(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128533
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】収音方法及び収音装置
(51)【国際特許分類】
H04R 3/04 20060101AFI20230907BHJP
H04S 7/00 20060101ALI20230907BHJP
H04R 29/00 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
H04R3/04 102
H04S7/00 310
H04R29/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032923
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山地 哲朗
【テーマコード(参考)】
5D162
5D220
【Fターム(参考)】
5D162CA11
5D162DA04
5D162EG03
5D220AA24
5D220AB01
(57)【要約】
【課題】マイクを使用することなくスピーカユニットから出力した音を検出する収音方法を提供する。
【解決手段】収音方法は、筐体(10)に取り付けられたスピーカユニット(2L、2R)から音を出力し、筐体(10)の内部で、スピーカユニット(2L、2R)から出力した音の音圧を、筐体(10)に収納された加速度センサを(3L、3R)使用して測定し、測定結果から音圧に係る情報を出力する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に取り付けられたスピーカユニットから音を出力し、
前記筐体の内部で、前記スピーカユニットから出力した音の音圧を、前記筐体に収納された加速度センサを使用して測定し、
測定した前記音圧に係る情報を出力する、
収音方法。
【請求項2】
外部機器から音信号を受け付け、
受け付けた前記音信号に対して、前記音圧に係る情報に基づいて音響補正処理を行い、
前記音響補正処理を行った後の音信号を前記スピーカユニットに出力する、
請求項1に記載の収音方法。
【請求項3】
前記スピーカユニットから単一周波数の音を出力して、前記音圧を測定する、
請求項1又は2に記載の収音方法。
【請求項4】
前記スピーカユニットから、スイープ音を出力して前記音圧を測定する、
請求項1又は2に記載の収音方法。
【請求項5】
前記加速度センサの検出する加速度の値に基づいて、前記スピーカユニットの状態を検知する、
請求項1乃至4のいずれかに記載の収音方法。
【請求項6】
筐体と、
前記筐体に取り付けられ、音を出力するスピーカユニットと、
前記筐体に収納されている加速度センサと、
前記筐体の内部で、前記スピーカユニットから出力した音の音圧を、前記加速度センサを使用して測定し、測定部と、
測定した前記音圧に係る情報を出力する情報出力部と、を備える、
収音装置。
【請求項7】
音信号を受け付ける音信号受付部と、
受け付けた前記音信号に対して、前記音圧に係る情報に基づいて音響補正処理を行う信号処理部と、をさらに備え、
前記信号処理部は、前記音響補正処理を行った後の音信号を前記スピーカユニットに出力する、
請求項6に記載の収音装置。
【請求項8】
前記測定部は、前記スピーカユニットに単一周波数の音を出力させ、前記加速度センサを使用して前記単一周波数の音を測定する、
請求項6又は7に記載の収音装置。
【請求項9】
前記測定部は、前記スピーカユニットにスイープ音を出力させ、前記加速度センサを使用して前記スイープ音を測定する、
請求項6又は7に記載の収音装置。
【請求項10】
前記加速度センサの検出する加速度の値に基づいて、前記スピーカユニットの状態を検知する状態検知部をさらに備える、
請求項6乃至9のいずれかに記載の収音装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、音を収音する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、加速度センサを内蔵した音声会議装置が記載されている。加速度センサは、外部から装置本体に伝搬する振動を検知する。特許文献2には、物理的な接触による振動を振動信号として検出する加速度センサを有する信号処理装置が記載されている。特許文献3には、加速度センサからの結果に基づいて、ノイズ処理を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-42754号公報
【特許文献2】特開2011-209446号公報
【特許文献3】特表2018-530756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載の加速度センサは、例えば、外部から筐体に与えられた振動、衝撃などを検知する、又はノイズ処理を行うために、装置に設けられている。このように、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載の加速度センサは、音を検出するものではない。
【0005】
本発明の一実施形態は、マイクを使用することなくスピーカユニットから出力した音を検出する収音方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る収音方法は、筐体に取り付けられたスピーカユニットから音を出力し、前記筐体の内部で、前記スピーカユニットから出力した音の音圧を、前記筐体に収納された加速度センサを使用して測定し、測定結果から前記音圧に係る情報を出力する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、マイクを使用することなくスピーカユニットから出力した音を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】スピーカを上から透過して見たスピーカの平面概要図である
【
図2】スピーカの外観の一例を示す概略外観図である。
【
図3】オーディオ回路の構成の一例を示すブロック構成図である。
【
図4】制御部の特徴的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】オーディオ回路の機能的構成を示すブロック図である。
【
図6】収音方法の一例を示すフローチャートである。
【
図7】音響補正係る動作の一例を示すフローチャートである。
【
図8】変形例1の制御部の特徴的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図9】変形例1の収音方法を示すフローチャートである。
【
図10】変形例3のスピーカを上から透過して見たスピーカの平面概要図である。
【
図11】変形例3のスピーカであって、
図10のスピーカとは異なるスピーカを上から透過して見たスピーカの平面概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態1]
以下、実施形態1に係るスピーカ1について
図1、
図2、
図3、
図4、
図5、
図6、及び
図7を参照して説明する。
図1は、スピーカ1を、上から透過して見たスピーカ1の平面概要図である。
図1において、紙面の左右方向を左右方向X1とする。また、
図1において、紙面の上下方向を前後方向Y1とする。
図2は、スピーカ1の外観の一例を示す概略外観図である。
図2において、紙面の左右方向を左右方向X1とする。
図2において、紙面の上下方向を鉛直方向Z1とする。また、
図2において、左右方向X1と鉛直方向Z1とに直行する方向を前後方向とする。
図3は、オーディオ回路4の特徴的な構成の一例を示すブロック構成図である。
図4は、制御部45の特徴的な構成の一例を示すブロック図である。
【0010】
本実施形態のスピーカ1は、マイクを使用せずに、スピーカ1から、音が放音されているか否か、又は放音された音がどの様な音質を有しているかどうかを検出する。
【0011】
スピーカ1は、
図1に示すように、筐体10と、スピーカユニット2L、2Rと、加速度センサ3L、3Rと、オーディオ回路4と、を備えている。スピーカ1は、
図2に示すように、筐体10の前面から音を放音する。この例でいう、オーディオ回路4及び加速度センサ3L、3Rを含むユニット11は、本発明の収音装置の一例である。ユニット11は、筐体10に収納されている。また、この例では、スピーカユニットを2つ備えるスピーカ1で説明する。
【0012】
筐体10は、
図1に示すように、内部に、スピーカユニット2L、2Rと、加速度センサ3L、3Rと、オーディオ回路4と、を収納している。また、筐体10は、スピーカユニット2L、2Rを収納する箱型のエンクロージャ5L、5Rを内部に有している。
【0013】
スピーカユニット2Lは、エンクロージャ5Lに取り付けられている。スピーカユニット2Rは、エンクロージャ5Rに取り付けられている。スピーカユニット2L、2Rは、オーディオ回路4と電気的に筐体10内部で接続されている。スピーカユニット2L、2Rは、オーディオ回路4から出力された音信号をもとに放音する。
【0014】
エンクロージャ5L、5Rは、中空の箱型である。エンクロージャ5L、5Rは、筐体10の左右方向に並んで配置されている。
【0015】
加速度センサ3L、3Rは、3軸の加速度センサである。加速度センサ3L、3Rは、x軸(左右方向X1)、y軸(前後方向Y1)及びz軸(鉛直方向Z1)の3方向の加速度を検出する。加速度センサ3Lは、エンクロージャ5Lに収納されている。加速度センサ3Rは、エンクロージャ5Rに収納されている。加速度センサ3L、3Rは、オーディオ回路4と電気的に筐体10内部で接続されている。加速度センサ3L、3Rは、筐体10に生じる加速度を検出する。
【0016】
スピーカユニット2L、2Rは、放音面20L、20Rから音を筐体10の外側に向かって放音する場合、エンクロージャ5L、5Rの内部にも音を放音する。エンクロージャ5L、5Rの内部に出力される音は、筐体10の外側に向かって放音される音と逆位相の音である。エンクロージャ5L、5Rの内部に出力された音は、エンクロージャ5L、5Rの内部の空気の振動に対応する。加速度センサ3Lは、エンクロージャ5Lの内部の空気の振動の加速度を検出する。加速度センサ3Rは、エンクロージャ5Rの内部の空気の振動の加速度を検出する。加速度センサ3L、3Rは、検出した加速度に係る検出データをオーディオ回路4に出力する。
【0017】
オーディオ回路4は、
図3に示すように、通信部41と、フラッシュメモリ42と、RAM43と、信号処理部44と、制御部45と、出力部46と、を備えている。この例でいう、通信部41は、本発明の音信号受付部の一例である。
【0018】
通信部41は、例えば、オーディオ再生装置(図示せず)と、有線又は無線で接続している。通信部41は、オーディオ再生装置(図示せず)からオーディオコンテンツに係る音信号を受信する。
【0019】
制御部45は、記憶媒体であるフラッシュメモリ42に記憶されているプログラムをRAM43に読み出して、種々の機能を実現する。種々の機能は、例えば、音圧測定処理及びパラメータ生成処理を含む。より詳細には、制御部45は、
図4に示すように、音圧測定部451と、パラメータ生成部452と、を備えている。制御部45は、該プログラムにより音圧測定部451及びパラメータ生成部452を機能的に有している。制御部45は、音圧測定処理及びパラメータ生成処理に関するプログラムをRAM43に読み出す。これにより、制御部45は、音圧測定部451と、パラメータ生成部452と、を構成する。音圧測定部451及びパラメータ生成部452については、後述する。
【0020】
信号処理部44は、1乃至複数のDSPからなる。信号処理部44は、通信部41を介して受信した音信号を受け付ける。信号処理部44は、受け付けた音信号に対して種々の信号処理を施す。信号処理部44は、例えば、イコライザ処理等の信号処理を音信号に施す。
【0021】
出力部46は、
図3に示すように、DAコンバータ(DAC)461、増幅器(AMP)462を備えている。DAコンバータ461は、信号処理部44で信号処理された、音信号をアナログ信号に変換する。増幅器462は、DAC461で変換されたアナログ信号を増幅する。出力部46は、増幅器462で増幅されたアナログ信号を、スピーカユニット2L、2Rのそれぞれに出力する。
【0022】
スピーカユニット2L、2Rから放音された音の収音方法について、
図5、
図6を参照して説明する。
図5は、オーディオ回路4の機能的構成を示すブロック図である。
図6は、収音方法の一例を示すフローチャートである。スピーカユニット2L、2Rは、制御部45の制御に従ってテスト音を放音する。この例では、スピーカ1は、スピーカユニット2L、2Rから、テスト音の一例としてスイープ音を出力して音圧を測定する。なお、この例では、スピーカ1は、テスト音の音信号を発生する機能を有している。
【0023】
スイープ音は、例えば、可聴領域の範囲で、低い周波数から高い周波数にかけて、又は高い周波数から低い周波数にかけて、所定の周波数毎に1周期又は複数周期出力した正弦波の音である。
【0024】
スピーカ1の音圧測定部451は、筐体10に取り付けられたスピーカユニット2L、2Rからテスト音を出力する(S11)。音圧測定部451は、スピーカユニット2L、2Rから、例えば、100Hzから4kHzまで、100Hz毎に、それぞれの周波数の正弦波のテスト音を出力させる。音圧測定部451は、1周期の正弦波を出力する度にテスト音の周波数を変更し、繰り返しテスト音を出力する。
【0025】
音圧測定部451は、筐体10の内部で、スピーカユニット2Lから出力した音の音圧を、加速度センサ3Lを使用して測定する(S12)。より詳細には、音圧測定部451は、加速度センサ3Lを使用して、エンクロージャ5Lの内部の空気の振動の加速度を測定する。音圧測定部451は、加速度センサ3Lによって検出されたエンクロージャ5Lの内部の空気の振動の加速度の検出データを取得する。
【0026】
同様に、音圧測定部451は、加速度センサ3Rを使用して、加速度センサ3Rが収納されているエンクロージャ5Rの内部の空気の振動の加速度を測定する。音圧測定部451は、加速度センサ3Rによって検出されたエンクロージャ5Rの内部の空気の振動の加速度の検出データを取得する。
【0027】
音圧測定部451は、検出された検出データ(加速度)を積分して振幅に変換し、音圧を算出する。なお、音圧測定部451は、3軸の加速度の平均値に基づいて音圧を算出してもよいし、いずれか1つの軸の加速度に基づいて音圧を算出してもよい。例えば、音圧測定部451は、3軸の加速度のうち最も大きい値を用いて音圧を算出してもよい。
【0028】
音圧測定部451は、100Hzから4kHzのテスト音の全ての音圧を算出し、算出した音圧から周波数スペクトルを算出する。算出された周波数スペクトルは、100Hzから4kHzの帯域における音質を表す指標の一例である。
【0029】
パラメータ生成部452は、算出された音質の音質データ(以下、音質データ1と呼ぶ)を使用して、パラメータを生成する。該パラメータは、オーディオコンテンツに係る音信号に対する音響補正処理に使用される。この例でいう、パラメータ生成部452は、本発明の情報出力部の一例である。
【0030】
パラメータ生成部452は、予めフラッシュメモリ42に記憶されている、所望の音質データ(以下、音質データ2と呼ぶ)と、算出して得た音質データ1と、を比較する(S13)。パラメータ生成部452は、比較結果に基づいて、例えば、スピーカユニット2L、2Rから放音されている音が所望の音質になるようなパラメータを求める(算出する)(S14)。パラメータ生成部452で求めたパラメータは、音圧に係る情報の一例である。本実施形態では、信号処理部44は音信号にイコライザ処理を行う。したがって、パラメータは、イコライザの各周波数のゲインパラメータである。ゲインパラメータは、音質データ1と音質データ2の各周波数のレベル差を補正するように求められる。パラメータ生成部452は、求めたパラメータを信号処理部44に出力する(S15)。
【0031】
スピーカ1は、求めたパラメータを使用して、オーディオコンテンツに係る音信号に対して音響補正を行う。以下に、スピーカ1の音響補正に係る動作の一例を、
図7を参照して説明する。
図7は、音響補正係る動作の一例を示すフローチャートである。
【0032】
信号処理部44は、オーディオ再生装置から通信部41を介して、オーディオコンテンツに係る音信号を受け付ける(S21)。信号処理部44は、受け付けた音信号に対して音響補正処理を行う(S22)。この場合、信号処理部44は、受信した音信号に対して、音圧に係る情報に基づいて音響補正処理を行う。すなわち、信号処理部44は、パラメータ生成部452で求めたパラメータを使用して音響補正処理を行う。信号処理部44は、音響補正処理を行った後の音信号をスピーカユニット2L、2Rのそれぞれに出力する(S23)。
【0033】
このように、本実施例のスピーカ1は、加速度センサ3L、3Rを使用して、エンクロージャ5L、5Rの内部に出力されるスピーカユニット2L、2Rの音の音圧を算出する。これにより、別途、マイクを使用することなくスピーカユニット2L、2Rから出力した音の音圧を検出することができる。
【0034】
また、スピーカ1は、エンクロージャ5L、5Rの内部の空気の振動の加速度を検出することで、スピーカユニット2L、2Rの出力する音の音質(周波数スペクトル)を算出することができる。スピーカ1は、算出した音質に基づいて、オーディオコンテンツに対して音響補正を行う。これにより、スピーカ1は、スピーカユニット2L、2Rから出力する音を目標の音質に補正することができる。したがって、スピーカ1は、マイクを使用せずに目標の音質に補正した音を出力することができる。
【0035】
[変形例1]
変形例1のスピーカ1について
図8、
図9を参照して説明する。
図8は、変形例1の制御部45の特徴的な構成の一例を示すブロック図である。
図9は、変形例1の収音方法の一例を示すフローチャートである。
【0036】
変形例1のスピーカ1は、状態検知部453を備える。変形例1のスピーカ1は、状態検知部453によって筐体10の異常を検知する。なお、上述の実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0037】
制御部45Aは、
図8に示すように、状態検知部453をさらに備える。状態検知部453は、加速度センサ3L、3Rの検出する加速度の値に基づいて、スピーカユニット2L、2Rの状態を検知する。制御部45Aは、プログラムにより、状態検知部453を機能的に有している。制御部45Aは、状態検知処理に関するプログラムを読み出す。これにより、制御部45Aは、状態検知部453を構成する。
【0038】
エンクロージャ5L、5Rの内部において、スピーカユニット2L、2Rから出力される音による空気は、所定の加速度の範囲内で振動する。スピーカユニット2L、2Rから出力された音による、エンクロージャ5L、5Rの内部の空気は、例えば、x軸、y軸、及びz軸の方向のそれぞれについて、ある範囲内の加速度で振動すると想定する。
【0039】
変形例1の収音方法について
図9を参照して説明する。音圧測定部451は、スピーカユニット2L、2Rからテスト音が出力されると(S11)、3軸方向の加速度センサ3L、3Rから、x軸、y軸、及びz軸のそれぞれの方向に対応する加速度の検出データを取得する(S121)。音圧測定部451は、検出データを状態検知部453に出力する。状態検知部453は、x軸、y軸、及びz軸のそれぞれの加速度において、想定される加速度超える(閾値を超える)加速度を検出した場合(S122:Yes)、スピーカユニット2L、2R、又は、筐体10に異常があるとして、アラート、例えば、ビープ音を出力する(S123)。なお、この場合、制御部45は、パラメータを生成しない。
【0040】
また、加速度センサ3Lは、エンクロージャ5Lに壁面に取り付けられていてもよい。加速度センサ3Lは、エンクロージャ5Lの内部の空気の振動の加速度を検出するとともに、エンクロージャ5Lの壁面の振動の加速度も検出する。同様に、加速度センサ3Rは、エンクロージャ5Rに壁面に取り付けられていてもよい。加速度センサ3Rは、エンクロージャ5Rの内部の空気の振動の加速度を検出するとともに、エンクロージャ5Rの壁面の振動の加速度も検出する。
【0041】
例えば、筐体10のネジが緩んでいるなど、筐体10に異常がある場合、スピーカ1が音を出力すれば、筐体10が該異常によって振動する。この場合、エンクロージャ5L、5Rも振動する。エンクロージャ5L、5Rの内部の音による空気の振動は、筐体10自体の振動よりもはるかに小さい。すなわち、状態検知部453は、加速度センサ3L、3Rから、音による加速度と想定される値よりも大きい値の(閾値を超える)加速度を検出した場合、筐体10に異常があることを検知する。状態検知部453は、加速度センサ3L、3Rから、閾値以上の加速度を検出した場合、アラートを出力する。
【0042】
このように、変形例1のスピーカ1は、加速度センサ3L、3Rからの検出データから、スピーカユニット2L、2R、又は、筐体10の異常を検出することができる。これにより、スピーカ1は、ユーザにスピーカ1に異常があることを報知することができる。
【0043】
[変形例2]
変形例2のスピーカ1は、変形例1の例において、テスト音としてスピーカユニット2L、2Rから、単一周波数の音を出力して、音圧を測定する。この例でいう、単一周波数の音は、例えば、1kHzの音である。
【0044】
変形例2のスピーカ1は、単一周波数である正弦波を出力して、音圧を測定することで、スピーカユニット2L、2Rからテスト音が放音されているか否かを判定することができる。このように、テスト音はスイープ音に限らず、単一周波数の正弦波であってもよい。
【0045】
なお、テスト音は、単一周波数の正弦波及びスイープ音に限定されない。テスト音は、例えばホワイトノイズ又はピンクノイズでもよい。ホワイトノイズは、所定帯域の全ての周波数成分を同じレベルで含むテスト音ある。また、ピンクノイズは、所定帯域の全ての周波数成分を含み、かつ周波数が高くなるほど、レベルが低くなるテスト音である。スピーカ1は、ホワイトノイズ又はピンクノイズ等を出力して、音圧を測定することで、スピーカユニット2L、2Rから音が放音されているかどうかを判定することができる。
【0046】
[変形例3]
変形例3のスピーカ1A、1Bについて、
図10、
図11を参照して説明する。
図10は、変形例3のスピーカ1Aを上から透過して見たスピーカ1Aの平面概要図である。
図11は、変形例3のスピーカであって、スピーカ1Aとは異なるスピーカ1Bを上から透過して見たスピーカの平面概要図である。変形例3のスピーカ1A、1Bの筐体10は、エンクロージャとして機能する。スピーカユニット2L、2Rは、1つのエンクロージャ(筐体10)の内部に収納されている。言い換えると、スピーカユニット2L、2Rは、共通の空間内に配置されている。
【0047】
スピーカユニット2L、2Rは、
図10に示すように、エンクロージャとして機能する筐体10に取り付けられている。加速度センサ3Lは、スピーカユニット2Lの近傍に配置されている。加速度センサ3Lは、スピーカユニット2Lから筐体10の内部に出力された音による空気の振動を検出する。同様に、加速度センサ3Rは、スピーカユニット2Rの近傍に配置されている。加速度センサ3Rは、スピーカユニット2Rから筐体10の内部に出力された音による空気の振動を検出する。
【0048】
また、スピーカ1Bは、1つの加速度センサ3Cのみを収納していてもよい。加速度センサ3Cは、
図11に示すように、スピーカユニット2L、2Rとの間に収納されていてもよい。
【0049】
スピーカ1A、1Bは、例えば、スピーカユニット2Lとスピーカユニット2Rから交互にテスト音を出力させる。音圧測定部451は、加速度センサ3L、3R又は加速度センサ3Cからの検出データから、スピーカユニット2L、2Rの音圧を算出する。
【0050】
変形例3のスピーカ1A、1Bは、スピーカユニット2L及びスピーカユニット2Rが共通の空間内に取り付けられている場合であっても、マイクを使用することなくスピーカユニット2L、2Rから出力した音の音圧を検出することができる。
【0051】
[その他の変形例]
スピーカ1は、検出データから周波数スペクトルを算出する必要はない。上述の様に、スピーカ1は例えば1kHzの検出データのみ取得し、スピーカユニット2L、2Rから音が放音されているかどうかを判定してもよい。
【0052】
上記の例では、2つのスピーカユニット2L、2Rを収納するスピーカ1、1A、1Bで説明したが、スピーカユニットの数は2つに限定されない。スピーカユニットの数は、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。スピーカユニットが3つ以上の場合、加速度センサは、スピーカユニット毎に、スピーカユニットの近傍に収納されていてもよい。また、加速度センサは、2つのスピーカユニットの間に収納されていてもよい。さらに、加速度センサは、筐体10の中央に1つだけ収納されていてもよい。
【0053】
また、音圧測定部451は、外部のオーディオ再生装置(図示せず)から受信したオーディオコンテンツの音の音圧を測定してもよい。
【0054】
本実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲は、特許請求の範囲と均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0055】
1、1A、1B…スピーカ
3L、3R、3C…加速度センサ
10…筐体
11…収音装置
2L、2R…スピーカユニット
3L、3R…加速度センサ
41…通信部(音信号受付部)
44…信号処理部
451…音圧測定部
452…パラメータ生成部(情報出力部)
453…状態検知部