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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128615
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】自転車用灯火装置
(51)【国際特許分類】
   B62J 6/028 20200101AFI20230907BHJP
   F21L 2/00 20060101ALI20230907BHJP
   F21S 41/148 20180101ALI20230907BHJP
   F21S 41/32 20180101ALI20230907BHJP
   F21S 41/19 20180101ALI20230907BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20230907BHJP
   F21S 43/20 20180101ALI20230907BHJP
   B60Q 1/00 20060101ALI20230907BHJP
   B60Q 1/26 20060101ALI20230907BHJP
   F21S 45/10 20180101ALI20230907BHJP
   F21V 9/40 20180101ALI20230907BHJP
   F21V 14/04 20060101ALI20230907BHJP
   B60Q 1/02 20060101ALI20230907BHJP
   B62J 6/26 20200101ALI20230907BHJP
   F21S 9/02 20060101ALN20230907BHJP
   F21W 103/60 20180101ALN20230907BHJP
   F21W 102/10 20180101ALN20230907BHJP
   F21W 107/13 20180101ALN20230907BHJP
   F21W 105/00 20180101ALN20230907BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230907BHJP
【FI】
B62J6/028
F21L2/00 110
F21S41/148
F21S41/32
F21S41/19
F21S43/14
F21S43/20
B60Q1/00 G
B60Q1/26 Z
F21S45/10
F21V9/40 400
F21V14/04
B60Q1/02 F
B60Q1/26 A
B62J6/26
F21S9/02
F21W103:60
F21W102:10
F21W107:13
F21W105:00
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033069
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】土谷 麻依子
(72)【発明者】
【氏名】米谷 高之
(72)【発明者】
【氏名】本名 佑也
(72)【発明者】
【氏名】中尾 美涼
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339AA04
3K339AA22
3K339AA34
3K339AA43
3K339BA01
3K339BA02
3K339BA03
3K339BA08
3K339BA12
3K339BA18
3K339BA21
3K339BA22
3K339BA23
3K339BA26
3K339BA30
3K339CA01
3K339CA25
3K339DA01
3K339DA05
3K339EA01
3K339EA02
3K339EA05
3K339EA09
3K339EA10
3K339FA03
3K339FA20
3K339GA01
3K339GB01
3K339GB21
3K339GC01
3K339HA01
3K339JA21
3K339JA23
3K339JA26
3K339KA04
3K339KA06
3K339KA11
3K339KA29
3K339LA06
3K339MA05
3K339MA10
3K339MC41
3K339MC52
3K339MC58
3K339MC77
(57)【要約】      (修正有)
【課題】自転車の安全性向上のために、自転車の運転者よりも側方の左前方および/または右前方の路面に対して所定の意匠を描画する機能を持つランプユニットを設けた自転車用灯火装置を提供する。
【解決手段】自転車用灯火装置10は、同一のハウジング内に正面から見て中央領域に設けられた中央発光ユニットにより走行方向正面を照明し、その両側に右発光ユニット12Rと左発光ユニット12Lと、制御基板17とを備える。右発光ユニット12Rおよび左発光ユニット12Lの少なくとも何れかの発光ユニット12R,12Lには、LED光源と画像形成部とからなる描画光学系を有する。中央発光ユニットは前照灯としての規格に合致した横幅の狭い配光パターンを照射する。描画光学系は、中央発光ユニットの配光パターンよりも側方の路面に向けて所定画像を描画する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面から見て中央領域に設けられており、かつ、前方へ向けて光を発するように形成されている中央発光ユニットと、
前記中央発光ユニットの中心線から見て当該中心線よりも右側にシフトして設けられており、かつ、前記中央発光ユニットよりも右前方手前へ向けて光を発するように形成されている右発光ユニットと、
前記中央発光ユニットの中心線から見て当該中心線よりも左側にシフトして設けられており、かつ、前記中央発光ユニットよりも左前方手前へ向けて光を発するように形成されている左発光ユニットと、
前記中央発光ユニット、前記右発光ユニットおよび前記左発光ユニットのそれぞれの点灯状態を制御する点灯駆動回路を備えた制御基板と、
前記中央発光ユニット、前記右発光ユニット、前記左発光ユニットおよび前記制御基板を収容する灯室を備えたハウジングと、を備え、
前記ハウジングには、自転車に固定するための固定部が形成されており、
前記右発光ユニットおよび前記左発光ユニットの少なくとも何れかの発光ユニットには、LED光源と当該LED光源の照射方向前方に設けた画像形成部とからなる描画光学系が設けられており、
前記描画光学系は、前記中央発光ユニットの配光パターンよりも手前の路面に向けて所定画像を描画するように照射光を出射する自転車用灯火装置。
【請求項2】
前記右発光ユニットおよび前記左発光ユニットの少なくとも何れかの発光ユニットの画像形成部は、当該発光ユニットに画像フィルム固定枠備え、前記画像フィルム固定枠に挿脱可能な画像フィルムを有することを特徴とする請求項1に記載の自転車用灯火装置。
【請求項3】
前記右発光ユニットおよび前記左発光ユニットの少なくとも何れかの発光ユニットの画像形成部は、電気的手段により意匠を変更可能な可変型の画像形成部であることを特徴とする請求項1に記載の自転車用灯火装置。
【請求項4】
前記制御基板は、
前記中央発光ユニットの光源の点灯状態を制御する第1制御部と、前記右発光ユニットおよび前記左発光ユニットのそれぞれの光源の点灯状態を制御する第2制御部とを備えており、
前記第1制御部は、照度センサの出力信号に応じて、またはスイッチ動作に応じて連続点灯を行い、
前記第2制御部は、前記第1制御部による前記中央発光ユニットの光源の点灯とは独立して、点滅点灯を行うものである請求項1から請求項3の何れかに記載の自転車用灯火装置
【請求項5】
前記中央発光ユニット、前記右発光ユニットおよび前記左発光ユニットのそれぞれの光源が、LEDであることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の自転車用灯火装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れかに記載の自転車用灯火装置を備えている自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車用灯火装置に関し、さらに詳しくは、上面から見て進行方向正面の中心を照明する発光部と、自転車近傍の左右路面に向けて所定の意匠を描画するための発光部を有する自転車用照明装置、特に自転車用の前照灯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の自転車用の前照灯では、発光部が1つだけで白熱光源を用いて照明方向に向けて光を照射するものでものが一般的であった(例えば、特許文献1参照)。また、安全性向上のために左折時または右折時に点灯する光源を設けた照明装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1の自転車用照明ユニットは、本体ケースの中に周囲の明るさを検知する照度検知部と、反射板、小型白熱電球からなる発光体とを備えており、照度センサで検知された照度に基づいて小型白熱電球の点灯消灯を制御している。
【0004】
特許文献2の自転車用照明ユニットは、中央ランプ、左前方を照明するための左向きランプおよび右前方を照明するための右向きランプからなる照明ユニットと、所定の軸回りの回転を検出するための回転検出部と、回転検出部の検出信号に基づいて左向きランプ及び右向きランプの点灯状態を制御するランプ駆動部と、を備える。照明ユニットは、中央ランプがハンドルにより操作される前輪が向けられた前方の正面を照射するように自転車に装着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-019988号公報
【特許文献2】特開2018-62260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の自転車用灯火装置では、進行方向正面方向は照明することができるが、左前方および右前方を照明することはできない。
【0007】
特許文献2の自転車用照明ユニットは、進行方向正面方向に加えて回転検出部の検出信号に応じて左前方または右前方を選択的に照明することができる。しかしながら、中央ランプを常時点灯させハンドルの操舵角に応じてその照度を変更するとともに左向きランプもしくは右向きランプを点灯することを記載するのみであり、左向きランプもしくは右向きランプの配光についての具体的記載は存在しない。
【0008】
また、特許文献1および特許文献2の自転車用の照明装置は、自転車の運転者にとって車両前方の視認性を高めることを記載するものであって、自転車の周囲の歩行者や他の自転車等の車両の運転者から見たときに、それらの他の車両の運転者に対してメッセージをおくることについて何ら記載していない。
【0009】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたもので、自転車の安全性向上のために、自転車の運転者よりも側方の左前方および/または右前方の路面に対して所定の意匠を描画する機能を持つランプユニットを設けた自転車用灯火装置を実現することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、前記課題を達成するために、下記[1]から[5]の自転車用灯火装置および[6」の自転車を提供する。
【0011】
[1] 正面から見て中央領域に設けられており、かつ、前方へ向けて光を発するように形成されている中央発光ユニットと、
前記中央発光ユニットの中心線から見て当該中心線よりも右側にシフトして設けられており、かつ、前記中央発光ユニットよりも右前方手前へ向けて光を発するように形成されている右発光ユニットと、
前記中央発光ユニットの中心線から見て当該中心線よりも左側にシフトして設けられており、かつ、前記中央発光ユニットよりも左前方手前へ向けて光を発するように形成されている左発光ユニットと、
前記中央発光ユニット、前記右発光ユニットおよび前記左発光ユニットのそれぞれの点灯状態を制御する点灯駆動回路を備えた制御基板と、
前記中央発光ユニット、前記右発光ユニット、前記左発光ユニットおよび前記制御基板を収容する灯室を備えたハウジングと、を備え、
前記ハウジングには、自転車に固定するための固定部が形成されており、
前記右発光ユニットおよび前記左発光ユニットの少なくとも何れかの発光ユニットには、LED光源と当該LED光源の照射方向前方に設けた画像形成部とからなる描画光学系が設けられており、
前記描画光学系は、前記中央発光ユニットの配光パターンよりも手前の路面に向けて所定画像を描画するように照射光を出射する自転車用灯火装置。
【0012】
[2] 前記右発光ユニットおよび前記左発光ユニットの少なくとも何れかの発光ユニットの画像形成部は、当該発光ユニットに画像フィルム固定枠備え、前記画像フィルム固定枠に挿脱可能な画像フィルムを有することを特徴とする[1]に記載の自転車用灯火装置。
[3] 前記右発光ユニットおよび前記左発光ユニットの少なくとも何れかの発光ユニットの画像形成部は、電気的手段により意匠を変更可能な可変型の画像形成部であることを特徴とする[1]に記載の自転車用灯火装置。
[4] 前記制御基板は、
前記中央発光ユニットの光源の点灯状態を制御する第1制御部と、前記右発光ユニットおよび前記左発光ユニットのそれぞれの光源の点灯状態を制御する第2制御部とを備えており、
前記第1制御部は、照度センサの出力信号に応じて、またはスイッチ動作に応じて連続点灯を行い、
前記第2制御部は、前記第1制御部による前記中央発光ユニットの光源の点灯とは独立して、点滅点灯を行うものである[1]から[3]の何れかに記載の自転車用灯火装置
[5] 前記中央発光ユニット、前記右発光ユニットおよび前記左発光ユニットのそれぞれの光源が、LEDであることを特徴とする[1]から[4]の何れかに記載の自転車用灯火装置。
[6] 上記[1]から[5]の何れかに記載の自転車用灯火装置を備えている自転車。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、自転車用灯火装置において、自転車の進行方向正面の路面への照射と共に側方の左前方および/または右前方の路面に対して所定の意匠を描画する機能を持つので、路面の照射範囲を広くして運転者にとって足元を明るくして使いやすいものとすることができる。さらに運転者のみでなく周囲の人、自動車、自転車その他の者に対して路面描画によっても自転車の存在を知らしめることができる。これらにより自転車走行の安全性を高めることができる。
【0014】
また、上記[2]または[3]に記載の発明によれば、描画光学系によって路面に描画する所定画像を変更することができるので、運転者および/または周囲の者に応じていろいろな印象を与えることができる。また、上記[4]に記載の発明によれば、路面に描画する所定画像の認識性を高めることができる。また、上記[5]に記載の発明によれば、中央発光ユニット、右発光ユニットおよび左発光ユニットの全ての光源をLEDとしたので、その制御回路を共通化することができ簡素化することができ得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る自転車用灯火装置を取り付けた車両(自転車)示す概略側面図である。
図2図2は、本実施形態の自転車用灯火装置を示す自転車の前方斜め上方向から観察した概略斜視図である。
図3図3は、本実施形態の自転車用灯火装置の水平方向断面を示す概略断面図である。
図4図4は、本実施形態の中央発光ユニットの光学系を説明する鉛直方向断面図である。
図5図5は、左発光ユニットを説明する概略縦断面図である。
図6図6は、自転車用灯火装置の点灯制御を説明するためのブロック図である。
図7図7は、自転車用灯火装置の路面照射パターンを示す等照度曲線で示した概略図である。
図8図8は、図7において点線で示した路面照射パターンにおける路面描画のパターンの具体例を例示する意匠の説明図である。
図9図9は、第2の実施形態の自転車用灯火装置を示す概略図である。
図10図10は、自転車用灯火装置が照射する路面照射パターンを説明する概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る車両用灯具について好適な実施の形態を挙げて、図面を参照して説明する。以下の説明では、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、車両(自転車)に設置した状態において運転者から見た方向を指すものとする。従って「前」は前照灯からの光の主たる照射方向である車両の前方(自転車の進行方向)に相当し、「後」は車両の後方側(運転者の背面方向)に相当し、「左」は車両の走行方向を基準としたときの左側に相当する。「下」は路面側(運転者の足元側)に相当する。
【0017】
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の一実施形態に係る自転車用灯火装置を取り付けた車両(自転車)示す概略側面図である。自転車1には、フレーム2を中心として前タイヤ3、後タイヤ4、ハンドル5、サドル6およびペダル7を設けて構成されている。前タイヤ3はハンドル5の操舵に連動して回動し、前照灯11は前タイヤ3と連動して回動するように固定されている。後タイヤ4もしくはフレーム2には図示しない尾灯を設けている。
【0018】
前照灯11および尾灯は、自転車用灯火装置の一種である。前照灯11は、夜間または視界が悪いときに、前方に向けて照射して路面上の障害物を確認できるようにする白色光を照射する灯火装置である。尾灯は、夜間または視界が悪いときに、赤色光を発して後方からその自転車1の存在を示す役割を果たす灯火装置である。
【0019】
図2は、本実施形態の自転車用灯火装置10を示す自転車の前方斜め上方向から観察した概略斜視図である。図3は、本実施形態の自転車用灯火装置10の水平方向断面を示す概略斜視図である。本実施形態においては、自転車用灯火装置10の中に前照灯11として機能するランプユニットを収容して自転車前方を照明する自転車用前方照明装置としている。さらに前方手前の路面に所定の意匠を投影する描画ランプユニットも収容している。具体的には正面から見て中央領域に設けられている中央発光ユニット11が前照灯11に相当し、自転車前方へ向けて光を発するように形成されている。さらに中央発光ユニットの両側には一対のランプユニットからなる描画ランプユニット12が配置されている。上面から見て中央発光ユニット11の中心線Mよりも左側にシフトした位置に設けられているのが左発光ユニット12Lであり、中央発光ユニット11よりも左前方手前へ向けて光を発するように形成されている。上面から見て中央発光ユニット11の中心線Mよりも右側にシフトした位置に設けられているのが右発光ユニット12Rであり、中央発光ユニット11よりも右前方手前へ向けて光を発するように形成されている。
【0020】
中央発光ユニット11および描画ランプユニット12は、ハウジング13内に固定されている。ハウジング13は、前方側が開口した灯室14を有する概略箱形状をなしたケースである。前方開口には、透光性樹脂からなるアウターレンズ15が取り付けられており、灯室14内に設けた中央発光ユニット11および描画ランプユニット12から照射された光を外部に向けて透過する。
【0021】
(アウターレンズ)
アウターレンズ15は、素通しのものとして説明するが、各ランプユニットから出射した光を屈折させる屈折レンズを設けたものでも良い。ハウジング13の底面には自転車に固定するための固定部13Cが形成されている。固定部13Cは自転車の前タイヤ3と連動して回動するように前タイヤ3の泥よけにねじ等の固定手段を用いて取付けされる。本実施形態では、図2に示すように正面視において中央発光ユニット11に対応する位置に形成した楕円形状の窓部15Cおよび描画ランプユニット12(右発光ユニット12Rおよび左発光ユニット12L)に対応する円形状の窓部15R,15Lの部分を光透過性樹脂材料で形成し、それ以外の箇所は着色樹脂材料を設けて灯室内14の内側を観視しにくいものとしている。
【0022】
(ハウジング)
ハウジング13は、有底の上方側に灯室14となる収容凹部を設けた下部ハウジング14aとその収容凹部を覆う上部ハウジング14bからなる。収容凹部内には、前方側に中央発光ユニット11および描画ランプユニット12が固定されるランプユニット取付部が設けられ、後方側にバッテリー16および制御基板17が固定される制御装置取付部が設けられている。図3に示すように制御基板17は、バッテリー16と中央発光ユニット11および描画ランプユニット12との間に位置するように板厚方向が上下方向と平行とした状態で下部ハウジング14aに上側から挿入して配置される。アウターレンズ15、バッテリー16、中央発光ユニット11および描画ランプユニット12も下部ハウジング14aに上側から挿入して配置できるように形成されており、組立作業を上方向からの取付けのみによって固定できるように形成されている。これにより組立工数を簡略化することができる。
【0023】
(中央発光ユニット)
中央発光ユニット11は、自転車用前照灯の配光規格を満足する配光パターンを形成するように中心軸Mを中心として図3に示すように照射角ICの範囲に向かって照射する。自転車用前照灯の配光規格としては、JISの規格番号JISC9502「自転車用灯火装置」で定められた配光特性がある。前照灯の前方10mにある垂直なスクリーン上で測定される所定の測定位置において所定の照度値とすることが求められており、a)すれ違い用配光若しくはc)汎用配光の配光特性、又はa)すれ違い用配光及びb)走行用配光の両方の配光特性に適合しなければならない。所定測定位置は、例えば2021年3月22日改正版においてc)汎用配光の配光特性の場合には、HV位置(地面に平行な水平面を示すH-H線と自転車を貫く垂直面を示すV-V線の交点)、A1,A2位置(H-H線上にある、V-V線から左右にそれぞれ4°隔てた点)、A3(V-V線上で,H-H線から3.5°下方の点)である。このように自転車用前照灯の配光パターンは、V-V線から左右にそれぞれ4°の範囲が主たる配光範囲であり、10m遠方まで照らす能力を有するものの左右方向の広がりが狭い配光特性となり易い。
【0024】
図4は、本実施形態の中央発光ユニット11の光学系を説明する鉛直方向断面図である。本実施形態において中央発光ユニット11は、図4に示すようにLED光源11aと、LED光源11aを実装する熱伝導性基板11bと、LED光源11aから出射された第1の光L1を前方方向に向けて反射するリフレクタ11cとを有している。リフレクタ11cには、LED光源11aから出射した光が自転車用前照灯の配光規格を満足する配光パターンを形成するように複数の反射面11c1が形成されている。反射面11c1は、LED光源11aを焦点位置とする回転放物面を含み、他の反射面はこの反射面に近似した放物面系の反射面とされ、第1の光L1は平行光線を多く含む光を反射する。LED光源11aは、第1の光L1として、白色光を発するチップLED(表面実装LEDパッケージ)からなる。また、チップLEDは、熱伝導性基板11bの面上に配置されている。熱伝導性基板11bは、リフレクタ11cに固定され、下方に設けられたリフレクタ10Bに向けて第1の光L1を放射状に出射する光学系を構成し、図示しない外枠に固定することで独立したランプユニットが形成される。その外枠をハウジング13に取り付けることにより固定される。また、LED光源11aが実装された熱伝導性基板(光源基板)11bとLED光源11aを駆動する駆動回路が設けられた制御基板17とを灯室14内に別々に配置し、これらをハーネスと呼ばれる配線コードを介して電気的に接続し、離間して設けることでLED光源11aが発する熱から駆動回路を保護するように形成されている。
【0025】
本実施形態においては、複数の反射面11cを調整することにより、光軸を中心としてスクリーン上の照射範囲が横長形の配光となるようにしている。具体的には横軸に光軸を中心とした角度(°)、縦軸に光度(cd)をプロットしたときに、左右方向においては概ね6°の対象形状とし、上下方向においては概ね5°と狭くした。ただし、上下方向においては上方向を5°以下、下方向を最大照度の20~25%の明るさで5°から10°付近までブロードな裾形状となる非対称形状の特性として路面への照射量を多くなるようにした。複数の反射面11cを調整するとともにアウターレンズの窓部15Cの下側に屈折レンズを設けて下向き光が増加するようにしても良い。
【0026】
(描画ランプユニット)
描画ランプユニット12は、中央発光ユニット11が照射する自転車前方に対して斜め側方の路面に向かって所定の描画パターンを照射するランプユニットである。本実施形態では、図2および図3に示すように中央発光ユニット11の両側にそれぞれ1個の独立したランプユニットを配置している。左発光ユニット12Lおよび右発光ユニット12Rのそれぞれは独立した光学系を備えており独立して点消灯可能に制御される。
【0027】
図5は、左発光ユニット12Lを説明する概略縦断面図である。なお、右発光ユニット12Rは左発光ユニット12Lと同一構成であるから、右発光ユニット12Rの構成についての説明は省略する。左発光ユニット12Lは、LED光源21と、LED光源21を実装する熱伝導性基板22と、LED光源21から出射された第2の光L2を平行光線とするための2枚のコンデンサレンズ23と、コンデンサレンズ23から出射した第2の光L2を前方に向けて投射する投影レンズ24と、コンデンサレンズ23と投影レンズ24の間に配置した画像形成部25を備えており、描画光学系を構成している。熱伝導性基板22と、コンデンサレンズ23と、画像形成部25および投影レンズ24は、外枠26に固定されている。外枠26には図示しないネジ孔が設けられており、自転車用灯火装置10の下部ハウジング13aにネジ止めすることで着脱可能に固定できるように構成されている。2枚のコンデンサレンズ23を用いて平行光線とする代わりに1枚のレンズもしくはリフレクターを用いてLED光源21から出射された第2の光L2を投影レンズ24に入射させるようにしても良い。
【0028】
画像形成部25は、LED光源21から出射された第2の光L2を用いて路面に投影する画像を形成する部分である。本実施形態においては、コンデンサレンズ23に対応する位置が開口した画像フィルム固定枠25aを外枠26に固定し、画像フィルム固定枠25aの上方から別途準備した画像フィルム25bを挿脱可能な構成とされている。画像フィルム25bには、路面に描画したい図形、文字などの所望の意匠が透明フィルム上に印刷などの手法により描かれている。基材となる透明フィルムは透光性に優れ、熱による変形の小さな材質、例えばガラス板が好ましく、振動による耐性を高めた強化ガラスがより好ましい。他にアクリル樹脂やポリカーボネートなどの透明樹脂板を用いても良い。厚さ0.1mmの薄いフィルム状のガラスの表面に意匠を描き、そのガラスフィルムの両側を例えば厚さ2mmアクリル樹脂で挟んだ画像フィルム25bとすることもできる。他に金属板に任意の意匠に対応した窓(透過部)を形成する加工を施すことで意匠を描くこともできる。このようにすることで画像フィルム25bを交換することで、任意の画像を路面に投影して描画することができる。なお、本実施形態では、物理的に交換可能な画像フィルム25bを用いたが、交換可能とせずにフレームに固定するものとしても良い。さらに、コストは高くなるものの電気的手段により意匠を変更可能な可変型の画像形成部25とすることもできる。例えば、画像フィルム固定枠25aの位置に複数の画素を設けた液晶素子を配置する。液晶素子の各画素を電気的にスイッチング制御することで透過光を変調すれば画像を変更することができる。また、光源としてレーザー光源を用いてレーザー光源からの光を電気的制御により可動するミラーによって反射方向を制御して描画するようすることもできよう。
【0029】
左発光ユニット12Lからの照射光は車両前方左斜め方向の路面を照射し、路面上に画像形成部25にて形成した画像を描画する。自転車用の前照灯の配光規格は、前述したように光軸中心を中心とした狭い範囲である。すなわち前照灯の前方10mのスクリーン上において左右4°の位置において所定の照度値を満たせばよい。そのため単に配光規格を満たすのみでは、自己の自転車の前方路面、特に左右4°よりも側方の領域については暗くなる。左発光ユニット12Lは主に左4°よりも大きい角度の左側であって、前方10mよりも近い領域に向かって照射する。同様に右発光ユニット12Rは主に右4°よりも大きい角度の右側であって、前方10mよりも近い領域に向かって照射する。本実施形態においては、前述したように中央発光ユニット11も上下方向の配光特性を非対称として下向き、すなわち路面側においては広い角度を照射するようにしている。従って、自転車用灯火装置10は、中央発光ユニット11が前方10メートルよりも近い路面において、光軸に沿った中央部を照射し、左発光ユニット12Lおよび右発光ユニット12Rがそれぞれ左右の斜め手前方向に向かって照射する。これにより路面の照射範囲を広くして運転者にとって足元を明るくして使いやすいものとすることができる。さらに左発光ユニット12Lおよび右発光ユニット12Rのそれぞれは、路面上に画像形成部25にて形成した画像を描画する。したがって、運転者のみでなく周囲の人、自動車、自転車その他の者に対して投影する画像に対応した情報を与えることができる。
【0030】
(制御基板、バッテリー)
バッテリー16および制御基板17は、下部ハウジング13aのランプユニット取付部に固定される。制御基板17には、図示しないコネクターと回路部品が設けられているコネクターには、中央発光ユニット11の光源基板11bと接続するハーネス、左発光ユニット12Lおよび右発光ユニット12Rのそれぞれの光源基板22と接続するハーネスによりそれぞれの発光ユニットのLED光源と電気的に接続されている。図6は、自転車用灯火装置10の点灯制御を説明するためのブロック図である。制御基板17には点灯駆動回路30および電源制御回路が設けられている。
【0031】
点灯駆動回路30には、中央発光ユニット11、左発光ユニット12Lおよび右発光ユニット12Rのそれぞれと接続され、それぞれの発光ユニットの光源の点灯状態を独立に制御する第1ランプ制御部31、第2ランプ制御部32および第3ランプ制御部33と、左発光ユニット12Lおよび右発光ユニット12Rを点滅点灯させるための点滅回路37を備える。また、自転車用灯火装置10の点灯制御のスイッチングを運転者が任意に操作するためのスイッチSWが接続されている。さらに、照度センサー34の出力信号が点灯駆動回路30に入力するように接続されている。また、点灯駆動回路30には電源制御回路35の出力が入力する。電源制御回路35は、ハウジング13の中に収容され、各発光ユニットを点灯するためのバッテリー16の出力を各発光ユニット11,12L,12Rのそれぞれの点灯に適した電力を供給するための回路である。また、電源制御回路35には外部電源36も接続されており、バッテリー16を補ってまたはバッテリーの代わりに電力を供給する。バッテリー16は、例えば乾電池または充放電可能なニッケル水素電池などの二次電池である。外部電源36は、例えばダイナモまたは自転車が電動自転車の場合には電動自転車用の駆動電源である。
【0032】
照度センサー34は、図3に示すように下部ハウジング13aに固定され、上部ハウジング13bに設けた図示しない透明窓を通して入射する外光の明るさに応じた信号を出力する。照度センサー34からの出力値が、所定の明るさの照度よりも暗くなったときの値(第1の閾値)よりも、暗くなった場合に相当する出力値の信号となったときに、中央発光ユニット11が点灯するように設定されている。左発光ユニット12Lおよび右発光ユニット12Rは、第1の閾値と異なる第2の閾値のときに点灯可能となるように設定されている。第2の閾値は、第1の閾値に相当する明るさに比べて、より明るいときの出力値に相当する値である。これにより、例えば日暮れ時においては中央発光ユニット11が点灯するよりも早い段階から路面描画を行うことができ、周囲に対して暗くなる前の明るい段階から注意を促す等を行うことができる。
【0033】
点滅回路37は、左発光ユニット12Lおよび右発光ユニット12Rのそれぞれと接続され、それぞれのLED光源21を独立して点滅点灯する。左発光ユニット12Lおよび右発光ユニット12Rのそれぞれを点滅点灯することで、周囲からの気づきやすくすることができ認識性を高めることができる。また、点滅点灯を実施しない時には点滅回路37を省略しても良い。また、中央発光ユニット、右発光ユニットおよび左発光ユニットの全ての光源をLEDとしたので、その制御回路を共通化することができ簡素化することができる。
【0034】
(路面配光パターン)
図7は、自転車用灯火装置10の路面照射パターンを示す等照度曲線で示した概略図である。自転車用灯火装置10を路面から1メートルの位置で、中央発光ユニット11の光軸が下方向に5°傾くようにして設置した場合の路面(水平面)に照射したときの配光パターンである。横軸は光軸を中心(0°)とした角度(°)であり、縦軸が自転車用灯火装置10からの距離(m)である。中央発光ユニット11の路面照射パターンPCを実践にて等照度曲線にて示し、左発光ユニット12Lおよび右発光ユニット12Rのそれぞれの路面照射パターンPL,PRを点線で照射範囲として示している。左発光ユニット12Lおよび右発光ユニット12Rは、画像形成部25にて形成した画像を路面に投影するものなので、路面に投影された画像ではなく照射範囲にて示した。
【0035】
図7からわかるように、描画ランプユニット12の路面照射パターンPL,PRは、中央発光ユニット11の路面照射パターンPCに比べて近距離の斜め側方を照射している、特に手前側の5メートル以内、より好ましくは2mから3mの範囲で左右に2°から4°の範囲に描画すると、中央発光ユニット11の路面照射パターンPCと重ならずに描画しやすい。さらに、自転車の近傍且つ離れた位置の路面に描画されるので、その意匠を周囲の歩行者や他の車両の運転者にとって認識しやすくなり、どの自転車の路面描画パターンであるかについても認識しやすくなる。また、簡易的な実験として1m離れた位置に照射した場合において1000lxの照度のあった描画パターンを2mの距離に照射するとその照度は300lxとなり、4mの距離だと100lxとなった。この実験結果より、照射する光学系、光源の明るさ、描画パターンなどにより異なるであろうが、傾向としては同様と考えられ、概ね5m程度までの距離が路面に描画された意匠を認識可能な実用的な距離であろう。5mを超える距離だと自己の自転車から離れすぎるため描画を行っている自転車との関係性を認識しにくい。従って、路面描画を実施している自転車に近い位置で、且つ斜め前方の位置に描画することが好ましい。4mから5mまでの距離を中心として描画サイズを1m以上の長さの描画し、それを認識できるような明るさとするのが好適である。また、運転するに当たっての照明機能を考えると自転車に近すぎるのは使いにくい。従って、上記した範囲とすることが自己の自転車の運転手にとっても、周囲の者にとってもバランスのよい描画領域である。
【0036】
図8は、図7において点線で示した路面照射パターンPL,PRにおける路面描画のパターンの具体例を例示する意匠の平面図である。(A)~(D)4種類の路面描画パターンを例示しており、それぞれが自転車1の前方に自転車を中心として路面照射パターンPLと路面照射パターンPRとを左右対称としている。(A)は直線形状の意匠、(B)および(C)は矢印形状の意匠で自転車1の進行方向に向けた方向を示す。(D)は幾何的な図形とメッセージ性のあるデザイン意匠との組合せによる意匠を示している。いずれの路面描画のパターンであっても、自転車用前照灯の配光パターンを照射する中央発光ユニット11と重ねて路面照射パターンPL,PRが路面に投影されるので、中央発光ユニット11のみの場合に比べて路面への照射量が増加して自転車近傍の路面が明るくなり運転しやすくなる。また、自転車1を直視せずとも周囲に対して自転車の存在を知らせることが可能となる。特に対向車の運転者などに対して幻惑光となる上向き光を生じさせないで路面描画によって存在を知らせしめるので、より安全性が高くなる。また、投影する画像にメッセージ性のある意匠とすれば、そのメッセージを周囲の者に与えることができる。
【0037】
路面照射パターンPL,PRにおける路面描画のパターンが小さくては周囲からの認識性が劣る。自転車前方を照明して自転車1の運転者にとっても視認性を高める、という効果も小さい。4m前方に描画したときの描画サイズの大きさが0.5m以下では小さい。描画サイズとしては1m前後、0.8mから2mとすると認識性および照明機能の両方のバランスが良く、ランプユニットも小型化できる。また、照射する光色も白色以外の着色光とすることで、認識性をより高くすることができる。光色を白色以外にする事で、街路灯や防犯灯といった周辺光と同化せずに存在を知らせる事が可能となる。緑色は人間の目の視感度も高いので、緑の系統色とすることが好適である。
【0038】
〔第2の実施の形態〕
次に図9および図10を用いて本発明の第2の実施形態に係る自転車用灯火装置について説明する。図9は、第2の実施形態の自転車用灯火装置を示す概略図であり、(A)が水平方向断面を示す概略説明図、(B)が正面図である。第1の実施形態においては、自転車用灯火装置10の中に前照灯11として機能する中央発光ユニット11と、その両側に設けた一対の描画ランプユニット12が配置された3個のランプユニットを備えていたが、第2の実施形態においては、前照灯11として機能する中央発光ユニット11と、一対の描画ランプユニット12とが配置された3個のランプユニットを有する点においては同一であるが、さらに中央発光ユニット11と描画ランプユニット12との間に第2の描画ランプユニット42を備えた自転車用灯火装置40としている点が相違する。また、照度センサー34の設置している位置が前後方向の中央付近としている。その他の点については、第1の実施形態と同様であるので、同一の符号を付しここでの説明は省略する。
【0039】
(第2の描画ランプユニット)
第2の描画ランプユニット42は、中央発光ユニット11と左発光ユニット12Lの間に設置している。第2の描画ランプユニット42は、第1の実施形態で説明した発光ユニット12と同様の構成を備えており、路面に対して所定の画像を描画可能な構成とされている。第2の描画ランプユニット42は、自転車1の前方の路面において、中央発光ユニット11が照射する路面照射パターンPCの上に重ね合わせて画像を描画する。また、第2の描画ランプユニット42による路面照射パターンP2は、左発光ユニット12Lが照射する路面照射パターンPLと、右発光ユニット12Rが照射する路面照射パターンPRの間の位置に少なくとも一部が位置するように照射する。第2の描画ランプユニット42は、中央発光ユニット11と右発光ユニット12Rの間に設置させても、中央発光ユニット11の両隣に設置させても良い。路面照射パターンPCの上に重ね合わせて画像を描画するので、中央発光ユニット11の近くに設置するのが好ましい。なお、第2の描画ランプユニット42も、中央発光ユニット11および描画ランプユニット12と同様に制御基板17に接続され図示しない第4ランプ制御部によって点消灯が制御される。
【0040】
図10は、自転車用灯火装置が照射する路面照射パターンを説明する概略平面図である。主に自転車前方6m以内の領域を模式的に示している。図10(A)、図10(B)および図10(C)の3種類の例を示している。図10(A)~(C)のそれぞれの図面において、自転車1の正面中央に示した楕円で囲む範囲は中央発光ユニット11が照射する路面照射パターンPCの照射領域を模式的に示している。路面照射パターンPCは描画ランプユニット12L,12Rおよび第2の描画ランプユニット42よりも遠方の路面にも照射するが、図10においては説明を簡略化するために簡素化して記載している。図10(A)では、描画ランプユニット12L,12Rがそれぞれ2本の斜め縦方向に延びる直線形状を描画する路面照射パターンPL,PRを形成し、第2の描画ランプユニット42が路面照射パターンPCと重なる位置に4本の横方向に延び、且つ遠い側の直線ほど幅を長くした直線形状の画像を描画する。図10(B)では、描画ランプユニット12L,12Rのそれぞれが、斜め縦方向に延びる複数の矢印形状を模した画像を描画し、第2の描画ランプユニット42が路面照射パターンPCと重なる位置に4本の矩形形状の画像を描画する。図10(C)では、描画ランプユニット12L,12Rがそれぞれ2本の斜め縦方向に延びる直線形状を描画する路面照射パターンPL,PRを形成し、第2の描画ランプユニット42が路面照射パターンPCと重なる位置に3個の矢印を遠い側ほど大きくなるようにした画像を描画する。なお、描画パターンはこれらの例に限るものではなく、様々な形状とすることができる。
【0041】
図10(A)において路面照射パターンPCと重なる位置に描画した4本の矩形形状の画像のは、中央発光ユニット11が照射する路面照射パターンPCの照射領域よりも側方にまで伸びて照射している。この場合のように、第2の描画ランプユニット42が照射するパターンが、路面照射パターンPCの照射領域よりも側方の領域にまで照射する場合には、左発光ユニット12Lおよび右発光ユニット12Rを省略して、第2の描画ランプユニット42に左発光ユニット12Lおよび/または右発光ユニット12Rの機能を持たせることもできるであろう。また、第2の描画ランプユニット42が照射するパターンも図10(A)にて示した直線に限るものではなく、他のパターンであっても良いことも自明である。
【0042】
以上に、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態変形例はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその趣旨から逸脱することなく他の様々な形で構成の付加、省略、置換及びその他の変更が可能である。例えば、点灯駆動回路30に自転車1のブレーキ操作に応じて信号を入力するようにし、入力したブレーキ操作に対応する信号に基づいて、ブレーキ操作に応じて描画ランプユニット12による点灯若しくは点滅間隔のタイミングや発光色を変更するものとして周囲からのブレーキ操作を行っていることを認識させやすくするものとしても良い。また、更に例えば加速度センサーなどのセンサ素子を自転車用灯火装置10,40の中に設置し、加速度センサーなどのセンサ信号に応じて自転車1の重心の変化を判断し、自転車の重心の変化に応じて、左折動作、右折動作もしくは制動動作を判定し、左折動作ならば描画ランプユニット12のうち左発光ユニット12Lのみを点灯させ、右折ならば右発光ユニット12Rのみを点灯させる、などとしても良い。さらに、本実施形態では左発光ユニット12Lおよび右発光ユニット12Rなどのユニットを中央発光ユニット11と別体の発光ユニットしたが、共通化できる部品を共通化して一体としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0043】
一般用自転車に限らず、電動アシスト自転車にも適用できる。また、前照灯を備えたキックボードなどにも適用できる。自転車用前照灯の配光パターンと同様に、左右幅方向の狭い配光パターンの前照灯とした道路を走行する自動車およびオートバイなどの車両以外の乗り物の前照灯は、本発明において自転車用前照灯に含まれるものとし、このような自転車用前照灯を備えた前方照明装置に適用できる。
【符号の説明】
【0044】
1…自転車
10,40…自転車用灯火装置(自転車用前方照明装置)
11…中央発光ユニット(前照灯)
11a…LED光源
11b…熱伝導性基板(光源基板)
11c…リフレクタ11c
11c1…反射面
12…描画ランプユニット
12L…左発光ユニット
12R…右発光ユニット
13…ハウジング(ケース)
13c…固定部
14…灯室
15…アウターレンズ
16…バッテリー
17…制御基板
21…LED光源
22…熱伝導性基板(光源基板)
23…コンデンサレンズ
24…投影レンズ
25…画像形成部
26…外枠
30…点灯駆動回路
34…照度センサー
35…電源制御回路
36…外部電源
37…点滅回路
42…第2の描画ランプユニット
M…中心線
PC…路面照射パターン(中央発光ユニット)
PL…路面照射パターン(左発光ユニット)
PR…路面照射パターン(右発光ユニット)
P2…路面照射パターン(第2の描画ランプユニット)
図1
図2
図3
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図10