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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128386
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】見守りシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20180101AFI20230907BHJP
【FI】
G06Q50/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032705
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】塚本 兼大
(72)【発明者】
【氏名】岡 克己
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】設置及び維持に大きなコストがかからない簡単な見守りシステムを提供する。
【解決手段】見守りシステムは、見守り対象住居に配置された人感センサと、1日における各種生活態様のための各生活時刻帯を設定する生活時刻帯設定部51と、生活時刻帯を所定数で分割して得られる分割時間毎の人感センサの出力から生活時刻帯反応値を算出する反応値算出部52と、一連の生活時刻帯反応値を用いて生活時刻帯における生活態様の推定時刻である態様推定時刻を算出するための判定条件を決定する判定条件決定部53と、判定条件に基づいて態様推定時刻を算出する生活態様推定時刻算出部54とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
見守りシステムであって、
見守り対象住居に配置された人感センサと、
1日における各種生活態様のための各生活時刻帯を設定する生活時刻帯設定部と、
前記生活時刻帯を所定数で分割して得られる分割時間毎の前記人感センサの出力から生活時刻帯反応値を算出する反応値算出部と、
一連の前記生活時刻帯反応値を用いて前記生活時刻帯における前記生活態様の推定時刻である態様推定時刻を算出するための判定条件を決定する判定条件決定部と、
前記判定条件に基づいて前記態様推定時刻を算出する生活態様推定時刻算出部と、
を備えた見守りシステム。
【請求項2】
前記生活態様推定時刻算出部によって算出された前記態様推定時刻と、予め登録された登録健全時刻との比較により、見守り対象者の生活状態を評価する生活状態評価部が備えられている請求項1に記載の見守りシステム。
【請求項3】
前記生活時刻帯反応値は、前記分割時間において前記人感センサのセンサ出力の統計演算値である請求項1または2に記載の見守りシステム。
【請求項4】
前記人感センサのセンサ出力の統計演算値は、前記センサ出力がセンサ閾値を超えている時間の積算値である請求項3に記載の見守りシステム。
【請求項5】
前記生活時刻帯における前記生活時刻帯反応値の最大値と前記生活態様の種別に応じて設定されている生活態様判定係数とから導出される判定閾値が、前記判定条件の閾値として用いられる請求項3または4に記載の見守りシステム。
【請求項6】
前記判定閾値以上の前記生活時刻帯反応値が発生する時刻のうち、最も早い時刻を前記態様推定時刻とする請求項5に記載の見守りシステム。
【請求項7】
前記生活態様は、朝食、昼食、夕食のうちの少なくとも1つである請求項1から6のいずれか一項に記載の見守りシステム。
【請求項8】
前記生活態様は朝食であり、前記生活時刻帯は4時前後から10時半前後であり、前記分割時間は30分であり、前記生活態様における判定条件である生活態様判定条件では、前記生活時刻帯反応値の最大値を0.2から0.4、好ましくは0.3である生活態様判定係数で乗じた値以上となる前記生活時刻帯反応値の発出時刻を朝食推定時刻候補とし、さらに前記朝食推定時刻候補のうち、最も時刻が早いものを朝食推定時刻とする請求項5から7のいずれか一項に記載の見守りシステム。
【請求項9】
前記生活態様は昼食であり、前記生活時刻帯は11時前後から13時半前後であり、前記分割時間は30分であり、前記生活態様における判定条件である生活態様判定条件では、前記生活時刻帯反応値の最大値を0.3から0.5、好ましくは0.4である生活態様判定係数で乗じた値以上となる前記生活時刻帯反応値の発出時刻を昼食推定時刻候補とし、さらに前記昼食推定時刻候補のうち、最も時刻が早いものを昼食推定時刻とする請求項5から8のいずれか一項に記載の見守りシステム。
【請求項10】
前記生活態様は夕食であり、前記生活時刻帯は16時前後から19時半前後であり、前記分割時間は30分であり、前記生活態様における判定条件である生活態様判定条件では、前記生活時刻帯反応値の最大値を0.3から0.5、好ましくは0.4である生活態様判定係数で乗じた値以上となる前記生活時刻帯反応値の発出時刻を夕食推定時刻候補とし、さらに前記夕食推定時刻候補のうち、最も時刻が早いものを夕食推定時刻とする請求項5から9のいずれか一項に記載の見守りシステム。
【請求項11】
設定された前記生活態様判定係数は、直近の数日間における前記生活時刻帯反応値の最大値と、当該最大値に対応する分割時間以外の前記生活時刻帯反応値の統計演算値との差分により求められる係数により変更される請求項5、6、8から10のいずれか一項に記載の見守りシステム。
【請求項12】
前記人感センサは食事や調理を行う場所に配置され、前記生活態様は起床であり、前記生活時刻帯としての起床時刻帯は3時前後から11時半前後であり、前記起床時刻帯の直前となる前記分割時間における前記センサ反応値が所定値未満で、かつ前記起床時刻帯の前記分割時間のそれぞれにおける前記センサ反応値が前記所定値以上となる起床判別処理が成立する場合、3時前を仮起床時刻とし、前記起床判別処理が不成立の場合には、前記起床時刻帯の前記分割時間における前記センサ反応値の最大値がゼロでなければ前記分割時間のうちで最も早い時刻を前記仮起床時刻とし、前記仮起床時刻が先立って算出された朝食推定時刻より早い場合、前記朝食推定時刻を起床推定時刻とする請求項1から4のいずれか一項に記載の見守りシステム。
【請求項13】
前記人感センサは食事や調理を行う場所に配置され、前記生活態様は就寝であり、前記生活時刻帯としての就寝時刻帯は20時前後から4時半前後であり、前記就寝時刻帯の前記分割時間のそれぞれにおける前記センサ反応値がゼロで、かつ当該センサ反応値が前記就寝時刻帯の直前となる前記分割時間における前記センサ反応値未満となる前記分割時間があるという就寝判別処理が成立する場合、最も遅い前記分割時間を就寝推定時刻とし、前記就寝判別処理が成立しない場合、翌日の起床推定時刻が算出されるという条件の下で前記就寝推定時刻を0時00分とする請求項1から4、および12のいずれか一項に記載の見守りシステム。
【請求項14】
設定された前記生活時刻帯は、直近の数日間における前記生活時刻帯反応値のピークが得られた時刻に前後幅を含む時刻帯を変更幅とし、この変更幅に基づいて前記生活時刻帯が変更される請求項1から11のいずれか一項に記載の見守りシステム。
【請求項15】
見守りシステムであって、
見守り対象住居に配置された人感センサと、
前記見守り対象住居の電力消費量を取得する電力メータと、
1日における各種生活態様のための生活時刻帯を設定する生活時刻帯設定部と、
前記生活時刻帯を所定数で分割して得られる分割時間毎の前記人感センサの出力から生活時刻帯反応値を算出し、前記生活時刻帯での前記生活時刻帯反応値の統計演算値である人感統計演算値を算出し、前記生活時刻帯での前記電力消費量の統計演算値である電力統計演算値を算出する反応値算出部と、
前記生活時刻帯での前記人感統計演算値を用いて前記生活時刻帯における前記生活態様の推定時刻である第一態様推定時刻を算出するための人感用判定条件を決定するとともに、前記生活時刻帯での前記電力統計演算値を用いて前記生活時刻帯における前記生活態様の推定時刻である第二態様推定時刻を算出するための電力用判定条件を決定する判定条件決定部と、
前記人感用判定条件と前記電力用判定条件とに基づいて態様推定時刻を算出する生活態様推定時刻算出部と、
を備えた見守りシステム。
【請求項16】
見守りシステムであって、
見守り対象住居に配置された人感センサと、
前記見守り対象住居の電力消費量を取得する電力メータと、
1日における各種生活態様のための生活時刻帯を設定する生活時刻帯設定部と、
前記生活時刻帯を所定数で分割して得られる分割時間毎の前記人感センサの出力から生活時刻帯反応値を算出する反応値算出部と、
前記生活時刻帯での前記生活時刻帯反応値の第一統計演算値である第一人感統計演算値を用いて第一判定条件を決定する第一判定条件決定部と、
前記生活時刻帯での前記生活時刻帯反応値の第二統計演算値である第二人感統計演算値を用いて第二判定条件を決定する第二判定条件決定部と、
前記生活時刻帯での前記電力消費量の統計演算値である電力統計演算値を用いて第三判定条件を決定する第三判定条件決定部と、
前記第一判定条件と前記第二判定条件と前記第三判定条件とに基づいて前記生活時刻帯における前記生活態様の推定時刻である態様推定時刻を算出する生活態様推定時刻算出部と、
を備えた見守りシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、見守り対象者の生活パターンを推定し、その推定結果から見守り対象者が健全な生活を送っているかどうか見守る見守りシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1による見守りシステムは、見守り対象者の健康状態や周囲の状況を検知する多数のセンサ類と、これらセンサ類から出力された信号を利用して、見守り対象者の健康状態や周囲の状況を、予め設定した管理項目で管理する管理手段と、管理項目に異常が生じたときは、その旨が通知される監視手段とを備えている。センサ類として、見守り対象者の居室内の室温、湿度、人感、照度を検知するセンサ端末、見守り対象者の体動の様子、脈拍、呼吸数、周囲音ないし振動を検知する感圧センサ及び音響センサを含むベッドセンサ、見守り対象者の体温を検知するウエアラブルセンサ、見守り対象者の居室外の外気の温度を検知する外気温センサが挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-168098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す見守りシステムでは、多数のセンサ信号を利用して、見守り対象者の健康状態や周囲の状況が管理されるが、多数のセンサの配置、多数のセンサ信号の信号処理機器、それらのメンテナンスのために、大きなコストが必要となる。住居に一人または二人で住む高齢者などの見守り対象者の見守りは重要であるにもかかわらず、その見守りシステムの設置及び維持に大きなコストが必要となれば、見守りシステムの普及が困難となる。
【0005】
上記実情に鑑み、本発明の目的は、設置及び維持に大きなコストがかからない簡単な見守りシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による見守りシステムは、見守り対象住居に配置された人感センサと、1日における各種生活態様のための各生活時刻帯を設定する生活時刻帯設定部と、前記生活時刻帯を所定数で分割して得られる分割時間毎の前記人感センサの出力から生活時刻帯反応値を算出する反応値算出部と、一連の前記生活時刻帯反応値を用いて前記生活時刻帯における前記生活態様の推定時刻である態様推定時刻を算出するための判定条件を決定する判定条件決定部と、前記判定条件に基づいて前記態様推定時刻を算出する生活態様推定時刻算出部とを備える。なお、本願における見守り対象者としては、その生活活動が家族等によって見守られることが好ましい高齢者や生活活動弱者などが好適である。
【0007】
この構成によれば、起床、朝食、昼食、夕食、就寝、などの基本的な生活態様が通常行われる時刻帯である生活時刻帯(例えば、朝食であれば、4時00分から10時30分など)を、人感センサの出力を評価するために適切な時間で分割し、その分割時間での人感センサの出力から、当該生活時刻帯における各分割時間でのセンサ反応値である生活時刻帯反応値が算出される。このセンサ反応値として、人感センサの出力形態によっても異なるが、センサ反応秒数、分割時間においてセンサ出力のセンサ閾値を超えている時間の積算値、センサ出力ピークの積算値、センサ出力ピークの平均値などが用いられる。判定条件決定部が、前もって算出された生活時刻帯反応値を用いて、当該生活時刻帯における特定の生活態様の推定時刻である態様推定時刻を算出するための判定条件を決定しておく。この判定条件は、過去の生活態様の実際の時刻(正解データ)と、その際の経時的な生活時刻帯反応値群(訓練データ)とから求めることができる。生活態様推定時刻算出部は、判定条件決定部によって決定されている判定条件に基づいて前記態様推定時刻を算出する。この見守りシステムでは、生活時刻帯の分割時間を単位として人感センサの出力を処理して得られる生活時刻帯反応値(センサ反応値)が判定条件で判定されることで、特定の生活態様が行われた推定時刻が得られる。人感センサの出力を処理するだけであるので、その信号処理系の構成は簡単であり、見守りシステムの設置及び維持に必要なコストは低いという利点がある。
【0008】
例えば、見守り対象者の一例である高齢者の生活リズムは、比較的一定していることから、朝食や昼食などの特定の生活態様が行われる時刻に変動があれば、なんらかの問題が生じていると判断することができる。したがって、生活態様推定時刻算出部によって毎日算出される各種生活態様の推定時刻を、見守り対象者の過去の生活態様時刻や、見守り対象者と健常者の生活態様時刻と比較することで、見守り対象者の生活状態を評価することが可能である。このことから、本願発明では、前記生活態様推定時刻算出部によって算出された前記態様推定時刻と、予め登録された登録健全時刻との比較により、見守り対象者の生活状態を評価する生活状態評価部が備えられている。
【0009】
所定の分割時間における人感センサの出力は、時間経過とともに出力が増減する波形として取り扱うことができる。そのような波形出力から、人の動作を評価するためには、生活時刻帯反応値として、瞬間的なピーク値を採用するよりは、人感センサのセンサ出力を統計的に演算処理した値、つまり統計演算値(中間値、平均値、標準偏差など)を採用することが好ましい。このことから、本願発明では、前記生活時刻帯反応値は、前記分割時間において前記人感センサのセンサ出力の統計演算値である。特に、発明者の経験や実験結果から、人感センサのセンサ出力が予め設定したセンサ閾値を超えている時間(時間幅)、複数の波が存在すれば、その積算値が、統計演算値として適切であることが見いだされた。このことから、本願発明では、前記人感センサのセンサ出力の統計演算値は、前記センサ出力がセンサ閾値を超えている時間の積算値である。
【0010】
生活態様推定時刻を得るために必要となる生活時刻帯反応値を判定する判定条件が簡単であれば、判定処理が簡単となるので、好都合である。その際、複数の候補値から最終値を算出する場合、候補値群から最大の値をもつ候補値を選択する最大値演算が簡単かつ効果的な演算である。また、判定条件の融通性を高めるためには、最大値演算で得られた最大値から所定の範囲に入る生活時刻帯反応値、例えば、当該最大値と所定の係数との演算(単純乗算など)によって得られる値を閾値として選ばれる生活時刻帯反応値を最終候補とする判定条件も好適である。このことから、本発明では、前記生活時刻帯における前記生活時刻帯反応値の最大値と前記生活態様の種別に応じて設定されている生活態様判定係数とから導出される判定閾値が、前記判定条件の閾値として用いられる。
【0011】
判定条件を満足する生活時刻帯反応値が複数存在する場合、対応する生活態様が開始されるタイミングが重要なので、最も早い時刻に取得された生活時刻帯反応値が態様推定時刻の算出のために用いられることが好適である。このことから、本発明では、前記判定閾値以上の前記生活時刻帯反応値が発生する時刻のうち、最も早い時刻を前記態様推定時刻とする。
【0012】
見守り対象者の生活を見守りために重要であるとともに本発明のシステムで適切に推定することができる生活態様として、朝食、昼食、夕食が挙げられる。見守り対象者によっては、一日三食ではなく、一日二食の人もいるので、本発明では、前記生活態様は、朝食、昼食、夕食のうちの少なくとも1つとする。食生活の基準となる、朝食、昼食、夕食のうちの少なくとも1つが行われる毎日の時刻を観察することで、見守り対象者の生活が健全であるかどうかを見守ることができる。
【0013】
生活態様判定係数や生活時刻帯は、一度設定された値を使い続けるよりは直近の数日間における各見守り対象住居の見守りデータを用いて、変更することが好都合である。このことから、本発明では、設定された前記生活態様判定係数は、直近の数日間における前記生活時刻帯反応値の最大値と、当該最大値に対応する分割時間以外の前記生活時刻帯反応値の統計演算値との差分により求められる係数により変更される。また、設定された前記生活時刻帯は、直近の数日間における前記生活時刻帯反応値のピークが得られた時刻に前後幅を含む時刻帯を変更幅とし、この変更幅に基づいて前記生活時刻帯が変更される。
【0014】
本発明の具体的な実施形態の1つでは、前記生活態様は朝食であり、前記生活時刻帯は4時前後から10時半前後であり、前記分割時間は30分であり、前記生活態様における判定条件である生活態様判定条件では、前記生活時刻帯反応値の最大値を0.2から0.4、好ましくは0.3である生活態様判定係数で乗じた値以上となる前記生活時刻帯反応値の発出時刻を朝食推定時刻候補とし、さらに前記朝食推定時刻候補のうち、最も時刻が早いものを朝食推定時刻とする。ここで、4時前後または10時半前後の「前後」とは、見守り対象者の朝食時刻のばらつきを示しており、例えば、プラスマイナス1時間程度と言い換えてもよい。実験を通じて、高い信頼度を得たこの実施形態では、4時前後から10時半前後を朝食時刻帯とみなし、この朝食時刻帯を30分単位で分割し、それぞれの分割時間内で算出された生活時刻帯反応値の最大値に、0.2から0.4、好ましくは0.3である生活態様判定係数(朝食判定係数)を乗じた値を判定閾値とし、この判定閾値を満足する生活時刻帯反応値を朝食推定時刻候補とする。さらに、朝食推定時刻候補のうち、最も時刻が早いものを朝食推定時刻とする。
【0015】
本発明の具体的な実施形態の他の1つでは、前記生活態様は昼食であり、前記生活時刻帯は11時前後から13時半前後であり、前記分割時間は30分であり、前記生活態様における判定条件である生活態様判定条件では、前記生活時刻帯反応値の最大値を0.3から0.5、好ましくは0.4である生活態様判定係数で乗じた値以上となる前記生活時刻帯反応値の発出時刻を昼食推定時刻候補とし、さらに前記昼食推定時刻候補のうち、最も時刻が早いものを昼食推定時刻とする。ここでも、11時前後または13時半前後の「前後」とは、見守り対象者の昼食時刻のばらつきを示しており、例えば、プラスマイナス1時間程度と言い換えてもよい。実験を通じて、高い信頼度を得たこの実施形態では、11時前後から13時半前後を昼食時刻帯とみなし、この昼食時刻帯を30分単位で分割し、それぞれの分割時間内で算出された生活時刻帯反応値の最大値に、0.3から0.5、好ましくは0.4である生活態様判定係数(昼食判定係数)を乗じた値を判定閾値とし、この判定閾値を満足する生活時刻帯反応値を昼食推定時刻候補とする。さらに、昼食推定時刻候補のうち、最も時刻が早いものを昼食推定時刻とする。
【0016】
本発明の具体的な実施形態の他の1つでは、前記生活態様は夕食であり、前記生活時刻帯は16時前後から19時半前後であり、前記分割時間は30分であり、前記生活態様における判定条件である生活態様判定条件では、前記生活時刻帯反応値の最大値を0.3から0.5、好ましくは0.4である生活態様判定係数で乗じた値以上となる前記生活時刻帯反応値の発出時刻を夕食推定時刻候補とし、さらに前記夕食推定時刻候補のうち、最も時刻が早いものを夕食推定時刻とする。ここでも、16時前後または19時半前後の「前後」とは、見守り対象者の夕食時刻のばらつきを示しており、例えば、プラスマイナス1時間程度と言い換えてもよい。実験を通じて、高い信頼度を得たこの実施形態では、16時前後から19時半前後を夕食時刻帯とみなし、この夕食時刻帯を30分単位で分割し、それぞれの分割時間内で算出された生活時刻帯反応値の最大値に、0.3から0.5、好ましくは0.4である生活態様判定係数(夕食判定係数)を乗じた値を判定閾値とし、この判定閾値を満足する生活時刻帯反応値を夕食推定時刻候補とする。さらに、夕食推定時刻候補のうち、最も時刻が早いものを夕食推定時刻とする。
【0017】
簡単な見守りシステムを実現するための実践的な生活態様時刻算出処理を採用した、本発明の実施形態の他の1つでは、前記人感センサは食事や調理を行う場所に配置され、前記生活態様は起床であり、前記生活時刻帯としての起床時刻帯は3時前後から11時半前後であり、前記起床時刻帯の直前となる前記分割時間における前記センサ反応値が所定値未満で、かつ前記起床時刻帯の前記分割時間のそれぞれにおける前記センサ反応値が前記所定値以上となる起床判別処理が成立する場合、3時前を仮起床時刻とし、前記起床判別処理が不成立の場合には、前記起床時刻帯の前記分割時間における前記センサ反応値の最大値がゼロでなければ前記分割時間のうちで最も早い時刻を前記仮起床時刻とし、前記仮起床時刻が先立って算出された朝食推定時刻より遅い場合、前記朝食推定時刻を起床推定時刻とする。食事や調理を行う場所に配置された人感センサだけを用いて、起床時刻を推定することは困難であるが、見守りシステムでは、起床しているという事実が重要であるとすれば、上記構成は、当該目的を果たすことができる。
【0018】
同様に、食事や調理を行う場所に配置された人感センサだけを用いて、就寝時刻を推定することも困難であるが、見守りシステムでは、見守り対象住居で見守り対象者が就寝したという事実が重要であるとすれば、当該目的を果たすための見守りシステムも構築可能である。そのような見守りシステムでは、前記人感センサは食事や調理を行う場所に配置され、前記生活態様は就寝であり、前記生活時刻帯としての就寝時刻帯は20時前後から4時半前後であり、前記就寝時刻帯の前記分割時間のそれぞれにおける前記センサ反応値がゼロで、かつ当該センサ反応値が前記就寝時刻帯の直前となる前記分割時間における前記センサ反応値未満となる前記分割時間があるという就寝判別処理が成立する場合、最も遅い前記分割時間を就寝推定時刻とし、前記就寝判別処理が成立しない場合、翌日の起床推定時刻が算出されるという条件の下で前記就寝推定時刻を0時00分とする。
【0019】
本発明の見守りシステムは、人感センサからの出力だけでなく、電力メータからの電力消費量も用いて、構成することも可能である。このような見守りシステムは、見守り対象住居に配置された人感センサと、前記見守り対象住居の電力消費量を取得する電力メータと、1日における各種生活態様のための各生活時刻帯を設定する生活時刻帯設定部と、前記生活時刻帯を所定数で分割して得られる分割時間毎の前記人感センサの出力から生活時刻帯反応を算出し、前記生活時刻帯での前記生活時刻帯反応値の統計演算値である人感統計演算値を算出し、前記生活時刻帯での前記電力消費量の統計演算値である電力統計演算値を算出する反応値算出部と、前記生活時刻帯での前記人感統計演算値を用いて前記生活時刻帯における前記生活態様の推定時刻である第一態様推定時刻を算出するための人感用判定条件を決定するとともに、前記生活時刻帯での前記電力統計演算値を用いて前記生活時刻帯における前記生活態様の推定時刻である第二態様推定時刻を算出するための電力用判定条件を決定する判定条件決定部と、前記人感用判定条件と前記電力用判定条件とに基づいて態様推定時刻を算出する生活態様推定時刻算出部と、を備える。毎日の生活態様である就寝と起床は、睡眠時間によって決まるが、この睡眠時間においては、人の動きはほとんどなく、時折、特定の場所、例えばキッチンやトイレに向かうぐらいである。睡眠中の電力消費量は、低レベルで、かつ一定している。このことから、特に、起床時刻や就寝時刻の推定に人感センサからの出力と電力メータからの電力消費量とを用いた見守りシステムは、効果的である。
【0020】
起床時刻や就寝時刻の推定に人感センサからの出力と電力メータからの電力消費量とを用いた、別な実施形態の見守りシステムは、見守り対象住居に配置された人感センサと、前記見守り対象住居の電力消費量を取得する電力メータと、1日における各種生活態様(起床、朝食、昼食、夕食、就寝)のための生活時刻帯を設定する生活時刻帯設定部と、前記生活時刻帯を所定数で分割して得られる分割時間毎の前記人感センサの出力から生活時刻帯反応値(センサ反応秒数)を算出する反応値算出部と、前記生活時刻帯での前記生活時刻帯反応値の第一統計演算値である第一人感統計演算値(好ましくは、平均値、標準偏差)を用いて第一判定条件を決定する第一判定条件決定部と、前記生活時刻帯での前記生活時刻帯反応値の第二統計演算値である第二人感統計演算値(好ましくは、平均値、標準偏差)を用いて第二判定条件を決定する第二判定条件決定部と、前記生活時刻帯での前記電力消費量の統計演算値である電力統計演算値(好ましくは、平均値)を用いて第三判定条件を決定する第三判定条件決定部と、前記第一判定条件と前記第二判定条件と前記第三判定条件とに基づいて前記生活時刻帯における前記生活態様の推定時刻である態様推定時刻を算出する生活態様推定時刻算出部とを備える。この構成では、人感センサの出力に基づく生活時刻帯反応値群から求められる第一人感統計演算値(例えば、平均値に標準偏差を加えた値)を用いて決定される第一判定条件と、人感センサの出力に基づく生活時刻帯反応値群から求められる第二人感統計演算値(例えば、平均値に3倍の標準偏差を加えた値)を用いて決定される第二判定条件と、生活時刻帯での電力消費量の統計演算値(例えば、平均値)である電力統計演算値を用いて決定される第三判定条件とを用いて、生活時刻帯における生活態様推定時刻候補を選択し、生活態様推定時刻候補から、例えば、最も早い時刻を持つ候補を算定し、最終的な生活態様推定時刻(就寝推定時刻など)とする。
【0021】
本発明のその他の特徴、作用及び効果は、以下の図面を用いた本発明の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】見守りシステムの構成例を模式的に示す機能ブロック図である。
図2】管理コンピュータに構築されたデータ処理ユニットの構成例とデータの流れを示す機能ブロック図である。
図3】見守り処理の一例を示すフローチャートである。
図4】生活時刻帯反応値算出処理の一例を示すフローチャートである。
図5】生活時刻帯反応値の算出手順の一例を示す模式図である。
図6】判定条件生成処理の一例を示すフローチャートである。
図7】人感センサからの出力と電力メータからの電力消費量を用いた見守りシステムにおけるデータ処理ユニットの一例を示す機能ブロック図である。
図8】実践的な生活態様推定時刻算出処理の基本的ロジックを説明するフローチャートである。
図9図8の基本ロジックに基づく、朝食推定時刻算出のフローチャートである。
図10図8の基本ロジックに基づく、昼食推定時刻算出のフローチャートである。
図11図8の基本ロジックに基づく、夕食推定時刻算出のフローチャートである。
図12図8の基本ロジックに基づく、起床推定時刻算出のフローチャートである。
図13図8の基本ロジックに基づく、就寝推定時刻算出のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る見守りシステムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明では、見守りシステムは見守り対象者を高齢者とする高齢者見守りシステムである。
【0024】
図1に示すように、この実施形態の見守りシステムは、登録ユーザに情報を与えるクラウドサービスとして機能する管理コンピュータ1と、高齢者が住んでいる見守り対象住居(以下単に住居と称す)2に配置される端末装置20とから構成されている。管理コンピュータ1と端末装置20とは、インターネットや公衆回線などを通じて、データ交換可能に接続されている。管理コンピュータ1は、高齢者の見守りを依頼している依頼ユーザのユーザ端末4に見守り情報を送信する。管理コンピュータ1は、見守り対象となっている高齢者のユーザ端末4に、見守り情報を送信することも可能である。
【0025】
住居2のキッチンなどの居住空間に、人の存在を感知する人感センサ3が配置されている。住居2には、電力メータ30も配置されている。端末装置20はICT端末であり、人感センサ3からの人感出力、及び電力メータ30から電力消費量を、管理コンピュータ1に送信する機能を有する。このため、端末装置20は、検出信号受信部22と信号処理部23と通信部24とを備える。検出信号受信部22は、人感センサ3及び電力メータ30からの検出信号を受信する。信号処理部23は、検出信号受信部22で受信した検出信号に対して必要な前処理を行い、時刻データ(タイムスタンプ)等の付加データを加え、必要なデータフォーマット変換を行い、送信データを生成する。通信部24は、信号処理部23によって生成された送信データを、管理コンピュータ1に送信する。
【0026】
管理コンピュータ1は、データ送受信部11とデータ記憶部12とデータ処理ユニット5を備えている。データ送受信部11は、各見守り対象者の住居2に設置された端末装置20とデータ通信を行い、各端末装置20から、人感センサ3からの人感出力及び電力メータ30から電力消費量に関するデータを受け取る。データ記憶部12は、例えば、ハードディスクドライブやソリッドステートディスク等の大容量のデータを不揮発的に記録可能な記録装置等を備え、管理コンピュータ1で取り扱うデータを、検索可能に管理する。データ処理ユニット5は、見守りシステムの中核要素であり、演算装置及び半導体メモリ等の記憶装置等を備えたコンピュータとして構成されている。なお、この実施形態(第1実施形態)では、人感センサ3からの人感出力が高齢者の見守り処理に用いられるので、人感センサ3からの人感出力だけがデータ処理ユニット5で用いられる。
【0027】
図2で示すように、データ処理ユニット5は、生活時刻帯設定部51、反応値算出部52、判定条件決定部53、生活態様推定時刻算出部54、生活状態評価部55、登録ユーザ宛通信文作成部57を備えている。なお、本願における時刻表示は、24時間表示である。
【0028】
生活時刻帯設定部51は、見守り対象となる住居2における高齢者の1日における各種生活態様、この実施形態では、朝食、昼食、夕食のための各生活時刻帯(朝食時刻帯、昼食時刻帯、夕食時刻帯)を設定する。ほとんどの高齢者に共通とみなされる生活時刻帯として、朝食時刻帯は4時00分から10時30分、昼食時刻帯は11時から13時30分、夕食時刻帯は16時から19時30分と設定することができる。もちろん、この生活時刻帯は、住居2毎に設定可能である。例えば、住居2毎の過去数日間の生活時刻帯における人感センサ3からの人感出力の統計的な分析から、各生活態様が行われていると推定される時刻を基準として、各生活時刻帯を設定または修正する。
【0029】
反応値算出部52は、生活時刻帯設定部51で設定生活時刻帯を所定数で分割して得られる分割時間毎の人感センサ3の出力から生活時刻帯反応値(センサ反応値とも称する)を算出する。例えば、朝食時刻帯の分割時間毎の人感センサ3の出力から朝食時刻帯反応値(朝食反応値とも称する)が算出されることになる。この生活時刻帯反応値の算出は、後で図を用いて説明される。生活時刻帯を分割する分割時間は、実験等を用いて決定されるが、30分程度が適当である。もちろん、この分割時間も生活時刻帯や各住居2に応じて変更されてもよい。分割時間の変更は、直近の数日のセンサ反応値群の統計的演算を通じて、適正な分割時間を求めることで、随時行ってもよい。反応値算出部52は、生活時刻帯反応値群に対する統計演算を行うための統計演算部52aを有する。
【0030】
判定条件決定部53は、生活態様推定時刻算出部54が反応値算出部52によって経時的に算出される各生活時刻帯反応値に基づいて生活態様の推定時刻である態様推定時刻を算出する際に用いられる生活態様判定条件(以下、単に判定条件と称する)を決定する。つまり、生活態様推定時刻算出部54は、反応値算出部52によって経時的に算出される一連の生活時刻帯反応値(朝食反応値群、昼食反応値群、夕食反応値群)と、判定条件決定部53によって決定された判定条件を用いて生活態様(朝食、昼食、夕食)の推定時刻である態様推定時刻(朝食推定時刻、昼食推定時刻、夕食推定時刻)を算出する。各生活態様に対する具体的な判定条件は、後で詳しく説明される。
【0031】
生活状態評価部55は、生活態様推定時刻算出部54によって算出された各生活態様(朝食、昼食、夕食)の態様推定時刻と、予め登録された登録健全時刻との比較により、見守り対象である高齢者の生活状態を評価する。見守り対象である高齢者が健全な状態での実際の態様時刻に基づいて、または当該高齢者の実際の態様時刻群の平均値に基づいて、決定された見守り対象である高齢者が健全な生活を過ごしているとみなされる各生活態様での健全時刻が、健全時刻登録部56に登録されている。この健全時刻登録部56から、生活状態評価のために抽出される健全時刻が登録健全時刻である。
【0032】
登録ユーザ宛通信文作成部57は、生活状態評価部55によって評価され、出力される見守り評価結果を示す通信文を、登録ユーザである、見守り対象となっている高齢者の家族のユーザ端末4に送信する。もちろん、見守り評価結果を示す通信文は、その見守り対象となっている高齢者に直接送ることも可能である。
【0033】
この見守りシステムにおける基本的な見守り処理の1つである高齢者見守り処理を、図3のフローチャートを用いて説明する。まず、生活時刻帯設定部51によって、対象となる住居2の高齢者のための各生活態様の生活時間帯が設定される(#11)。反応値算出部52におけるセンサ反応値を算出するための分割時間が、生活態様毎に、設定される(#12)。
【0034】
反応値算出部52が、対象となる住居2の端末装置20から送信される人感センサ3の出力に基づいて、対象となる生活時刻帯における分割時間毎の生活時刻帯反応値(センサ反応値)を順次算出する(#13)。生活態様推定時刻算出部54が、判定条件決定部53によって決定された判定条件に基づいて、一連のセンサ反応値から判定条件を満たすセンサ反応値を選択し(#14)、選択されたセンサ反応値が発出する時刻を生活態様推定時刻候補として算出する(#15)。生活態様推定時刻候補が単一の場合、生活態様推定時刻候補が最終的な態様推定時刻となり、生活態様推定時刻候補が複数あれば、その中で最も早い時刻を有する生活態様推定時刻候補が、最終的な態様推定時刻として算出される(#16)。ここでの、生活態様推定時刻候補は、生活時刻帯が朝食時刻帯なら朝食推定時刻候補となり、生活時刻帯が昼食時刻帯なら昼食推定時刻候補となり、生活時刻帯が夕食時刻帯なら夕食推定時刻候補となる。
【0035】
次いで、生活状態評価部55が、健全時刻登録部56から抽出した登録健全時刻から規定される許容時刻帯である登録基準時刻帯に入るかどうかをチェックして(#17)、許容時刻帯に入る場合(#17Yes分岐)、判定された生活態様に乱れがないと評価し(#18)、許容時刻帯に入らない場合(#17No分岐)、判定された生活態様に乱れがあると評価する(#19)。
【0036】
生活状態評価部55による評価結果は、日毎の生活態様(朝食、昼食、夕食)別でテーブル化やグラフ化された見守り情報とともに、対応する登録ユーザに通知される(#20)。
【0037】
次に、図4図5とを用いて、生活時刻帯反応値の一例とその算出方法を説明する。図5は、生活時刻帯反応値の算出される様子を模式的に表している。なお、この実施形態での人感センサ3は、一例として、焦電型赤外線センサを用いた一般に市販されているセンサであり、例えば、1秒~10秒程度の間隔で、人感センサ3の検知エリア内での人体から放射される赤外線強度の変化を検出して、出力する。図の一番上のグラフは、人感センサ3の出力に対応する波形信号を示しており、その波形信号の一部を拡大したものが、その下に示されている。さらに、図の一番下のグラフは、人感センサ3の出力から生活時刻帯反応値を算出するための説明目的の模式図であり、その波形信号は模式的に示されている。この模式図において、縦軸は人感センサ3のセンサ出力を示し、横軸は時刻を示しており、生活時刻帯は、4つの分割時間で分割されている。ノイズを除去するために設定されているセンサ閾値を超える波の、各分割時間での時間幅(添え字付きsで示されている)の統計演算値としての積算値(添え字付きSで示されている)が、生活時刻帯反応値(センサ反応値)であり、言い換えると、30分間での人感センサ3の反応秒数である。
【0038】
生活時刻帯反応値算出処理がリアルタイム処理される場合では、図4に示すように、見守り対象となる生活時刻帯が始まる時刻になっているかどうかチェックされ(#21)、見守り対象となる生活時刻帯となれば(#21Yes分岐)、最初の分割時間でのセンサ出力が取得される(#22)。上述したように、取得したセンサ出力を処理して、センサ閾値以上のセンサ出力波の持続時間をセンサ反応値として算出し(#23)、分割時間におけるセンサ反応値の積算値を生活時刻帯反応値として算出する(#24)。算出された生活時刻帯反応値は、メモリに記憶される。このステップ#22からステップ#25までの処理が、全ての分割時間において、繰り返し処理される。見守り対象となる生活時刻帯が終了すれば(#26Yes分岐)、この生活時刻帯における生活時刻帯反応値算出処理が完了し、次の見守り対象となる生活時刻帯が始まるのを待つ。
【0039】
生活時刻帯反応値算出処理がバッチ処理される場合では、予め見守り対象となる生活時刻帯におけるセンサ出力がメモリに記憶され、この記憶されたセンサ出力に対して、上述した反応値算出処理がおこなわれる。なお、この生活時刻帯反応値算出処理は、各住居2に配置された端末装置20の信号処理部23で行うことも可能である。その場合、生活時刻帯設定部51及び反応値算出部52は、信号処理部23に構築され、そこで算出された生活時刻帯反応値が、端末装置20からデータ処理ユニット5に送られる。
【0040】
次に、図6のフローチャートを用いて、判定条件決定部53によって行われる判定条件を生成する処理を説明する。まず、生活態様の生活時刻帯が設定され(#41)、さらに当該時刻帯におけるセンサ反応値算出のための分割時間が設定される(#42)。反応値算出部52が、生活時刻帯における一連のセンサ反応値を算出する(#43)。過去の数日(例えば3日)の生活時刻帯における一連のセンサ反応値から、最大値を有するセンサ反応値が最大センサ反応値として算出される(#44)。この最大センサ反応値を基準として、態様推定時刻を算出するための候補となるセンサ反応値を選ぶために、生活態様判定係数が設定される(#45)。例えば、生活態様判定係数が最大センサ反応値に乗算される1未満の数値とすれば、最大センサ反応値と生活態様判定係数との乗算値を以上の値を有するセンサ反応値が態様推定時刻を算出するための候補として選択することができる。この生活態様判定係数は、生活態様によって異なる値としてもよい。この趣旨での生活態様判定係数が設定されると、(最大センサ反応値)×(生活態様判定係数)が判定閾値とする判定条件が生成される(#45)。算出されるセンサ反応値がこの判定閾値以上となれば、当該センサ反応値は判定条件を満たすことになる。この判定条件を満たしたセンサ反応値に対応する時刻が態様推定時刻候補となり、この態様推定時刻候補群のなかで、最早の態様推定時刻候補が態様推定時刻となる。
【0041】
なお、生活時刻帯の設定に関して、設定された生活時刻帯は可変である。一度設定された生活時刻帯での、直近の3日間におけるセンサ反応値のピークが得られた時刻のプラスマイナス30分(前後幅)を変更幅とし、この変更幅に基づいて生活時刻帯(例えば朝食時刻帯)を変更してもよい。例えば、3日前のセンサ反応値のピーク時間が7時30分であると、その変更幅は7時から8時となり、2日前のセンサ反応値のピーク時間が6時00分であると、その変更幅は5時30分かから6時30分となり、1日前のセンサ反応値のピーク時間が8時00分であると、その変更幅は7時30分から8時30分となる。これらの変更幅の両端をとれば、変更される生活時刻帯(朝食時刻帯)は、5時30分から8時30分となる。
【0042】
判定条件で用いられた生活態様判定係数は、実験結果を参照して、生活態様毎に決定することができる。つまり、朝食判定係数、昼食判定係数、夕食判定係数が決定される。この実施形態では、朝食判定係数として、「0.3」が採用され、昼食判定係数及び夕食判定係数として、「0.4」が採用されている。
【0043】
次に、設定された生活態様判定係数の変更の方法を説明する。まず、数日から数週間の住居2毎の生活時刻帯のセンサ反応値の最大値と、当該最大値に対応する分割時間以外のセンサ反応値(センサ反応値群)の統計演算値との差分により、生活態様判定係数が求められる。具体的には、生活態様判定係数={{(最大値)-(ピークを示す分割時間以外のセンサ反応値群の平均値-標準偏差)}/(最大値)}で、算出される生活態様判定係数で変更することができる。
【0044】
なお、起床や就寝は、上述した朝食、昼食、夕食とは異なった生活態様であるので、朝食、昼食、夕食とは異なった判定条件が採用される。生活態様が起床の場合に用いられる起床判定条件は、態様推定時刻候補を選ぶ条件であり、起床判定閾値と称し、次のようにして求められる;
(a)まず、見守り対象となる日の過去3日間の2時00分から3時30分(おそらく就寝状態と思われる時間帯)の人感センサ3のセンサ反応値(秒数)の最大値(ここではSL-maxとする)を求める。
(b)起床判定条件を以下のように設定される;
(b1)SL-max<5ならば、起床判定閾値=5とする。
(b2)SL-max>100ならば、起床判定閾値=前日の起床判定閾値とする。
(これにより深夜に大きな反応がある時間帯があると起床判定が大きくずれてしまという問題を防ぐ。)
(b3)それ以外のSL-maxでは、起床判定閾値=Min{SL-max/2、前日の起床判定閾値×2}とする。すなわち(L-max/2)と前日の起床判定閾値の2倍との小さい方を当日の起床判定閾値とする。
(c)見守り対象となる日の4時00分から11時00分の間で、(前の生活時刻帯の人感センサ3のセンサ反応値≦起床判定閾値)かつ(見守り対象の生活時刻帯の人感センサ3の反応値>起床判定閾値)の場合、選ばれたセンサ反応値に対応する起床推定時刻候補群のなかで、最早の起床推定時刻候補が起床推定時刻となる。
(d)これにより、おそらく就寝状態にあると思われる状態から何らかの活動をしていると思われる状態への遷移が確認できる水準が設定される。また、深夜に起きてキッチンに向かったことで大きなセンサ反応値となっているような場合に、それ以降数日間の起床条件を満たさない(起きていない)という判定になってしまうという問題を防ぐため連続する日で判定閾値が大きく変動しないようされている。
【0045】
さらに、生活態様が就寝の場合に用いられる就寝判定条件は、就寝推定時刻候補を選ぶ条件であり、就寝判定閾値と称し、次のようにして求められる;
(a)まず、見守り対象となる日の過去7日間の2時00分から3時30分(おそらく就寝状態と思われる時間帯)の人感センサ3のセンサ反応値(秒数)の平均値:μsと標準偏差:σsを求める。
(b)第一感就寝閾値(人感用判定条件)を以下のように設定する;
(b1)第一人感就寝閾値は、30分の分割時間毎に求めた(μs+σs )の最小値とする。
なお、上記計算において、値が0となった場合は第一人感就寝閾値=1とする。
(c)第二人感就寝閾値(人感用判定条件)を以下のように設定する;
(c1)第二人感就寝閾値は、30分の分割時間毎に求めた(μs+3σs )の最小値とする。
なお、上記計算において、値が0となった場合は第二人感就寝閾値=1とする。
(d)(人感センサ3のセンサ反応値)<または=(第一人感就寝閾値)であれば仮に就寝したとみなす。仮に就寝したとみなした時間から1時間以内に、(人感センサ3のセンサ反応値)>または=(第二人感就寝閾値)が満たされた場合には、就寝したという判断を解除する。この条件を満たす就寝推定時刻候補のうちもっとも早い時刻を就寝推定時刻と見なす。
【0046】
次に、人感センサ3の出力と、電力メータ30による電力消費量とを入力データとして態様推定時刻を推定する見守りシステムの第1の実施形態を説明する。この見守りシステムは、上述した人感センサ3の出力だけで態様推定時刻を推定する見守りシステムを少し変形することで実現可能である。この見守りシステムでは、先の実施形態の見守りシステムに比べて、電力メータ30からの電力消費量も、反応値算出部52で演算処理される。つまり、反応値算出部52は、生活時刻帯での電力消費量の統計演算値である電力統計演算値も算出する。さらに、判定条件決定部53は、生活時刻帯での人感統計演算値を用いて生活時刻帯における生活態様の推定時刻である第一態様推定時刻を算出する生活時刻帯での前記人感統計演算値を用いて前記生活時刻帯における前記生活態様の推定時刻(ここではこれの推定時刻を第一態様推定時刻と称する)を算出するための人感用判定条件を決定するだけでなく、生活時刻帯での電力統計演算値を用いて生活時刻帯における生活態様の推定時刻である第二態様推定時刻を算出するための電力用判定条件を決定する。生活態様推定時刻算出部54は、人感用判定条件と電力用判定条件とに基づいて態様推定時刻を算出する。例えば、生活態様推定時刻算出部54は、生活態様によって、例えば、食事態様(朝食、昼食、夕食)または睡眠態様(就寝、起床)に応じて、人感用判定条件に基づいて算出した態様推定時刻と、電力用判定条件に基づいて態様推定時刻とのいずれかを採用するようにしてもよい。あるいは、両者の重み付け平均で最終的な態様推定時刻を決めてもよい。
【0047】
次に、人感センサ3の出力と、電力メータ30による電力消費量とを入力データとして態様推定時刻を推定する見守りシステムの第2の実施形態を説明する。この見守りシステムでは、人感センサ3の出力と、電力メータ30による電力消費量が、態様推定時刻に用いられる。図7は、この見守りシステムのデータ処理ユニット5を示している。このデータ処理ユニット5は、図2で示された先の実施形態のおけるデータ処理ユニット5と、実質的に同様な構成を有するが、反応値算出部52と判定条件決定部53とにおいて、演算機能が追加されている。この見守りシステムは、特に、生活態様として就寝の時刻を推定するのに適している。
【0048】
この実施形態での反応値算出部52は、人感センサ3からの出力(人感出力)を処理して、センサ反応時間幅であるセンサ反応値を算出するだけでなく、電力メータ30から電力消費量に関するデータを取得して、センサ反応値として電量消費量に関する統計演算値、例えば、所定時間の平均値や標準偏差も算出する機能を有する。
【0049】
この実施形態での判定条件決定部53は、第一判定条件決定部531と、第二判定条件決定部532と、第三判定条件決定部533とを備えている。第一判定条件決定部531は、生活時刻帯での前記生活時刻帯反応値の第一統計演算値である第一人感統計演算値(例えば、平均値、標準偏差)を用いて第一判定条件を決定する。第二判定条件決定部532は、生活時刻帯での生活時刻帯反応値の第二統計演算値である第二人感統計演算値(例えば、平均値、標準偏差)を用いて第二判定条件を決定する。第三判定条件決定部533は、生活時刻帯での電力消費量の統計演算値である電力統計演算値(例えば、平均値)を用いて第三判定条件を決定する。したがって、生活態様推定時刻算出部54は、第一判定条件と前記第二判定条件と前記第三判定条件とに基づいて前記生活時刻帯における前記生活態様の推定時刻である態様推定時刻を算出することになる。
【0050】
第一判定条件決定部531によって決定される第一判定条件は、上述した第一人感就寝閾値である。第二判定条件決定部532によって決定される第二判定条件は、上述した第二人感就寝閾値である。第三判定条件決定部533によって決定される第三判定条件は、電力就寝閾値(電力用判定条件)である。この電力就寝閾値を求めるために、まず、見守り対象となる日の過去7日間の2時00分から3時30分(おそらく就寝状態と思われる時刻帯)の電力消費量の平均値と標準偏差とを求める。電力就寝閾値は、過去3時間の電力消費量の平均値とするか、または過去1週間の電力消費量の平均値にその標準偏差を加えた値とする。
【0051】
就寝推定時刻候補を選ぶにあたって、
(電力消費量)<または=(電力就寝閾値)かつ、(人感センサ3のセンサ反応値)<または=(第一人感就寝閾値)であれば仮に就寝したとみなす。仮に就寝したとみなした時間から1時間以内に、(人感センサ3のセンサ反応値)>または=(第二人感就寝閾値)が満たされた場合には、就寝したという判断を解除する。この条件を満たす就寝推定時刻候補のうちもっとも早い時刻を就寝推定時刻と見なす。
【0052】
なお、就寝判定の具体例の1つを以下に説明する。まず、2時から4時の時刻帯では、過半数の人は寝ているという仮定のもとで、過去1週間の2時から4時の間の分割時間毎のセンサ反応値と電力消費量とを住居2毎に求め、過去1週間にわたる分割時間毎の統計演算値として平均値と標準偏差を算出し、(平均値+標準偏差)の最低値を閾値とする。就寝判定時刻を21時から3時としてこの間に、センサ反応値及び電力消費量がそれぞれの閾値を下回った場合、就寝と判定する。例えば、2時から2時30分までの第1分割時間での電力消費量の過去1週間の平均値+標準偏差(第1分割時間電力統計演算値)が0.19、2時から2時30分までの第2分割時間での第2分割時間電力統計演算値が0.22、同様に、第3分割時間電力統計演算値が0.15、第4分割時間電力統計演算値が0.17、第5分割時間電力統計演算値が0.15とすれば、その最小値である第5分割時間電力統計演算値の0.15を繰り上げて、0.2を電力閾値と設定する。但し、全ての値が、ゼロの場合、電力閾値は0.1とする。また、2時から2時30分までの第1分割時間でのセンサ反応値の過去1週間の平均値+標準偏差(第1分割時間人感統計演算値)が2.31、2時から2時30分までの第2分割時間での第2分割時間人感統計演算値が1.78、同様に、第3分割時間人感統計演算値が0.49、第4分割時間人感統計演算値が4.64、第5分割時間人感統計演算値が5.42とすれば、その最小値である第3分割時間電力統計演算値の0.49を繰り上げて、1を人感閾値と設定する。但し、全ての値が、ゼロの場合、人感閾値は1とする。なお、人感閾値として設定された時間帯(分割時間)での人感反応値の平均値+3×標準偏差を繰り上げた値、上記例では、(0.14+0.35*3=1.19)を繰り上げた値:2を超えることが、2時から4時の時刻帯における就寝解除条件として用いることができる。
【0053】
次に、図8から図13のフローチャートを用いて、見守りシステムで用いられる生活態様推定時刻の実践的な算出処理を説明する。なお、この見守りシステムでは、人感センサ3は、キッチンまたは、それに類似する場所(調理や食事を行う場所)に配置されているとする。図8には、この実践的な生活態様推定時刻算出処理の基本的ロジックが示されている。図8において、長方形の枠は実際に実行される処理を示し、角丸四角形の枠は、ロジック策定時の仮定を示している。
【0054】
まず、「見守り対象者の生活時刻帯は、日によって大きく変動することはない」との仮定を立てる(#100)。この仮定に基づいて、各生活態様(朝食、昼食、夕食、起床、就寝)が行われると生活時刻帯を想定する(#101)。調理行動を伴う生活態様に対して判定係数を設定する(#102)。ここでは、朝食判定係数=0.3、昼食判定係数=夕食判定係数=0.4とする。各判定係数は、サンプリング統計演算を通じて、判定精度が高くなる判定係数を0.1刻みで算出する。
【0055】
次いで、「見守り対象者がキッチンに立つ時間は個人差がある」との仮定をたて(#110)、この仮定に基づいて、見守り対象住居毎に異なるように、過去3日間のセンサ反応値の最大値を、上述の生活態様判定係数に対応する係数としての調整係数を設定する(#111)。この調整係数は、ステップ#101で想定された生活時刻帯において、ステップ#102で設定された判定係数と乗算され、この乗算で得られた数値は生活態様判定閾値として設定される(#120)。
【0056】
さらに、「調理行動ならキッチンでのセンサ反応値(積算秒)は長いはずである」との仮定をたて(#130)、この仮定に基づいて、「夜に反応あり」から「夜に反応なし」への変化に基づいて就寝推定時刻を求め(#131)、「朝に反応なし」から「朝に反応あり」への変化に基づいて起床推定時刻を求める(#132)。
【0057】
また、「キッチンでのセンサ反応があったとしても、調理行動とは限らない」との仮定をたて(#140)、この仮定に基づいて、センサ反応が極小であれば、そのセンサ反応値はゼロとみなす(#141)。このようなみなし処理と、ステップ#130の仮定と、ステップ#120で設定された生活態様判定閾値とに基づいて、センサ反応値が生活態様判定閾値以上であるかを判定して、調理構造が推定される(#150)。
【0058】
上記の基本的ロジックを用いて、各生活態様推定時刻を算出する処理を以下に説明する。
【0059】
図9は、朝食推定時刻の算出処理を示すフローチャートである。ここでは、朝食時刻帯を4時から11時(11時ジャストは含まない)とする。各見守り対象住居から取得された集計データを用いて、見守り対象日の過去3日間の朝食時刻帯のセンサ反応値(秒)の最大値を求める(この最大値をBF-maxとする)(#201)。次に、予め設定されている朝食判定係数(ここでは0.3)を読み出し、見守り対象日の朝食時刻帯における30分(分割時間)間のセンサ反応値(秒)が、BF-maxと朝食判定係数との乗算値以上となる1つ以上の分割時間を選出時間帯(選出分割時間)として求める(#202)。選出時間帯があるかどうかチェックされ(#203)、選出時間帯が複数あれば(#203Yes分岐)、そのうちで最も早い時刻を朝食推定時刻とみなし(#204)、選出時間帯が1つであれば(#203Yes分岐)、その時刻(発出時刻)を、朝食推定時刻とみなす(#204)。選出時間帯がなければ(#203No分岐)、さらに、全ての分割時間における最大値がゼロであるかどうかチェックされる(#205)。最大値がゼロであれば(#205Yes分岐)、朝食推定時刻の判定はできないとする(#206)。最大値がゼロでなければ(#205No分岐)、その最大値の分割時間の時刻(発出時刻)を朝食推定時刻とみなす(#207)。
【0060】
図10は、昼食推定時刻の算出処理を示すフローチャートである。ここでは、昼食時刻帯を11時から14時(14時ジャストは含まない)とする。各見守り対象住居から取得された集計データを用いて、見守り対象日の過去3日間の昼食時刻帯のセンサ反応値(秒)の最大値を求める(この最大値をLU-maxとする)(#301)。次に、予め設定されている昼食判定係数(ここでは0.4)を読み出し、見守り対象日の昼食時刻帯における30分(分割時間)間のセンサ反応値(秒)が、LU-maxと朝食判定係数との乗算値以上となる1つ以上の分割時間を選出時間帯として求める(#302)。さらに、求められた選出時間帯のうち最も早い選出時間帯の時刻を第1昼食時刻候補とし、最大値をとる選出時間帯の時刻を第2昼食時刻候補とする(#303)。ステップ#303で、第1昼食時刻候補と第2昼食時刻候補とが求められたかどうかチェックする(#304)。#304のチェックで、第1昼食時刻候補と第2昼食時刻候補のいずれもが求められていない場合、昼食推定時刻の判定はできないとする(#305)。#304のチェックで、第1昼食時刻候補と第2昼食時刻候補との両方が求められていた場合、さらに、第1昼食時刻候補と第2昼食時刻候補との差が60分を超えているかどうかチェックされる(#306)。第1昼食時刻候補と第2昼食時刻候補との差が60分を超えている場合(#306Yes分岐)、第1昼食時刻候補を昼食推定時刻とする(#307)。なお、#304のチェックで、第2昼食時刻候補しか求められないということはないので、この場合、第1昼食時刻候補(=第2昼食時刻候補)が求められることになる。第1昼食時刻候補と第2昼食時刻候補との差が60分以下である場合(#306No分岐)、最大値をとる選出時間帯の時刻を優先し、第2昼食時刻候補を昼食推定時刻とする(#308)。
【0061】
図11は、夕食推定時刻の算出処理を示すフローチャートである。ここでは、夕食時刻帯を16時から20時(20時ジャストは含まない)とする。この夕食推定時刻の算出処理を示すフローチャート、実質的に、図10で示された昼食推定時刻の算出処理のフローチャートと同じである。各見守り対象住居から取得された集計データを用いて、見守り対象日の過去3日間の夕食時刻帯のセンサ反応値(秒)の最大値を求める(この最大値をDI-maxとする)(#401)。次に、予め設定されている夕食判定係数(ここでは0.4)を読み出し、見守り対象日の夕食時刻帯における30分(分割時間)間のセンサ反応値(秒)が、DI-maxと夕食判定係数との乗算値以上となる1つ以上の分割時間を選出時間帯として求める(#402)。さらに、求められた選出時間帯のうち最も早い選出時間帯の時刻を第1夕食時刻候補とし、最大値をとる選出時間帯の時刻を第2夕食時刻候補とする(#403)。ステップ#403で、第1夕食時刻候補と第2夕食時刻候補とが求められたかどうかチェックする(#404)。#404のチェックで、第1夕食時刻候補と第2夕食時刻候補のいずれもが求められていない場合、夕食推定時刻の判定はできないとする(#405)。#404のチェックで、第1夕食時刻候補と第2夕食時刻候補との両方が求められていた場合、さらに、第1夕食時刻候補と第2夕食時刻候補との差が60分を超えているかどうかチェックされる(#406)。第1夕食時刻候補と第2夕食時刻候補との差が60分を超えている場合(#406Yes分岐)、第1夕食時刻候補を夕食推定時刻とする(#407)。なお、#404のチェックで、第2夕食時刻候補しか求められないということはないので、この場合、第1夕食時刻候補(=第2夕食時刻候補)が求められることになる。第1夕食時刻候補と第2夕食時刻候補との差が60分以下である場合(#406No分岐)、最大値をとる選出時間帯の時刻を優先し、第2夕食時刻候補を夕食推定時刻とする(#408)。
【0062】
図12は、起床推定時刻の算出処理を示すフローチャートである。ここでは、起床時刻帯を3時30分から11時30分(11時30分ジャストは含まない)とする。
【0063】
起床推定時刻の算出処理では、まず、見守り対象日の起床時刻帯で、その起床時刻帯の直前となる分割時間におけるセンサ反応値(秒)が60未満で、かつ起床時刻帯の各分割時間におけるセンサ反応値が60以上である1つ以上の分割時間を選出時間帯として求める(#501)。さらに、起床時刻帯の直前の分割時間におけるセンサ反応値が60未満で、かつ起床時刻帯の最初の分割時間(つまり、3時30分から4時00分)におけるセンサ反応値が60以上であるかどうかの第1判別処理が行われる(#502)。この第1判別処理(起床判別処理)は、4時前後に起床する住居と就寝する住居があることを想定して、できるだけ起床時刻の信頼性を上げるための判別処理である。この第1判別処理で「真」(#502True分岐)であるなら、3時30分を仮起床推定時刻とする(#503)。この第1判別処理で「偽」(#502False分岐)であるなら、さらに、起床時刻帯におけるセンサ反応値の最大値がゼロであるかどうかの第2判別処理が行われる(#504)。この第2判別処理(起床判別処理)で「真」(#504True分岐)であるなら、起床推定時刻の判定はできないとする(#505)。この第2判別処理で「偽」(#504False分岐)であるなら、これまでの判別で残っている分割時間群のうち最も早い分割時間の時刻(発出時刻)を仮起床時刻とする(#506)。次いで、この処理に先立って朝食推定時刻が算出されている場合は、当該朝食推定時刻と、ステップ#506で求められた仮起床時刻とが比較される(#507)。この比較で、仮起床時刻が朝食推定時刻より遅い場合(#507仮起床時刻遅分岐)、朝食推定時刻を起床推定時刻とする(#508)。なお、この処理に先立って朝食推定時刻が算出されていない場合は、ステップ#503で設定された仮起床時刻:3時30分が、起床推定時刻とみなし、この処理を終了する。
【0064】
図13は、就寝推定時刻の算出処理を示すフローチャートである。ここでは、就寝時刻帯を20時00分から4時30分(4時30分ジャストは含まない)とする。まず、見守り対象日の就寝時刻帯で、センサ反応値(秒)が60未満ならゼロとみなす前処理を行う(#601)。さらに、見守り対象日の就寝時刻帯の分割時間におけるセンサ反応値がゼロであり、かつ就寝時刻帯の分割時間のセンサ反応値が就寝時刻帯の直前となる分割時間におけるセンサ反応値未満となる、1つ以上の分割時間を選出時間帯として求める判別処理(就寝判別処理)を行う(#602)。選出時間帯があるかどうかチェックされる(#603)。選出時間帯があれば(#603Yes分岐)、そのうちで最も遅い選出時間帯の時刻を就寝推定時刻とみなす(#604)。選出時間帯がなければ(#603No分岐)、さらに翌日の起床推定時刻が算出されたかどうかの翌日判定が行われる(#605)。この判定は、就寝推定時刻が算出不能であっても、翌日の起床推定時刻が算出されると、どこかの時点で就寝したとみなすことができるので、とりあえず、0時00分に就寝したとする判定である。この判定結果が「偽」(#502False分岐)であるなら、就寝推定時刻の判定はできないとし(#606)、この判定結果が「真」(#605True分岐)であるなら、就寝推定時刻を0時00分とする(#607)。
【0065】
〔別実施の形態〕
(1)図2図7の機能ブロックで示された機能部は、複数の機能部に分割すること、複数の機能部をまとめて1つの機能部に統合すること、一部の機能部を、他のコンピュータや処理ユニットに分散することは、自在である。
(2)人感センサ3は、ガス警報器に搭載された人感センサであってもよいし、人を感知する機能のみを備える人感センサであってもよい。
(3)登録ユーザ宛通信文作成部57で作成される通信文には、生活態様推定時刻算出部54で算出された時刻が、予め登録されている見守り対象者の適正生活態様時刻範囲に入っているかどうか、どの程度逸脱しているかどうかを示す内容が含まれる。
【0066】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の見守りシステムは、種々の見守り対象者のための見守りシステムに適応可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 :管理コンピュータ
2 :住居
3 :人感センサ
4 :ユーザ端末
5 :データ処理ユニット
11 :データ送受信部
12 :データ記憶部
20 :端末装置
22 :検出信号受信部
23 :信号処理部
24 :通信部
30 :電力メータ
51 :生活時刻帯設定部
52 :反応値算出部
52a :統計演算部
53 :判定条件決定部
54 :生活態様推定時刻算出部
55 :生活状態評価部
56 :健全時刻登録部
57 :登録ユーザ宛通信文作成部
531 :第一判定条件決定部
532 :第二判定条件決定部
533 :第三判定条件決定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13