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特開2023-128543管理サーバ、薬剤マッチングシステム、薬剤マッチング方法、および薬剤マッチングプログラム
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  • 特開-管理サーバ、薬剤マッチングシステム、薬剤マッチング方法、および薬剤マッチングプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128543
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】管理サーバ、薬剤マッチングシステム、薬剤マッチング方法、および薬剤マッチングプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20230907BHJP
【FI】
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032941
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】516168964
【氏名又は名称】株式会社ニイム
(74)【代理人】
【識別番号】100131853
【弁理士】
【氏名又は名称】澤邉 由美子
(72)【発明者】
【氏名】鈴本 康弘
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】長期在庫となっている薬剤と、その薬剤を必要としている薬局との取引を容易にすることができる管理サーバ、薬剤マッチングシステム、薬剤マッチング方法、および薬剤マッチングプログラムを提供する。
【解決手段】通信部107は、一定期間在庫されている薬剤に関する情報を示す不動在庫理リストと、薬局を識別する薬局IDと、を情報端末装置200から受信し、購入を希望する薬剤に関する情報を示す購入希望リストと、薬局IDと、を情報端末装置200から受信し、薬剤マッチング部101は、受信した不動在庫リストと、購入希望リストとをマッチングし、薬局収支算出部104は、マッチング結果に基づいて、所定期間における、薬局ごとの、販売金額と、購入金額と、を算出し、手数料算出部105は、薬局ごとに、所定期間における販売金額および購入金額に基づいて手数料を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の情報端末装置とネットワークを介して接続する管理サーバにおいて、
一定期間在庫されている薬剤に関する情報を示す不動在庫理リストと、薬局を識別する薬局IDと、を前記情報端末装置から受信する不動在庫リスト受信手段と、
購入を希望する薬剤に関する情報を示す購入希望リストと、前記薬局IDと、を前記情報端末装置から受信する購入希望リスト受信手段と、
前記不動在庫リスト受信手段によって受信した前記不動在庫リストと、前記購入希望リスト受信手段によって受信した前記購入希望リストとをマッチングする薬剤マッチング手段と、
前記薬剤マッチング手段によるマッチング結果に基づいて、所定期間における、前記薬局ごとの、販売金額と、購入金額と、を算出する薬局収支算出手段と、
前記薬局ごとに、前記所定期間における前記販売金額および前記購入金額に基づいて手数料を算出する手数料算出手段と、
を備えることを特徴とする管理サーバ。
【請求項2】
前記手数料算出手段は、前記薬局ごとに、前記所定期間における、前記販売金額から前記購入金額を減算した金額に応じた手数料を算出すること、を特徴とする請求項1に記載の管理サーバ。
【請求項3】
前記薬剤マッチング手段は、前記不動在庫リストに含まれる有効期限が、前記購入希望リストに含まれる有効期限の範囲内である薬剤とマッチングすること、を特徴とする請求項1または請求項2に記載の管理サーバ。
【請求項4】
前記マッチング結果での売買が成立した場合に、薬剤譲受書・譲渡書を生成する薬剤譲受書・譲渡書生成手段と、
前記薬剤譲受書・譲渡書生成手段によって生成した前記薬剤譲受書・譲渡書を前記情報端末装置に送信する薬剤譲受書・譲渡書送信手段と、をさらに備えること、を特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の管理サーバ。
【請求項5】
複数の情報端末装置と、前記情報端末装置とネットワークを介して接続する管理サーバと、を備える薬剤マッチングシステムにおいて、
前記情報端末装置は、
一定期間在庫されている薬剤に関する情報を示す不動在庫理リストを生成する不動在庫理リスト生成手段と、
購入を希望する薬剤に関する情報を示す購入希望リストを生成する購入希望リスト生成手段と、
前記不動在庫理リストと、薬局を識別する薬局IDと、を前記管理サーバに送信する不動在庫理リスト送信手段と、
前記購入希望リストと、前記薬局IDと、を前記管理サーバに送信する購入希望リスト送信手段と、を備え、
前記管理サーバは、
前記不動在庫理リストと、前記薬局IDと、を前記情報端末装置から受信する不動在庫リスト受信手段と、
前記購入希望リストと、前記薬局IDと、を前記情報端末装置から受信する購入希望リスト受信手段と、
前記不動在庫理リスト受信手段によって受信した前記不動在庫リストと、前記購入希望リスト受信手段によって受信した前記購入希望リストとをマッチングする薬剤マッチング手段と、
前記薬剤マッチング手段によるマッチング結果に基づいて、所定期間における、前記薬局ごとの、販売金額と、購入金額と、を算出する薬局収支算出手段と、
前記薬局ごとに、前記所定期間における前記販売金額および前記購入金額に基づいて手数料を算出する手数料算出手段と、
を備えることを特徴とする薬剤マッチングシステム。
【請求項6】
複数の情報端末装置とネットワークを介して接続するコンピュータで実行される薬剤マッチング方法であって、
所定期間在庫されている薬剤に関する情報を示す不動在庫理リストと、薬局を識別する薬局IDと、を前記情報端末装置から受信する不動在庫リスト受信ステップと、
購入を希望する薬剤に関する情報を示す購入希望リストと、前記薬局IDと、を前記情報端末装置から受信する購入希望リスト受信ステップと、
前記不動在庫理リスト受信ステップによって受信した前記不動在庫リストと、前記購入希望リスト受信ステップによって受信した前記購入希望リストとをマッチングする薬剤マッチング手段と、
前記薬剤マッチングステップによるマッチング結果に基づいて、所定期間における、前記薬局ごとの、販売金額と、購入金額と、を算出する薬局収支算出ステップと、
前記薬局ごとに、前記所定期間における前記販売金額および前記購入金額に基づいて手数料を算出する手数料算出ステップと、
を含むことを特徴とする薬剤マッチング方法。
【請求項7】
請求項6に記載した薬剤マッチング方法をコンピュータに実行させることを特徴とする薬剤マッチングプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理サーバ、薬剤マッチングシステム、薬剤マッチング方法、および薬剤マッチングプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
調剤薬局は、医師や歯科医師が記載した処方箋に応じて薬剤を調剤するため、処方箋に記載される可能性のある、さまざまな種類の薬剤を在庫している。しかし、予め準備していた薬剤を使用する患者が来局しなくなった場合や医師等が処方する薬剤を変更したことによって在庫していた薬剤が処方されなかった場合、定番の薬剤であっても在庫が徐々に増えて必要以上に在庫されてしまった場合等に、薬剤には有効期限があるため、その薬剤を必要とする他の薬局や買取業社に販売することが行われていた。このとき、薬剤の買取価格が安く設定され、手間に見合わないような場合には、譲渡されず廃棄されることも多かった。
【0003】
近年は、医療費削減が求められ、持続可能な開発目標であるSDGsを推進する機運も高まり、薬剤の廃棄費用も上昇しているという状況のなか、薬剤を廃棄せず、有効に活用することが望まれている。このような問題を解決するため、インターネットを介して処方箋薬局間で余剰の医薬品を売買することができる医薬品流通システムが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-26035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる技術は、会員端末から出品要請があれば、出品医薬品をデータベースに登録し、購入要請があった場合には、登録された出品医薬品を在庫一覧として表示し、購入が確定すれば取引を終了させるという相対取引であり、会員は出品医薬品から必要な薬剤を探して取引する必要があり、作業が煩雑であるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、一定期間在庫となっている薬剤と、その薬剤を必要としている薬局との取引を容易にすることができる管理サーバ、薬剤マッチングシステム、薬剤マッチング方法、および薬剤マッチングプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明では、一定期間在庫されている薬剤に関する情報を示す不動在庫理リストと、薬局を識別する薬局IDと、を情報端末装置から受信し、購入を希望する薬剤に関する情報を示す購入希望リストと、薬局IDと、を情報端末装置から受信し、受信した不動在庫リストと、受信した購入希望リストとをマッチングし、マッチング結果に基づいて、所定期間における、薬局ごとの、販売金額と、購入金額と、を算出し、薬局ごとに、所定期間における販売金額および購入金額に基づいて手数料を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上述したように構成した本発明によれば、一定期間在庫となっている薬剤と、その薬剤を必要としている薬局との取引を容易にすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施例にかかる薬剤マッチングシステム10の構成を示すブロック図である。
図2】マッチング結果記憶部110および価格情報記憶部120のデータ構成の一例を示す説明図である。
図3】管理サーバ100と情報端末装置200が実行する薬剤マッチング処理手順を示すフローチャートである。
図4】管理サーバ100が実行する薬局収支・手数料算出処理手順を示すフローチャートである。
図5】薬剤売買の流れの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、添付図面を参照し、本願にかかる管理サーバ、薬剤マッチングシステム、薬剤マッチング方法、および薬剤マッチングプログラムを実施する実施例を説明する。なお、以下の説明は、本願の実施の形態の例示であり、本願にかかる管理サーバ、薬剤マッチングシステム、薬剤マッチング方法、および薬剤マッチングプログラムは、これらの実施例に限定されるものではない。
【0011】
図1は、本実施例にかかる薬剤マッチングシステム10の構成を示すブロック図である。薬剤マッチングシステム10は、管理サーバ100と情報端末装置200-1~n(以下、情報端末装置200と示す)を備える。管理サーバ100は、薬局から送信された薬剤に関する情報に基づき、薬剤の売買をマッチングするコンピュータである。情報端末装置200は、薬局の担当者(以下、ユーザと示す)が操作し、販売したい薬剤および購入したい薬剤に関する情報を管理サーバ100に送信するコンピュータである。情報端末装置200は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等である。
【0012】
管理サーバ100と情報端末装置200は、ネットワークNを介して互いに通信可能に接続し、管理サーバ100と情報端末装置200との間でデータを送受信する。ネットワークNは、インターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)やVPN(Virtual Private Network)、移動体通信網等の任意の通信ネットワークおよびその組合せであり、その一部または全部が有線または無線であってもよい。
【0013】
管理サーバ100は、薬剤マッチング部101と、売買確認部102と、薬剤譲受書・譲渡書生成部103と、薬局収支算出部104と、手数料算出部105と、決済部106と、通信部107と、マッチング結果記憶部110と、価格情報記憶部120とを備える。
【0014】
図2は、マッチング結果記憶部110および価格情報記憶部120のデータ構成の一例を示す説明図である。図2(a)マッチング結果記憶部110は、薬剤の売買のマッチング結果を記憶する。マッチング結果記憶部110には、薬剤の名称である薬剤名と、規格容量と、数量と、有効期限と、薬剤のメーカーである製造元と、製造ロットを識別するロットNoと、薬剤の卸売元を示す卸名と、薬剤を販売する薬局を識別する販売薬局IDと、販売薬局の確認の有無を示す販売確認と、薬剤を購入する薬局を識別する購入薬局IDと、購入薬局の確認の有無を示す購入確認と、その他の情報とを対応付けて記憶する。
【0015】
図2(b)価格情報記憶部120は、薬剤ごとの薬剤の価格を記憶する。価格情報記憶部120は、薬剤名と、規格容量と、数量と、価格と、その他の情報を対応付けて記憶する。処方箋で処方される医薬品の価格は、保険請求額である薬価である。なお、価格は、薬価と異なる価格を設定してもよい。
【0016】
薬剤マッチング部101は、情報端末装置200それぞれから送信された不動在庫リストと購入希望リストをマッチングし、販売薬局、購入薬局、薬剤名、規格容量、数量等を組合せたマッチング結果を生成し、マッチング結果記憶部110に格納する。例えば、薬局Aの不動在庫リストに記載した薬剤aを薬局B、薬局Cが購入するようなマッチング結果であってもよい。ここで、不動在庫リストとは、各薬局において一定期間在庫されている薬剤に関する情報を記載したリストである。一定期間は、薬局ごとや薬剤ごとに異なる期間を設定してもよい。購入希望リストとは、購入を希望する薬剤に関する情報である。
【0017】
売買確認部102は、各薬局に送信されたマッチング結果に対する確認を受信することによって売買成立を判断する。なお、売買確認部102は、各薬局にマッチング結果を通知することで、各薬局からの確認を待つことなく、売買成立と判断してもよい。
【0018】
薬剤譲受書・譲渡書生成部103は、薬局間の薬剤の売買が成立した場合に、薬剤を譲受または譲渡した旨を示す書面である薬剤譲受書・譲渡書を生成する。薬剤譲受書・譲渡書には、薬剤名、規格容量、数量、有効期限、製造元、ロットNo、卸名等を含む。医療用医薬品の場合は、薬剤を譲受した旨を示す書面として、医療用医薬品譲受書を生成し、薬剤を譲渡した旨を示す書面として、医療用医薬品譲渡書を生成する。
【0019】
薬局収支算出部104は、マッチング結果記憶部110に記憶された、売買成立済みのマッチング結果と、価格情報記憶部120に記憶する、薬剤ごとの価格情報から、所定期間(例えば、毎月21日から翌月20日までの1ヶ月)に発生した、薬局ごとの購入金額と販売金額を算出する。薬局収支算出部104は、薬局ごとに、購入金額と販売金額を相殺して、薬局ごとの相殺金額を算出する。
【0020】
手数料算出部105は、薬局ごとの相殺金額から手数料を算出する。手数料は、例えば、薬局ごとの販売金額から購入金額を減算した相殺金額がプラスであれば、相殺金額に所定の料率を掛けた金額としてもよい。また、薬局ごとの販売金額と購入金額のそれぞれに所定の量率を掛けた金額の合計を手数料としてもよい。
【0021】
決済部106は、相殺金額から手数料を引いた金額を対象薬局の口座に振込む。決済部106は、相殺金額がマイナスであれば、相殺金額の請求書を生成する。
【0022】
通信部107は、情報端末装置200から送信された、不動在庫リストまたは購入希望リスト、薬局IDを受信する。通信部107は、薬剤のマッチング結果を情報端末装置200に送信する。通信部107は、薬剤のマッチング結果に対する確認を情報端末装置200から受信する。通信部107は、薬局ごとの請求書等を情報端末装置200に送信する。
【0023】
次に、情報端末装置200について説明する。情報端末装置200は、通信部201と、不動在庫リスト生成部202と、購入希望リスト生成部203と、入出力部204とを備える。
【0024】
通信部201は、不動在庫リストおよび購入希望リストと薬局IDを管理サーバ100に送信する。通信部201は、マッチング結果を管理サーバ100から受信し、受信したマッチング結果に対する確認を管理サーバ100に送信する。通信部201は、薬剤譲受書・譲渡書を管理サーバ100から受信する。
【0025】
不動在庫リスト生成部202は、所定期間在庫されている薬剤に関する情報を不動在庫リストとして生成する。具体的には、不動在庫リスト生成部202は、薬剤発注システムのデータから、または、薬剤発注システムの一機能として、予め定められたタイミング(例えば、毎月20日や第1・3水曜日等)や任意のタイミングで、前回の注文から予め定めた期間が経過した薬剤に関する情報を不動在庫リストとして生成する。また、不動在庫リスト生成部202は、薬剤管理システムのデータから一定期間処方されていない薬剤や予め定められた基準量を超えて在庫されている薬剤を抽出して不動在庫リストとして生成してもよい。
【0026】
購入希望リスト生成部203は、購入希望リスト入力画面に表示された薬剤名や規格容量、数量等の指示や薬剤名や規格容量、数量等の入力を受付けることによって、購入希望リストを生成する。
【0027】
入出力部204は、入力装置と出力装置を備え、各種データの入力を受付け、各種データを出力する。入出力部204は、例えば、不動在庫リストや購入希望リストの生成等の指示を受付け、不動在庫リストや購入希望リスト、マッチング結果等を表示する。
【0028】
上述のように構成された薬価マッチングシステム10で実行する薬剤マッチング処理について説明する。図3は、管理サーバ100と情報端末装置200が実行する薬剤マッチング処理手順を示すフローチャートである。
【0029】
情報端末装置200は、不動在庫リストまたは購入希望リストを生成する(ステップS301)。より具体的には、不動在庫リスト生成部202は、ユーザによる指示または予め定められたタイミングで不動在庫リストを生成する。不動在庫リストには、薬剤ごとの、薬剤名、規格容量、数量、有効期限、製造元、ロットNo、卸名等が含まれる。なお、不動在庫リストに挙げられた薬剤のうち、薬局で販売が見込まれる薬剤をユーザの指示によって不動在庫リストから除いてもよい。
【0030】
購入希望リスト生成部203は、ユーザによる購入希望リストの入力を受付けることによって購入希望リストを生成する。購入希望リストには、薬剤ごとの、薬剤名、規格容量、数量等が含まれる。通信部201は、不動在庫リストまたは購入希望リストと薬局IDを管理サーバ100に送信する(ステップS302)。なお、不動在庫リストまたは購入希望リストを生成する前や不動在庫リストまたは購入希望リストを管理サーバ100に送信する際に、管理サーバ100に予め登録しておいた、薬局IDとパスワード等によって薬局の認証を行なってもよい。
【0031】
管理サーバ100の通信部107は、不動在庫リストまたは購入希望リストと薬局IDを情報端末装置200から受信し、不動在庫リストまたは購入希望リストと、薬局IDとを対応付けて、図示しない不動在庫リスト記憶部または購入希望リスト記憶部に格納する。それぞれの薬局は、不動在庫リストと購入希望リストのどちらも管理サーバ100に送信することができ、所定期間に1回または複数回送信することができる。
【0032】
薬剤マッチング部101は、不動在庫リストと購入希望リストをマッチングする(ステップS303)。より具体的には、薬剤マッチング部101は、不動在庫リストに記載された薬剤と規格容量と数量と、購入希望リストに記載された薬剤と規格容量と数量とを売買可能になるように組合せ、組合せることができない不動在庫の薬剤と数量または購入希望の薬剤と数量が最小になるようにマッチングする。薬剤マッチング部101は、入力された不動在庫リストと購入希望リストからマッチング結果を出力するように機械学習された学習モデルを用いてマッチングしてもよい。なお、薬剤マッチング部101は、不動在庫リストまたは購入希望リストを受信するたびに、マッチング処理を実行してもよく、所定期間の経過ごとや所定数の不動在庫リストまたは購入希望リストを受信するごとにマッチング処理を実行してもよい。薬剤マッチング部101は、マッチング結果をマッチング結果記憶部110に格納する(ステップS304)。通信部107は、不動在庫リストまたは購入希望リストを送信した情報端末装置200にマッチング結果を送信する(ステップS305)。
【0033】
情報端末装置200において、通信部201は、マッチング結果を受信し、入出力部204は、マッチング結果を画面に表示する(ステップS306)。入出力部204は、マッチング結果に対する確認の入力を受付ける(ステップS307)。通信部201は、マッチング結果に対する確認を管理サーバ100に送信する(ステップS308)。マッチング結果に対する確認は、マッチング結果を受け入れるか否かである。なお、マッチング結果に対する確認は、マッチング結果を受け入れるか否かに代えて、マッチング結果を表示したか否かでもよい。
【0034】
管理サーバ100の通信部107は、マッチング結果に対する確認を情報端末装置200から受信し、売買確認部102は、マッチング結果に対する確認によって売買成立か否かを判断する(ステップS309)。売買確認部102は、売買成立である場合、マッチング結果に対する確認をマッチング結果記憶部110に格納する(ステップS310)。なお、マッチング結果を一方が受け入れない場合、マッチング結果記憶部110からマッチング結果を削除して、再度マッチング処理の対象としてもよい。薬剤譲受書・譲渡書生成部103は、売買成立した場合、マッチング結果に対応する薬剤譲受書・譲渡書を生成する(ステップS311)。通信部107は、薬剤譲受書・譲渡書をそれぞれ販売薬局および購入薬局の情報端末装置200に送信する(ステップS312)。
【0035】
このように、薬局に導入されている薬剤発注システムや薬剤管理システム等で管理するデータから不動在庫リストを生成し、管理サーバ100に送信することによって、ユーザは薬局で在庫となっている薬剤を他の薬局に容易に販売することができる。また、不動在庫リストと購入希望リストをマッチングすることによって、薬剤ごとの売買が可能となるため、2つの薬局が相対で売買する場合よりも、より多くの薬剤の売買を成立させることができる。
【0036】
次に、薬剤マッチングシステム10で実行する薬局収支・手数料算出処理について説明する。図4は、管理サーバ100が実行する薬局収支・手数料算出処理手順を示すフローチャートである。
【0037】
管理サーバ100の薬局収支算出部104は、所定期間が経過したか否かを判断する(ステップS401)。所定期間が経過していないと判断した場合(ステップS401:No)、ステップS401に戻る。所定期間が経過したと判断した場合(ステップS401:Yes)、薬局収支算出部104は、薬局ごとのマッチング結果をマッチング結果記憶部110から取得する(ステップS402)。薬局収支算出部104は、薬剤それぞれの価格情報を価格情報記憶部120から取得する(ステップS403)。薬局収支算出部104は、薬局ごとのマッチング結果と、購入薬剤の価格および販売薬剤の価格から、薬局ごとの薬剤の販売金額と薬剤の購入金額を算出する(ステップS404)。薬局収支算出部104は、薬局ごとに、販売金額と購入金額から相殺金額を算出する(ステップS405)。
【0038】
手数料算出部105は、販売金額が購入金額より大きいか否かを判断する(ステップS406)。販売金額が購入金額より多いと判断した場合(ステップS406:Yes)、手数料算出部105は、相殺金額に基づく手数料を算出する(ステップS407)。例えば、手数料は、相殺金額に所定の料率を掛けた金額とする。決済部106は、相殺金額から手数料を引いた振込金額を対象薬局の口座に振り込む(ステップS408)。
【0039】
販売金額が購入金額より多くないと判断した場合(ステップS406:No)、すなわち、販売金額と購入金額が同額か、販売金額が購入金額より少ない場合、手数料は発生しないため、決済部106は、相殺金額の請求書を生成する(ステップS409)。通信部107は、相殺金額の請求書を情報端末装置200に送信する(ステップS410)。通信部107は、決済システムからの相殺金額の振込に関する情報を受信する(ステップS411)。
【0040】
このように、薬局ごとに、所定期間での販売金額と購入金額から相殺金額を算出し、販売金額が購入金額より大きい場合に手数料が発生し、それ以外は、手数料が発生しないため、薬剤を購入するモチベーションが生じ、薬局間での不動在庫となっている薬剤の売買が活性化することになる。また、薬局間での金銭のやりとりが発生せず、多くの薬局との取引が発生しても、販売金額と購入金額をまとめた金額の振込または請求となるので、薬局での手間を大幅に削減することができる。
【0041】
図5は、薬剤売買の流れの一例を示す説明図である。薬局Aと薬局B、Cとの間での処理の流れについて、図3図4のフローチャートを参照して説明する。ここでは、所定期間(例えば1ヶ月)での薬剤マッチング処理と薬局収支・手数料算出処理を示す。所定期間に薬局Aの情報端末装置200の不動在庫リスト生成部202は、不動在庫リストを生成し、購入希望リスト生成部203は、購入希望リストを生成する(ステップS301)。通信部201は、不動在庫リストおよび購入希望リストを管理サーバ100に送信する(ステップS302)。同様に、薬局B、Cの情報端末装置200の不動在庫リスト生成部202は、不動在庫リストを生成し、購入希望リスト生成部203は、購入希望リストを生成し(ステップS301)、通信部201は、不動在庫リストおよび購入希望リストを管理サーバ100に送信する(ステップS302)。
【0042】
管理サーバ100の薬剤マッチング部101は、薬局A、B、Cから送信された不動在庫リスト、購入希望リストに基づいて、各薬局が販売する薬剤と各薬局が購入する薬剤をマッチングする(ステップS303)。マッチングを行うタイミングは、不動在庫リストまたは購入希望リストを受信する都度であっても、1日や3日、1週間、1ヶ月ごとのように、ある程度の期間ごとに行ってもよい。
【0043】
管理サーバ100でマッチングが行われ、販売薬剤と購入薬剤がマッチングした場合、薬剤マッチング部101は、マッチング結果をマッチング結果記憶部110に格納する(ステップS304)。通信部107は、マッチング結果を不動在庫リストまたは購入希望リストを送信してきた情報端末装置200に送信する(ステップS305)。なお、不動在庫リストまたは購入希望リストの一部がマッチングし、他の部分がマッチングしない場合は、マッチングした一部でのマッチング結果を送信し、マッチングしなかった部分については、次回のマッチング対象としてもよい。
【0044】
情報端末装置200の入出力部204は、マッチング結果を表示し(ステップS306)、マッチング結果に対する確認の入力を受付け(ステップS307)、通信部201は、マッチング結果に対する確認を管理サーバ100に送信する(ステップS308)。管理サーバ100の通信部107は、マッチング結果に対する確認を、薬剤を購入する薬局と薬剤を販売する薬局のそれぞれの情報端末装置200から受信した場合、売買確認部102は、売買成立と判断し(ステップS309)、マッチング結果に対する確認をマッチング結果記憶部110に格納する(ステップS310)。
【0045】
薬剤の売買が成立すると、薬剤の物理的な譲渡が発生する。例えば、薬局Aが薬局Bに薬剤aを販売した場合、薬局Aから薬局Bに薬剤aが譲渡される。薬剤を譲渡する方法は、手渡しや郵送である。なお、実際に薬剤aが薬局Aから薬局Bに到着した場合に、薬局Bの情報端末装置200から薬剤aを受取りが完了した旨を管理サーバ200に送信するようにしてもよい。
【0046】
管理サーバ100において、薬剤の売買取引が成立した場合、書面薬剤譲受書・譲渡書生成部103は、薬剤譲渡書と薬剤譲受書を生成し(ステップS311)、通信部107は、薬剤を販売した薬局Aに薬剤譲渡書を送信し(ステップS312)、薬剤を購入した薬局Bに薬剤譲受書を送信する(ステップS312)。
【0047】
図5において、所定期間(例えば1ヶ月)経過後(ステップS401:Yes)、管理サーバ100の薬局収支算出部104は、所定期間に成立した取引のマッチング結果を取得し(ステップS402)、価格情報を価格情報記憶部120から取得する(ステップS403)。薬局収支算出部104は、薬局A、B、Cそれぞれについて、販売金額と購入金額を算出する(ステップS404)。薬局収支算出部104は、販売金額と購入金額から相殺金額を算出する(ステップS405)。
【0048】
例えば、薬局Aの販売金額が購入金額より多い場合(ステップS406:Yes)、手数料算出部105は、相殺金額から手数料を算出し(ステップS407)、決済部106は、相殺金額から手数料を減算した振込金額を薬局Aの口座に振込む(ステップS408)。これにより、管理サーバ100が管理する口座には、手数料分が残る。
【0049】
また、薬局Bの販売金額が購入金額より少ない場合は(ステップS406:No)、決済部106は、算出した相殺金額の請求書を生成し(ステップS409)、通信部107は、薬局Bの情報端末装置200に送信する(ステップS410)。薬局Bが相殺金額を所定の口座に振込んだ場合、通信部107は、相殺金額の振込を受信する(ステップS411)。薬局Cの販売金額と購入金額が同額の場合は、相殺されて支払いは発生しない。
【0050】
このような流れの処理を実行することによって、薬局で在庫されている薬剤を必要とする薬局にスムーズに譲渡することができ、薬剤の廃棄を削減することができる。また、販売した薬剤の金額が購入した薬剤の金額が多い場合にのみ、手数料を負担してもらうことで、薬剤を購入に対するモチベーションが上がり、薬局間での薬剤の売買の活性化を図ることができる。また、薬剤マッチングシステム10の処理による手数料が得られ、収益を上げることができるため、広告等での収益を得る必要がなく、システムが持続可能となる。
【0051】
また、処方箋医薬品を薬価によって取引することによって、値引き交渉が必要なくなるとともに、不動在庫リストや購入希望リストを送信するタイミングによって価格が変動することがなくなり、安定した取引を実現することができる。
【0052】
他の実施例として、不動在庫リストに挙げられた薬剤のうち、有効期限が取引日付に近い薬剤を優先してマッチングするようにしてもよい。また、購入希望リストには、有効期限の範囲を設定し、設定された有効期限の範囲の薬剤とマッチングするようにしてもよい。手数料を算出する際の料率は、購入希望リストに設定する所定の条件に応じて変更してもよい。例えば、有効期限が短くてもマッチング可とする場合は、手数料の料率を通常より低くするようにしてもよい。
【0053】
なお、購入希望リスト生成部203は、管理サーバ100に蓄積された不動在庫リストを集約した不動在庫一覧を管理サーバ100から受信し、情報端末装置200の画面上に表示された不動在庫一覧から薬剤と規格容量、数量等の選択を受付けることによって購入希望リストを生成してもよい、
【0054】
上述した本実施例は、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する。より具体的には、薬剤の廃棄ロス削減、ペーパレス・電子化の推進により、SDGsの目標12、13及び15に貢献することができる。
【0055】
上述した実施例にかかる管理サーバ100、情報端末装置200のハードウェア構成は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)等の1又は複数のプロセッサを含み、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)等の外部記憶装置、通信制御装置等を備えた通常のコンピュータであり、ROMやRAM、HDD等に記憶されたプログラムをCPU等が読み出し動作させることによって、上述した構成や機能を実現する。なお、上述した構成や機能は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)等の電子回路で実現してもよい。
【0056】
管理サーバ100、情報端末装置200で動作するプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納しておき、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供してもよく、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、DVD、USBメモリ、SDカード等のコンピュータで読取り可能な記録媒体に記録し提供してもよい。また、上述した機能や処理を実現するプログラムは、API(Application Programming Interface)やSaaS(Software as a Service)、クラウドコンピューティングという利用形態で提供してもよい。
【0057】
なお、本発明は、上述した実施例そのままに限定されるものではなく、必ずしも物理的に図示したように構成されている必要はない。また、本発明は、実施例で説明した構成要素の全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じ、任意の単位で機能的または物理的に分割、統合、入替、変形または削除して構成することができる。
【符号の説明】
【0058】
10…薬剤マッチングシステム、100…管理サーバ、101…薬剤マッチング部、102…売買確認部、103…薬剤譲受書・譲渡書生成部、104…薬局収支算出部、105…手数料算出部、106…決済部、107…通信部、110…マッチング結果記憶部、120…価格情報記憶部、200…情報端末装置、201…通信部、202…不動在庫リスト生成部、203…購入希望リスト生成部、204…入出力部、N…ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5