(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012856
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】画像生成装置、画像生成方法、画像生成プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20230119BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
G06T7/00 650Z
G06T7/00 350C
G08G1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116578
(22)【出願日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(72)【発明者】
【氏名】井上 俊明
【テーマコード(参考)】
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA05
5H181BB20
5H181CC04
5H181EE15
5H181FF10
5H181MB08
5H181MC17
5H181MC22
5L096BA04
5L096HA02
5L096HA11
5L096KA04
5L096KA15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】交通に関する情報を示すデータの容量を小さくする画像生成装置、画像生成方法、画像生成プログラム及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】画像生成装置において、抽出部は、交通状況を撮影した第1の画像から、交通状況を説明する文章を抽出する。生成部は、抽出部によって抽出された文章を基に第2の画像を生成し端末30に出力する。生成部は、第2の画像として、第1の画像よりも容量が小さい画像を生成してもよい。生成部は、既定の図形を配置した静止画像を生成してもよい。抽出部は、交通状況における交通路の形状及び交通参加者の動きを説明する文章を抽出してもよい。生成部は、交通路の形状及び交通参加者を図形で表し、交通参加者の動きを矢印で表した画像を生成してもよい。生成部は、学習済みの敵対的生成ネットワークに、抽出部によって抽出された文章を入力することにより画像を生成してもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通状況を撮影した第1の画像から、前記交通状況を説明する文章を抽出する抽出部と、
前記抽出部によって抽出された文章を基に第2の画像を生成する生成部と、
を有することを特徴とする画像生成装置。
【請求項2】
前記生成部は、前記第2の画像として、前記第1の画像よりも容量が小さい画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項3】
前記生成部は、既定の図形を配置した静止画像を生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像生成装置。
【請求項4】
前記抽出部は、前記交通状況における交通路の形状及び交通参加者の動きを説明する文章を抽出し、
前記生成部は、前記交通路の形状及び交通参加者を図形で表し、前記交通参加者の動きを矢印で表した画像を生成することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像生成装置。
【請求項5】
前記生成部は、学習済みの敵対的生成ネットワークに前記抽出部によって抽出された文章を入力することにより画像を生成することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像生成装置。
【請求項6】
コンピュータによって実行される画像生成方法であって、
交通状況を撮影した第1の画像から、前記交通状況を説明する文章を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップによって抽出された文章を基に第2の画像を生成する生成ステップと、
を含むことを特徴とする画像生成方法。
【請求項7】
交通状況を撮影した第1の画像から、前記交通状況を説明する文章を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップによって抽出された文章を基に第2の画像を生成する生成ステップと、
をコンピュータに実行させるための画像生成プログラム。
【請求項8】
交通状況を撮影した第1の画像から、前記交通状況を説明する文章を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップによって抽出された文章を基に第2の画像を生成する生成ステップと、
をコンピュータに実行させるための画像生成プログラムを記憶したことを特徴とする記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像生成装置、画像生成方法、画像生成プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両前方を撮影した映像データを、各種センサ情報(タコメータ、速度、操作履歴等)、GPSデータ、衝撃度・方向検知データとともに保存しておき、車両が衝撃を受けたとき、証券番号等と保存した映像データ及び他のデータとを組み合わせて事故受付サイトに送信する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術には、交通に関する情報を示すデータの容量が大きい場合があるという問題がある。
【0005】
例えば、従来の技術では、映像データ(動画像データ)が記憶領域に記憶され、インターネット回線を介して送信される。ここで、映像データの容量(サイズ)が大きい場合、記憶領域の容量及び回線の帯域を圧迫することが考えられる。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、交通に関する情報を示すデータの容量を小さくすることができる画像生成装置、画像生成方法、画像生成プログラム及び記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の画像生成装置は、交通状況を撮影した第1の画像から、前記交通状況を説明する文章を抽出する抽出部と、前記抽出部によって抽出された文章を基に第2の画像を生成する生成部と、を有することを特徴とする。
【0008】
請求項6に記載の画像生成方法は、コンピュータによって実行される画像生成方法であって、交通状況を撮影した第1の画像から、前記交通状況を説明する文章を抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップによって抽出された文章を基に第2の画像を生成する生成ステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
請求項7に記載の画像生成プログラムは、交通状況を撮影した第1の画像から、前記交通状況を説明する文章を抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップによって抽出された文章を基に第2の画像を生成する生成ステップと、をコンピュータに実行させる。
【0010】
請求項8に記載の記憶媒体は、交通状況を撮影した第1の画像から、前記交通状況を説明する文章を抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップによって抽出された文章を基に第2の画像を生成する生成ステップと、をコンピュータに実行させるための画像生成プログラムを記憶したことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、画像生成処理の概要を示す図である。
【
図2】
図2は、画像生成装置の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、画像の生成方法を説明する図である。
【
図4】
図4は、画像生成装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について説明する。なお、以下に説明する実施形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0013】
[第1の実施形態]
第1の実施形態に係る画像生成装置は、撮影された交通状況を示す画像の容量を小さくした上で、ユーザに提示する。例えば、画像生成装置は、事故の様子を撮影した動画像を基に、事故の様子を説明した容量の小さい静止画像を生成する。
【0014】
図1は、画像生成処理の概要を示す図である。
図1に示すように、画像生成装置10は、ネットワークNを介して車両Vに備えられた車載装置20と接続される。例えば、ネットワークNはインターネットである。
【0015】
また、画像生成装置10は、ネットワークNを介して端末30と接続される。例えば、端末30は、交通事故の状況を調査する保険会社に所属するユーザによって使用される。
【0016】
また、画像生成装置10、車載装置20及び端末30は、ユーザに情報を提供するための情報提供システムを構成するものであってもよい。
【0017】
例えば、画像生成装置10は、サーバである。また、例えば、車載装置20は、画像の撮影機能を備えたドライブレコーダ等である。端末30は、画像の表示機能を備えたパーソナルコンピュータ等である。
【0018】
図1に示すように、まず、車載装置20は、車両Vの前方の画像を撮影する(ステップS1)。次に、車載装置20は、撮影した画像を、ネットワークNを介して画像生成装置10に送信する(ステップS2)。
【0019】
ここで、画像生成装置10は、受信した画像から交通状況を説明する文章を抽出する(ステップS3)。さらに、画像生成装置10は、抽出された文章から画像を生成する(ステップS4)。
【0020】
続いて、画像生成装置10は、生成した画像を端末30に送信する(ステップS5)。そして、端末30は、画像生成装置10から受信した画像を表示する(ステップS6)。
【0021】
図2は、画像生成装置の構成例を示す図である。
図2に示すように、画像生成装置10は、インタフェース部11、記憶部12及び制御部13を有する。
【0022】
インタフェース部11は、データの入出力を行うためのインタフェースである。また、インタフェース部11は、インターネット等の通信ネットワークを介して他の装置との間でデータ通信が可能な通信モジュールであってもよい。
【0023】
記憶部12は、画像生成装置10で実行される各種のプログラム、及び処理の実行に必要なデータ等を記憶する。
【0024】
記憶部12は、モデル情報121を記憶する。モデル情報121は、画像から文章を抽出するための文章抽出モデル、及び、文章から画像を生成するための画像生成モデルを構築するためのパラメータである。
【0025】
例えば、モデル情報121は、ニューラルネットワークを構築するための重み等のパラメータである。
【0026】
ここで、文章抽出モデルは、例えば既知の画像キャプション用のAIであってよい。
参考文献1:Microsoft, "What’s that? Microsoft’s latest breakthrough, now in Azure AI, describes images as well as people do"(https://blogs.microsoft.com/ai/azure-image-captioning/?utm_source=stories-pointer)
【0027】
また、画像生成モデルは、敵対的生成ネットワーク(GAN:Genera tive Adversarial Networks)であってよい。
参考文献2:"Text to Photo-realistic Image Synthesis with Stacked Generative Adversarial Networks", ICCV 2017(https://arxiv.org/abs/1612.03242)
【0028】
制御部13は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等のコントローラによって、記憶部12に記憶された各種プログラムが実行されることにより実現され、画像生成装置10全体の動作を制御する。
【0029】
なお、制御部13は、CPUやMPUに限らず、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路によって実現されてもよい。
【0030】
制御部13は、抽出部131及び生成部132を有する。抽出部131は、交通状況を撮影した第1の画像から、交通状況を説明する文章を抽出する。また、生成部132は、抽出部131によって抽出された文章を基に第2の画像を生成する。
【0031】
抽出部131は、モデル情報121から構築された文章抽出モデルを用いて文章を抽出する。また、生成部132は、モデル情報121から構築された画像生成モデルを用いて画像を生成する。
【0032】
また、生成部132は、第2の画像として、第1の画像よりも容量が小さい画像を生成する。例えば、第1の画像が動画像である場合、生成部132は、第1の画像よりもフレーム数が少ない動画像又は静止画像を生成する。
【0033】
例えば、生成部132は、既定の図形を配置した静止画像を第2の画像として生成する。車両等の交通参加者を既定の図形で表現することにより、精細に描画する場合と比べて第2の画像の容量を小さくすることができる。
【0034】
既定の図形は、三角形及び四角形等の幾何学図形、矢印、及び車両等の形状を模した図形が含んでいてもよい。
【0035】
図3は、画像の生成方法を説明する図である。
図3に示すように、抽出部131は、動画像200からテキスト210を抽出する。
【0036】
動画像200には、時系列順に並んだフレーム201f、フレーム202f、フレーム203fが含まれる。フレーム201f、フレーム202f、フレーム203fは、交通事故のような所定のイベントが発生した時刻及びその前後に時刻に対応する。
【0037】
抽出部131は、動画像200の全体からテキスト210を抽出してもよいし、一部のフレームからテキスト210を抽出してもよい。
【0038】
テキスト210に示すように、抽出部131は、交通状況における交通路の形状及び交通参加者の動きを説明する文章を抽出する。
【0039】
生成部132は、テキスト210から画像220を生成する。生成部132は、学習済みの敵対的生成ネットワークに生成部132によって抽出された文章を入力することにより画像を生成する。
【0040】
敵対的生成ネットワークは、文章及び画像を組み合わせた教師データを用いて学習済みであるものとする。
【0041】
図3の例では、生成部132は、テキスト210から画像220を生成する。画像220は、静止画像であり、動画像200より容量が小さい。
【0042】
生成部132は、画像220において、交通路の形状及び交通参加者を図形で表し、交通参加者の動きを矢印で表している。
【0043】
例えば、画像220において、交通参加者である四輪自動車、二輪自動車(バイク)、自転車は、それぞれの形状を模した図形で表されている。また、画像220において、各交通参加者の移動経路が矢印で表されている。また、画像220において、衝突及び接触が発生した位置は「×」で表されている。
【0044】
また、生成部132は、第2の画像として、生成元の第1の画像である動画像よりもフレーム数が少ないアニメーションを生成してもよい。
【0045】
なお、生成部132は、第1の画像よりも容量が大きい画像を第2の画像として生成してもよい。この場合、例えば、生成部132は、第1の画像である静止画像から、第2の画像である動画像を生成することができる。
【0046】
図4は、画像生成装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図4に示すように、まず、画像生成装置10は、車載装置20によって撮影された画像から交通状況を説明する文章を抽出する(ステップS101)。
【0047】
次に、画像生成装置10は、抽出した文章から、元の画像と比べて容量の小さな画像を生成する(ステップS102)。
【0048】
そして、画像生成装置10は、生成した画像を出力する。例えば、画像生成装置10は、生成した画像を端末30に送信する(ステップS103)。
【0049】
[第1の実施形態の効果]
これまで説明してきたように、画像生成装置10の抽出部131は、交通状況を撮影した第1の画像から、交通状況を説明する文章を抽出する。生成部132は、抽出部131によって抽出された文章を基に第2の画像を生成する。
【0050】
例えば、画像生成装置10は、動画像から静止画像を生成することができる。これにより、画像生成装置10は、交通に関する情報を示すデータの容量を小さくすることができる。
【0051】
また、画像生成装置10は、交通状況を撮影した画像から、当該画像の意味を変化させることなくシンボリックな画像を生成することができる。ユーザは、シンボリックな画像を見ることで交通状況を容易に理解することができる。
【0052】
生成部132は、既定の図形を配置した静止画像を生成する。これにより、生成される画像の容量を小さくすることができる。
【0053】
抽出部131は、交通状況における交通路の形状及び交通参加者の動きを説明する文章を抽出する。生成部132は、交通路の形状及び交通参加者を図形で表し、交通参加者の動きを矢印で表した画像を生成する。これにより、ユーザが直感的に理解しやすい画像を生成することができる。
【0054】
生成部132は、学習済みの敵対的生成ネットワークに抽出部131によって抽出された文章を入力することにより画像を生成する。これにより、文章から精度良く画像を生成することができる。
【符号の説明】
【0055】
10 画像生成装置
11 インタフェース部
12 記憶部
13 制御部
20 車載装置
30 端末
121 モデル情報
131 抽出部
132 生成部