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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128416
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】フックホルダ、及びルアー
(51)【国際特許分類】
   A01K 91/04 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
A01K91/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032753
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】515345115
【氏名又は名称】株式会社issei
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(72)【発明者】
【氏名】村上 晴彦
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA31
2B307BA35
2B307BA42
2B307BA46
(57)【要約】
【課題】簡易な構成によって針軸方向のずれを防止し、且つ一定の姿勢で釣針を交換可能に保持することができるフックホルダ、及びルアーを提供する。
【解決手段】針軸部11と当該針軸部11の一端側に形成される環状部13とを有する釣針3を保持するフックホルダ5であって、環状部13に挿通される棒状体21を備え、棒状体21は、針軸部11の軸方向への釣針3の移動を止めるように環状部13に係合する係止部40と、釣針3が一定の姿勢で保持されるように針軸部11に係合する保持部50とを有するものとする。ルアー1は、フックホルダ5と、棒状体21に装着されるルアー本体7とを備えるものとする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
針軸部と当該針軸部の一端側に形成される環状部とを有する釣針を保持するフックホルダであって、
前記環状部に挿通される棒状体を備え、
前記棒状体は、
前記針軸部の軸方向への前記釣針の移動を止めるように前記環状部に係合する係止部と、
前記釣針が一定の姿勢で保持されるように前記針軸部に係合する保持部と、
を有するフックホルダ。
【請求項2】
前記係止部は、
前記棒状体に沿って所定間隔をあけて前記棒状体に屈曲形成される一側屈曲部及び他側屈曲部と、
前記一側屈曲部及び前記他側屈曲部を繋ぐように前記棒状体に形成される繋ぎ部と、
を含み、
前記一側屈曲部は、前記環状部における挿通方向の一側に当接され、
前記他側屈曲部は、前記環状部における挿通方向の他側に当接され、
前記繋ぎ部は、前記環状部の内周側に当接される請求項1に記載のフックホルダ。
【請求項3】
前記保持部は、
前記係止部を支点として前記環状部の回りに前記釣針が回動するのを規制するように前記針軸部に当接可能に配設される回動規制部と、
前記係止部に沿って前記釣針が往復移動するのを規制するように前記針軸部に当接可能に配設される往復移動規制部と、
を含む請求項1又は2に記載のフックホルダ。
【請求項4】
前記保持部は、前記針軸部を内方に収容可能で、且つ前記針軸部に対し係合及び係脱するように弾性変形させる所定の操作時に摘まむことが可能な形状に形成される請求項1~3の何れか一項に記載のフックホルダ。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載のフックホルダと、
前記棒状体に装着されるルアー本体と、
を備えるルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、針軸部と当該針軸部の一端側に形成される環状部とを有する釣針を保持するフックホルダ、及び当該フックホルダを備えるルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ルアーにおいて、ルアー本体に取り付けられる釣針は、使用中に根掛かりしたり、岩や石等に擦れたりして、針先部等が変形したり、損傷したりすることがある。釣針が交換可能な構成をルアーが備えていれば、ルアー本体は再利用可能であるので経済的である。釣針が交換可能な構成については、例えば、特許文献1及び2にて開示されている。
【0003】
特許文献1には、固定部を有するリンクと、貫通孔を有するスリーブとを備える釣針装置が開示されている。この釣針装置において、釣針を取り付ける際には、スリーブの貫通孔にリンクを挿入し、リンクの固定部にスリーブの一端側を係止するとともに、釣針の針先をスリーブの他端側から一端側へと通して釣針の叩きチモトをスリーブの他端側に係止する。これにより、スリーブによって釣針の針軸部とリンクとが拘束されて釣針が保持される。取付時とは逆の手順によってスリーブから釣針を抜き取ることにより、釣針を容易に交換することができる。
【0004】
特許文献2には、ジグヘッドからフロントフックの軸と平行に後方へ延出する線材である接続管を折り返して形成されるリアフック接続部と、リアフック接続部を被覆するシリコーンゴム等のチューブで構成されるリアフック止めとを備える釣り具が開示されている。この釣り具においては、接続管の先端からリアフックを挿通することによってリアフックを容易に交換することができるとともに、リアフック接続部がリアフック止めで被覆されることによってリアフックの振れを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3024036号公報
【特許文献2】実用新案登録第3217329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に係る釣針装置では、リンクとスリーブとの協働によって針軸部の軸方向(針軸方向)のずれを防止し、且つ一定の姿勢で釣針を交換可能に保持することができるものの、リンク以外にスリーブのような部品が別途必要であるため、構成が複雑になる。また、リンクと比較してスリーブは小さい部品であるため、スリーブを紛失する虞があり、スリーブを紛失した場合、釣針装置として使用できなくなる。
【0007】
特許文献2では、リアフック接続部とリアフック止めとの協働によってリアフックの針軸方向のずれを防止し、且つリアフックの振れを抑制しつつリアフックを交換可能に保持することができるものの、リアフック接続部以外にリアフック止めのような部品が別途必要であるため、構成が複雑になる。また、リアフック止めは、シリコーンゴム等の柔軟なチューブで構成されるため、リアフックの振れは抑制できるものの、リアフックを一定の姿勢で保持することができず、針掛かりが悪くなり、釣果の低下を招く虞がある。さらに、リアフック止めは、リアフック接続部に対して別途装着される部品であるため、リアフック止めを紛失する虞があり、リアフック止めを紛失した場合、リアフックの振れを抑制することができなくなり、リアフックの機能が損なわれることになる。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成によって針軸方向のずれを防止し、且つ一定の姿勢で釣針を交換可能に保持することができるフックホルダ、及び当該フックホルダを備えるルアーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明に係るフックホルダの特徴構成は、
針軸部と当該針軸部の一端側に形成される環状部とを有する釣針を保持するフックホルダであって、
前記環状部に挿通される棒状体を備え、
前記棒状体は、
前記針軸部の軸方向への前記釣針の移動を止めるように前記環状部に係合する係止部と、
前記釣針が一定の姿勢で保持されるように前記針軸部に係合する保持部と、
を有することにある。
【0010】
本構成のフックホルダによれば、釣針の環状部に挿通される棒状体を備える。棒状体は、針軸部の軸方向への釣針の移動を止めるように釣針の環状部に係合する係止部と、釣針が一定の姿勢で保持されるように釣針の針軸部に係合する保持部とを有する。このような構成の棒状体に釣針を取り付ける際には、釣針の環状部に棒状体を挿通させ、棒状体に対し釣針の環状部を棒状体に沿って相対移動させて、釣針の環状部を棒状体の係止部に係合させるとともに、釣針の針軸部を棒状体の保持部に係合させる。これにより、針軸部の軸方向への釣針の移動が係止部によって止められて釣針が使用可能な状態で保持され、且つ釣針が一定の姿勢で保持されるように棒状体に対し釣針を取り付けることができる。棒状体に取り付けられた釣針を交換する際には、例えば、釣針の針軸部に対し保持部を離脱させるように棒状体の保持部を弾性変形させる操作により、釣針の針軸部に対する棒状体の保持部の係合を解除するとともに、棒状体の係止部に対する釣針の環状部の係合を解除するように、棒状体に対し釣針の環状部を棒状体に沿って相対移動させて、釣針の環状部から棒状体を抜き出す。これにより、棒状体に対し釣針を取り外すことができる。こうして、係止部及び保持部を有する棒状体を備えるといった簡易な構成によって針軸方向のずれを防止し、且つ一定の姿勢で釣針を交換可能に保持することができる。本構成のフックホルダでは、棒状体に係止部及び保持部が一体的に設けられる構成であることから、釣針を保持するために、棒状体以外に別途部品が不要である。従って、リンク以外にスリーブのような部品が必要な特許文献1や、リアフック接続部以外にリアフック止めのような部品が必要な特許文献2のように、スリーブやリアフック止めの紛失によって機能不全に陥るといったような問題は当然のことながら生じない。
【0011】
本発明に係るフックホルダにおいて、
前記係止部は、
前記棒状体に沿って所定間隔をあけて前記棒状体に屈曲形成される一側屈曲部及び他側屈曲部と、
前記一側屈曲部及び前記他側屈曲部を繋ぐように前記棒状体に形成される繋ぎ部と、
を含み、
前記一側屈曲部は、前記環状部における挿通方向の一側に当接され、
前記他側屈曲部は、前記環状部における挿通方向の他側に当接され、
前記繋ぎ部は、前記環状部の内周側に当接されることが好ましい。
【0012】
本構成のフックホルダによれば、係止部は、棒状体に沿って所定間隔をあけて棒状体に屈曲形成される一側屈曲部及び他側屈曲部と、一側屈曲部及び他側屈曲部を繋ぐように棒状体に形成される繋ぎ部とを含む。係止部における繋ぎ部は、釣針の環状部の内周側に当接されるので、針軸部の軸方向への釣針の移動を繋ぎ部によって確実に止めることができる。係止部における一側屈曲部は、釣針の環状部における挿通方向の一側に当接されるので、環状部における挿通方向の一側に釣針が繋ぎ部に沿って移動するのを一側屈曲部によって確実に止めることができる。係止部における他側屈曲部は、釣針の環状部における挿通方向の他側に当接されるので、環状部における挿通方向の他側に釣針が繋ぎ部に沿って移動するのを他側屈曲部によって確実に止めることができる。こうして、針軸部の軸方向への釣針の移動のみならず、環状部の挿通方向への釣針の移動を係止部によって確実に止めることができ、係止部に対する環状部の係止状態を確実に保つことができる。
【0013】
本発明に係るフックホルダにおいて、
前記保持部は、
前記係止部を支点として前記環状部の回りに前記釣針が回動するのを規制するように前記針軸部に当接可能に配設される回動規制部と、
前記係止部に沿って前記釣針が往復移動するのを規制するように前記針軸部に当接可能に配設される往復移動規制部と、
を含むことが好ましい。
【0014】
本構成のフックホルダによれば、係止部を支点として環状部の回りに釣針が回動するのを保持部の回動規制部によって規制することができるとともに、係止部に沿って釣針が往復移動するのを保持部の往復移動規制部によって規制することができるので、回動規制部及び往復移動規制部の協働により、釣針を一定の姿勢で確実に保持することができる。
【0015】
本発明に係るフックホルダにおいて、
前記保持部は、前記針軸部を内方に収容可能で、且つ前記針軸部に対し係合及び係脱するように弾性変形させる所定の操作時に摘まむことが可能な形状に形成されることが好ましい。
【0016】
本構成のフックホルダによれば、保持部は、釣針の針軸部を内方に収容可能で且つ、針軸部に対し係合及び係脱するように弾性変形させる所定の操作時に摘まむことが可能な形状に形成されるので、保持部を弾性変形させる所定の操作を容易に行うことができる。従って、釣針の針軸部に対する保持部の係合及び係脱操作が容易となって釣針の交換作業を効率良く行うことができる。
【0017】
上記課題を解決するための本発明に係るルアーの特徴構成は、
上記の何れか一つのフックホルダと、
前記棒状体に装着されるルアー本体と、
を備えることにある。
【0018】
本構成のルアーによれば、上記の何れか一つのフックホルダの棒状体にルアー本体が装着される構成とされる。このような構成により、釣針の交換が可能になるとともに、釣針が一定の姿勢で保持されることからハリス(釣糸)と一直線となって魚への針掛かりが良くなり、釣果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るフックホルダを備えるルアーを一部破断して示す側面図である。
図2図2は、本実施形態のフックホルダに釣針が取り付けられた状態を示す図である。
図3図3は、フックホルダの要部拡大斜視図である。
図4図4は、フックホルダに対する釣針の取付・取外手順説明図である。
図5図5は、フックホルダの六面図である。
図6図6は、本発明の別実施形態に係るフックホルダを備えるルアーの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることは意図しない。
【0021】
<ルアーの全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るフックホルダ5を備えるルアー1を一部破断して示す側面図である。図1に示すように、ルアー1は、釣針(フック)3と、釣針3を交換可能に保持するフックホルダ5と、フックホルダ5における後に詳述する棒状体21の第一直線部31に装着される、小魚等を模擬したルアー本体7とを備える。
【0022】
<釣針>
図2は、本実施形態のフックホルダ5に釣針3が取り付けられた状態を示す図である。図2(a)は側面図、図2(b)は図2(a)のA矢視図で平面図に相当する。図2(a)及び(b)に示すように、釣針3は、直線状に延在する針軸部11を備えている。針軸部11の一端側には、いわゆる管付きチモトと称される円環形の環状部13が形成されている。針軸部11の他端側には、針軸部11の延伸方向に対して曲がった曲がり部15が一体的に連設されている。曲がり部の先端側には、先鋭な針先部17が形成されている。
【0023】
<フックホルダ>
図2(a)及び(b)に示すように、フックホルダ5は、釣針3の環状部13に挿通される棒状体21を有する。棒状体21の一端側には、図示されない釣糸を直接結ぶ、又は図示されないスナップを介して釣糸を連結するための環状体23が一体的に設けられている。
【0024】
<棒状体>
棒状体21は、例えば、ピアノ線のような高張力の線材よりなり、ルアー本体7(図1参照)の前後方向に埋設状態で直線状に延在する第一直線部31と、針軸部11の軸方向への釣針3の移動を止めるように環状部13に係合する係止部40と、釣針3が一定の姿勢で保持されるように針軸部11に係合する保持部50とを有している。
【0025】
<係止部>
係止部40は、棒状体21に沿って所定間隔をあけて棒状体21に屈曲形成される一側屈曲部41及び他側屈曲部42と、一側屈曲部41及び他側屈曲部42を繋ぐように棒状体21に形成される繋ぎ部32とを含む。一側屈曲部41は、第一直線部31の他端側に一体的に連設されており、釣針3の環状部13における挿通方向の一側に当接される。他側屈曲部42は、釣針3の環状部13における挿通方向の他側に当接される。繋ぎ部32は、一側屈曲部41と他側屈曲部42とを繋ぐように直線状に延設されており、釣針の環状部13の内周側に当接される。説明の都合上、以下において、「一側屈曲部41」を「第一屈曲部41」と称し、「他側屈曲部42」を「第二屈曲部42」と称し、「繋ぎ部32」を「第二直線部32」と称することとする。
【0026】
第一屈曲部41は、第一直線部31と第二直線部32とが鈍角をなすように両直線部31,32を連結する。第二屈曲部42は、第二直線部32と後述する第三直線部33とが鈍角をなすように両直線部32,33を連結する。
【0027】
係止部40においては、第二直線部32が、釣針3の環状部13の内周側に当接されるので、針軸部11の軸方向への釣針3の移動を第二直線部32によって確実に止めることができる。第一屈曲部41は、釣針3の環状部13における挿通方向の一側に当接されるので、第二直線部32に沿って環状部13における第二直線部32の挿通方向の一側(図2(a)中記号D矢印方向)に釣針3が移動するのを第一屈曲部41によって確実に止めることができる。第二屈曲部42は、釣針3の環状部13における第二直線部32の挿通方向の他側に当接されるので、第二直線部32に沿って環状部13における第二直線部32の挿通方向の他側(図2(a)中記号D矢印方向)に釣針3が移動するのを第二屈曲部42によって確実に止めることができる。こうして、針軸部11の軸方向への釣針3の移動のみならず、環状部13における第二直線部32の挿通方向への釣針3の移動を係止部40によって確実に止めることができ、係止部40に対する環状部13の係止状態を確実に保つことができる。
【0028】
<保持部>
保持部50は、一端側が第二屈曲部42に連設される第三直線部33と、第三直線部33の他端側に連設される第三屈曲部43と、一端側が第三屈曲部43に連設される第四直線部34と、第四直線部34の他端側に連設される第四屈曲部44と、一端側が第四屈曲部44に連設され、且つ他端側が自由端とされる第五直線部35とを含む。
【0029】
第三直線部33は、第一直線部31と平行又はねじれの位置関係(本例では、ねじれの位置関係)にあり、釣針3の針軸部11に略沿うように延在する。第四直線部34は、第三直線部33の延伸方向において、第二直線部32と向かい合うように配設されている。第三屈曲部43は、第三直線部33と第四直線部34とが鈍角をなすように両直線部33,34を連結する。第四直線部34と第五直線部35とは、両直線部34,35の間に釣針3の針軸部11を挟み込むように略平行な位置関係で配設されている。第四屈曲部44は、第四直線部34と第五直線部35とが略平行な位置関係をなすように連結し、且つ第四直線部34と第五直線部35との間に配される釣針3の針軸部11を受支する。
【0030】
<回動規制部>
図2(b)に示すように、第四直線部34は、係止部40における第二直線部32を支点として環状部13の回りの一方向(図2(b)において図中記号R矢印方向)に釣針3が微小の回転角度で回転したときに、釣針3の針軸部11に当接する。第五直線部35は、係止部40における第二直線部32を支点として環状部13の回りの他方向(図2(b)において図中記号R矢印方向)に釣針3が微小の回転角度で回転したときに、釣針3の針軸部11に当接する。第四直線部34及び第五直線部35は、係止部40における第二直線部32を支点として環状部13の回りに釣針3が回動するのを規制するように針軸部11に当接可能に配設されており、釣針3の回動を規制する回動規制部53として機能する。
【0031】
<往復移動規制部>
図2(a)に示すように、第三直線部33は、係止部40における第二直線部32に沿って釣針3が第二直線部32の他端側(図2(a)において図中記号D矢印方向)に向って移動したときに、釣針3の針軸部11に当接する。第四屈曲部44は、係止部40における第二直線部32に沿って釣針3が第二直線部32の一端側(図2(a)において図中記号D矢印方向)に向って移動したときに、釣針3の針軸部11に当接する。第三直線部33及び第四屈曲部44は、係止部40における第二直線部32に沿って釣針3が往復移動するのを規制するように針軸部11に当接可能に配設されており、釣針3の往復移動を規制する往復移動規制部55として機能する。
【0032】
保持部50は、回動規制部53と往復移動規制部55とを含み、係止部40における第二直線部32を支点として環状部13の回りに釣針3が回動するのを回動規制部53によって規制することができるとともに、係止部40における第二直線部32に沿って釣針3が往復移動するのを往復移動規制部55によって規制することができるので、回動規制部53及び往復移動規制部55の協働により、釣針3を一定の姿勢で確実に保持することができる。
【0033】
図3は、本実施形態のフックホルダ5の要部拡大斜視図である。図3に示すように、フックホルダ5における保持部50においては、釣針3の針軸部11の一側で針軸部11に沿うように第三直線部33、第三屈曲部43及び第四直線部34が延在し、第四屈曲部44を介して折り返して針軸部11の他側で第四直線部34と略平行をなすように第五直線部35が延在し、これら第三直線部33、第三屈曲部43、第四直線部34、第四屈曲部44及び第五直線部35によって針軸部11を内方に収容可能であるとともに、針軸部11に対し係合及び係脱するように弾性変形させる所定の操作時に摘まむことが可能な形状(例えば図3に示されるU字状)に形成される。これにより、保持部50を弾性変形させる所定の操作を容易に行うことができる。従って、釣針3の針軸部11に対する保持部50の係合及び係脱操作が容易となって釣針3の交換作業を効率良く行うことができる。
【0034】
<釣針の取付方法>
図4は、本実施形態のフックホルダ5に対する釣針3の取付・取外手順説明図である。以上に述べたように構成されるフックホルダ5において、棒状体21に釣針3を取り付ける際には、図4(a)~(b)に示すように、釣針3の環状部13に棒状体21を第五直線部35の先端側から挿通させる。次いで、図4(c)~(d)に示すように、棒状体21に対し釣針3の姿勢を適宜に変化させつつ、棒状体21に対し釣針3の環状部13を第五直線部35から第四屈曲部44、第四直線部34、第三屈曲部43、第三直線部33に沿って相対移動させる。次いで、図4(e)~(g)に示すように、釣針3の環状部13を棒状体21の係止部40における第二直線部32に係合させる。そして、例えば右手で釣針3を摘んで支えつつ、U字状に形成された保持部50における第四直線部34、第四屈曲部44及び第五直線部35に亘る部分を例えば左手で摘まんで、保持部50を弾性変形させるとともに、図4(h)に示すように、第四直線部34と第五直線部35との間に釣針3の針軸部11が入り込むように操作して、針軸部11を保持部50に係合させる。これにより、針軸部11の軸方向への釣針3の移動が係止部40によって止められて釣針3が使用可能な状態で保持され、且つ釣針3が一定の姿勢で保持されるように棒状体21に対し釣針3を取り付けることができる。
【0035】
<釣針の取外方法>
釣針3の取外方法は、上記の釣針3の取付方法とは逆に、図4(h)~(a)の手順で行われる。棒状体21に取り付けられた釣針3を交換する際には、右手で釣針3を摘んで支えつつ、U字状に形成された保持部50における第四直線部34、第四屈曲部44及び第五直線部35に亘る部分を左手で摘み、保持部50を弾性変形させるとともに、図4(h)~(g)に示すように、保持部50の内方、すなわち第四直線部34と第五直線部35との間から、釣針3の針軸部11を第五直線部35の外側に離脱(係脱)させるように操作して、釣針3の針軸部11に対する保持部50の係合を解除する。針軸部11に対する保持部50の係合が解除されると、棒状体21に対し釣針3の姿勢を変化させることができるので、棒状体21の係止部40に対する釣針3の環状部13の係合を解除するように、図4(f)~(b)に示すように、棒状体21に対し釣針3の姿勢を適宜に変化させつつ、棒状体21に対し釣針3の環状部13を第三直線部33から第三屈曲部43、第四直線部34、第四屈曲部44、第五直線部35に沿って相対移動させる。そして、図4(a)に示すように、環状部13から棒状体21を抜き出すことにより、棒状体21に対し釣針3を取り外すことができる。
【0036】
図5は、本実施形態のフックホルダ5の六面図である。図5(a)は正面図、図5(b)は背面図、図5(c)は右側面図、図5(d)は左側面図、図5(e)は平面図、図5(f)は底面図である。図5(a)~(f)に示すように、本実施形態のフックホルダ5によれば、係止部40及び保持部50を有する棒状体21を備えるといった簡易な構成によって針軸方向のずれを防止し、且つ一定の姿勢で釣針を交換可能に保持することができる。
【0037】
このようなフックホルダ5を備えた図1に示すルアー1によれば、釣針3の交換が可能であるので、釣針3が損傷等した際には、釣針3を交換すればルアー1としての機能が回復して使用可能となり、ルアー本体7は再利用可能であるので経済的である。また、釣針3が一定の姿勢で保持されるので、ハリス(釣糸)と一直線となって魚への針掛かりが良くなり、釣果を向上させることができる。
【0038】
以上、本発明のフックホルダ、及びルアーについて、一実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【0039】
図6は、本発明の別実施形態に係るフックホルダ5´を備えるルアー1´の側面図である。上記実施形態では、図1に示すように、ルアー本体7の前後方向に貫通状態で第一直線部31の略全体がルアー本体7の内部に埋設・固定され、棒状体21の一端側(第一直線部31の一端側)に一体的に設けられる環状体23がルアー本体7の前方側に突出される態様を示したが、これに限定されるものではない。図6に示すように、棒状体21の一端側(第一直線部31の一端側)に、図1に示すような環状体23が一体的に設けられずに、環状体23と同様の機能をなす環状体23´がルアー本体(ジグヘッド)7´の所定位置に一体的に設けられ、第一直線部31の先端部分がルアー本体7´の内部に埋設・固定される態様もある。本発明のフックホルダにおいて、棒状体は必須の構成要素であるが、環状体は任意の構成要素である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明のフックホルダ、及びルアーは、ブラックバス等の魚を対象とするルアーにおいて、釣針を交換可能とする用途において利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1,1´ ルアー
3 釣針
5 フックホルダ
7,7´ ルアー本体
11 針軸部
13 環状部
21 棒状体
32 第二直線部(繋ぎ部)
40 係止部
41 第一屈曲部(一側屈曲部)
42 第二屈曲部(他側屈曲部)
50 保持部
53 回動規制部
55 往復移動規制部
図1
図2
図3
図4
図5
図6