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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128628
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】芯削り器
(51)【国際特許分類】
   B43L 23/08 20060101AFI20230907BHJP
   B43K 23/10 20060101ALI20230907BHJP
   B43K 29/06 20060101ALN20230907BHJP
   B43K 21/08 20060101ALN20230907BHJP
【FI】
B43L23/08
B43K23/10
B43K29/06
B43K21/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033104
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000108328
【氏名又は名称】ゼブラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中田 裕二郎
(72)【発明者】
【氏名】濱田 知実
(72)【発明者】
【氏名】月岡 之博
【テーマコード(参考)】
2C071
2C353
【Fターム(参考)】
2C071BA04
2C071BB02
2C071BC02
2C071BC10
2C353FA02
2C353FC02
2C353FC28
2C353FE11
(57)【要約】
【課題】 安定した芯削り性能を発揮する。
【解決手段】 芯削り器であって、繰出し筆記具1の前端側に係合可能な本体ケース70の内部に、繰出し筆記具1から繰り出されて回転する芯xを削る削刃91と、削刃91により削られながら前進する芯xの外周面に摺接する芯保持部92bとを備える。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰出し筆記具の前端側に係合可能な本体ケースの内部に、前記繰出し筆記具から繰り出されて回転する芯を削る削刃と、前記削刃により削られながら前進する前記芯の外周面に摺接する芯保持部とを備えることを特徴とする芯削り器。
【請求項2】
前記削刃及び前記芯保持部は、前方へゆくにしたがって前記芯の中心部へ近づく傾斜状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の芯削り器。
【請求項3】
前記本体ケース内における前記削刃及び前記芯保持部よりも後側に、前記繰出し筆記具から繰り出される芯を挿通可能であって該芯の外周部に弾性的に接する弾性挿通部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の芯削り器。
【請求項4】
前記本体ケースの外壁部には、外側から押圧されることで内側へ弾性変形して突出する係脱部が設けられ、前記外壁部の外面には、前記係脱部を押圧して突出させる位置と該押圧を解除する位置との間で移動する操作部が設けられていることを特徴とする請求項1~3何れか1項記載の芯削り器。
【請求項5】
前記本体ケース内には、前記削刃により削られながら前進する前記芯の前端部を受けて、前記芯の前進を規制する規制部が設けられていることを特徴とする請求項1~4何れか1項記載の芯削り器。
【請求項6】
前記規制部が前後位置を調整可能に設けられていることを特徴とする請求項5記載の芯削り器。
【請求項7】
前記規制部は、前記本体ケースの内部に異物が詰まった場合に、前後移動により前記異物を除去するように設けられていることを特徴とする請求項5又は6記載の芯削り器。
【請求項8】
前記削刃よりも前側に、前記削刃により削られる芯屑を貯溜するための削芯貯溜室を設けたことを特徴とする請求項1~7何れか1項記載の芯削り器。
【請求項9】
前記本体ケースの前端側に、前記削芯貯溜室を外部に連通する削芯排出口と、この削芯排出口を開放可能に閉鎖する蓋部とを具備することを特徴とする請求項8記載の芯削り器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繰出し筆記具から繰り出される芯の先端側を削る芯削り器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、例えば特許文献1に記載されるように、芯を繰り出すように構成されたシャープペンシルと、このシャープペンシルの前端側にかぶせられたペンシルキャップとを備え、ペンシルキャップ内に芯を削るためのナイフを具備したものがある。
この従来技術によれば、芯を突出させた状態のシャープペンシルの前端側に、ペンシルキャップを被せると、ペンシルキャップから突出した芯に、ペンシルキャップ内のナイフが接触する。この状態で、シャープペンシルを回転すれば、ペンシルキャップから突出している芯も回転するため、この芯の先端側をナイフによって削ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録公報第3034934号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術によれば、ナイフ(刃)に対し芯を押し付ける力が安定せず、芯先端形状の不備や芯折れ等を生じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
繰出し筆記具の前端側に係合可能な本体ケースの内部に、前記繰出し筆記具から繰り出されて回転する芯を削る削刃と、前記削刃により削られながら前進する前記芯の外周面に摺接する芯保持部とを備えることを特徴とする芯削り器。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、安定した芯削り性能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】筆記具と削り器からなる削り器付筆記具の一例を示す縦断面図である。
図2】筆記部部分の分解図であり、それぞれ縦断面を示している。
図3】削り器部分の分解図であり、それぞれ縦断面を示している。
図4】筆記具部分の縦断面図であり、(a)は芯が突出していない状態、(b)は軸筒を回転させて芯を繰り出している状態、(c)は軸筒を回転させて進退部材を前進限界位置まで移動した状態を示す。なお、本図中、断面のハッチングを省略した部分は静止部分を示し、ハッチング部分は、静止部分に対し回転又は前進した部分を示す。
図5】削り器に対し筆記具の前端側部分を挿入する途中の状態を示す縦断面図である。
図6】筆記具の前端側部分と削り器を示す縦断面図であり、(a)は芯が突出していない状態の筆記具を削り器に嵌め合わせた状態、(b)は軸筒を回転させて芯を削り規制部に当接した状態、(c)は軸筒を更に回転させ被係合部を係合部から離脱した状態を示す。なお、本図中、断面のハッチングを省略した部分は静止部分を示し、ハッチング部分は、静止部分に対し回転又は前進した部分を示す。
図7】削り器の他例を示す縦断面図であり、(a)は規制部を前寄りに配置した状態、(b)は規制部を後ろに移動した状態を示す。
図8】削り器の他例を示す縦断面図であり、(a)は操作部を操作する前の状態、(b)は操作部の操作により係脱部を内側へ突出させた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第1の特徴は、芯削り器であって、繰出し筆記具の前端側に係合可能な本体ケースの内部に、前記繰出し筆記具から繰り出されて回転する芯を削る削刃と、前記削刃により削られながら前進する前記芯の外周面に摺接する芯保持部とを備える(図1図3図5図8参照)。
【0009】
第2の特徴として、前記削刃及び前記芯保持部は、前方へゆくにしたがって前記芯の中心部へ近づく傾斜状に形成されている(図1図3図5図8参照)。
【0010】
第3の特徴として、前記本体ケース内における前記削刃及び前記芯保持部よりも後側に、前記繰出し筆記具から繰り出される芯を挿通可能であって該芯の外周部に弾性的に接する弾性挿通部を設けた(図1図3図5図8参照)。
【0011】
第4の特徴として、前記本体ケースの外壁部には、外側から押圧されることで内側へ弾性変形して突出する係脱部が設けられ、前記外壁部の外面には、前記係脱部を押圧して突出させる位置と該押圧を解除する位置との間で移動する操作部が設けられている(図8参照)。
【0012】
第5の特徴として、前記本体ケース内には、前記削刃により削られながら前進する前記芯の前端部を受けて、前記芯の前進を規制する規制部が設けられている(図3図5図8参照)。
【0013】
第6の特徴として、前記規制部が前後位置を調整可能に設けられている(図1図7参照)。
【0014】
第7の特徴として、前記規制部は、前記本体ケースの内部に異物が詰まった場合に、前後移動により前記異物を除去するように設けられている(図7参照)。
【0015】
第8の特徴として、前記削刃よりも前側に、前記削刃により削られる芯屑を貯溜するための削芯貯溜室を設けた(図1図3図5図8参照)。
【0016】
第9の特徴として、前記本体ケースの前端側に、前記削芯貯溜室を外部に連通する削芯排出口と、この削芯排出口を開放可能に閉鎖する蓋部とを具備する(図1図3図5図8参照)。
【0017】
<第一の実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
本明細書中、軸筒軸方向とは軸筒の中心線の延びる方向を意味し、軸筒周方向とは軸筒中心線の周囲を回る方向を意味する。また、「前」とは、軸筒軸方向の一方側であってリフィールの前端部が突出する方向を意味し、「後」とは、前記一方側に対する逆方向側を意味する。
また、本明細書中、軸筒径方向とは軸筒の中心線に直交する軸筒の直径方向を意味する。そして、軸筒径方向外側とは軸筒径方向に沿って軸筒中心から離れる方向を意味し、軸筒径方向内側とは軸筒径方向に沿って軸筒中心に向かう方向を意味する。
【0018】
図1に示す削り器付筆記具Aは、内在する芯xを前方へ繰り出す繰出し筆記具1と、繰出し筆記具1から繰り出される芯xを削る芯削り器2とを具備している。
【0019】
芯xは、比較的太めの鉛芯である。この芯xには、例えば色鉛筆用の鉛芯を用いることが可能である。
【0020】
繰出し筆記具1は、先側基部に相対し後側の軸筒を回転する操作により軸筒内の芯を前記先側基部から前方へ繰り出す(図4参照)。
詳細に説明すれば、この繰出し筆記具1は、最先端側に露出する先側基部10と、先側基部10の後側に同軸状に回転するように接続されるとともに芯xを収納した軸筒20と、この軸筒20の内周面に進退不能かつ回転不能に固定された筒状の送りネジ部材30と、芯xの後端側に接続されるとともに送りネジ部材30の螺旋溝30aに噛み合って進退する芯保持部材40と、芯保持部材40の後方側で螺旋溝30aに噛み合って進退する進退部材50と、進退部材50を後方へ付勢する付勢部材60とを備える(図1及び図2参照)。
【0021】
先側基部10は、先側基部10から前方へ突出する回転操作部11と、この回転操作部11の後端から後方へ突出するとともに軸筒20内の略全長にわたって前後方向へ連続する中子12とを一体に具備している。
【0022】
回転操作部11は、芯xを進退可能に挿通する筒状の部材であり、その外周面を前方へ向かって縮径する略円錐状に形成している。この回転操作部11は、軸筒20の前端側の内周面に対し、回転可能かつ進退不能に嵌り合っている。
【0023】
回転操作部11の外周面には、手の指や、治具、後述する芯削り器2等によって回転操作するための被係合部11aが設けられる。
被係合部11aは、回転操作部11の周方向に間隔を置いて複数設けられる。各被係合部11aは、前方及び径方向外側を開口した凹状に形成されている。
【0024】
中子12は、長尺な略円筒状の部材である。図中、ガイド孔12a,12bは、中子12の周壁を前後方向へわたって径方向に貫通する長尺状の長孔である。
【0025】
ガイド孔12a,12bは、芯保持部材40と進退部材50が挿通するように設けられる。
【0026】
軸筒20は、前端を開口した長尺な部材であり、中子12を全長にわたって円筒状に覆うとともに、回転操作部11の後端側に対し、同軸状に回転する。
軸筒20の前端側外周面と後端側外周面は、それぞれ、後述する芯削り器2を嵌脱可能に形成される。
軸筒20内のリブ21は、送りネジ部材30を軸筒20に対し回転不能に固定する。
【0027】
係合凹部22,24は、芯削り器2内の突起73を嵌脱可能に乗り越え嵌合させるための環状の係合凹部である。なお、芯削り器2内の突起73が前側の係合凹部22に嵌り合った状態で、軸筒20は、芯削り器2の本体ケース70に相対し回転可能である。
【0028】
送りネジ部材30は、径方向に分離した一半部31と他半部32から筒状に構成さる。
一半部31は、円弧状の横断面を前後方向へ連続させた長尺部材であり、内周面に、螺旋溝30aを有する。
他半部32は、一半部31と同一形状の共通部品であり、その内周面に螺旋溝30aを有する。
【0029】
一半部31と他半部32は、上述したリブ21を挟んで対向し、互いに前後が逆になるようにして径方向に組み合わせられ、軸筒20に対し一体化されて、これらの内周面に、螺旋溝30aを構成する。
【0030】
目印31b,32bは、一半部31と他半部32の前後方向を区別するためのものである。これら目印31b,32bは、図示例によれば、一半部31と他半部32の各端部側に設けられた切欠きであるが、他例としては、突起や印刷されたマーク等とすることも可能である。
【0031】
芯保持部材40は、長尺円筒状の部材である。この芯保持部材40の前端側は、芯xの後端側に圧接されて芯xを回転不能に保持する。
この芯保持部材40の外周面には、中子12のガイド孔12a,12bに対しそれぞれ挿通されて螺旋溝30aに螺合されている。
【0032】
進退部材50は、芯保持部材40に対し後方側から挿入される軸状の部材であり、その前端側に、芯保持部材40に嵌り合った芯xの後端に近接又は接触する押動部51を有する。
また、進退部材50の後端側には、中子12のガイド孔12aに挿通されて螺旋溝30aに螺合するように、ネジ係合部52が突設されている。
【0033】
また、付勢部材60は、図示例によれば圧縮コイルバネであり、進退部材50に環状に装着されて芯保持部材40内に挿入される。この付勢部材60は、芯保持部材40に対し進退部材50を後方へ付勢している。
【0034】
次に、芯削り器2の構成について説明する。
芯削り器2は、繰出し筆記具1の前端側に対し離脱可能に装着されるキャップを構成している。
詳細に説明すれば、この芯削り器2は、繰出し筆記具1の前端側に嵌め合い可能な筒状の本体ケース70と、本体ケース70の前端の削芯排出口71に装着された閉鎖部材80と、閉鎖部材80よりも後側で本体ケース70内に固定された削刃ユニット90と、削刃ユニット90の後端開口を覆う弾性挿通部100と、弾性挿通部100よりも後側で前後動可能かつ回転不能な受部110と、削刃ユニット90および弾性挿通部100に対し受部110を後方へ付勢する付勢部材120とを具備する(図1及び図3参照)。
【0035】
本体ケース70は、前端の開口を削芯排出口71とし、後端の開口を、繰出し筆記具1の挿入口72にしている(図3参照)。
この本体ケース70の挿入口72寄りの内周面は、軸筒20の前端側の外周面に対し、着脱可能であって、且つ回転可能に嵌り合っている。
【0036】
芯削り器2は、突起73を係合凹部22に乗り越えさせて軸筒20の前端側に装着可能であり、また、同突起73を係合凹部24に乗り越えさせて軸筒20の後端側にも装着可能である。
【0037】
環状傾斜面74は、軸筒20前端側の傾斜面に接して、本体ケース70に対する軸筒20の前方への移動を規制する先窄み状に形成される。
ガイド部75は、本体ケース70の内周面から突出して前後方向へ延設され、削刃ユニット90を回転不能に固定するとともに、受部110を前後動可能かつ回転不能にする。
環状突起76は、受部110の前方への移動を規制する。
【0038】
閉鎖部材80は、本体ケース70の削芯排出口71に嵌合固定される筒部81と、この筒部81の開口を開放可能に閉鎖する略円盤状の蓋部82と、蓋部82の外周側を筒部81に接続する接続部83とを具備する(図3参照)。
この閉鎖部材80によれば、接続部83を撓ませるようにして、蓋部82が回動する。
【0039】
削刃ユニット90は、繰出し筆記具1から繰り出されて回転する芯xを削る削刃91と、この削刃を支持する支持基体92とから一体的に構成される(図3参照)。
【0040】
削刃91は、芯xを切削可能な刃先を有する長尺状の部材であり、金属やセラミック等から形成される。
この削刃91は、前方へゆくにしたがって芯xの中心部へ近づくように前記刃先を傾斜させて、支持基体92に固定される。この固定手段は、嵌合や、接着、ねじ止め、インサート成形等とすることが可能である。
【0041】
支持基体92は、芯xが挿入される挿入口92aと、削刃91により削られながら回転する芯xの外周面に摺接する芯保持部92bと、削刃91により削られながら前進する芯xを前方側から受けて芯xの前進を規制する規制部92cと、削刃91により削られた芯屑を前方へ排出する排出路92dとを一体に有する。
この支持基体92は、削刃91よりも前側に削芯貯溜室70aを確保するようにして、本体ケース70内における前後方向の途中位置に、前後動不能かつ回転不能に固定される。削芯貯溜室70aは、閉鎖状態の蓋部82と削刃91の間の空間であり、削刃91により削られる芯屑を貯溜する。
【0042】
挿入口92aは、芯xを遊挿可能な大きさの開口部である。この挿入口92aには、後述する弾性挿通部100が装着される。
【0043】
芯保持部92bは、前方へゆくにしたがって芯xの中心部へ近づく傾斜状に形成される。
【0044】
規制部92cは、削刃91により削られる芯xの先端部に対し、略垂直に当接する受面を有する(図5参照)。
【0045】
この弾性挿通部100は、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性材料から形成され、削刃ユニット90の後端側を覆って装着される。
また、弾性挿通部100は、切り込み101aを有する円形平板状の弾性膜101が一体に設けられる。
【0046】
切り込み101aは、例えばスリット状、十字状、又は放射状等に形成され、芯xが挿入された際に弾性的に拡がって芯xを貫通させる。また、芯xが後退し離脱した際には、弾性的に復元して、貫通部分を閉鎖して、芯xの削り屑が後方へもれるのを防ぐ。
【0047】
受部110は、所定量前後移動可能な略円筒状の部材であり、本体ケース70に挿入される先側基部10を受けて前方移動する(図6(c)参照)。
この受部110の外周部には、前後方向の全長にわたって、本体ケース70内周面のガイド部75に合わさる凹溝状の被ガイド部(図示せず)が設けられる。
【0048】
受部110の内周面には、先側基部10に嵌り合う先窄み状の環状傾斜面111が形成され、この環状傾斜面111には、先側基部10の被係合部11aに対し回転不能に嵌り合う係合部111aが設けられている。
【0049】
付勢部材120は、係合部111aと被係合部11aの係合状態において先側基部10が回転した場合に、係合部111aが被係合部11aとの摺接により受部110を前進させて被係合部11aから離脱するように、その付勢力が適宜に設定される。
【0050】
次に、上記構成の繰出し筆記具1及び芯削り器2の作用効果を詳細に説明する。
先ずは、繰出し筆記具1単体に対する操作により、芯xを繰り出す動作について、図4(a)~(c)に沿って説明する。
【0051】
図4(a)に示す初期状態では、芯xの先端側が先側基部10内に位置し、芯保持部材40及び進退部材50が先側基部10内の後端側で送りネジ部材30の螺旋溝30aに螺合している。
【0052】
上記初期状態において、先側基部10を回転不能に固定した状態で、軸筒20を一方向へ回転させると、軸筒20と一体的に送りネジ部材30も回転し、送りネジ部材30内面の螺旋溝30aが、芯保持部材40及び進退部材50に摺接する。
このため、芯保持部材40及び進退部材50が、ガイド孔12a,12bに沿って前進し、これに伴って芯xも前進して先側基部10から突出する(図4(b)参照)。
【0053】
繰出し筆記具1を芯削り器2に差し込んで、芯xを繰り出して削る動作について、図6に沿って説明する。
図6(a)に示す初期状態は、芯xを没入した状態の繰出し筆記具1が、芯削り器2に差し込まれ、繰出し筆記具1側の被係合部11aが芯削り器2側の係合部111aに嵌った状態とする。
【0054】
この初期状態において、軸筒20を一方向へ回転させると、先側基部10は回転せずに、軸筒20と一体的に回転する螺旋溝30aにより芯xが前進し、削刃91に当接する。
【0055】
このまま、軸筒20を回転し続けると、この軸筒20と一体的に先側基部10及び芯xが回転して、係合部111aが被係合部11aとの摺接により受部110を前進させて被係合部11aから離脱する。このため、芯xは、削刃91によって削られる。
【0056】
よって、上記構成の繰出し筆記具1及び芯削り器2によれば、簡単な操作により、芯xを繰り出して削ることができる。
【0057】
<第二の実施態様>
次に他の実施態様について説明する。なお、以下の実施態様は、上述した芯削り器2の一部を変更したものであるため、主にその変更部分について説明し、略同様の部分には同一の符号を用いる。
【0058】
図7に示す芯削り器2’は、上記本体ケース70を本体ケース70’に置換し、上記削刃ユニット90を削刃ユニット90’に置換したものである。
【0059】
本体ケース70’は、上記本体ケース70に対しクリップ部77を備えたものである。
クリップ部77は、本体ケース70’の前端側から径方向外側へ突出し、本体ケース70’の外周面に沿って後方(図示に右方向)へ延設されている。
【0060】
削刃ユニット90’は、支持基体92を支持基体92’に置換するとともに、規制部92cを前後位置調整可能な規制部92eに置換したものである。
【0061】
支持基体92’は、規制部92eを前後動可能に嵌め合わせる貫通孔状の嵌合部92fを有する。
規制部92eは、前後方向へ延設された棒状の部材であり、嵌合部92fに挿入されて位置決めされている。
この規制部92eの後端部(図示の右端部)には、芯xの先端部に対し略垂直に当接する平坦状の受面92e1が設けられる。
【0062】
よって、図7に示す芯削り器2’によれば、クリップ部77によって、当該芯削り器2’を衣類や紙等に係止することができる。また、繰出し筆記具1を芯削り器2’に嵌め合わせて回転する際に、芯削り器2’が回らないようにクリップ部77に指等を掛けることができる。
【0063】
さらに、規制部92eを前後に位置調整して、芯x前端部の太さ及び尖り加減(削り加減)を調整することもできる。
また、芯削り器2’の内部(例えば、削刃91と芯保持部92bの間)に、芯屑や折れた芯x等の異物が詰まった場合に、規制部92eを前後方向に移動し、前記異物を除去することができる。
【0064】
<第三の実施態様>
図8に示す芯削り器2”は、上記本体ケース70を本体ケース70”に置換し、この本体ケース70”の外面に、芯削り器2”を繰出し筆記具1に対し係脱するための操作部130を設けたものである。
【0065】
本体ケース70”は、その外壁部の内周面に、外側から押圧されることで内側へ弾性変形して突出する係脱部78を有し、同外壁部の外周面に、係脱部78を外側から押圧するための被押圧突起79を有する。
【0066】
本体ケース70”の周壁部は、係脱部78の周囲が、平面視凹状(平面視U字状やV字状を含む)に切欠されており、この切欠の内側の部分が、径方向へ弾性的にたわみ可能である。
係脱部78は、前記内側の部分を径方向内側へ撓ませることで、本体ケース70”の内周面から径方向内側へ突出する(図8(b)参照)。
【0067】
操作部130は、被押圧突起79を含むようにして、本体ケース70”の外周面を覆う略筒状の部材である。この操作部130の内周面には、被押圧突起79を押圧しないように凹部131が設けられる。
この操作部130は、一方へ移動した際に被押圧突起79を押圧する位置になり、前記一方に対する逆方向へ移動した際に、被押圧突起79を押圧しないように、凹部131に被押圧突起79を内在する。
【0068】
よって、上記実施態様によれば、操作部130を一方へ寄せた状態では、本体ケース70”の後端側内周面が、前後方向に略平坦状であるため(図8(a)参照)、芯削り器2”に対し、繰出し筆記具1を挿入したり抜いたりするのが容易である。
【0069】
また、芯削り器2”に繰出し筆記具1を挿入した状態で、操作部130を前記一方に対する逆方向へスライドさせれば、操作部130の内周面が被押圧突起79を押圧して、係脱部78が径方向内側へ突出して繰出し筆記具1の係合凹部22に嵌り合う。このため、芯削り器2”から繰出し筆記具1が安易に抜けてしまうのを防ぐことができる。
【0070】
なお、上記実施態様では、繰出し筆記具に対し芯削り器を着脱可能に具備したが、削り器付筆記具の他例としては、繰出し筆記具に対し、装着不能な芯削り器を別体に具備した態様とすることも可能である。
【0071】
また、本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0072】
1:繰出し筆記具
2,2’,2”:芯削り器
10:先側基部
11:回転操作部
11a:被係合部
12:中子
12a,12b:ガイド孔
20:軸筒
30:送りネジ部材
30a:螺旋溝
31:一半部
32:他半部
40:芯保持部材
50:進退部材
51:押動部
52:ネジ係合部
60:付勢部材
70:本体ケース
70a:削芯貯溜室
71:削芯排出口
82:蓋部
90:削刃ユニット
91:削刃
92a:挿入口
92b:芯保持部
92c:規制部
100:弾性挿通部
110:受部
111a:係合部
120:付勢部材
A:削り器付筆記具
x:芯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8