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  • 特開-ウォーターベッド 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128544
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】ウォーターベッド
(51)【国際特許分類】
   A47C 17/02 20060101AFI20230907BHJP
   E03B 11/02 20060101ALI20230907BHJP
   A47C 27/00 20060101ALI20230907BHJP
   A47C 27/08 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
A47C17/02 A
E03B11/02 Z
A47C27/00 A
A47C27/08 D
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032942
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】517357826
【氏名又は名称】株式会社シェルタージャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196106
【弁理士】
【氏名又は名称】杉田 一直
(72)【発明者】
【氏名】矢野 昭彦
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AC14
(57)【要約】
【課題】生活用水、災害時の備蓄用として使用できる水を貯留できて、しかも簡単に台所、トイレ、シャワーなどに配水できるウォーターベッドを提供する。
【解決手段】ウォーターベッド1は、給水設備10、ベッド本体20、および配水設備30で構成されている。給水設備10は送水された水道水が貯留されている。給水設備10に貯留された水は水温調節機構11によって適温に調節される。所定温度に調節された水が、ベッド本体20、配水設備30を経由して、台所121、トイレ122、シャワー123などに配水される。これによりベッド本体20を送水される水のみで適温に保つことができるとともに、内部に貯留された水を災害時に使用する備蓄用の水として利用できる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を供給する給水設備と、
前記給水設備から供給された水を貯留するベッド本体と、
前記ベッド本体に貯留された水を配水する配水設備と、
を、備えることを特徴とするウォ-ターベッド。
【請求項2】
前記給水設備は、水温を所定温度に調節できる水温調節機構を有することを特徴とする請求項1に記載のウォーターベッド。
【請求項3】
前記水温調節機構は、水温を上昇させるための太陽熱温水器と、前記太陽熱温水器から水の供給を受けて水温を調節するとともに、水温が調節された水をベッド本体に給水する給湯器と、を有することを特徴とする請求項2に記載のウォーターベッド。
【請求項4】
前記ベッド本体は、前記給水設備から直接に水の供給を受ける上層と、前記上層の下方に位置し、前記配水設備と接続する下層と、前記上層と前記下層に貯留された水が通過できる通過部とを有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のウォーターベッド。
【請求項5】
前記上層と前記給水設備を接続する給水口、および前記下層と前記配水設備を接続する配水口が前記ベッド本体の一方の端部である第1端部に設けられ、前記通過部は、前記第1端部に対向する他方の端部である第2端部に設けられることを特徴とする請求項4に記載のウォーターベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に貯留した水を給水できるウォーターベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ウォーターベッドは、パスカルの原理によって、体圧が全体に均等に伝わるため、水の上に漂うかのような、抜群の寝心地を得ることができる。また、ウォーターベッドの内部に貯留された水の温度を調節しておくことで冬の時期にベッドに入ったときに寒い思いや、あるいは夏にベッドに入ったとき暑い思いをすることを避けられる。さらに、布団やマットレスに使用される繊維類の詰め物がないため、ダニの発生を抑えることができて、衛生的な環境を形成することができる。
【0003】
このように優れた特性を具備する一方で、維持管理のために相応の労力、費用を要することも事実である。例えば、ウォーターベッドの内部に貯留された水の腐敗を防止するために、防腐剤を入れる必要があり、仮に入れ忘れて内部の水が腐敗した場合は、水の排出、再注入が必要となる。また、水の温度を調節するために、ヒーターを使用すると電気料金が発生することとなる。さらに、ヒーターが故障した場合は、ウォーターベッドからヒーターを取り出して、取り換える必要があり、多大な労力を要することとなる。さらに、内部に貯留された水を取り替えようとしたとき、防腐剤が入れられていることもあり、再利用しようとしても飲用などに利用することができず、廃棄せざるを得ない。
【0004】
大規模な地震が発生すると、水道管などの施設が被害を受けて断水し、復旧までに時間を要することがある。1日でも水を摂取しないと生命の危険性が高まり、特に高齢者の方々はエコノミー症候群を発症してしまう可能性が高くなる。このように災害時における水の確保は極めて重要であり、特許文献1~3に示すような様々な貯水設備に係る発明が提案されている。
【0005】
このような現状に鑑みると、ウォーターベッドに貯留されている水を生活用水として使用することも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3235774号
【特許文献2】特開2013-241772号公報
【特許文献3】特開2012-172348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ウォーターベッドに貯留されている水は、腐敗を防止するために防腐剤が投入されていることが一般的であり、生活用水としての使用は適当ではない。仮に、生活用水として使用できる程度の水質が確保できたとしても、ウォーターベッドから取り出して使用することは困難を極めることとなる。
【0008】
本発明は、これらの問題点に着目してなされたものであり、生活用水として使用できる水を貯留できて、しかも簡単に配水できるウォーターベッドを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための発明は、ウォーターベッドであって、水を供給する給水設備と、給水設備から供給された水を貯留するベッド本体と、ベッド本体に貯留された水を配水する配水設備とを備えることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、ウォーターベッドは、水を供給する給水設備と、給水設備から供給された水を貯留するベッド本体と、ベッド本体に貯留された水を配水する配水設備とを備えるので、給水設備から給水されることで、ベッド本体に貯留される水は押し出され、配水設備から排出される。これにより、ベッド本体に貯留される水が長期にわたって滞留することはない。
【0011】
好ましくは、給水設備は、水温を所定温度に調節できる水温調節機構を有することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、給水設備は、水温を所定温度に調節できる水温調節機構を有するので、適温の水をベッド本体に供給することで、ヒーターなどの加温機をベッド本体に装着することなく、ベッド本体を適温にできる。
【0013】
好ましくは、水温調節機構は、水温を上昇させるための太陽熱温水器と、太陽熱温水器から水の供給を受けて水温を調節するとともに、水温が調節された水をベッド本体に給水する給湯器と、を有することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、水温調節機構は、水温を上昇させるための太陽熱温水器と、太陽熱温水器から水の供給を受けて水温を調節するとともに、水温が調節された水をベッド本体に給水する給湯器とを有するので、加温するときの省エネルギー化を図ることができる。
【0015】
好ましくは、ベッド本体は、給水設備から直接に水の供給を受ける上層と、上層の下方に位置し、配水設備と接続する下層と、上層と下層に貯留された水が通過できる通過部とを有することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、ベッド本体は、給水設備から直接に水の供給を受ける上層と、上層の下方に位置し、配水設備と接続する下層と、上層と下層に貯留された水が通過できる通過部とを有するので、上層に適温の水を供給することで、ベッド本体を早期に適温にすることができる。
【0017】
好ましくは、上層と給水設備を接続する給水口、および下層と配水設備を接続する配水口がベッド本体の一方の端部である第1端部に設けられ、通過部は、第1端部に対向する他方の端部である第2端部に設けられることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、上層と給水設備を接続する給水口、および下層と配水設備を接続する配水口がベッド本体の一方の端部である第1端部に設けられ、通過部は、第1端部に対向する他方の端部である第2端部に設けられるので、ベッド本体に貯留された水は滞留することなく、配水設備に送水される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態におけるウォーターベッドのブロック図である。
図2】給水設備のブロック図である。
図3】ベッド本体の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1~3を参照して本発明のウォーターベッド1の実施形態を詳述する。
【0021】
図1に示す通り、ウォーターベッド1は、給水設備10、ベッド本体20、および配水設備30で構成されている。給水設備10で所定温度に調節された水が、ベッド本体20、配水設備30を経由して、台所121、トイレ122、シャワー123などに配水される。これにより、ベッド本体20に貯留される水の滞留を防止できる。
【0022】
図1、2に示す通り、給水設備10は、太陽熱温水器12、および給湯器15で構成される水温調節機構11を有している。水温調節機構11は、太陽熱温水器12、および給湯器15の双方に水道水が供給される、いわゆるハイブリット型のシステムである。
【0023】
太陽熱温水器12はタンク13が一体となっている自然循環型であり、屋根の上など高い位置に設置されている。一方で、給湯器15は地上に設置されている。タンク13には水道管100aから水が送水されて貯留される。タンク13に貯留される水は、太陽光が照射されることで水温が上昇する。太陽熱温水器12によって加温された水W1は、給湯器15に送水される。太陽熱温水器12の設置高さは、3m~8mであることが好ましい。設置高さが高く、給湯器15に給水される水の水圧が所定圧力の範囲を超えるときは減圧弁を設けることが好ましい。また、水が所定圧力の範囲を下回るときは、安定的な給水を目的として、加圧ポンプで加圧してもよいが、少なくとも停電時に給湯器15に給水できる水圧を確保しておくことが好ましい。これにより、停電時においても、太陽熱温水器12のタンク13に貯留されている水を飲用その他に利用することができる。
【0024】
太陽熱温水器12は、南向きで日光の良く当たる場所に、建物や樹木などの陰になるところを避けて設置する。また、取付角度は水平面から25°~35°を目安に傾斜させることが好ましい。屋根の傾斜角度が25°~35°をはずれるときは、架台を設けて設置角度を調節することが好ましい。これにより、水道管100aから供給された水の温度を効率的に上昇させることができる。
【0025】
給湯器15は、太陽熱温水器12から供給される水W1の温度を調節して、適温の水をベッド本体20や湯船120に供給するための装置であり、太陽熱温水器12と水道管100bの双方から給水されている。太陽熱温水器12から供給される水W1の温度が高いときは、水道管100bから供給される水と混合することで設定温度とする。また、太陽熱温水器12から供給される水W1の温度が低いときは、加熱して所定温度とする。温度の設定はコントローラ110により遠隔操作でなされる。
【0026】
ベッド本体20に貯留する水の温度は、外気温などの条件によって適宜変更することが好ましい。例えば、ベッド本体20の温度は、一般的に、冬は28℃、夏は24℃程度が推奨されている。これらはあくまでも目安であり、使用者の好みにより1℃~1.2℃程度を前後させて使用すればよい。
【0027】
湯船120に供給する水の適温は40°C程度であり、一般的にベッド本体20に貯留する水の適温よりも高くなる。これを解消するために、給湯器15は、三方弁16が設けられている。給湯器15から送水される水W2は、三方弁16を経由して、湯船120に、あるいはベッド本体20に供給することで、湯船120、およびベッド本体20のそれぞれに、適温の水を供給できる。また、給湯器15は、湯船120の水温を上昇させるための追い焚き機能を有することが好ましい。
【0028】
図3に示す通り、ベッド本体20はベッド枠40によって保持される構造である。ベッド本体20の設置高さは、太陽熱温水器12から供給される水が自然落下によって直接に供給される高さを確保できるように設定する。これにより、太陽熱温水器12に貯留される水は、停電時においても、電力で駆動するポンプ等に頼ることなく給湯器15を経由してベッド本体20に供給できる。
【0029】
ベッド枠40は、上方に開放する凹部40aが設けられている、この凹部40aにベッド本体20が収容されている。これにより、ベッド本体20の設置位置は保持される。
【0030】
ベッド本体20は、上層21と下層22を有している。上層21は直接に横臥できる層であり、下層22は、ベッド枠40に直接に載置される層である。上層21と下層22に貯留されている水は、通過部23を介して相互に通過できる構造となっている。
【0031】
ベッド本体20に貯留される水は、上層21に装着される給水口24を経由して供給される。一方、下層22に装着される配水口25を経由して配水設備30に供給される。給水口24と配水口25は、ベッド枠40を貫通して、ベッド本体20の第1端部20aに装着されている。
【0032】
通過部23は、ベッド本体20の第2端部20bに設けられている。これにより、給水口24から供給される水W3は、上層21の第1端部20aに流入し、第2端部20bに設けられる通過部23を経由して下層22に流入し、さらに下層22の第1端部20aに装着されている配水口25から配水設備30に配水されることとなる。したがって、給湯器15で所定温度に調整された水を、上層21のみに供給することで、適温となる就寝環境を確保できる。また、全ての領域の水が移動することから、ベッド本体20に貯留される水は、特定の領域で淀むことはない。これにより、ベッド本体20に貯留される水の腐敗は回避できる。なお、第1端部20a、第2端部20bはベッド本体20の長手方向のそれぞれの端部である。
【0033】
配水設備30は、ベッド本体20に貯留されている水を、台所121、トイレ122、シャワー123などに配水するための配管設備である。配水設備30への水W4の供給は、下層22の第1端部20aに装着された配水口25からなされるので、配水設備30に供給される水W4の温度は、下層22に貯水されている水の温度となる。これにより、例えば、台所121に配水したとき、水道水を直接に使用する場合に比べて、適温の水で調理できる状況とすることができる。
【0034】
本実施形態は例示であり、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で改変できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明に係るウォーターベッドは、災害時に使用する備蓄用の水を確保できる設備としても使用できる。さらに、内部の温度を風呂の温度と同等程度とすることで、災害時において、風呂に容易に入ることができない人々が、横臥することでリラックスできる仮想の風呂としての利用も考えられることから、産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0036】
1:ウォーターベッド
10:給水設備
11:水温調節機構
12:太陽熱温水器
15:給湯器
20:ベッド本体
20a:第1端部
20b:第2端部
21:上層
22:下層
23:通過部
24:給水口
25:配水口
30:配水設備
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-06-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクが一体となっている太陽熱温水器に貯留される水の水圧で給水できる給水設備と、
前記給水設備から供給された水を貯留するベッド本体と、
前記ベッド本体に貯留された水を配水する配水設備と、を備え、
前記ベッド本体に貯留された水は、前記太陽熱温水器に貯留される水が供給されることで前記配水設備を経由して、台所、および/またはトイレ、および/またはシャワーに配水されることを特徴とするウォーターベッド。
【請求項2】
前記給水設備は、水温を所定温度に調節できる水温調節機構を有することを特徴とする請求項1に記載のウォーターベッド。
【請求項3】
前記水温調節機構は、水温を上昇させるための前記太陽熱温水器と、前記太陽熱温水器から水の供給を受けて水温を調節するとともに、水温が調節された水を前記ベッド本体に給水する給湯器と、を有することを特徴とする請求項2に記載のウォーターベッド。
【請求項4】
前記ベッド本体は、前記給水設備から直接に水の供給を受ける上層と、前記上層の下方
に位置し、前記配水設備と接続する下層と、前記上層と前記下層に貯留された水が通過で
きる通過部とを有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のウォーターベッド。
【請求項5】
前記上層と前記給水設備を接続する給水口、および前記下層と前記配水設備を接続する
配水口が前記ベッド本体の一方の端部である第1端部に設けられ、前記通過部は、前記第
1端部に対向する他方の端部である第2端部に設けられることを特徴とする請求項4に記
載のウォーターベッド。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクが一体となっている太陽熱温水器に貯留される水の水圧で給水できる給水設備と、
前記給水設備から供給された水を貯留するベッド本体と、
前記ベッド本体に貯留された水を配水する配水設備と、を備え、
前記給水設備と前記配水設備は、前記ベッド本体を介して接続し、
前記ベッド本体に貯留された水は、前記配水設備を経由して、台所、および/またはトイレ、および/またはシャワーに配水されると同時に、前記太陽熱温水器に貯留された水は前記ベッド本体に供給されることを特徴とするウォーターベッド。
【請求項2】
前記給水設備は、水温を所定温度に調節できる水温調節機構を有することを特徴とする請求項1に記載のウォーターベッド。
【請求項3】
前記水温調節機構は、水温を上昇させるための前記太陽熱温水器と、前記太陽熱温水器から水の供給を受けて水温を調節するとともに、水温が調節された水を前記ベッド本体に給水する給湯器と、を有することを特徴とする請求項2に記載のウォーターベッド。
【請求項4】
前記ベッド本体は、前記給水設備から直接に水の供給を受ける上層と、前記上層の下方に位置し、前記配水設備と接続する下層と、前記上層と前記下層に貯留された水が通過できる通過部とを有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のウォーターベッド。
【請求項5】
前記上層と前記給水設備を接続する給水口、および前記下層と前記配水設備を接続する配水口が前記ベッド本体の一方の端部である第1端部に設けられ、前記通過部は、前記第1端部に対向する他方の端部である第2端部に設けられることを特徴とする請求項4に記載のウォーターベッド。