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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128575
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】飲料容器および製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/36 20060101AFI20230907BHJP
   B65D 17/353 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B65D47/36 200
B65D17/353
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033001
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】506209422
【氏名又は名称】地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
(74)【代理人】
【識別番号】100218062
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 悠樹
(74)【代理人】
【識別番号】100093230
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 利夫
(72)【発明者】
【氏名】福原 悠太
(72)【発明者】
【氏名】酒井 日出子
(72)【発明者】
【氏名】石葉 美凪
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 栞奈
【テーマコード(参考)】
3E084
3E093
【Fターム(参考)】
3E084AA05
3E084AA14
3E084AA34
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA03
3E084CC07
3E084DA03
3E084DB09
3E084DC07
3E084GB12
3E084HC04
3E084LA02
3E084LB02
3E093AA07
3E093BB16
3E093EE11
(57)【要約】
【課題】プルタブ部の層間剥離を容易にしつつ、ストローを使用せずに直接的に飲料を飲む場合にも衛生面が確保できる。
【解決手段】紙製の飲料容器100であって、底面部20と、底面部20に対向する上面部30と、底面部20と上面部30との間に位置する側面部40と、上面部30に設けられる飲み口80と、飲み口80を覆い、上面部30から側面部40にわたり設けられるプルタブ部90とを具備し、プルタブ部90は、上面部30および側面部40の表面から厚さ方向の一部を切り込んだ半切線L1により形成され、当該プルタブ部90のうち側面部40に位置する部分920において、当該部分920における底面部20側の端部91からみて上面部30側に凹部901を有し、端部91は、側面部40から剥離している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙製の飲料容器であって、
底面部と、
前記底面部に対向する上面部と、
前記底面部と前記上面部との間に位置する側面部と、
前記上面部に設けられる飲み口と、
前記飲み口を覆い、前記上面部から前記側面部にわたり設けられるプルタブ部とを具備し、
前記プルタブ部は、
前記上面部および前記側面部の表面から厚さ方向の一部を切り込んだ半切線により形成され、
当該プルタブ部のうち前記側面部に位置する部分において、当該部分における前記底面部側の端部からみて前記上面部側に凹部を有し、
前記端部は、前記側面部から剥離している
飲料容器。
【請求項2】
前記凹部は、前記プルタブ部のうち前記端部における周縁に沿った線状に形成される
請求項1の飲料容器。
【請求項3】
前記側面部は、
相互に対向する第1側面部および第2側面部と、
前記第1側面部と前記第2側面部との間に位置し、相互に対向する第3側面部および第4側面部とを含み、
前記プルタブ部は、前記上面部から前記第1側面部にわたり設けられる
請求項1または請求項2の飲料容器。
【請求項4】
前記側面部は、円筒状である
請求項1または請求項2の飲料容器。
【請求項5】
当該飲料容器を折りたたむための折り畳み線を前記側面部に有する
請求項1から請求項4の何れかの飲料容器。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れかの飲料容器を製造する方法であって、
前記底面部に対応する第1部分と、前記上面部に対応する第2部分と、前記側面部に対応する第3部分とを含む一連のシート状の部材を折り曲げて立体的に組み立てることで製造し、
前記凹部は、前記第3部分における前記プルタブ部側の表面から押圧することで形成し、
前記端部は、前記第3部分における前記プルタブ部とは反対側の表面から前記凹部に対応する位置を押圧することで、前記第3部分から剥離する
飲料容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙製の飲料容器の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラスチックごみが環境に及ぼす影響が注目されている。プラスチックごみを廃棄するために燃やそうとすると、温室効果ガス(例えば二酸化炭素や一酸化炭素)が発生して、地球温暖化に大きく影響をする。それだけでなく、プラスチックごみが海に流出すれば、海を汚染するだけでなく、生態系にも影響を与えしまう。そこで、プラスチック製品の使用を低減する動きが世界的に強まっている。
【0003】
ここで、ストローを使用することを前提とした飲料容器(例えば特許文献1)が従来から提案されている。しかし、ストローが必要になる飲料容器は、近年のプラスチック製品の使用を低減する動きとは相反する。そこで、ストローを使用せずに、飲み口に直接的に口をつけて飲料が飲める飲料容器の開発が所望される。例えば、特許文献1の飲料容器において、ストロー差込孔の面積を大きくして、ストローを使用することなく直接的に飲料容器に口をつけて飲料を飲めるようにすることも想定される。
【0004】
特許文献1には、半切線で囲まれた部分(以下「プルタブ部」という)の先端を摘持して上方へ牽引することで、当該プルタブ部を層間剥離させると、ストロー差込孔が露出する。プルタブ部は、ストロー差込孔が形成された上面部に設けられる。しかし、半切線で形成されたプルタブ部の場合、指や爪の引っ掛かりが無く、必ずしも層間剥離が容易ではない。
【0005】
そこで、更に特許文献1では、プルタブ部の先端を層間剥離させやすくするために、プルタブ部の先端を予めわずかに層間剥離させておくことが記載されている。具体的には、プルタブ部の先端を容器の角部(ストロー差込孔が設けられた上面部と側面部とが交差する角部)付近に設けることで、紙の塑性によりプルタブ部の先端を層間剥離させておく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公昭62-026345号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の技術では、飲料容器の角部にプルタブ部の先端を設ける必要があり、設計上の制限があるという問題がある。また、直接的に飲料容器から飲料を飲む場合には、特許文献1においては露出した状態にある側面部に唇が接触し得る。したがって、衛生面が確保されないという問題がある。以上の事情を考慮して、プルタブ部の層間剥離を容易にしつつ、ストローを使用せずに直接的に飲料を飲む場合にも衛生面が確保できる飲料容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る飲料容器は、紙製の飲料容器であって、底面部と、前記底面部に対向する上面部と、前記底面部と前記上面部との間に位置する側面部と、前記上面部に設けられる飲み口と、前記飲み口を覆い、前記上面部から前記側面部にわたり設けられるプルタブ部とを具備し、前記プルタブ部は、前記上面部および前記側面部の表面から厚さ方向の一部を切り込んだ半切線により形成され、当該プルタブ部のうち前記側面部に位置する部分において、当該部分における前記底面部側の端部からみて前記上面部側に凹部を有し、前記端部は、前記側面部から剥離している。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る飲料容器によれば、プルタブ部の層間剥離を容易にしつつ、ストローを使用せずに直接的に飲料を飲む場合にも衛生面が確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る飲料容器の斜視図である。
図2】第1実施形態に係る飲料容器(開封状態)の斜視図である。
図3】第1実施形態に係るプルタブ部を剥がす前の飲料容器の断面図(図1のQ-Q線における断面図)である。
図4】第1実施形態に係るプルタブ部を剥がした後の飲料容器の断面図である。
図5】第1実施形態に係る飲料容器の展開図である。
図6】第2実施形態に係る飲料容器の斜視図である。
図7】第2実施形態に係る飲料容器(開封状態)の斜視図である。
図8】第2実施形態に係る飲料容器の斜視図である。
図9】第3実施形態に係る飲料容器の展開図である。
図10】第3実施形態に係る飲料容器を折りたたむ際の手順を示す図である。
図11】変形例に係る飲料容器の斜視図である。
図12】変形例に係る飲料容器の斜視図である。
図13】第3実施形態に係る飲料容器の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
図1および図2は、第1実施形態に係る飲料容器100の斜視図である。本発明に係る飲料容器100は、紙製であり、ストローを使用しなくても内部に充填された飲料を飲むことが可能である。第1実施形態では、四角柱状の飲料容器100を例示する。
【0012】
図1および図2に例示される通り、飲料容器100は、底面部20と上面部30と側面部40と飲み口80とプルタブ部90とを具備する。図1では飲み口80が塞がれた状態を図示し、図2では飲み口80が開封された状態を図示する。なお、図1および図2では、内部に充填される飲料についての図示は省略する。
【0013】
底面部20と上面部30とは相互に対向する位置にある。側面部40は、底面部20と上面部30との間に位置する。筒状の部分が側面部40であるとも換言できる。第1実施形態の側面部40は、相互に対向する位置にある第1側面部40aおよび第2側面部40bと、相互に対向する位置にある第3側面部40cおよび第4側面部40dとを有する。第3側面部40cおよび第4側面部40dは、第1側面部40aと第2側面部40bとの間に位置する。
【0014】
紙製であるシート状のシート部材を折り曲げて立体的に組み立てることで飲料容器100(底面部20,上面部30,側面部40)が形成される。複数の層(第1実施形態では2層を例示)が積層されたシート部材が飲料容器100に使用される。
【0015】
飲み口80は、内部空間に貫通する貫通孔であり、上面部30に設けられる。飲み口80の面積(上面から見たときの面積)は、任意である。ただし、飲み口80の面積は、ストローを使用しなくとも飲料を飲むことを可能にする観点からは、例えば1~5cm2である。飲み口80の形状も任意であるが、例えば楕円形や円形である。例えば、上面部30における第1側面部40a側の周縁(上面部30と第1側面部40aとの境界)から、飲み口80の端部(第1側面部40a側の端部)が1cm以内にあるように、飲み口80を設ける。
【0016】
プルタブ部90は、飲み口80を覆う部分(塞いでいる部分)である。具体的には、プルタブ部90は、上面部30から側面部40にわたり設けられる。プルタブ部90のうち上面部30に位置する部分は、飲み口80に重なるように形成される。飲み口80の周囲(すなわち飲料を飲む際に唇が直接接触し得る領域)を覆う観点からは、飲み口80の全周において当該飲み口80の周縁からプルタブ部90の周縁までの距離が所定の長さ以上(例えば5mm以上)になるようにプルタブ部90を形成する。
【0017】
図3はプルタブ部90を剥がす前の飲料容器100の断面図(図1のQ-Q線における断面図)であり、図4はプルタブ部90を剥がした後の飲料容器100の断面図である。上述した通り、飲料容器100は2層(第1層R1および第2層R2)の積層のシート部材200からなる。第1層R1が外側に位置し、第2層R2が内側(内部空間側)に位置する。
【0018】
図3および図4に例示される通り、プルタブ部90は、第2層R2は切り込まずに第1層R1のみを切り込んだ半切線L1により形成される。プルタブ部90は、第1層R1で形成されるとも換言できる。以上の通り、上面部30および側面部40の表面(内部空間とは反対側の表面)から厚さ方向の一部(第1実施形態では第1層R1)を切り込んだ半切線L1によりプルタブ部90が形成される。半切線L1で囲まれた領域がプルタブ部90である。
【0019】
以下の説明では、プルタブ部90のうち側面部40に位置する先端(底面部20に最も近い位置にある部分)を先端部91と表記する。プルタブ部90のうち側面部40(第1側面部40a)に位置する部分920における底面部20側にある端部が先端部91であるとも換言できる。
【0020】
第1実施形態では、図1に例示される通り、プルタブ部90における部分920は、底面部20側から上面部30側に向かって(すなわち高さ方向に沿って)第1領域K1および第2領域K2を含む。第1領域K1は、プルタブ部90のうち先端部91を含む領域である。第1実施形態の第1領域K1は、第2領域K2側から先端部91に向かって連続的に幅(第1側面部40aと上面部30との境界に沿った方向の長さ)が小さくなる構成を例示する。なお、第2領域K2の幅は、高さ方向にわたり略一定である構成を例示する。
【0021】
図3および図4に例示される通り、プルタブ部90は、部分920において凹部901を有する。具体的には、部分920のうち先端部91からみて上面部30側に凹部901を有する。凹部901は、プルタブ部90のうち部分920の表面から窪んだ部分である。
【0022】
図1に例示される通り、凹部901は、プルタブ部90の幅方向(第1側面部40aと上面部30との境界線に平行な方向)の一部において形成される。第1実施形態の凹部901は、プルタブ部90のうち先端部91における周縁に沿った線状に形成される。図1では、先端部91付近の周縁が底面部20側に向かって曲線をなす形状に形成される。したがって、凹部901は、底面部20側に向かって曲線をなす形状に形成される。凹部901の長さ(一方の端部から他方の端部までの長さ)は、プルタブ部90における先端部91側の形状に応じて適宜に変更される。特に、プルタブ部90のうち側面部40に位置する部分の長さ(高さ方向の長さ)は、衛生面を確保する観点からは、例えば、2cm以上であり、好適には3cm以上である。
【0023】
図1の状態において先端部91は、図3の第1側面部40a(具体的には第2層R2)から剥離している。第2層R2から先端部91が層間剥離していることで、先端部91が第1側面部40a(第1層R1)の表面から突出(隆起)している状態になる。凹部901を形成する方法および先端部91を剥離させる方法については、後述する。
【0024】
図3および図4に例示される通り、飲み口80は、第1層R1は切り込まずに第2層R2のみを切り込んだ半切線L2により形成される。上面部30および側面部40の表面(内部空間側の表面)から厚さ方向の一部を切り込んだ半切線L2により飲み口80が形成されるとも換言できる。半切線L2で囲われた領域における貫通孔が飲み口80になる。
【0025】
図4に例示される通り、プルタブ部90を先端部91側から剥がすと飲み口80が露出する。具体的には、プルタブ部90を第2層R2から層間剥離すると、第2層R2のうち半切線L2で囲われた領域がプルタブ部90に付着した状態で第2層R2から抜去される。そして、第2層R2のうち半切線L2で囲われた領域が貫通孔(すなわち飲み口80)になる。
【0026】
図5は、飲料容器100の展開図である。飲料容器100は、上述した通り、紙製のシート部材200を折り曲げて立体的に組み立てることで製造される。図5には、展開図の状態において、X方向(40a,40b,40cおよび40dが配列する方向)とX方向に直交するY方向(飲料容器100の高さ方向)とが図示されている。
【0027】
図5に例示される通り、シート部材200は、第1部分T1と第2部分T2と第3部分T3とを含む。第1部分T1は底面部20に対応する部分であり、第2部分T2は上面部30に対応する部分であり、第3部分T3は側面部40に対応する部分である。第1部分T1と第2部分T2と第3部分T3とは、Y方向に沿って配列され、連続して形成される。また、図5では、第1部分T1と第2部分T2と第3部分T3とにおいてX方向における長さ(最大となる部分の長さ)が同じである場合を例示する。
【0028】
第2部分T2は、上面部30になる第1領域T21と、組み立てられた飲料容器100の状態において、第1領域T21の下側(内部空間側)に折り込まれる第2領域T22とを含む。第1実施形態では、第1領域T21におけるY方向の長さと第2領域T22におけるY方向の長さとは略同じに形成される。第3部分T3は、第1側面部40a、第2側面部40b、第3側面部40cおよび第4側面部40dを含む。
【0029】
図5の破線は折り畳み線であり、当該折り畳み線(後述するW1-W3を除く)に沿ってシート部材200を折り曲げることで飲料容器100が製造される。なお、折り畳み線は、他の部分と比較して表面から窪んだ線であり、例えば押圧により形成される。
【0030】
凹部901は、第3部分T3におけるプルタブ部90側の表面から押圧(例えば空押し加工)することで形成される。先端部91は、第3部分T3におけるプルタブ部90とは反対側の表面(飲料容器100における内部空間側の表面)から凹部901に対応する位置を押圧することで、先端部91を第3部分T3(第2層R2)から剥離させることが可能である。
【0031】
図1および図5に例示される通り、側面部40には、飲料が空になった状態の飲料容器100を潰しやすくするための折り畳み線Wを設けてもよい。具体的には、折り畳み線Wは、複数の区間を含む。例えば、第1区間W1と第2区間W2と第3区間W3とを含む。
【0032】
第1実施形態では、第2側面部40bと第3側面部40cと第4側面部40dとに設けられる。第3側面部40cには、第1区間W1と2つの第2区間W2とが形成される。第1区間W1は、上面部30から底面部20にかけて形成される部分であり、底面部20に対して直交するように設けられる。第1区間W1は、例えば第3側面部40cの中心を通るように設けられる。なお、図5に例示される通り、第1区間W1を第1部分T1、第2部分T2および第3部分T3にわたり連続して直線状に設けてもよい。
【0033】
2つの第2区間W2は、第3側面部40cにおける底面部20側にある2つの角部のそれぞれから第1区間W1に交差(例えば45°前後の角度で交差)するように設けられる。同様の第1区間W1と第2区間W2とが第4側面部40dにも形成される。
【0034】
第3区間W3は、第3側面部40cと第2側面部40bと第4側面部40dとにわたり設けられる。具体的には、第3側面部40cにおける2つの第2区間W2の交点から、第4側面部40dにおける2つの第2区間W2の交点に向かって設けられる。なお、2つの第2区間W2の交点に第3区間W3の端部が位置することは必須ではない(すなわち当該交点と第3区間W3の端部とが離間してもよい)。以上の折り畳み線Wにより、飲料容器100が空になった後は、底面部20を第4側面部40d側に向かって折りたたむことができる。ただし、折り畳み線Wは図1および図5の例示には限定されない。
【0035】
ここで、プルタブ部が上面部にのみ設けられる構成(以下「比較例」という)では、飲料を飲む際に唇が接触し得る側面部が露出している。すなわち、衛生面が確保できていないという問題がある。それに対して、第1実施形態に係る飲料容器100は、プルタブ部90が上面部30から側面部40にわたり設けられるから、比較例と比較して、衛生面を確保できる。具体的には、側面部40においてプルタブ部90を剥離することで露出する部分(第2層R2)に唇を接触させて飲料を飲むことが可能になる。
【0036】
また、第1実施形態の構成では、先端部91が剥離しているから、プルタブ部90を把持しやすいという利点がある。ここで、比較例では、プルタブ部の先端部を把持しやすくするために、当該先端部を飲料容器の角部(上面部と側面部とが交差する部分)付近に設ける構成(例えば特許文献1)が想定される。しかし、比較例では、飲料容器の角部にプルタブ部の先端部を設ける必要があり、設計上の制限があるという問題がある。すなわち、プルタブ部を上面部から側面部にわたり設けることはできない。
【0037】
それに対して、第1実施形態では、凹部901をプルタブ部90とは反対側から押圧することで先端部91を層間剥離させることが可能である。したがって、先端部91の位置を制限することなく、先端部91を剥離させることが可能である。なお、凹部901は、先端部91を剥離させるための要素だけでなく、指や爪を引っ掛けやすくして、さらにプルタブ部90を把持しやすくするための要素としても機能する。
【0038】
以上の説明から理解される通り、第1実施形態に係る飲料容器100によれば、プルタブ部90の層間剥離を容易にしつつ、ストローを使用せずに直接的に飲料を飲む場合にも衛生面が確保できる。
【0039】
[第2実施形態]
第2実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0040】
図6および図7は、第2実施形態に係る飲料容器100の斜視図である。第1実施形態では四角柱状の飲料容器100を例示したのに対して、第2実施形態では円柱状の飲料容器100を例示する。
【0041】
第2実施形態の飲料容器100は、第1実施形態と同様に、底面部20と上面部30と側面部40とを具備する。第2実施形態の側面部40は、円筒状の部材である。なお、半切線L1により形成されるプルタブ部90が上面部30から側面部40にわたり設けられる構成、部分920における先端部91からみて上面部30側に凹部901を有する構成、および、先端部91が側面部40(第2層R2)から剥離している構成は、第1実施形態と同様である。
【0042】
図8に例示される通り、第2実施形態においても飲料容器100を潰しやすくするための折り畳み線Wを側面部40に設けてもよい。なお、図8では、プルタブ部90や飲み口80の図示は便宜的に省略する。
【0043】
第2実施形態の折り畳み線Wは、2つの第1区間W1と2つの第2区間W2と2つの第3区間W3とを含む。2つの第1区間W1は、高さ方向において相互に間隔をあけて周方向に沿って形成される。各第1区間W1は、例えば全周の半分以下の長さで形成される。各第2区間W2は、底面部20側にある第1区間W1の端部と上面部30側にある第1区間W1の端部とを接続するように設けられる。一方の第3区間W3は、底面部20側の第1区間W1の端部同士を接続するように設けられ、底面部20に向かって曲線をなすように形成される。他方の第3区間W3は、上面部30側の第1区間W1の端部同士を接続するように設けられ、上面部30に向かって曲線をなすように形成される。
【0044】
以上の折り畳み線Wにより、飲み終えた後は、底面部20と上面部30とが相互に近づくように折りたたむことができる。ただし、折り畳み線Wは図8の例示には限定されない。
【0045】
第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。
【0046】
[第3実施形態]
図9は、第3実施形態に係る飲料容器100の展開図である。第3実施形態に係る飲料容器100を構成するシート部材200は、第1実施形態と同様に、第1部分T1と第2部分T2と第3部分T3とを含む。なお、図9のシート部材200を組み立てた飲料容器100は、図1の場合と同様に四角柱状である。
【0047】
第1実施形態と同様に、第1部分T1は底面部20に対応する部分であり、第2部分T2は上面部30に対応する部分であり、第3部分T3は側面部40に対応する部分である。
【0048】
図9に例示される通り、第3実施形態の第2部分T2は、第1領域T21と第2領域T22とを含む。第1実施形態と同様に、第1領域T21は、上面部30になる部分であり、第2領域T22は、組み立てられた飲料容器100の状態において、第1領域T21の下側(内部空間側)に折り込まれる部分である。
【0049】
具体的には、第2領域T22は、領域T22a、領域T22b、領域T22c、領域T22dおよび領域T22eを含む。領域T22a、領域T22b、領域T22c、領域T22dおよび領域T22eは、X方向に沿って配列される。
【0050】
領域T22aと領域T22bとは、第1領域T21を挟んで反対側に位置する。領域T22aは、第1領域T21のうちX方向における一方側の周縁(第3側面部40c側の周縁)から、折り畳み線Wの第1区間W1の位置まで形成される。
【0051】
領域T22bは、第1領域T21のうちX方向における他方側の周縁(第4側面部40d側の周縁)から、折り畳み線Wの第1区間W1の位置まで形成される。領域T22aおよび領域T22bと、第1領域T21とは、Y方向における長さが略同じである。
【0052】
領域T22cは、領域T22aからみて第1領域T21とは反対側に位置する。領域T22cは、領域T22aにおける第1領域T21とは反対側の周縁から、第3側面部40cにおける第1側面部40aとは反対側の周縁と同じ位置まで形成される。
【0053】
領域T22dは、領域T22bからみて第1領域T21とは反対側に位置する。領域T22dは、領域T22bにおける第1領域T21とは反対側の周縁から、第4側面部40dにおける第1側面部40aとは反対側の周縁と同じ位置まで形成される。
【0054】
領域T22cおよび領域T22dのY方向における長さは、第1領域T21のY方向における長さよりも小さく、例えば第1領域T21のY方向における長さの1/2以下に設定する。
【0055】
図9に例示される通り(すなわち展開図の状態において)、領域T22eは、領域T22dからみて領域T22bとは反対側に位置する。領域T22eは、領域T22dにおける領域T22bとは反対側の周縁から、第2側面部40bにおける第4側面部40dとは反対側の周縁と同じ位置まで形成される。領域T22eにおけるY方向の長さは、例えば領域T22dにおけるY方向の長さと同じである。ただし、領域T22eにおけるY方向の長さが領域T22dにおけるY方向の長さより小さくてもよい。
【0056】
図10は、図9のシート部材200を組み立てた飲料容器100を潰す(折りたたむ)際の手順を示す図である。飲料を飲み終えた後、まず、図10(A)に例示される通り、上面部30を剥離させて持ち上げる。そうすると、領域T22a~T22eを図9のように設けたことで、上部が簡単に開口する。したがって、内部を洗いやすくなるという利点がある。
【0057】
なお、上面部30を持ち上げやすくするため、図9に例示される通り、第1領域T21における第1側面部40aとは反対側の周縁から突出部Eを設けてもよい。突出部Eは、飲料容器100(完成品)の第2側面部40bの表面に位置する。
【0058】
次に、図10(B)に例示される通り、第3側面部40cおよび第4側面部40dを内部空間側に押し込む。そして、図10(C)に例示される通り、飲料容器100を折り畳み線に沿って折りたたむ。
【0059】
なお、第3実施形態では、図10に例示される通り、飲み口80の形状が、第1側面部40aとは反対側の端部(Y方向における一方の端部)側の幅(X方向の長さが)が、第1側面部40a側の端部(Y方向における他方の端部)側よりも幅が小さい涙型である。飲み口80の形状を涙型にすることで、口をつけた際に、第1側面部40aとは反対側の端部側に空気の通り道ができるので、飲みやすくなる。
【0060】
[変形例]
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を適宜に併合することも可能である。
【0061】
(1)前述の各形態において、底面部20と上面部30と側面部40とを一連のシート部材200で形成することは必須ではない。複数のシート状の部材を相互に接着することで、飲料容器100を形成してもよい。
【0062】
(2)前述の各形態において、シート部材200は、厚さ方向にわたり全てが紙である必要はなく、例えば、紙からなる層の両面に樹脂層(例えば撥水性が高い樹脂からなる樹脂層)を設けた積層の部材であってもよい。以上の説明から理解される通り、シート部材200において厚さ方向の少なくとも一部に紙が用いられていればよい。
【0063】
(3)前述の角形態では、プルタブ部90における部分920が第1領域K1と第2領域K2とを含む構成を例示したが、部分920の構成は以上の例示には限定されない。例えば、第1領域K1および第2領域K2に加えてその他の領域を含んでもよいし、部分920が高さ方向の全体にわたり幅が一定であってもよい。
【0064】
(4)前述の各形態では、第1領域K1において第2領域K2側から先端部91に向かって連続的に幅が小さくなる構成を例示したが、第1領域K1の形状は以上の例示に限定されない。例えば、第1領域K1の周縁が弧を描くような形状であってもよいし、第1領域K1の先端側が第1側面部40aと上面部30との境界に平行な直線状であってもよい。
【0065】
なお、先端部91から離れた位置(上面部30側)に凹部901を設けると、想定以上に先端部91側からプルタブ部90が剥離していまい衛生面が確保できない場合があることや指や爪の引っ掛かりが悪くなる可能性がある。したがって、衛生面を確保しつつ、プルタブ部90を把持しやすくする観点からは、第1領域K1に凹部901を設ける構成が好適である。以上の構成では、第1領域K1の幅方向に沿って凹部901を設ける構成が好適である。
【0066】
(5)前述の各形態では、線状の凹部901を例示したが、凹部901の形状は以上の例示には限定されない。例えば、直線状の凹部901や所定の領域にわたる凹部901(例えば円形や多角形状の凹部901)であってもよい。先端部91を剥離することが可能であり、かつ、指や爪を引っ掛けやすくすることが可能であれば、凹部901の形状は任意である。以上の説明から理解される通り、プルタブ部90のうち先端部91における周縁に沿った線状に凹部901が形成されることは必須ではない。
【0067】
(6)第1実施形態では四角柱状の飲料容器100を例示し、第2実施形態では円柱状の飲料容器100を例示したが、飲料容器100の形状は、底面部20と上面部30と側面部40とを具備すれば任意である。また、上面部30が底面部20に対して傾斜している形状や側面部40が底面部20に対して傾斜している構成も採用される。
【0068】
(7)前述の各形態では、図1および図6に例示される通り、プルタブ部90の全体を飲料容器100から切り離すことが可能なように半切線L1(すなわち環状の半切線L1)を設けたが、図11に例示される通り、プルタブ部90を飲料容器100から切り離さないように、プルタブ部90のうち飲み口80からみて先端部91とは反対側の部分には半切線L1を設けない構成も採用される。
【0069】
(8)図12に例示される通り、プルタブ部90は多様な形状が採用される。図12(A)は、第1領域K1の周縁が弧状をなすように設定され、第2領域K2が第1領域K1側から上面部30側にかけて幅(高さ方向に垂直な方向の長さ)が連続的に小さくなる。図12(B)は、第1領域K1の幅が底面部20側に向かって連側的に小さくなり、第2領域K2の幅が高さ方向にわたり一定である。図12(C)は、第1領域K1と第2領域K2との双方の幅が底面部20側に向かって連側的に小さくなる。ただし、プルタブ部90の形状は以上の例示には限定されない。なお、第1領域K1の長さ(高さ方向の距離)および第2領域K2の長さの大小関係も任意である。
【0070】
(9)飲料容器100を畳みやすくするための折り畳み線Wを設ける位置および形状は、前述の各形態の例示には限定されない。例えば、図13に例示される通り、第3側面部40cおよび第4側面部40dにおける上面部30側において、2つの第2区間W2に対応するように2つの第4区間W4を設けてもよい。第3側面部40cおよび第4側面部40dにおける上面部30側にある2つの角部のそれぞれから第1区間W1に交差(例えば45°前後の角度で交差)するように設けられる。
【符号の説明】
【0071】
20 :底面部
30 :上面部
40 :側面部
40a :第1側面部
40b :第2側面部
40c :第3側面部
40d :第4側面部
80 :飲み口
90 :プルタブ部
91 :先端部
100 :飲料容器
200 :シート部材
901 :凹部
L1 :半切線
L2 :半切線
R1 :第1層
R2 :第2層
T1 :第1部分
T2 :第2部分
T3 :第3部分
W :折り畳み線
W1 :第1区間
W2 :第2区間
W3 :第3区間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13