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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128377
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】媒体取扱装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/00 20060101AFI20230907BHJP
   G07F 7/08 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B65H31/00 B
G07F7/08 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032692
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】佐野 琢哉
(72)【発明者】
【氏名】吉田 孝
【テーマコード(参考)】
3E044
3F054
【Fターム(参考)】
3E044DB15
3E044DE07
3E044EB02
3E044EB05
3E044FB01
3F054AA01
3F054AA06
3F054BA02
3F054BB07
3F054BC05
3F054BD04
3F054BF08
3F054BJ02
3F054BJ12
3F054CA03
(57)【要約】
【課題】媒体取扱装置において、簡素な構成で簡単に回収用媒体を排出する。
【解決手段】媒体取扱装置(カード発行機1)は、筐体10と、開閉カバー20と、トレイ30と、連結部(ワイヤ40)とを備える。開閉カバー20は、筐体10の内部を開放させる開状態P2と、筐体10の内部を覆う閉状態P1とに開閉可能である。トレイ30は、筐体10の内部に位置し、回収用媒体(エラーカードC2)を収容する。連結部(ワイヤ40)は、開閉カバー20とトレイ30とを連結し、開閉カバー20の閉状態P1から開状態P2への開放動作に連動してトレイ30を移動させることによって回収用媒体(エラーカードC2)を筐体10の外部に排出する。
【選択図】図7D

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部を開放させる開状態と、前記筐体の内部を覆う閉状態とに開閉可能な開閉カバーと、
前記筐体の内部に位置し、回収用媒体を収容するトレイと、
前記開閉カバーと前記トレイとを連結し、前記開閉カバーの前記閉状態から前記開状態への開放動作に連動して前記トレイを移動させることによって前記回収用媒体を前記筐体の外部に排出する連結部と
を備えることを特徴とする媒体取扱装置。
【請求項2】
前記連結部は、前記開閉カバーの前記開放動作に連動して前記トレイを傾斜させることによって前記回収用媒体を前記トレイ上でスライドさせて前記筐体の外部に排出する
ことを特徴とする請求項1記載の媒体取扱装置。
【請求項3】
前記連結部は、前記開閉カバーと前記トレイとに固定された線状部材である
ことを特徴とする請求項2記載の媒体取扱装置。
【請求項4】
前記開閉カバーが前記開状態のときに前記筐体の外部に露出するように前記開閉カバーのうち前記筐体の内部側の面に固定され、前記回収用媒体が前記トレイに収容されていることを報知する報知表示部を更に備える
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の媒体取扱装置。
【請求項5】
発行用カードを収容するカード収容部と、
前記発行用カードに情報を書き込む書き込み部とを更に備え、
前記回収用媒体は、前記書き込み部による情報の書き込みエラーとなったエラーカードであり、
前記開閉カバーは、前記カード収容部への前記発行用カードの補充時に開閉される
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の媒体取扱装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カード発行機において、磁気情報の書き込みエラーとなったエラーカードなどの回収用カードは、カード発行機の内部に配置された回収箱に収容される(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
そのため、係員が回収箱から回収用カードを取り出すためには、筐体の外側に開口部を設けて、カード回収箱を取り出したり、又は、カード回収箱の中から回収用カードを取り出したりする必要があった。或いは、カード発行機自体を、このカード発行機を収容する筐体の外側に取り出して、回収用カードを取り出す必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-044249号公報
【特許文献1】特開2002-298200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、回収用カードを回収箱に搬送するのではなく、筐体の下部に配置された受け箱に回収用カードを自然落下させて、この受け箱を筐体の外部に手動で移動させて回収用カードを取り出す構成を採用することが考えられる。
【0006】
この場合、受け箱の出し入れは、装置を運用する係員の操作に限定され、装置の使用者には見えず且つ触れることが出来ない構造を求められる。そのため、例えば、筐体内部に設けられたレバーの操作によって、受け箱が出し入れされる。このようにレバーを用いて受け箱を出し入れする構成は、エラーカードを排出するための複雑な構成を採用しないため、簡素な構成ということができる。
【0007】
しかしながら、エラーカードなどの回収用カードの発生頻度は極めて少なく、レバーなどの受け箱の出し入れ操作には慣れが必要である。そのため、回収用カードが回収されずに放置され続けると、回収箱に回収用カードが積み上がり、回収用カードのジャムが発生する。なお、上述の問題は、カード以外の媒体においても同様に生じる。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、簡素な構成で簡単に回収用媒体を排出することができる媒体取扱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの態様では、媒体取扱装置は、筐体と、前記筐体の内部を開放させる開状態と、前記筐体の内部を覆う閉状態とに開閉可能な開閉カバーと、前記筐体の内部に位置し、回収用媒体を収容するトレイと、前記開閉カバーと前記トレイとを連結し、前記開閉カバーの前記閉状態から前記開状態への開放動作に連動して前記トレイを移動させることによって前記回収用媒体を前記筐体の外部に排出する連結部とを備える。
【発明の効果】
【0010】
前記態様によれば、簡素な構成で簡単に回収用媒体を排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施の形態に係るカード発行機を示す斜視図である。
図2】一実施の形態に係るカード発行機の内部構造を示す左側面図である。
図3】一実施の形態に係るカード発行機(開閉カバーが開状態)を示す斜視図である。
図4】一実施の形態におけるカード発行システムを示す斜視図である。
図5】一実施の形態におけるカード発行システムの主要な制御構成を示す図である。
図6】一実施の形態におけるカード発行システムの動作を説明するためのフローチャートである。
図7A】一実施の形態におけるエラーカードの排出動作を説明するための説明図(その1)である。
図7B】一実施の形態におけるエラーカードの排出動作を説明するための説明図(その2)である。
図7C】一実施の形態におけるエラーカードの排出動作を説明するための説明図(その3)である。
図7D】一実施の形態におけるエラーカードの排出動作を説明するための説明図(その4)である。
図7E】一実施の形態におけるエラーカードの排出動作を説明するための説明図(その5)である。
図8】一実施の形態に係るカード発行機のエラーカード排出状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態に係る媒体取扱装置について、カード発行機1を一例として、図面を参照しながら説明する。
【0013】
<カード発行機1について>
図1は、一実施の形態に係るカード発行機1を示す斜視図である。
【0014】
図2は、カード発行機1の内部構造を示す左側面図である。
【0015】
図3は、カード発行機1(開閉カバー20が開状態P2)を示す斜視図である。
【0016】
なお、図1図3並びに後述する図4及び図7A図8に示す前後、左右、及び上下の各方向は、発行用カードC1を受け取るユーザ(係員以外の一般ユーザ)側を前方とした場合の一例であるが、前後方向及び左右方向は水平方向であり、上下方向は鉛直方向である。
【0017】
図1図3に示すように、カード発行機1は、筐体10と、開閉カバー20とを備える。また、図2に示すように、カード発行機1は、トレイ30と、ワイヤ40と、エラー報知表示部50(図3参照)と、カード発行部60とを備える。なお、カード発行機1は、媒体取扱装置の一例であり、発行用カードC1を発行する。この発行用カードC1は、発行用媒体の一例であり、例えば、ホテルなどで使用されるルームキーである。発行用媒体としては、カード以外の媒体であってもよい。
【0018】
筐体10は、カード発行部60等を収容する上部筐体11と、トレイ30を収容する下部筐体12とを有する。
【0019】
上部筐体11は、前後方向に長い直方体形状を呈し、前面と上面との間が斜めに傾斜している。上部筐体11の前面には、図2に示す発行用カードC1を排出するためのカード発行口11aが設けられている。また、上部筐体11の前面のうちカード発行口11aの上部には、発行用カードC1の排出時などに点灯する案内表示部11bが設けられている。この案内表示部11bは、例えばLED光源を有する。
【0020】
下部筐体12は、上部筐体11の下部に配置され、上下方向に短く、前後方向に長い直方体形状を呈する。下部筐体12の前面には、後述する図8に示すエラーカードC2を排出するためのエラーカード排出口12aが設けられている。なお、エラーカードC2は、回収用媒体の一例であり、例えば、後述する書き込み部63による情報の書き込みエラーとなったカードである。回収用媒体としては、エラーカードC2に限られず、例えば、ユーザがカード発行口11aにおいて取り忘れた発行用カードC1や、破損などの初期不良のある発行用カードC1などの他の媒体であってもよい。また、回収用媒体としては、カード以外の媒体であってもよい。
【0021】
下部筐体12の上部と、上部筐体11の下部とには、後述する図7Bに示すようにカード発行部60からエラーカードC2を落下させるための図示しない開口部が設けられている。なお、筐体10は、上部筐体11と下部筐体12とを別個に有するものに限られず、単一の筐体からなるものであってもよい。
【0022】
図1図3に示す開閉カバー20は、上部筐体11の上面後部に設けられている。開閉カバー20は、上部筐体11の内部を開放させる開状態P2(図3参照)と、上部筐体11の内部を覆う閉状態P1(図1及び図2参照)とに開閉可能である。例えば、開閉カバー20は、後端に設けられたヒンジによって前端側が上下に開閉する。
【0023】
開閉カバー20の前端には、キー挿入口21が設けられており、このキー挿入口21に係員が鍵を挿入し、開閉カバー20の閉状態P1でのロック及びロック解除を行う。図3に示すように、開閉カバー20は、開状態P2において鉛直方向まで開放し、この状態で、例えば、後述するカード収容部61,62への発行用カードC1の補充が行われる。
【0024】
図2に示すように、トレイ30は、下部筐体12の内部に位置し、後述する図7Bに示すようにカード発行部60から落下するエラーカードC2を収容する。例えば、トレイ30は、下部筐体12の内部底面に載置されている。
【0025】
図2及び図3に示すワイヤ40は、一端を開閉カバー20の後部に固定され、他端をトレイ30の後部に固定された線状部材である。ワイヤ40は、開閉カバー20とトレイ30とを連結し、開閉カバー20の閉状態P1から開状態P2への開放動作に連動してトレイ30を移動させることによってエラーカードC2を下部筐体12(筐体10)の外部に排出する連結部の一例である。なお、ワイヤ40は、図3の例では、カード発行機1の左側に1本のみ図示するが、複数本用いられてもよい。また、連結部としては、帯状の板材やリンク機構などであってもよく、ワイヤ40(線状部材)に限られない。
【0026】
ワイヤ40は、後述する図7Dに示すように、開閉カバー20の開放動作に連動して、トレイ30の後部を上方に引っ張り、トレイ30を傾斜させるとよい。これにより、トレイ30上でエラーカードC2をスライドさせて、エラーカード排出口12aから下部筐体12(筐体10)の外部にエラーカードC2を排出することができる。但し、ワイヤ40は、開閉カバー20の開放動作に連動して、例えば、トレイ30を前方にスライド移動させることによって、エラーカードC2をトレイ30ごと下部筐体12(筐体10)の外部に排出してもよい。なお、開閉カバー20が閉状態P1に閉じられた場合には、トレイ30は、元の位置(下部筐体12の内部底面上)に水平に載置されることになる。
【0027】
図3に示すように、エラー報知表示部50は、開閉カバー20が開状態P2のときに上部筐体11(筐体10)の外部に露出するように開閉カバー20のうち上部筐体11の内部側の面に固定されている。エラー報知表示部50は、例えばLED光源を有し、エラーカードC2がトレイ30に収容されていることを報知するために点灯する。エラー報知表示部50は、エラーカードC2(回収用媒体の一例)がトレイ30に収容されていることを報知する報知表示部の一例である。
【0028】
図2に示すように、カード発行部60は、カード収容部61,62と、書き込み部63と、制御基板64と、ローラ65,66,67と、ベルト68と、シャッタ69とを有する。
【0029】
カード収容部61,62は、上部筐体11の内部に前後方向に並ぶように配置され、発行用カードC1を収容する。図3に示すように開閉カバー20が開状態P2にあるとき、カード収容部61,62は、上方から発行用カードC1を補充することが可能である。また、カード収容部61,62は、上部筐体11の外部に取り出されて発行用カードC1を補充することも可能である。
【0030】
書き込み部63は、カード収容部61,62と、上部筐体11のカード発行口11aとの間の発行用カードC1の搬送経路の下部に配置され、発行用カードC1に情報を書き込む。書き込み部63は、例えば、磁気情報を読み書きするリーダライタである。
【0031】
制御基板64は、例えば、プロセッサと、メモリとを有する。プロセッサは、カード発行部60の各部の動作を制御する演算処理装置として機能する例えばCPU(Central Processing Unit)である。メモリは、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM(Read Only Memory)、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)などである。
【0032】
ローラ65,66,67及びベルト68は、カード収容部61,62に収容された発行用カードC1を、書き込み部63を通って上部筐体11のカード発行口11aに続く搬送経路において前方に搬送する搬送部材の一例である。ローラ65,66,67及びベルト68は、書き込み部63による情報の書き込みエラーとなったエラーカードC2(発行用カードC1)については、逆方向(後方)に搬送し、後述する図7Bに示すようにカード発行部60からトレイ30へ落下させる。
【0033】
シャッタ69は、カード発行口11aとローラ67との間に設けられ、搬送経路を遮断する位置と、この位置から退避する退避位置とに移動する。
【0034】
<カード発行システム100について>
次に、カード発行機1を備えるカード発行システム100について、図4及び図5を参照しながら説明する。
【0035】
図4は、一実施の形態におけるカード発行システム100を示す斜視図である。
【0036】
図5は、カード発行システム100の主要な制御構成を示す図である。
【0037】
図4及び図5に示すように、カード発行システム100は、カード発行機1と、このカード発行機1の左側に並べて配置された自動精算機101とを備える。なお、カード発行システム100については、自動精算機101が精算を行う装置であるため、自動精算システムと称することもできる。
【0038】
自動精算機101は、表示部110と、入力部120と、制御部130(図5参照)とを備える。
【0039】
表示部110は、カード発行システム100の前部上面の傾斜面に配置され、ユーザへの各種情報を表示するディスプレイである。なお、表示部110は、係員が管理を行うための係員用画面を表示可能であってもよい。また、表示部110は、タッチパネルを有する場合には、ユーザの操作に対応する情報を受け付ける入力部としても機能する。
【0040】
入力部120は、カード発行システム100の前部上面の傾斜面に配置され、テンキー、クレジットカード挿入部などを有し、各種情報の入力を受け付ける。
【0041】
図5に示す制御部130は、例えば、プロセッサと、メモリとを有する。プロセッサは、カード発行システム100の各部及びカード発行機1の各部(案内表示部11b、エラー報知表示部50、及びカード発行部60)の動作を制御する演算処理装置として機能する例えばCPUである。メモリは、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)などである。なお、カード発行機1のエラー報知表示部50及び案内表示部11bの制御を、上述のカード発行部60の制御基板64や、カード発行機1の図示しない制御部が行ってもよい。その場合でも、制御部130は、カード発行機1に対するカード発行の指示や、エラー情報の受付を行ってもよい。或いは、カード発行の指示やエラー情報の受付なども、カード発行部60の制御基板64や、カード発行機1の図示しない制御部が行ってもよい。
【0042】
図6は、カード発行システム100の動作を説明するためのフローチャートである。
【0043】
図6に示す処理は、自動精算機101の制御部130がカード発行部60にカード発行を指示するときに開始する。なお、上述の説明と重複する事項については、説明を適宜省略する。
【0044】
まず、カード発行部60の制御基板64は、カード収容部61,62に収容された発行用カードC1を、書き込み部63まで搬送するようにローラ65,66,67及びベルト68を制御する(ステップS1)。
【0045】
次に、制御基板64は、書き込み部63による発行用カードC1に対する情報の書き込みが成功したかを判定する(ステップS2)。
【0046】
書き込みが成功であれば(ステップS2:YES)、制御基板64は、発行用カードC1を上部筐体11のカード発行口11aから排出するように、ローラ65,66,67、ベルト68、及びシャッタ69を制御する(ステップS3)。そして、図6に示す処理が終了する。
【0047】
一方、書き込みが失敗であれば(ステップS2:NO)、制御基板64は、エラーカードC2(エラーカードC2となった発行用カードC1)をトレイ30に落下させるように、ローラ65,66,67及びベルト68を逆搬送させる(ステップS4)。なお、エラーカードC2の排出動作については、後述する。
【0048】
また、制御基板64は、自動精算機101の制御部130にエラーカードC2がトレイ30に収容されていることを通知する(ステップS5)。
【0049】
この通知を受けた制御部130は、エラーカードC2がトレイ30に収容されていることを報知するために、開閉カバー20の内部側の面に固定されたエラー報知表示部50を点灯させる(ステップS6)。このエラー報知表示部50の点灯は、光源が特定の光を発するだけでもよいし、文字等の情報を表示してもよい。
【0050】
また、制御部130は、表示部110の係員操作画面が表示されるときに、トレイ30にエラーカードC2が収容されているエラー状態を報知するように表示部110を制御する(ステップS7)。そして、図6に示す処理が終了する。なお、制御部130は、係員が有する端末への通知によって、この端末の係員操作画面にエラー状態を報知してもよい。
【0051】
その後、係員は、カード発行機1のカード収容部61,62に発行用カードC1を補充するときに開閉カバー20を開放させると、エラー報知表示部50の点灯によって、エラーカードC2の存在に気付く。或いは、係員は、自動精算機101の表示部110の係員操作画面又は係員が有する端末の係員操作画面の報知によって、エラーカードC2の存在に気付き、開閉カバー20を開放させる。これらの場合に、開閉カバー20が開放すると、上述のようにトレイ30上のエラーカードC2が下部筐体12のエラーカード排出口12aから排出される。このエラーカードC2の排出動作について、以下で図7A図7E及び図8を参照しながら説明する。
【0052】
なお、上述のエラー報知表示部50(ステップS6)や、表示部110又は係員の端末(ステップS7)におけるエラー報知の表示は、例えば、係員が下部筐体12のエラーカード排出口12aからエラーカードC2を受け取ったことを入力部120等の操作によって入力した場合に解除されればよい。
【0053】
<エラーカードC2の排出動作について>
図7A図7Eは、一実施の形態におけるエラーカードC2の排出動作を説明するための説明図(カード発行機1の内部構造を示す左側面図)である。
【0054】
まず、図7Aに示すように、ローラ65,66,67及びベルト68は、カード収容部61,62に収容された発行用カードC1を書き込み部63まで前方に搬送する。
【0055】
そして、図7B及び図7Cに示すように、書き込み部63による情報の書き込みに失敗した発行用カードC1は、エラーカードC2として、ローラ65,66,67及びベルト68によって逆方向(後方)に搬送され、トレイ30上に落下する。
【0056】
その後、図7Dに示すように、係員がキー挿入口21に鍵を挿入し、開閉カバー20の閉状態P1のロック解除を行い、開閉カバー20を閉状態P1から開状態P2に開放する。これにより、開閉カバー20の後部に固定されたワイヤ40が、後方かつ上方に引っ張られる。また、トレイ30は、ワイヤ40が固定された後部において上方に持ち上げられて傾斜する。
【0057】
これにより、図7E及び図8に示すように、エラーカードC2は、トレイ30上を前方にスライドし、エラーカード排出口12aから排出される。なお、トレイ30上にエラーカードC2が無い場合もあるし、また、複数枚のエラーカードC2がトレイ30上に収容される場合もある。係員は、エラーカードC2がトレイ30に収容されていることをエラー報知表示部50の点灯による報知によって認識することができる。そのため、エラーカード排出口12aからのエラーカードC2の取り忘れが抑制される。
【0058】
以上説明した本実施の形態では、媒体取扱装置の一例であるカード発行機1は、筐体10と、開閉カバー20と、トレイ30と、連結部の一例であるワイヤ40とを備える。開閉カバー20は、筐体10の内部を開放させる開状態P2と、筐体10の内部を覆う閉状態P1とに開閉可能である。トレイ30は、筐体10の内部に位置し、エラーカードC2(回収用媒体の一例)を収容する。ワイヤ40は、開閉カバー20とトレイ30とを連結し、開閉カバー20の閉状態P1から開状態P2への開放動作に連動してトレイ30を移動させることによってエラーカードC2を筐体10の外部に排出する。
【0059】
これにより、連結部(ワイヤ40)を用いた簡素な構成で、開閉カバー20の閉状態P1から開状態P2への開放動作を行うことによって、トレイ30上のエラーカードC2を排出することができる。また、係員は、開閉カバー20の開放動作を行うのみで、特別な操作を要さずにエラーカードC2を排出することができる。よって、本実施の形態によれば、簡素な構成で簡単にエラーカードC2(回収用媒体)を排出することができる。更には、開閉カバー20の開放動作によってエラーカードC2を排出することができるため、エラーカードC2が回収されずにトレイ30上でたまってジャムが発生するのを防ぐこともできる。
【0060】
また、本実施の形態では、開閉カバー20とトレイ30とを連結するワイヤ40(連結部の一例)は、開閉カバー20の開放動作に連動してトレイ30を傾斜させることによってエラーカードC2をトレイ30上でスライドさせて筐体10の外部に排出する。
【0061】
これにより、トレイ30の筐体10からの出し入れを伴わずに、エラーカードC2を筐体10の外部に排出することができる。そのため、より一層簡単にエラーカードC2を排出することができる。
【0062】
また、本実施の形態では、開閉カバー20とトレイ30とを連結するワイヤ40(連結部の一例)は、開閉カバー20とトレイ30とに固定された線状部材である。これにより、筐体10の内部スペースをとらずに、開閉カバー20とトレイ30とを連結することができるため、より一層簡素な構成で、エラーカードC2を排出することができる。
【0063】
また、本実施の形態では、カード発行機1は、報知表示部の一例であるエラー報知表示部50を備える。このエラー報知表示部50は、開閉カバー20が開状態P2のときに筐体10の外部に露出するように開閉カバー20のうち筐体10の内部側の面に固定され、エラーカードC2がトレイ30に収容されていることを報知する。これにより、カード発行機1のユーザ(係員以外の一般ユーザ)の目には触れず、係員が開閉カバー20を開放させたときのみに露出させることができる。また、エラー報知表示部50による報知によって、開閉カバー20の開放動作によってエラーカードC2が筐体10の外部に排出されていることの見落としを抑制することができる。
【0064】
また、本実施の形態では、カード発行機1は、発行用カードC1を収容するカード収容部61,62と、この発行用カードC1に情報を書き込む書き込み部63とを備える。また、開閉カバー20の開放動作に連動して筐体10の外部に排出される回収用媒体は、書き込み部63による情報の書き込みエラーとなったエラーカードC2である。そして、開閉カバー20は、カード収容部61,62への発行用カードC1の補充時に開閉される。これにより、発行用カードC1の補充時の開閉カバー20の開放動作によって、トレイ30上にエラーカードC2が収容されていても、エラーカードC2を定期的に排出することができる。
【0065】
なお、本発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせてもよい。このように、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において発明の種々の変形や応用が可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 カード発行機
10 筐体
11 上部筐体
11a カード発行口
11b 案内表示部
12 下部筐体
12a エラーカード排出口
20 開閉カバー
21 キー挿入口
30 トレイ
40 ワイヤ
50 エラー報知表示部
60 カード発行部
61,62 カード収容部
63 書き込み部
64 制御基板
65,66,67 ローラ
68 ベルト
69 シャッタ
100 カード発行システム
101 自動精算機
110 表示部
120 入力部
130 制御部
C1 発行用カード
C2 エラーカード
P1 閉状態
P2 開状態

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8