(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128409
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】燃料電池の排水装置及び燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20230907BHJP
H01M 8/04228 20160101ALI20230907BHJP
H01M 8/04303 20160101ALI20230907BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20230907BHJP
H01M 8/04955 20160101ALI20230907BHJP
H01M 8/04537 20160101ALI20230907BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20230907BHJP
【FI】
H01M8/04 N
H01M8/04228
H01M8/04303
H01M8/04746
H01M8/04955
H01M8/04537
H01M8/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032742
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福永 聡洋
【テーマコード(参考)】
5H127
【Fターム(参考)】
5H127AB04
5H127AB29
5H127AC15
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA28
5H127BA33
5H127BA57
5H127BA59
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB37
5H127CC07
5H127DA11
5H127DB99
5H127DC87
5H127EE23
(57)【要約】
【課題】排水時の燃料の損失を抑制した燃料電池の排水装置及び燃料電池システムを提供する。
【解決手段】 燃料電池10の排水装置57は、燃料ガスHを酸化させて発電をする燃料電池10と、燃料電池10に接続されて発電で生成される生成水Wを貯留する貯留槽55と、燃料ガスHのうち発電に寄与せずに貯留槽55へ流入する未燃水素H
1を貯留槽55から排出する燃料ガス排出路63と、貯留槽55の底面から所定の第一高さα以上上方へ生成水Wを導いた後に生成水Wを流下させて貯留槽55の外部へ排水をするトラップ排水路66と、第一高さαよりも低い第二高さβの位置でトラップ排水路66に設けられてトラップ排水路66の開閉を制御するトラップ弁58と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスを酸化させて発電をする燃料電池と、
前記燃料電池に接続されて前記発電で生成される生成水を貯留する貯留槽と、
前記燃料ガスのうち前記発電に寄与せずに前記貯留槽へ流入する未燃燃料ガスを前記貯留槽から排出する燃料ガス排出路と、
前記貯留槽の底面から所定の第一高さ以上上方へ前記生成水を導いた後に前記生成水を流下させて前記貯留槽の外部へ排水をするトラップ排水路と、
前記第一高さよりも低い第二高さの位置で前記トラップ排水路に設けられて前記トラップ排水路の開閉を制御するトラップ弁と、を備えることを特徴とする燃料電池の排水装置。
【請求項2】
前記貯留槽の底部に設けられる残留水排水路と、
前記残留水排水路の開閉を制御する残留水路弁と、
前記トラップ排水路周辺の温度を取得する温度検出部と、を備える請求項1に記載の燃料電池の排水装置。
【請求項3】
前記残留水排水路の底面は、前記残留水路弁に近づくにつれて低くなるように傾斜する請求項2に記載の燃料電池の排水装置。
【請求項4】
前記トラップ弁及び前記残留水路弁は、1つの三方弁である請求項2または請求項3に記載の燃料電池の排水装置。
【請求項5】
前記温度が所定温度以下である場合、前記トラップ排水路から前記排水をした後に前記残留水排水路から排水する請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池の排水装置。
【請求項6】
前記トラップ排水路には前記貯留槽内に向けて開口するガス逃し管と、
前記ガス逃し管を開閉するガス逃し弁と、を備える請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の燃料電池の排水装置。
【請求項7】
前記燃料電池の前記発電の停止を検知して前記排水を開始する制御部を備える請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の燃料電池の排水装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記発電で充電されるバッテリが所定の充電率以上に充電された場合に前記発電を停止して前記排水を開始する請求項7に記載の燃料電池の排水装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の燃料電池の排水装置と、
前記燃料ガス排出路に接続されて前記未燃燃料ガスを前記燃料電池に再供給する再供給路と、を備える燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電に伴い燃料電池内に生成された水分を排出する排水装置及び燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、燃料電池内には、発電により不純物ガスや水分が発生する。
不純物ガスは、例えば、窒素など供給された空気中の酸素以外の成分や、発電に寄与しなかった未燃燃料ガス及び発電に伴って生成された一酸化炭素などである。このため、燃料電池システムには、未燃燃料ガスを回収して燃料として再利用する循環流路や、排気機構又は排水機構が設けられている。例えば、燃料電池に排水装置を接続して、排水装置に発電による生成水を一時的に貯留して気液分離をしてから燃料電池システムの外部へ排出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術では、排水装置に貯留された生成水の排水時に排水装置に混入した未燃水素が同時に排気されて燃料利用率が低下するという課題があった。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、排水時の燃料の損失を抑制した燃料電池の排水装置及び燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る燃料電池の排水装置は、燃料ガスを酸化させて発電をする燃料電池と、前記燃料電池に接続されて前記発電で生成される生成水を貯留する貯留槽と、前記燃料ガスのうち前記発電に寄与せずに前記貯留槽へ流入する未燃燃料ガスを前記貯留槽から排出する燃料ガス排出路と、前記貯留槽の底面から所定の第一高さ以上上方へ前記生成水を導いた後に前記生成水を流下させて前記貯留槽の外部へ排水をするトラップ排水路と、前記第一高さよりも低い第二高さの位置で前記トラップ排水路に設けられて前記トラップ排水路の開閉を制御するトラップ弁と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、排水時の燃料の損失を抑制した燃料電池の排水装置及び燃料電池システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る燃料電池システムの概略構成図。
【
図2】(A) 第一実施形態における貯水時の排水装置の概略断面図、(B) 同・排水後の排水装置の概略断面図。
【
図3】(A) 第二実施形態における貯水時の排水装置の概略断面図、(B) 同・排水後の排水装置の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
なお、以下の実施形態及び図面中で「上」または「下」の表現は、貯留槽の底面が地面に当接されるように排水装置を設置した場合の向きを基準にする。
【0010】
(第一実施形態)
まず、
図1の本発明の第一実施形態に係る燃料電池システム(以下、単に「システム」という)100の概略構成図を用いて、システム100について概説する。
第一実施形態に係るシステム100は、例えば、電気自動車又はハイブリッド車などの燃料自動車に好適に適用されるものである。
システム100は、
図1に示されるように、燃料電池10に、電力系統20及び各種流路系統30,40,50が接続されて構成される。燃料電池10は、例えば、水素などの燃料ガスHに空気中の酸素など酸化ガスを反応させて発電する燃料電池セルのスタックで構成される。
以下、水素Hを燃料ガスHの例、酸素を含む空気Xを酸化ガスの例にとって説明する。
【0011】
電力系統20では、パワーマネージメントECU21を介して燃料電池10に接続されたモータ22及びバッテリ23に、燃料電池10の発電電力が供給される。パワーマネージメントECU21は、モータ22及びバッテリ23の出力や、燃料電池10の発電量を制御するコンピュータである。
【0012】
燃料電池10には、冷媒を供給して燃料電池10を冷却する冷媒流路系統30と、空気Xを供給する空気流路系統40と、水素Hを供給する燃料流路系統50と、が接続される。
冷媒流路系統30は、不図示の熱交換器で冷却された冷媒を冷媒ポンプ31で循環させる環状流路である。
空気流路系統40は、コンプレッサ41で圧縮されて燃料電池10に供給される空気Xが流れる空気供給路42と、燃料電池10から排出された空気Xのオフガスが流れる空気排気路43と、で主に構成される。空気排気路43を流れる空気Xのオフガスは、システム100外の大気中に排気される。
【0013】
燃料流路系統50は、高圧水素タンク51と燃料電池10とを接続する燃料供給路52と、発電に寄与しなかった未燃水素(未燃燃料ガス)H1が混入した発電による生成水Wを排出する排水排気路53と、で主に構成される。燃料供給路52に設けられた遮断弁54の開放により、高圧水素タンク51に貯蔵された水素Hが、200kPa程度の圧力に調整されて、燃料電池10に供給される。
排水排気路53には、系外排水路56が接続された排水装置57が接続される。排水排気路53から排出された燃料電池10内の生成水W及び未燃水素H1は、この排水装置57の貯留槽55に一時貯蔵される。
系外排水路56は、排水装置57内のトラップ弁58を介して排水装置57に接続されて、排水装置57に一時貯留された生成水Wをシステム100の外部に排出させる流路である。
【0014】
また、排水装置57と燃料供給路52とは再供給路59によって接続される。再供給路59は、生成水Wから分離濃縮されて一時排水装置57に貯められた未燃水素H1を燃料供給路52に再供給するための流路である。再供給路59に設置された再供給ポンプ61により燃料供給路52に供給された未燃水素H1は、燃料電池10に再度供給されて発電に寄与する。このように、未燃水素H1を燃料電池10に供給することで、システム100の燃料利用率が高められている。
【0015】
また、燃料電池10及び燃料流路系統50上の各機器は制御部45で制御される。
制御部45は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備えたマイクロコンピュータとして構成される。
CPUは、制御プログラムに従って所望の演算を実行して、種々の処理や制御を行う。ROMは、CPUで処理する制御プログラムや制御データを記憶し、RAMは、主として制御処理のための各種作業領域として使用される。
制御部45は、例えば、燃料電池10、トラップ弁58、再供給ポンプ61、及び後述するガス逃し弁68の稼働を制御する。制御部45は、温度検出部46などのシステム100内外の各所に設けられたセンサに基づいて、これらの機器を制御する。
【0016】
次に、
図2(A),(B)を用いて、本発明の実施形態に係る排水装置57の内部構造について説明する。
図2(A)は貯水時の排水装置57の概略断面図であり、
図2(B)は排水後の排水装置57の概略断面図である。
排水装置57は、
図2(A),(B)に示されるように、気液分離器62を内蔵した貯留槽55で主に構成される。
気液分離器62は、未燃水素H
1及び生成水Wの気液混合体から生成水Wの水分を分離させる。気液混合体から分離された生成水Wは排水装置57の貯留槽55の底部に貯められる。
貯留槽55の天井面付近には、濃縮された未燃水素H
1を貯留槽55から排出する燃料ガス排出路63及び前述の排水排気路53が接続される。燃料ガス排出路63が前述の再供給路59に接続されることで、未燃水素H
1が燃料供給路52を通り燃料電池10へ再供給される。
【0017】
また、貯留槽55の内部には、底部付近に開口部66aを有し他端で系外排出路65に接続されるトラップ排水路66が設けられる。トラップ排水路66にはトラップ排水路66の開閉を制御するトラップ弁58が設けられる。
トラップ排水路66は、例えば、開口部66a付近で上方に向けて屈曲して、貯留槽55の底面ら所定のトラップ高さΩまで延伸した後さらに屈曲して下方に向けて延伸することでトラップ構造を形成する。この結果、トラップ排水路66を流れる生成水Wは、流路に沿ってトラップ高さΩまで導かれた後に流下して系外排出路65から系外に排出される。
【0018】
トラップ構造を有するトラップ排水路66内には、トラップ弁58が開放されてもこれ以上排水されない状態になっても、トラップ高さΩを有する一定量の生成水Wが残留する。
よって、トラップ排水路66で排水をした場合、
図2に示されるように、トラップ排水路66の開口部66aが生成水Wで封止されるため、未燃水素H
1は貯留槽55に残留する。
【0019】
なお、トラップ高さΩが低すぎる場合、生成水Wの水位が下がった際に水面が波打つなどした際にトラップ排水路66内に多量の未燃水素H1が浸入して排水とともに排出されるおそれがある。つまり、トラップ高さΩが低すぎる場合、トラップ構造が十分に機能しないことになる。また、未燃水素H1がまとまって浸入すると、トラップ排水路66に乱流を発生させるおそれもある。
そこで、このトラップ高さΩは、貯留槽55内の所定の水素圧力におけるトラップ排水路66内での生成水Wの液面の高さである第一高さα以上の高さに設計される。
【0020】
また、排水は燃料電池10の発電を中断して実施されることがあるため、短時間に実行されることが望ましい。
そこで、トラップ弁58は、第一高さαよりも低い第二高さβの位置でトラップ排水路66に設けられる。トラップ弁58を第一高さαよりも低い位置に設けることで、重力を利用してトラップ排水路66内に逆流や渦流を発生させずに速やかに排水することができる。
【0021】
また、トラップ排水路66には、ガス逃し弁68を有して貯留槽55内に向けて開口するガス逃し管69を接続することが望ましい。トラップ排水路66の頂部屈曲部には未燃水素H1またはこの未燃水素H1を含む不純物ガスがトラップされて生成水Wの排出を阻害することが考えられる。また、トラップされた未燃水素H1が生成水Wとともにトラップ排水路66から排出されることは燃料損失及び安全性の観点から好ましくない。そこで、制御部45は、必要時にガス逃し弁68を開放してガス逃し管69からトラップされた未燃水素H1等を貯留槽55の上方に戻す。
【0022】
以上のように、第一実施形態に係る排水装置57よれば、トラップ排水路66内に生成水Wの一部を残留させることで、貯留槽55からの生成水Wの排出時に未燃水素H1が漏出することを防止することができる。よって、排水時の燃料損失を防止することができる。
【0023】
(第二実施形態)
図3(A),(B)は、第二実施形態に係る排水装置57の断面図である。
図3(A)は貯水時の様子を示し、
図3(B)は排水時の様子を示している。
第二実施形態に係る燃料電池10の排水装置57では、貯留槽55の底部に残留水排水路73がさらに設けられる。残留水排水路73は、残留水排水路73に設けられた残留水路弁72の開閉により、トラップ排水路66と同時に又は別個に排水する。
なお、
図3(A),(B)では、トラップ弁58及び残留水路弁72を統合して三方弁で表している。このように三方弁で統合すると、使用される弁の個数を削減して構造を簡素化し故障を抑制することができる。
【0024】
外気温が氷点下の場合、発電から時間が経つと貯留槽55内も氷点下まで降温し、貯留槽55に貯められた生成水Wが凍結することがある。生成水Wが凍結すると、トラップ弁58が凍結しまたはトラップ排水路66が塞がれて、排水が阻害される。このように排水が阻害されると、次回の発電時に生成水Wが貯留槽55から溢れるなどして排水装置57、システム100さらには車両の故障の原因になる。また、貯留槽55が溢れないように貯水量に制限をかけると、システム100の発電量が制限されることになる。
【0025】
そこで、第二実施形態では、制御部45が温度検出部46の温度を監視して、貯留槽55周辺の温度が閾値温度以下になった場合に、残留水路弁72を開放して排水する。残留水排水路73はトラップ排水路66のようなトラップ構造を有していないため、残留水排水路73から排水すると貯留槽55を空にすることができる。貯留槽55が空になるため、トラップ排水路66周辺が氷点下になっても、貯留槽55内で生成水Wが凍結することを防止することができる。
なお、残留水排水路73からの生成水Wの排出を開始する閾値温度は、温度検出部46の配置位置によって定められる。例えば、温度検出部46が燃料電池10付近に設けられている場合、その温度はトラップ排水路66周辺の温度よりも高いことが多い。この場合、閾値温度はゼロ度より高い温度に設定されて、ゼロ度よりも高い温度で残留水排水路73を使用した排水が開始される。
【0026】
なお、残留水排水路73は上述のようにトラップ構造を有していない。よって、残留水排水路73を用いて排水をする場合、未燃水素H1の一部が排水装置57から漏出する。
そこで、残留水排水路73を用いる場合も、先にトラップ弁58を開放してトラップ排水路66で排水することが望ましい。つまり、制御部45は、トラップ排水路66を使用した排水の後に残留水路弁72を開放して残留した生成水Wを排出する。このように残留水排水路73からの排出量を減らすことで、燃料損失を抑制して燃料利用効率を高めることができる。
【0027】
また、残留水排水路73を使用した排水では、未燃水素H1の残留水排水路73からの漏出による燃料損失を抑制するため、貯留槽55を減圧して貯留槽55内の水素圧力を下げておく必要がある。
しかし、燃料電池10の稼働状態によっては貯留槽55内を減圧できない場合もある。よって、残留水排水路73を使用して排水する場合、燃料電池10の発電が停止しているタイミングで排水することが望ましい。そこで、制御部45は、例えば、燃料電池10の発電の停止を検知して排水を開始する。また、制御部45は、バッテリ23が所定の充電率以上に充電された場合に発電を停止して、残留水排水路73を使用した排水を開始してもよい。
【0028】
また、残留水排水路73の底面71は、残留水路弁72に近づくにつれて低くなるように傾斜することが望ましい。残留水排水路73の底面71に傾斜を設けることで、残留水排水路73から排水しきって残留水排水路73を空にすることができる。残なお、残留水排水路73の底面71は、貯留槽55の底面と兼ねてもよい。このとき、三方弁は、貯留槽55の底面に設けられることになる。
【0029】
以上説明した事項以外では、第二実施形態は第一実施形態と同様の構成及び動作を有する。よって、第一実施形態と共通する構成及び動作は説明を省略する。また、図面においても、共通する構成には同一の符号を付し説明は省略する。
【0030】
以上のように、第二実施形態によれば、トラップ排水路66周辺が氷点下になっても、貯留槽55内で生成水Wが凍結することを防止することができる。
【0031】
以上述べた各実施形態によれば、トラップ排水路66内に生成水Wの一部を残留させることで、貯留槽55から生成水Wの排出時に未燃水素H1が流出することを防止することができる。よって、システム100外への生成水Wの排水時に燃料損失することを抑制することができる。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。
これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0033】
例えば、実施形態では、電気自動車又はハイブリッド車に搭載される燃料電池システムの例で説明したが、本発明に係る燃料電池システムは車両に搭載されるものに限定されない。
また、説明の便宜上トラップ排水路及び系外排出路など水路を細かく区別して説明したが、接続される水路どうしは区別不能に一体化されていてもよい。
【符号の説明】
【0034】
10…燃料電池、20…電力系統、21…パワーマネージメントECU、22…モータ、23…バッテリ、30…冷媒流路系統、31…冷媒ポンプ、40…空気流路系統、41…コンプレッサ、42…空気供給路、43…空気排気路、45…制御部、46…温度検出部、50…燃料流路系統、51…高圧水素タンク、52…燃料供給路、53…排水排気路、54…遮断弁、55…貯留槽、56…系外排水路、57…排水装置、58…トラップ弁、59…再供給路、61…再供給ポンプ、62…気液分離器、63…燃料ガス排出路、65…系外排出路、66(66a)…トラップ排水路(開口部)、68…ガス逃し弁、69…ガス逃し管、71…底面、72…残留水路弁、73…残留水排水路、100…システム、H…燃料ガス(水素)、H1…未燃水素(未燃燃料ガス)、W…生成水、X…空気、Ω…トラップ高さ、α…第一高さ、β…第二高さ。