(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128479
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】容器入り散布剤及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61L 2/20 20060101AFI20230907BHJP
C01B 11/02 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
A61L2/20
C01B11/02 A
C01B11/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032843
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】591107034
【氏名又は名称】日本液炭株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391003392
【氏名又は名称】大幸薬品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】武川 令
(72)【発明者】
【氏名】後出 秀聡
(72)【発明者】
【氏名】冨田 千遥
(72)【発明者】
【氏名】青木 賢吉
(72)【発明者】
【氏名】田口 和彦
(72)【発明者】
【氏名】辻本 翔平
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA01
4C058BB07
4C058JJ16
4C058JJ24
(57)【要約】
【課題】二酸化塩素の保存性に優れ、なお且つ、二酸化塩素を空間に噴射するのに好適な容器入り散布剤を提供する。
【解決手段】耐圧容器Bに充填された二酸化塩素(ClO
2)と液化炭酸ガス(LCO
2)とを含み、耐圧容器B内において二酸化塩素(ClO
2)が液化炭酸ガス(LCO
2)に溶解している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐圧容器に充填された二酸化塩素と液化炭酸ガスとを含み、
前記耐圧容器内において前記二酸化塩素が前記液化炭酸ガスに溶解していることを特徴とする容器入り散布剤。
【請求項2】
前記液化炭酸ガス中における前記二酸化塩素の濃度が1×10-2~1×105ppmであることを特徴とする請求項1に記載の容器入り散布剤。
【請求項3】
二酸化塩素を発生させる工程と、
前記二酸化塩素を耐圧容器に充填する工程と、
前記二酸化塩素が充填された前記耐圧容器に液化炭酸ガスを充填しながら、前記液化炭酸ガスに前記二酸化塩素を溶解させる工程と含む容器入り散布剤の製造方法。
【請求項4】
反応槽内で薬液を反応させることによって二酸化塩素を発生させながら、前記反応槽内の薬液にキャリアガスを流すことによってバブリングを行い、前記反応槽内で発生した二酸化塩素を前記キャリアガスと共に、前記耐圧容器に充填することを特徴とする請求項3に記載の容器入り散布剤の製造方法。
【請求項5】
前記キャリアガスとして炭酸ガスを用いることを特徴とする請求項4に記載の容器入り散布剤の製造方法。
【請求項6】
薬液を反応させることによって発生した二酸化塩素を前記耐圧容器に充填することを特徴とする請求項3に記載の容器入り散布剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器入り散布剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、二酸化塩素(ClO2)は、漂白作用があることが古くから知られており、その製法も数多くの方法が実施されている。しかしながら、工業的に製造された高濃度の二酸化塩素は、強力な酸化剤となり、他の物質との反応により高濃度の塩素を発生させたり、僅かながら爆発の可能性もあったりする。
【0003】
そこで、危険性が低く取り扱いが容易な二酸化塩素として、濃度が5%の二酸化塩素水溶液を用途に応じて適宜希釈して使用することが行われている。このような二酸化塩素水溶液から気化させた二酸化塩素ガスは、強烈な刺激臭等がなく安全である一方、対象物に接触させることによって、高い殺菌・ウイルス、消臭、消毒等の諸効果を発揮する。
【0004】
このような優れた効果を発揮する二酸化塩素であるが、通常は水溶液の状態で運搬等を行うため、取り扱いに配慮する必要がある。
【0005】
そこで、このような課題に対して、安定化二酸化塩素水溶液と二酸化炭素とを液状態又は気化状態で混合し、圧力及び/又は温度調節可能な混合手段を介して所定濃度の混合ガスを対象空間に放出する殺菌性混合ガスの供給方法及び供給装置が提案されている(下記特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の発明では、二酸化塩素水溶液を長期で保管することが困難なだけでなく、二酸化塩素水溶液により容器が腐食してしまう可能性がある。また、特許文献1に記載の発明では、二酸化塩素を空間に噴射して使用する際に、高圧ガス保安法の高圧ガスの製造に該当する可能性があるため、高圧ガス保安法に従って実施することが困難である。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、二酸化塩素の保存性に優れ、なお且つ、二酸化塩素を空間に噴射するのに好適な容器入り散布剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 耐圧容器に充填された二酸化塩素と液化炭酸ガスとを含み、
前記耐圧容器内において前記二酸化塩素が前記液化炭酸ガスに溶解していることを特徴とする容器入り散布剤。
〔2〕 前記液化炭酸ガス中における前記二酸化塩素の濃度が1×10-2~1×105ppmであることを特徴とする請求項1に記載の容器入り散布剤。
〔3〕 二酸化塩素を発生させる工程と、
前記二酸化塩素を耐圧容器に充填する工程と、
前記二酸化塩素が充填された前記耐圧容器に液化炭酸ガスを充填しながら、前記液化炭酸ガスに前記二酸化塩素を溶解させる工程と含む容器入り散布剤の製造方法。
〔4〕 反応槽内で薬液を反応させることによって二酸化塩素を発生させながら、前記反応槽内の薬液にキャリアガスを流すことによってバブリングを行い、前記反応槽内で発生した二酸化塩素を前記キャリアガスと共に、前記耐圧容器に充填することを特徴とする前記〔3〕に記載の容器入り散布剤の製造方法。
〔5〕 前記キャリアガスとして炭酸ガスを用いることを特徴とする前記〔4〕に記載の容器入り散布剤の製造方法。
〔6〕 薬液を反応させることによって発生した二酸化塩素を前記耐圧容器に充填することを特徴とする前記〔3〕に記載の容器入り散布剤の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、二酸化塩素の保存性に優れ、なお且つ、二酸化塩素を空間に噴射するのに好適な容器入り散布剤及びその製造方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る容器入り散布剤の製造システムの構成を示す模式図である。
【
図2】
図1に示す容器入り散布剤の製造システムの変形例を示す模式図である。
【
図3】
図1に示す容器入り散布剤の製造システムの変形例を示す模式図である。
【
図4】
図1に示す容器入り散布剤の製造システムの変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(容器入り散布剤)
先ず、本発明を適用した容器入り散布剤について説明する。
本発明を適用した容器入り散布剤は、耐圧容器に充填された二酸化塩素(ClO2)と液化炭酸ガス(LCO2)とを含み、耐圧容器内において二酸化塩素が液化炭酸ガスに溶解していることを特徴としている。
【0013】
また、本発明を適用した容器入り散布剤において、液化炭酸ガス中における二酸化塩素の濃度は、1×10-2~1×105ppmであることが好ましく、より好ましくは1×10-1~1×104ppm、さらに好ましくは1×10-1~5×103ppmである。
【0014】
耐圧容器については、二酸化塩素が溶解した液化炭酸ガスを液相の状態で取り出すサイフォン式のガスボンベが好適に用いられる。また、耐圧容器については、二酸化塩素が溶解した液化炭酸ガスを気相の状態で取り出す一般のガスボンベを用いてもよい。この場合、一般のガスボンベを倒立させた状態で使用すれば、二酸化塩素が溶解した液化炭酸ガスを液相の状態で取り出すことも可能である。
【0015】
なお、本発明を適用した容器入り散布剤については、上述した耐圧容器から二酸化塩素が溶解した液化炭酸ガスを液相の状態で取り出す以外にも、耐圧容器から気相の状態で、すなわち二酸化塩素と炭酸ガスとの混合ガスとして取り出すことも可能である。
【0016】
本発明を適用した容器入り散布剤では、耐圧容器に接続された噴射ノズルの先端(噴出口)から二酸化塩素が溶解した液化炭酸ガスを洗浄対象となる空間に噴射する。これにより、空間内で気化された炭酸ガス(GCO2)中の二酸化塩素により空間を洗浄することが可能である。
【0017】
したがって、本発明を適用した容器入り散布剤を用いることによって、高い殺菌・ウイルス、消臭、消毒等の諸効果を発揮することが可能である。また、この容器入り散布剤を洗浄対象物に吹き付けることで、洗浄対象物に対して高い殺菌・ウイルス、消臭、消毒等の諸効果を発揮することも可能である。
【0018】
本発明を適用した容器入り散布剤では、上述した耐圧容器内において二酸化塩素が液化炭酸ガスに溶解した状態で存在している。この場合、二酸化塩素が分解されることなく、この二酸化塩素を耐圧容器内で安定した状態で保存することが可能である。
【0019】
また、本発明を適用した容器入り散布剤では、上述した耐圧容器内において二酸化塩素が液化炭酸ガスに溶解した状態で存在することによって、二酸化塩素により耐圧容器が腐食することを防ぐことが可能である。
【0020】
(容器入り散布剤の製造方法)
次に、本発明を適用した容器入り散布剤の製造方法について説明する。
本発明を適用した容器入り散布剤の製造方法は、二酸化塩素を発生させる工程と、二酸化塩素を耐圧容器に充填する工程と、二酸化塩素が充填された耐圧容器に液化炭酸ガスを充填しながら、液化炭酸ガスに二酸化塩素を溶解させる工程と含むことを特徴とする。
【0021】
また、本発明を適用した容器入り散布剤の製造方法では、反応槽内の薬液にキャリアガスを流すことによってバブリングを行い、反応槽内で発生した二酸化塩素をキャリアガスと共に、耐圧容器に充填することが好ましい。一方、キャリアガスを用いることなく、薬液を反応させることによって発生した二酸化塩素を耐圧容器に充填することも可能である。
【0022】
キャリアガスについては、二酸化塩素とは反応しない炭酸ガス(GCO2)を好適に用いることができる。一方、キャリアガスについては、上述した炭酸ガス以外にも、例えば窒素(N2)ガス、アルゴン(Ar)やヘリウム(He)等の不活性ガス、乾燥空気(合成空気)などを用いることも可能である。
【0023】
二酸化塩素の発生方法としては、例えば、亜塩素酸塩と酸性物質とを混合して用いる方法や、亜塩素酸塩と次亜塩素酸塩及び酸性物質とを混合して用いる方法、亜塩素酸塩と塩素ガスとを混合して用いる方法などを挙げることができる。また、二酸化塩素の発生方法としては、亜塩素酸塩水溶液を電気分解する方法や、触媒を用いた方法などを挙げることができ、薬液を混合させる方法に必ずしも限定されるものではない。
【0024】
亜塩素酸塩については、例えば、亜塩素酸アルカリ金属塩や亜塩素酸アルカリ土類金属塩が挙げられる。亜塩素酸アルカリ金属塩としては、例えば、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸リチウムが挙げられる。また、亜塩素酸アルカリ土類金属塩としては、例えば、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸バリウムが挙げられる。これらのうち、入手が容易という点から、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウムを用いることが好ましく、亜塩素酸ナトリウムが用いることがより好ましい。また、これらの亜塩素酸素塩は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
次亜塩素酸塩については、例えば、次亜塩素酸アルカリ金属塩や次亜塩素酸アルカリ土類金属塩が挙げられる。次亜塩素酸アルカリ金属塩としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸リチウムが挙げられる。次亜塩素酸アルカリ土類金属塩としては、例えば、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸マグネシウム、次亜塩素酸バリウムが挙げられる。これらのうち、入手が容易という点から、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウムを用いることが好ましく、次亜塩素酸ナトリウムを用いることがより好ましい。また、これらの次亜塩素酸素塩は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
酸性物質については、例えば、塩酸、硫酸、亜硫酸、チオ硫酸、硝酸、炭酸、亜硝酸、ヨウ素酸、リン酸、亜リン酸、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、クロム酸などの無機酸や、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、ピルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、グリコール酸、フマル酸、マロン酸、マレイン酸、シュウ酸、コハク酸、アクリル酸、クロトン酸、グルタル酸などの有機酸が挙げられるものの、これらの酸性物質に必ずしも限定されるものではない。また、これらの酸性物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0027】
(容器入り散布剤の製造システム)
次に、本発明の一実施形態として、例えば
図1に示す容器入り散布剤の製造システム1について説明する。
なお、
図1は、容器入り散布剤の製造システム1の構成を示す模式図である。
【0028】
本実施形態の製造システムは、上述した本発明を適用した容器入り散布剤を製造するものである。
【0029】
具体的に、この製造システム1は、
図1に示すように、薬液αと薬液βとを混合し反応させることによって二酸化塩素(ClO
2)を発生させる反応槽2と、反応槽2に薬液α及び薬液βを供給する薬液供給部3と、反応槽2にキャリアガスとして炭酸ガス(GCO
2)を供給するキャリアガス供給部4と、反応槽2内で発生した二酸化塩素(ClO
2)を耐圧容器Bに充填する二酸化塩素充填部5と、二酸化塩素(ClO
2)が充填された耐圧容器に噴射ガスとして液化炭酸ガス(LCO
2)を充填する液化炭酸ガス充填部6とを備えている。
【0030】
反応槽2は、
図1に示すように、薬液α,β及び二酸化塩素(ClO
2)とは反応しない耐薬品性及び耐圧性を有する、例えば略円筒状の密閉容器からなる。反応槽2には、この反応槽2内で発生した廃ガスGを排出するための廃ガス配管7と、この反応槽2内で発生した廃液Lを排出するための廃液配管8とが接続されている。
【0031】
廃ガス配管7は、薬液α,βや廃液Lとは接触しないように、反応槽2の上部側に接続されている。また、廃ガス配管7には、この廃ガス配管7を開閉する第1の開閉弁9が設けられている。
【0032】
廃液配管8は、廃液Lを排出できるように、反応槽2の底部側に接続されている。また、廃液配管8には、この廃液配管8を開閉する第2の開閉弁10が設けられている。
【0033】
薬液供給部3は、薬液αを収容する第1の薬液槽11aと、薬液βを収容する第2の薬液槽11bと、第1の薬液槽11aから反応槽2へと薬液αを供給するための第1の薬液供給配管12aと、第2の薬液槽11bから反応槽2へと薬液βを供給するための第2の薬液供給配管12bと、第1の薬液供給配管12aを開閉する第3の開閉弁13aと、第2の薬液供給配管12bを開閉する第4の開閉弁13bとを有している。
【0034】
薬液α,βは、上述した二酸化塩素(ClO2)を発生させるための物質を含んだ液体である。第1の薬液槽11a及び第2の薬液槽11bは、それぞれロードセル14a,14bの上に配置されている。これにより、薬液α,βの供給量をロードセル14a,14bにより計測することが可能となっている。
【0035】
第1の薬液槽11a及び第2の薬液槽11bは、反応槽2よりも上方に配置されている。第1の薬液供給配管12a及び第2の薬液供給配管12bは、その一端側が第1の薬液槽11a及び第2の薬液槽11bの底部側と接続され、その他端側が反応槽2の天部側と接続されている。
【0036】
これにより、第1の薬液槽11a及び第2の薬液槽11bに収容された薬液α,βは、自重により第1の薬液供給配管12a及び第2の薬液供給配管12bを介して反応槽2へと供給することが可能となっている。
【0037】
なお、薬液α,βは、上述した自重により供給する方法に限らず、例えばポンプなどの供給手段を用いて反応槽2へと供給することも可能である。
【0038】
キャリアガス供給部4は、反応槽2にキャリアガス(GCO2)を供給するためのキャリアガス供給配管15と、キャリアガス供給配管15を開閉する第5の開閉弁16と、キャリアガス供給配管15を流れるキャリアガス(GCO2)の流量を調整するマスフローコントローラ(MFC)17と、反応槽2側からの逆流を防ぐ逆止弁18とを有している。
【0039】
キャリアガス供給配管15は、その一端側が反応槽2と接続され、その他端側が減圧弁19を介して液化炭酸ガスが貯留されたタンク又はボンベ(図示せず。)と接続されている。キャリアガスは、このタンク又はボンベから気相の炭酸ガス(GCO2)として供給される。
【0040】
また、キャリアガス供給配管15の一端側は、反応槽2内の下部側に位置し、その先端にバブラー20が取り付けられている。これにより、バブラー20を介して反応槽内の薬液α,βにキャリアガス(GCO2)を流しながらバブリングを行う。
【0041】
反応槽2内の薬液α,βは、このようなバブリングを行うことで反応が促進される。また、反応槽2内で発生した二酸化塩素(ClO2)は、キャリアガス(GCO2)と共に、反応槽2内の薬液α,βの上部に貯留される。
【0042】
なお、反応槽2内における薬液α,βの反応を促進する手段としては、上述したバブラー20を用いた構成に必ずしも限定されるものではなく、バブリングが可能な手段を用いればよい。また、反応槽2の薬液α,βを撹拌する手段や、反応槽2内の薬液α,βを加温する手段を設けたりすることも可能である。
【0043】
第5の開閉弁16は、キャリアガス供給配管15のMFC17と減圧弁19との間に配置されている。MFC17は、キャリアガス供給配管15の第5の開閉弁16と逆止弁18との間に配置されている。逆止弁18は、キャリアガス供給配管15のMFC17と反応槽2との間に配置されている。なお、第5の開閉弁16は、キャリアガス供給配管15のMFC17と反応槽2との間に配置してもよい。
【0044】
二酸化塩素充填部5は、反応槽2内で発生した二酸化塩素(ClO2)をキャリアガス(GCO2)と共に排出する二酸化塩素排出配管21と、二酸化塩素排出配管21を開閉する第6の開閉弁22と、反応槽2内の圧力が設定値(例えば0.1MPa)以上となったときに開放される圧力逃し弁23とを有している。
【0045】
二酸化塩素排出配管21は、その一端側が反応槽2と接続され、その他端側が接続ホース24と接続されている。第6の開閉弁22は、二酸化塩素排出配管21の反応槽2と接続ホース24との間に配置されている。圧力逃し弁23は、二酸化塩素排出配管21の反応槽2と第6の開閉弁22との間から分岐した配管21aに配置されている。
【0046】
これにより、接続ホース24を耐圧容器Bに接続し、反応槽2内で発生した二酸化塩素(ClO2)をキャリアガス(GCO2)と共に耐圧容器Bに充填することが可能となっている。
【0047】
液化炭酸ガス充填部6は、液化炭酸ガス(LCO2)が貯留されたタンク又はボンベ100と接続された接続ホース25を有している。液化炭酸ガス充填部6では、この接続ホース25を耐圧容器Bに接続し、耐圧容器Bに液化炭酸ガスを充填しながら、液化炭酸ガス(LCO2)に二酸化塩素(ClO2)を溶解させる。
【0048】
(容器入り散布剤の製造工程)
次に、上記製造システム1を用いた容器入り散布剤の製造工程について説明する。
本実施形態の製造システム1では、先ず、
図1に示すように、第1~第6の開閉弁9,10,13a,13b,16,22を閉塞した状態から、第1及び第5の開閉弁9,16を開放する。また、MFC17によりキャリアガス供給配管15を流れるキャリアガス(GCO
2)の流量を任意の値に設定する。
【0049】
これにより、キャリアガス(GCO2)がキャリアガス供給配管15を介して反応槽2へと供給されると共に、反応槽2内の不要な廃ガスGが反応槽2の外部へと排出される。
【0050】
次に、反応槽2内にキャリアガスが充填された後に、第3の開閉弁13aを開放し、定量の薬液αを反応槽2に投入した後に、第3の開閉弁13aを閉塞する。また、第4の開閉弁13bを開放し、定量の薬液βを反応槽2に投入した後に、第4の開閉弁13bを閉塞する。
【0051】
これにより、反応槽2内で薬液α,βが反応し、二酸化塩素(ClO2)が発生する。また、反応槽2内の薬液α,βにキャリアガス(GCO2)を流すことによってバブリングを行う。
【0052】
次に、反応槽2内における薬液α,βの反応が進み、反応槽2内で発生した二酸化塩素(ClO2)がキャリアガス(GCO2)と共に、反応槽2内の薬液α,βの上部に貯留された後に、MFC17によりキャリアガス供給配管15を流れるキャリアガス(GCO2)の流量を0L/minとする。その後、第1の開閉弁9を閉塞し、第6の開閉弁22を開放する。
【0053】
接続ホース24には、予め真空引きされた耐圧容器Bが接続されている。これにより、反応槽2と耐圧容器Bとの間の差圧によって、反応槽2内に貯留された二酸化塩素(ClO2)がキャリアガス(GCO2)と共に耐圧容器Bに充填される。また、充填を開始した後は、MFC17によりキャリアガス(GCO2)の流量を任意の値で耐圧容器Bへの充填を行う。
【0054】
次に、耐圧容器Bの真空度が0MPaとなった後に、第5及び第6の開閉弁16,22を閉塞する。その後、第1の開閉弁9を開放し、反応槽2内の不要な廃ガスGを反応槽2の外部へと排出する。また、第2の開閉弁10を開放し、反応槽2内の不要な廃液Lを反応槽2の外部へと排出する。
【0055】
次に、二酸化塩素(ClO2)が充填された耐圧容器Bに接続ホース25を接続し、耐圧容器Bに液化炭酸ガス(LCO2)を加圧しながら充填する。これにより、耐圧容器B内において二酸化塩素(ClO2)が液化炭酸ガス(LCO2)に溶解しながら、液化炭酸ガス(LCO2)中における二酸化塩素(ClO2)の濃度が所定の濃度となるように、液化炭酸ガス(LCO2)が充填される。
【0056】
なお、耐圧容器B内には、上述したキャリアガスが残存することになるが、容器入り散布剤として特に影響を与えるものではなく、耐圧容器B内にキャリアガスが残存していてもよい。
【0057】
以上の工程を経ることによって、本発明を適用した容器入り散布剤を製造することが可能である。
【0058】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記製造システム1では、上述したMFC17の代わりに、例えば
図2に示すようなバッファータンク26と、圧力センサ27とを備えた構成とすることも可能である。
【0059】
バッファータンク26は、キャリアガス供給配管15を流れるキャリアガス(GCO2)を一旦貯留するものであり、キャリアガス供給配管15の第5の開閉弁16と逆止弁18との間に配置されている。
【0060】
圧力センサ27は、バッファータンク26に接続されて、バッファータンク26内の圧力を測定する。また、圧力センサ27は、第5の開閉弁16と接続されて、第5の開閉弁16の開閉を制御すること可能となっている。
【0061】
図2に示す構成では、反応槽2に供給されるキャリアガス(GCO
2)を圧力により調整することが可能である。
【0062】
なお、上記製造システム1では、上述した構成に必ずしも限定されるものではなく、例えば
図1に示す構成に、更にバッファータンク26及び圧力センサ27を追加した構成とすることも可能である。
【0063】
また、上記製造システム1では、上述した液化炭酸ガス充填部6が独立した構成となっているが、例えば
図3に示すように、二酸化塩素排出配管21に三方弁28を介して接続された液化炭酸ガス供給配管29から供給される液化炭酸ガス(LCO
2)を耐圧容器Bに充填する構成とすることも可能である。
【0064】
また、上記製造システム1では、上述した反応槽2内で発生した二酸化塩素(ClO
2)をキャリアガス(GCO
2)と共に耐圧容器Bに直接充填する構成となっているが、例えば
図4に示すように、貯留タンク30などに一旦貯留した後に、耐圧容器Bに充填する構成であってもよい。
【0065】
また、本発明を適用した容器入り散布剤については、上述した耐圧容器に充填された二酸化塩素(ClO2)と液化炭酸ガス(LCO2)とを含み、耐圧容器内において二酸化塩素が液化炭酸ガスに溶解していることを特徴としているが、それ以外にも、液化炭酸ガス(LCO2)の代わりに、キャリアガスと同じ、例えば窒素(N2)ガス、アルゴン(Ar)やヘリウム(He)等の不活性ガス、乾燥空気(合成空気)を噴射ガスとして充填したものであってもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…容器入り散布剤の製造システム 2…反応槽 3…薬液供給部 4…キャリアガス供給部 5…二酸化塩素充填部 6…液化炭酸ガス充填部 7…廃ガス配管 8…廃液配管 9…第1の開閉弁 10…第2の開閉弁 11a…第1の薬液槽 11b…第2の薬液槽 12a…第1の薬液供給配管 12b…第2の薬液供給配管 13a…第3の開閉弁 13b…第4の開閉弁 14a,14b…ロードセル 15…キャリアガス供給配管 16…第5の開閉弁 17…マスフローコントローラ(MFC) 18…逆止弁 19…減圧弁 20…バブラー 21…二酸化塩素排出配管 22…第6の開閉弁 23…圧力逃し弁 24…接続ホース 25…接続ホース 26…バッファータンク 27…圧力センサ 28…三方弁 29…液化炭酸ガス供給配管 30…貯留タンク 100…タンク又はボンベ α,β…薬液 G…廃ガス L…廃液 ClO2…二酸化塩素 GCO2…炭酸ガス(キャリアガス) LCO2…液化炭酸ガス B…耐圧容器