(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128559
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】ドウまたは麺線を糖源として油脂を産生する油脂産生酵母。
(51)【国際特許分類】
C12N 1/16 20060101AFI20230907BHJP
A23D 9/00 20060101ALI20230907BHJP
A23D 9/02 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
C12N1/16 G
A23D9/00 506
A23D9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032971
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000226976
【氏名又は名称】日清食品ホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小倉 治朗
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼城 博也
(72)【発明者】
【氏名】三根 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】長沼 孝文
【テーマコード(参考)】
4B026
4B065
【Fターム(参考)】
4B026DG20
4B026DP10
4B065AA72X
4B065BB14
(57)【要約】
【課題】パーム油と食品ロスの問題を個別バラバラに対応するのではなく、関連付けて解決する方法を模索ことで、食品業界、特に麺業界におけるSDGsへの取り組みをより一層促進させることを目的とする。
【解決手段】ドウまたは麺線を糖源として油脂を産生する、Lipomyces sp.(NITE BP-03512)を提供する。また、当該油脂産生酵母から産生された油脂を用いて調理された飲食品を提供する。これにより、残渣を有効活用することができる。また、当該酵母が産生する油脂の組成はパーム油の組成に近いため、パーム油の代替油として使うことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドウまたは麺線を糖源として油脂を産生する、Lipomyces属に属する油脂産生酵母。
【請求項2】
前記油脂産生酵母は、Lipomyces sp.(NITE BP-03512)である、請求項1に記載の油脂産生酵母。
【請求項3】
請求項2記載の油脂産生酵母から産生された油脂を用いて調理された飲食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油脂産生酵母に関するものである。特に、ドウまたは麺線を糖源として油脂を産生する油脂産生酵母に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2015年9月の国連サミットにおいて、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標としてSDGsが設定された。SDGsは17のゴール・169のターゲットから構成されている。SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組む普遍的なものであり、現在多くの企業が取り組んでいる。食品業界におけるSDGsへの取り組みの一例として、パーム油や食品ロスに対する取り組みが挙げられる。
【0003】
パーム油は、アブラヤシの果実から得られる常温で固体の植物油であり、世界で最も生産されている植物油である。パーム油の用途としては、食用油以外に、マーガリン、ショートニング又は石鹸の原料が知られている。また、パーム油は、即席フライ麺又はポテトチップスのようなスナック菓子の揚げ油としても利用されている。
【0004】
アブラヤシは、1年を通して実をつけるので単位面積当たりの収穫量が他の植物油原料よりはるかに高く、大豆油又はなたね油と比べて8~10倍もの生産が可能である。そのため、パーム油の価格は、他の植物油脂より安く、安定供給が可能なため、多くの国々がパーム油を輸入している。しかし、アブラヤシが育つのは赤道直下の高温多湿の熱帯地方のみであり、生育条件が熱帯雨林の分布と重なっている。そのため、アブラヤシプランテーションを開発するためには、熱帯雨林を伐採する他なく、毎年多くの熱帯雨林が伐採によって消失している。また、プランテーション開発時には大規模な森林火災も発生している。このような熱帯雨林の消失によって、そこに住む希少な野生動物が絶滅の危機に瀕している。さらに、急速なパーム油需要の拡大に伴い、労働者が劣悪な労働環境におかれたり、土地開発において地域住民と開発業者との衝突を生じたりするなどの問題も生じている。
【0005】
次に、食品ロスとは、本来食べられるのに捨てられてしまう食品のことである。平成30年の推計値によれば、日本における食品ロス量は600万トンに及ぶ。このうち、食品関連事業者から発生する事業系食品ロス量は324万トン、一般家庭から発生する家庭系食品ロス量は276万トンと推計されている。日本における食品ロスの原因としては、生産地における規格外品の廃棄、需給ギャップによる廃棄、消費期限・賞味期限切れ、3分の1ルールによる廃棄、食べ残しの常態化などが挙げられる。そこで、食品ロスを少しでも減らすため、期限の近いものから購入、飲食店からの持ち帰りやフードバンクなどの取り組みがなされている。
【0006】
しかし、食品関連事業者においては、食品の製造時においてどうしてもある程度の残渣が生じてしまう。例えば、麺業界においてはドウから麺線を切り出した際の切れ端や、長さの短い麺線、また、砕けた乾燥麺線などが残渣として生じる。これらの残渣は製造時において必ず生じるため、いくら企業努力を行ったとしても、SDGsの取組み成果が頭打ちになってしまうという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものである。具体的には、パーム油と食品ロスの問題を個別バラバラに対応するのではなく、関連付けて解決する方法を模索することで、食品業界、特に麺業界におけるSDGsへの取り組みをより一層促進させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記課題に対して関連付けて解決する方法がないか鋭意検討を重ねた。そして、パーム油に脂肪酸組成が近似する油脂を産生するLipomyces属酵母を用いることを思いついた。すなわち、製造時における残渣を糖源に油脂を産生することができるLipomyces属酵母を培養することで、ドウや麺線残渣などの食品ロスを減らしつつ、パーム油の代替油脂を産生させ、さらに産生された油脂を生産に活用することで、循環型の持続可能な開発が達成できることを新たに見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
上記課題解決のため、本発明は、ドウまたは麺線から油脂を産生する、Lipomyces属に属する油脂産生酵母であることを特徴とする。
【0010】
また、上記課題解決のため、本発明は、油脂産生酵母が、Lipomyces sp.(NITE BP-03512)であることを特徴とする。さらに、上記課題解決のため、本発明は油脂産生酵母から産生された油脂を用いて調理された飲食品であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の油脂産生酵母は、ドウまたは麺線から油脂を産生する。そのため、残渣を有効活用することができる。また、当該酵母が産生する油脂の組成はパーム油の組成に近いため、パーム油の代替油として使うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は本発明の菌株と野生菌株の菌体当たりのTAG濃度(mg/cell)を比較した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
1.Lipomyces sp. 4-C株(NITE BP-03512)
本発明の油脂産生酵母はリポミセス属の種(Lipomyces sp.)である。本発明における4-Cの記号は、本発明者である長沼孝文が独自に菌株に付与した番号である。本発明の菌株は、土壌より本発明者によって初めて分離されたものである。
【0014】
本発明のLipomyces sp. 4-C株は、下記の条件で寄託されている。
(1)寄託機関名:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター
(2)連絡先:〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室
(3)受託番号:NITE BP-03512
(4)識別のための表示:4-C
(5)寄託日:2021年8月23日
【0015】
本発明のLipomyces sp. 4-C株の菌学的性質は、以下の表1~表6に示す通りである。本菌学的性質は、The Yeasts, a taxonomic study, 5th edition.(Kurtzman CP et al.:2011) に記載の方法による。表1は本菌株に関する形状などを、表2は炭素源資化性試験、表3は糖類発酵性試験、表4は窒素源資化性試験、表5は耐性試験、表6はビタミン要求性試験の結果をそれぞれ示す。表2~6において、「+」が陽性、「-」は陰性を示す。また、「W (weak)」は弱い陽性反応が認められたことを、「L (latent)」は試験開始2 週間以降に急速に陽性反応が認められたことを、「D (delay)」は試験開始後1 週間以上の時間をかけて徐々に陽性反応が認められたことを示す。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
2.油脂産生能試験
本発明のLipomyces sp. 4-C株は、後述する実験例に示すように、ドウまたは麺線から高い油脂産生能を有する。油脂産生能の確認については以下の試験方法によって行った。
【0023】
<菌体の調製>
油脂産生能評価に用いた被検体(酵母菌サンプル)は、酵母菌を表7に示す1/2 YM培地で28℃ ・24時間培養した。次に、増殖した菌体を遠心分離して集菌した。得られた菌体をPBSに懸濁したものを酵母菌サンプルとした。
【0024】
【0025】
<油脂産生能評価試験>
油脂産生能を評価するために、in vitro試験を行った。まず、前培養として、滅菌済み1/2 YM培地50mLが入った200mL容バッフル付き三角フラスコに植菌した。植菌後、25~30℃、100~200 rpmの条件下で酵母が1.0×108~1.0×109 個/ mLとなるまで培養した。次に、本培養として、滅菌済み1/2 YM培地50mLが入った別の200mL容バッフル付き三角フラスコに対して、植菌濃度が1×106 cells/ mLとなるように前培養から植菌し、25~30℃、100~200 rpmの条件下で本培養を行った。このとき、本培養の培地には、グルコースの変わりにドウ又は麺線を糖源として加えた。また、培養液中の菌数は、細胞計算盤(ワンセル社製)および光学顕微鏡を用いて測定した。
【0026】
ここで、糖源として加えるドウ又は麺線の調製は、既存の方法を用いることで調製ができる。主原料粉としては、小麦粉(デュラム粉を含む)、そば粉及び米粉等の穀粉、並びに馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉及びコーンスターチ等の各種澱粉を単独で使用しても、または混合して使用してもよい。前記澱粉として、生澱粉、α化澱粉、並びにアセチル化澱粉、エーテル化澱粉及び架橋澱粉等の加工澱粉等を使用することもできる。これら主原料粉に対して麺類の製造において一般に使用されている食塩やアルカリ剤、各種増粘剤、麺質改良剤、食用油脂、カロチン色素等の各種色素等を添加することができる。これらは、主原料粉と一緒に粉体で添加しても、練り水に溶かすか懸濁させて添加してもよい。
【0027】
原料を混練することによって麺生地(ドウ)を製造する。より具体的には、小麦粉や澱粉等の主原料粉に、麺質改良剤等の副原料粉を加え粉体混合した後、さらに水に食塩、アルカリ剤等の副原料を溶解させた練り水を加え、ミキサーを用いて各原料が均一に混ざるように良く混捏してドウを製造する。このとき、真空ミキサーなどにより減圧下でミキシングを行ってもよい。
【0028】
次いで作製したドウから生麺線を作製する。作製方法としては、常法に従って行えばよく、ドウを複合等により麺帯化した後、ロールにより複数回圧延して所定の麺帯厚とした後、切刃と呼ばれる切出しロール又は包丁切りにより麺帯を切出すことで麺線を作製する方法や、エクストルーダ等を用いてドウを押し出して麺線を作製する方法が挙げられる。
【0029】
次いで作製した麺線を適当な長さで切断したのち、湿熱処理(麺のα化)を行う。湿熱処理としては、例えば、茹で槽を用いた茹で処理や、飽和水蒸気および/または過熱水蒸気を用いた蒸し処理、水分を麺線に付与した後に高温熱風で処理する方法などが挙げられる。
【0030】
必要に応じて、麺に着味を行う着味処理を行ってもよい。着味処理の方法としては、湿熱処理後の麺線に対して調味液中に浸漬する方法や、調味液を湿熱処理した麺線にスプレーする方法などが挙げられる。なお、着味処理は必要に応じて行えばよく、必須工程ではない。なお“調味液”とは、食塩水や醤油等を添加した着味液であってもよい。また、当該調味液には、食塩や醤油の他、MSG(グルタミン酸ナトリウム)や、各種アミノ酸、IMP(イノシン酸ナトリウム)やGMP(グアニル酸ナトリウム)等の核酸系統、各種有機酸等の種々の素材を利用することができる。
【0031】
湿熱処理または着味処理が完了した麺線は、乾燥処理を行うことで乾燥麺としてもよい。乾燥処理を行う前には、通常1食分量の重量にカットされて、リテーナ等に型詰めされる。その型詰めされた状態で乾燥処理を実施する。ただし、麺線のカットは、前述した湿熱処理を行う以前に実施しても良い。
【0032】
本発明では、乾燥処理の種類は特に限定されず、乾燥麺の製造において一般的に使用されている乾燥処理を適用することができる。具体的には、フライ(油揚げ)乾燥処理のほか、熱風乾燥処理、真空凍結乾燥処理、マイクロ波乾燥、低温での送風乾燥といったノンフライ乾燥処理があげられる。水分含有量が5%以下となれば、とくに乾燥方法は問わない。なお、本発明において麺線は糖源となればよく、乾燥麺以外にもチルド麺や冷凍麺であってもよい。そのため、乾燥処理に代えて、冷蔵処理や冷凍処理を行ってもよい。
【0033】
本培養した培養液を10,000 rpm、5分間遠心分離し、上清を除去した。得られた沈殿を1mL PBSに懸濁し、再度同じ条件で遠心分離し、上清を除去した。この操作を2回繰り返し、菌体を回収した。そして、回収された菌体を真空凍結乾燥することにより、乾燥菌体を得た。次に、乾燥菌体に滅菌水0.5mLを添加し、ボルテックスで懸濁した。それから、マルチビーズショッカー(安井器械社製)を用いて沈殿を破砕した。破砕物に滅菌水0.5 mLを添加し、MicroMixer E-36(タイテック社製)で37℃、10分間振とうを行った。LabAssay Triglyceride(富士フイルムワコーシバヤギ社製)を使用してTAGを測定し、さらにブランク(植菌なし)のTAG濃度を差し引くことで、培養液1mLあたりのTAG濃度を算出した。また、培養液1mL当たりのTAG濃度と細胞計算盤で測定した菌濃度を用いることで、菌体あたりのTAG濃度を算出した。
【0034】
3.飲食品
本発明の酵母菌は、パーム油に脂肪酸組成が近似する油脂を産生する。そのため、本発明の酵母菌が産生した油脂はパーム油の代替油として、各種飲食品使用することができる。例えば、即席麺、チョコレート、ポテトチップス、アイスクリーム、パン、マーガリン等の加工食品に好適に利用することができる。
【0035】
また、本発明の酵母菌が産生した油脂は、食品以外にもシャンプー、石鹸、リップスティックなどの日用製品や化粧品分野においても応用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の酵母菌(Lipomyces sp. 4-C株)は、ドウまたは麺線を糖源として、油脂を産生する油脂産生能を有する。
【実施例0037】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0038】
<試験>油脂産生能評価
本発明のLipomyces sp. 4-C株と、野生株(Lipomyces starkeyi NBRC 10381)について油脂産生能を評価した。
【0039】
まず、ドウ又は麺線の調製を行った。小麦粉900g、澱粉100gからなる麺原料粉1 kgに、食塩15g、かん水2.3g、重合リン酸塩0.4gを溶解した練り水340mLを加え、これをミキサーでよく混練しドウを得た。得られたドウの一部については、後述の試験のため、80℃の乾燥機で水分含量5%以下となるまで乾燥させるか、フリーズドライ(FD)で凍結乾燥を行った。それ以外のドウは整形、複合して麺帯化し、圧延を繰り返して最終麺厚1.2mmの麺帯とした。そして、20番丸刃の切刃で切出した。切り出した麺線は直ちに、240 kg/hとなるように飽和水蒸気を供給した蒸気庫内で2分間蒸煮した。蒸煮した麺線のうちの半分を、1L当り食塩90g、グルタミン酸13.5g、醤油10mL、畜肉エキス30gを溶解した着味液に5秒間浸漬した。着味/未着味の麺線いずれについても、引き延ばして30cmとなるように麺線をカットした。カットした着味/未着味の麺線をそれぞれ半分ずつに分け、一方は、カットした麺線を1食120gとしてリテーナに充填し、150℃に加温したフライヤーに浸漬してフライ乾燥することでフライ麺を得た。他方は、1食120gとしてリテーナに充填し、70℃で50分乾燥し、水分7重量%のノンフライ麺を得た。
【0040】
次に、本発明の菌株及び野生株について、前培養を行った。具体的には、滅菌済み1/2 YM培地50mLが入った200mL容バッフル付き三角フラスコに、0.5mL植菌し、28℃、130 rpmの条件下で50時間培養した。次に、本培養として、滅菌済み1/2 YM培地50mLが入った別の200mL容バッフル付き三角フラスコに対して、植菌濃度が1×106 cells/ mLとなるように前培養から植菌し、28℃、130rpmの条件下で140時間培養を行った。なお、本培養に際してグルコースは添加せず、代わりに培地全量に対して5%濃度となるよう表7に基づいて粉末化したドウ又は麺線を培地(表8参照)に添加して本培養を行った。
【0041】
【0042】
本培養した培養液0.8mLを10,000 rpm、5分間遠心分離し、上清を除去した。得られた沈殿を1mL PBSに懸濁し、再度同じ条件で遠心分離し、上清を除去した。この操作を2回繰り返し、菌体を回収した。そして、回収された菌体を真空凍結乾燥することにより、乾燥菌体を得た。次に、乾燥菌体に滅菌水0.5mLを添加し、ボルテックスで懸濁した。それから、0.5mmガラスビーズ1g添加、回転数2,500 rpm、On time 900 secの条件で、マルチビーズショッカー(安井器械社製)を用いて沈殿を破砕した。破砕物に滅菌水0.5mLを添加し、MicroMixer E-36(タイテック社製)で37℃、10分間振とうを行った。LabAssay Triglyceride(富士フイルムワコーシバヤギ社製)を使用してTAGを測定し、さらにブランク(植菌なし)のTAG濃度を差し引くことで、培養液1mLあたりのTAG濃度を算出した。また、培養液1mL当たりのTAG濃度と細胞計算盤で測定した菌濃度を用いることで、菌体あたりのTAG濃度を算出した。
【0043】
結果を
図1に示す。
図1に示すように、本発明にかかるLipomyces sp. 4-C株は、野生株と比べて、いずれの試験区においても菌体あたりのTAG濃度が高いという結果が得られた。特に、FDしたドウ、未着味のフライ麺、着味したノンフライ麺において顕著な差が認められた。一方、着味したフライ麺では、菌体当たりのTAG濃度が最も低い結果となったが、野生株に比べて2倍近い濃度であった。
【0044】
以上説明したように、本発明のLipomyces sp. 4-C株は、ドウ又は麺線を糖源として、効率よく油脂を産生する油脂産生能を有していることが明らかとなった。