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特開2023-128260グラフィカルユーザインタフェース制御装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128260
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】グラフィカルユーザインタフェース制御装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/04847 20220101AFI20230907BHJP
   G06F 3/0488 20220101ALI20230907BHJP
【FI】
G06F3/0484 170
G06F3/0488
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032493
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 利佳子
(72)【発明者】
【氏名】権藤 真
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA22
5E555AA26
5E555BA05
5E555BA06
5E555BA36
5E555BB05
5E555BB06
5E555BB36
5E555BC08
5E555CA13
5E555CB07
5E555CB16
5E555CB40
5E555CC26
5E555DB22
5E555DB51
5E555DB56
5E555DC13
5E555DC61
5E555DD06
5E555EA11
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】GUIにおけるドラッグ操作の操作量をユーザが把握しやすくする。
【解決手段】タッチパネル20を有するグラフィカルユーザインタフェースの動作を制御する装置11であって、第1処理部12及び第2処理部15を備える。第1処理部12は、タッチパネル20に表示された一次元方向に移動可能なスライダ47~49を、タッチパネル20に接触して行われたスライダ47~49のタッチ操作に応じて移動させる。第2処理部15は、スライダ47~49タッチ操作されている間、スライダ47~49からスライダ47~49の移動方向に対して直交する方向に離隔したタッチパネル20上の位置に、マーカ50を表示する。
【選択図】図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルを有するグラフィカルユーザインタフェースの動作を制御する装置であって、
前記タッチパネルに表示された一次元方向に移動可能なスライダを、前記タッチパネルに接触して行われた前記スライダのタッチ操作に応じて移動させる第1処理部と、
前記スライダがタッチ操作されている間、前記スライダから前記スライダの移動方向に対して直交する方向に離隔した前記タッチパネル上の位置に、マーカを表示する第2処理部と、
を備えるグラフィカルユーザインタフェース制御装置。
【請求項2】
前記第1処理部は、複数の前記スライダを前記タッチパネルに表示させ、前記第2処理部は、タッチ操作された前記スライダに対応する前記マーカを、スライダ毎に異なる態様で前記タッチパネルに表示させる請求項1に記載のグラフィカルユーザインタフェース制御装置。
【請求項3】
前記第1処理部は、タッチ操作された前記スライダの移動領域の態様と、タッチ操作されていない前記スライダの移動領域の態様とを異ならせて、前記スライダに対応する前記移動領域を前記タッチパネルに表示させる請求項2に記載のグラフィカルユーザインタフェース制御装置。
【請求項4】
タッチ操作された前記スライダの操作内容を判別する判別部と、前記判別部が判別した前記操作内容に基づいて前記スライダのタッチ操作による移動が確定したか否かを判定する判定部とをさらに備え、前記第2処理部は、前記判定部の判定結果による前記スライダの移動の確定前と確定時とで異なる態様で、前記マーカを前記タッチパネルに表示させる請求項1~3のいずれか1項に記載のグラフィカルユーザインタフェース制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラフィカルユーザインタフェース(以下、「GUI」と略記する。)制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示部の画面上にタッチパネルを配置したGUIは、ユーザによる画面のタッチ操作をタッチパネルにより検出する。画面のタッチ操作をGUIが検出すると、GUIを搭載した電子機器において、タッチ操作の内容に応じた処理が実行される。
【0003】
特許文献1では、電子レンジのGUIにおいて、食品の加熱に関する2つの要素の設定値を1回の動作で同時に入力する技術が提案されている。この提案は、2つの要素に対応する座標軸を有する直交座標系をGUIの表示部に表示させ、ユーザが指でタッチした表示部上の点を直交座標系上で上下左右又は斜めに移動させて、両要素の設定値に対応する座標値の地点までドラッグ操作させるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2015-59920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、表示部のドラッグ操作中に、指等でタッチしている位置が指等の後ろに隠れて、ドラッグ操作の操作量をユーザが把握しにくくなる。特許文献1では、ドラッグ操作の操作量を把握しやすくする方法について言及されていない。
【0006】
本発明の目的は、GUIにおけるドラッグ操作の操作量をユーザが把握しやすくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明の1つの態様に係るグラフィカルユーザインタフェース制御装置は、
タッチパネルを有するグラフィカルユーザインタフェースの動作を制御する装置であって、
前記タッチパネルに表示された一次元方向に移動可能なスライダを、前記タッチパネルに接触して行われた前記スライダのタッチ操作に応じて移動させる第1処理部と、
前記スライダがタッチ操作されている間、前記スライダから前記スライダの移動方向に対して直交する方向に離隔した前記タッチパネル上の位置に、マーカを表示する第2処理部と、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、GUIにおけるドラッグ操作の操作量をユーザが把握しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るGUI制御装置を備えるユーザ端末装置の構成を示す図である。
図2図2は、図1の表示部を筐体の正面に配置したスマートフォンを示す図である。
図3A図3Aは、図2のイコライザ設定画面上でユーザが指で高音のスライダをタッチ操作した状態を示す図である。
図3B図3Bは、図3Aのスライダのタッチ操作によりイコライザ設定画面上に高音のスライダに対応するバーが表示された状態を示す図である。
図3C図3Cは、図3Bのスライダのドラッグ操作によりイコライザ設定画面上で高音のスライダ及びバーが移動した状態を示す図である。
図3D図3Dは、図3Cのスライダのドラッグ操作によるイコライザ設定画面上における高音のスライダの移動が確定した状態を示す図である。
図3E図3Eは、図3Cのスライダの移動が確定する前の保留期間における高音のスライダの微調整による移動の受け付け状態を示す図である。
図4A図4Aは、図3Aのスライダのタッチ操作によりイコライザ設定画面上に低音のスライダに対応するバーが表示された状態を示す図である。
図4B図4Bは、図3Aのスライダのタッチ操作によりイコライザ設定画面上に中音のスライダに対応するバーが表示された状態を示す図である。
図4C図4Cは、図3Aのスライダのタッチ操作によりイコライザ設定画面上の高音のスライダに対応する移動領域が着色して表示された状態を示す図である。
図5図5は、図2のイコライザ設定画面のリンクボタンがオンされて、ドラッグ操作された1つのスライダの移動に他の2つのスライダが連動して移動する状態を示す図である。
図6図6は、図2のイコライザ設定画面のスライダの移動方向を90゜変更した場合を示す図である。
図7図7は、図3Aのスライダのタッチ操作によりイコライザ設定画面上に高音のスライダに対応する位置マークが表示された状態を示す図である。
図8図8は、本発明の第2実施形態に係るGUI制御装置により、図1の表示部に音量設定画面が表示された状態を示す図である。
図9A図9Aは、図8のスライダのタッチ操作により音量設定画面上に左チャンネルのスライダに対応するバーが表示された状態を示す図である。
図9B図9Bは、図8のスライダのタッチ操作により音量設定画面上に右チャンネルのスライダに対応するバーが表示された状態を示す図である。
図10図10は、図8の音量設定画面のリンクボタンがオンされて、ドラッグ操作された右チャンネルのスライダの移動に左チャンネルのスライダが連動して移動する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一あるいは同等の部位、又は構成要素には、同一の符号を付している。
【0011】
以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものである。この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置、機能等を下記のものに特定するものでない。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るGUI制御装置を備えるユーザ端末装置の構成を示す図である。図1のユーザ端末装置1は、例えば、スマートフォン、タブレット端末装置等の携帯端末によって構成することができる。ユーザ端末装置1は、携帯端末でなく据え置き型の端末装置でもよい。ユーザ端末装置1は、汎用のマイクロコントローラ10及びタッチパネル20を有している。
【0013】
マイクロコントローラ10は、CPU(Central Processing Unit )及びメモリを備える。メモリは、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。マイクロコントローラ10は、メモリに記憶させたプログラムをCPUが実行することで、複数の情報処理回路を仮想的に構築することができる。マイクロコントローラ10は、複数の情報処理回路により、本実施形態のGUI制御装置11を構成する。
【0014】
GUI制御装置11は、タッチパネル20を有するGUIの動作を制御する。タッチパネル20は、ユーザインタフェース(以下、「UI」と略記する。)として用いられ、ユーザからの情報の入力を受け付け、あるいは、ユーザに対する情報の出力を行う。タッチパネル20は、液晶パネルのような表示部21と位置入力装置とを組み合わせて構成することができる。本実施形態のタッチパネル20では、位置入力装置としてタッチパッド23を用いている。タッチパッド23は、タッチスクリーン、タッチ画面、又は接触画面等と呼称される場合もある。
【0015】
図1のユーザ端末装置1が、例えば、図2に示すスマートフォン30である場合、タッチパネル20の表示部21は、スマートフォン30のハウジング31の正面に配置される。図2では、イコライザ設定画面40が表示部21に表示された状態を示している。イコライザ設定画面40は、例えば、スマートフォン30にインストールされた音楽再生用のモバイルアプリケーション(図示せず)を実行すると、表示部21に表示される。
【0016】
モバイルアプリケーションは、スマートフォン、タブレットコンピュータ、その他携帯端末で動作するように設計・製作されたアプリケーションソフトウェアである。イコライザ設定画面40は、スマートフォン30にインストールされたネイティブアプリの実行時以外でも、例えば、インターネット上のクラウドサーバに構築したモバイル向けWebサイトのコンソール画面として、表示部21にさせることができる。
【0017】
図2のイコライザ設定画面40は、3つの調整部41~43を有している。各調整部41~43には、直線の移動領域44~46内を一次元方向に移動可能なスライダ47~49が表示される。図2の例では、上下方向が一次元方向に相当している。移動領域44~46及びスライダ47~49は、スライドボリュームをイラスト化したものである。スライドボリュームは、スライダを直線的にスライドさせて抵抗値を調整するポテンショメータの一種である。
【0018】
各調整部41~43には、低音、中音及び高音の3つの周波数帯域が割り当てられている。各周波数帯域には、同一の帯域幅の周波数が均等に割り当てられてもよく、異なる帯域幅の周波数が割り当てられてもよい。表示部21に接触させた指等の物体で、各調整部41~43のスライダ47~49をドラッグ操作することで、再生する楽曲の音声信号の周波数特性を周波数帯域毎に調整することができる。周波数特性の調整分解能は、各周波数帯域で同じであってもよく異なってもよい。本実施形態では、周波数特性の調整分解能が各周波数帯域で同じであるものとする。周波数帯域によって周波数特性の調整分解能が異なる場合、移動領域44~46に付す目盛り又は移動領域44~46の長さが周波数帯域によって異なる。
【0019】
周波数帯域によって異なる目盛りを付す場合、各移動領域44~46の近傍に対応する周波数帯域の目盛りをそれぞれ付してもよい。あるいは、イコライザ設定画面40に目盛りを1つだけ表示し、表示する目盛りの内容を、スライダ47~49のドラッグ操作による周波数特性の調整中の周波数帯域に応じた内容に随時切り替えてもよい。
【0020】
スライダ47~49のドラッグ操作は、例えば、タッチペン等の指以外の物体を表示部21に接触させて行うこともできる。
【0021】
図1のタッチパッド23は、表示部21に接触させた指等による図2の表示部21のタッチ操作を検出する。タッチパッド23は、例えば、静電容量方式で表示部21のタッチ操作を検出することができる。
【0022】
マイクロコントローラ10は、GUI制御装置11を構成する複数の情報処理回路により、図1に示す第1処理部12、タッチ検出部13、第2処理部15、判別部17及び判定部19を構成する。
【0023】
本実施形態では、上記した情報処理回路(12,13,15,17,19)をマイクロコントローラ10及びソフトウェアによって実現する例を示す。もちろん、専用のハードウェアを用意して、情報処理回路(12,13,15,17,19)を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路(12,13,15,17,19)を個別のハードウェアにより構成してもよい。
【0024】
表示部21には、図2の移動領域44~46内を移動するスライダ47~49を含むイコライザ設定画面40が表示される。
【0025】
タッチ検出部13は、表示部21に接触させた指等によるスライダ47~49のタッチ操作を、図1のタッチパッド23の出力に基づいて検出することができる。タッチ操作は、ドラッグ操作、タップ操作及びフリック操作を含むものとすることができる。ドラッグ操作は、画面に触れたまま画面をなぞる操作を意味する。タップ操作は、画面に触れたら直ぐに画面から離す操作、フリック操作は画面に触れたまま画面上で払う操作を意味する。
【0026】
図1の第1処理部12は、タッチ検出部13によって図2のスライダ47~49のタッチ操作が検出されると、検出されたタッチ操作に応じて、表示部21に表示されたスライダ47~49を、移動領域44~46内で移動させることができる。
【0027】
図1の第2処理部15は、タッチ検出部13による図2のスライダ47~49のタッチ操作の検出中に、スライダ47~49からスライダ47~49の移動方向に対して直交する方向に離隔した位置に配置されるマーカを、タッチパネル20上に表示させる。タッチパネル20上に表示させるマーカの詳細は後述する。
【0028】
判別部17は、図1のタッチ検出部13が検出したタッチ操作による図2のスライダ47~49の操作内容を判別する。図1の判別部17が判別する図2のスライダ47~49の操作内容は、スライダ47~49のタップ操作及びドラッグ操作を含むものとすることができる。
【0029】
図1の判定部19は、判別部17が判別した図2のスライダ47~49の操作内容に基づいて、スライダ47~49のドラッグ操作による移動領域44~46内での移動が確定したか否かを判定する。スライダ47~49の移動が確定したか否かの判定方法については後述する。
【0030】
イコライザ設定画面40において、例えば、調整部43のスライダ49をユーザが指でドラッグ操作すると、図3Aに示すように、指60の後ろにスライダ49が隠れて、ドラッグ操作により移動したスライダ49の位置をユーザが把握しにくくなる。
【0031】
本実施形態では、スライダ49のドラッグ操作の際に、イコライザ設定画面40上でユーザがスライダ49を指60でタッチ操作すると、指60によるスライダ49のタッチ操作を図1のタッチ検出部13が検出する。
【0032】
タッチ検出部13がスライダ49のタッチ操作を検出すると、第2処理部15が、図3Bに示すように、イコライザ設定画面40にマーカとしてのバー50を表示する。図1の第2処理部15による図3Bのバー50の表示は、バー50が点滅状態で表示される態様でもよく、バー50が常時点灯状態で表示される態様でもよい。
【0033】
バー50は、図1のタッチ検出部13がタッチ操作を検出した図2のスライダ49に対応する。図3Bのバー50は、スライダ49から、スライダ49の移動方向に対して直交する方向に延在する。バー50は指60の幅Wよりも大きい長さを有している。バー50の延在方向における両端は、スライダ49から、スライダ49の移動方向に対して直交する方向に離隔した、タッチパネル20上のイコライザ設定画面40の左右両端の位置に配置される。
【0034】
図2のスライダ49のドラッグ操作を図1のタッチ検出部13が検出すると、第1処理部12が、図2のイコライザ設定画面40に表示されるスライダ49の位置を、移動領域46内で図3Bに示す位置から図3Cに示す位置に移動させる。スライダ49の移動に合わせて、図1の第2処理部15が表示させる図3Bのバー50も、図3Cに示す位置に移動する。
【0035】
スライダ49のドラッグ操作を図1のタッチ検出部13が検出しなくなると、判定部19が、図3Cの位置でドラッグ操作によるスライダ49の移動が確定したと判定する。スライダ49の移動が確定したと図1の判定部19が判定すると、第1処理部12が、イコライザ設定画面40に表示されるスライダ49の位置を、図3Cの位置で固定させる。スライダ49の移動が確定したと図1の判定部19が判定すると、図1の第2処理部15が図3Cのバー50の表示を終了させる。
【0036】
図1の第2処理部15は、判定部19の判定結果に基づいて、図3Cのバー50の表示を終了させるスライダ49の移動の確定時に、スライダ49の移動の確定前と異なる態様でバー50を表示させた後、バー50の表示を終了させてもよい。
【0037】
スライダ49の移動中にバー50が点滅状態で表示される場合、スライダ49の移動の確定時におけるバー50の表示は、例えば、バー50が常時点灯状態で表示される態様とすることができる。バー50の常時点灯状態での表示は、図3Dに示すように、バー50の点滅状態での表示における点灯期間中よりも明るさを強くして行ってもよい。
【0038】
スライダ49の移動が確定する前の移動中にバー50が常時点灯状態で表示される場合、スライダ49の移動の確定時におけるバー50の表示は、例えば、スライダ49の移動の確定前よりも強い明るさによる常時点灯状態の態様で行うことができる。
【0039】
図1の判定部19が、図2のスライダ49の移動が確定したと判定するのは、図2のスライダ49のドラッグ操作を図1のタッチ検出部13が検出しなくなった時点でなくてもよい。
【0040】
例えば、タッチ検出部13が、図2のスライダ49のドラッグ操作を検出しなくなった後、保留期間が経過するまでスライダ49のタッチ操作を検出しなかった場合に、スライダ49の移動が確定したと図1の判定部19が判定するようにしてもよい。
【0041】
上述した保留期間の間、スライダ49の微調整による移動を受け付ける構成としてもよい。スライダ49の微調整による移動は、例えば、図3Eに示すように、イコライザ設定画面40のバー50よりも上側又は下側の領域のタップ操作で受け付けることができる。
【0042】
図1のタッチ検出部13が、保留期間において、図3Eのイコライザ設定画面40のバー50よりも上側又は下側の領域のタップ操作を検出した場合、図1の第2処理部15は、図3Eのバー50を微小ピッチずつ移動させる。バー50よりも上側の領域がタップ操作された場合は、バー50が微小ピッチずつ上側に移動し、バー50よりも下側の領域がタップ操作された場合は、バー50が微小ピッチずつ下側に移動する。
【0043】
上述した保留期間の間、図1の第2処理部15は、図3Eのバー50の上下に、微調整マーク51を表示させて、微調整によるスライダ49の移動を受け付けていることをユーザに報知してもよい。
【0044】
図1の判定部19が、図2のスライダ49の移動が確定したと判定するのは、タッチ検出部13が、図2のスライダ49のドラッグ操作を検出しなくなった後、例えば、図3Eのイコライザ設定画面40のダブルタップ操作を検出した時点としてもよい。ダブルタップ操作は、画面を短時間に2回連続してタップする操作を意味する。
【0045】
以上に、ユーザが指60で高音に対応する調整部43のスライダ49をドラッグ操作する場合について説明した。低音及び中音に対応する調整部41,42のスライダ47,48のドラッグ操作の際にも、指60によるタッチ操作を図1のタッチ検出部13が検出すると、第2処理部15は、マーカとしてのバー50をイコライザ設定画面40に表示させる。
【0046】
各スライダ47~49に対応するバー50は、図1のタッチ検出部13がタッチ操作を検出したスライダ47~49毎に異なる態様で表示部21に表示させてもよい。バー50の態様をスライダ47~49毎に変えることで、どの周波数帯域のスライダ47~49がタッチ操作されているかを、表示部21に表示されるバー50の態様によってユーザに認識させることができる。
【0047】
バー50の態様は、例えば、バー50の色を変えることで異ならせることができる。図1のタッチ検出部13がタッチ操作を検出したスライダ47~49毎にバー50の色を変える場合、バー50は、低音、中音及び高音の各周波数帯域によって異なる色で表示部21に表示されることになる。バー50の色をスライダ47~49毎に変える代わりに、バー50の明るさ又は点滅速度をスライダ47~49毎に変える等、色以外の要素によってバー50の態様を変えてもよい。
【0048】
図1の第2処理部15は、各スライダ47~49に対応する移動領域44~46を、対応するスライダ47~49のタッチ操作をタッチ検出部13が検出しているか否かによって態様を異ならせて、表示部21に表示させてもよい。タッチ検出部13の検出状態によって移動領域44~46の表示態様を異ならせることで、どの周波数帯域のスライダ47~49がタッチ操作されているかを、移動領域44~46の表示態様によってユーザに認識させることができる。
【0049】
移動領域44~46の表示態様は、例えば、移動領域44~46の色、明るさ等を変えることで異ならせることができる。図4A図4Cは、バー50及び移動領域44~46の態様を色により変える場合の例を示している。図4A図4Cでは、バー50の色の違いを線種によって表し、移動領域44~46の色の違いをハッチの有無及びハッチの種類によって表している。
【0050】
イコライザ設定画面40は、図5に示すように、調整部41~43の下方にリンクボタン52を有していてもよい。図1の第1処理部12は、図5のリンクボタン52がタッチ操作によりオンされた場合に、イコライザ設定画面40に表示されるスライダ47~49を連動して移動させることができる。
【0051】
スライダ47~49を連動して移動させる場合、図1の第1処理部12は、図5のイコライザ設定画面40に表示されるスライダ47~49のうちドラッグ操作された1つのスライダの移動に連動して、ドラッグ操作されていない他の2つのスライダを移動させる。
【0052】
図1の第1処理部12は、連動して移動させる2つのスライダを、ドラッグ操作された1つのスライダと同じ移動量だけ移動させてもよい。第1処理部12は、ドラッグ操作された1つのスライダの移動量に関係なく、1つのスライダの移動後の位置に対応するバランスのよい位置に、連動する2つのスライダを移動させてもよい。
【0053】
ドラッグ操作された1つのスライダの移動に連動させて他の2つのスライダを移動させる場合、図1の第2処理部15は、他の2つのスライダに対応するバー50をイコライザ設定画面40に表示させてもよい。
【0054】
他の2つのスライダに対応するバー50の表示は、例えば、図5に示すように、ドラッグ操作された1つのスライダに対応するバー50と異なる線種で行うことができる。図1の第2処理部15は、ドラッグ操作された1つのスライダに対応するバー50と異なる色で、他の2つのスライダに対応するバー50を表示してもよく、他の2つのスライダに対応するバー50を点滅させて表示してもよい。
【0055】
図1の第2処理部15は、ドラッグ操作された1つのスライダに対応するバー50を、連動して移動させる他の2つのスライダに対応するバー50と異なる態様で表示させてもよい。異なる態様でのバー50の表示は、バー50の色の違い、線種の違い等によって実現させることができる。
【0056】
図1の第1処理部12は、図6に示すように、イコライザ設定画面40におけるスライダ47~49の移動方向を90゜変更してもよい。
【0057】
本実施形態のGUI制御装置11によれば、ドラッグ操作する指60の後ろにスライダ47~49が隠れても、指60の幅Wよりも大きい長さでスライダ49の移動方向と直交する方向に延在するバー50の表示で、スライダ49の移動方向の位置を把握できる。
【0058】
図1の第2処理部15は、各スライダ47~49に対応するバー50に代えて、位置マークをマーカとしてイコライザ設定画面40に表示させてもよい。図7は、図1のタッチ検出部13が指60によるタッチ操作を検出した図2のスライダ49に対応する位置マーク70を、第2処理部15がイコライザ設定画面40にマーカとして表示させた場合を示している。
【0059】
位置マーク70は、スライダ49から、スライダ49の移動方向に対して直交する方向に離隔した、調整部41~43の外側の箇所に配置される。スライダ49と位置マーク70との離隔方向における間隔は、スライダ49をタッチ操作する指60の幅Wよりも長い。図1の第2処理部15は、イコライザ設定画面40に表示する図7の位置マーク70を、スライダ49のドラッグ操作による移動に合わせて移動させる。
【0060】
第2処理部15がイコライザ設定画面40に位置マーク70を表示させる場合は、ドラッグ操作する指60の後ろにスライダ49が隠れても、指60の幅Wよりも外側に配置される位置マーク70の表示で、スライダ49の移動方向の位置を把握できる。
【0061】
[第2実施形態]
第2実施形態のユーザ端末装置1は、第1実施形態と同じく、図1に示す汎用のマイクロコントローラ10及びタッチパネル20を有している。マイクロコントローラ10は、メモリに記憶させたプログラムをCPUが実行することで仮想的に構築する複数の情報処理回路により、本実施形態のGUI制御装置11を構成する。マイクロコントローラ10は、GUI制御装置11を構成する複数の情報処理回路により、第1処理部12、タッチ検出部13、第2処理部15、判別部17及び判定部19を構成する。
【0062】
第2実施形態のタッチパネル20の表示部21には、図8の音量設定画面80が表示される。音量設定画面80は、左右のチャンネルのイヤホン音量に対応する2つの調整部81,82を有している。各調整部81,82には、スライドボリュームをイラスト化した、直線の移動領域83,84、移動領域83,84内を一次元方向に移動可能なスライダ85,86及びリンクボタン87が表示される。図8の例では、上下方向が一次元方向に相当している。
【0063】
各調整部81,82のスライダ85,86を、表示部21に接触した指等の物体でドラッグ操作することで、再生する楽曲の音量をチャンネル毎に調整することができる。スライダ85,86のドラッグ操作は、例えば、タッチペン等の指以外の物体を表示部21に接触させて行うこともできる。
【0064】
第2実施形態のタッチ検出部13は、表示部21に接触させた指等によるスライダ85,86のタッチ操作を、図1のタッチパッド23の出力に基づいて検出することができる。
【0065】
第2実施形態の第1処理部12は、タッチ操作部13によって図8のスライダ85,86のタッチ操作が検出されると、検出されたタッチ操作に応じて、表示部21に表示されたスライダ85,86を、移動領域83,84内で移動させることができる。
【0066】
第2実施形態の第2処理部15は、タッチ検出部13による図8のスライダ85,86のタッチ操作の検出中に、マーカを音量設定画面80に表示させる。マーカは、スライダ85,86からスライダ85,86の移動方向に対して直交する方向に離隔した、タッチパネル20上の位置に配置される。
【0067】
本実施形態では、例えば、スライダ85,86のドラッグ操作の際に、音量設定画面80上でユーザがスライダ85,86を指でタッチ操作すると、指によるスライダ85,86のタッチ操作をタッチ検出部13が検出する。
【0068】
タッチ検出部13がスライダ85,86のタッチ操作を検出すると、第2処理部15が、図9A及び図9Bに示すように、音量設定画面80にマーカとしてのバー90を表示する。図9Aは、左チャンネルのスライダ85のタッチ操作により、音量設定画面80上にスライダ85に対応するバー90が表示された状態を示す。図9Bは、右チャンネルのスライダ86のタッチ操作により、音量設定画面80上にスライダ86に対応するバー90が表示された状態を示す。
【0069】
第2実施形態の第2処理部15による図9A及び図9Bのバー90の表示は、第1実施形態のイコライザ設定画面40におけるバー50の表示と同様の態様で行うことができる。
【0070】
第2実施形態の判別部17は、タッチ検出部13が検出したタッチ操作による図8のスライダ85,86の操作内容を判別する。第2実施形態の判別部17が判別する図8のスライダ85,86の操作内容は、スライダ85,86のタップ操作及びドラッグ操作を含むものとすることができる。
【0071】
第2実施形態の判定部19は、判別部17が判別した図8のスライダ85,86の操作内容に基づいて、スライダ85,86のドラッグ操作による移動領域83,84内での移動が確定したか否かを判定する。スライダ85,86の移動が確定したか否かは、第1実施形態の判定部19によるスライダ47~49の移動が確定したか否かの判定と同様の方法で行うことができる。
【0072】
第2実施形態の第1処理部12は、図8のリンクボタン87がタッチ操作によりオンされた場合に、音量設定画面80に表示される2つのスライダ85,86を連動して移動させてもよい。2つのスライダ85,86を連動して移動させる場合、第2実施形態の第1処理部12は、2つのスライダ85,86のうちドラッグ操作された1つのスライダの移動に連動して、ドラッグ操作されていない他の1つのスライダを移動させる。
【0073】
第2実施形態の第1処理部12は、スライダ85,86のうちドラッグ操作されていない1つのスライダを、ドラッグ操作された1つのスライダと同じ移動量だけ移動させてもよい。第1処理部12は、スライダ85,86のうちドラッグ操作されていない1つのスライダを、ドラッグ操作された1つのスライダの移動後の位置に対応するバランスのよい位置に移動させてもよい。
【0074】
2つのスライダ85,86を連動させて移動させる場合、第2実施形態の第2処理部15は、ドラッグ操作されていないスライダに対応するバー90を音量設定画面80に表示させてもよい。ドラッグ操作されていないスライダに対応するバー90の表示は、第1実施形態におけるスライダ47~49を連動させて移動させる場合と同様に行うことができる。図10では、右チャンネルのスライダ86のタッチ操作により、スライダ86に対応するバー90に加えて、左チャンネルのスライダ85に対応するバー90が音量設定画面80上に表示された場合を示している。
【0075】
第2実施形態の第2処理部15は、各スライダ85,86に対応する移動領域83,84を、対応するスライダ85,86のタッチ操作をタッチ検出部13が検出しているか否かによって色を異ならせて、表示部21に表示させてもよい。
【0076】
第2実施形態のGUI制御装置11でも、ドラッグ操作する指60の後ろにスライダ85,86が隠れた場合に、指60の幅Wよりも大きい長さでスライダ49の移動方向と直交する方向に延在するバー90の表示で、スライダ49の移動方向の位置を把握できる。
【0077】
第2実施形態のGUI制御装置11においても、第2処理部15は、バー90に代えて、第1実施形態における図7の位置マーク70と同様のマークを、図8の音量設定画面80にマーカとして表示させてもよい。第2実施形態のGUI制御装置11においても、第1処理部12は、音量設定画面80におけるスライダ85,86の移動方向を90゜変更してもよい。
【0078】
上述した各実施形態では、スライダ47~49,85,86が2つ以上存在する場合について説明した。本発明は、スライダが単一である場合にも適用可能である。本発明は、各実施形態で説明したイコライザ、左右のチャンネルのイヤホン音量の各アプリケーションソフトウェアのGUIに限らず、例えば、複数の音源からの音声を調整して混合するミキサーのアプリケーションソフトウェア等のGUIにも適用可能である。
【符号の説明】
【0079】
10 マイクロコントローラ
11 グラフィカルユーザインタフェース(GUI)制御装置
12 第1処理部
15 第2処理部
17 判別部
19 判定部
20 タッチパネル
44~46,83,84 移動領域
47~49,85,86 スライダ
50,90 バー(マーカ)
60 指
70 位置マーク(マーカ)
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10