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特開2023-12858情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012858
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20230119BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20230119BHJP
   G01C 21/36 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
G06F3/01 510
G06Q50/10
G01C21/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116580
(22)【出願日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(72)【発明者】
【氏名】長▲瀬▼ 太郎
【テーマコード(参考)】
2F129
5E555
5L049
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129AA11
2F129AA14
2F129CC19
2F129EE67
2F129EE78
2F129EE81
2F129EE94
2F129FF02
2F129FF20
2F129FF75
2F129GG17
2F129GG24
2F129HH20
2F129HH21
5E555AA48
5E555BA01
5E555BA23
5E555BB23
5E555BC04
5E555BE10
5E555CA42
5E555CA45
5E555CA47
5E555CB64
5E555CB65
5E555CB67
5E555DA23
5E555DB02
5E555DB53
5E555DB57
5E555DC05
5E555DC13
5E555DC84
5E555EA14
5E555EA28
5E555FA00
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】車両において過去のドライブ中の思い出を効果的に追体験することができる。
【解決手段】情報処理装置10は、運転に関する情報および車内の状況に関する情報を収集する収集部13aと、車内の状況に関する情報を加工する加工部13bと、運転に関する情報に基づいて、加工された前記車内の状況に関する情報を出力する出力部13cと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転に関する情報および車内の状況に関する情報を収集する収集部と、
前記車内の状況に関する情報を加工する加工部と、
前記運転に関する情報に基づいて、加工された前記車内の状況に関する情報を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記収集部は、搭乗者に関する情報を収集し、
前記加工部は、前記搭乗者に関する情報に基づいて、前記車内の状況に関する情報を加工する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記収集部は、画像認識、音声認識または表情認識により、前記搭乗者に関する情報として、運転者、同乗者、および各搭乗者の感情のうち少なくとも1つを収集する、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記加工部は、前記運転者、前記同乗者、または前記各搭乗者の感情ごとに、音声または動画像を対応付けすることによって前記車内の状況に関する情報を加工する、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記出力部は、前記運転に関する情報である位置情報に基づいて、加工された前記車内の状況に関する情報として、会話内容、音楽または景色を出力する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
情報処理装置によって実行される情報処理方法であって、
運転に関する情報および車内の状況に関する情報を収集する収集工程と、
前記車内の状況に関する情報を加工する加工工程と、
前記運転に関する情報に基づいて、加工された前記車内の状況に関する情報を出力する出力工程と、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
運転に関する情報および車内の状況に関する情報を収集する収集ステップと、
前記車内の状況に関する情報を加工する加工ステップと、
前記運転に関する情報に基づいて、加工された前記車内の状況に関する情報を出力する出力ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両走行中のドライバ(適宜、「運転者」または「ユーザ」)は、両手がふさがっていて、前方を注視している。このとき、運転者の脳のリソースは多く使用されているわけではなく、走行中の車内は考え事をするために適しているといえる。従来、運転者に対して、経路案内情報等を音声情報として出力する技術は存在するが、上記の音声情報以外に、一緒にドライブに関する思い出話に花を咲かせてくれる音声エージェントとしての機能を有するならば、運転者は走行中の車内の時間を有効に活用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-211862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、車両において過去のドライブ中の思い出を効果的に追体験することができるとはいえない場合がある。なぜならば、思い出はどのようにして回想したいかを考えた場合、そのままドライブレコーダー等に記録された映像や音声を見てもつまらないし、自分の映像や声は聞きたくないというユーザもいる。また、過去にあったことをそのままではなく、効果的に加工(例えば、美化等)されていてもいいというユーザもいる。さらに、過去のドライブの出来事をより確かな思い出とするために追体験したいユーザもいるし、特に忘れたくない「あの時のドライブ」を何度も追体験したいユーザもいる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車両において過去のドライブ中の思い出を効果的に追体験することができる情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る情報処理装置は、運転に関する情報および車内の状況に関する情報を収集する収集部と、前記車内の状況に関する情報を加工する加工部と、前記運転に関する情報に基づいて、加工された前記車内の状況に関する情報を出力する出力部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る情報処理方法は、情報処理装置によって実行される情報処理方法であって、運転に関する情報および車内の状況に関する情報を収集する収集工程と、前記車内の状況に関する情報を加工する加工工程と、前記運転に関する情報に基づいて、加工された前記車内の状況に関する情報を出力する出力工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る情報処理プログラムは、運転に関する情報および車内の状況に関する情報を収集する収集ステップと、前記車内の状況に関する情報を加工する加工ステップと、前記運転に関する情報に基づいて、加工された前記車内の状況に関する情報を出力する出力ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る情報処理システムの一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る処理全体の流れの一例を示すフローチャートである。
図4図4は、実施形態に係る情報収集処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5図5は、実施形態に係る情報加工処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態に係る情報出力処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7図7は、情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態により限定されるものではない。
【0011】
〔実施形態〕
以下に、実施形態(適宜、本実施形態)に係る情報処理システム100の処理、情報処理装置10の構成、処理の具体例、処理の流れを順に説明し、最後に本実施形態の効果を説明する。
【0012】
[情報処理システム100の処理]
図1を用いて、本実施形態に係る情報処理システム(適宜、本システム)100の処理を説明する。図1は、実施形態に係る情報処理システムの一例を示す図である。以下では、本システム100の構成例、本システム100の処理、本システム100の効果の順に説明する。
【0013】
(1.システム100の構成例)
図1に示した本システム100は、情報処理装置10およびユーザ20を有する。なお、本システム100には、複数台の情報処理装置10が含まれてもよい。また、本システム100では、情報処理装置10が収集するドライブ中の情報として、運転情報30A、車内情報30Bおよび搭乗者情報30Cが関与する。また、本システム100では、情報処理装置10が出力する情報として、思い出情報40が関与する。
【0014】
ここで、情報処理装置10は、車両(移動体の一例)の運転者に対して情報提供等を行う情報処理装置であり、例えば、サーバ装置やクラウドシステム等により実現される。図1では、情報処理装置10がサーバ装置により実現される場合を示す。なお、以下の説明では、移動体が車両である例を説明するが、移動体は車両に限られない。本システム100に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本システム100に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0015】
(2.システム100の処理)
本システム100において、まず、情報処理装置10は、ドライブ中の情報を収集する(ステップS1)。ここで、情報処理装置10が収集する情報は、ドライブの経路情報等を含む運転情報30A、ドライブ中の会話内容等を含む車内情報30B、搭乗者の感情等を含む搭乗者情報30C等であるが、特に限定されない。このとき、情報処理装置10は、例えば表情認識技術を用いて、搭乗者の感情を収集する。また、情報処理装置10が収集する情報として、直接搭乗に係る情報のほかに、ドライブをしたときの気温、湿度、風速、花粉の飛散状況等を含む天気情報や、ドライブをした周辺の地域のその日のニュース等が含まれていてもよい。
【0016】
次に、情報処理装置10は、収集した情報を加工して思い出情報40を生成する(ステップS2)。このとき、情報処理装置10は、例えば運転者の感情ごとに、ドライブ中の会話内容を分類する。
【0017】
そして、情報処理装置10は、加工した情報、つまり思い出情報40をユーザ20に出力する(ステップS3)。このとき、情報処理装置10は、例えば運転者が過去ドライブした経路を再度走行した場合には、過去ドライブしたときに車内に流れていた音楽を再生する。
【0018】
(3.システム100の効果)
上述したように、本システム100では、情報処理装置10は、ドライブ中の情報として、ドライブの経路情報等を含む運転情報30A、ドライブ中の会話内容等を含む車内情報30B、搭乗者の感情等を含む搭乗者情報30Cを収集し、収集した情報を搭乗者の感情等を含む搭乗者情報30Cを用いて思い出情報40を生成し、過去走行したルートの位置情報等をもとに思い出情報40を呼び出す。このため、運転者や同乗者であるユーザ20は、旅情をかきたてる思い出の追体験をすることができる。また、ユーザ20は、上記の思い出を、感情的な、情緒のある、感情に訴えかける演出により追体験することができる。
【0019】
[情報処理装置10の構成]
図2を用いて、本実施形態に係る情報処理装置10の構成を詳細に説明する。図2は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。情報処理装置10は、通信部11、記憶部12および制御部13を有する。
【0020】
(1.通信部11)
通信部11は、他の装置との間でのデータ通信を司る。例えば、通信部11は、各通信装置との間でデータ通信を行う。また、通信部11は、図示しないオペレータの端末との間でデータ通信を行うことができる。
【0021】
(2.記憶部12)
記憶部12は、制御部13が動作する際に参照する各種情報や、制御部13が動作した際に取得した各種情報を記憶する。記憶部12は、運転情報記憶部12a、車内情報記憶部12b、搭乗者情報記憶部12cおよび思い出情報記憶部12dを有する。ここで、記憶部12は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置等で実現され得る。なお、図2の例では、記憶部12は、情報処理装置10の内部に設置されているが、情報処理装置10の外部に設置されてもよいし、複数の記憶部が設置されていてもよい。
【0022】
(2-1.運転情報記憶部12a)
運転情報記憶部12aは、運転に関する情報(運転情報)30Aを記憶する。例えば、運転情報記憶部12aは、経路情報として、ルート、目的地、立ち寄り地等の位置情報や運転時間帯や季節等の時間情報を記憶する。また、運転情報記憶部12aは、車両情報として、車両の種類、車名、年式、型式、メーカー名等の情報を記憶する。さらに、運転情報記憶部12aは、ルートの走行回数、目的地への到着回数、立ち寄り地の利用回数、各車両への搭乗回数等を記憶してもよい。
【0023】
(2-2.車内情報記憶部12b)
車内情報記憶部12bは、車内の状況に関する情報(車内情報)30Bを記憶する。例えば、車内情報記憶部12bは、音声情報として、搭乗者の会話や車内に流れていた音楽を記憶する。また、車内情報記憶部12bは、動画像情報として、車内から見える景色や搭乗者の表情や視線情報を記憶する。さらに、車内情報記憶部12bは、搭乗者の会話や車内の状況説明を文章化した文字情報を記憶してもよい。
【0024】
(2-3.搭乗者情報記憶部12c)
搭乗者情報記憶部12cは、搭乗者に関する情報(搭乗者情報)30Cを記憶する。例えば、搭乗者情報記憶部12cは、搭乗者識別情報として、搭乗した運転者の情報や同乗者の情報を記憶する。また、搭乗者情報記憶部12cは、搭乗者感情情報として、搭乗した運転者の感情や同乗者の感情と記憶する。さらに、搭乗者情報記憶部12cは、各搭乗者の搭乗回数、各搭乗者の搭乗時間、各感情の検知回数等を記憶してもよい。
【0025】
(2-4.思い出情報記憶部12d)
思い出情報記憶部12dは、後述の制御部13の加工部13bによって加工された車内の状況に関する情報(思い出情報)40を記憶する。例えば、思い出情報記憶部12dは、運転者ごとに分類された車内情報30B、同乗者ごとに分類された車内情報30B、各搭乗者の感情ごと分類された車内情報30Bを記憶する。また、思い出情報記憶部12dは、思い出を演出するための演出情報として、喜怒哀楽の感情を惹起する音楽や映像等を記憶してもよい。
【0026】
(3.制御部13)
制御部13は、当該情報処理装置10全体の制御を司る。制御部13は、収集部13a、加工部13bおよび出力部13cを有する。ここで、制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路やASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路である。
【0027】
(3-1.収集部13a)
収集部13aは、運転に関する情報(運転情報)30Aおよび車内の状況に関する情報(車内情報)30Bを収集する。例えば、収集部13aは、ユーザ20から、運転情報30Aとして、経路情報(位置情報:ルート・目的地・立ち寄り地等、時間情報:運転時間帯・季節等)、車両情報(車両の種類・車名・年式・型式・メーカー名等)を収集する。また、収集部13aは、ユーザ20から、車内情報30Bとして、音声情報(搭乗者の会話・車内に流れていた音楽)、動画像情報(車内から見える景色・搭乗者の表情や視線情報等)を収集する。
【0028】
さらに、収集部13aは、搭乗者に関する情報(搭乗者情報)30Cを収集する。例えば、収集部13aは、画像認識、音声認識または表情認識により、搭乗者情報30Cとして、運転者、同乗者、および各搭乗者の感情のうち少なくとも1つを収集する。すなわち、収集部13aは、ユーザ20から、搭乗者識別情報(運転者の情報・同乗者の情報等)、搭乗者感情情報(運転者の感情・同乗者の感情等)を収集する。
【0029】
なお、収集部13aは、運転情報30A、車内情報30B、搭乗者情報30C等を通信部11経由で他の端末やデータベースから収集してもよい。また、収集部13aは、収集した運転情報30A、車内情報30B、搭乗者情報30C等を記憶部12(運転情報記憶部12a、車内情報記憶部12b、搭乗者情報記憶部12c)に格納する。
【0030】
(3-2.加工部13b)
加工部13bは、車内の状況に関する情報(車内情報)30Bを加工する。例えば、加工部13bは、搭乗者に関する情報(搭乗者情報)30Cに基づいて、車内情報30Bを加工する。すなわち、加工部13bは、運転者の情報、同乗者の情報等の搭乗者識別情報ごとに車内情報を分類することによって、車内情報を加工する。また、加工部13bは、運転者の感情、同乗者の感情等の搭乗者感情情報ごとに車内情報を分類することによって、車内情報を加工する。なお、加工部13bは、搭乗者の会話や車内の状況説明を文章化した文字情報として加工してもよい。
【0031】
さらに、加工部13bは、運転者、同乗者、または各搭乗者の感情ごとに、音声または動画像を対応付けすることによって車内の状況に関する情報を加工する。具体的な例としては、加工部13bは、運転者の感情が「楽しい」感情であったときに車窓から見えた景色の画像情報に、「楽しい」感情を演出する音楽を対応付けする。一方、加工部13bは、加工した車内情報を記憶部12の思い出情報記憶部12dに格納する。
【0032】
(3-3.出力部13c)
出力部13cは、運転に関する情報(運転情報)30Aに基づいて、加工された車内の状況に関する情報(思い出情報)40を出力する。例えば、出力部13cは、運転情報30Aである位置情報に基づいて、思い出情報40として、会話内容、音楽または景色を出力する。具体的な例としては、出力部13cは、過去に訪れたことのある目的地に再訪した場合には、当時の車内で流れていた音楽を再生する。
【0033】
また、出力部13cは、運転情報である時間情報や車両情報に基づいて、思い出情報40を出力する。具体的な例としては、出力部13cは、過去に春の季節に多く車内で流れていた音楽を、春になるたびに再生してもよいし、過去に搭乗していたメーカーの車両で多く見えた景色の画像を、同メーカーの車両に搭乗する際に車両のモニタに出力してもよい。
【0034】
さらに、出力部13cは、搭乗者情報である搭乗者識別情報や搭乗者感情情報に基づいて、思い出情報40を出力してもよい。具体的な例としては、出力部13cは、過去に特定の同乗者がいるときに多く車内で流れていた音楽を、当該同乗者が搭乗する際に再生してもよいし、過去に運転者が「楽しい」感情であったときに車窓から見えた景色の画像を、収集部13aにより運転者の「楽しい」感情を検知した際に車両のモニタに出力してもよい。
【0035】
[処理の具体例]
続いて、本実施形態に係る処理の具体例を説明する。以下では、長期的な思い出の呼び出し、短期的な思い出の呼び出し処理、追体験のためのルート呼び出し、他の車両での思い出の呼び出しについて詳細に説明する。
【0036】
(1.長期的な思い出の呼び出し)
以下では、本実施形態に係る処理の具体例として、長期的な思い出の呼び出しについて説明する。情報処理装置10は、走行データを長期にわたって保存しておき、同じルートを通ったときに保存した走行データを呼び出すことができる。このとき、情報処理装置10は、走行データとして、走行ログ以外のデータ(乗っていた車名、聞いていた音楽、誰と車に乗っていたか、会話、立ち寄り地、感情等)も保存する。
【0037】
例えば、情報処理装置10は、所定の回数(例:50回)以上通ったことのある道を登録しておき、再び同じ道を通ったときには、当時の車内で流れていた音楽や見ていた景色を呼び出す。このため、ユーザ20は、ドライブで過去を振り返ることができる。
【0038】
(2.短期的な思い出の呼び出し)
以下では、本実施形態に係る処理の具体例として、短期的な思い出の呼び出しについて説明する。情報処理装置10は、思い出を作り、思い出を呼び起こすことができる。
【0039】
例えば、情報処理装置10は、1回目のドライブ(例:ドライブデートや友人・家族とのドライブ旅行)において、車内での会話やそのときの景色、見たもの等を何でも記録しておく。このとき、情報処理装置10は、搭乗者の好みや盛り上がり度等に応じて、気の利いた音楽を再生してもよい。
【0040】
情報処理装置10は、2回目以降のドライブにおいて、一人でドライブしても同じ体験ができるように思い出の呼び出しを可能とする。すなわち、情報処理装置10は、1回目のドライブであったことを鮮明に再現する。例えば、情報処理装置10は、1回目のドライブと全く同じルートをナビゲーションしたり、思い出を美化するように画像や音声を出力したりする。なお、ユーザ20の中の綺麗な記憶を呼び出すことが目的なので、正確性はそれほど重要でない。
【0041】
具体的な例では、情報処理装置10は、1回目のドライブで起こった会話内容を加工して、「あなたが『あの桜、きれいだね』と言ったときに、彼女は桜ではなく運転するあなたを見ていましたね」「ここから富士山が見えましたよね。今日は曇っていますが、当時はくっきり見えていて2人とも笑顔になりましたよね」等の音声を、2回目のドライブの際に出力する。このため、ユーザ20は、絶対に忘れたくない1度の経験を何度も追体験することができる。ここで、加工の度合い、すなわち会話内容や状況の正確さの度合いについては、ユーザや状況に応じて変更可能に構成するようにしてもよい。
【0042】
(3.追体験のためのルート呼び出し)
以下では、本実施形態に係る処理の具体例として、追体験のためのルート呼び出しについて説明する。情報処理装置10は、過去に通ったことのあるルートを呼び出して、経路案内情報を出力することができる。
【0043】
例えば、情報処理装置10は、ユーザ20に対して、ユーザ20が過去に通ったことのあるルートを優先的に案内する。このとき、情報処理装置10は、当時と全く同じルートで通れる場合には、そのままの経路呼び出しを行う。一方、情報処理装置10は、過去に通ったルートがなくなっていたり、新しい道ができていたりする場合には、過去とは違うルートで案内する。なお、情報処理装置10は、ユーザ20の反応(感情情報等)をもとに、さらにルートを変更して案内してもよい。
【0044】
さらに、情報処理装置10は、ルートが変わったことを教えるときには、昔あったものが今どう変わったかを音声ガイドしてもよい。また、情報処理装置10は、ルートが変わっていても、盛り上がりに欠けるような情報しかないときには、特に変化は伝えず、それとなく案内してもよい。
【0045】
(4.他の車両での思い出の呼び出し)
以下では、本実施形態に係る処理の具体例として、他の車両での思い出の呼び出しについて説明する。情報処理装置10は、ユーザ20が他の車両で体験した思い出や、ユーザ20以外のユーザが体験した思い出を呼び出すことができる。
【0046】
例えば、情報処理装置10は、レンタカー利用時にユーザ20の本人データを呼び出して、思い出を追体験することもできる。このため、ユーザ20は、情報処理装置10に係るサービスを車両が代わっても利用することができる。
【0047】
また、情報処理装置10は、ユーザ20とは異なる本人データを呼び出して、他者の思い出を追体験することもできる。例えば、情報処理装置10は、有名人が体験したドライブの思い出、テレビにおける旅行番組のドライブ情報を呼び出すことができる。このため、ユーザ20は、自分が体験したことがない思い出についても追体験することができる。
【0048】
(5.その他)
上記の情報処理装置10に係るサービスは、車両に乗って、同じ場所に行ってサービスを利用しないと、データは呼び出せない、また、データの保存にも呼び出しにも課金が必要等の設定をすることができる。
【0049】
[処理の流れ]
図3図6を用いて、本実施形態に係る処理の流れについて詳細に説明する。以下では、実施形態に係る処理全体の流れ、情報収集処理の流れ、情報加工処理の流れ、情報出力処理の流れの順に説明する。
【0050】
(1.処理全体の流れ)
図3を用いて、本実施形態に係る処理全体の流れについて詳細に説明する。図3は、実施形態に係る処理全体の流れの一例を示すフローチャートである。
【0051】
まず、情報処理装置10の収集部13aは、情報収集処理を実行する(ステップS101)。次に、情報処理装置10の加工部13bは、情報加工処理を実行する(ステップS102)。最後に、情報処理装置10の出力部13cは、情報出力処理を実行し(ステップS103)、処理を終了する。なお、上記のステップS101~S103の処理は、異なる順序で実行することもできる。また、上記のステップS101~S103のうち、省略される処理があってもよい。
【0052】
(2.情報収集処理の流れ)
図4を用いて、本実施形態に係る情報収集処理の流れについて詳細に説明する。図4は、実施形態に係る情報収集処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0053】
まず、収集部13aは、ユーザ20から運転情報を収集する(ステップS201)。次に、収集部13aは、ユーザ20から車内情報を収集する(ステップS202)。最後に、収集部13aは、ユーザ20から搭乗者情報を収集し(ステップS203)、処理を終了する。なお、上記のステップS201~S203の処理は、異なる順序で実行することもできる。また、上記のステップS201~S203のうち、省略される処理があってもよい。
【0054】
(3.情報加工処理の流れ)
図5を用いて、本実施形態に係る情報加工処理の流れについて詳細に説明する。図5は、実施形態に係る情報加工処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0055】
まず、加工部13bは、運転者ごとに車内情報30Bを加工する(ステップS301)。次に、加工部13bは、同乗者ごとに車内情報30Bを加工する(ステップS302)。最後に、加工部13bは、搭乗者の感情ごとに車内情報30Bを加工し(ステップS303)、処理を終了する。なお、上記のステップS301~S303の処理は、異なる順序で実行することもできる。また、上記のステップS301~S303のうち、省略される処理があってもよい。
【0056】
(4.情報出力処理の流れ)
図6を用いて、本実施形態に係る情報出力処理の流れについて詳細に説明する。図6は、実施形態に係る情報出力処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0057】
まず、出力部13cは、運転情報30Aのうち位置情報をもとに思い出情報40を出力する(ステップS401)。次に、出力部13cは、運転情報30Aのうち時間情報をもとに思い出情報40を出力する(ステップS402)。最後に、出力部13cは、運転情報30Aのうち車両情報をもとに思い出情報40を出力し(ステップS403)、処理を終了する。なお、上記のステップS401~S403の処理は、異なる順序で実行することもできる。また、上記のステップS401~S403のうち、省略される処理があってもよい。
【0058】
[実施形態の効果]
第1に、上述した本実施形態に係る処理では、運転情報30Aおよび車内情報30Bを収集し、車内情報30Bを加工し、運転情報30Aに基づいて、思い出情報40を出力する。このため、本処理では、車両において過去のドライブ中の思い出を効果的に追体験することができる。
【0059】
第2に、上述した本実施形態に係る処理では、搭乗者情報30Cを収集し、搭乗者情報30Cに基づいて、車内情報30Bを加工する。このため、本処理では、車両において過去のドライブ中の思い出をより効果的に追体験することができる。
【0060】
第3に、上述した本実施形態に係る処理では、画像認識、音声認識または表情認識により、搭乗者情報30Cとして、運転者、同乗者、および各搭乗者の感情のうち少なくとも1つを収集する。このため、本処理では、過去の搭乗者の情報をもとに、運転中に車両において過去のドライブ中の思い出をより効果的に追体験することができる。
【0061】
第4に、上述した本実施形態に係る処理では、運転者、同乗者、または各搭乗者の感情ごとに、音声または動画像を対応付けすることによって車内情報を加工する。このため、本処理では、過去の搭乗者の情報をもとに思い出を美化し、運転中に車両において過去のドライブ中の思い出をより効果的に追体験することができる。
【0062】
第5に、上述した本実施形態に係る処理では、運転情報30Aである位置情報に基づいて、思い出情報40として、会話内容、音楽または景色を出力する。このため、本処理では、運転中に車両において過去のドライブ中の思い出を効果的に追体験することができる。
【0063】
〔ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る情報処理装置10は、例えば、図7に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。以下、情報処理装置10を例に挙げて説明する。図7は、情報処理装置10の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0064】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0065】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、所定の通信網を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを所定の通信網を介して他の機器へ送信する。
【0066】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0067】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0068】
例えば、コンピュータ1000が第1の実施形態に係る情報処理装置10として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部13の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から所定の通信網を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0069】
〔その他〕
また、上記各実施形態において説明した処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0070】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0071】
また、上記各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0072】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0073】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、収集部は、収集手段や収集回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0074】
10 情報処理装置
11 通信部
12 記憶部
12a 運転情報記憶部
12b 車内情報記憶部
12c 搭乗者情報記憶部
12d 思い出情報記憶部
13 制御部
13a 収集部
13b 加工部
13c 出力部
20 ユーザ
30A 運転情報
30B 車内情報
30C 搭乗者情報
40 思い出情報
100 情報処理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7