(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128371
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】電子材料用接着剤、及び、電子材料用接着剤の外観検査方法
(51)【国際特許分類】
C09J 163/00 20060101AFI20230907BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20230907BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20230907BHJP
C08L 63/00 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
C09J163/00
C08K3/22
H05K3/00 V
C08L63/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032682
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000143215
【氏名又は名称】株式会社弘輝
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】馬場 達也
(72)【発明者】
【氏名】山本 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】行方 一博
【テーマコード(参考)】
4J002
4J040
【Fターム(参考)】
4J002CD011
4J002CD021
4J002CD051
4J002CD061
4J002DE096
4J002DE106
4J002DE136
4J002EN037
4J002EN047
4J002EN077
4J002EN097
4J002FD016
4J002FD147
4J002GJ01
4J002GQ00
4J040EC061
4J040HA136
4J040HA306
4J040HC08
4J040JA01
4J040JB02
4J040KA16
4J040KA42
4J040LA11
4J040NA20
(57)【要約】
【課題】はんだ印刷検査機で外観検査をすることが可能な電子材料用接着剤、及び、該電子材料用接着剤の外観検査方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係る電子材料用接着剤は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、フィラーと、を含む電子材料用接着剤であって、前記フィラーが、酸化チタン、酸化亜鉛、及び、酸化ジルコニウムから選択される少なくとも一種の無機固体材料を含み、前記電子材料用接着剤の分散度が50μm以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂と、硬化剤と、フィラーと、を含む電子材料用接着剤であって、
前記フィラーが、酸化チタン、酸化亜鉛、及び、酸化ジルコニウムから選択される少なくとも一種の無機固体材料を含み、
前記電子材料用接着剤の分散度が50μm以下である、
電子材料用接着剤。
【請求項2】
前記無機固体材料の含有量が、前記電子材料用接着剤全体に対して0.5質量%以上65.0質量%以下である、請求項1に記載の電子材料用接着剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子材料用接着剤の外観を検査する方法であって、
はんだ印刷検査機を用いて、塗布された電子材料用接着剤を撮像して画像を取得する、電子材料用接着剤の外観検査方法。
【請求項4】
前記はんだ印刷検査機の検査方式が、位相シフト方式である、請求項3に記載の電子材料用接着剤の外観検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子材料用接着剤、及び、該電子材料用接着剤の外観検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品を基板に実装する際、例えば、フローはんだ付け時の電子部品の仮止め、両面リフロー時の下面部品の落下、位置ずれ、浮き等の防止等を目的として、電子材料用接着剤が用いられている。このような電子材料用接着剤として、例えば、特許文献1には、エポキシ樹脂と、硬化剤と、硬化促進剤と、フィラーと、を含む接着剤が開示されている。
【0003】
電子材料用接着剤は、例えば、基板にソルダペーストを印刷した後、ディスペンサ等を用いて電子部品を搭載する箇所に塗布される。そして、さらに電子部品を搭載してリフローすることにより、電子材料用接着剤が硬化し、その結果、電子部品が基板に固定される。
【0004】
ところで、基板に印刷されたソルダペーストは、はんだ印刷検査機を用いて外観検査を行うことで、印刷状態に問題がないか確認を行っている。外観検査の方式として種々の方式が知られているが(例えば、非特許文献1参照)、近年では、位相の異なる縞を複数回投射し、その縞形状の変化から3次元形状を計測する位相シフト方式が広く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】安藤護俊「実装プリント板の外観検査」、エレクトロニクス実装学会誌、エレクトロニクス実装学会、Vol.5、No.4、pp.332-335、2002
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、基板に塗布された電子材料用接着剤は、目的の場所に必要量塗布されているかどうか、塗布形状に異常(例えば、表面に凸が形成されている等)が発生していないか等を目視にて外観検査を行っている。電子材料用接着剤の塗布量が少ない場合には部品が脱落する虞があり、塗布量が多い場合や塗布形状に異常があると、意図しない箇所にも電子材料用接着剤が付着する虞があり、いずれにしてもはんだ付けの際に未はんだ等の不具合の要因になりうるからである。
【0008】
しかしながら、近年、電子機器の小型化及び高性能化に伴い使用される電子部品も微細化し、基板当たりの接着剤の塗布点数が膨大になっているため、目視での判断が困難であるだけでなく、検査に多くの時間を費やしてしまうという問題がある。また、検査機を用いて検査を行うことも考えられるが、電子材料用接着剤は、はんだ印刷検査機で外観検査を行うことができないため、別の検査機を使用する必要があり、手間がかかるという問題がある。そのため、基板に塗布された電子材料用接着剤についても、はんだ印刷検査機を用いて外観検査を行いたいという要望がある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、はんだ印刷検査機で外観検査をすることが可能な電子材料用接着剤、及び、該電子材料用接着剤の外観検査方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電子材料用接着剤は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、フィラーと、を含む電子材料用接着剤であって、前記フィラーが、酸化チタン、酸化亜鉛、及び、酸化ジルコニウムから選択される少なくとも一種の無機固体材料を含み、前記電子材料用接着剤の分散度が50μm以下である。
【0011】
本発明に係る電子材料用接着剤の外観検査方法は、上述の電子材料用接着剤の外観を検査する方法であって、はんだ印刷検査機を用いて、塗布された電子材料用接着剤を撮像して画像を取得する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、はんだ印刷検査機で外観検査をすることが可能な電子材料用接着剤、及び、該電子材料用接着剤の外観検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施例1~9の電子材料用接着剤について、はんだ印刷検査機により作成された3次元のイメージ画像である。
【
図2】
図2は、比較例1~5の電子材料用接着剤について、はんだ印刷検査機により作成された3次元のイメージ画像である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る電子材料用接着剤、及び、電子材料用接着剤の外観検査方法について説明する。
【0015】
<電子材料用接着剤>
本実施形態に係る電子材料用接着剤は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、フィラーと、を含む。
【0016】
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂等が挙げられる。なお、エポキシ樹脂は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0017】
エポキシ樹脂の含有量は、電子材料用接着剤の基板への充填性及び機械的強度を高める観点から、電子材料用接着剤全体に対して、30.0質量%以上であることが好ましく、35.0質量%以上であることがより好ましい。また、エポキシ樹脂の含有量は、電子材料用接着剤の基板への充填性を高める観点から、電子材料用接着剤全体に対して、80.0質量%以下であることが好ましく、70.0質量%以下であることがより好ましい。なお、エポキシ樹脂が2種以上含まれる場合、前記含有量はエポキシ樹脂の合計含有量である。
【0018】
(硬化剤)
硬化剤としては、例えば、アミン系硬化剤等が挙げられる。アミン系硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロプレンジアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン等の脂肪族アミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン等の芳香族アミン、これらの変性物等が挙げられる。これらの中でも、アミン系硬化剤は、硬化温度をリフロー時の温度プロファイルに対応させる観点から、脂肪族アミンの変性物である変性脂肪族ポリアミンであることが好ましい。なお、硬化剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0019】
硬化剤の含有量は、部品のずれを抑制し、部品の脱落を防止することが可能な強度の硬化物を得る観点から、電子材料用接着剤全体に対して、4.0質量%以上であることが好ましく、8.0質量%以上であることがより好ましい。また、硬化剤の含有量は、電子材料用接着剤の粘度の上昇を抑制する観点から、電子材料用接着剤全体に対して、40.0質量%以下であることが好ましく、30.0質量%以下であることがより好ましい。なお、硬化剤が2種以上含まれる場合、前記含有量は硬化剤の合計含有量である。
【0020】
(フィラー)
本実施形態に係るフィラーは、酸化チタン、酸化亜鉛、及び、酸化ジルコニウムから選択される少なくとも一種の無機固体材料を含む。
【0021】
無機固体材料の含有量は、はんだ印刷検査機における電子材料用接着剤の認識性をより高める観点から、電子材料用接着剤全体に対して、0.5質量%以上であることが好ましく、5.0質量%以上であることがより好ましい。また、無機固体材料の含有量は、電子材料用接着剤の基板への充填性を高める観点から、電子材料用接着剤全体に対して、65.0質量%以下であることが好ましく、50.0質量%以下であることがより好ましい。なお、無機固体材料が2種以上含まれる場合、前記含有量は無機固体材料の合計含有量である。
【0022】
本実施形態に係るフィラーは、電子材料用接着剤の基板への充填性を高める観点から、無機固体材料以外のその他のフィラーを含んでいてもよい。その他のフィラーとしては、例えば、シリカ、タルク、マイカ、リン酸ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機フィラー、セルロースファイバー等の有機フィラーが挙げられる。なお、その他のフィラーは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0023】
その他のフィラーの含有量は、電子材料用接着剤の粘度を維持し、機械的強度を高める観点から、電子材料用接着剤全体に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、5.0質量%以上であることがより好ましい。また、その他のフィラーの含有量は、電子材料用接着剤の粘度の上昇を抑制し、基板への充填性を高める観点から、電子材料用接着剤全体に対して、60.0質量%以下であることが好ましく、30.0質量%以下であることがより好ましい。なお、その他のフィラーが2種以上含まれる場合、前記含有量はその他のフィラーの合計含有量である。
【0024】
本実施形態に係る電子材料用接着剤の分散度は、はんだ印刷検査機における電子材料用接着剤の認識性をより高める観点から、50μm以下であり、30μm以下であることが好ましい。分散度は、JIS K 5600-2-5に基づいて測定することができる。また、分散度は、電子材料用接着剤に含まれる各成分を混練した後、3本ロールミルで混練物に含まれるフィラーを分散させることにより、50μm以下に調整することができる。具体的には、3本ロールミルのロール間のギャップを50μm以下に制御することにより、分散度を50μm以下に調整することができる。ギャップの制御には、例えば、すきまゲージ(厚さが0.05mm以下のリーフ)を用いることができる。
【0025】
本実施形態に係る電子材料用接着剤の粘度は、電子材料用接着剤の基板への充填性を高める観点から、20Pa・s以上150Pa・s以下であることが好ましく、30Pa・s以上90Pa・s以下であることがより好ましい。粘度は、JIS K 7117-2に基づいて測定することができる。また、粘度は、フィラーの添加量を増加させることにより20Pa・s以上に調整することができる。また、フィラーの添加量を減少させることにより150Pa・s以下に調整することができる。
【0026】
本実施形態に係る電子材料用接着剤の製造方法は、減圧下でエポキシ樹脂と、硬化剤と、フィラーと、を含む混練物を得る混練工程と、前記混練物に含まれるフィラーを分散させる分散工程と、を含む。
【0027】
混練工程では、エポキシ樹脂、硬化剤、フィラー、及び、必要に応じてその他の成分を減圧下で混練して混練物を得ることができる。混練方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の混練機を用いて、従来公知の方法により混練することができる。
【0028】
分散工程では、混練工程で得た混練物に含まれるフィラーを、3本ロールミルを用いて分散させることができる。具体的には、3本ロールミルのロール間のギャップを制御することにより、凝集したフィラーの粒子を分散させることができる。これにより、フィラーが樹脂の細部まで均一にいきわたり、電子材料用接着剤の印刷部の細かい箇所まで認識できるようになるため、はんだ印刷検査機における電子材料用接着剤の認識性を高めることができる。なお、ギャップの制御には、例えば、すきまゲージを用いることができる。
【0029】
このようにして製造された電子材料用接着剤は、ディスペンサ等の従来公知の機器を用いて、基板の所定位置(例えば、電子部品が配置される位置)に塗布することができる。
【0030】
本実施形態に係る電子材料用接着剤は、常温(25℃~30℃)で流動性を有し、60℃~260℃に加熱することで硬化させることができる。この特性により、例えば、電子部品を基板に搭載する工程において、電子部品を基板に固定するための接着剤として好適に用いることができる。
【0031】
本実施形態に係る電子材料用接着剤は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、フィラーと、を含む電子材料用接着剤であって、前記フィラーが、酸化チタン、酸化亜鉛、及び、酸化ジルコニウムから選択される少なくとも一種の無機固体材料を含み、前記電子材料用接着剤の分散度が50μm以下であることにより、はんだ印刷検査機で外観検査をすることができる。具体的には、はんだ印刷検査機は、検査対象物に光を当てて反射光を捉えることにより、検査対象物の3次元形状を認識する。フィラーが、酸化チタン、酸化亜鉛、及び、酸化ジルコニウムから選択される少なくとも一種の無機固体材料を含み、電子材料用接着剤の分散度が50μm以下であることにより、電子材料用接着剤のはんだ印刷検査機における認識性を高めることが可能となり、外観検査に必要な画像を取得することができる。これにより、はんだ印刷検査機で外観検査を行うことができる。また、前記電子材料用接着剤の分散度が50μm以下であることにより、電子材料用接着剤の基板への充填性及び機械的強度を高めることができる。
【0032】
本実施形態に係る電子材料用接着剤は、前記無機固体材料の含有量が、前記電子材料用接着剤全体に対して0.5質量%以上65.0質量%以下であることにより、電子材料用接着剤のはんだ印刷検査機における認識性をより高めることができる。
【0033】
<電子材料用接着剤の外観検査方法>
本実施形態に係る電子材料用接着剤の外観検査方法は、基板に塗布された電子材料用接着剤の外観を検査する方法であって、はんだ印刷検査機を用いて、塗布された電子材料用接着剤を撮像して画像を取得する。
【0034】
はんだ印刷検査機としては、特に限定されるものではなく、従来公知のはんだ印刷検査機を用いることができ、例えば、基板の表面に対して上方から光を照射するための照射手段としての照明装置と、光が照射された基板を撮像するための撮像手段としての高解像度カメラと、画像処理、演算処理等を行うための制御装置と、を備えた、はんだ印刷検査機を用いることができる。高解像度カメラとしては、特に限定されるものではなく、例えば、CCDカメラ等を用いることができる。
【0035】
はんだ印刷検査機の検査方式としては、例えば、光切断法、位相シフト法、空間コード法、格子縞投影法等を用いる方式が挙げられる。これらの中でも、はんだ印刷検査機の検査方式は、位相シフト法を用いる位相シフト方式であることが好ましい。なお、位相シフト方式は、基板の表面に光(位相の異なる縞)を複数回照射して、その縞形状の変化から3次元形状を計測するものである。
【0036】
本実施形態に係る電子材料用接着剤の外観検査方法では、このようなはんだ印刷検査機を用いて、塗布された電子材料用接着剤を撮像して画像を取得する。
【0037】
具体的には、まず、はんだ印刷検査機の照明装置により、電子材料用接着剤が塗布された基板の表面に対して上方から所定の光(位相の異なる縞)を照射する。続いて、高解像度カメラで光が照射された基板を撮像し、電子材料用接着剤の画像を取得する。
【0038】
次に、はんだ印刷検査機の制御装置により、高解像度カメラによる撮像で得た画像に基づいて、電子材料用接着剤の三次元形状が計測される。その後、計測結果と予めはんだ印刷検査機に記憶された検査用情報(例えば、理想的な塗布状態における電子材料用接着剤の高さ、体積等)を比較し、電子材料用接着剤の良否を判断する。良否の具体的な判断方法としては、例えば、計測された電子材料用接着剤の高さが、検査用情報に記録された高さであるか否かにより判断することができる。
【0039】
本実施形態に係る電子材料用接着剤の外観検査方法は、基板に塗布された電子材料用接着剤の外観を検査する方法であって、はんだ印刷検査機を用いて、塗布された電子材料用接着剤を撮像して画像を取得する。これにより、電子材料用接着剤の外観検査が、ソルダペーストの外観検査と同じ装置で行うことが可能になるため、効率的である。
【0040】
本実施形態に係る電子材料用接着剤の外観検査方法は、はんだ印刷検査機の検査方式が、位相シフト方式であることにより、汎用のはんだ印刷検査機により電子材料用接着剤の外観検査を行うことができる。
【実施例0041】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0042】
<電子材料用接着剤の作製>
(実施例1~9及び比較例1~4)
表1及び表2に示す配合量のエポキシ樹脂、硬化剤、及び、フィラーを混練機(万能混合撹拌機8NDMV-Qr、ダルトン社製)に投入し、-0.1MPa~-0.05MPaに減圧した状態で混練した。次に、3本ロールミル(DR-35、金田理化工業社製)のロール間のギャップを、すきまゲージ(JIS規格すきまゲージ、永井ゲージ製作所製)を用いて調整した後、混練物を3本ロールミルに投入し、フィラーを分散させ、実施例1~9及び比較例1~4の電子材料用接着剤を得た。表1及び表2に示す各原料の詳細を表3に示す。
【0043】
(比較例5)
表2に示す配合量のエポキシ樹脂、硬化剤、及び、フィラーを混練機(万能混合撹拌機8NDMV-Qr、ダルトン社製)に投入し、-0.1MPa~-0.05MPaに減圧した状態で混練することで、比較例5の電子材料用接着剤を得た。
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
[分散度の測定]
各実施例及び各比較例の電子材料用接着剤の分散度(μm)を、0~100μm用のグラインドゲージ(Sheen社製)、及び、スクレーパー(Sheen社製)を用いて、JIS K 5600-2-5に従い測定した。測定結果を表1及び表2に示す。
【0048】
[粘度の測定]
各実施例及び各比較例の電子材料用接着剤の粘度(Pa・s)を、E型粘度計RE-100U(東機産業社製)を用いて、JIS K 7117-2に従い測定した。測定結果を表1及び表2に示す。
【0049】
[接着強度の測定]
各実施例及び各比較例の電子材料用接着剤の接着強度(kgf/mm2)を、万能型ボンドテスター4000Plus(Nordson DAGE社製)を用いて、JIS Z 3198-7に準じた測定を行った。測定結果を表1及び表2に示す。
【0050】
[認識性の評価]
<試験基板の作製>
各実施例及び各比較例の電子材料用接着剤を、印刷機(YSP、YAMAHA Motor社製)にセッティングしたメタルマスクの上に200g載せ、温度24-26℃、湿度50-60%RHの環境下、下記印刷条件で印刷を実施した。
(印刷条件)
印刷スキージ:メタルスキージ
メタルマスク厚:150μm
使用基板:無地のレジスト基板
印刷個所の大きさ及び形状:0.9mm×1.1mm,□形状
印刷個所の個数:60
【0051】
<認識性の評価>
基板上に印刷された各実施例及び各比較例の電子材料用接着剤を、はんだ印刷検査機(KOHYOUNG aSPIer、KOH YOUNG TECHNOROGY製)で検出し、60個の印刷箇所の中央に位置する1個の印刷箇所に印刷された電子材料用接着剤の実態写真及びはんだ印刷検査機により作成される3次元のイメージ画像を得た。取得した3次元のイメージ画像を
図1及び
図2に示す。認識性は、実態写真の形状と3次元のイメージ画像の形状とを比較し、3次元のイメージ画像における電子材料用接着剤の表面に表れた凸の個数で評価した。具体的には、凸の個数が0個である場合には「1(優)」と評価し、1~3個である場合には「2(良)」と評価した。また、凸の個数が4個以上である場合、比較例2のように電子材料用接着剤の形状を認識できなかった場合、又は、比較例5のように実態写真の形状と3次元のイメージ画像の形状とが大きく異なる場合には「3(不良)」と評価した。評価結果を表1及び表2に示す。
【0052】
表1及び表2の結果から分かるように、本発明の要件をすべて満たす各実施例の電子材料用接着剤は、はんだ印刷検査機での認識性に優れ、外観検査に必要な画像を取得することができる。したがって、はんだ印刷検査機で外観検査をすることができる。