(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128572
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】飲料容器
(51)【国際特許分類】
B65D 75/58 20060101AFI20230907BHJP
B65D 17/50 20060101ALI20230907BHJP
B65D 85/72 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B65D75/58
B65D17/50
B65D85/72 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032986
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】506209422
【氏名又は名称】地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
(74)【代理人】
【識別番号】100218062
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 悠樹
(74)【代理人】
【識別番号】100093230
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 利夫
(72)【発明者】
【氏名】酒井 日出子
(72)【発明者】
【氏名】石葉 美凪
【テーマコード(参考)】
3E035
3E067
3E093
【Fターム(参考)】
3E035AA03
3E035BA01
3E035BA04
3E035BC01
3E035BC02
3E035BD04
3E035CA07
3E067AA03
3E067AB26
3E067AC01
3E067BA01A
3E067BB01A
3E067BB14A
3E067BB25A
3E067BB26A
3E067CA07
3E067CA24
3E067EA04
3E067EA06
3E067EB11
3E067EE59
3E067FA01
3E067FC01
3E067GA01
3E067GD07
3E093AA11
3E093AA15
3E093BB16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ストローを使用せずに直接的に飲料を飲む場合にも衛生面が確保でき、飲み口を露出させた後もタブ部が分離されない飲料容器を提供する。
【解決手段】紙製の飲料容器100であって、底面部20と、底面部20に対向する上面部30と、底面部30と上面部20との間に位置する側面部40と、上面部30に設けられる飲み口80とを含む容器部120と、上面部30において飲み口80を密閉し、当該上面部30から側面部40のうち飲み口80に対応する部分にわたり設けられるタブ部130とを具備し、タブ部130は、飲み口80からみて側面部40のうち飲み口に対応する部分とは反対側にある部分において接続領域を含み、接続領域における容器部120との接着強度は、タブ部130のうち当該接続領域以外の剥離可能領域における容器部120との接着強度より高い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙製の飲料容器であって、
底面部と、前記底面部に対向する上面部と、前記底面部と前記上面部との間に位置する側面部と、前記上面部に設けられる飲み口とを含む容器部と、
前記上面部において前記飲み口を密閉し、前記上面部から前記側面部のうち前記飲み口に対応する部分にわたり設けられるタブ部とを具備し、
前記タブ部は、前記飲み口からみて前記飲み口に対応する部分とは反対側にある部分において接続領域を含み、
前記接続領域における前記容器部との接着強度は、前記タブ部のうち当該接続領域以外の剥離可能領域における前記容器部との接着強度より高い
飲料容器。
【請求項2】
前記剥離可能領域は、前記容器部から剥離可能であり、
前記接続領域は、前記剥離可能領域を前記容器部から剥離した場合にも当該容器部に接着された状態である
請求項1の飲料容器。
【請求項3】
前記底面部には、当該飲料容器を潰しやすくするための、表面から厚さ方向の一部を切り込んだ半切線が形成される
請求項1または請求項2の飲料容器。
【請求項4】
前記半切線は、前記底面部の中心を通る直線を挟んで相互に反対側に位置する第1半切線と第2半切線とを含み、
前記第1半切線および前記第2半切線は、前記直線に近づく方向に曲がる曲線である
請求項3の飲料容器。
【請求項5】
前記底面部には、
前記第1半切線からみて前記直線とは反対側において、当該直線に対して垂直な方向に延在する第1折れ線と、
前記第2半切線からみて前記直線とは反対側において、当該直線に対して垂直な方向に延在する第2折れ線とが形成される
請求項4の飲料容器。
【請求項6】
前記半切線は、前記底面部の中心を交点として相互に交差する第1半切線と第2半切線とを含む
請求項3の飲料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙製の飲料容器の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラスチックごみが環境に及ぼす影響が注目されている。プラスチックごみを廃棄するために燃やそうとすると、温室効果ガス(例えば二酸化炭素や一酸化炭素)が発生して、地球温暖化に大きく影響をする。それだけでなく、プラスチックごみが海に流出すれば、海を汚染するだけでなく、生態系にも影響を与えしまう。したがって、プラスチック製品の使用を低減する動きが世界的に強まっている。
【0003】
そこで、ストローを使用せずに、飲み口に直接的に口をつけて飲料が飲める飲料容器の開発が所望される。例えば、特許文献1には、天部に設けられた飲み口を覆うタブ部材を有する飲料容器が開示されている。タブ部材は天部に設けられる。例えば、特許文献1の飲料容器において、ストローを使用することなく直接的に飲料容器に口をつけて飲料を飲めるようにすることも想定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術では、タブ部材が天部に設けられているから、直接的に飲料容器から飲料を飲む場合には、露出した状態にある胴部に唇が接触し得る。したがって、衛生面が確保されないという問題がある。また、特許文献1の技術では、飲み口を露出させた後は、タブ部材が飲料容器から完全に分離される。したがって、タブ部材が邪魔になるばかりか、紛失するという問題もある。
【0006】
以上の事情を考慮して、本発明では、ストローを使用せずに直接的に飲料を飲む場合にも衛生面が確保でき、飲み口を露出させた後もタブ部が分離されない飲料容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る飲料容器は、紙製であって、底面部と、前記底面部に対向する上面部と、前記底面部と前記上面部との間に位置する側面部と、前記上面部に設けられる飲み口とを含む容器部と、前記飲み口を密閉するように前記容器部に接着され、前記上面部において前記飲み口を密閉し、当該上面部から前記側面部のうち前記飲み口に対応する部分にわたり設けられるタブ部とを具備し、前記タブ部は、前記飲み口からみて前記飲み口に対応する部分とは反対側にある部分において接続領域を含み、前記接続領域における前記容器部との接着強度は、前記タブ部のうち当該接続領域以外の剥離可能領域における前記容器部との接着強度より高い。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る飲料容器によれば、ストローを使用せずに直接的に飲料を飲む場合にも衛生面が確保でき、飲み口を露出させた後もタブ部が分離されない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る飲料容器(開封前)の斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る飲料容器(開封後)の斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る飲料容器の底面図である。
【
図4】第2実施形態に係る飲料容器(開封前)の斜視図である。
【
図5】第2実施形態に係る飲料容器(開封後)の斜視図である。
【
図6】第2実施形態に係る飲料容器の底面図である。
【
図7】変形例に係る飲料容器(開封前)の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
図1および
図2は、第1実施形態に係る飲料容器100の斜視図である。本発明に係る飲料容器100は、紙製であり、ストローを使用しなくても内部に充填された飲料を飲むことが可能である。第1実施形態では、四角柱状の飲料容器100を例示する。
【0011】
図1および
図2に例示される通り、飲料容器100は、容器部120とタブ部130とを具備する。容器部120は、底面部20と上面部30と側面部40と飲み口80とを含む。
図1では飲み口80が密閉された状態を図示し、
図2では飲み口80が開封された状態を図示する。なお、
図1および
図2では、内部に充填される飲料についての図示は省略する。
【0012】
底面部20と上面部30とは相互に対向する位置にある。側面部40は、底面部20と上面部30との間に位置する。筒状の部分が側面部40であるとも換言できる。第1実施形態の側面部40は、相互に対向する位置にある第1側面部40aおよび第2側面部40bと、相互に対向する位置にある第3側面部40cおよび第4側面部40dとを有する。第3側面部40cおよび第4側面部40dは、第1側面部40aと第2側面部40bとの間に位置する。
【0013】
容器部120における各部材(底面部20,上面部30,側面部40)は、例えば複数の層が積層されたシート状の部材により形成される。
【0014】
飲み口80は、内部空間に貫通する貫通孔であり、上面部30に設けられる。飲み口80の形状は、任意であるが、例えば半円形や扇形など各種の形状が採用される。飲み口80の面積(上面から見たときの面積)は、任意であるが、ストローを使用しなくとも飲料を飲むことを可能にする観点からは、例えば1~5cm2である。
【0015】
上面部30における第1側面部40a側の周縁(上面部30と第1側面部40aとの境界)から、飲み口80の端部(第1側面部40a側の端部)が1cm以内にあるように、飲み口80を設ける。第1実施形態では、上面部30と第1側面部40aとの境界から上面部30にかけて飲み口80が設けられる。
【0016】
図1に例示される通り、タブ部130は、飲み口80を密閉するように容器部120に接着される。紙製のシート状の部材でタブ部130が形成される。なお、タブ部130の表面(少なくとも飲み口80に対応する部分の表面)は、撥水加工がされていることが好ましい。
【0017】
タブ部130は、飲み口80が形成された上面部30から側面部40にわたり設けられる。具体的には、上面部30において飲み口80を密閉し、当該上面部30から側面部40のうち飲み口80に対応する部分にわたり設けられる。飲み口80に対応する部分とは、側面部40のうち飲み口80から飲料を飲む際に唇が接触し得る部分(第1実施形態では第1側面部40a)である。典型的には、飲み口80に対応する部分とは、側面部40のうち飲み口80の周縁に近い位置にある部分とも換言できる。
【0018】
飲み口80の周囲(すなわち飲料を飲む際に唇が直接的に接触し得る領域)を覆うことで衛生面を確保する観点からは、飲み口80の全周において当該飲み口80の周縁からタブ部130の周縁までの距離が所定の長さ以上(例えば5mm以上)になるようにタブ部130を設ける。さらに、タブ部130のうち側面部40(第1側面部40a)に位置する部分の長さ(高さ方向における長さ)は、衛生面を確保する観点からは、2cm以上あることが好ましい。なお、
図1および
図2では、タブ部130の形状が長方形である構成を例示したが、タブ部130の形状は任意である。
【0019】
上述した通り、タブ部130が容器部120(上面部30および第1側面部40a)に接着されることで、飲み口80が密閉されている。
図1では、タブ部130において、上面部30と側面部40(第1側面部40a)とにわたる方向において相互に反対側に位置する第1端部T1および第2端部T2を図示する。飲み口80を挟んで第1端部T1と第2端部T2とが相互に反対側に位置する。第1実施形態では、タブ部130における上面部30に位置する端部が第1端部T1であり、側面部40(第1側面部40a)に位置する端部が第2端部T2であるとも換言できる。飲み口80を露出する際は、第2端部T2側からタブ部130を容器部120から剥離する。
【0020】
タブ部130は、接続領域S1と剥離可能領域S2とに区分される。接続領域S1と剥離可能領域S2のそれぞれにおいて、容器部120と接着されている。接続領域S1は、タブ部130のうち飲み口80からみて側面部40のうち飲み口80に対応する部分(第1実施形態では第1側面部40a)とは反対側にある部分132に位置する。すなわち、部分132が接続領域S1を含む。第1実施形態における部分132は、タブ部130のうち、第1端部T1と、飲み口80の周縁における第1端部T1側の端部81(第2端部T2から最も離れた位置にある端部)との間の領域である。
【0021】
剥離可能領域S2は、タブ部130のうち接続領域S1以外の領域である。なお、剥離可能領域S2の全てにおいて容器部120と接着されている必要はなく、飲み口80を密閉することが可能であれば、剥離可能領域S2における一部の領域に容器部120と接着されていない領域を含んでもよい。例えば、タブ部130を把持しやすくする観点から、第2端部T2側の一部を第1側面部40aと接着させなくてもよい。
【0022】
接続領域S1における容器部120との接着強度は、タブ部130における剥離可能領域S2における容器部120との接着強度よりも高い。剥離可能領域S2は、容器部120から剥離可能な程度の接着強度で当該容器部120に接着される。接続領域S1と剥離可能領域S2とは、例えば、熱溶着における温度や時間を相違させることで、接着強度を相違させる。以上の構成を採用することで、
図2に例示される通り、飲み口80を露出させたるために剥離可能領域S2を容器部120から剥離した場合にも、接続領域S1は容器部120に接着された状態である。なお、接続領域S1を中心としてタブ部130を第2端部T2が第2側面部40b側に近づくように折り返すことで、飲料を飲む際もタブ部130は邪魔にならない。
【0023】
なお、接続領域S1の形状および位置は、部分132にあれば任意である。
図1では、第1端部T1からタブ部130が延在する方向に沿って所定の幅にわたり接続領域S1を設ける構成を例示した。
【0024】
図3は、飲料容器100に係る底面図である。
図3には、底面部20の中心Pと、中心Pを通る直線Lpとが図示されている。
【0025】
図3に例示される通り、底面部20には、飲料容器100を潰しやすくするための半切線(ハーフカット)Wが形成される。底面部20の外側の表面(内部空間とは反対側の表面)に半切線W(W1,W2)が形成される。半切線Wは、表面から厚さ方向の一部を切り込んだ線である。すなわち、半切線Wは、内部空間には完全に貫通していない切り込みである。例えば、底面部20を構成するシート状の部材の最も外側の層のみを切り込むことで半切線Wが形成される。
【0026】
半切線Wは、例えば、切り込みを入れる箇所と切り込みを入れない箇所とが交互に位置する破線状に設けられる。ただし、実線状や点線状に半切線Wを設けてもよい。
【0027】
第1実施形態の半切線Wは、第1半切線W1と第2半切線W2とを含む。第1半切線W1と第2半切線W2とは、直線Lpを挟んで相互に反対側に位置する。第1半切線W1および第2半切線W2は、直線Lpに近づく方向に曲がる曲線である。第1半切線W1および第2半切線W2は、頂点が直線Lpに近い位置にあるように曲がる曲線であるとも換言できる。
図3では、第1半切線W1と第2半切線W2とが直線Lpに関して線対称になるように設けられる場合を例示する。
【0028】
飲料を飲み終えた後は、半切線W(W1,W2)に沿って底面部20を内部に向かって押圧すると、底面部20を半切線Wに沿って裂くことができる(すなわち底面部20に内部に貫通する切り込みが形成される)。そして、底面部20の一部が裂けた(破けた)状態になると、飲料容器100を平らに潰しやすくすることが可能になる。
【0029】
直線Lpを挟んで相互に反対側に位置する第1半切線W1と第2半切線W2とを設けることで、底面部20が潰しやすいという利点がある。また、第1半切線W1と第2半切線W2とを曲線状にすることで、第1半切線W1と第2半切線W2と沿って指で押し込みやすいという利点もある。
【0030】
ここで、タブ部が上面部にのみ設けられる構成(以下「比較例」という)では、飲料を飲む際に唇が接触し得る側面部が露出している。すなわち、衛生面が確保できていないという問題がある。それに対して、第1実施形態に係る飲料容器100は、タブ部130が上面部30から側面部40にわたり設けられるから、比較例と比較して、衛生面を確保できる。
【0031】
また、第1実施形態では、接続領域S1は剥離可能領域S2における接着強度より高い強度で容器部120に接着されているから、飲み口80を露出させたるために剥離可能領域S2を容器部120から剥離した場合にも、接続領域S1は容器部120に接着された状態を維持できる。以上の通り、タブ部130を容器部120から分離することなく、飲み口80を露出させることが可能である。したがって、容器部120から分離したタブ部130が邪魔になることや紛失することを防止することができる。
【0032】
底面部20に半切線Wを設ける第1実施形態の構成によれば、容器を飲み終えた後に潰しやすくなるという利点がある。ただし、半切線Wの構成は
図3の例示には限定されない。
【0033】
[第2実施形態]
第2実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0034】
図4および
図5は、第2実施形態に係る飲料容器100の斜視図である。第1実施形態では四角柱状の飲料容器100を例示したのに対して、第2実施形態では円柱状の飲料容器100を例示する。
【0035】
第2実施形態の飲料容器100は、第1実施形態と同様に、底面部20と上面部30と側面部40とを具備する。第2実施形態の側面部40は、円筒状の部材である。タブ部130が上面部30から側面部40のうち飲み口80に対応する部分にわたり設けられる構成、および、接続領域S1の接着強度が剥離可能領域S2の接着強度よりも高い構成については、第1実施形態と同様である。側面部40のうち飲み口80に対応する部分とは、第1実施形態と同様に、飲料を飲む際に唇が接触し得る部分である。
【0036】
図6は、第2実施形態に係る飲料容器100の底面図である。
図6に例示される通り、第2実施形態においても飲料容器100を潰しやすくするための半切線W(ハーフカット)が底面部20に設けられる。
【0037】
第2実施形態の半切線Wは、第1実施形態と同様に、直線Lpを挟んで相互に反対側に位置する第1半切線W1と第2半切線W2とを含む。第1半切線W1および第2半切線W2は、直線Lpに近づく方向に曲がる曲線である。
【0038】
ただし、半切線Wの形状は、底面部20を半切線Wに沿って裂き、かつ、底面部20を潰しやすくすることが可能であれば任意である。例えば、底面部20の中心Pを通る直線状に半切線Wを設ける構成や、底面部20の周縁に沿った円弧状に半切線Wを設ける構成も採用される。
【0039】
[変形例]
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を適宜に併合することも可能である。
【0040】
(1)前述の各形態において、底面部20と上面部30と側面部40とを構成するシート状の部材は、厚さ方向にわたり全てが紙である必要はなく、例えば、紙からなる層の両面に樹脂層(例えば撥水性が高い樹脂からなる樹脂層)を設けた積層の部材であってもよい。以上の説明から理解される通り、容器部120は厚さ方向の少なくとも一部に紙が用いられていればよい。ただし、容器部120を複数の層からなるシート状の部材で形成することは必須ではない。
【0041】
(2)前述の各形態では、半切線Wを破線状に設けたが、実線状や点線状に設けてもよい。ただし、破線状に半切線Wを設ける構成によれば、底面部20の強度を維持しつつ、飲み終えた後に底面部20を破きやすいという利点がある。また、底面部20に設ける半切線Wの本数は任意である。
【0042】
(3)前述の各形態では、タブ部130の第1端部T1が上面部30に位置する構成を例示したが、第1端部T1が側面部40にある構成も採用される。第1実施形態では、第2側面部40bに第1端部T1がある。以上の構成では、接続領域S1が第2側面部40bに位置する構成も採用される。第2実施形態では、
図7に例示される通り、側面部のうち上面部30を挟んで第2端部T2とは反対側の位置に第1端部T1があってもよい。以上の構成では、側面部40のうち上面部30を挟んで第2端部T2とは反対側の位置に接続領域S1があってよい。すなわち、側面部40のうち飲み口80に対応する部分に対向する部分に第1端部T1が位置するとも換言できる。
【0043】
(4)容器部120の形状およびタブ部130の形状は前述の各形態の例示には限定されない。
【0044】
(5)
図8および
図9は、変形例に係る飲料容器100の底面図である。
図8および
図9に例示される通り、底面部20をさらに潰しやすくするため折れ線Q(Q1,Q2)を設けてもよい。折れ線Qが第1折れ線Q1と第2折れ線Q2とを含む場合を例示する。
【0045】
第1折れ線Q1は、第1半切線W1からみて直線Lpとは反対側において、当該直線Lpに対して交差(典型的には垂直)する方向に延在する。第1折れ線Q1は、例えば、底面部20の周縁から第1半切線W1に向かって設けられる。
【0046】
第2折れ線Q2は、第2半切線W2からみて直線Lpとは反対側において、当該直線Lpに対して交差(典型的には垂直)する方向に延在する。第2折れ線Q2は、例えば、底面部20の周縁から第2半切線W2に向かって設けられる。各折れ線Qは、延長すると中心Pを通る位置にあることが好ましい。
【0047】
なお、折れ線Qは、当該折れ線Qに沿って折り曲げることが可能であれば形成方法は任意である。例えば、折れ線Qは、他の部分と比較して表面から窪んだ線であり、例えば押圧により形成される。または、底面部20の表面から厚さ方向の一部を切り込んだ半切線(ハーフカット)で折れ線Qを形成してもよい。
【0048】
折れ線Qの形状は
図8および
図9の例示には限定されない。例えば、直線Lpに沿った平行な折れ線Qを設ける構成や直線Lpに直交する1本の折れ線Qを設ける構成も採用される。また、折れ線Qが直線Lpに対して垂直な方向に延在することも必須ではない。
【0049】
(6)
図10および
図11は、変形例に係る飲料容器100の底面図である。
図10および
図11のように、第1半切線W3と第2半切線W4とを設けてもよい。第1半切線W3と第2半切線W4とは、底面部20の中心Pを交点として相互に交差(典型的には直交)する。第1半切線W3の双方の端部と、第2半切線W4の双方の端部とは、底面部20の周縁付近に位置する。ただし、第1半切線W3と第2半切線W4とが直交することは必須ではない。
【0050】
(7)
図12は、変形例に係る飲料容器100の底面図である。
図12に例示される通り、
図12には、1本の半切線Wが形成される場合を例示する。
図12では、半切線Wの中点W0と、当該中点W0を挟んで相互に反対側に位置する第1区間B1および第2区間B2と、半切線Wの2つの第1端部Wa(第1区間B1側)および第2端部Wb(第2区間B2側)とを図示する。第1区間B1と第2区間B2とは長さが同じである。
【0051】
具体的には、半切線Wは、中点W0が底面部20の中心Pに対応する位置にあり、第1区間B1および第2区間B2が底面部20の周縁における相異なる地点に向かって延在するように形成される。
図12では、中点W0を中心として湾曲する曲線になるように半切線Wを設ける。中点W0が底面部20の中心Pに対応する位置にあるとは、中点W0が中心Pの付近にあり、第1端部Waおよび第2端部Wbよりも中心Pに近い位置にあることをいう。
【0052】
以上の構成では、点W0が底面部20の中心Pに対応する位置にあり、第1区間B1および第2区間B2が底面部20の周縁における相異なる地点に向かって延在するように半切線Wが形成されるから、例えば、底面部20の中心Pを通る直線状に半切線を設ける構成と比較して、底面部20を半切線Wに沿って裂きやすくなるという利点がある。
【符号の説明】
【0053】
20 :底面部
30 :上面部
40 :側面部
40a :第1側面部
40b :第2側面部
40c :第3側面部
40d :第4側面部
80 :飲み口
100 :飲料容器
120 :容器部
130 :タブ部
S1 :接続領域
S2 :剥離可能領域
T1 :第1端部
T2 :第2端部
W :半切線
B1 :第1区間
B2 :第2区間
W0 :中点
Wa :第1端部
Wb :第2端部
Q1 :第1折れ線
Q2 :第2折れ線
W1,W3 :第1半切線
W2,W4 :第2半切線