の変化として捉える光導波路と、光導波路に対する光の入出力を担うモジュールとを、損失の少ない接続状態で容易に接続することができ、かつ、シート状の光導波路を備えていることにより、被着体に取り付ける作業の作業性が高いセンサー用光部品を効率よく製造することができる。
【0026】
また、本発明によれば、互いに位置合わせされた光導波路およびソケットを備えているため、ソケットを介した光導波路に対するモジュールの装着精度が高く、したがって、モジュールとの間で損失の少ない接続状態を容易に確立可能であり、かつ、被着体に取り付ける作業の作業性が高いセンサー用光部品が得られる。
【0027】
さらに、本発明によれば、上記のようなセンサー用光部品に対してモジュールを装着することにより、ソケットを介して、光導波路とモジュールとの間で損失の少ない接続状態を容易に確立することができ、かつ、被着体に取り付けやすいセンシングシステムを効率よく製造することができる。
【0028】
また、本発明によれば、光導波路とモジュールとの間の損失が少なく、かつ、被着体に対して良好に取り付け可能であるため、被着体の異常を精度よく検出可能なセンシングシステムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1実施形態に係るセンシングシステムの概略を示す分解斜視図である。
図2図1に示すセンシングシステムの断面図である。
図3図2に示すセンシングシステムの動作を説明する平面図である。
図4図2に示すセンシングシステムの動作を説明する平面図である。
図5図2の部分拡大図である。
図6図5に示す光導波路の部分拡大斜視図である。
図7図1に示すセンサー用光部品の製造方法を含む、センシングシステムの製造方法を説明するための斜視図である。
図8図1に示すセンサー用光部品の製造方法を含む、センシングシステムの製造方法を説明するための斜視図である。
図9図1に示すセンサー用光部品の製造方法を含む、センシングシステムの製造方法を説明するための斜視図である。
図10図1に示すセンサー用光部品の製造方法を含む、センシングシステムの製造方法を説明するための斜視図である。
図11図1に示すセンサー用光部品の製造方法を含む、センシングシステムの製造方法を説明するための斜視図である。
図12図1に示すセンサー用光部品の製造方法を含む、センシングシステムの製造方法を説明するための斜視図である。
図13】第3実施形態に係るセンサー用光部品および発光モジュールを示す断面図である。
図14】第3実施形態に係るセンサー用光部品および受光モジュールを示す断面図である。
図15】第4実施形態に係るセンサー用光部品および発光モジュールを示す断面図である。
図16】第4実施形態に係るセンサー用光部品および受光モジュールを示す断面図である。
図17】第5実施形態に係るセンサー用光部品および光電変換モジュールを示す断面図である。
図18】第6実施形態に係るセンサー用光部品および光電変換モジュールを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明のセンサー用光部品の製造方法、センサー用光部品、センシングシステムの製造方法およびセンシングシステムについて添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0031】
1.第1実施形態
まず、第1実施形態に係るセンシングシステムについて説明する。
【0032】
図1は、第1実施形態に係るセンシングシステム100の概略を示す分解斜視図である。図2は、図1に示すセンシングシステム100の断面図である。図3および図4は、それぞれ、図2に示すセンシングシステム100の動作を説明する平面図である。
【0033】
なお、各図では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸およびZ軸を設定し、矢印で示している。また、矢印の先端側を「プラス側」といい、基端側を「マイナス側」という。さらに、Z軸を表す矢印の先端側を「上」といい、基端側を「下」という。
【0034】
図1に示すセンシングシステム100は、センサー用光部品1と、光電変換モジュール52と、を備える。センサー用光部品1は、図1および図2に示すように、互いに表裏の関係を有する下面(第1面109)および上面(第2面110)を有する光導波路10と、第2面110に接着されたソケット301、302と、を備え、第1面109を被着体9に取り付けられた状態で用いられる。図1に示す光電変換モジュール52は、発光モジュール52aおよび受光モジュール52bを備える。光電変換モジュール52は、光導波路10と光学的に接続され、光信号と電気信号を相互に変換する機能を有する。
以下、センシングシステム100の各部について詳述する。
【0035】
1.1.センサー用光部品
センサー用光部品1は、図1および図2に示すように、光導波路10と、ソケット301、302と、を備える。ソケット301、302は、光導波路10の第2面110のうち、Y軸方向の両端部に設けられ、光電変換モジュール52と光導波路10との光学的接続に介在する。
【0036】
センサー用光部品1は、前述したように、被着体9に取り付けられた状態で使用される。「取り付ける」とは、センサー用光部品1のうち、少なくとも光導波路10が、被着体9に密着している状態をいう。密着とは、外力を受けて被着体9に押し付けられている状態や、接着力により被着体9に接着している状態等を指す。
【0037】
本実施形態では、図2に示すように、センサー用光部品1が被着体接着層2を介して被着体9に接着されている。これにより、被着体9に生じた変化を、センサー用光部品1を介して検出するセンシングシステム100が実現される。被着体9に生じた変化としては、例えば、機械的、熱的、化学的な変化が挙げられる。
【0038】
センシングシステム100では、センサー用光部品1に光を入射し、光導波路10を伝搬して出射する光の強度の変化に基づいて、被着体9に生じたこれらの変化を検出する。具体的には、センサー用光部品1を被着体9に貼り付けた状態で、図2に示すように、発光モジュール52aから光導波路10に対して入射光L1を連続的または断続的に入射する。入射光L1は、図3に示すように、光導波路10を伝搬し、出射光L2として受光モジュール52bで受光される。センシングシステム100では、この出射光L2の強度をモニターする。
【0039】
入射光L1を入射している状態で、被着体9の表面に前述した変化、例えば図4に示す亀裂91が発生すると、それに伴ってセンサー用光部品1が備える光導波路10の一部も破断し、破断面8が生じる。そうすると、破断面8で入射光L1が反射し、図4に示す反射光L3が発生する。この反射光L3が発生すると、破断面8が生じる前に比べて、出射光L2の強度が低下する。センシングシステム100では、この出射光L2の強度変化を検出することにより、破断面8の発生を検出する。これにより、センシングシステム100では、亀裂91の発生を推定することができる。なお、破断に至らなくても、例えば光導波路10に伸びや曲げ、圧縮が加わっても、反射光L3や漏れ光が発生するため、出射光L2の強度が低下する。
【0040】
1.1.1.光導波路
図5は、図2の部分拡大図である。図6は、図5に示す光導波路10の部分拡大斜視図である。
【0041】
光導波路10は、図5および図6に示すように、下方から、第1カバー層18、クラッド層11、コア層13、クラッド層12、および第2カバー層19がこの順で積層されてなるシート体16を備える。シート体16の各層は、X-Y面と平行に広がっている。コア層13中には、図6に示すように、Y軸に沿って延在する長尺状のコア部14と、コア部14の側面に隣接する側面クラッド部15と、が形成されている。
【0042】
光導波路10の平面視形状は、図3に示すように、Y軸と平行な長軸を有する帯状である。この形状は、特に限定されず、正方形、六角形のような多角形、真円、楕円、長円のような円形、その他の形状であってもよい。なお、本明細書において「平面視」とは、Z軸上から見ることをいう。
【0043】
光導波路10では、図5に示すように、第1カバー層18の下面、すなわち第1面109を接着面として、被着体9の表面に取り付けられる。第1面109と被着体9との間には、必要に応じて、図5に示す被着体接着層2を介在させてもよい。これにより、光導波路10を被着体9に固定することができる。
【0044】
以下、光導波路10の各部についてさらに詳述する。
コア部14は、図6に示すように、その側面が、側面クラッド部15およびクラッド層11、12で囲まれている。そして、コア部14の屈折率は、側面クラッド部15やクラッド層11、12の屈折率よりも高くなっている。これにより、コア部14に光を閉じ込めて伝搬させることができる。
【0045】
コア層13において、コア部14の光路に直交する面内における屈折率分布は、いかなる分布であってもよく、例えば屈折率が不連続的に変化した、いわゆるステップインデックス(SI)型の分布であってもよく、屈折率が連続的に変化した、いわゆるグレーデッドインデックス(GI)型の分布であってもよい。
【0046】
Y-Z面によるコア部14の断面形状、つまりコア部14の横断面形状は、特に限定されないが、例えば、真円、楕円形、長円形等の円形、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形、その他の異形状が挙げられる。
【0047】
コア層13の平均厚さは、特に限定されないが、1~200μm程度であるのが好ましく、5~100μm程度であるのがより好ましく、10~70μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、コア層13に必要とされる光学的特性および機械的強度が確保される。
【0048】
コア層13の構成材料(主材料)としては、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ系樹脂やオキセタン系樹脂のような環状エーテル系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリシラン、ポリシラザン、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリウレタン、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、PETやPBTのようなポリエステル、ポリエチレンサクシネート、ポリサルフォン、ポリエーテル、また、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂のような各種樹脂材料等が挙げられる。なお、樹脂材料には、異なる組成のものを組み合わせた複合材料も用いられる。また、本明細書において「主材料」とは、構成材料の50質量%以上を占める材料のことをいい、好ましくは70質量%以上を占める材料のことをいう。
【0049】
クラッド層11、12の平均厚さは、それぞれ1~200μm程度であるのが好ましく、3~100μm程度であるのがより好ましく、5~60μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、クラッド層11、12に必要とされる光学的特性および機械的強度が確保される。
【0050】
また、クラッド層11、12の主材料は、例えば、前述したコア層13の構成材料として挙げた材料から適宜選択して用いられる。
なお、クラッド層11、12は、必要に応じて設けられればよく、省略されてもよい。
【0051】
光導波路10は、クラッド層11、12を有しているので、コア部14とその外部との間で、安定した屈折率差を形成し、維持することができる。このため、コア部14の伝送効率をより高めることができる。なお、クラッド層11、12のいずれか一方または双方は、側面クラッド部15と一体になっていてもよい。
【0052】
第1カバー層18は、クラッド層11の下面に設けられている。第2カバー層19は、クラッド層12の上面に設けられている。このような第1カバー層18および第2カバー層19を設けることにより、コア層13やクラッド層11、12を保護し、外部環境等に起因したコア部14の伝送効率の低下を抑制することができる。
【0053】
第1カバー層18および第2カバー層19の平均厚さは、特に限定されないが、1~200μm程度であるのが好ましく、3~100μm程度であるのがより好ましく、5~50μm程度であるのがさらに好ましい。
【0054】
第1カバー層18および第2カバー層19は、互いに同じ構成であっても互いに異なる構成であってもよい。例えば、第1カバー層18および第2カバー層19は、平均厚さが互いに同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。第1カバー層18および第2カバー層19の少なくとも一方は、必要に応じて設けられればよく、省略されていてもよい。
【0055】
第1カバー層18および第2カバー層19の主材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド等の各種樹脂を含む材料が挙げられる。
【0056】
このうち、第1カバー層18および第2カバー層19の主材料は、それぞれポリイミド系樹脂であるのが好ましい。ポリイミド系樹脂は、弾性率が比較的大きく、熱分解温度も高いことから、外力や外部環境に対する十分な耐久性を有している。
【0057】
なお、第1カバー層18および第2カバー層19の構成材料には、必要に応じて、フィラー、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、劣化防止剤、帯電防止剤等が添加されていてもよい。このうち、フィラーを添加することにより、第1カバー層18および第2カバー層19の熱膨張係数を調整することができる。
【0058】
また、光導波路10は、光入射面141と、光出射面143と、を有する。
光導波路10には、下面(第1面109)に開口する2つの凹部が形成されている。2つの凹部は、光導波路10のY軸方向の両端に形成されている。凹部の内面は、コア部14の光軸に対して斜めに交差しており、その一部が光入射面141および光出射面143になっている。
【0059】
光入射面141は、ミラーであり、発光モジュール52aから射出された入射光L1の光路を変換し、コア部14に導く。コア部14に入射した入射光L1は、光出射面143に向かって伝搬する。光出射面143は、ミラーであり、コア部14を伝搬してきた出射光L2の光路を変換し、受光モジュール52bに導く。
【0060】
なお、図3に示す光導波路10の平面視形状では、Y軸方向の両端部の幅が、Y軸方向の中央部の幅よりも広くなっている。これにより、ソケット301、302の幅が広くても、ソケット301、302の幅と光導波路10の幅とを近づけることができる。その結果、ソケット301、302を光導波路10に対してより安定的に固定することができる。
【0061】
また、光入射面141および光出射面143がそれぞれミラーであれば、発光モジュール52aおよび受光モジュール52bを光導波路10の上方に配置することが可能になる。このため、光導波路10の下面全体が平坦面となる。これにより、センサー用光部品1を被着体9に取り付ける作業が容易になるとともに、被着体9に対する密着性が向上する。その結果、被着体9に生じた変化を検出する感度に優れたセンシングシステム100を実現することができる。
【0062】
なお、光入射面141および光出射面143は、上記のようなミラーに限定されず、例えば、屈曲した導波路等で代替されていてもよい。また、光入射面141がミラーであって、光出射面143がミラー以外のものに代替されていてもよく、反対に、光出射面143がミラーであって、光入射面141がミラー以外のものに代替されていてもよい。
【0063】
また、光導波路10は、Y軸マイナス側の端部に設けられた2つの貫通孔144、144と、Y軸プラス側の端部に設けられた2つの貫通孔145、145と、を有する。貫通孔144、145の平面視形状は、特に限定されないが、図3では円形である。貫通孔144、145は、センサー用光部品1を組み立てるとき、光導波路10に対するソケット301、302の位置合わせに用いられる。図3に示す2つの貫通孔144、144は、光入射面141を挟んで互いに対向する位置に配置される。これにより、X-Y面内において、光導波路10に対するソケット301の位置と姿勢を1つに決めやすくなる。図3に示す2つの貫通孔145、145も、光出射面143を挟んで互いに対向する位置に配置される。これにより、X-Y面内において、光導波路10に対するソケット302の位置と姿勢を1つに決めやすくなる。
【0064】
1.1.2.ソケット
ソケット301、302は、図1に示すように、光導波路10と光電変換モジュール52との間に設けられている。図1に示すソケット301は、枠状をなしており、Z軸に沿って中央部を貫通する窓部311と、Z軸に沿って窓部311の外側を貫通する2つの開口部321、321と、を有している。図1に示すソケット302は、枠状をなしており、Z軸に沿って中央部を貫通する窓部312と、Z軸に沿って窓部312の外側を貫通する2つの開口部322、322と、を有している。
【0065】
窓部311は、光入射面141に対応する位置に設けられ、窓部312は、光出射面143に対応する位置に設けられている。これにより、窓部311、312を介して光導波路10と光電変換モジュール52とを光学的に接続することができる。
【0066】
2つの開口部321、321は、ソケット301と発光モジュール52aとの位置合わせを容易にする。具体的には、図1に示す発光モジュール52aは、下方に向かって突出する2本のピン531、531を備えている。このピン531を開口部321に挿入することにより、ソケット301に対する発光モジュール52aの位置合わせが完了する。これにより、光導波路10と発光モジュール52aとの光結合損失の低減を図ることができる。同様に、図1に示す受光モジュール52bは、下方に向かって突出する2本のピン532、532を備えている。このピン532を開口部322に挿入することにより、ソケット302に対する受光モジュール52bの位置合わせが完了する。これにより、光導波路10と受光モジュール52bとの光結合損失の低減を図ることができる。
【0067】
また、ソケット301は、発光モジュール52aを着脱可能に取り付けられる構造を有していてもよい。これにより、発光モジュール52aをソケット301に装着したり、取り外したりする作業が容易になる。同様に、ソケット302は、受光モジュール52bを着脱可能に取り付けられる構造を有していてもよい。これにより、受光モジュール52bをソケット302に装着したり、取り外したりする作業が容易になる。その結果、センサー用光部品1を被着体9に取り付けた状態で、必要なときにのみ、光電変換モジュール52を装着するという運用が可能になる。これにより、センシングシステム100のランニングコストの低減を図ることができる。また、故障した光電変換モジュール52を交換する、複数のセンサー用光部品1間で光電変換モジュール52を使い回す、といった運用も可能になる。
【0068】
ソケット301の厚さt1およびソケット302の厚さt2は、それぞれ、特に限定されないが、1mm以上20mm以下であるのが好ましく、2mm以上10mm以下であるのがより好ましい。これにより、ソケット301、302の機械的強度と、位置合わせに必要な厚さの確保と、を両立することができる。
【0069】
2つの開口部321、321は、光導波路10が有する2つの貫通孔144、144と重なる位置に設けられている。2つの開口部322、322は、光導波路10が有する2つの貫通孔145、145と重なる位置に設けられている。これにより、光導波路10にソケット301、302を固定するとき、貫通孔144から開口部321まで連続して挿通可能な治具および貫通孔145から開口部322まで連続して挿通可能な治具を用いることで、両者の位置合わせを容易に行うことができる。
【0070】
開口部321の内径は、貫通孔144の内径と等しくなっている。同様に、開口部322の内径は、貫通孔145の内径と等しくなっている。これにより、治具を用いた位置合わせの精度を十分に高めることができる。その結果、ソケット301と光入射面141との位置ずれ、および、ソケット302と光出射面143との位置ずれ、が十分に抑制される。そして、光電変換モジュール52と光導波路10との間の、位置ずれに伴う光結合損失を十分に抑制することができる。なお、内径が等しいとは、内径差が100μm以下であることをいう。
【0071】
なお、治具を用いた位置合わせが不要な場合には、開口部321、322は、ソケット301、302を貫通していなくてもよい。この場合、開口部321、322は、上面に開口していればよい。
【0072】
また、開口部321の数および開口部322の数は、それぞれ、2つに限定されず、3つ以上であってもよい。この場合、貫通孔144、145の数やピン531、532の数も、それぞれ、3つ以上であってもよい。
さらに、ソケット301、302は、いずれか一方が省略されていてもよい。
【0073】
ソケット301、302の構成材料としては、例えば、金属材料、セラミックス材料、樹脂材料等が挙げられる。
【0074】
このうち、金属材料としては、例えば、ステンレス鋼、鉄基合金、ニッケル基合金、アルミニウム合金、マグネシウム合金、真ちゅう等が挙げられる。
セラミックス材料としては、例えば、アルミナ、ジルコニア、シリカ等が挙げられる。
【0075】
樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリ-(4-メチルペンテン-1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン-スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とするブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0076】
なお、樹脂材料には、剛性等の観点から、特に、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートおよびABS樹脂からなる群から選択される1種が好ましく用いられる。これらは、比較的剛性が高いため、図1に示すような枠状をなすソケット301、302の構成材料、または、着脱操作に耐え得る機械的強度を持つソケット301、302の構成材料として有用である。
【0077】
1.1.3.接着層
光導波路10と被着体9との間には、被着体接着層2が設けられている。
図2および図5に示す被着体接着層2は、光導波路10と被着体9との間に介在する。被着体接着層2は、あらかじめ光導波路10側に設けられていてもよい。すなわち、センサー用光部品1は、第1カバー層18の下面(第1面109)に設けられた、未硬化の被着体接着層2を有していてもよい。これにより、センサー用光部品1を被着体9に取り付ける作業を効率よく行うことができる。
【0078】
被着体接着層2を構成する接着剤としては、例えば、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤の他、ポリエステル系、変性オレフィン系の各種ホットメルト接着剤等が挙げられる。
【0079】
未硬化の被着体接着層2は、未硬化の状態が液状であっても、固形または半固形であってもよく、硬化反応が一部進行している状態であってもよい。また、被着体接着層2を構成する接着剤が硬化性材料を含む場合の硬化原理は、熱硬化性であっても、光硬化性であってもよい。さらに、未硬化の被着体接着層2は、第1カバー層18の下面全体に設けられていてもよいし、一部のみに設けられていてもよい。硬化後の被着体接着層2の厚さは、特に限定されないが、1~100μmであるのが好ましく、5~60μmであるのがより好ましい。
【0080】
1.2.光電変換モジュール
光電変換モジュール52は、図2に示すように、発光モジュール52aおよび受光モジュール52bを備える。発光モジュール52aは、ソケット301を介して光導波路10の光入射面141と光学的に接続される。受光モジュール52bは、ソケット302を介して光導波路10の光出射面143と光学的に接続される。
【0081】
図2に示す発光モジュール52aは、発光素子521と、基板525と、筐体527と、を備える。
【0082】
発光素子521は、センサー用光部品1の光導波路10に入射させるための入射光L1を射出する。発光素子521としては、例えば、半導体レーザー、ガスレーザー、発光ダイオード等が挙げられる。
【0083】
基板525は、発光素子521および図示しない外部インターフェースを搭載する配線基板である。基板525は、図示しない配線を有している。この配線は、発光素子521と外部インターフェースとの間を電気的に接続している。
【0084】
発光素子521は、基板525の下面に搭載されている。これにより、発光素子521と光導波路10とを光学的に接続することができる。
【0085】
筐体527は、上記の構造体を収容する。これにより、発光モジュール52aの耐候性を高める。
【0086】
図2に示す受光モジュール52bは、受光素子522と、アンプ523と、ADコンバーター524と、基板526と、筐体528と、を備える。
【0087】
受光素子522は、センサー用光部品1の光導波路10から出射した出射光L2を受光する。そして、受光素子522は、出射光L2の強度に応じた電流信号等をアンプ523に向けて出力する。受光素子522としては、例えば、フォトダイオード、フォトトランジスター等が挙げられる。
【0088】
アンプ523は、受光素子522から出力された電流信号を、電圧信号に変換する。アンプ523としては、例えば、トランスインピーダンスアンプ(TIA)等が挙げられる。
【0089】
ADコンバーター524は、アンプ523から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。変換されたデジタル信号は、制御部54に向けて出力される。
【0090】
基板526は、受光素子522、アンプ523、ADコンバーター524および図示しない外部インターフェースを搭載する配線基板である。基板526は、図示しない配線を有している。この配線は、受光素子522、アンプ523、ADコンバーター524および外部インターフェースの間を電気的に接続している。
【0091】
受光素子522は、基板526の下面に搭載されている。これにより、受光素子522と光導波路10とを光学的に接続することができる。
【0092】
筐体528は、上記の構造体を収容する。これにより、受光モジュール52bの耐候性を高める。
【0093】
なお、光電変換モジュール52の電源は、外部電源であっても、内部電源であってもよい。内部電源としては、例えば、一次電池、二次電池が挙げられる。
【0094】
また、図1および図2に示す光電変換モジュール52では、発光モジュール52aと受光モジュール52bとが配線529を介して電気的に接続されている。そして、発光モジュール52aに必要な電力は、配線529を介して受光モジュール52bから送出されている。
なお、光電変換モジュール52の構成は、上記の構成に限定されない。
【0095】
1.3.制御部
制御部54は、光電変換モジュール52と有線または無線により通信可能になっている。制御部54は、制御信号を出力し、光電変換モジュール52の動作を制御する。また、制御部54は、受光モジュール52bから出力された受光信号、具体的にはADコンバーター524から出力されたデジタル信号を受信する。制御部54は、必要に応じて、受光信号を解析し、解析結果を報知したり、解析結果に基づく信号を出力したりする機能を有する。
【0096】
受光信号の解析例として、例えば、出射光L2の強度変化を検出し、強度変化がしきい値を超えた場合に、被着体9の表面に変化が生じたと推定することが挙げられる。
【0097】
制御部54は、例えば、内部バスで互いに接続されたプロセッサー、メモリーおよび外部インターフェース等を備えるハードウェアで構成される。メモリーに格納されているプログラムをプロセッサーが実行することにより、制御部54の機能が実現される。
【0098】
1.4.第1実施形態が奏する効果
以上のように、本実施形態に係るセンサー用光部品1は、光導波路10と、光導波路10に接着されたソケット301、302と、を備え、光導波路10が被着体9に取り付けられた状態で用いられる。光導波路10は、光を伝搬する長尺状のコア部14、光路変換部である光入射面141および光出射面143、ならびに、少なくとも2つの貫通孔144、144および少なくとも2つの貫通孔145、145、を有し、シート状をなしている。光入射面141および光出射面143は、コア部14に設けられ、コア部14を伝搬する光の進行方向を変換する。貫通孔144は、光入射面141に対応する位置に設けられ、貫通孔145は、光出射面143に対応する位置に設けられている。ソケット301、302は、開口部321、322を有する。開口部321、322は、貫通孔144、145と重なる位置に開口し、内径が貫通孔144、145と等しい。
【0099】
このような構成によれば、開口部321、322を有するソケット301、302を用いることで、X-Y面内での位置と姿勢を1つに決定することができるので、光電変換モジュール52との位置合わせの精度を容易に高め得るセンサー用光部品1が得られる。また、光導波路10が、光路変換部である光入射面141および光出射面143を有しているので、光導波路10の下面(第1面109)を平坦面とすることができる。したがって、被着体9の表面に何らかの変化が生じたとき、それを光強度の変化として捉える光導波路10と、光導波路10に対する光の入出力を担う光電変換モジュール52と、の間で、光結合損失の少ない接続状態を容易に確立し得るとともに、被着体9に取り付ける作業の作業性が高いセンサー用光部品1を実現することができる。また、センサー用光部品1と被着体9との間に隙間が生じにくくなるため、被着体9の表面の変化を検出する感度を高めることができる。
【0100】
さらに、光導波路10がセンシング部に相当するため、光導波路10の長さを変えるだけで監視したい被着体9の表面の大きさを変えることができる。このため、センサー用光部品1は、監視対象に応じたセンシング部の最適化を容易に図り得るものとなる。
【0101】
なお、光導波路10は、必要に応じて、機械的強度を部分的に低下させる構造を有していてもよい。このような構造を設けることにより、被着体9の表面に変化が発生した場合、その構造を起点とした破断面8が発生しやすくなる。つまり、かかる構造は、容易に破壊する易破壊構造であるといえる。このような易破壊構造を設けることにより、破断面8を発生させるのに必要な応力のしきい値を下げることができ、検出感度をより高めることができる。
【0102】
また、本実施形態に係るセンシングシステム100は、センサー用光部品1と、光電変換モジュール52と、を備える。光電変換モジュール52は、ソケット301、302に装着され、光導波路10と光学的に接続されている発光素子521および受光素子522を有する。
【0103】
このようなセンシングシステム100によれば、センサー用光部品1を被着体9に取り付けるだけで、被着体9の表面の変化を検出することができる。このため、安価で、取り付け作業が容易なセンシングシステム100を実現することができる。また、センシングシステム100が備えるセンサー用光部品1と光電変換モジュール52との間は、位置ずれが抑制され、光結合損失の少ない接続状態が確立されやすい。さらに、センサー用光部品1は、被着体9に取り付ける作業の作業性が高いため、被着体9の表面の変化を検出する感度が高いセンシングシステム100を実現することができる。
【0104】
また、本実施形態では、開口部321、322が、ソケット301、302を貫通している。そして、光電変換モジュール52は、開口部321、322に挿入されている突出部であるピン531、532を有する。
【0105】
このような構成によれば、ピン531、532を開口部321、322に差し込むだけで、両者の位置合わせを容易に完了し得るセンシングシステム100が得られる。かかるセンシングシステム100は、光電変換モジュール52の装着が容易であり、光結合損失の少ない接続状態を容易に確立し得るという点で有用である。
【0106】
さらに、本実施形態では、光電変換モジュール52が、発光素子521を収容する筐体527(第1筐体)と、受光素子522を収容する筐体528(第2筐体)と、を有する。
【0107】
このような構成によれば、発光素子521および受光素子522を互いに離して配置することができる。これにより、長尺の光導波路10を採用したセンシングシステム100を実現することができる。このようなセンシングシステム100では、被着体9の表面の変化を検出可能な範囲を十分に広く確保することができるという点で有用である。
【0108】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態に係るセンサー用光部品の製造方法およびセンシングシステムの製造方法について説明する。
【0109】
図7ないし図12は、図1に示すセンサー用光部品の製造方法を含む、センシングシステムの製造方法を説明するための斜視図である。なお、各図において、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。なお、各図では、発光モジュール52aとセンサー用光部品1との組み立てについて図示し、受光モジュール52bとセンサー用光部品1との組み立てについては図示を省略している。
【0110】
センサー用光部品1の製造方法は、ソケット位置合わせ工程と、ソケット接着工程と、治具除去工程と、を有する。また、センシングシステム100の製造方法は、さらに、モジュール接続工程を有する。以下、各工程について順次説明する。
【0111】
2.1.ソケット位置合わせ工程
まず、図7に示すように、光導波路10と治具56とを組み合わせる。光導波路10は、図7に示すように、シート状をなしている。治具56は、基部562と、2つの挿入部564、564と、を有する。基部562は、X-Y面に沿って広がる板状をなしている。挿入部564は、基部562からZ軸プラス側に向かって突出する棒状をなしている。なお、治具56の構造は、これに限定されない。
【0112】
次に、図7に示すように、治具56が有する2つの挿入部564、564を、光導波路10が有する2つの貫通孔144、144に挿入する。これにより、図8に示すように、治具56に対して、X-Y面内における光導波路10の位置および姿勢が1つに決まる。
【0113】
次に、図9に示すように、光導波路10の上面(第2面110)側から、治具56の挿入部564に対してソケット301を組み合わせる。具体的には、図9に示すように、2つの挿入部564、564を、ソケット301が有する2つの開口部321、321に挿入する。これにより、図10に示すように、治具56に対して、X-Y面内におけるソケット301の位置および姿勢が1つに決まる。また、光導波路10に対してもソケット301の位置および姿勢が1つに決まる。その結果、光導波路10とソケット301の位置合わせが完了する。
なお、図示しないが、ソケット302についても同様の位置合わせを行う。
【0114】
2.2.ソケット接着工程
次に、光導波路10に対してソケット301を接着する。また、図示しないが、ソケット302についても同様に接着する。これにより、接着体が得られる。接着には、前述した各種の接着剤が用いられる。
【0115】
2.3.治具除去工程
次に、図11に示すように、治具56を取り外す。接着体を得た後、治具56を取り除くことにより、治具56による位置精度が良好に維持される。これにより、図11に示すように、センサー用光部品1が得られる。
【0116】
2.4.モジュール接続工程
次に、図12に示すように、ソケット301に対して発光モジュール52aを組み付ける。これにより、ソケット301に対して、X-Y面内における発光モジュール52aの位置および姿勢が1つに決まる。また、光導波路10に対しても発光モジュール52aの位置および姿勢が1つに決まる。
【0117】
なお、図示しないが、ソケット302に対する受光モジュール52bの組み付けも同様に行う。以上のようにして、光導波路10と光電変換モジュール52とが光学的に接続され、センシングシステム100が得られる。
【0118】
2.5.第2実施形態が奏する効果
以上のように、本実施形態に係るセンサー用光部品の製造方法は、シート状をなす光導波路10およびソケット301、302を備え、光導波路10が被着体9に取り付けられた状態で用いられるセンサー用光部品1の製造方法であって、ソケット位置合わせ工程と、ソケット接着工程と、治具除去工程と、を有する。ソケット位置合わせ工程では、治具56により、光導波路10とソケット301、302との位置合わせを行う。ソケット接着工程では、光導波路10とソケット301、302とを接着し、接着体を得る。治具除去工程では、接着体から治具56を取り除く。
【0119】
このような構成によれば、内部での損失が少なく、被着体9に取り付ける作業の作業性が高いセンサー用光部品1を、効率よく製造することができる。このようにして製造されたセンサー用光部品1では、被着体9の表面に何らかの変化が生じたとき、それを光強度の変化として捉える光導波路10と、光導波路10に対する光の入出力を担う光電変換モジュール52と、を備え、これらの間で光結合損失の少ない接続状態が確立されている。このため、被着体9の表面に生じる変化を感度よく検出可能なセンシングシステム100に用いられるセンサー用光部品1を製造することができる。また、シート状をなす光導波路10を用いることで、センサー用光部品1と被着体9との間に隙間が生じにくくなるため、その観点でも、被着体9の表面の変化を検出する感度を高め得るセンサー用光部品1が得られる。
【0120】
また、光導波路10は、貫通孔144、145を有する。貫通孔144、145は、治具56に対する相対位置が規制される第1被規制部である。ソケット301、302は、開口部321、322を有する。開口部321、322は、治具56に対する相対位置が規制される第2被規制部である。
【0121】
このような構成によれば、治具56と、貫通孔144、145および開口部321、322と、の干渉により、光導波路10とソケット301、302の位置合わせを容易に行うことができる。
【0122】
なお、第1被規制部は、治具と干渉し得る貫通孔144、145以外の構造、例えば光導波路10に形成された切り欠き、突起等であってもよい。また、第2被規制部も、治具と干渉し得る開口部321、322以外の構造、例えばソケット301、302に形成された切り欠き、突起等であってもよい。
【0123】
そして、本実施形態では、第1被規制部が、前述したように、光導波路10を貫通する貫通孔144、145であり、第2被規制部が、前述したように、ソケット301、302のうち、光導波路10に臨む面に開口する開口部321、322である。そして、貫通孔144、145の内径と開口部321、322の内径とが等しくなっている。
【0124】
このような構成によれば、棒状の挿入部564、564を備える治具56を用いることで、光導波路10に対するソケット301、302の位置合わせを容易かつ正確に行うことができる。
【0125】
なお、開口部321、322は、ソケット301、302を貫通していなくてもよいが、貫通しているのが好ましい。これにより、開口部321、322は、治具56による位置合わせに用いられるだけでなく、ソケット301、302に対する光電変換モジュール52の位置合わせにも利用することができる。その結果、ソケット301、302を介して、光導波路10に対する光電変換モジュール52の位置合わせを精度よく簡単に行うことができる。
【0126】
治具56は、前述したように、棒状をなす少なくとも2つの挿入部564、564を有する。前述した光導波路10とソケット301の位置合わせは、挿入部564、564を光導波路10の貫通孔144、144に挿通し、かつ、ソケット301の開口部321、321に挿入する操作である。
このような操作によれば、簡単な操作で位置合わせを効率よく行うことができる。
【0127】
治具56の形状は、特に限定されないが、本実施形態では、挿入部564同士を連結する基部562を有する形状である。このような形状によれば、2本の挿入部564、564の距離を厳密に制御することができるので、挿入部564、564を貫通孔144、144に挿通したり、開口部321、321に挿入したりする操作を、特に容易に行うことができる。
【0128】
また、光導波路10は、コア部14と、光路変換部である光入射面141および光出射面143と、を有する。コア部14は、光を伝搬する。光入射面141および光出射面143は、コア部14に設けられ、光の進行方向を変換する。
【0129】
このような構成によれば、シート状をなす光導波路10の上面(第2面110)にソケット301、302を装着するだけで、光の散乱や漏れ等を抑えつつ、光導波路10と光電変換モジュール52との光結合が可能になる。これにより、簡単な構造で低コスト化が容易なセンサー用光部品1を実現することができる。
【0130】
また、本実施形態では、光導波路10の上面(第2面110)、すなわち、光導波路10の被着体9とは反対側の面に、ソケット301、302を接着する。これにより、光導波路10の上面(第2面110)に光電変換モジュール52を配置することができる一方、光導波路10の下面(第1面109)は、平坦面となる。このため、センサー用光部品1を被着体9に対して良好に密着させることができる。
【0131】
以上のように、本実施形態に係るセンシングシステムの製造方法は、シート状をなす光導波路10、ソケット301、302、ならびに、発光素子521および受光素子522を有する光電変換モジュール52を備え、光導波路10が被着体9に取り付けられた状態で用いられるセンシングシステム100の製造方法であって、ソケット位置合わせ工程と、ソケット接着工程と、治具除去工程と、モジュール接続工程と、を有する。ソケット位置合わせ工程では、治具56により、光導波路10とソケット301、302との位置合わせを行う。ソケット装着工程では、光導波路10とソケット301、302とを接着し、接着体を得る。治具除去工程では、接着体から治具56を取り除く。モジュール接続工程では、ソケット301、302に対する光電変換モジュール52の装着を行い、光導波路10と光電変換モジュール52とを光学的に接続する。
【0132】
このような構成によれば、内部での損失が少なく、被着体9に取り付ける作業の作業性が高いセンサー用光部品1を備えるセンシングシステム100を、効率よく製造することができる。
【0133】
また、治具56は、前述したように、棒状をなす少なくとも2つの挿入部564、564を有する。前述した接着体は、光導波路10を貫通する貫通孔144、144、および、ソケット301を貫通する開口部321、321を有する。そして、前述した位置合わせは、挿入部564、564を貫通孔144、144に挿通し、かつ、開口部321、321に挿入する操作である。さらに、光電変換モジュール52は、少なくとも2つの突出部であるピン531、531を有する。そして、前述した光電変換モジュール52の装着は、ピン531、531を開口部321、321に挿入する操作である。
【0134】
このような構成によれば、治具56の挿入部564を、貫通孔144および開口部321に差し込むだけで、光導波路10とソケット301との位置合わせが完了し、かつ、開口部321に対してピン531を差し込むだけで、光電変換モジュール52の装着が完了する。このため、光導波路10と光電変換モジュール52との間で光結合損失の少ない接続状態が確立されたセンシングシステム100を製造することができる。
【0135】
3.第3実施形態
次に、第3実施形態に係るセンシングシステムについて説明する。
【0136】
図13は、第3実施形態に係るセンサー用光部品1Aおよび発光モジュール52aを示す断面図である。図14は、第3実施形態に係るセンサー用光部品1Aおよび受光モジュール52bを示す断面図である。
【0137】
以下、第3実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図13および図14において、第1実施形態と同様の構成については、先に説明したのと同じ符号を付している。
【0138】
前述した第1実施形態では、光電変換モジュール52が有するピン531、532をソケット301、302が有する開口部321、322に挿入することにより、光電変換モジュール52とセンサー用光部品1との位置合わせを行う。
【0139】
これに対し、本実施形態では、ピン531、532を省略している。そして、図13に示すように、ソケット301Aが有する凹部331に対して、発光モジュール52aを嵌めている。同様に、図14に示すように、ソケット302Aが有する凹部332に対して、受光モジュール52bを嵌めている。
【0140】
このような構成によれば、発光モジュール52aが有する筐体527とソケット301Aが有する凹部331との嵌め合いにより、ソケット301Aに対する発光モジュール52aの位置合わせが可能になる。また、受光モジュール52bが有する筐体528とソケット302Aが有する凹部332との嵌め合いにより、ソケット302Aに対する受光モジュール52bの位置合わせが可能になる。これにより、嵌め合いという簡単な操作で位置合わせを完了し得るセンシングシステム100を実現することができる。また、筐体527、528および凹部331、332は、双方、視認性が良好であり、互いに位置を合わせやすいという点でも、この操作は有用である。
以上のような第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0141】
4.第4実施形態
次に、第4実施形態に係るセンシングシステムについて説明する。
【0142】
図15は、第4実施形態に係るセンサー用光部品1Bおよび発光モジュール52aを示す断面図である。図16は、第4実施形態に係るセンサー用光部品1Bおよび受光モジュール52bを示す断面図である。
【0143】
以下、第4実施形態について説明するが、以下の説明では、第3実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図15および図16において、第3実施形態と同様の構成については、先に説明したのと同じ符号を付している。
【0144】
前述した第3実施形態では、発光モジュール52aの外形状とソケット301A、302Aが有する凹部331、332の内形状とを合わせることにより、嵌め合いを可能にしている。
【0145】
これに対し、本実施形態では、第1実施形態と第3実施形態とを組み合わせている。具体的には、発光モジュール52aは、ピン531をソケット301Bの開口部321に挿入すること、および、筐体527の内形状とソケット301Bの外形状とを合わせたことによる嵌め合い、を利用して位置合わせがなされている。受光モジュール52bは、ピン532をソケット302Bの開口部322に挿入すること、および、筐体528の内形状とソケット302Bの外形状とを合わせたことによる嵌め合い、を利用して位置合わせがなされている。
【0146】
このような構成によれば、ピン531、532を用いた位置合わせと、嵌め合いを利用した位置合わせと、を併用しているので、位置合わせの精度をより高めることができる。
以上のような第4実施形態においても、第3実施形態と同様の効果が得られる。
【0147】
5.第5実施形態
次に、第5実施形態に係るセンシングシステムについて説明する。
【0148】
図17は、第5実施形態に係るセンサー用光部品1Cおよび光電変換モジュール52Cを示す断面図である。
【0149】
以下、第5実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図17において、第1実施形態と同様の構成については、先に説明したのと同じ符号を付している。
【0150】
前述した第1実施形態では、光電変換モジュール52が2つの筐体に分かれている。これに対し、本実施形態では、図17に示すように、光電変換モジュール52Cが1つの筐体527Cを有しており、その中に発光素子521、受光素子522および基板526C等が収容されている。つまり、本実施形態に係る光電変換モジュール52Cは、発光素子521および受光素子522の双方を収容する筐体527C(第3筐体)を有する。
【0151】
このような構成によれば、光電変換モジュール52Cが1つの部材であるため、第1実施形態に比べてコンパクトで組み立てが容易なセンシングシステム100が得られる。また、光導波路10の全体が筐体527Cで覆われるため、センシングシステム100の信頼性を高めることができる。
【0152】
また、本実施形態に係るセンサー用光部品1Cは、第1実施形態に係るセンサー用光部品1が有するソケット301、302に代えて、ソケット303を1つ有している。ソケット303は、図17に示すように、ソケット301とソケット302とを繋げたような形状を有しており、開口部321、322を有する。さらに、光電変換モジュール52Cの筐体527Cの内側面は、ソケット303の外側面に嵌るようになっている。これにより、ピン531、532を開口部321、322に挿入することによる位置合わせに加え、筐体527Cとソケット303との嵌め合いによる位置合わせを利用することができる。その結果、位置合わせの精度をより高めることができる。
以上のような第5実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0153】
6.第6実施形態
次に、第6実施形態に係るセンシングシステムについて説明する。
【0154】
図18は、第6実施形態に係るセンサー用光部品1Dおよび光電変換モジュール52Dを示す断面図である。
【0155】
以下、第6実施形態について説明するが、以下の説明では、第5実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図18において、第6実施形態と同様の構成については、先に説明したのと同じ符号を付している。
【0156】
前述した第5実施形態では、光電変換モジュール52Cが有するピン531、532をソケット303が有する開口部321、322に挿入することにより、光電変換モジュール52Cとセンサー用光部品1Cとの位置合わせを行う。
【0157】
これに対し、本実施形態は、ピン531、532を省略した光電変換モジュール52Dを備えている。そして、図18に示すように、ソケット304が有する凹部334に対して、光電変換モジュール52Dを嵌めている。
【0158】
このような構成によれば、光電変換モジュール52Cが有する筐体527Cとソケット304が有する凹部334との嵌め合いにより、ソケット304に対する光電変換モジュール52Dの位置合わせが可能になる。これにより、嵌め合いという簡単な操作で位置合わせを完了し得るセンシングシステム100を実現することができる。また、筐体527Cおよび凹部334は、双方、視認性が良好であり、互いに位置合わせしやすいという点でも、この操作は有用である。
以上のような第6実施形態においても、第5実施形態と同様の効果が得られる。
【0159】
以上、本発明のセンサー用光部品の製造方法、センサー用光部品、センシングシステムの製造方法およびセンシングシステムを、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0160】
例えば、本発明のセンサー用光部品およびセンシングシステムは、前記実施形態の各部が同様の機能を有する任意の構成のものに置換されたものであってもよく、前記実施形態に任意の構成物が付加されたものであってもよい。
【0161】
また、本発明のセンサー用光部品は、被着体接着層を覆う保護層をさらに有していてもよい。この保護層は、センサー用光部品を被着体に接着する作業の直前に被着体接着層から剥がされることにより、清浄な接着面を容易に準備することを可能にする。これにより、異物の巻き込みを抑えることができ、より密着性の高い接着を行うことができる。
【0162】
さらに、本発明のセンサー用光部品の製造方法およびセンシングシステムの製造方法は、前記実施形態に任意の目的の工程が付加されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0163】
1 センサー用光部品
1A センサー用光部品
1B センサー用光部品
1C センサー用光部品
1D センサー用光部品
2 被着体接着層
8 破断面
9 被着体
10 光導波路
11 クラッド層
12 クラッド層
13 コア層
14 コア部
15 側面クラッド部
16 シート体
18 第1カバー層
19 第2カバー層
52 光電変換モジュール
52C 光電変換モジュール
52D 光電変換モジュール
52a 発光モジュール
52b 受光モジュール
54 制御部
56 治具
91 亀裂
100 センシングシステム
109 第1面
110 第2面
141 光入射面
143 光出射面
144 貫通孔
145 貫通孔
301 ソケット
301A ソケット
301B ソケット
302 ソケット
302A ソケット
302B ソケット
303 ソケット
304 ソケット
311 窓部
312 窓部
321 開口部
322 開口部
331 凹部
332 凹部
334 凹部
521 発光素子
522 受光素子
523 アンプ
524 ADコンバーター
525 基板
526 基板
526C 基板
527 筐体
527C 筐体
528 筐体
529 配線
531 ピン
532 ピン
562 基部
564 挿入部
L1 入射光
L2 出射光
L3 反射光
t1 厚さ
t2 厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18