(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128518
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】医療用制御装置及び医療用観察システム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/045 20060101AFI20230907BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20230907BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
A61B1/045 610
A61B1/00 R
A61B1/045 611
A61B1/00 680
G02B23/24 Z
G02B23/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032896
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】313009556
【氏名又は名称】ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西垣 泰宏
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040AA02
2H040FA10
4C161AA23
4C161AA24
4C161AA25
4C161BB01
4C161CC06
4C161DD01
4C161HH21
4C161LL03
4C161NN01
4C161NN03
4C161RR05
4C161RR26
4C161SS05
(57)【要約】
【課題】簡素な構成でメタステーブルの発生を抑制すること。
【解決手段】医療用制御装置9を構成する第2の同期信号生成部95は、第1の同期信号生成部93から入力した第1の同期信号の最初の第1の遷移タイミングでの第1の同期信号の遷移に対応させて第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する第1の設定処理と、第1の同期信号の2回目以降の第2の遷移タイミングでの第1の同期信号の遷移に対応させて第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する第2の設定処理とをそれぞれ実行する。第1の設定処理では、第1の遷移タイミングを第2のクロックの遷移タイミングに乗り換える。第2の設定処理では、第2の遷移タイミングの時間軸上の位置に基づいて、第2の遷移タイミングでの第1の同期信号の遷移に対応させて第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のクロックを発生する第1のクロック発生部と、
前記第1のクロックに基づいて第1の同期信号を生成する第1の同期信号生成部と、
第2のクロックを発生する第2のクロック発生部と、
前記第1の同期信号及び前記第2のクロックに基づいて、医療用観察装置を動作させるための第2の同期信号を生成する第2の同期信号生成部とを備え、
前記第2の同期信号生成部は、
入力した前記第1の同期信号の最初の第1の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する第1の設定処理と、前記第1の同期信号の2回目以降の第2の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する第2の設定処理とをそれぞれ実行し、
前記第1の設定処理では、
前記第1の遷移タイミングを前記第2のクロックの遷移タイミングに乗り換えることで前記第1の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定し、
前記第2の設定処理では、
前記第2の遷移タイミングの時間軸上の位置に基づいて、前記第2の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する医療用制御装置。
【請求項2】
前記第2の同期信号生成部は、
前記第2の設定処理において、前記第2の遷移タイミングの時間軸上の位置が前記第1の同期信号の周期に応じた基準タイミングを中心とする特定の時間幅内に位置するか否かを判断し、当該判断結果に基づいて、前記第2の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する請求項1に記載の医療用制御装置。
【請求項3】
前記第2の同期信号生成部は、
前記第2の設定処理において、前記第2の遷移タイミングの時間軸上の位置が前記特定の時間幅内に位置すると判断した場合には、前記第2の同期信号の直前の遷移タイミングから計数した前記第2のクロックの計数値に基づいて、前記第2の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する請求項2に記載の医療用制御装置。
【請求項4】
前記第2の同期信号生成部は、
前記第2の設定処理において、前記第2の遷移タイミングの時間軸上の位置が前記特定の時間幅内に位置しておらず、前記特定の時間幅よりも後に位置していると判断した場合には、前記第2の遷移タイミングを前記第2のクロックの遷移タイミングに乗り換えることで前記第2の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する請求項2に記載の医療用制御装置。
【請求項5】
前記第2の同期信号生成部は、
前記第2の設定処理において、前記第2の遷移タイミングの時間軸上の位置が前記特定の時間幅内に位置しておらず、前記特定の時間幅よりも前に位置していると判断した場合には、前記第2の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させない請求項2に記載の医療用制御装置。
【請求項6】
前記第2の同期信号生成部は、
前記第2の設定処理において、前記第2の遷移タイミングが複数、存在し、複数の前記第2の遷移タイミングのうち一部の第2の遷移タイミングの時間軸上の位置が前記特定の時間幅内に位置しておらず、前記特定の時間幅よりも前に位置し、他の第2の遷移タイミングの時間軸上の位置が前記特定の時間幅内に位置していると判断した場合には、前記第2の同期信号の直前の遷移タイミングから計数した前記第2のクロックの計数値に基づいて、前記特定の時間幅内に位置する前記第2の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する請求項2に記載の医療用制御装置。
【請求項7】
ユーザ操作を受け付ける入力部をさらに備え、
前記特定の時間幅は、
前記入力部へのユーザ操作に応じて変更可能とする請求項2に記載の医療用制御装置。
【請求項8】
エネルギ処置具の動作を検出する動作検出部と、
前記動作検出部にて前記エネルギ処置具の動作が検出された場合に、前記特定の時間幅を大きい値に変更する時間幅変更部とをさらに備える請求項2に記載の医療用制御装置。
【請求項9】
被写体像を撮像して撮像画像を生成する医療用観察装置と、
前記医療用観察装置の動作を制御する医療用制御装置とを備え、
前記医療用制御装置は、
第1のクロックを発生する第1のクロック発生部と、
前記第1のクロックに基づいて第1の同期信号を生成する第1の同期信号生成部と、
前記第1のクロックとは異なる第2のクロックを発生する第2のクロック発生部と、
前記第1の同期信号及び前記第2のクロックに基づいて、前記医療用観察装置を動作させるための第2の同期信号を生成する第2の同期信号生成部とを備え、
前記第2の同期信号生成部は、
入力した前記第1の同期信号の最初の第1の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する第1の設定処理と、前記第1の同期信号の2回目以降の第2の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する第2の設定処理とをそれぞれ実行し、
前記第1の設定処理では、
前記第1の遷移タイミングを前記第2のクロックの遷移タイミングに乗り換えることで前記第1の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定し、
前記第2の設定処理では、
前記第2の遷移タイミングの時間軸上の位置に基づいて、前記第2の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する医療用観察システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療用制御装置及び医療用観察システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野において、被検体内(生体内)を観察する医療用観察システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の医療用観察システムは、被写体像を撮像して撮像画像を生成するカメラヘッド(医療用観察装置)と、当該医療用観察装置の動作を制御する制御装置(医療用制御装置)とを備える。
【0003】
そして、医療用観察装置を動作させるための同期信号を生成する医療用制御装置の構成としては、以下の構成が考えられる。
図8は、従来の医療用観察装置100を動作させるための同期信号を生成する医療用制御装置200の構成を説明する図である。
医療用制御装置200は、
図8に示すように、第1のクロック発生部210と、第1の同期信号生成部220と、第2のクロック発生部230と、第2の同期信号生成部240とを備える。
第1のクロック発生部210は、第1のクロックを発生する。
第1の同期信号生成部220は、第1のクロックに基づいて、医療用観察システム全体を動作させるためのマスター同期信号である第1の同期信号を生成する。
【0004】
ところで、医療用観察システム300を構成する医療用観察装置100としては、種々の種類が存在する。このため、当該種々の種類に対応させるため、第1の同期信号から、当該医療用観察装置100を動作させるための同期信号として、医療用制御装置に接続された当該医療用観察装置100に対応した第2の同期信号を生成する必要がある。そこで、第2のクロック発生部230及び第2の同期信号生成部240が設けられる。
第2のクロック発生部230は、第2のクロックを発生する。
第2の同期信号生成部240は、第1の同期信号及び第2のクロックに基づいて、第2の同期信号を生成し、当該第2の同期信号を医療用観察装置100に出力する。
【0005】
ここで、第1,第2のクロックは、互いに位相が異なるものである。このため、単純に第1の同期信号を第2のクロックで乗り換えることで第2の同期信号を生成した場合には、メタステーブルが発生する虞がある。
そして、従来、メタステーブルの発生を抑制するために、互いに位相が異なるクロックの位相保証を行う構成が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2に記載の技術では、データを送信するデータ送信部側のクロックと、当該データを受信するデータ受信部側のクロックとの位相保証を行う構成である。
具体的に、特許文献2に記載の技術では、データ受信部側に、データ送信部に対して特定のデータ(イニシャルクロックデータ)の送信要求を行う制御回路と、当該イニシャルクロックデータによって位相をロックするPLL(Phase Locked Loop)回路とを設けることで、互いに位相が異なるクロックの位相保証を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-134039号公報
【特許文献2】特開2014―110843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の
図8に示した構成に対して、特許文献2に記載の技術を適用する場合には、第2の同期信号生成部240側に、当該特許文献2に記載の制御回路やPLL回路を設ける必要があり、構造が複雑化してしまう、という問題がある。
そこで、簡素な構成でメタステーブルの発生を抑制することができる技術が要望されている。
【0008】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、簡素な構成でメタステーブルの発生を抑制することができる医療用制御装置及び医療用観察システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る医療用制御装置は、第1のクロックを発生する第1のクロック発生部と、前記第1のクロックに基づいて第1の同期信号を生成する第1の同期信号生成部と、第2のクロックを発生する第2のクロック発生部と、前記第1の同期信号及び前記第2のクロックに基づいて、医療用観察装置を動作させるための第2の同期信号を生成する第2の同期信号生成部とを備え、前記第2の同期信号生成部は、入力した前記第1の同期信号の最初の第1の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する第1の設定処理と、前記第1の同期信号の2回目以降の第2の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する第2の設定処理とをそれぞれ実行し、前記第1の設定処理では、前記第1の遷移タイミングを前記第2のクロックの遷移タイミングに乗り換えることで前記第1の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定し、前記第2の設定処理では、前記第2の遷移タイミングの時間軸上の位置に基づいて、前記第2の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する。
【0010】
本開示に係る医療用観察システムは、被写体像を撮像して撮像画像を生成する医療用観察装置と、前記医療用観察装置の動作を制御する医療用制御装置とを備え、前記医療用制御装置は、第1のクロックを発生する第1のクロック発生部と、前記第1のクロックに基づいて第1の同期信号を生成する第1の同期信号生成部と、前記第1のクロックとは異なる第2のクロックを発生する第2のクロック発生部と、前記第1の同期信号及び前記第2のクロックに基づいて、前記医療用観察装置を動作させるための第2の同期信号を生成する第2の同期信号生成部とを備え、前記第2の同期信号生成部は、入力した前記第1の同期信号の最初の第1の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する第1の設定処理と、前記第1の同期信号の2回目以降の第2の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する第2の設定処理とをそれぞれ実行し、前記第1の設定処理では、前記第1の遷移タイミングを前記第2のクロックの遷移タイミングに乗り換えることで前記第1の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定し、前記第2の設定処理では、前記第2の遷移タイミングの時間軸上の位置に基づいて、前記第2の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る医療用制御装置及び医療用観察システムによれば、簡素な構成でメタステーブルの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る医療用観察システムを示す図である。
【
図2】
図2は、制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1の設定処理の具体例を説明する図である。
【
図4】
図4は、第2の設定処理の具体例(その1)を説明する図である。
【
図5】
図5は、第2の設定処理の具体例(その2)を説明する図である。
【
図6】
図6は、第2の設定処理の具体例(その3)を説明する図である。
【
図7】
図7は、第2の設定処理の具体例(その4)を説明する図である。
【
図8】
図8は、従来の医療用観察装置を動作させるための同期信号を生成する医療用制御装置の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を参照して、本開示を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本開示が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0014】
〔医療用観察システムの概略構成〕
図1は、実施の形態に係る医療用観察システム1を示す図である。
医療用観察システム1は、医療分野において用いられ、被検体内(生体内)を観察するシステムである。この医療用観察システム1は、
図1に示すように、挿入部2と、光源装置3と、ライトガイド4と、カメラヘッド5と、第1の伝送ケーブル6と、表示装置7と、第2の伝送ケーブル8と、制御装置9と、第3の伝送ケーブル10とを備える。
【0015】
本実施の形態では、挿入部2は、硬性鏡で構成されている。すなわち、挿入部2は、全体が硬質、または一部が軟質で他の部分が硬質である細長形状を有し、生体内に挿入される。この挿入部2内には、1または複数のレンズを用いて構成され、被写体像を集光する光学系(図示略)が設けられている。
【0016】
光源装置3は、ライトガイド4の一端が接続され、制御装置9による制御の下、当該ライトガイド4の一端に当該制御装置9にて指定された光量の照明光を供給する。なお、本実施の形態では、光源装置3は、制御装置9とは別体で構成されているが、これに限らず、当該制御装置9内に設けられた構成を採用しても構わない。
ライトガイド4は、一端が光源装置3に着脱自在に接続されるとともに、他端が挿入部2に着脱自在に接続される。そして、ライトガイド4は、光源装置3から供給された光を一端から他端に伝達し、挿入部2に供給する。挿入部2に供給された光は、当該挿入部2の先端から出射され、生体内に照射される。生体内に照射され、当該生体内で反射された光(被写体像)は、挿入部2内の光学系により集光される。
【0017】
カメラヘッド5は、本開示に係る医療用観察装置に相当する。このカメラヘッド5は、挿入部2における接眼部21に着脱自在に接続される。そして、カメラヘッド5は、制御装置9による制御の下、挿入部2にて集光された被写体像を撮像して画像信号(以下、撮像画像と記載する)を生成する撮像部51(
図2参照)等を備える。
撮像部51は、挿入部2にて集光された被写体像を受光して電気信号(アナログ信号)に変換するCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子(図示略)と、当該撮像素子にて生成されたアナログ信号の撮像画像に対して信号処理を行ってデジタル信号の撮像画像を出力する信号処理部(図示略)とを備える。
【0018】
第1の伝送ケーブル6は、一端がコネクタCN1(
図1)を介して制御装置9に着脱自在に接続され、他端がコネクタCN2(
図1)を介してカメラヘッド5に着脱自在に接続される。そして、第1の伝送ケーブル6は、カメラヘッド5から出力される撮像画像等を制御装置9に伝送するとともに、制御装置9から出力される制御信号、同期信号、クロック、及び電力等をカメラヘッド5にそれぞれ伝送する。
なお、第1の伝送ケーブル6を介したカメラヘッド5から制御装置9への撮像画像等の伝送は、当該撮像画像等を光信号で伝送してもよく、あるいは、電気信号で伝送しても構わない。第1の伝送ケーブル6を介した制御装置9からカメラヘッド5への制御信号、同期信号、クロックの伝送も同様である。
【0019】
表示装置7は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)等を用いた表示ディスプレイで構成され、制御装置9による制御の下、当該制御装置9からの映像信号に基づく画像を表示する。
第2の伝送ケーブル8は、一端が表示装置7に着脱自在に接続され、他端が制御装置9に着脱自在に接続される。そして、第2の伝送ケーブル8は、制御装置9にて処理された映像信号を表示装置7に伝送する。
【0020】
制御装置9は、本開示に係る医療用制御装置に相当する。この制御装置9は、CPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等で構成され、光源装置3、カメラヘッド5、及び表示装置7の動作を統括的に制御する。
なお、制御装置9の詳細な構成については、後述する「制御装置の構成」において説明する。
第3の伝送ケーブル10は、一端が光源装置3に着脱自在に接続され、他端が制御装置9に着脱自在に接続される。そして、第3の伝送ケーブル10は、制御装置9からの制御信号を光源装置3に伝送する。
【0021】
〔制御装置の構成〕
次に、制御装置9の構成について説明する。
図2は、制御装置9の構成を示すブロック図である。
制御装置9は、
図2に示すように、画像処理部91と、第1のクロック発生部92と、第1の同期信号生成部93と、第2のクロック発生部94と、第2の同期信号生成部95と、制御部96と、入力部97と、出力部98と、記憶部99とを備える。
【0022】
画像処理部91は、制御部96による制御の下、カメラヘッド5から出力された撮像画像(デジタル信号)に対して画像処理を実行するとともに、当該撮像画像を表示するための表示用の映像信号を生成する。そして、画像処理部91は、当該映像信号を表示装置7に出力する。これにより、表示装置7には、当該撮像画像が表示される。
具体的に、当該画像処理としては、オプティカルブラック減算処理、デモザイク処理、ホワイトバランス調整処理、ノイズ低減処理、色補正処理、色強調処理、及び輪郭強調処理等を例示することができる。
【0023】
第1のクロック発生部92は、所謂、クロックジェネレータであり、第1のクロックを発生する。
第1の同期信号生成部93は、制御部96による制御の下、第1のクロックに基づいて、制御装置9全体の動作に用いられる第1の同期信号を生成する。
【0024】
第2のクロック発生部94は、所謂、クロックジェネレータであり、第1のクロックとは位相及び周波数が異なる第2のクロックを発生する。
第2の同期信号生成部95は、制御部96による制御の下、第1の同期信号及び第2のクロックに基づいて、カメラヘッド5(撮像部51等)を動作させるための第2の同期信号を生成する。
ここで、第2の同期信号生成部95は、第1の設定処理と、第2の設定処理とをそれぞれ実行する。
なお、第1の設定処理の詳細については、後述する「第1の設定処理」において説明する。また、第2の設定処理の詳細については、後述する「第2の設定処理」において説明する。
【0025】
制御部96は、CPUやMPU(Micro Processing Unit)等のコントローラによって、記憶部99に記憶された各種のプログラムが実行されることにより実現され、光源装置3、カメラヘッド5、及び表示装置7の動作を制御するとともに、制御装置9全体の動作を制御する。なお、制御部96は、CPUやMPUに限らず、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA等の集積回路によって構成されても構わない。この制御部96は、本開示に係る動作検出部及び時間幅変更部の機能を有する。なお、当該機能については、後述する「第2の設定処理」において説明する。
【0026】
入力部97は、マウス、キーボード、及びタッチパネル等の操作デバイスを用いて構成され、医師等のユーザによるユーザ操作を受け付ける。そして、入力部97は、当該ユーザ操作に応じた操作信号を制御部96に出力する。
出力部98は、スピーカやプリンタ等を用いて構成され、各種情報を出力する。
記憶部99は、制御部96が実行するプログラムや、制御部96の処理に必要な情報等を記憶する。
【0027】
〔第1の設定処理〕
次に、第2の同期信号生成部95が実行する第1の設定処理について説明する。
図3は、第1の設定処理の具体例を説明する図である。ここで、
図3の(a)は、第1の同期信号を示している。
図3の(b)は、第1のクロックを示している。
図3の(c)は、第2の同期信号を示している。
図3の(d)は、第2のクロックを示している。
第2の同期信号生成部95は、入力した第1の同期信号の最初の第1の遷移タイミングでの当該第1の同期信号の遷移に対応させて(当該第1の同期信号の遷移と同様に)第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する第1の設定処理を実行する。
なお、遷移タイミングとは、信号(第1,第2の同期信号、及び第1,第2のクロックを含む)がローレベルからハイレベルに遷移する立上りタイミング、または、信号がハイレベルからローレベルに遷移する立下りタイミングを意味する。
【0028】
上述したように、第1,第2のクロックは、位相及び周波数が異なる。このため、第2の同期信号生成部95は、入力した第1の同期信号の最初の第1の遷移タイミングt11(
図3)での当該第1の同期信号の遷移に対応させて第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを当該第1の遷移タイミングt11と同一のタイミングに設定することができない。
そして、第2の同期信号生成部95は、第1の設定処理において、
図3に示すように、第1の遷移タイミングt11を第2のクロックの遷移タイミングt21に乗り換えることで当該第1の遷移タイミングt11での第1の同期信号の遷移(立下り)に対応させて第2の同期信号を遷移(立下り)させる遷移タイミングを設定する。すなわち、第2のクロックにおける第1の遷移タイミングt11の直後の立上りタイミングt21を当該第1の遷移タイミングt11での第1の同期信号の遷移に対応させて第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングとして設定する。
【0029】
〔第2の設定処理〕
次に、第2の同期信号生成部95が実行する第2の設定処理について説明する。
第2の同期信号生成部95は、入力した第1の同期信号の2回目以降の第2の遷移タイミングでの第1の同期信号の遷移に対応させて(当該第1の同期信号の遷移と同様に)第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する第2の設定処理を実行する。
具体的に、第2の同期信号生成部95は、第2の設定処理において、第2の遷移タイミングの時間軸上の位置に基づいて、当該第2の遷移タイミングでの第1の同期信号の遷移に対応させて第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する。より具体的に、第2の同期信号生成部95は、第2の設定処理において、第2の遷移タイミングの時間軸上の位置が第1の同期信号の周期に応じた基準タイミングt0(t01,t02,・・・(
図4~
図7参照))を中心とする特定の時間幅W(
図4~
図7参照)内に位置するか否かを判断し、当該判断結果に基づいて、当該第2の遷移タイミングでの第1の同期信号の遷移に対応させて第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する。
【0030】
ここで、記憶部99には、第1の同期信号における遷移タイミング間(立上りタイミング及び立下りタイミング間)の時間(以下、基準時間と記載)と、特定の時間幅Wとが予め記憶されている。そして、第2の同期信号生成部95は、第1の遷移タイミングt11から記憶部99に記憶された基準時間が経過した各タイミングを第1の同期信号の周期に応じた基準タイミングt0(t01,t02,・・・)として設定する。
【0031】
また、特定の時間幅Wとしては、
図3に示すように、第2のクロックの1周期を例示することができる。なお、特定の時間幅Wは、入力部97へのユーザ操作に応じて、制御部96によって変更可能に構成されている。また、制御部96は、以下に示す場合に限り、第2の設定処理において用いる時間幅Wを大きい値に変更する。
【0032】
具体的に、制御部96(動作検出部)は、電気メスや超音波処置具等のエネルギ処置具の動作を検出する。
例えば、制御部96は、AI(Artificial Intelligence)を用いた画像認識によって、撮像画像内にエネルギ処置具が含まれるか否かを判断する。そして、制御部96は、撮像画像内にエネルギ処置具が含まれていると判断した場合に、当該エネルギ処置具の動作を検出する。
また、例えば、制御装置9は、エネルギ処置具と電気的に接続されている。また、制御装置9は、エネルギ処置具における生体組織への処置エネルギ(高周波エネルギ、超音波エネルギ等)の付与を開始する操作に応じた信号を検知可能とする。そして、制御部96は、当該操作に応じた信号を検知した場合に、当該エネルギ処置具の動作を検出する。
そして、制御部96(時間幅変更部)は、エネルギ処置具の動作を検出した場合に、記憶部99に記憶されている特定の時間幅Wを大きい値に変更する。
【0033】
上述したように、第2の同期信号生成部95は、第2の遷移タイミングの時間軸上の位置が基準タイミングt0(t01,t02,・・・)を中心とする特定の時間幅W内に位置するか否かの判断結果に基づいて、異なる第2の設定処理を実行する。以下では、当該判断結果を場合分けし、第2の設定処理を具体的に説明する。
【0034】
〔第2の設定処理の具体例(その1)〕
図4は、第2の設定処理の具体例(その1)を説明する図である。ここで、
図4の(a)は、第1の同期信号を示している。
図4の(b)は、第2の同期信号を示している。なお、
図4では、第2の遷移タイミングt12(t121,t122)の時間軸上の位置が基準タイミングt0(t01,t02)を中心とする特定の時間幅W内に位置する場合を例示している。
先ず、第2の遷移タイミングt12(
図4)の時間軸上の位置が基準タイミングt0を中心とする特定の時間幅W内に位置する場合について説明する。
この場合には、第2の同期信号生成部95は、第2の設定処理において、第2の同期信号の直前の遷移タイミングから計数した第2のクロックの計数値に基づいて、第2の遷移タイミングt12での第1の同期信号の遷移に対応させて第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングt22を設定する。
【0035】
具体的に、
図4の例では、第2の遷移タイミングt121の時間軸上の位置は、基準タイミングt01を中心とする特定の時間幅W内に位置している。このため、第2の同期信号生成部95は、第2の同期信号の遷移タイミングt21から計数した第2のクロックの計数値が特定の計数値になったタイミングt221を第2の遷移タイミングt121での第1の同期信号の遷移(立上り)に対応させて第2の同期信号を遷移(立上り)させる遷移タイミングとして設定する。
【0036】
また、
図4の例では、第2の遷移タイミングt121の次の第2の遷移タイミングt122の時間軸上の位置は、基準タイミングt02を中心とする特定の時間幅W内に位置している。このため、第2の同期信号生成部95は、第2の同期信号の遷移タイミングt221から計数した第2のクロックの計数値が特定の計数値になったタイミングt222を第2の遷移タイミングt122での第1の同期信号の遷移(立下り)に対応させて第2の同期信号を遷移(立下り)させる遷移タイミングとして設定する。
【0037】
〔第2の設定処理の具体例(その2)〕
図5は、第2の設定処理の具体例(その2)を説明する図である。ここで、
図5の(a)は、第1の同期信号を示している。
図5の(b)は、第2の同期信号を示している。なお、
図5では、第2の遷移タイミングt121の時間軸上の位置が基準タイミングt01を中心とする特定の時間幅W内に位置しておらず、当該特定の時間幅Wよりも後に位置している場合を例示している。また、
図5では、第2の遷移タイミングt121の次の第2の遷移タイミングt122の時間軸上の位置が基準タイミングt02を中心とする特定の時間幅W内に位置している場合を例示している。
【0038】
次に、第2の遷移タイミングt12の時間軸上の位置が基準タイミングt0を中心とする特定の時間幅W内に位置しておらず、当該特定の時間幅Wよりも後に位置している場合について説明する。
この場合には、第2の同期信号生成部95は、第2の設定処理において、上述した第1の設定処理と同様に、第2の遷移タイミングt12を第2のクロックの遷移タイミングに乗り換えることで当該第2の遷移タイミングt12での第1の同期信号の遷移に対応させて第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングt22を設定する。
【0039】
具体的に、
図5の例では、第2の遷移タイミングt121の時間軸上の位置は、基準タイミングt01を中心とする特定の時間幅W内に位置しておらず、当該時間幅Wの後に位置する。このため、第2の同期信号生成部95は、上述した第1の設定処理と同様に、第2の遷移タイミングt121を第2のクロックの遷移タイミングに乗り換えることで当該第2の遷移タイミングt121での第1の同期信号の遷移(立上り)に対応させて第2の同期信号を遷移(立上り)させる遷移タイミングt221を設定する。
【0040】
また、
図5の例では、第2の遷移タイミングt121の次の第2の遷移タイミングt122の時間軸上の位置は、基準タイミングt02を中心とする特定の時間幅W内に位置している。このため、第2の同期信号生成部95は、上述した
図4の例と同様に、第2の同期信号の遷移タイミングt221から計数した第2のクロックの計数値が特定の計数値になったタイミングt222を当該第2の遷移タイミングt122での第1の同期信号の遷移(立下り)に対応させて第2の同期信号を遷移(立下り)させる遷移タイミングとして設定する。
【0041】
〔第2の設定処理の具体例(その3)〕
図6は、第2の設定処理の具体例(その3)を説明する図である。ここで、
図6の(a)は、第1の同期信号を示している。
図6の(b)は、第2の同期信号を示している。なお、
図6では、第2の遷移タイミングt121の時間軸上の位置が基準タイミングt01を中心とする特定の時間幅W内に位置しておらず、当該特定の時間幅Wよりも前に位置している場合を例示している。
【0042】
次に、第2の遷移タイミングt12の時間軸上の位置が基準タイミングt0を中心とする特定の時間幅W内に位置しておらず、当該特定の時間幅Wよりも前に位置している場合について説明する。
この場合には、第2の同期信号生成部95は、第2の設定処理において、第2の遷移タイミングt12での第1の同期信号の遷移に対応させて第2の同期信号を遷移させない。
【0043】
具体的に、
図6の例では、第2の遷移タイミングt121の時間軸上の位置は、基準タイミングt01を中心とする特定の時間幅W内に位置しておらず、当該時間幅Wの前に位置する。このため、第2の同期信号生成部95は、第2の遷移タイミングt121での第1の同期信号の遷移(立上げ)に対応させて第2の同期信号を遷移させない。そして、第2の同期信号生成部95は、上述した第1の設定処理と同様に、第2の遷移タイミングt121の次の第2の遷移タイミングt122を第2のクロックの遷移タイミングに乗り換えることで当該第2の遷移タイミングt122での第1の同期信号の遷移(立下げ)に対応させて第2の同期信号を遷移(立下げ)させる遷移タイミングt222を設定する。なお、
図6では、本来、第2の遷移タイミングt121での第1の同期信号の遷移(立上げ)に対応させて第2の同期信号を遷移(立上げ)させた場合の当該第2の同期信号を一点鎖線によって表現している。
【0044】
〔第2の設定処理の具体例(その4)〕
図7は、第2の設定処理の具体例(その4)を説明する図である。ここで、
図7の(a)は、第1の同期信号を示している。
図7の(b)は、第2の同期信号を示している。なお、
図7では、第2の遷移タイミングt12(t121,t123)が複数、存在し、複数の第2の遷移タイミングt121,t123のうち一部の第2の遷移タイミングt123の時間軸上の位置が基準タイミングt01を中心とする特定の時間幅W内に位置しておらず、当該特定の時間幅Wよりも前に位置し、他の第2の遷移タイミングt121の時間軸上の位置が当該特定の時間幅W内に位置している場合を例示している。また、
図7では、また、
図5では、第2の遷移タイミングt121の次の第2の遷移タイミングt122の時間軸上の位置が基準タイミングt02を中心とする特定の時間幅W内に位置している場合を例示している。
【0045】
次に、第2の遷移タイミングt12が複数、存在し、複数の第2の遷移タイミングt12のうち一部の第2の遷移タイミングの時間軸上の位置が基準タイミングt0を中心とする特定の時間幅W内に位置しておらず、当該特定の時間幅Wよりも前に位置し、他の第2の遷移タイミングの時間軸上の位置が当該特定の時間幅W内に位置している場合について説明する。
この場合には、第2の同期信号生成部95は、第2の設定処理において、第2の同期信号の直前の遷移タイミングから計数した第2のクロックの計数値に基づいて第2の遷移タイミングt12での第1の同期信号の遷移に対応させて第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングt22を設定する。
【0046】
具体的に、
図7の例では、第2の遷移タイミングt12が第2の遷移タイミングt121,t123の2つ存在する。そして、一方の第2の遷移タイミングt123の時間軸上の位置は、基準タイミングt01を中心とする特定の時間幅W内に位置しておらず、当該特定の時間幅Wよりも前に位置する。一方、他の第2の遷移タイミングt121の時間軸上の位置は、基準タイミングt01を中心とする特定の時間幅W内に位置する。このため、第2の同期信号生成部95は、上述した
図4の例と同様に、第2の同期信号の遷移タイミングt21から計数した第2のクロックの計数値が特定の計数値になったタイミングt221を当該第2の遷移タイミングt121での第1の同期信号の遷移(立上り)に対応させて第2の同期信号を遷移(立上り)させる遷移タイミングとして設定する。
【0047】
また、
図7の例では、第2の遷移タイミングt121の次の第2の遷移タイミングt122は、基準タイミングt02を中心とする特定の時間幅W内に位置している。このため、第2の同期信号生成部95は、上述した
図4の例と同様に、第2の同期信号の遷移タイミングt221から計数した第2のクロックの計数値が特定の計数値になったタイミングt222を当該第2の遷移タイミングt122での第1の同期信号の遷移(立下り)に対応させて第2の同期信号を遷移(立下げ)させる遷移タイミングとして設定する。
【0048】
以上説明した本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
本実施の形態に係る制御装置9では、第2の同期信号生成部95は、第1,第2の設定処理をそれぞれ実行する。当該第1の設定処理は、入力した第1の同期信号の最初の第1の遷移タイミングでの当該第1の同期信号の遷移に対応させて第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する処理である。当該第2の設定処理は、入力した第1の同期信号の2回目以降の第2の遷移タイミングでの当該第1の同期信号の遷移に対応させて第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する処理である。具体的に、当該第2の設定処理は、第2の遷移タイミングの時間軸上の位置が第1の同期信号の周期に応じた基準タイミングt0(t01,t02,・・・)を中心とする特定の時間幅W内に位置するか否かを判断し、当該判断結果に基づいて、当該第2の遷移タイミングでの当該第1の同期信号の遷移に対応させて第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する処理である。
したがって、本実施の形態に係る制御装置9によれば、互いの位相保証がされていない第1,第2のクロックを用いた場合であっても、第2の同期信号生成部95側に特許文献2に記載の制御回路やPLL回路を設ける必要がない。すなわち、当該制御装置9によれば、簡素な構成でメタステーブルの発生を抑制することができる。
【0049】
特に、第2の遷移タイミングt12の時間軸上の位置が基準タイミングt0を中心とする特定の時間幅W内に位置しておらず、当該特定の時間幅Wよりも後に位置している場合には、再起動等により新たに第1の同期信号が生成される可能性がある。
そして、本実施の形態では、第2の同期信号生成部95は、上述した場合には、第2の設定処理の具体例(その2)で説明した処理を実行する。このため、再起動等により新たに第1の同期信号が生成されることを考慮し、適切な第2の同期信号を生成することができる。
【0050】
また、第2の遷移タイミングt12の時間軸上の位置が基準タイミングt0を中心とする特定の時間幅W内に位置しておらず、当該特定の時間幅Wよりも前に位置している場合において、当該第2の遷移タイミングt12にしたがって第2の同期信号の遷移タイミングを設定すると、1フレームの撮像画像の表示が途中で切れてしまう。
そして、本実施の形態では、第2の同期信号生成部95は、上述した場合には、第2の設定処理の具体例(その3)で説明した処理を実行する。このため、1フレームの撮像画像の表示が途中で切れることがなく、観察に適した撮像画像を表示させることができる。
【0051】
さらに、第2の遷移タイミングt12が複数、存在し、複数の第2の遷移タイミングt12のうち一部の第2の遷移タイミングt123の時間軸上の位置が基準タイミングt01を中心とする特定の時間幅W内に位置しておらず、当該特定の時間幅Wよりも前に位置し、他の第2の遷移タイミングt121の時間軸上の位置が当該特定の時間幅W内に位置している場合では、当該第2の遷移タイミングt123は、第1の同期信号がノイズにより乱れることで発生したものと想定することができる。
そして、本実施の形態では、第2の同期信号生成部95は、上述した場合には、第2の設定処理の具体例(その4)で説明した処理を実行する。このため、第1の同期信号がノイズによる影響を受けた場合でも、適切な第2の同期信号を生成することができる。
【0052】
ところで、エネルギ処置具が動作した場合には、第1の同期信号に対してノイズが影響を及ぼし易いものとなる。
本実施の形態では、制御部96は、エネルギ処置具の動作を検出した場合には、特定の時間幅Wを大きい幅に変更する。このため、エネルギ処理具の動作による第1の同期信号に与えるノイズの影響を考慮し、適切な第2の同期信号を生成することができる。
【0053】
(その他の実施の形態)
ここまで、本開示を実施するための形態を説明してきたが、本開示は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。
【0054】
上述した実施の形態では、本開示に係る医療用制御装置を、挿入部2を硬性鏡で構成した医療用観察システム1に搭載していたが、これに限らない。例えば、本開示に係る医療用制御装置を、挿入部2を軟性鏡で構成した医療用観察システムに搭載しても構わない。また、本開示に係る医療用画像処理装置を、生体内や生体表面の所定の視野領域を拡大して観察する手術用顕微鏡(例えば、特開2016-42981号公報参照)等の医療用観察システムに搭載しても構わない。
【0055】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)第1のクロックを発生する第1のクロック発生部と、前記第1のクロックに基づいて第1の同期信号を生成する第1の同期信号生成部と、第2のクロックを発生する第2のクロック発生部と、前記第1の同期信号及び前記第2のクロックに基づいて、医療用観察装置を動作させるための第2の同期信号を生成する第2の同期信号生成部とを備え、前記第2の同期信号生成部は、入力した前記第1の同期信号の最初の第1の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する第1の設定処理と、前記第1の同期信号の2回目以降の第2の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する第2の設定処理とをそれぞれ実行し、前記第1の設定処理では、前記第1の遷移タイミングを前記第2のクロックの遷移タイミングに乗り換えることで前記第1の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定し、前記第2の設定処理では、前記第2の遷移タイミングの時間軸上の位置に基づいて、前記第2の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する医療用制御装置。
(2)前記第2の同期信号生成部は、前記第2の設定処理において、前記第2の遷移タイミングの時間軸上の位置が前記第1の同期信号の周期に応じた基準タイミングを中心とする特定の時間幅内に位置するか否かを判断し、当該判断結果に基づいて、前記第2の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する前記(1)に記載の医療用制御装置。
(3)前記第2の同期信号生成部は、前記第2の設定処理において、前記第2の遷移タイミングの時間軸上の位置が前記特定の時間幅内に位置すると判断した場合には、前記第2の同期信号の直前の遷移タイミングから計数した前記第2のクロックの計数値に基づいて、前記第2の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する前記(2)に記載の医療用制御装置。
(4)前記第2の同期信号生成部は、前記第2の設定処理において、前記第2の遷移タイミングの時間軸上の位置が前記特定の時間幅内に位置しておらず、前記特定の時間幅よりも後に位置していると判断した場合には、前記第2の遷移タイミングを前記第2のクロックの遷移タイミングに乗り換えることで前記第2の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する前記(2)または(3)に記載の医療用制御装置。
(5)前記第2の同期信号生成部は、前記第2の設定処理において、前記第2の遷移タイミングの時間軸上の位置が前記特定の時間幅内に位置しておらず、前記特定の時間幅よりも前に位置していると判断した場合には、前記第2の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させない前記(2)~(4)のいずれか1つに記載の医療用制御装置。
(6)前記第2の同期信号生成部は、前記第2の設定処理において、前記第2の遷移タイミングが複数、存在し、複数の前記第2の遷移タイミングのうち一部の第2の遷移タイミングの時間軸上の位置が前記特定の時間幅内に位置しておらず、前記特定の時間幅よりも前に位置し、他の第2の遷移タイミングの時間軸上の位置が前記特定の時間幅内に位置していると判断した場合には、前記第2の同期信号の直前の遷移タイミングから計数した前記第2のクロックの計数値に基づいて、前記特定の時間幅内に位置する前記第2の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する前記(2)~(5)のいずれか1つに記載の医療用制御装置。
(7)ユーザ操作を受け付ける入力部をさらに備え、前記特定の時間幅は、前記入力部へのユーザ操作に応じて変更可能とする前記(2)~(6)のいずれか1つに記載の医療用制御装置。
(8)エネルギ処置具の動作を検出する動作検出部と、前記動作検出部にて前記エネルギ処置具の動作が検出された場合に、前記特定の時間幅を大きい値に変更する時間幅変更部とをさらに備える前記(2)~(7)のいずれか1つに記載の医療用制御装置。
(9)被写体像を撮像して撮像画像を生成する医療用観察装置と、前記医療用観察装置の動作を制御する医療用制御装置とを備え、前記医療用制御装置は、第1のクロックを発生する第1のクロック発生部と、前記第1のクロックに基づいて第1の同期信号を生成する第1の同期信号生成部と、前記第1のクロックとは異なる第2のクロックを発生する第2のクロック発生部と、前記第1の同期信号及び前記第2のクロックに基づいて、前記医療用観察装置を動作させるための第2の同期信号を生成する第2の同期信号生成部とを備え、前記第2の同期信号生成部は、入力した前記第1の同期信号の最初の第1の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する第1の設定処理と、前記第1の同期信号の2回目以降の第2の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する第2の設定処理とをそれぞれ実行し、前記第1の設定処理では、前記第1の遷移タイミングを前記第2のクロックの遷移タイミングに乗り換えることで前記第1の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定し、前記第2の設定処理では、前記第2の遷移タイミングの時間軸上の位置に基づいて、前記第2の遷移タイミングでの前記第1の同期信号の遷移に対応させて前記第2の同期信号を遷移させる遷移タイミングを設定する医療用観察システム。
【符号の説明】
【0056】
1 医療用観察システム
2 挿入部
3 光源装置
4 ライトガイド
5 カメラヘッド
6 第1の伝送ケーブル
7 表示装置
8 第2の伝送ケーブル
9 制御装置
10 第3の伝送ケーブル
21 接眼部
51 撮像部
91 画像処理部
92 第1のクロック発生部
93 第1の同期信号生成部
94 第2のクロック発生部
95 第2の同期信号生成部
96 制御部
97 入力部
98 出力部
99 記憶部
100 医療用観察装置
200 医療用制御装置
210 第1のクロック発生部
220 第1の同期信号生成部
230 第2のクロック発生部
240 第2の同期信号生成部
300 医療用観察システム
CN1,CN2 コネクタ
t0,t01,t02 基準タイミング
t11 第1の遷移タイミング
t12,t121~t123 第2の遷移タイミング
t21,t22,t221,t222 遷移タイミング
W 特定の時間幅