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特開2023-128525絶縁抵抗試験システム、製造方法及び絶縁抵抗試験方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128525
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】絶縁抵抗試験システム、製造方法及び絶縁抵抗試験方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 27/02 20060101AFI20230907BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20230907BHJP
   H02S 50/10 20140101ALI20230907BHJP
   G01R 31/52 20200101ALI20230907BHJP
【FI】
G01R27/02 R
H02J3/38 130
H02S50/10
G01R31/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032908
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】流田 康一
【テーマコード(参考)】
2G014
2G028
5F151
5F251
5G066
【Fターム(参考)】
2G014AA17
2G014AB29
2G014AC19
2G028BB11
2G028CG03
2G028DH03
2G028FK02
2G028LR00
2G028MS01
5F151KA08
5F251KA08
5G066HB06
(57)【要約】
【課題】過電圧抑制素子が設けられた太陽光発電システムの絶縁抵抗試験を可能にする。
【解決手段】絶縁抵抗試験システムは、太陽電池装置の出力と接地極間に配置される過電圧抑制素子が、前記太陽電池装置の出力と前記太陽電池装置の後段の電力変換装置の入力とを繋ぐ経路の途中に設けられた分界点よりも、前記太陽電池装置の出力側に設けられた太陽光発電システムの絶縁抵抗試験に適用可能である。絶縁抵抗試験システムは、絶縁抵抗試験用に予め定められた大きさの直流試験電圧を第1端子と第2端子との間に発生する試験装置を備え、前記太陽電池装置の出力に繋がる経路の正極と負極が前記電力変換装置の入力と接地極のそれぞれから分界点で切り離され、前記第2端子が接地極に接続され、前記第1端子が前記負極に接続された状態で、前記試験装置は、前記第2端子に所定の大きさの正の前記直流電圧を印加可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池装置の出力と接地極間に配置される過電圧抑制素子が、前記太陽電池装置の出力と前記太陽電池装置の後段の電力変換装置の入力とを繋ぐ経路の途中に設けられた分界点よりも、前記太陽電池装置の出力側に設けられた太陽光発電システムの絶縁抵抗試験に用いられる絶縁抵抗試験システムであって、
絶縁抵抗試験用に予め定められた大きさの直流試験電圧を第1端子と第2端子との間に発生する試験装置
を備え、
前記太陽電池装置の出力に繋がる経路の正極と負極が前記電力変換装置の入力と接地極のそれぞれから分界点で切り離され、前記第2端子が接地極に接続され、前記第1端子が前記負極に接続された状態で、
前記試験装置は、前記第2端子に所定の大きさの正の前記直流電圧を印加可能である
絶縁抵抗試験システム。
【請求項2】
前記試験装置は、前記第1端子の電圧が前記第2端子の電圧よりも前記直流試験電圧ほど高い前記直流電圧を発生する
請求項1に記載の絶縁抵抗試験システム。
【請求項3】
前記試験装置は、
前記第1端子の電圧が前記第2端子の電圧よりも高い前記直流電圧を発生する第1動作モードと、
前記第1端子の電圧が前記第2端子の電圧よりも低い直流電圧を発生する第2動作モードと、を含む複数の動作モードから所望の動作モードを選択可能なスイッチと、
前記第1端子の電圧と前記第2端子の電圧とを切り替える切替回路と
を備える請求項1又は請求項2に記載の絶縁抵抗試験システム。
【請求項4】
太陽電池装置の出力と接地極間に配置される過電圧抑制素子が前記太陽電池装置の出力と前記太陽電池装置の後段の電力変換装置の入力とを繋ぐ経路の途中に設けられた分界点との間に設けられた太陽光発電システムの絶縁抵抗試験に適用可能な予め定められた大きさの直流試験電圧を第1端子と第2端子との間に発生する試験装置を含む絶縁抵抗試験システムの製造方法であって、
前記試験装置が前記第2端子に所定の大きさの正の前記直流電圧を印加させるように、その前に、
前記太陽電池装置の出力に繋がる経路の正極と負極を前記電力変換装置の入力と接地極のそれぞれから分界点で切り離し、前記第2端子を接地極に接続し、前記第1端子を前記負極に接続する、
絶縁抵抗試験システムの製造方法。
【請求項5】
太陽電池装置の出力と接地極間に配置される過電圧抑制素子が前記太陽電池装置の出力と前記太陽電池装置の後段の電力変換装置の入力とを繋ぐ経路の途中に設けられた分界点との間に設けられた太陽光発電システムの絶縁抵抗試験方法であって、
試験装置が、絶縁抵抗試験用に予め定められた大きさの直流試験電圧を第1端子と第2端子との間に発生する試験ステップ
を含み、
前記太陽電池装置の出力に繋がる経路の正極と負極が前記電力変換装置の入力と接地極のそれぞれから分界点で切り離され、前記第2端子が接地極に接続され、前記第1端子が前記負極に接続された状態で、
前記第2端子に所定の大きさの正の前記直流電圧を印加させる
絶縁抵抗試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁抵抗試験システム、製造方法及び絶縁抵抗試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムには、太陽電池装置が発電した直流電力を、電力ケーブルを介して電力変換装置(パワーコンディショナ)に送り、電力変換装置によって交流電力に変換させるものがある。絶縁抵抗試験システムは、このような太陽電池装置と、太陽電池装置の出力側に接続される電力ケーブルの絶縁抵抗の試験に適用される。
ところで、屋外に設置された太陽電池装置は、外来光を受けて発電する。このような状況の太陽電池装置の絶縁抵抗試験に関する技術(JIS C 1302など。)がある。
【0003】
太陽光発電システムのなかには、太陽電池装置の出力側に、雷サージなどの過電圧から太陽電池装置等を保護するための過電圧抑制素子などが設けられているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2018-512561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、太陽電池装置の出力から電力変換装置までの経路に、太陽電池装置を過電圧から保護する過電圧抑制素子が設けられていると、絶縁抵抗試験の結果が、絶縁抵抗が低下した場合と同様の結果を示すことがある。これを避けるために、絶縁抵抗試験の際に、過電圧抑制素子を経路から切り離す作業を実施することがあるが、活線作業を避けるための手順に従うこの作業は極めて煩雑であった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、過電圧抑制素子が太陽電池装置の出力側に設けられた太陽光発電システムの絶縁抵抗試験を、簡潔な手順で実施可能にする絶縁抵抗試験システム、製造方法及び絶縁抵抗試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記課題を解決するため、本発明の一態様は、太陽電池装置の出力と接地極間に配置される過電圧抑制素子が、前記太陽電池装置の出力と前記太陽電池装置の後段の電力変換装置の入力とを繋ぐ経路の途中に設けられた分界点よりも、前記太陽電池装置の出力側に設けられた太陽光発電システムの絶縁抵抗試験に用いられる絶縁抵抗試験システムであって、絶縁抵抗試験用に予め定められた大きさの直流試験電圧を第1端子と第2端子との間に発生する試験装置を備え、前記太陽電池装置の出力に繋がる経路の正極と負極が前記電力変換装置の入力と接地極のそれぞれから分界点で切り離され、前記第2端子が接地極に接続され、前記第1端子が前記負極に接続された状態で、前記試験装置は、前記第2端子に所定の大きさの正の前記直流電圧を印加可能である絶縁抵抗試験システムである。
(2)上記の絶縁抵抗試験システムにおいて、前記試験装置は、前記第1端子の電圧が前記第2端子の電圧よりも前記直流試験電圧ほど高い前記直流電圧を発生する。
(3)上記の絶縁抵抗試験システムにおいて、前記試験装置は、前記第1端子の電圧が前記第2端子の電圧よりも高い前記直流電圧を発生する第1動作モードと、前記第1端子の電圧が前記第2端子の電圧よりも低い直流電圧を発生する第2動作モードと、を含む複数の動作モードから所望の動作モードを選択可能なスイッチと、前記第1端子の電圧と前記第2端子の電圧とを切り替える切替回路とを備える。
(4)本発明の一態様は、太陽電池装置の出力と接地極間に配置される過電圧抑制素子が前記太陽電池装置の出力と前記太陽電池装置の後段の電力変換装置の入力とを繋ぐ経路の途中に設けられた分界点との間に設けられた太陽光発電システムの絶縁抵抗試験に適用可能な予め定められた大きさの直流試験電圧を第1端子と第2端子との間に発生する試験装置を含む絶縁抵抗試験システムの製造方法であって、前記試験装置が前記第2端子に所定の大きさの正の前記直流電圧を印加させる前に、前記太陽電池装置の出力に繋がる経路の正極と負極を前記電力変換装置の入力と接地極のそれぞれから分界点で切り離し、前記第2端子を接地極に接続し、前記第1端子を前記負極に接続する絶縁抵抗試験システムの製造方法である。
(5)本発明の一態様は、太陽電池装置の出力と接地極間に配置される過電圧抑制素子が前記太陽電池装置の出力と前記太陽電池装置の後段の電力変換装置の入力とを繋ぐ経路の途中に設けられた分界点との間に設けられた太陽光発電システムの絶縁抵抗試験方法であって、試験装置が、絶縁抵抗試験用に予め定められた大きさの直流試験電圧を第1端子と第2端子との間に発生する試験ステップを含み、前記太陽電池装置の出力に繋がる経路の正極と負極が前記電力変換装置の入力と接地極のそれぞれから分界点で切り離され、前記第2端子が接地極に接続され、前記第1端子が前記負極に接続された状態で、前記第2端子に所定の大きさの正の前記直流電圧を印加させる絶縁抵抗試験方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の各態様によれば、過電圧抑制素子が設けられた太陽光発電システムの絶縁抵抗試験が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る絶縁抵抗試験装置100の適用例を示す図である。
図2】実施形態の絶縁抵抗試験装置100の概略構成図である。
図3】実施形態のN相側試験の手順を示すフローチャートである。
図4】実施形態の太陽光ストリング内の電圧分布について説明するための図である。
図5】実施形態の太陽光ストリング内の電圧分布について説明するための図である。
図6】実施形態の絶縁抵抗試験装置100の操作パネル面の概略構成図である。
図7】第2の実施形態の動作モード変更型の絶縁抵抗試験装置100Aの概略構成図である。
図8】第3の実施形態の絶縁抵抗試験装置100Bの利用について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
実施形態における太陽電池装置は、太陽電池パネル、太陽電池ストリング、太陽電池アレイなどを代表する。実施形態の絶縁抵抗試験装置は、絶縁抵抗計の一例である。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る絶縁抵抗試験装置100の適用例を示す図である。この絶縁抵抗試験装置100は、例えば、複数の太陽電池パネル(photovoltaic panel)が直列に接続された太陽電池ストリングの絶縁抵抗試験を行うための装置である。
【0012】
図1に示すように、太陽電池装置2は、複数のPVパネルPV1、PV2、PV3、・・・、PVnを直列に接続することにより構成されている。nは、太陽電池装置2内のPVパネルの直列数(枚数)を示す整数である。PVパネルPV1、PV2、PV3、・・・、PVnを区別せずに示す場合には、PVパネルNと呼ぶ。また、PVパネルNは、それぞれ、所定個数の太陽電池セルを含んで構成されている。
【0013】
平時に利用される太陽電池装置2は、発電電力の給電線である電力ケーブル10(図2)によって、接続箱30と、集電盤40とを介して、パワーコンディショナ(以下、単に「PCS」と呼ぶ)20に接続されている。電力ケーブル10は、少なくとも正側給電線11と、負側給電線12とを備える。正側給電線11は、太陽電池装置2の正極側に接続され、これをP相と呼ぶ。負側給電線12は、太陽電池装置2の負極側に接続され、これをN相と呼ぶ。正側給電線11と負側給電線12のそれぞれは、例えば、アースEに対して絶縁されている。
【0014】
例えば、接続箱30には、開閉器31、32、負荷開閉器33、34、及びSPD5、6が設けられている。集電盤40には、開閉器41、42が設けられている。
負荷開閉器33と負荷開閉器34は、例えば3組の双極単投型(DPST)のスイッチを含む。負荷開閉器33は、スイッチ33A、33B、33Cを含む。負荷開閉器34は、スイッチ34A、34B、34Cを含む。スイッチ33Aと34Aの組、スイッチ33Bと34Bの組、スイッチ33Cと34Cの組は、それぞれ双極単投型(DPST)のスイッチを形成する。
開閉器41と開閉器42は、例えば3組の双極単投型(DPST)のスイッチを含む。開閉器41は、スイッチ41A、41B、41Cを含む。開閉器42は、スイッチ42A、42B、42Cを含む。スイッチ41Aと42Aの組、スイッチ41Bと42Bの組、スイッチ41Cと42Cの組は、それぞれ双極単投型(DPST)のスイッチを形成する。上記の双極単投型(DPST)は、双極双投型(DPDT)であってよい。
【0015】
給電線11は、接続箱30と集電盤40とによって区分された給電線11Aと、給電線11Bと、給電線11Cとを含む。給電線12は、接続箱30と集電盤40とによって区分された給電線12Aと、給電線12Bと、給電線12Cとを含む。
【0016】
つまり、太陽電池装置2の正極(+)側の出力端子であるP相端子PVPは、給電線11A、負荷開閉器33、接続箱30内の正極フレーム、開閉器31、給電線11B、開閉器41、集電盤40内の正極フレーム、開閉器41及び給電線11Cを介して、PCS20の(+)側の入力端子に接続されている。また、太陽電池装置2の負極(-)側の出力端子であるN相端子PVNは、給電線12A、負荷開閉器34、接続箱30内の負極フレーム、開閉器32、給電線12B、開閉器42、集電盤40内の負極フレーム、及び給電線12Cを介して、PCS20の(-)側の入力端子に接続されている。
【0017】
PCS20は、太陽電池装置2から供給される直流の発電電力を、図示されない電力変換回路を用いて交流電力に変換し、この変換した交流電力を商用系統などの電力系統へ出力する。
【0018】
なお、太陽電池装置2からPCS20に電力を供給する給電線11及び給電線12は、この図1に示すように接続箱30や集電盤40等により中継されて配線されることがある。この図1に示す例の場合、開閉器31及び開閉器32は、この接続箱30に収納されている。開閉器41及び開閉器42は、この集電盤40に収納されている。
【0019】
例えば、PCS20の(-)側の入力端子に繋がる負極側の給電線12Cは、PCS20の内部においてアースEに接地されている。そして、開閉器32がON状態(接続状態)の場合に、太陽電池装置2のN相端子PVNは、給電線12Aと開閉器32と給電線12Bと開閉器42と給電線12Cとを介して、PCS20内においてアースEに接地される。
【0020】
SPD5とSPD6は、過電圧抑制素子であり、例えば、避雷器(SPD)であってもよい。SPD5とSPD6に関する詳細は後述する。
【0021】
(絶縁抵抗測定時の構成)
絶縁抵抗試験装置100を使用する測定者は、太陽電池装置2の絶縁抵抗を測定する場合に、例えば、開閉器41及び開閉器42のそれぞれをOFF状態にする。これにより、太陽電池装置2は、PCS20との接続が遮断される。太陽電池装置2は、地絡が発生していなければフローティング状態になる。
【0022】
図2は、実施形態の絶縁抵抗試験装置100の概略構成図である。図6は、実施形態の絶縁抵抗試験装置100の操作パネル面の概略構成図である。
上記のとおり太陽電池装置2をフローティング状態にした後に、絶縁抵抗試験装置100は、太陽電池装置2の絶縁抵抗を検出する。
【0023】
上記のように、上記のとおり太陽電池装置2をフローティング状態にしても、接続箱30内には以下の回路が存在する。
太陽電池装置2の正極側(P相)には、SPD5の一端が接続点BPで接続されている。SPD5の他端は接地線13を介して接地されている。SPD5が設けられていることにより、太陽電池装置2の正極側と正側給電線11に所定の電圧を超える過電圧が掛かる状態を避けることができる。
【0024】
太陽電池装置2の負極側(N相)には、SPD6の一端が接続点BNで接続されている。SPD6の他端は接地線13を介して接地されている。SPD6が設けられていることにより、太陽電池装置2の負極側と負側給電線12に所定の電圧を超える過電圧が掛かる状態を避けることができる。
【0025】
太陽電池装置2の正極側(P相)に、整流素子7が設けられていてもよい。整流素子7は、例えば、ダイオードである。整流素子7は、太陽電池装置2が出力する電流を順方向に流し、太陽電池装置2が逆バイアスされた状態の電流を遮断する。
【0026】
図2に示す整流素子7は、正側給電線11におけるSPD5の接続点BPよりも太陽電池装置2側、言い換えれば上記の接続点BPに対して電力変換装置とは反対側に設けられている。
【0027】
絶縁抵抗試験装置100は、例えば、第1端子TB1と、第2端子TB2とを備える。第1端子TB1には、集電箱40のN相端子TBNに接続させるテストリードTLAが接続される。第1端子TB1は、テストリードTLAを介して、試験対象の太陽電池装置2に接続される電力ケーブル10のうち負側給電線12に接続される。第2端子TB2には、集電箱40の接地端子TBEに接続させるテストリードTLBが接続される。第2端子TB2は、テストリードTLBと接地線13を介して接地される。
【0028】
絶縁抵抗試験装置100の構成をモデル化して説明する。絶縁抵抗試験装置100は、例えば、直流電圧源101と、スイッチ102と、抵抗103、104と、スイッチ108(図6図7)と、電圧検出部110と、電流検出部120と、制御部130とを備える。
【0029】
スイッチ108は、絶縁抵抗試験装置100の動作モードと、試験電圧のレンジを切り替えるスイッチである。図2中のスイッチ108の表記を省略する。
【0030】
直流電圧源101は、絶縁抵抗試験時に所望の直流電圧を出力する。直流電圧源101が出力する直流電圧は、例えば、後述の制御部130によって設定される。この電圧の調整については、後述する。
【0031】
スイッチ102は、例えば双極単投型(DPST)のモーメンタリスイッチである。スイッチ102は、そのノブ(図6)を押す操作中に接点が閉状態になり、ノブから手を放すと接点が開状態になる。図2中に示す1極のほか、これに連動する図示しない補助接点があり、後述する制御部130に接続されている。
【0032】
直流電圧源101の負極側は、スイッチ102と、抵抗103、104とを介して、第2端子TB2に接続される。絶縁試験の際に、スイッチ102を閉状態にすると、絶縁試験時の電圧が出力される。抵抗103、104は、直流電圧源101に直列に接続される。抵抗103は、規定のインピーダンスを有し、絶縁抵抗試験時に流れる電流を制限する。なお、抵抗103は、インピーダンスを有する素子に代えることができる。抵抗104のインピーダンスは、抵抗103のインピーダンスに比べて十分に小さくすると、絶縁抵抗試験時に流れる電流は、主に抵抗103のインピーダンスの影響を受けることになる。
【0033】
直流電圧源101の正極側は、第1端子TB1に接続される。
なお、直流電圧源101は、例えば、図示されない交流電圧源、絶縁トランス、整流回路、コンデンサなどを含んで構成されていてもよい。この場合のコンデンサは、交流電圧源の出力電圧を絶縁トランスによって電圧変換したのちに、整流回路によって整流された結果の波高値に基づいた直流電圧で充電される。上記の各部の設定を調整することで、直流電圧源101の出力電圧を調整できるように構成してよい。この直流電圧源101の構成と出力電圧を調整などは既知の方法を適用してよい。
本実施形態の以下の説明では、直流電圧源101を、予め定められた所定の電圧の直流を出力するものとしてモデル化して説明する。
【0034】
電圧検出部110は、第1端子TB1と第2端子TB2との間の電位差を測定する。この電位差を電圧V1と呼ぶ。電圧V1をより厳密に規定する場合には、電圧検出部110は、スイッチ102によって回路が閉じられた状態で第1端子TB1と直流電圧源101の負極側の分圧点VDP間の電位差を測定する。なお、抵抗104による電圧降下を無視できるものとする。
【0035】
電流検出部120は、絶縁抵抗試験時に抵抗104に流れる電流を検出する。例えば、電流検出部120は、直流電圧源101の負極側の分圧点VDPと第2端子TB2との間に設けられている。なお、抵抗104は、電流検出部120の一部であってもよい。
【0036】
制御部130は、マイコン(マイクロコンピュータ)131と、入出力部132とを備える。マイコン131は、例えば、CPU(中央処理装置)、主記憶装置、補助記憶装置等の記憶装置、通信装置等を備え、例えば補助記憶装置に記憶されている所定のプログラムを実行することで所定の動作を行う。入出力部132は、液晶表示装置などの表示部(図6)を含み、試験電圧の選択のための表示、選択された試験電圧の表示、絶縁抵抗試験結果の表示などを、マイコン131の制御により表示する。入出力部132は、スイッチ102、108(図6)などに対するユーザの操作を検出し、検出の結果をマイコン131に通知する。例えば、入出力部132は、スイッチ108の操作によってユーザが選択した試験電圧の指定を検出する。
【0037】
電力ケーブルのうち負側給電線12を利用した絶縁抵抗を試験する事例について説明する。
【0038】
屋外に設けられた太陽電池装置2は、その出力からPCS20(図1)を外しても、受光することにより単独で発電して直流電圧を出力する。この場合、絶縁抵抗を試験するために電力ケーブル10の第1の相に試験用の電圧を掛けると、第2の相の電圧は、その試験用の電圧とは異なるものになる。
【0039】
図2に示すように、太陽電池装置2の出力側には、SPD5とSPD6が設けられている。SPD5とSPD6の制限電圧の定格は、同じ大きさであってよい。電力ケーブル10の何れかの相の対地電圧がSPD5とSPD6の制限電圧を超えると、SPD5とSPD6は、導通してその過電圧を抑制する。その状況は、絶縁抵抗試験装置100からすれば、電力ケーブル10が地絡又は疑似地絡した状態との識別が困難であり、正確な試験を継続することができなくなる。
【0040】
そこで、絶縁抵抗試験装置100は、絶縁抵抗試験を実施する際に電力ケーブル10の対地電圧を、SPD5とSPD6の制限電圧よりも低い電圧になるように制限することで、SPD5とSPD6を応答させないように試験することができる。
【0041】
図3を参照して、実施形態のN相側試験について説明する。図3は、実施形態のN相側試験の手順を示すフローチャートである。
最初に、N相側試験のための絶縁抵抗試験装置100の設定について説明する。
【0042】
ユーザは、スイッチ108を操作して所望の動作モードに設定して、スイッチ102のノブを操作しない状態に保ち、直流電圧源101を利用可能な状態に充電させる。
この状態で、ユーザは、接地極端子TBEに第2端子TB2を接続し、電力ケーブル10のN相を第1端子TB1に接続する。これにより、第1端子TB1と第2端子TB2との間に、所望の電圧を出力することを可能にして、絶縁抵抗試験のための準備を完了させる(ステップSb0)。
【0043】
ユーザは、スイッチ102のノブを操作して、その接点を閉じた状態を測定完了まで保持させる。絶縁抵抗試験装置100は、スイッチ102が閉じられたことを検出して、測定を開始する(ステップSb1)。
【0044】
絶縁抵抗試験装置100は、直流電圧源101から所定の電圧VEを出力させて、N相に、正の電圧VEを印加する(ステップSb2)。これにより、N相の回路電圧V2が、直流電圧源101の電圧VEになる。P相の回路電圧が、直流電圧源101の電圧VEと太陽光ストリングの発電により出力される発電電圧Vpが加算された電圧になる。
【0045】
絶縁抵抗試験装置100は、P相とN相の対地間の絶縁抵抗Rgを一括測定する(ステップSb5)。例えば、電流検出部120は、一括測定中に抵抗104に流れる電流を測定し、その電流値Iから絶縁抵抗Rgを算出するとよい。
【0046】
制御部130は、絶縁抵抗Rgが予め定められた閾値RTH以下であるか否かを判定する(ステップSb6)。閾値RTHの大きさを例えば、0.4Mオームに定めてもよい。
【0047】
制御部130は、絶縁抵抗Rgが予め定められた閾値RTH以下である場合には、N相からP相までの間の絶縁抵抗が低下していると判定して、その結果を入出力部132に表示させる(ステップSb7)。
【0048】
制御部130は、絶縁抵抗Rgが予め定められた閾値RTHを超えていれば、N相とP相の何れも絶縁抵抗が低下していないと判定して、その結果を入出力部132に表示させる(ステップSb8)。
【0049】
ユーザは、判定の結果を確認して、保持していたスイッチ102のノブを放して、その接点を開く。絶縁抵抗試験装置100は、スイッチ102が開かれたことを検出して、測定を終了する(ステップSb9)。なお、絶縁抵抗試験装置100は、過電流、過電圧を検出した際には、回路を保護するために、スイッチ102の状態によらずに、抵抗103のインピーダンスを調整するなどの方法で出力電流を制限してもよい。
【0050】
上記の一連の手順に従い絶縁抵抗試験定を実施することにより、N相の回路電圧を試験電圧に保ち、その状況の絶縁抵抗を測定することができ、SPD5、6の両方を回路に取り付けた状態で、規定の試験電圧で絶縁抵抗を測定することが可能になる。
【0051】
図4図5を参照して、太陽電池装置2内の電圧分布について説明する。
図4図5は、実施形態の太陽電池装置2内の電圧分布について説明するための図である。
この図4に示すように、この太陽電池装置2(太陽光ストリング)の一例は、PVパネルPV1からPV20の20枚の太陽光パネルを含む。PVパネルNは、接続コードL1からL21によって直列にそれぞれ接続されている。
【0052】
図5に、図4に示す太陽電池装置2(太陽光ストリング)をPCS20に接続している状態の各部の電位をグラフGv1aに示す。なお、グラフGv1aは、N相をアースEの電位(0V)にして、その電位を基準に直線近似した結果である。グラフGv1aは、例えば、各PVパネルNのそれぞれが直流電圧:+40Vを出力する発電状態にあると仮定した場合の各部の電位を示す。このときP相の電位は、+800Vになる。
【0053】
開閉器41及び開閉器42のそれぞれをOFF状態にすることで、太陽電池装置2(太陽光ストリング)を、PCS20から解列してフローティングさせてから、N相に試験電圧VE(例えば、直流電圧:+280V)を印加している状態の各部の電位をグラフGv2aに示す。なお、グラフGv2aは、グラフGv1aと同様に、N相の電位(この場合、+280V)を基準にして、その電位を基準に直線近似した結果である。グラフGv2aは、グラフGv1aに比べて、全範囲で試験電圧(直流電圧:+280V)分電位が高くなることがわかる。グラフGv2aによれば、P相の電位は、1080Vになる。
なお、この場合のP相の電圧は、SPDの制限電圧SPDLよりも低くなっていることを要する。
この状態で、抵抗104に規定値以上の電流が流れなければ、抵抗104による電圧降下が閾値よりも小さくなるから、所望の大きさの絶縁抵抗が確保されていることになる。
【0054】
上記の実施形態によれば、太陽光発電システム1は、太陽電池装置2の出力と太陽電池装置2の後段のPCS20(電力変換装置)の入力とを繋ぐ経路の途中に設けられた分界点よりも太陽電池装置2の出力側に、太陽電池装置2の出力とアースE(接地極)間に配置されるSPD5、6(過電圧抑制素子)が設けられている。絶縁抵抗試験システム3は、太陽光発電システム1の絶縁抵抗試験に適用可能である。絶縁抵抗試験装置100は、絶縁抵抗試験用に予め定められた大きさの直流試験電圧を第1端子TB1と第2端子TB2との間に発生する。太陽電池装置2の出力に繋がる経路の正極と負極がPCS20(電力変換装置)の入力とアースE(接地極)のそれぞれから分界点で切り離され、第2端子TB2が接地極に接続され、第1端子TB1が負極に接続された状態で、絶縁抵抗試験装置100は、第2端子TB2に所定の大きさの正の直流電圧を印加可能に形成されている。これにより、過電圧抑制素子が設けられた太陽光発電システム1の絶縁抵抗試験が可能になる。
【0055】
上記の絶縁抵抗試験システム3は、その現場で絶縁抵抗の測定時に形成される。例えば、絶縁抵抗試験システム3の製造方法の一例では、絶縁抵抗試験装置100が第2端子TB2に所定の大きさの正の直流電圧を印加させる前に、太陽電池装置2の出力に繋がる経路の正極と負極をPCS20(電力変換装置)の入力とアースE(接地極)のそれぞれから分界点で切り離して、第2端子TB2をアースEに接続し、第1端子TB1を負極に接続することで、絶縁抵抗試験装置100による太陽光発電システム1の絶縁抵抗試験が可能になる。
【0056】
(第2の実施形態)
図7を参照して、第2の実施形態の動作モード変更型の絶縁抵抗試験装置100Aの概略構成図である。図7は、実施形態の動作モード変更型の絶縁抵抗試験装置100Aの概略構成図である。
【0057】
絶縁抵抗試験装置100Aは、直流電圧源101Aを充電するための、交流電圧源105、絶縁トランス106、及び整流回路107を含んで構成されている。この直流電圧源101Aはコンデンサを含み、交流電圧源105の出力電圧を絶縁トランス106によって電圧変換したのちに、整流回路107によって整流された結果の波高値に基づいた直流電圧で充電される。上記の各部の設定を調整することで、直流電圧源101Aの出力電圧を調整できるように構成してよい。この直流電圧源101Aの構成と出力電圧を調整などは既知の方法を適用してよい。
【0058】
以下の説明では、直流電圧源101Aを、予め定められた所定の電圧の直流を出力するものとしてモデル化して説明する。この実施形態では、出力する電圧の極性を切り替えるためのより具体的な一例について説明する。
【0059】
整流回路107は、スイッチ107Nと、スイッチ107Pとを備える。スイッチ107Nと、スイッチ107Pは、半導体スイッチング素子を夫々含む。整流回路107は、電力用半導体スイッチング素子を用いて構成した事例の一例である。この実施形態では、半導体スイッチング素子としてMOSFETを適用した事例を例示する。図6に示すMOSFETのシンボルには、逆並列に接続されるダイオードを併記している。このダイオードは、MOSFETのボディーダイオードであってもよく、MOSFETとは分離して設けられたダイオードであってもよい。説明を容易にするため、ダイオードに符号をつけて説明する。
【0060】
例えば、スイッチ107Nは、MOSFET107NSと、ダイオード107NDとを備える。スイッチ107Pは、MOSFET107PSと、ダイオード107PDとを備える。例えば、MOSFET107NSとMOSFET107PSは、Nチャネル型である。
【0061】
MOSFET107PSのソースとダイオード107PDのアノードは、変圧器106の2次巻線に接続されている。
MOSFET107PSのドレインとダイオード107PDのカソードには、MOSFET107NSのドレインとダイオード107NDのカソードが接続されている。
MOSFET107NSのソースとダイオード107NDのアノードは、第1端子TB1に接続されている。
【0062】
スイッチ107Nは、電流を双方向に流す第1状態と、ダイオード107NDの順方向に電流を流す第2状態を設定可能である。
スイッチ107Pは、電流を双方向に流す第3状態と、ダイオード107PDの順方向に電流を流す第4状態を設定可能である。
例えば、上記のスイッチ107Nと、スイッチ107P(第3断続部)とのうち何れか一方を導通状態にすれば、整流回路になり、何れのスイッチを導通状態にするかにより電流の向きを切り替えることができる。
より具体的には、スイッチ107Nを第1状態にして、スイッチ107Pを第4状態にすることで、ダイオード107PDの順方向に電流を流すことができる。これに代えて、スイッチ107Nを第2状態にして、スイッチ107Pを第3状態にすることで、ダイオード107NDの順方向に電流を流すことができる。これにより、整流回路107に流す電流の方向を、制御により切り替えることができ、直流電圧源101Aから出力される電圧の極性を切り替えることができる。
【0063】
上記の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏することのほか、絶縁抵抗試験装置100Aが発生する電圧の極性を切り替える構成を実現したことにより、第1の実施形態の手法による絶縁耐圧試験に加えて、一般的な手法、例えばJIS C 1302に準じた絶縁耐圧試験に適用させることが可能になる。
【0064】
より具体的には、例えば、絶縁抵抗試験装置100Aは、例えば、スイッチ108と、切替回路107とを備える。絶縁抵抗試験装置100Aは、スイッチ108によって、第1端子TB1の電圧が第2端子TB2の電圧よりも高い直流電圧を発生する第1動作モードと、第1端子TB1の電圧が第2端子TB2の電圧よりも低い直流電圧を発生する第2動作モードと、を含む複数の動作モードから所望の動作モードを選択可能に構成されている。切替回路107は、スイッチ108によって選択された動作モードに応じて、第1端子TB1の電圧と第2端子TB2の電圧とを切り替えることで、極性を反転することができる。
【0065】
(第3の実施形態)
図8を参照して、第3の実施形態として、簡易的な動作モードの設定について説明する。図8は、第3の実施形態の絶縁抵抗試験装置100Bの利用について説明するための図である。
前述の第2の実施形態では、動作モード変更型の絶縁抵抗試験装置100Aについて説明したが、本実施形態では、第1端子TB1に負の電圧を、第2端子TB2に正の電圧を出力する絶縁抵抗試験装置100Bを利用して、第1の実施形態と同様の測定を可能にする実施例について説明する。
【0066】
絶縁抵抗試験装置100Bは、第1端子TB1に負の電圧を、第2端子TB2に正の電圧を出力する。図8(a)に示すように、絶縁抵抗試験装置100Bの一例は、例えばJIS C 1302に準じた絶縁耐圧試験に適用可能なものであってよい。JIS C 1302の場合、太陽電池装置2の正極端子PVPにアースEの電位よりも負の電位(例えば、-1000V)を掛けて絶縁抵抗を測定する。
【0067】
これに代えて、図8(b)に示すように、第1端子TB1と、第2端子TB2の接続先を、第1の実施形態の絶縁抵抗試験装置100の接続先と代えて、アースEに接続する接続コードを逆の接続コードに代えて、もう一方の接続コードを、太陽電池装置2の負極端子PVNにするとよい。
【0068】
これによれば、絶縁抵抗試験装置100Bを用いる場合も第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0069】
以上の実施形態によれば、絶縁抵抗試験装置100において、第1端子BT1は、測定対象の太陽電池装置2に接続される電力ケーブル10のうち負側給電線12に接続される。第2端子BT2は、接地される。制御部130は、電圧検出部110によって検出された電圧(V1又はV2等)に基づいて測定対象の絶縁抵抗を試験することにより、SPD5、6が設けられた太陽光発電システム1の絶縁抵抗試験の実施を可能にする。
【0070】
また、絶縁抵抗試験装置100に係る太陽電池装置2の出力端子と対地間には、所定の制限電圧のSPD5とSPD6が設けられており、電力ケーブル10に規定される制限電圧は、SPD5とSPD6の放電開始電圧に基づいて規定してもよい。
【0071】
また、直流電圧源101は、太陽電池装置2が出力する発電電圧Vpに基づいて規定された直流電圧を出力することにより、太陽電池装置2の正極側の電圧をSPD5の放電開始電圧より低く保つことができ、SPD5を回路から外すことなく絶縁抵抗試験を可能にする。なお、太陽電池装置3が出力する発電電圧Vpは、実際に測定された電圧に制限されることはなく、太陽電池装置3の定格出力電圧、最大出力電圧などに基づいて予め定められた電圧であってもよい。
【0072】
なお、太陽電池装置3が出力する発電電圧Vpは、実際に測定された電圧に制限されることはなく、太陽電池装置3の定格出力電圧、最大出力電圧などに基づいて予め定められたで圧であってもよい。例えば、絶縁抵抗試験装置100の制御部130は、直流電圧源101の直流電圧を設定する。制御部130は、太陽電池装置3が出力する発電電圧Vpと、電力ケーブル10に規定される制限電圧とに基づいて前記直流電圧源の出力電圧範囲を、電力ケーブル10の対地間電位が電力ケーブル10に規定される制限電圧を超えないように規定する。制御部130は、規定された出力電圧範囲内に直流電圧源101の出力電圧を設定してよい。その際の電力ケーブル10に規定される制限電圧は、SPD5とSPD6の制限電圧、電力ケーブル10の絶縁定格電圧などに基づいて規定してよい。
【0073】
なお、太陽電池装置2の正極に接続される正極側給電線の絶縁抵抗の測定は、上記の太陽電池装置2の負極に接続される負極側給電線の絶縁抵抗の測定によって兼ねることができる。
【0074】
また、絶縁抵抗試験装置100の制御部130は、直流電圧源101が試験時に出力する直流電圧VEと太陽電池装置2の定格電圧(最大出力電圧)との和が、測定対象の太陽電池装置2に接続される電力ケーブル10に規定される制限電圧を超えないように、直流電圧源101の出力電圧を規定してよい。
【0075】
なお、絶縁抵抗試験装置100の制御部130を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより絶縁抵抗試験装置100が所定の処理動作を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0076】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、ネットワークや通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0078】
1…太陽光発電システム、2…太陽電池装置、3…絶縁抵抗試験システム、5、6…SPD、10…電力ケーブル、11…正側給電線、12…負側給電線、100…絶縁抵抗試験装置、101…直流電圧源、102、108…スイッチ、103、104…抵抗、110…電圧検出部、120…電流検出部、130…制御部、E…アース(接地極)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8