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特開2023-128318池施設及び池施設を使用したゴルフボール回収方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128318
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】池施設及び池施設を使用したゴルフボール回収方法
(51)【国際特許分類】
   A63B 47/02 20060101AFI20230907BHJP
   A63B 69/36 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
A63B47/02 Z
A63B69/36 522K
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032587
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】592173685
【氏名又は名称】創機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100100860
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】池野 三吉
(72)【発明者】
【氏名】池野 貴則
(57)【要約】
【課題】池に落下したゴルフボールを、効率的に回収する池施設及び池施設を使用したゴルフボール回収方法を提供する。
【解決手段】池10にグリーンが設置された池施設1であって、池10の底部20に設置され、グリーンの外周部の少なくとも一部を支持する支持部80と、底部20に形成された集球溝40と、を備える。池施設1の底部20は、集球溝40に向けて傾斜し、支持部80は、グリーンの外周部の少なくとも一部に沿って間隔を隔てて配置された複数の支持ユニット91を備え、当該支持ユニット91は、集球溝40に向けてゴルフボールが転動する方向と対向する面が凸状に形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
池にグリーンが設置された池施設であって、
前記池の底部に設置され、前記グリーンの外周部の少なくとも一部を支持する支持部と、
前記底部に形成された集球溝と、を備え、
前記底部は、前記集球溝に向けて下向きに傾斜し、
前記支持部は、前記グリーンの外周部の少なくとも一部に沿って間隔を隔てて配置された複数の支持ユニットを備え、
当該支持ユニットは、前記集球溝に向けてゴルフボールが転動する方向と対向する面が凸状に形成されている、
池施設。
【請求項2】
前記集球溝は、前記グリーンの下方を通過して配置された、
請求項1に記載の池施設。
【請求項3】
前記支持ユニットは、
三角柱に形成され、三角柱の角部は前記ゴルフボールが転動する方向と対向して配置された、
請求項1又は2に記載の池施設。
【請求項4】
前記底部の傾斜の勾配は、前記集球溝に向けて0.5~5%である、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の池施設。
【請求項5】
前記底部の傾斜の勾配は、前記集球溝に向けて1~3%である、
請求項4に記載の池施設。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の池施設を使用したゴルフボール回収方法であって、
前記池に貯留された水を排水するステップと、
前記底部に落下したゴルフボールを前記集球溝に向けて転動させるステップと、
前記集球溝に落下した前記ゴルブボールを、前記集球溝内を移動させて回収するステップと、を備える、
ゴルフボール回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、池施設及び池施設を使用したゴルフボール回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ練習場には、プレイの臨場感を高めるため、練習場の敷地内に池を設置することがある。池に落下したゴルフボールは、回収装置で回収され再利用される。
【0003】
ゴルフボールを回収する装置として、特許文献1に開示されたゴルフボール回収装置がある。特許文献1に開示されたゴルフボール回収装置では、ゴルフ練習場に設置した池の底に傾斜面を形成し、池に落ちたゴルフボールを傾斜面に沿って転動させ、傾斜面に連なるボール集合部に集球している。そして、ボール集合部に集まったゴルフボールは、排水パイプから池の水が排水されるときに、水とともに排出されてボール給配機構により所定の場所に送られる。
【0004】
特許文献1に開示されたゴルフ練習場の池には、グリーンに相当する大小2つの島が設けられている。池の中に島を設けることにより、ゴルフ練習のバリエーションの幅が広がるという工夫がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平2-98966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、池の中に島があるゴルフ練習場においてゴルフボールを回収する場合、ゴルフボールが島の外周に滞留して回収できないことがある。そして、回収できないままで池の中に残留したゴルフボールは、更にゴルフボールの滞留を生じさせ、好ましくない。
【0007】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、池に落下したゴルフボールを、効率的に回収する池施設及び池施設を使用したゴルフボール回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点に係る池施設は、
池にグリーンが設置された池施設であって、
前記池の底部に設置され、前記グリーンの外周部の少なくとも一部を支持する支持部と、
前記底部に形成された集球溝と、を備え、
前記底部は、前記集球溝に向けて下向きに傾斜し、
前記支持部は、前記グリーンの外周部の少なくとも一部に沿って間隔を隔てて配置された複数の支持ユニットを備え、
当該支持ユニットは、前記集球溝に向けてゴルフボールが転動する方向と対向する面が凸状に形成されている。
【0009】
前記集球溝は、前記グリーンの下方を通過して配置された、
こととしてもよい。
【0010】
前記支持ユニットは、
三角柱に形成され、三角柱の角部は前記ゴルフボールの転動する方向と対向して配置された、
こととしてもよい。
【0011】
前記底部の傾斜の勾配は、前記集球溝に向けて0.5~5%である、
こととしてもよい。
【0012】
前記底部の傾斜の勾配は、前記集球溝に向けて1~3%である、
こととしてもよい。
【0013】
本発明の第2の観点に係るゴルフボール回収方法は、
上記の池施設を使用したゴルフボール回収方法であって、
前記池に貯留された水を排水するステップと、
前記底部に落下したゴルフボールを前記集球溝に向けて転動させるステップと、
前記集球溝に落下した前記ゴルブボールを、前記集球溝内を移動させて回収するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、池に落下したゴルフボールを、効率的に回収する池施設及び池施設を使用したゴルフボール回収方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態1に係る池施設の池に水を入れた状態を示し、(a)は池施設の上面図、(b)は(a)のA-A線で切断した断面図である。
図2図1に示す池施設の池の水を抜いた状態の上面図である。
図3図2のB-B線で切断した断面図である。
図4】池施設に設置したグリーンを示し(a)は上面図、(b)は(a)のC-C矢視線から見た正面図である。
図5】グリーンの内部構造を示す図であり、(a)はグリーン床パネル及び人工芝の一部のみを記載した上面図、(b)はグリーンの片側のみ断面で示した側断面図である。
図6】グリーンを構成するフレームとグリーン床パネルの一部を示し、(a)は、フレームにグリーン床パネルを取り付けた状態を示す斜視図であり、(b)は、フレームのみを示す斜視図である。
図7】フレームと架台受角柱アンカーとの取付状態を示す斜視図であり、(a)は、取付状態を示す分解斜視図、(b)は、取り付けた状態での(a)のD-D線で切断した断面図である。
図8】フレームとパネルユニットを組み立てた状態を示す側面図である。
図9】フレームと支柱と架台受角柱アンカーの組立状態を示す分解斜視図である。
図10】支持ユニットと集球溝の位置関係を示す図である。
図11】アンカーボルトの作用を示す図である。
図12】(a)~(d)は、アンカーボルトの変形例を示す図である。
図13】グリーンの要部を示す側面図である。
図14】ゲート機構を示し、(a)は上断面図、(b)は側断面図、(c)は(b)のX方向から見た図である。
図15】グリーンの下部を通過してゴルフボールが集球溝に落下する状態を示し、(a)はグリーンの上面図であり、(b)は(a)のE-E矢視線から見た正面図である。
図16】変形例の池施設の外観を示す図である。
図17】本発明の実施の形態2に係る池施設の池に水をいれた状態を示し、(a)は上面図であり、(b)は(a)のF-F線で切断した断面図である。
図18】実施の形態2に係る池施設の池の水を抜いた状態を示す上面図である。
図19】ゲート機構を示し、(a)は上断面図、(b)は側断面図、(c)は(b)のY方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る池施設及び池施設を使用したゴルフボール回収方法について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図において、池施設の図面の下方を前とした長手方向を前後方向とし、前後方向と直交する池の幅方向を左右方向とし、前後方向及び左右方向と直交する方向を上下方向とする。以下、この方向を基準として説明する。なお、この方向は、説明のために定めた方向であり、実施の形態により適宜変更される。
【0017】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る池施設は、ゴルフ練習場に配設される池施設である。ゴルフ練習場に本物のゴルフ場に設置される池と近似する池施設を設けることにより、ゴルフ練習者にとっては、ペナルティエリアとしての池を意識した練習が可能となり、ゴルフ技術を向上させることができる。ゴルフ練習場の所有者にとっては、ゴルフ練習場に池施設を設けることにより、ゴルフ練習場に敷設する人工芝の面積を縮小することができる。また、人工芝の敷設面積を縮小できれば、産業廃棄物となる人工芝の処分費用を低減できる。
【0018】
以下、本実施の形態の池施設について、図面を参照して詳述する。図1(a)(b)、図2に示すように、池施設1は、池10と、池10の内部に設置されたグリーン30とから構成される。グリーン30は、実際のグリーンと相違して、人工芝、防水シート、低反発マット等で構成された模擬グリーンであるが、本実施の形態では、模擬グリーンをグリーンと称する。図1は、池10を満水にした状態の池施設を示し、図2は、池10の水を排水した状態の池施設を示す。池10の後方にグリーン30が配置される。なお、ゴルフ練習者の打席は、池10の前方向の側など池10が視認しやすく見通しの良い場所に設置される。
【0019】
図1(a)に示すように、池10は、前後方向に伸びた形状を備え、本実施の形態では、上面視で略長方形に形成されている。池10に落下したゴルフボールは、後述するように、池の後方に移動されて、後端に設けられたピット70に設けたゲート機構により回収される。したがって、池10の後端は、池の後方に移動したゴルフボールを集球しやすいように、上面視でピット70に向けて傾斜する形状に形成されている。
【0020】
池10は、地面を掘り下げて、その表面にコンクリートや防水シートを敷設して施工される。また、所定の池の形状に成形した合成樹脂製の槽を敷設して施工してもよい。池10及びグリーン30は、使用するゴルフ練習場の規模にマッチした寸法のもの選択することができる。本実施の形態では、ネットまでの距離が100~150ヤードのゴルフ練習場を使用し、池10の寸法は、好ましくは、水深500mm、幅30m、奥行き50mである。
【0021】
池10は、図2に示すように、底部20と、池10の外周を囲む側壁11と、底部20に形成された集球溝40と、を備える。本発明では、特に制限がない限り、池10を満水にしたときの水面の高さを「基準高」(H)として説明する。
【0022】
側壁11は、池10の外周から略鉛直方向に伸びる壁であり、コンクリート等により形成される。側壁11の高さは、基準高と同一または基準高より高く設定される。
【0023】
底部20には、前後方向に伸びる集球溝40により区分けされた第1受部21と第2受部22が配置される。第1受部21と第2受部22は、池10に落下したゴルフボールを受ける受部であり、第1受部21は集球溝40の右側に、第2受部22は集球溝40の左側に配置される。また、第1受部21と第2受部22は、それぞれ集球溝40に向けてθ1の勾配で下向きに傾斜している。したがって、第1受部21と第2受部22に落下したゴルブボールは、図1(b)に示すように、集球溝40に向けて転動する。ここで、第1受部21と第2受部22の勾配(θ1)は、0.5~5%、好ましくは1~3%である。
【0024】
集球溝40は、図2に示すように、池10の左右方向の中央を上下方向に伸びで配設された溝である。集球溝40は、グリーン30の下方を通過するように配置される。集球溝40をグリーン30の下方を通過させて配置することにより、グリーン30を水中で支持する後述する支持部に当たったゴルフボールをスムーズに集球溝40に導入することができる。
【0025】
集球溝40は、例えば市販のU字管により形成される。集球溝40と底部20との接合部は、図10に示すように、底部20を転動するゴルフボールを受け入れるように、U字管の上端が底部20の上面と同じ高さであるか、それより低い。なお、集球溝40は、U字管に限定されず、現場打ちコンクリートによって形成してもよい。また、集球溝40は、図3に示すように、池10の前方から後方に向けて下向きにθ2傾斜しており、前方から後方に向けて水が流れる。集球溝40の勾配は、好ましくは0.5%~3%である。
【0026】
集球溝40の上流側(前側)の端部は、図2に示すように、水が供給される供給溝50と連通し、下流側(後側)の端部は、後述するピット70のゲート機構を介して移送溝60に連通する。移送溝60の下流には、水-球分離装置が設置される。移送溝60は、水-球分離装置に向けて、好ましくは、0.5~3%で下方に傾斜する勾配を有する。
【0027】
このような池施設1において、第1受部21と第2受部22に落下したゴルフボールは、第1受部21と第2受部22の勾配(θ1)により、集球溝40に転動し、集球溝40の勾配により、集球溝40内を前方向から後方向に転動する。そして、ゴルフボールは、ピット70に設けられたゲート機構により移送溝60に送られ、水-球分離装置をへて回収されて打席に戻る。
【0028】
グリーン30は、池10の後方に配置される。池10の後方に配置されることにより、池施設1の前方向の側に設置される打席から目標地点として視認しやすくなる。グリーン30は、図4(a)(b)に示すように、後述するフレームで形成された骨組の表面に人工芝30dを固定して構成され、上面視で円形の上面部30aと、上面部30aの周りから池10に向けて下方向に傾斜する傾斜部30bと、を備える。グリーン30の上面部30aには、カップを模した孔30cを設けてもよい。なお、図4(b)は、図4(a)のC-C矢視線から見た正面図である。また、グリーン30の上面部30aに溜まったゴルフボールを除去するため、グリーン30の上面部30aにボール排除装置(図示せず)を装着してもよい。ボール排除装置を使用する場合には、セットしたタイマースイッチにより電気を送り稼働させる。ボール排除装置はボール排除棒を備え、ボール排除棒の一端をグリーン30の上面部30aの中心に配置し、ボール排除棒をグリーン30の中心を回転中心として、上面部30aの表面をなでるように回転させてゴルフボールを掃球する。
【0029】
次に、グリーン30の構造を説明する。グリーン30は、図5~9、13に示すように、底部20のコンクリートに、支持部80を固定し、支持部80の上に骨組となる複数のフレーム31を設置し、フレーム31の上にグリーン床パネル32を張り、その上に人工芝30dを固定することで形成される。
【0030】
支持部80は、図5(a)(b)に示すように、複数の支持ユニット91からなり、グリーン30を支持する。図5(a)に示すように、複数の支持ユニット91は、グリーン30の下部に同心円状に間隔をおいて設置される。支持ユニット91の位置を図面において黒丸で示した。支持部80は、複数の支持ユニット91がグリーン30の中心から一定の距離をおいて同心円状に配置された中央支持ユニット91aと、複数の支持ユニット91が中央支持ユニット91aの外側に同心円状に配置された先端支持ユニット91bからなる。
【0031】
一つの支持ユニット91は、図5(b)、図10に示すように、架台受角柱アンカー81と、架台受角柱アンカー81の上に接続される支柱90と、から構成される。架台受角柱アンカー81と支柱90は、例えば、スチール部材で形成される。
【0032】
架台受角柱アンカー81は、図9に示すように、アンカーボルト82と、頂部83と、鉄筋84と、を備える。アンカーボルト82は、三角柱に形成され、その角部が転動するゴルフボールの方向と対向する方向に向けて配置される。すなわち、三角柱の水平方向の断面の三角形の一つの底辺を集球溝40に向け、三角形の頂点を転動するゴルフボールに向けて設置される。池10に配設される全てのアンカーボルト82は、図2に示すように、三角形の底辺を集球溝40の側に、頂点は転動するゴルブボールに向けて配置される。したがって、第1受部21に落下したゴルフボールは、図11に示すように、アンカーボルト82にぶつかっても、アンカーボルト82の三角形の頂点から底辺に向けて移動し、滞留することなく集球溝40に向けて転動する。第2受部22に落下したゴルフボールも、第1受部21に落下したゴルフボールと同様に、アンカーボルト82により滞留することなく、集球溝40に向けて転動する。
【0033】
アンカーボルト82は、三角柱であると説明したが、底部20を転動するゴルブボールの動きを停止させない形状であれば、どのような形状としてもよい。すなわち、ゴルフボールが転動する方向に対向する面が、上面視で凸状に形成されていればよい。図12(a)-(d)にその一例を示す。図中矢印は、ゴルフボールの転動する方向である。図12(a)は、三角柱のアンカーボルト82であり、断面の三角形の頂点がゴルフボールと対向して配置される。図12(b)は、四角柱のアンカーボルト82であり、断面の四角形の角がゴルフボールと対向して配置される。図12(c)は、四角柱と山形鋼を組み合わせたアンカーボルト82であり、山形鋼の三角形の頂点がゴルフボールと対向して配置される。図12(d)は、円柱のアンカーボルト82である。
【0034】
何れのアンカーボルト82を使用しても、ゴルフボールの転動する方向と対向する面が凸状であり、ゴルフボールは、アンカーボルト82により動きを規制されることなく、スムーズに集球溝40まで転動する。図12(a)-(d)に示したアンカーボルト82は、第1受部21、第2受部22の傾斜角に応じて適宜選択され、単独または組み合わせて使用することができる。また、第1受部21、第2受部22に落下したゴルフボールに向けて放水する放水装置(図示せず)などの補助装置を、側壁11に設置することにより、補助装置と図12(a)-(d)に開示されたアンカーボルト82とを組み合わせて、ゴルフボールを効率よく転動させることもできる。
【0035】
頂部83は、図9に示すように、アンカーボルト82の上に接続された円板状のフランジであり、円周に沿って複数のボルト孔83aが形成されている。頂部83の上面に後述する支柱90が載置され、頂部83のボルト孔83aと支柱90のボルト孔にボルトを通して締結することで、支柱90と架台受角柱アンカー81は連結される。
【0036】
鉄筋84は、図9、10に示すように、アンカーボルト82の下部に溶接された鉄の棒であり、下部が外側に向けて折曲げられている。鉄筋84は、アンカーボルト82の下部の外周に沿って3本溶接されている。架台受角柱アンカー81を底部20に固定するときは、底部20に打ち込まれたコンクリートに、アンカーボルト82を鉄筋84が埋まる位置まで押し込み固定する。
【0037】
支柱90は、図7(a)(b)、図9に示すように、架台受角柱アンカー81とフレーム31を連結する。支柱90は、本体部90aと、本体部90aの上部に取り付ける上部フランジ90bと、下部に取り付けられる下部フランジ90cと、を備える。上部フランジ90bには、ボルト孔90bbが形成され、下部フランジ90cには、ボルト孔90ccが形成される。ボルト孔90ccと頂部83のボルト孔83aに、ボルトを挿入して締結することにより、支柱90と、架台受角柱アンカー81とが連結される。本体部90aには、円筒のパイプで形成され、横方向に伸びる連結部90dが取り付けられる。連結部90dは、図5(b)に示すように、最も外側の支持ユニット91にのみ取り付けられる。連結部90dは、その先端が主材31aの最も外側のフレームに連結されて、主材31aを所定の角度に支持する。上部フランジ90bのボルト孔90bbと、支持部材31dの第1のボルト孔31daとに、ボルトを挿入して締結することで、フレーム31と支柱90が連結される。
【0038】
フレーム31は、図5(a)(b)、図7(a)(b)、図9に示すように、支柱90の上に取り付けられる。フレーム31は、鋼製の長尺フレームであり、複数のフレーム31を組み合わせることにより、人工芝30dを固定するための骨組が形成される。図5(a)(b)に示すように、グリーン30の中央部には、フレーム31の一端部を固定するための四角柱状のグリーン中心架台33が設置されている。
【0039】
骨組を形成する複数のフレーム31は、図5(a)、図6(b)に示すように、主材31a、先端部材31b、及び中央部材31cからなる。主材31aは、グリーン中心架台33から、外側に向けて放射状に複数のフレーム31を配置して形成されるフレーム群である。主材31aのグリーン中心架台33に固定された端部と反対側の端部、すなわち外端部は、下方に傾斜して形成される。下方に傾斜させることにより、グリーン30の傾斜部30bの形状を形作る。
【0040】
先端部材31bと中央部材31cは、図5(a)、図6(b)に示すように、主材31aの下部に配置される。中央部材31cは、複数のフレーム31を支持部材31dにより連結し、グリーン中心架台33と同心状に配置されたフレーム群である。先端部材31bは、中央部材31cと同様に、複数のフレーム31を支持部材31dにより連結し、グリーン中心架台33と同心状に、中央部材31cの外側に配置されたフレーム群である。支持部材31dには、複数の第1のボルト孔31daと、第1のボルト孔31daの外側に配置された複数の第2のボルト孔31dbが形成されている。第2のボルト孔31dbにボルトを通して、一対のフレーム31を連結する。
【0041】
主材31a、先端部材31b、及び中央部材31cを組み立てることにより、図5(a)に示すように、上面視で蜘蛛の巣状の骨組が形成される。中央部材31cは、中央支持ユニット91aの上に重なるように配置され、先端部材31bは、先端支持ユニット91bの上に重なるように配置される。主材31aと、先端部材31b及び中央部材31cとは、それぞれ交差する部分で連結される。この連結点は、中央支持ユニット91a、先端支持ユニット91bが配置された位置と重なる。また、支持ユニット91は、複数の主材31aの一つ置きに配置される。
【0042】
グリーン床パネル32は、図5(a)(b)、図6(a)に示すように、主材31a、先端部材31b、及び中央部材31cにより形成された骨組の上に載置される。グリーン床パネル32は、木材で形成された長板であるパネルユニット32aを組み合わせたものである。なお、パネルユニット32aとして、アルミ板、FRP(Fiber Reinforced Plastics:繊維強化プラスチック)で形成された板を使用してもよい。パネルユニット32aをフレーム31で形成された骨組の上に敷き詰めることで一体となったグリーン床パネル32が形成される。具体的には、図5(a)、図6(a)に示すように、主材31aの隣り合う一対のフレーム31の間に、一対のフレーム31の間隔に合わせたパネルユニット32aを取り付ける。複数のフレーム31を組み合わせて円形の外観を備える骨組の上に、隙間なくパネルユニット32aを取り付けるため、パネルユニット32aの長さはグリーン30の中心から外周に向けて徐々に長くする。
【0043】
パネルユニット32aの下部には、図8図13に示すように、所定の間隔を隔てて下方に伸びる一対の脚部32bが取付けられる。パネルユニット32aの一対の脚部32bを隣り合う一対のフレーム31の間に差し込むことで、パネルユニット32aは位置決めされる。パネルユニット32aの長さL1は、脚部32bから外側に突出した部分の長さがフレーム31の幅L2の1/2となるように設定する。このような長さに設定することで、フレーム31により形成された骨組の上にパネルユニット32aを隙間無く敷き詰めることができる。
【0044】
パネルユニット32aが敷き詰められた上には、図13に示すように、防水シート34が張られる。そして、防水シート34の上に、人工芝30dを固定してグリーン30が形成される。具体的には、予め定められたグリーン30の上部の寸法に合わせて、幅寸法が定尺(910mm、1820mm等)の人工芝30dを切断して工場または現地で縫い上げる。縫い上げられた人工芝30dの中心部及び外周部を防水シート34に接着剤またはステープルで固定する。
【0045】
また、主材31a、先端部材31b、及び中央部材31cにより形成される骨組の形状は、個々のフレーム31をどのように配置するか、個々のフレーム31の長さをどのように定めるのかにより、変更することができる。本実施の形態では、主材31aの後方のフレーム31の長さを、前方のフレーム31の長さより短く設計することにより、図4(a)、図5(a)に示すように、グリーン30の傾斜部30bの幅を後方より前方を広くすることができる。すなわち、主材31aは、グリーン30の前部では傾斜を緩く長く設計され、グリーン30の後部にいくほど傾斜はきつく短く設計される。このように主材31aの形状を設計することにより、傾斜部30bは、グリーン30の前部では傾斜が緩く長くなるため、ゴルフボールは、長い傾斜部30bのスロープを転がってグリーン30上に乗る。このような傾斜部30bを提供することで、ゴルフ練習者は、実際のゴルフコースでプレイする感覚を味わうことができる。
【0046】
このように、主材31a、先端部材31b、及び中央部材31cにより形成される骨組の形状を変更することで、様々なグリーン形状の施工が可能となり、バリエーションのあるグリーン設計が可能となる。
【0047】
グリーン設計をする際に、グリーン30の上面部30aを真円としない設計も可能である。グリーン30の上面部30aが真円ではないので、ボール排除装置を稼働してゴルフボールを払い落とす時、ボール排除棒の長さが足りなくなる又は上面部30aから突き出ることが起きる。したがって、グリーンの上面部30aを真円としない設計をした場合には、ボール排除棒が伸縮するようにしてもよい。
【0048】
このようにして施工されたグリーン30の下部に、集球溝40が通る。集球溝40は、図4(a)(b)、図5(a)(b)に示すように、池10の長さ方向(前後方向)に伸び、円形のグリーン30の直径を通るように配置される。集球溝40を、円形のグリーン30の直径を通るように配置することで、アンカーボルト82の配置位置など、グリーン30の底部の設計及び工事が容易になる。
【0049】
次に、ピット70に設置されるゲート機構を説明する。図14は、フラップゲートを使用したゲート機構を示し、図14(a)は、ゲート機構の上断面図、(b)は側断面図、(c)はフラップゲートを(b)のX方向から見た図である。図14に示すように、ゲート機構200は、ゲート部210と、駆動部220と、を備える。
【0050】
ゲート部210は、角度付きレバー211と、フラップゲート212と、フラップゲート212により開閉されるゲートフレーム213と、を備える。角度付きレバー211の一端は、集球溝40の底部に設置された軸受台211aの軸受に連結され、フラップゲート212が閉じられているときは、右側に傾斜した状態に維持されている。角度付きレバー211の他端は、後述する連結バー224の一端部に連結されている。また、角度付きレバー211の一端は、軸受けに設けられた連結ピン211bを介してフラップゲート212に連結されている。角度付きレバー211とフラップゲート212は、側面視で折曲した山形に連結され、山の頂部で連結ピン211bにより連結され、連結ピン211bを中心に矢印方向に移動する。角度付きレバー211が、連結バー224により連結ピン211bを中心に反時計回りに回転すると、フラップゲート212は開き、時計回りに回転すると、フラップゲート212は閉じる。
【0051】
駆動部220は、ピット70内に配置され、減速モータ222と、減速モータ222に取り付けられた円形の回転板223と、一対のリミットスイッチ221と、連結バー224と、を備える。
【0052】
減速モータ222の回転軸は、ピット70の底部と平行に配置され、この回転軸に円形の回転板223の回転中心が接続される。回転板223は、減速モータ222が回転することにより時計回り又は反時計回りに回転される。連結バー224は下向きのコ字状に形成され、回転板223の円形の板の外周部に、コ字状の連結バー224の一端部が連結され、他端部が角度付きレバー211の一端に連結される。連結バー224は、回転板223が回転することにより、左右方向に揺動する。回転板223の外側には、2つのリミットスイッチ221が対向して配置され、連結バー224が接触することで、ゲートが全開した位置と全閉した位置を検知する。
【0053】
フラップゲート212が閉じている状態では、図14(b)に実線で示すように、角度付きレバー211は右側に傾き、連結バー224は、右側のリミットスイッチ221に接触して、減速モータ222の回転は停止している。この状態で減速モータ222が駆動され回転板223が反時計回りに回転すると、連結バー224が左側に揺動することにより角度付きレバー211は、左方向に傾く。すると、フラップゲート212は、連結ピン211bを中心に上方に回転して、ゲートを開く。ゲートが開かれると、集球溝40と移送溝60とは、側壁に設けられた開口11aにより連通される。回転板223は、フラップゲート212が閉じた状態から180°回転すると、左側のリミットスイッチ221に接触するので、減速モータ222の回転は停止する。フラップゲート212が開くことで、集球溝40に落下したゴルフボールは、移送溝60へ移動する。
【0054】
(ゴルフボールの回収方法)
底部20に溜まったゴルフボールの回収方法について、図15を参照して、説明する。図15(a)の左半分は、池10が満水となった状態の上面図であり、図15(a)の右半分は、池10から水を排水した状態の上面図である。図15(b)は、図15(a)において、池10が満水の状態でのE-E矢視線から見た正面図である。
【0055】
まず、移送溝60に設置されたゲート(図示せず)を閉じる。そして、減速モータ222を回転させてフラップゲート212を開ける。フラップゲート212は、設定された時間になると、減速モータ222が稼働されることにより開けられる。フラップゲート212を開ける時間は、通常は、営業時間中を避け、早朝又は終業時の時間帯に設定される。なお、予備球の減少次第では、営業中でも回収せざるを得ないこともある。この場合には、ゲートを開いて池の水を移送溝60に流しながら、第1受部21、第2受部22の水位を下げるとゴルフボールが押し流される。同時に池の水位が異常に下がることがない様に供給溝50から給水する。この操作は、手動操作で調整しつつ実行される。
【0056】
フラップゲート212が開けられると、池10の水が排水される。水が排水されるにつれて、池10の水位が下がり、底部20に溜まったゴルフボールは、第1受部21、第2受部22の斜面を、集球溝40に向けて転動する。底部20に落ちたゴルフボールは、底部20の傾斜自体により、集球溝40に向けて転動する場合もあるが、水を排水することにより、第1受部21、第2受部22に留まっていた全てのゴルフボールを、集球溝40に転動させることができる。第1受部21、第2受部22の勾配(θ1)は、1~3%と緩いため、池10を施工する際に、土砂を多く掘削する必要はない。また、水深を浅くすることができるので、池10に貯留する水の量を少なくできる。池10に貯留される水の量が少ないと、ゴルフボールを回収する際に排出された水を貯留しておくための循環水ピットの容積を小さくすることができる。
【0057】
転動するゴルフボールは、グリーン30の下では、アンカーボルト82の間を通過又はアンカーボルト82に当たって、集球溝40に向けて転動する。アンカーボルト82は三角柱に形成され、三角柱の断面の三角の頂点が転動するゴルフボールに対向するように配置されている。したがって、図15(a)(b)に示すように、ゴルフボールは、アンカーボルト82に当たっても、アンカーボルト82により転動を阻止されることなく、集球溝40へ移動させることができる。
【0058】
第1受部21、第2受部22に落下したゴルフボールは、集球溝40の内部に転動し、集球溝40からゲートを通過して移送溝60に移動される。移送溝60に送られたゴルフボールは、水-球分離装置に送られ、水と分離されて、回収される。予め設定した時間が経過すると、減速モータ222が逆回転しフラップゲート212は閉じられる。その後、循環水ピットから供給溝50を介して池に給水されて、池は満水となる。
【0059】
(変形例)
実施の形態1では、池10の形状は略長方形であったが、他の形状であってもよい。池10の形状を決定する際には、池10の底部20の傾斜を考慮する必要がある。すなわち、受部の集球溝40に向かう勾配を好ましくは3%に維持できれば、底部20に落下したゴルフボールを、排水と同時に集球溝40に転動させることができる。また、集球溝40は、池10の前方から後方に向けて下方に傾斜させて、集球溝40に落下したゴルフボールを、池10の前端から後端に向けても転動させる必要がある。この条件を満たす範囲で、種々の形状を備える池の設計が可能となる。
【0060】
図16は、池10の形状を長方形ではない池とした変形例を示す。変形例では受部の勾配を少なくとも3%に保ちながら、受部の一番深い位置、すなわち集球溝の始まる位置と側壁の上端との高さ(以下、側壁受部高さhという。)が最大となる最大高さを決定するとともに、集球溝の傾きを決定する。図16は、このような手法に基づいて設計された池10を満水にした場合の外観図である。
【0061】
底部の勾配を3%に維持しながら完成した池10は、図16に示すように、前方より後方の幅を広くでき、後方の幅の広い位置にグリーン30を配置することができる。後部の幅が広がる形状の池10が実現できると、打席からゴルフボールを打つゴルフ練習者にとって、視界が広がる。また、池10の後部にグリーン30が配置されるため、グリーン30を囲む池10の幅が広がり、ゴルフ練習者が練習できる領域が広がる。
【0062】
(実施の形態2)
実施の形態1では、一つの池10に一つのグリーン30を備える池施設1を説明したが、本発明は、このような構造に限定されない。本実施の形態では、池10を分離壁12で2つに分割し、分割されたそれぞれの領域にそれぞれ一つのグリーンを施工した。
【0063】
図17図18に示すように、池施設100は、池10と、池10の内部に設置される第1のグリーン301と第2のグリーン302を備える。池10は、底部20と、池10の外周を囲む側壁11と、を備える。池10の底部20の材質、側壁11の材質は、実施の形態1と同一であり、説明を省略する。
【0064】
池10は、内部の容積が略同一となる位置で、分離壁12により仕切られている。分離壁12は、池施設100の底部20から立設し、前後方向に伸びる壁である。分離壁12の上端は、基準高Hより下方に0~100mm、より好ましくは30~90mmである。分離壁12の上端が水面下にあれば、全体として一つの大きな池の外観を呈することができる。池10は、分離壁12により、左側の第1貯水部10aと右側の第2貯水部10bとに分割される。
【0065】
底部20は、第1貯水部10aの底部である第3受部23と第4受部24と、第2貯水部10bの底部である第5受部25と、から構成される。第1貯水部10aの底部20には、分離壁12から所定の距離離れた位置に前後方向に伸びる第1集球溝41が設けられる。第1集球溝41により、第3受部23と第4受部24は分離され、第1集球溝41の左側に第3受部23が配置され、右側に第4受部24が配置される。第3受部23と第4受部24は、それぞれ第1集球溝41に向けて下方にθ3の勾配、θ4の勾配で傾斜している。第1集球溝41は、第1貯水部10aの左右方向のどの位置に形成されてもよい。第1集球溝41の位置により、勾配(θ3、θ4)の角度は変化する。勾配(θ3、θ4)は、実施の形態1と同様に0.5~5%、好ましくは1~3%であり、この範囲内で、第1集球溝41の位置、勾配(θ3、θ4)の角度を設定する。
【0066】
第2貯水部10bの底部には、分離壁12に沿って第2集球溝42が形成され、第5受部25は、第2集球溝42に向けて下方にθ5の勾配で傾斜している。第2集球溝42の勾配(θ5)も0.5~5%、好ましくは1~3%の範囲内で設定することができる。第1集球溝41及び第2集球溝42は、実施の形態1の集球溝40と同様に、池10の前方から後方に向けて、好ましくは0.5~3%の勾配で下方に傾斜している。
【0067】
第1のグリーン301と第2のグリーン302は、図17に示すように、池10の後方に配置される。第2のグリーン302は、第1のグリーン301より前側に配置される。2つのグリーンを異なる位置に配置することにより、ゴルフ練習者に与える景観の印象を変化させることができる。また、グリーンの大きさを変えて景観の印象を変化させてもよい。
【0068】
第1のグリーン301は、グリーンの半分が図18に示す第1貯水部10aに配置され、第2のグリーン302は、グリーンの半分が図18に示す第2貯水部10bに配置される。第1のグリーン301と第2のグリーン302は、グリーン全体が池10の内部に配置されるのではなく、グリーンの一部が、本実施の形態ではグリーンの半分が、池10の内部に配置されるグリーン設計を行っている。このように、グリーンの半分を池10に配置することにより、池10の大きさを小さくしながら、池施設100を大きくすることができる。このような設計をすることで、池10にグリーンを二つ配置しても、グリーンを一つ配置した場合と池に落下するゴルフボールの量をほぼ等しくすることができ、回収するゴルフボールの量が増加することを抑制できる。
【0069】
第1のグリーン301は、図18に示す第1貯水部10aに設置された支持部80により支持され、第2のグリーン302は、図18に示す第2貯水部10bに設置された支持部80により支持される。第1のグリーン301と第2のグリーン302の半分が池10の内部に配置されるので、支持部80は、第1のグリーン301と第2のグリーン302の池10に配置された部分のみを支持すればよい。グリーンの全体構造としては、実施の形態1と対比すると、池以外の地上部については、支持部80の架台受角柱アンカーは不要とし、地上設置の従来工法による方法とすれば良い。支持部80のアンカーボルト82は、実施の形態1と同様に三角柱で形成されている。アンカーボルト82は、ゴルフボールが転動する方向に対向する面が凸状に形成されているので、ゴルフボールがアンカーボルト82により動きを阻止されて滞留することはない。
【0070】
第1集球溝41及び第2集球溝42は、図3に示す集球溝40と同様に、前方から後方に向けて下方向に傾斜し、水は、前方から後方に向けて流れる。第1集球溝41及び第2集球溝42の勾配は、好ましくは0.5~3%である。図18に示すように、第1集球溝41の前側(上流側)の端部は、第1貯水部10aに水を供給する第1供給溝51に連通され、後側(下流側)の端部は、後述するゲート板を開くことで移送溝61に連通する。第2集球溝42の前側(上流側)の端部は、第2貯水部10bに水を供給する第2供給溝52に連通され、後側(下流側)の端部は、後述するゲート板を開くことで移送溝61に連通する。第1供給溝51と第2供給溝52は、上流側で共通の第3供給溝53に連結されている。第1供給溝51と第2供給溝52との間には、方向変換ゲート54が設けられ、方向変換ゲート54を切り替えることにより、第3供給溝53から供給される水の流れを、第1供給溝51と第2供給溝52のいずれかに切り替えることができる。なお、移送溝61は、移送溝60と同様に、水-球分離装置に向けて、好ましくは、0.5~3%下方に傾斜する勾配を有する。
【0071】
第1集球溝41及び第2集球溝42と、移送溝61とは、図19(a)-(c)に示すゲート機構400を介して繋がる。第1集球溝41と移送溝61とを繋ぐゲート機構400は、第1ピット71に設けられ、第2集球溝42と移送溝61とを繋ぐゲート機構400は、第2ピット72に設けられる。各々のゲート機構400は、駆動部401と、駆動部401により開口11aを開閉するゲート部402と、を備える。駆動部401は、第1集球溝41の下流に設けた第1ピット71と、第2集球溝42の下流に設けた第2ピット72の中にそれぞれに配置される。
【0072】
駆動部401は、モータ401aと、モータ401aの回転軸の上部に取り付けられたスプロケット401bと、ゲート部402のスプロケット401cと、スプロケット401bとスプロケット401cに掛け渡されるローラチェーン401dと、を備える。
【0073】
ゲート部402は、ゲート板402aと、ゲート板402aの上部に取り付けられたナット402bと、ナット402bに螺合されたスクリュー402cと、スクリュー402cの上部を軸受けする軸受402dと、先端軸受402eと、を備える。ゲート板402aは、ゲートガイド402fに案内され上下動する。スプロケット401cは、先端軸受402eにより軸受けされる。スプロケット401b、スプロケット401c、及びローラチェーン401dの上部には、図19(b)では省略されているが、図19(c)に示すように、カバー403がかぶせられ、飛来するゴルフボールが衝突して損傷することを防ぐ。
【0074】
ゲート機構を稼働させるには、以下の手順で行う。図19(b)は、ゲート板402aが最下位置にあり開口11aが閉じられた状態を示し、図19(c)は、ゲート板402aが上昇し開口11aが開いた状態を示す。まず、モータ401aを一定の方向に回転させることにより、スプロケット401bを回転させてローラチェーン401dを介してスプロケット401cが回転させる。スプロケット401cが回転することにより、スクリュー402cが一定の方向に回転する。スクリュー402cの回転によりナット402bが上昇し、ナット402bの上昇に伴いゲート板402aも上昇する。ゲート板402aが上昇することにより、側壁11に設けられた開口11aが開口し、第1集球溝41又は第2集球溝42と、移送溝61が連通される。ゴルフボールは、開口11aを通過して、第1集球溝41又は第2集球溝42から移送溝61に移送される。
【0075】
ゲート板402aは、スプロケット401bに取り付けられたリミットスイッチ404により回転が停止される。すなわち、リミットスイッチ404は、スプロケット401bの回転数を計測し、所定の回転数に達したら、モータ401aの回転を停止させる。ゴルフボールが回収された後は、モータ401aを逆方向に回転させて、スクリュー402cを一定の方向と逆方向に回転させ、ゲート板402aを下降させて開口11aを閉じる。ゲート板402aの開放時間は、設定タイマーを用いて所定時間を設定して決定する。所定時間が経過すると、閉止スイッチがオフになる。
【0076】
(ゴルフボールの回収方法)
次に、本実施の形態のゴルフボールを回収する方法について、図17-19を参照して、説明する。
【0077】
まず、第1貯水部10aの水を排水する。排水するときには、方向変換ゲート54を第3供給溝53から第1供給溝51に水が供給されない方向に切り替える。そして、第1ピット71に設置されたモータ401aを駆動させ、スクリュー402cを一定の方向に回転させてゲート板402aを上昇させ開口11aを開く。第1貯水部10aに溜まっていた水は、開口11aから排出される。
【0078】
排水に伴って、第1貯水部10aの第3受部23と第4受部24に留まっていたゴルフボールは、第1集球溝41に向けて転動する。第1のグリーン301の下部に留まっていたゴルフボールは、アンカーボルト82に動きを阻止されることなく、第1集球溝41まで転動する。
【0079】
第1集球溝41に落下したゴルブボールは、第1集球溝41の傾斜により第1ピット71のゲート板402aの近傍まで到達する。ゲート板402aは上昇し、開口11aが開口しているので、ゴルフボールは、開口11aを通過して移送溝61に移送され、水-球分離装置へ移送される。ゴルフボールは、洗浄、乾燥等の処理を経て貯蔵され、打席に戻る。第1貯水部10aに貯水されていた水は、図示しない循環水ピットに溜められる。ゴルフボールが回収された後、方向変換ゲート54が第1供給溝51に水を供給する側に切り替えられて、循環水ピットに溜められた水が、第1供給溝51から第1貯水部10aに送られる。
【0080】
次に、第2貯水部10bの水を排水する。排水するときには、方向変換ゲート54を第3供給溝53から第2供給溝52に水が供給されない方向に切り替える。そして、第2ピット72に設置されたモータ401aを駆動させ、スクリュー402cを一定の方向に回転させてゲート板402aを上昇させて、開口11aを開く。第2貯水部10bに溜まっていた水は、開口11aから排出される。
【0081】
排水に伴って、第2貯水部10bの第5受部25に留まっていたゴルフボールは、第2集球溝42に向けて転動する。第2のグリーン302の下部に留まっていたゴルフボールは、支持部80のアンカーボルト82に動きを阻止されることなく、第2集球溝42に落下する。
【0082】
第2集球溝42に落下したゴルブボールは、第2集球溝42の傾斜により、第2ピット72のゲート板402aの近傍まで到達する。ゲート板402aは上昇し、開口11aが開口しているので、ゴルフボールは、開口11aを通過して移送溝61に移送されて、水-球分離装置へ移送される。ゴルフボールは、洗浄、乾燥等の処理を経て貯蔵され、打席に戻る。第2貯水部10bに貯水されていた水は、図示しない循環水ピットに溜められる。ゴルフボールが回収された後、方向変換ゲート54が第2供給溝52に水を供給する側に切り替えられて、循環水ピットに溜められた水が、第2供給溝52から第2貯水部10bに送られる。
【0083】
このように、池10を第1貯水部10aと第2貯水部10bに分割して、貯水部毎に排水してゴルブボールを回収することにより、排水された水を溜めておく循環水ピットの大きさを小さくすることができる。
【0084】
本実施の形態では、池10に二つのグリーンを設けることで、ゴルフ練習者に変化に富んだ練習施設を提供できる。また、実施の形態1と同様に、アンカーボルト82を三角柱に形成したので、第1のグリーン301又は第2のグリーン302の下部を転動するゴルフボールを滞留させることなく回収することができる。
【0085】
実施の形態1、2によれは、アンカーボルト82が三角柱に形成されているので、ゴルフボールは、アンカーボルト82により動きを阻止されることなく、集球溝40に向けて転動することができる。
【0086】
実施の形態1、2によれば、第1受部21から第5受部25は、集球溝40、第1集球溝41、又は第2集球溝42に向けて下方に1~3%の勾配で形成されている。したがって、土木工事は切盛り土量を少なくでき、土砂の搬出入も要しないなど、工事費の節減に繋がる効果がある。
【0087】
実施の形態1では、集球溝40を、池10の左右方向の中央で、前後方向に伸びるように配置すると説明したが、集球溝40の位置は、この位置に限定されない。第1受部21及び第2受部22の勾配が1~3%であれば、集球溝40は、池10の左右方向の何れの位置に配置してもよい。
【0088】
実施の形態1では、集球溝40は、円形のグリーン30の直径を通るように配置されると説明した。集球溝40の位置はこの位置に限定されず、第1受部21及び第2受部22の勾配が1~3%であれば、グリーン30の直径を通らなくても、グリーン30の下方を通らなくてもよい。
【0089】
実施の形態2では、グリーンを2つ設けた例を説明したが、グリーンの数は2つに限定されず、池10に2つ以上のグリーンを配置してもよい。
【0090】
実施の形態2では、池10を第1貯水部10aと第2貯水部10bの二つに分割したが、分割の形態はこれに限定されず、三つ以上に分割してもよい。分割数が増えれば、循環水ピットの大きさを小さくすることができる。
【0091】
実施の形態2では、池10は、内部の容積が略同一となる位置で、分離壁12により仕切られていると説明したが、分離壁12の位置はこの位置に限定されない。分離壁12は、任意の位置に配置することができる。
【0092】
実施の形態1では、フラップゲートを使用し、実施の形態2では、スプロケット401b、401c、ローラチェーン401dを使用したゲート機構を使用した。ゲート機構は、実施の形態1、実施の形態2で説明したゲート機構に限定されない。実施の形態1と実施の形態2は、同じゲート機構を使用してもよいし、相違するゲート機構を使用してもよい。
【0093】
実施の形態1、2では、ゴルフ練習場の池に設置される池施設を説明した。本発明に係る池施設は、ゴルフ練習場の池のみならず、本来のゴルフコースの池にも設置することができる。
【0094】
実施の形態1、2では、池10に水を供給する際に、供給溝50、第1供給溝51、又は第2供給溝52を使用したが、供給溝ではなく、水中ポンプを用いてホースにより池10に水を供給してもよい。
【0095】
実施の形態1、2では、グリーン30、第1のグリーン301、第2のグリーン302は、池10の後方に設置すると説明したが、グリーンの位置は、後方に限定されず、前方に設置してもよい。
【0096】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされる。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、ゴルフ練習場に形成された池に落ちたゴルフボールを回収するのに好適に利用できる。
【符号の説明】
【0098】
1 池施設、10 池、10a 第1貯水部、10b 第2貯水部、11 側壁、11a 開口、12 分離壁、20 底部、21 第1受部、22 第2受部、23 第3受部、24 第4受部、25 第5受部、30 グリーン、30a 上面部、30b 傾斜部、30c 孔、30d 人工芝、31 フレーム、31a 主材、31b 先端部材、31c 中央部材、31d 支持部材、31da 第1のボルト孔、31db 第2のボルト孔、32 グリーン床パネル、32a パネルユニット、32b 脚部、33 グリーン中心架台、34 防水シート、40 集球溝、41 第1集球溝、42 第2集球溝、50 供給溝、51 第1供給溝、52 第2供給溝、53 第3供給溝、54 方向変換ゲート、60 移送溝、61 移送溝、70 ピット、71 第1ピット、72 第2ピット、80 支持部、81 架台受角柱アンカー、82 アンカーボルト、83 頂部、83a ボルト孔、84 鉄筋、90 支柱、90a 本体部、90b 上部フランジ、90bb ボルト孔、90c 下部フランジ、90cc ボルト孔、90d 連結部、91 支持ユニット、91a 中央支持ユニット、91b 先端支持ユニット、100 池施設、200 ゲート機構、210 ゲート部、211 角度付きレバー、211a 軸受台、211b 連結ピン、212 フラップゲート、213 ゲートフレーム、220 駆動部、221 リミットスイッチ、222 減速モータ、222a モータ架台、223 回転板、224 連結バー、301 第1のグリーン、302 第2のグリーン、400 ゲート機構、401 駆動部、401a モータ、401b スプロケット、401c スプロケット、401d ローラチェーン、402 ゲート部、402a ゲート板、402b ナット、402c スクリュー、402d 軸受、402e 先端軸受、402f ゲートガイド、403 カバー、404 リミットスイッチ。
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