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特開2023-128480データ収集システム、及び予測システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128480
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】データ収集システム、及び予測システム
(51)【国際特許分類】
   B61B 1/02 20060101AFI20230907BHJP
   G01M 99/00 20110101ALI20230907BHJP
【FI】
B61B1/02
G01M99/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032845
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 涼平
(72)【発明者】
【氏名】佐野 光
(72)【発明者】
【氏名】岩岡 英明
(72)【発明者】
【氏名】金森 崇
【テーマコード(参考)】
2G024
3D101
【Fターム(参考)】
2G024AD15
2G024AD16
2G024BA12
2G024CA09
2G024CA13
2G024CA17
2G024CA18
2G024DA09
2G024EA11
2G024FA06
2G024FA15
3D101AB11
3D101AC10
(57)【要約】
【課題】常時接続回線用の接続機器を駅ごとに設置することなく、各駅のホーム柵の故障を予測するためのデータを収集可能にする。
【解決手段】データ収集システム9は、監視装置1、ホーム柵2、制御装置3、操作盤4、中継装置5、通信回線6、及び管理装置7を有する。ホーム柵2は、駅Pに停車したときの列車Tの乗降口に対向する位置に設置されている。監視装置1は、ホーム柵2に対応付けて設置される。監視装置1は、列車Tが駅Pに停車したときにホーム柵2の監視結果を示すデータを伝達路L2により列車Tに伝達する。中継装置5は、列車Tが基地駅Pbに停車したときに伝達路L3により列車Tから上述した動作データを取得し、通信回線6を介して管理装置7に中継する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
停車時に駅のホーム柵からデータを取得する列車に該データを記憶した媒体を輸送させ、到着時に前記データを収集するデータ収集システム。
【請求項2】
前記データは、前記ホーム柵の動作を示す動作データである
請求項1に記載のデータ収集システム。
【請求項3】
前記動作データは、前記ホーム柵を駆動する駆動機器の回転数、電流、電圧、振動、温度、遅延時間、負荷、音、の少なくとも1つを示す
請求項2に記載のデータ収集システム。
【請求項4】
前記列車は、前記ホーム柵において前記データが記憶された媒体自体を、停車時に該ホーム柵から受け取って乗せる
請求項1から3のいずれか一項に記載のデータ収集システム。
【請求項5】
前記列車は、前記ホーム柵から予め自身に設置された媒体へ、通信線を介して前記データを転送させることにより、該データを取得する
請求項1から3のいずれか一項に記載のデータ収集システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のデータ収集システムにより収集された前記データを監視して前記ホーム柵の故障を予測する予測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホーム柵を監視してその故障を予測する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ホーム柵を監視してその故障の予兆を診断する様々な技術が開発されている。特許文献1は、モータに駆動されるベルトを用いてホームドアを開閉動作させたときに、このモータに関する電気的数値を取得し、この電気的数値をもとにベルトの保守の要否を判定するホームドアの状態診断システムを開示している。また、特許文献2は、駆動機構によってホームドアが開閉されたときに、この駆動機構の振動に関する振動情報を取得し、この振動情報をもとに保守の要否を判定するホームドアの状態診断システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-104610号公報
【特許文献2】特開2020-104611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、これらの特許文献1、2に記載の技術は、ホームドアの開閉動作を制御するための開閉指令信号の受信と、ホームドアの保守情報の送信とを、共通の通信路によって行っている。しかし、ホームドアの開閉動作は、安全に関わるためリアルタイムの制御が求められる。したがって、これらの技術のように、開閉指令信号の受信と、保守情報の送信とを、共通の通信路で行う構成は、保守情報の送信が、開閉指令信号の受信を遅らせることがあり、ホームドアの開閉制御に安全上の影響が生じることが懸念される。
【0005】
そこで、開閉指令信号の受信をするための通信路とは別に、ホームドアの保守情報の送信を担う新しい通信路を既存のホーム柵に設けることが考えられる。しかし、この新しい通信路は、例えばインターネット等の広域で常時接続する通信回線(常時接続回線という)を利用したものにすると接続機器等のイニシャルコストに加えて通信費用等のランニングコストが増大する。
【0006】
本発明の目的の一つは、常時接続回線用の接続機器を駅ごとに設置することなく、各駅のホーム柵の故障を予測するためのデータを収集可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、停車時に駅のホーム柵からデータを取得する列車に該データを記憶した媒体を輸送させ、到着時に前記データを収集するデータ収集システム、を第1の態様として提供する。
【0008】
第1の態様のデータ収集システムによれば、常時接続回線用の接続機器を駅ごとに設置することなく、各駅のホーム柵の故障を予測するためのデータを収集可能にすることができる。
【0009】
第1の態様のデータ収集システムにおいて、前記データは、前記ホーム柵の動作を示す動作データである、という構成が第2の態様として採用されてもよい。
【0010】
第2の態様のデータ収集システムによれば、ホーム柵の動作に基づいてそのホーム柵の故障が予測される。
【0011】
第2の態様のデータ収集システムにおいて、前記動作データは、前記ホーム柵を駆動する駆動機器の回転数、電流、電圧、振動、温度、遅延時間、負荷、音、の少なくとも1つを示す、という構成が第3の態様として採用されてもよい。
【0012】
第3の態様のデータ収集システムによれば、ホーム柵を駆動する駆動機器の回転数、電流、電圧、振動、温度、遅延時間、負荷、音、の少なくとも1つに基づいてそのホーム柵の故障が予測される。
【0013】
第1から第3のいずれか一の態様のデータ収集システムにおいて、前記列車は、前記ホーム柵において前記データが記憶された媒体自体を、停車時に該ホーム柵から受け取って乗せる、という構成が第4の態様として採用されてもよい。
【0014】
第4の態様のデータ収集システムによれば、列車は、ホーム柵において取得されたデータを複製する媒体を予め用意する必要がない。
【0015】
第1から第3のいずれか一の態様のデータ収集システムにおいて、前記列車は、前記ホーム柵から予め自身に設置された媒体へ、通信線を介して前記データを転送させることにより、該データを取得する、という構成が第5の態様として採用されてもよい。
【0016】
第5の態様のデータ収集システムによれば、列車は、ホーム柵からデータをそのデータを記録した媒体ごと取得する必要がない。
【0017】
本発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載のデータ収集システムにより収集された前記データを監視して前記ホーム柵の故障を予測する予測システム、を第6の態様として提供する。
【0018】
第6の態様の予測システムによれば、常時接続回線用の接続機器を駅ごとに設置することなく、各駅のホーム柵の故障を予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係るデータ収集システム9が利用される路線を示す図。
図2】データ収集システム9の全体構成の例を示す図。
図3】駅Pに停車したときの列車Tを示す図。
図4】監視装置1の構成の例を示す図。
図5】ホーム柵2の構成の例を示す図。
図6】制御装置3の構成の例を示す図。
図7】操作盤4の構成の例を示す図。
図8】基地駅Pbに停車したときの列車Tを示す図。
図9】管理装置7の構成の例を示す図。
図10】動作DB721の例を示す図。
図11】監視装置1の機能的構成の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態>
<データ収集システムが利用される路線の説明>
図1は、本発明の実施形態に係るデータ収集システム9が利用される路線を示す図である。このデータ収集システム9は、線路で繋がれた1以上の駅P、及び基地駅Pb、並びにその線路を走行する1以上の列車Tを含んで構成される路線において利用される。
【0021】
列車Tは、駅Pで待つ乗客を輸送するとともに、停車する駅Pのそれぞれから、それらの駅Pに備えられたホーム柵に関するデータを蓄積して輸送する。基地駅Pbは、列車Tで輸送されるデータを収集するための駅である。
【0022】
なお、図1に示す基地駅Pbは1つであるが複数であってもよい。また、データ収集システム9が利用される路線は、鉄道路線に限らず、例えばモノレール路線であってもよい。また、データ収集システム9が利用される路線は、図1に示すような環状線でなくてもよい。また、基地駅Pbは、駅Pと同様に一般の乗客が列車Tを乗降するために用いてもよい。
【0023】
<データ収集システムの全体構成>
図2は、データ収集システム9の全体構成の例を示す図である。データ収集システム9は、駅Pに設置されたホーム柵2の動作を監視装置1が監視し、その監視結果を管理装置7が収集するシステムである。収集された監視結果は、ホーム柵2の状態の管理、又はその故障の予測等に用いられる。
【0024】
図2に示すデータ収集システム9は、監視装置1、ホーム柵2、制御装置3、操作盤4、中継装置5、通信回線6、及び管理装置7を有する。これらのうち、監視装置1、ホーム柵2、制御装置3、及び操作盤4は駅Pにそれぞれ設置されている。また、中継装置5は基地駅Pbに設置されている。
【0025】
ホーム柵2は、駅Pに停車したときの列車Tの乗降口に対向する位置に設置されている。ホーム柵2は、動線を遮って人の通行を阻止する通行阻止部材と、その通行阻止部材を駆動させる駆動装置と、通行阻止部材の周囲の支障物を感知するセンサと、制御装置3、及び操作盤4と通信するためのインタフェースと、を有する。なお、通行阻止部材は、柵に限らず、ドア、ロープ、バー等であってもよい。
【0026】
ホーム柵2は、乗客の安全な乗降が確保されない場合、通行阻止部材を定位置に配置して駅ホームと線路とを遮断する。一方、ホーム柵2は、列車Tが駅Pに停車して安全に乗客が乗降できる状況になったとき、通行阻止部材を定位置から他の場所へ移動させ、列車Tの乗降口と駅ホームとを結ぶ動線を作る。
【0027】
制御装置3は、駅Pにおいてホーム柵2を制御する装置である。操作盤4は、乗務員又は駅係員等(以下、操作者ともいう)から、ホーム柵2に対して動作を指示する操作を受付ける装置である。
【0028】
監視装置1は、ホーム柵2に対応付けて設置される。監視装置1は、対応付けられたホーム柵2を監視する装置である。監視装置1は、列車Tが駅Pに停車したときにホーム柵2の監視結果を示すデータを伝達路L2により列車Tに伝達する。図2に示す監視装置1は、ホーム柵2の動作を示す動作データを生成し、この動作データを列車Tに伝達する。
【0029】
中継装置5は、列車Tが基地駅Pbに停車したときに伝達路L3により列車Tから上述した動作データを取得し、通信回線6を介して管理装置7に中継する装置である。
【0030】
通信回線6は、中継装置5と管理装置7とを通信可能に接続する。通信回線6は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット、又はこれらの組合せであってもよい。また、通信回線6は、公衆交換通信網(PSTN:Public Switched Telephone Networks)やサービス統合デジタル網(ISDN:Integrated Services Digital Network)等を含むものでもよい。
【0031】
管理装置7は、通信回線6を介して中継装置5から、監視装置1で監視された動作データを収集して記憶、管理する装置である。管理装置7が管理するホーム柵2の動作データは、例えば、ホーム柵2の状態の管理、及びホーム柵2の故障の予測等に用いられる。
【0032】
<駅に停車したときの列車の構成>
図3は、駅Pに停車したときの列車Tを示す図である。図3に示す駅Pは、1からnまで(nは2以上の整数)の通し番号で区別されるn台の監視装置1、及びn台のホーム柵2を有する。監視装置1-1、1-2、…1-nは、ホーム柵2-1、2-2、…2-nのそれぞれと一対一で対応付けられている。
【0033】
また、図3に示す駅Pは、1及び2の通し番号で区別される2台の操作盤4を有する。操作盤4-1は、乗務員が操作する操作盤4である。操作盤4-2は、駅係員が操作する操作盤4である。
【0034】
図3に示す駅Pにおいて、n台のホーム柵2、1台の制御装置3、及び2台の操作盤4は、例えば、シリアルケーブル等である通信線L1を用いた、いわゆるデイジーチェーンにより環状型に接続されている。これらの通信線L1によって、上述したホーム柵2、制御装置3、及び操作盤4は、互いに通信可能に接続される。なお、これらn台のホーム柵2、1台の制御装置3、及び2台の操作盤4は、駅Pに予め備えられていたものであり、既存設備群ともいう。
【0035】
列車Tは、1からmまで(mは2以上の整数)の通し番号で区別されるm台の車両Vを有する。また、列車Tは、1からnまでの通し番号で区別されるn個の蓄積部Sを有する。m台の車両V-1、V-2、…V-mは、それぞれ1以上の蓄積部Sを有する。蓄積部S-1、S-2、…S-nは、監視装置1-1、1-2、…1-nのそれぞれと一対一で対応付けられている。
【0036】
列車Tが駅Pに停車しているとき、監視装置1は、ホーム柵2の動作の監視結果を示す動作データを伝達路L2により自身に対応づけられた蓄積部Sに伝達する。
【0037】
ここで動作データの伝達は、監視装置1が動作データを記憶した媒体(記憶媒体)を物理的に移動させて蓄積部Sに置くことにより行われる。この場合、蓄積部Sは列車Tの車両Vに設けられた記憶媒体の置き場である。また、この場合、伝達路L2は、監視装置1と蓄積部Sとを結ぶ経路である。
【0038】
監視装置1は、監視したホーム柵2の動作を示す動作データをフラッシュメモリ、ソリッドステートドライブ等の媒体(以下、搬送用記憶媒体ともいう)に記憶する。そして、監視装置1は、例えば、図示しないロボットアーム、ローラコンベヤ、ベルトコンベヤ等の搬送装置を制御して、その搬送装置により、上述した動作データを記憶した搬送用記憶媒体を物理的に車両Vの蓄積部Sに搬送する。
【0039】
なお、搬送用記憶媒体は、例えば、ドア、弁等の開放に伴って、伝達路L2に沿って自重により下方にある蓄積部Sへ搬送されてもよい。この場合、上述した搬送装置はなくてもよい。伝達路L2は、例えば、駆動装置を有しない傾斜したローラコンベヤ等でよい。
【0040】
蓄積部Sは、駅Pに停車するごとに、その駅Pにおいて対応付けられた監視装置1から、ホーム柵2の動作の監視結果を示す動作データが記憶された搬送用記憶媒体を受け取る。列車Tは、蓄積部Sに搬送用記憶媒体を乗せて1以上の駅Pを巡回する。
【0041】
この場合、列車Tは、ホーム柵においてそのホーム柵の動作を示す動作データが記憶された媒体自体を、停車時にそのホーム柵から受け取って乗せる列車の例である。
【0042】
<監視装置の構成>
図4は、監視装置1の構成の例を示す図である。監視装置1は、プロセッサ11、メモリ12、インタフェース13、及びセンサ制御部16を有する。これらの構成は、例えばバスで、互いに通信可能に接続されている。
【0043】
プロセッサ11は、メモリ12に記憶されているプログラムを読出して実行することにより監視装置1の各部を制御する。プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0044】
メモリ12は、プロセッサ11に読み込まれるオペレーティングシステム、各種のプログラム、データ等を記憶する記憶手段である。メモリ12は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を有する。なお、メモリ12は、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ等を有してもよい。
【0045】
センサ制御部16は、1以上のセンサ17と接続して、センサ17のそれぞれを制御するコントローラである。図において、センサ17が複数存在し、それらのそれぞれを区別する必要がある場合、それぞれ符号の末尾に「-1」、「-2」のようにハイフンと通し番号とを付加して表記される。図2に示すセンサ制御部16は、センサ17-1からセンサ17-4までの4個のセンサ17を有する。監視装置1が有するセンサ17の数は1以上であれば4個に限らない。
【0046】
センサ17は、監視装置1が対応付けられているホーム柵2の各種の動作を監視し、その動作を示す動作データを生成してセンサ制御部16に出力する。センサ17が監視するホーム柵2の動作は、例えば、後述するモータ29の、単位時間あたりの回転数である。この場合、センサ17は、ストロボを利用した回転計や、うず電流を利用した回転計等が挙げられる。
【0047】
また、センサ17は、例えば、モータ29や、モータ29によって駆動するベルト、柵、ドア等(図示せず)、各種の機器(駆動機器ともいう)に生じる振動を、ホーム柵2の動作として監視してもよい。この場合、センサ17は、例えば、光学式、静電容量式、圧電素子式等、各種の振動計である。
【0048】
また、センサ17は、上述した機器から放出される音を計測してもよい。また、センサ17は、上述した機器やホーム柵の周囲の空気等の温度を計測してもよい。また、センサ17は、モータ29が回転を開始してから、このモータ29によって回転される機器が回転を開始するまでの遅延時間を計測してもよい。また、センサ17は、モータ29によって回転される機器がモータ29から受ける負荷を計測してもよい。
【0049】
また、センサ17は、上述したモータ29を駆動させる電流、電圧を計測してもよい。例えば、図2に示すセンサ制御部16は、ホーム柵2のバス等から電流値や電圧値等の動作データを読出すように構成されている。ホーム柵2のバス等から直接、動作データを読出す場合、監視装置1はセンサ17を有しなくてもよい。センサ制御部16は、取得した動作データをプロセッサ11に送信する。
【0050】
インタフェース13は、上述した搬送用記憶媒体、及び搬送装置(いずれも図示せず)と接続するインタフェースである。プロセッサ11は、センサ17によって監視したホーム柵2の動作データを、インタフェース13経由で搬送用記憶媒体に記憶させる。そして、プロセッサ11は、インタフェース13経由で搬送装置を制御し、列車Tの停車時に、上述した動作データを記憶した搬送用記憶媒体そのものを、伝達路L2経由で対応する蓄積部Sに搬送させる。
【0051】
この監視装置1は、センサ17により測定された駆動機器の回転数、振動、温度、遅延時間、負荷、音をセンサ制御部16により取得して監視する。また、この監視装置1は、ホーム柵2から駆動機器に供給される電流値、電圧値を監視する。つまり、この監視装置1が監視する動作データは、ホーム柵を駆動する駆動機器の回転数、電流、電圧、振動、温度、遅延時間、負荷、音、の少なくとも1つを示す動作データ、の例である。なお、監視装置1は、既存設備群の電源と異なる電源により稼働してもよい。
【0052】
<ホーム柵の構成>
図5は、ホーム柵2の構成の例を示す図である。ホーム柵2は、プロセッサ21、メモリ22、インタフェース23、センサ制御部26、及びモータ制御部28を有する。これらの構成は、例えばバスで、互いに通信可能に接続されている。センサ制御部26は、開閉センサ27と信号線で接続される。モータ制御部28は、モータ29と信号線で接続されている。
【0053】
プロセッサ21は、メモリ22に記憶されているプログラムを読出して実行することによりホーム柵2の各部を制御する。プロセッサ21は、例えばCPUである。
【0054】
メモリ22は、プロセッサ21に読み込まれるオペレーティングシステム、各種のプログラム、データ等を記憶する記憶手段である。メモリ22は、RAMやROMを有する。なお、メモリ22は、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ等を有してもよい。
【0055】
インタフェース23は、通信線L1を経由して、ホーム柵2を制御装置3、操作盤4、及び他のホーム柵2に通信可能に接続するインタフェースである。プロセッサ21は、このインタフェース23を介して、制御装置3、操作盤4、及び他のホーム柵2と情報をやり取りする。
【0056】
なお、1台のホーム柵2に備えられたインタフェース23は、図2に示す環状型のネットワークが形成されていれば、制御装置3、操作盤4、及び他のホーム柵2の全てに接続する必要はない。
【0057】
センサ制御部26は、プロセッサ21が発する制御信号を開閉センサ27に伝えてこれを制御するとともに、この開閉センサ27により検知される通行阻止部材(図示せず)の開閉状態の情報を取得してプロセッサ21に出力するコントローラである。
【0058】
開閉センサ27は、上述した通行阻止部材の開閉状態を検知するセンサである。開閉センサ27は、例えば、赤外線等を利用した検知センサである。
【0059】
モータ制御部28は、プロセッサ21が発する制御信号をモータ29に伝えてこれを制御する。また、モータ制御部28は、監視装置1と信号線で接続され、この信号線を経由して、モータ29の駆動に用いられる電力の電流値、電圧値等の情報を監視装置1へ送信する。
【0060】
<制御装置の構成>
図6は、制御装置3の構成の例を示す図である。制御装置3は、プロセッサ31、メモリ32、及びインタフェース33を有する。これらの構成は、例えばバスで、互いに通信可能に接続されている。
【0061】
プロセッサ31は、メモリ32に記憶されているプログラムを読出して実行することにより制御装置3の各部を制御する。プロセッサ31は、例えばCPUである。
【0062】
メモリ32は、プロセッサ31に読み込まれるオペレーティングシステム、各種のプログラム、データ等を記憶する記憶手段である。メモリ32は、RAMやROMを有する。なお、メモリ32は、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ等を有してもよい。
【0063】
インタフェース33は、通信線L1を経由して、制御装置3をホーム柵2、及び操作盤4に通信可能に接続するインタフェースである。プロセッサ31は、このインタフェース33を介して、ホーム柵2、及び操作盤4と情報をやり取りする。
【0064】
なお、制御装置3に備えられたインタフェース33は、図2に示す環状型のネットワークが形成されていれば、ホーム柵2、及び操作盤4の全てに接続する必要はない。
【0065】
<操作盤の構成>
図7は、操作盤4の構成の例を示す図である。操作盤4は、プロセッサ41、メモリ42、インタフェース43、操作部44、及び表示部45を有する。これらの構成は、例えばバスで、互いに通信可能に接続されている。
【0066】
プロセッサ41は、メモリ42に記憶されているプログラムを読出して実行することにより操作盤4の各部を制御する。プロセッサ41は、例えばCPUである。
【0067】
メモリ42は、プロセッサ41に読み込まれるオペレーティングシステム、各種のプログラム、データ等を記憶する記憶手段である。メモリ42は、RAMやROMを有する。なお、メモリ42は、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ等を有してもよい。
【0068】
インタフェース43は、通信線L1を経由して、操作盤4を、ホーム柵2、制御装置3、及び他の操作盤4に通信可能に接続するインタフェースである。プロセッサ41は、このインタフェース43を介して、ホーム柵2、制御装置3、及び他の操作盤4と情報をやり取りする。
【0069】
なお、操作盤4に備えられたインタフェース43は、図2に示す環状型のネットワークが形成されていれば、ホーム柵2、制御装置3、及び他の操作盤4の全てに接続する必要はない。
【0070】
操作部44は、各種の指示をするための操作ボタン、キー、タッチパネル等の操作子を備えており、操作を受付けてその操作内容に応じた信号をプロセッサ41に送る。この操作は、例えば、キーに対する押下やタッチパネルに対するジェスチャー等である。
【0071】
表示部45は、液晶ディスプレイ等の表示画面を有しており、プロセッサ41の制御の下、画像を表示する。表示画面の上には、操作部44の透明のタッチパネルが重ねて配置されてもよい。なお、操作盤4は、表示部45を有しなくてもよい。操作盤4は、インタフェース43を介して外部の装置に情報を提示してもよい。
【0072】
<基地駅に停車したときの列車の構成>
図8は、基地駅Pbに停車したときの列車Tを示す図である。基地駅Pbは、1からnまでの通し番号で区別されるn個の収集部Cを有する。収集部C-1、C-2、…C-nは、停車時の列車Tが有する蓄積部S-1、S-2、…S-nのそれぞれと一対一で対応付けられている。これら収集部Cは、対応する蓄積部Sに乗せられて搬送された搬送用記憶媒体を物理的に伝達路L3経由で受け取り、受け取ったその搬送用記憶媒体と接続して動作データを収集する。収集された動作データは、いずれも有線又は無線の通信線L4経由で1台の中継装置5に送られる。中継装置5は、通信回線6経由で収集した動作データを管理装置7へ送信する。
【0073】
なお、収集部Cは、上述したように搬送用記憶媒体を物理的に受け取ってもよいが、搬送用記憶媒体に記憶された動作データを有線又は無線の通信線経由で収集してもよい。この場合、図8に示す伝達路L3は、有線又は無線の通信線である。
【0074】
監視装置1、中継装置5、及び管理装置7は、駅Pに予め備えられていたものではなく、いずれも既存設備群に対して追加された装置である。これらを、追加設備群ともいう。
【0075】
<管理装置の構成>
図9は、管理装置7の構成の例を示す図である。管理装置7は、プロセッサ71、メモリ72、及びインタフェース73を有する。これらの構成は、例えばバスで、互いに通信可能に接続されている。
【0076】
プロセッサ71は、メモリ72に記憶されているプログラムを読出して実行することにより管理装置7の各部を制御する。プロセッサ71は、例えばCPUである。
【0077】
インタフェース73は、通信回線6を経由して、管理装置7を、図2に示す中継装置5に通信可能に接続するインタフェースである。プロセッサ71は、このインタフェース73を介して、中継装置5と情報をやり取りする。
【0078】
メモリ72は、プロセッサ71に読み込まれるオペレーティングシステム、各種のプログラム、データ等を記憶する記憶手段である。メモリ72は、RAMやROMを有する。なお、メモリ72は、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ等を有してもよい。
【0079】
また、メモリ72は、動作DB721を記憶する。図10は、動作DB721の例を示す図である。動作DB721は、監視装置1のセンサ17で測定された動作データを記憶するデータベースである。図10に示す動作DB721は、駅リスト7211、ホーム柵リスト7212、センサリスト7213、及び動作データ表7214を有する。
【0080】
駅リスト7211は、管理装置7に動作データを送信する監視装置1が設置された駅Pの識別情報である「駅ID」を列挙するリストである。
【0081】
ホーム柵リスト7212は、駅リスト7211に挙げられた駅IDごとに設けられ、その駅IDで識別される駅Pに設置されたホーム柵2を列挙するリストである。図10に示すホーム柵リスト7212は、上述したホーム柵2を識別する識別情報である「ホーム柵ID」を記憶する。
【0082】
センサリスト7213は、ホーム柵リスト7212に挙げられたホーム柵IDごとに設けられ、そのホーム柵IDで識別されるホーム柵2に対応付けて設置された監視装置1が保有するセンサ17を列挙するリストである。図10に示すセンサリスト7213は、上述したセンサ17を識別する識別情報である「センサID」を記憶する。
【0083】
また、このセンサリスト7213は、センサIDに対応付けて、そのセンサIDで識別されるセンサ17の設置情報、及び閾値を記憶する。
【0084】
センサリスト7213における設置情報は、センサ17が設置された位置や設置の状態、壁、扉、柱等の周囲の物体との配置等、センサ17の設置に関する情報である。
【0085】
センサリスト7213における閾値は、対応するセンサ17で測定される動作データを異常と判断する場合の閾値であり、例えば、上限、下限、又はその両方である。
【0086】
この閾値は、他のセンサ17で測定された動作データとの関係式等で示されてもよい。この関係式は、他のセンサ17の設置情報を含んでもよい。
【0087】
例えば、互いに影響する程度の近さで配置された複数のセンサ17が存在する場合、上述した閾値は、それらのセンサ17でそれぞれ測定される動作データの相加平均が反映されてもよい。閾値は、センサIDで識別されるセンサ17の設置情報により重み付けされてもよい。これにより、センサ17が測定する動作データは、その設置情報に応じて異常と判断される閾値が変動する。
【0088】
動作データ表7214は、センサリスト7213に挙げられたセンサIDごとに設けられ、そのセンサIDで識別されるセンサ17により測定された動作データを、その測定された日時を示す測定日時と対応付けて記憶する表である。
【0089】
<監視装置の機能的構成>
図11は、監視装置1の機能的構成の例を示す図である。図11に示す監視装置1のプロセッサ11は、メモリ12に記憶されたプログラムを実行することにより、監視部111、変換部112、及び送信部113として機能する。
【0090】
監視部111は、センサ制御部16から図4に示すセンサ17が測定した動作データを取得し、このセンサ17の測定対象の動作を監視する。
【0091】
変換部112は、監視部111が取得した動作データをメモリ12に記憶し、予め決められた変換を行う。例えば、変換部112は、外因により測定される異常値を除去するために、決められた期間の測定値に対して移動平均処理を行ってもよい。
【0092】
送信部113は、変換部112により変換された動作データをインタフェース13経由で上述した搬送用記憶媒体(図示せず)に記憶させる。動作データを記憶した搬送用記憶媒体は、伝達路L2経由で蓄積部Sに搬送され、蓄積部Sに乗って列車Tにより輸送される。
【0093】
この列車Tが基地駅Pbに到着したとき、中継装置5は、これら搬送用記憶媒体を回収して、これらに記憶された動作データを取得し、通信回線6経由で管理装置7に送信する。そのため、各駅Pは、常時接続回線に接続するための接続機器と、通信費用とを必要としない
【0094】
また、監視装置1、中継装置5、及び管理装置7は、上述した既存設備群とは独立しており、既存設備群に追加する際に、それら既存設備群の変更を要しない。したがって、この監視装置1を有するデータ収集システム9は、既存のホーム柵2に追加して、そのホーム柵2の故障を予測可能にすることができる。
【0095】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさ及び配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。したがって、本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【0096】
<変形例>
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例は組み合わされてもよい。
【0097】
<1>
上述した実施形態において、プロセッサ11は、変換部112として機能していたが、この機能を実現しなくてもよい。この場合、プロセッサ11は、監視した動作データをそのままインタフェース13経由で搬送用記憶媒体に記憶させればよい。
【0098】
<2>
上述した実施形態において、プロセッサ11は、CPUであったが、これ以外の構成でもよい。例えば、プロセッサ11は、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、プログラマブル論理デバイス、等を含むものでもよい。
【0099】
<3>
上述した実施形態において、操作盤4は、制御装置3の機能を有してもよい。また、ホーム柵2は、操作盤4の機能を有してもよい。
【0100】
<4>
上述した実施形態において、監視装置1が列車Tに伝達するデータは、ホーム柵2の監視結果を示すデータであれば、ホーム柵2の動作を示す動作データに限らない。例えば、監視装置1は、ホーム柵2の外観を撮影した画像データを監視結果のデータとして列車Tに伝達してもよい。また、監視装置1は、ホーム柵2に対して、例えば超音波テスト、放射線透過テスト等、何らかのテストを行い、そのテストに対する反応を検知した検知データを監視結果のデータとして列車Tに伝達してもよい。
【0101】
<5>
上述した実施形態において、監視装置1から列車Tへの動作データの伝達は、監視装置1が動作データを記憶した搬送用記憶媒体を物理的に移動させて蓄積部Sに置くことにより行われた。しかし、この伝達は、搬送用記憶媒体の物理的な移動を伴わなくてもよい。
【0102】
例えば、監視装置1から列車Tへの動作データの伝達は、監視装置1がメモリ12等に記憶した動作データを、有線又は無線の通信線経由で対応する蓄積部Sへ転送することにより行われてもよい。この場合、蓄積部Sは、列車Tに予め設置された搬送用記憶媒体である。また、この場合、伝達路L2は、上述した有線又は無線の通信線である。そして、この場合、列車Tは、ホーム柵から予め自身に設置された媒体へ、通信線を介してデータを転送させることにより取得する列車の例である。
【0103】
なお、監視装置1から列車Tへ動作データを伝達するときに、媒体そのものの物理的移動があるか否かに関わらず、列車Tは、ホーム柵2の監視結果を示すデータを記憶した媒体を輸送する。そして、管理装置7は、列車Tが基地駅Pbに到着したときに、中継装置5、及び通信回線6を介して、この列車Tからこのデータを収集する。つまり、このデータ収集システム9は、停車時に駅のホーム柵からデータを取得する列車にこのデータを記憶した媒体を輸送させ、到着時にこのデータを収集するデータ収集システムの例である。
【0104】
<6>
管理装置7は、図示しない予測装置にメモリ72の動作DB721に記憶された動作データを提供してもよい。この予測装置は、例えば、通信回線6経由で管理装置7と接続されており、提供された動作データに対して統計処理を行い、これら動作データがそれぞれ示すホーム柵2の故障の程度、及び時期を予測すればよい。この予測を行う予測装置と、上述したデータ収集システム9とを含む予測システムは、データ収集システムにより収集されたデータを監視してホーム柵の故障を予測する予測システムの例である。なお、この予測装置が行う予測は、管理装置7によって行われてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1…監視装置、11…プロセッサ、111…監視部、112…変換部、113…送信部、
12…メモリ、13…インタフェース、16…センサ制御部、17…センサ、
2…ホーム柵、21…プロセッサ、22…メモリ、23…インタフェース、26…センサ制御部、27…開閉センサ、28…モータ制御部、29…モータ、
3…制御装置、31…プロセッサ、32…メモリ、33…インタフェース、
4…操作盤、41…プロセッサ、42…メモリ、43…インタフェース、44…操作部、45…表示部、
5…中継装置、6…通信回線、
7…管理装置、71…プロセッサ、72…メモリ、721…動作DB、7211…駅リスト、7212…ホーム柵リスト、7213…センサリスト、7214…動作データ表、73…インタフェース、9…データ収集システム、
C、C-1~C-n…収集部、
L1…通信線、L2…伝達路、L3…伝達路、L4…通信線、
P…駅、Pb…基地駅、
S、S-1~S-n…蓄積部、
V、V-1~V-m…車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11