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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128493
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】モータ制御装置及びモータ制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 21/22 20160101AFI20230907BHJP
【FI】
H02P21/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032866
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】510123839
【氏名又は名称】ニデックモビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】山中 智哉
(72)【発明者】
【氏名】松川 二郎
【テーマコード(参考)】
5H505
【Fターム(参考)】
5H505AA16
5H505CC04
5H505DD03
5H505DD08
5H505EE41
5H505EE49
5H505EE55
5H505GG04
5H505HA09
5H505HB01
5H505JJ03
5H505JJ17
5H505JJ24
5H505JJ28
5H505KK06
5H505LL01
5H505LL22
(57)【要約】
【課題】モータの出力トルクに対するモータの回転速度の影響を抑制することが可能なモータ制御装置を提供する。
【解決手段】モータ制御装置は、目標トルク決定部と、Id決定部(522)と、Iq決定部(524)と、制御部と、を備えている。Id決定部(522)は、モータの回転速度(ω)と、目標トルク(Tr1)と、モータの回転速度(ω)及び目標トルク(Tr1)に対してd軸電流指令値(Id1)を予め対応付けた情報とに基づいて、d軸電流指令値(Id1)を決定する。Iq決定部(524)は、d軸電流指令値(Id1)、目標トルク(Tr1)、及び所定の関係式に基づいて、q軸電流指令値(Iq1)を決定する。制御部は、d軸電流指令値(Id1)及びq軸電流指令値(Iq1)に基づいて、モータの駆動を制御する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの目標とするトルクである目標トルクを決定する目標トルク決定部と、
前記モータの回転速度と、前記目標トルク決定部により決定された目標トルクと、前記モータの回転速度及び前記目標トルクに対して前記モータのd軸の電流指令値であるd軸電流指令値を予め対応付けた情報とに基づいて、前記モータの前記d軸電流指令値を決定する第1決定部と、
前記第1決定部により決定されたd軸電流指令値、前記目標トルク決定部により決定された前記目標トルク、及び所定の関係式に基づいて、前記モータのq軸の電流指令値であるq軸電流指令値を決定する第2決定部と、
前記d軸電流指令値及び前記q軸電流指令値に基づいて、前記モータの駆動を制御する制御部と、
を備えることを特徴とするモータ制御装置。
【請求項2】
前記モータに流れるd軸の電流値であるd軸電流値、及び前記モータに流れるq軸の電流値であるq軸電流値に基づいて、前記モータのd軸のインダクタンス値及びq軸のインダクタンス値を決定する第3決定部を更に備え、
前記第2決定部は、前記d軸のインダクタンス値、及び前記q軸のインダクタンス値に基づいて、前記q軸電流指令値を決定することを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記回転速度に応じて、同じ振幅の電流で最大の前記トルクが出力されるように制御する最大トルク制御と、負方向の前記d軸電流指令値を前記最大トルク制御よりも大きくする弱め界磁制御とを切り替えて、前記モータの駆動を制御し、
前記情報における前記d軸電流指令値は、前記d軸電流指令値をId1、逆起電力係数をK、前記d軸のインダクタンス値をL、前記q軸のインダクタンス値をL、前記前記モータに流れるq軸の電流値をI、前記モータの制限電圧値をVm、前記回転速度の値をωとした場合、
前記最大トルク制御時には、以下の式(1)を用いることにより求められ、
前記弱め界磁制御時には、以下の式(2)を用いることにより求められることを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
【数1】

【数2】
【請求項4】
前記第2決定部は、
前記q軸電流指令値をI、前記目標トルクの値をTr1、前記モータの永久磁石のN極及びS極からなる磁極対の数をP、逆起電力係数をK、前記d軸のインダクタンス値をL、前記q軸のインダクタンス値をL、前記d軸電流指令値をId1とすると、以下の式(3)を用いることにより、前記q軸電流指令値を決定することを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
【数3】
【請求項5】
前記q軸電流指令値が所定の範囲内でない場合、前記q軸電流指令値を前記所定の範囲内の値とすることを特徴とする請求項4に記載のモータ制御装置。
【請求項6】
前記制御部には、車両のステアリングホイールの操作に伴って生じる操舵トルクの値、及び、前記車両の速度である車速値が入力され、
前記目標トルク決定部は、入力された前記操舵トルクの値、及び前記車速値に基づいて、前記目標トルクを決定することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
【請求項7】
モータの目標とするトルクである目標トルクを決定する目標トルク決定ステップと、
前記モータの回転速度と、前記目標トルク決定ステップにて決定された目標トルクと、前記モータの回転速度及び前記目標トルクに対して前記モータのd軸の電流指令値であるd軸電流指令値を予め対応付けた情報とに基づいて、前記モータの前記d軸電流指令値を決定するd軸電流指令値決定ステップと、
前記d軸電流指令値決定ステップにて決定されたd軸電流指令値、前記目標トルク決定ステップにて決定された前記目標トルク、及び所定の関係式に基づいて、前記モータのq軸の電流指令値であるq軸電流指令値を決定するq軸電流指令値決定ステップと、
前記d軸電流指令値及び前記q軸電流指令値に基づいて、前記モータの駆動を制御する制御ステップと、
を含むことを特徴とするモータ制御方法。
【請求項8】
前記モータに流れるd軸の電流値、及びq軸の電流値に基づいて、前記モータのd軸のインダクタンス値であるd軸インダクタンス値、及びq軸のインダクタンス値であるq軸インダクタンス値を決定するインダクタンス値決定ステップを更に含み、
前記q軸電流指令値決定ステップでは、前記インダクタンス値決定ステップにて決定した前記d軸インダクタンス値、及び前記q軸インダクタンス値に基づいて、前記q軸電流指令値を決定することを特徴とする請求項7に記載のモータ制御方法。
【請求項9】
前記q軸電流指令値決定ステップでは、前記q軸電流指令値が所定の範囲内でない場合、前記q軸電流指令値を前記所定の範囲内の値とすることを特徴とする請求項8に記載のモータ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動を制御するモータ制御装置、及びモータ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、同期モータの制御においては、高精度化、高効率化、及び高出力化といった要求がある。特許文献1の同期モータでは、トルク指令に対して、予め設定されたデータテーブルを用いて、トルク効率が最大となるd軸電流指令を算出する。そして、トルク指令とd軸電流指令とから同期モータのトルク式を用いて、q軸電流指令を算出し直すことで、出力トルクを高精度で制御し、同期モータを高効率で制御することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-088238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両などに搭載されたバッテリを用いてモータを駆動する場合、バッテリに定められた定格電流または定格電圧により、モータの回転速度によっては所望のトルクが出力できないことがある。これは、モータの回転時に発生する誘導起電力の作用によって、ステータコイルに印加された電圧が低減し、ステータコイルに流れる電流がq軸電流指令値よりも小さくなることによる。
【0005】
このため、特許文献1のように、トルク指令のみによってd軸電流指令値を決定する場合、モータの出力として要求されるトルク指令に対して出力トルクが低下してしまうことで、モータの回転速度によっては所望のトルクが出力できない場合があるという課題がある。
【0006】
本発明は、モータの出力トルクに対するモータの回転速度の影響を抑制することが可能なモータ制御装置、及びモータ制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るモータ制御装置は、モータの目標とするトルクである目標トルクを決定する目標トルク決定部と、前記モータの回転速度と、前記目標トルク決定部により決定された目標トルクと、前記モータの回転速度及び前記目標トルクに対して前記モータのd軸の電流指令値であるd軸電流指令値を対応付けた情報とに基づいて、前記モータの前記d軸電流指令値を決定する第1決定部と、前記第1決定部により決定されたd軸電流指令値、前記目標トルク決定部により決定された前記目標トルク、及び所定の関係式に基づいて、前記モータのq軸の電流指令値であるq軸電流指令値を決定する第2決定部と、前記d軸電流指令値及び前記q軸電流指令値に基づいて、前記モータの駆動を制御する制御部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係るモータ制御方法では、モータの目標とするトルクである目標トルクを決定する目標トルク決定ステップと、前記モータの回転速度と、前記目標トルク決定ステップにて決定された目標トルクと、前記モータの回転速度及び前記目標トルクに対して前記モータのd軸の電流指令値であるd軸電流指令値を予め対応付けた情報とに基づいて、前記モータの前記d軸電流指令値を決定するd軸電流指令値決定ステップと、前記d軸電流指令値決定ステップにて決定されたd軸電流指令値、前記目標トルク決定ステップにて決定された前記目標トルク、及び所定の関係式に基づいて、前記モータのq軸の電流指令値であるq軸電流指令値を決定するq軸電流指令値決定ステップと、前記d軸電流指令値及び前記q軸電流指令値に基づいて、前記モータの駆動を制御する制御ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、モータの出力トルクに対するモータの回転速度の影響を抑制することが可能なモータ制御装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るECUを備えた電動パワーステアリングシステムの概略構成を示す図である。
図2図1のECUの電気的構成を示すブロック図である。
図3図2の制御部の電気的構成を示すブロック図である。
図4】ECUによるモータの制御方法を示す図である。
図5図3のdq軸目標電流決定部の電気的構成を示すブロック図である。
図6】モータの回転速度及び目標トルクとd軸電流指令値との対応関係を示すマップ情報を示すグラフである。
図7】モータの回転速度に応じたモータの制御の切替えを示すグラフである。
図8】q軸電流値毎のd軸電流値とd軸インダクタンス値との対応関係を示すグラフである。
図9】d軸電流毎のq軸電流値とq軸インダクタンス値との対応関係を示すグラフである。
図10】q軸電流指令値のリミット処理に関するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置ついて、図1図10を参照して説明する。本実施形態では、本発明のモータ制御装置を、電動パワーステアリングシステム100のECU(Electronic Control Unit)1に適用した場合について説明する。
【0012】
図1は、ECU1を備えた電動パワーステアリングシステム100の概略構成を示す図である。図1に示すように、電動パワーステアリングシステム100は、ECU1と、操舵機構2と、アシスト機構3と、電源50と、トルクセンサ60と、車速センサ70とを備えている。
【0013】
操舵機構2は、ステアリングホイール11と、ステアリングシャフト12と、ラックシャフト13と、ラックアンドピニオン機構14とを有している。操舵機構2は、運転者のステアリングホイール11の操作に基づいて、ラックシャフト13の両端にタイロッド15を介して連結された左右の車輪16を転舵させるための機構である。
【0014】
ステアリングシャフト12は、ステアリングホイール11に固定され、ステアリングホイール11の回転軸となる。ステアリングシャフト12は、コラムシャフト12aと、インターミディエイトシャフト12bと、ピニオンシャフト12cとを有している。
【0015】
コラムシャフト12aは、ステアリングホイール11と連結されている。インターミディエイトシャフト12bは、コラムシャフト12aの下端部に連結されている。ピニオンシャフト12cは、インターミディエイトシャフト12bの下端部に連結されている。
【0016】
ラックシャフト13は、ステアリングシャフト12の下端部に、ラックアンドピニオン機構14を介して連結されている。運転者のステアリングホイール11の操作に伴って、ステアリングシャフト12が回転すると、その回転運動がラックアンドピニオン機構14を介して、ラックシャフト13の軸方向の往復直線運動に変換される。
【0017】
ラックシャフト13の往復直線運動は、ラックシャフト13の両端に連結されたタイロッド15を介して、車輪16に伝達される。これにより、車輪16の転舵角が変化し、車両の進行方向が変更される。
【0018】
アシスト機構3は、運転者のステアリングホイール11の操作を補助するための機構であり、モータ30を有している。モータ30は、例えば、3相(U相、V相、W相)の内部永久磁石(IPM:Internal Permanent Magnet)同期モータである。内部永久磁石同期モータは、3相のステータコイルと、永久磁石が埋め込まれた回転子とを有して構成される。モータ30の回転軸31は、減速機構32を介してコラムシャフト12aに連結されている。モータ30は、ECU1と一体化されて構成される。なお、ECU1は、モータ30と別体として設けられていてもよい。
【0019】
アシスト機構3では、モータ30の回転軸31の回転力が、減速機構32によりコラムシャフト12aに伝達され、インターミディエイトシャフト12b及びピニオンシャフト12cを介して、ラックシャフト13を軸方向に往復直線運動させる力に変換される。このラックシャフト13に付与される軸方向の力が、アシスト力となって車輪16の転舵角を変化させる。
【0020】
モータ30には、ECU1が接続されている。ECU1には、トルクセンサ60、及び車速センサ70が接続されている。トルクセンサ60は、コラムシャフト12aに設けられている。トルクセンサ60は、運転者のステアリングホイール11の操作に基づいて、ステアリングシャフト12に生じる操舵トルクTを検出し、検出した操舵トルクTをECU1へ出力する。
【0021】
車速センサ70は、車両の走行速度である車速vを検出し、検出した車速vをECU1へ出力する。ECU1は、トルクセンサ60、車速センサ70、及び角速度センサ80(図2参照)等からの検出結果に基づいて、後述するように、ベクトル制御によりモータ30に供給される電流を制御することで、モータ30の出力トルクTr2を制御する。
【0022】
電動パワーステアリングシステム100は、ECU1によりモータ30の駆動を制御することで、モータ30を回転させて得られた力を、減速機構32を介してステアリングシャフト12に加えることを可能とするシステムである。電動パワーステアリングシステム100により、運転者の操舵をアシストすることができ、車輪16にかかる外力に起因するステアリングホイール11の振動を抑制することもできる。
【0023】
[ECU1の電気的構成]
次に、ECU1の電気的構成について、図2及び図3を参照して説明する。図2は、ECU1の電気的構成を示すブロック図である。図3は、制御部5の電気的構成を示すブロック図である。
【0024】
ECU1は、図2に示すように、制御部5と、インバータ回路20と、遮断回路40とを備えている。
【0025】
図2に示すように、ECU1には、トルクセンサ60、車速センサ70、角速度センサ80、及びメモリ90が電気的に接続されている。制御部5は、例えばCPU(Central Processing Unit)からなり、トルクセンサ60、車速センサ70、及び角速度センサ80等の検出結果に基づいて、インバータ回路20を及び遮断回路40を制御する。
【0026】
インバータ回路20は、インバータ駆動部21と、ブリッジ回路22とを有している。インバータ駆動部21は、PWM(Pulse Width Modulation)信号により、ブリッジ回路22の駆動を制御する。
【0027】
ブリッジ回路22は、モータ30のU相、V相、W相のそれぞれに対応したU相回路Cu、V相回路Cv、W相回路Cwを並列に接続して構成されている。ブリッジ回路22は、電源ラインLhを経由して電源50の正極側に接続され、グランドラインLlを経由して電源50の負極側に接地されている。電源50は、電源ラインLhを介して、インバータ回路20に直流電源を供給する。電源50は、例えば、二次電池(バッテリー)である。
【0028】
U相回路Cuは、第1半導体スイッチング素子Quh及び第2半導体スイッチング素子Qulが直列に接続されている。V相回路Cvは、第3半導体スイッチング素子Qvh及び第4半導体スイッチング素子Qvlが直列に接続されている。W相回路Cwは、第5半導体スイッチング素子Qwh及び第6半導体スイッチング素子Qwlが直列に接続されている。第1~第6の半導体スイッチング素子Quh、Qvh、Qwh、Qul、Qvl、Qwlは、MOSFET(酸化金属半導体電界効果トランジスタ)である。
【0029】
インバータ駆動部21は、ブリッジ回路22のU相回路Cu、V相回路Cv、及びW相回路Cwに、PWM信号を出力することにより、第1~第6半導体スイッチング素子Quh、Qvh、Qwh、Qul、Qvl、Qwlのオン及びオフを制御する。
【0030】
インバータ駆動部21の高電位側には、第1半導体スイッチング素子Quh、第3半導体スイッチング素子Qvh、及び第5半導体スイッチング素子Qwhが接続されている。インバータ駆動部21の低電位側には、第2半導体スイッチング素子Qul、第4半導体スイッチング素子Qvl、及び第6半導体スイッチング素子Qwlが接続されている。なお、高電位側に設けられた半導体スイッチング素子を上流の半導体スイッチング素子、低電位側に設けられた半導体スイッチング素子を下流の半導体スイッチング素子ともいう。
【0031】
第1半導体スイッチング素子Quh、第3半導体スイッチング素子Qvh、及び第5半導体スイッチング素子Qwhの各々のドレインDは、電源ラインLh側に接続されている。電源ラインLhと電源50との間には、コンデンサCと、リレーRyが設けられている。リレーRyは、電源50からインバータ回路20への給電経路を開閉するリレーである。
【0032】
第1半導体スイッチング素子QuhのソースSは、第2半導体スイッチング素子QulのドレインDに接続されている。第3半導体スイッチング素子QvhのソースSは、第4半導体スイッチング素子QvlのドレインDに接続されている。第5半導体スイッチング素子QwhのソースSは、第6半導体スイッチング素子QwlのドレインDに接続されている。また、第2半導体スイッチング素子Qul、第4半導体スイッチング素子Qvl、及び第6半導体スイッチング素子Qwlの各々のソースSは、グランドラインLl側に接続されている。
【0033】
第2半導体スイッチング素子QulのソースSとグランドとの間には、モータ30のU相に流れる電流値Iuを検出する第1電流検出器Ruが設けられている。第4半導体スイッチング素子Qvlとグランドとの間には、モータ30のV相に流れる電流値Ivを検出する第2電流検出器Rvが設けられている。第6半導体スイッチング素子Qwlとグランドとの間には、モータ30のW相に流れる電流値Iwを検出する第3電流検出器Rwが設けられている。
【0034】
第1電流検出器Ruにより検出されたU相の電流値Iu、第2電流検出器Rvにより検出されたV相の電流値Iv、及び第3電流検出器Rwにより検出されたW相の電流値Iwを、インバータ駆動部21へ出力する。
【0035】
第1半導体スイッチング素子Quhと第2半導体スイッチング素子Qulとの接続点j1は、遮断回路40を介して、モータ30のU相に接続されている。第3半導体スイッチング素子Qvhと第4半導体スイッチング素子Qvlとの接続点j2は、遮断回路40を介して、モータ30のV相に接続されている。第5半導体スイッチング素子Qwhと第6半導体スイッチング素子Qwlとの接続点j3は、遮断回路40を介して、モータ30のW相に接続されている。
【0036】
遮断回路40は、インバータ回路20とモータ30との間の通電を遮断するための回路である。遮断回路40は、遮断回路駆動部41を有している。遮断回路駆動部41は、制御部5からの制御信号及び角速度センサ80による検出結果に基づいて、第1遮断用半導体スイッチング素子Zu、第2遮断用半導体スイッチング素子Zv、及び第3遮断用半導体スイッチング素子Zwのオン及びオフを制御する。
【0037】
第1遮断用半導体スイッチング素子Zu、第2遮断用半導体スイッチング素子Zv、及び第3遮断用半導体スイッチング素子Zwの各ソースは、それぞれ接続点j1、j2、j3に接続されている。第1遮断用半導体スイッチング素子Zu、第2遮断用半導体スイッチング素子Zv、及び第3遮断用半導体スイッチング素子Zwの各ドレインは、それぞれモータ30のU相、V相、及びW相に接続される。
【0038】
遮断回路駆動部41は、インバータ回路20の各相とモータ30の各相との間を、通電又は遮断する。なお、第1遮断用半導体スイッチング素子Zu、第2遮断用半導体スイッチング素子Zv、及び第3遮断用半導体スイッチング素子Zwのように、3つの遮断用半導体スイッチング素子を設けることに限らず、2つであってもよい。この場合、2つの遮断用半導体スイッチング素子をオンにすることで、モータ30を通電状態にすることが可能である。
【0039】
角速度センサ80は、モータ30の回転軸31の回転角度θを検出する。角速度センサ80は、例えば、MRセンサ等の磁気センサである。角速度センサ80は、検出した回転軸31の回転角度θの時間的変化を算出することに基づいて、回転軸31の回転速度ωを検出する。回転角度θおよび回転速度ωは、種々の公知の方法により検出可能である。角速度センサ80は、検出した回転角度θ及び回転速度ωを、ECU1の制御部5へ出力する。
【0040】
メモリ90には、各種制御プログラムや、各種データが記憶されている。ECU1の制御部5は、入力された操舵トルクT、車速v、回転速度ω、及び回転角度θ等に基づいて、インバータ駆動部21を介してブリッジ回路22を制御することにより、モータ30の駆動を制御する。
【0041】
[ECUによるモータの制御方法]
次に、ECU1によるモータ30の制御方法ついて、図3図10も参照して詳しく説明する。制御部5は、図3に示すように、目標トルク決定部51と、dq軸目標電流決定部52と、検出電流変換部53と、電流制御部54と、電圧変換部55とを有している。
【0042】
図4に示すように、ECU1は、目標トルク決定ステップ(S1)と、d軸電流指令値決定ステップ(S2)と、インダクタンス値決定ステップ(S3)と、q軸電流指令値ステップ(S4)と、制御ステップ(S5)とを、順に行う。
【0043】
S1において、目標トルク決定部51は、車速センサ70から出力される車速vと、トルクセンサ60から出力される操舵トルクTに基づいて、モータ30に発生させる目標トルクTr1を決定する。具体的には、目標トルク決定部51は、例えば、車速vが高い時には、車速vが低い時よりも、目標トルクTr1が小さくなるように、目標トルクTr1を決める。
【0044】
また、検出電流変換部53は、角速度センサ80から出力される回転角度θに基づいて、インバータ駆動部21から出力される3相の電流値を、dq座標系の2相に変換する。即ち、検出電流変換部53は、U相の電流値Iu、V相の電流値Iv、及びW相の電流値Iwを、d軸の電流値であるd軸電流値I、及びq軸の電流値であるq軸電流値Iに変換する。検出電流変換部53により変換されたd軸電流値I及びq軸電流値Iは、dq軸目標電流決定部52及び電流制御部54へ出力される。
【0045】
続いて、dq軸目標電流決定部52は、目標トルク決定部51により決定された目標トルクTr1、角速度センサ80から出力される回転速度ω、検出電流変換部53から出力されるd軸電流値I、及びq軸電流値Iに基づいて、d軸の電流指令値であるd軸電流指令値Id1を決定する(S2)。その後、dq軸目標電流決定部52は、q軸電流指令値Iq1を決定する(S4)。dq軸目標電流決定部52により決定されたd軸電流指令値Id1及びq軸電流指令値Iq1は、電流制御部54へ出力される。dq軸目標電流決定部52によるd軸電流指令値Id1及びq軸電流指令値Iq1の具体的な決定方法については後述する。
【0046】
次に、電流制御部54は、入力されたd軸電流値I及びq軸電流値Iと、d軸電流指令値Id1及びq軸電流指令値Iq1との偏差を算出する。そして、電流制御部54は、算出した偏差が0に近付くように、PI(比例積分)制御を行うことによって、dq座標系の2相の電圧指令値であるd軸電圧指令値Vd1及びq軸電圧指令値Vq1を算出して電圧変換部55へ出力する。
【0047】
電圧変換部55は、角速度センサ80から出力される回転角度θに基づいて、2相のd軸電圧指令値Vd1及びq軸電圧指令値Vq1を、モータ30の3相(U相、V相、W相)の電圧指令値に変換する。即ち、電圧変換部55は、d軸電圧指令値Vd1及びq軸電圧指令値Vq1を、U相の電圧指令値Vu、V相の電圧指令値Vv、W相の電圧指令値Vw1に変換し、変換した各相の電圧指令値Vu、Vv、Vwを、インバータ駆動部21に出力する。
【0048】
ここで、図3のdq軸目標電流決定部52について、図5を参照して説明する。図5に示すように、dq軸目標電流決定部は、ABS(Absolute)21と、Id決定部522と、インダクタンス決定部523と、Iq決定部524と、Iqリミット決定部525、Iq制限部526とを有している。
【0049】
ABS521には、角速度センサ80により検出されたモータ30の回転速度ωが入力される。ABS521は、入力された回転速度ωの絶対値|ω|を、Id決定部522に出力する。Id決定部522には、モータ30の回転速度ωの絶対値|ω|と、目標トルク決定部51により決定された目標トルクTr1が入力される。
【0050】
Id決定部522は、S2において、回転速度ω及び目標トルクTr1と、予め設定された回転速度ω及び目標トルクTr1とd軸電流指令値Id1との対応関係を示す情報(以下、マップ情報)に基づいて、d軸電流指令値Id1を決定する第1決定部である。
【0051】
ここで、図6は、回転速度ω及び目標トルクTr1とd軸電流指令値Id1との対応関係を示すマップ情報をグラフで例示したものである。当該マップ情報は、予めメモリ90に保存されている。Id決定部522は、具体的には、入力された目標トルクTr1の値に最も近い目標トルクに対して設定された対応関係のうち、入力された回転速度ωに対応したd軸電流指令値Id1を求める。
【0052】
なお、本実施形態においては、上述したように、回転速度ωの絶対値|ω|をパラメータとする。これにより、モータ30の回転方向が逆方向であっても、正方向と同一の対応関係を用いてd軸電流指令値Id1を決定することが可能となり、メモリ90においてマップ情報が占める容量を抑制することが可能となる。
【0053】
本実施形態では、モータ30の回転速度ωが大きくなると誘導起電力の影響が大きくなることを考慮して、d軸電流指令値Id1として負の電流を加えることで、誘導起電力の影響を抑え、モータ30の出力トルクTr2に対するモータ30の回転速度ωの影響を抑制する。
【0054】
ここで、回転速度ω及び目標トルクTr1とd軸電流指令値Id1との対応関係について、図7を参照して詳しく説明する。図7は、モータ30の回転速度ωに応じたモータ30の制御の切替えを示すグラフである。図7に示すように、本実施形態では、ECU1の制御部5は、モータ30の回転速度ωに応じて、MTPA(Maximum Torque Per Ampere)制御(最大トルク/電流制御)と、FW(Flux Weakening)制御(弱め界磁制御)とを切り替える。MTPA制御は、モータ30に同じ振幅の電流で最大の出力トルクTr2が得られるようにする制御である。MTPA制御は、最大トルク制御とも称する。FW制御は、負方向のd軸電流指令値Id1をMTPA制御よりも強める、即ち大きくする制御である。
【0055】
具体的には、ECU1は、モータ30の回転速度ωが、基底回転速度ω以下である場合、MTPA制御を行う。また、ECU1は、モータ30の回転速度ωが基底回転速度ωよりも大きく、MTPA制御時の出力限界回転速度ω以下である場合、目標トルクTr1に応じて、MTPA制御とFW制御とを切り替える。
【0056】
MTPA制御時には、以下に示す式(1)に基づき、d軸電流指令値Id1を求める。式(1)において、Kは逆起電力係数、Lはq軸のインダクタンス値、Lはd軸のインダクタンス値を示す。
【数1】
【0057】
一方、ECU1は、モータ30の回転速度ωが、出力限界回転速度ωよりも大きい場合にFW制御を行う。FW制御時には、以下に示す式(2)に基づき、d軸電流指令値Id1を求める。式(2)において、Vmは、モータ30の規格により定められた制限電圧値を示す。
【数2】
【0058】
このようにして、上記した式(1)及び式(2)に基づいて、モータ30の回転速度ω毎にIを求めることにより、図6のグラフを作成することができる。
【0059】
図5に戻り、インダクタンス決定部523には、検出電流変換部53から、d軸電流値I及びq軸電流値Iが入力される。S3において、インダクタンス決定部523は、入力されたd軸電流値I及びq軸電流値Iと、予め定められたd軸電流値I及びq軸電流値Iとd軸インダクタンス値Lとの対応関係とに基づいて、d軸インダクタンス値Lを決定する。更に、インダクタンス決定部523は、入力されたd軸電流値I及びq軸電流値Iと、予め定められたd軸電流値I及びq軸電流値Iとq軸インダクタンス値Lとの対応関係とに基づいて、q軸インダクタンス値Lを決定する。インダクタンス決定部523は、第3決定部である。
【0060】
図8は、q軸電流値I毎のd軸電流値Iとd軸インダクタンス値Lとの対応関係を示すグラフである。d軸電流値I及びq軸電流値Iとd軸インダクタンス値Lとの対応関係において、各電流値が高いほど、d軸インダクタンス値Lが小さくなる。図9は、d軸電流値I毎のq軸電流値Iとq軸インダクタンス値Lとの対応関係を示すグラフである。d軸電流値I及びq軸電流値Iとq軸インダクタンス値Lとの対応関係において、各電流値が高いほど、q軸インダクタンス値Lが小さくなる。
【0061】
Iq決定部524には、目標トルクTr1、及びId決定部522により決定されたd軸電流指令値Id1が入力される。また、インダクタンス決定部523には、インダクタンス決定部523により決定されたd軸インダクタンス値L、及びq軸インダクタンス値Lが入力される。
【0062】
S4において、Iq決定部524は、目標トルクTr1、d軸電流指令値Id1、d軸インダクタンス値L、及びq軸インダクタンス値Lを、以下の式(3)に代入することにより、q軸電流指令値Iq1を決定する第2決定部である。式(3)において、Pnは、モータ30の永久磁石のN極及びS極からなる磁極対の数を示す。Kは、逆起電力係数を示す。
【0063】
【数3】
【0064】
Iqリミット決定部525は、以下の式(4)を用いることにより、Iqリミットを決定する。ここで、Iq_limは、q軸電流値Iのリミット値である(図10参照)。Idq_limは、予め規格で設定されたモータ30に流すことが許容される最大電流値である。d軸電流値Iは、Id決定部522により決定されたd軸電流指令値である。
【0065】
【数4】
【0066】
Iq制限部526は、Iq決定部524により決定されたq軸電流指令値Iq1の値が、所定の範囲内か否かを判定する。「所定の範囲」とは、q軸電流指令値Iq1が、-Iq_lim以上であり、Iq_lim以下となる範囲である。Iq_limは、予め定められた値である。Iq制限部は526は、q軸電流指令値Iq1が所定の範囲内でないと判定した場合、q軸電流指令値を、所定の範囲の値であるリミット値Iq_limとする。
【0067】
一方、Iq制限部526は、q軸電流指令値Iq1が所定の範囲内であると判定した場合、q軸電流指令値をS4にて決定されたIq1とする。Iq制限部526は、q軸電流指令値Iq1またはリミット値Iq_limを、電流制御部54へ出力する。
【0068】
図3に戻り、電流制御部54には、d軸電流指令値Id1及びq軸電流指令値Iq1が入力される。制御部5の電流制御部54は、図4において、d軸電流指令値Id1及びq軸電流指令値Iq1に基づいて、以下に示すように、インバータ駆動部21を介して、モータ30の駆動を制御する(S5:制御ステップ)。
【0069】
電流制御部54には、検出電流変換部53により変換されたd軸電流値I及びq軸電流値Iが入力される。電流制御部54は、d軸電流値I及びq軸電流値Iと、d軸電流指令値Id1及びq軸電流指令値Iq1との偏差を算出して、算出した偏差が0に近付くように、PI(比例積分)制御を行う。そして、電流制御部54は、dq座標系の2相の電圧指令値であるd軸電圧指令値Vd1及びq軸電圧指令値Vq1を算出し、電圧変換部55へ出力する。
【0070】
電圧変換部55は、角速度センサ80から出力される回転角度θに基づいて、d軸電圧指令値Vd1及びq軸電圧指令値Vq1を、U相の電圧指令値Vu、V相の電圧指令値Vv、W相の電圧指令値Vwに変換し、変換した各相の電圧指令値Vu、Vv、Vwを、インバータ駆動部21に出力する。インバータ駆動部21は、図2に示すように、制御部5からの各電圧指令値Vu、Vv、Vwに基づいて、ブリッジ回路22を介して、モータ30の駆動を制御する。
【0071】
このようにして、ECU1により、図7に示すように、モータ30の回転速度ωに応じて、MTPA制御とFW制御とを切り替えながらモータ30の駆動を制御することによって、モータ30の限界回転速度をωからωに上昇させ、モータ30の回転速度ωの変化に伴う出力トルクTr2の低下を抑制することを可能としている。
【0072】
〔実施形態の効果〕
以上説明したように、本実施形態のECU1では、目標トルクTr1に加えてモータ30の回転速度ωを取得することによって、d軸電流指令値Id1を決定する(S2:d軸電流指令値決定ステップ)。そして、目標トルクTr1、及びS2にて決定したd軸電流指令値Id1に基づいて、q軸電流指令値Iq1を決定する(S4:q軸電流決定ステップ)。これにより、モータ30の回転に伴って発生する誘導起電力の影響によって、目標トルクTr1に対して出力トルクTr2が低下することを抑制できる。従って、出力トルクTr2に対するモータ30の回転速度ωの影響を抑制することができる。
【0073】
また、ECU1は、モータ30に流れるd軸電流値I及びq軸電流値Iに基づいて、モータ30のd軸インダクタンス値L、及びq軸インダクタンス値Lを決定する(S3:インダクタンス値決定ステップ)。そして、Iq決定部524は、d軸インダクタンス値L及びq軸インダクタンス値Lを用いることで、q軸電流指令値Iq1を決定する(S4)。これにより、モータ30に実際に流れるd軸電流値I及びq軸電流値Iを用いることで、d軸インダクタンス値L及びq軸インダクタンス値Lを正確に算出できる。
【0074】
また、Iq制限部526により、q軸電流指令値Iq1が所定の範囲内でない場合、q軸電流指令値Iq1をリミット値Iq_limとする。これにより、q軸電流指令値Iq1が、電源50の規格値よりも高い電流指令値となることによって、結果として、d軸及びq軸に所望の電流が流れないという現象が発生することを防止できる。
【0075】
本実施形態では、モータ30は、内部永久磁石同期モータであるので、マグネットトルクとリラクタンストルクとの2種類の利用することにより、弱め界磁制御を容易に行うことができる。
【0076】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、モータ30とステアリングシャフト12との間に配置されるものとしたが、これに限定されない。例えば、モータ30とラックアンドピニオン機構14との間に減速機構32を配置し、減速機構32を介して、モータ30の力をラックアンドピニオン機構14に伝達させることで、操舵アシストを行ってもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、目標トルク決定部51は、車速v及び操舵トルクTに基づいて、目標トルクTr1を決定するものとしたが、これに限定されない。例えば、目標トルク決定部51は、目標操舵角及び操舵角を用いて、目標トルクTr1を決定してもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、式(1)及び式(2)に基づいて、図6のグラフを作成するものとしたが、これに限らず、予め実際にモータ30を駆動させる実験を行った結果に基づいて、図6のグラフを作成してもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、本発明のモータ制御装置を、電動パワーステアリングシステム100のECU1に適用した場合について説明したが、これに限らず、ステアリングホイール11と車輪16との間の動力伝達が分離されたステアバイワイヤシステムや自動運転システムにおけるモータ制御装置として、適用することもできる。
【0080】
また、上記実施形態では、モータ30として、内部永久磁石同期モータを用いるものとしたが、これに限らず、例えばシンクロナスリラクタンスモータを用いてもよい。
【0081】
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1 ECU
5 制御部
20 インバータ回路
21 インバータ駆動部
22 ブリッジ回路
30 モータ
50 電源
51 目標トルク決定部
52 dq軸目標電流決定部
522 Id決定部
523 インダクタンス決定部
524 Iq決定部
526 Iq制限部
60 トルクセンサ
70 車速センサ
80 角速度センサ
100 電動パワーステアリングシステム
操舵トルク
r1 目標トルク
r2 出力トルク
ω 回転速度
v 車速
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10