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特開2023-128646藻類培養シート、及び、藻類培養シートの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128646
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】藻類培養シート、及び、藻類培養シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 3/00 20060101AFI20230907BHJP
   C12N 1/12 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
C12M3/00 Z
C12N1/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033152
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 賢司
(74)【代理人】
【識別番号】100170748
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】谷村 功太郎
(72)【発明者】
【氏名】奥村 早紀
(72)【発明者】
【氏名】池田 拓也
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA01
4B029BB04
4B029CC02
4B029CC03
4B029DG10
4B065AA83X
4B065AC20
4B065BC50
4B065CA54
4B065CA60
(57)【要約】
【課題】取扱い性の良い藻類培養シート、及び、該藻類培養シートの製造方法を提供する。
【解決手段】藻類培養シートは、基材層と、培養層とを備える。培養層は、基材層に積層されており、藻類を培養するように構成されている。この藻類培養シートによれば、培養層が基材層に積層されており培養層単体で藻類培養シートが構成される場合と比較して藻類培養シートの強度が高いため、藻類培養シートの取扱い性を改善することができる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、
前記基材層に積層されており、藻類を培養するように構成された培養層とを備える、藻類培養シート。
【請求項2】
前記基材層と前記培養層とが一体的に形成された、請求項1に記載の藻類培養シート。
【請求項3】
前記培養層が可食性の生分解性樹脂によって構成された、請求項1又は請求項2に記載の藻類培養シート。
【請求項4】
電離放射線による滅菌処理が施された、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の藻類培養シート。
【請求項5】
基材層を準備するステップと、
藻類を培養するように構成された培養層を前記基材層に積層し積層シートを製造するステップと、
電離放射線による滅菌処理を前記積層シートに施すことによって藻類培養シートを製造するステップとを含む、藻類培養シートの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、藻類培養シート、及び、藻類培養シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016-5439号公報は、微細藻類の培養装置を開示する。この培養装置は、吊り下げられたシート部材を含んでいる。シート部材は、シート面同士が重ねられた2枚のシートによって構成される。この培養装置においては、シート面同士の重ね合わせ部分において微細藻類が培養される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-5439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されている培養装置において、シート部材を構成する各シートは、ポリオレフィン製の不織布によって構成されている。このようなシートにおいては、シートの強度が高くないため、シートの取扱い性が必ずしも良くない。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、取扱い性の良い藻類培養シート、及び、該藻類培養シートの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある局面に従う藻類培養シートは、基材層と、培養層とを備える。培養層は、基材層に積層されており、藻類を培養するように構成されている。
【0007】
この藻類培養シートによれば、培養層が基材層に積層されており培養層単体で藻類培養シートが構成される場合と比較して藻類培養シートの強度が高いため、藻類培養シートの取扱い性を改善することができる。
【0008】
上記藻類培養シートにおいては、基材層と培養層とが一体的に形成されていてもよい。
【0009】
上記藻類培養シートにおいては、培養層が可食性の生分解性樹脂によって構成されていてもよい。
【0010】
この藻類培養シートによれば、培養層が可食性の生分解性樹脂で構成されるため、培養された藻類を培養層ごと食用にすることができる。
【0011】
上記藻類培養シートには、電離放射線による滅菌処理が施されていてもよい。
【0012】
この藻類培養シートによれば、藻類培養シートに電離放射線による滅菌処理が施されているため、所望の藻類以外の微生物が藻類培養シートに混入した状態で所望の藻類の培養が行なわれる可能性を低減することができる。
【0013】
本発明の他の局面に従う藻類培養シートの製造方法は、基材層を準備するステップと、藻類を培養するように構成された培養層を基材層に積層し積層シートを製造するステップと、電離放射線による滅菌処理を積層シートに施すことによって藻類培養シートを製造するステップとを含む。
【0014】
この藻類培養シートの製造方法においては、電離放射線による滅菌処理が積層シートに施されることによって藻類培養シートが製造される。したがって、この藻類培養シートの製造方法によれば、所望の藻類以外の微生物が藻類培養シートに混入することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、取扱い性の良い藻類培養シート、及び、藻類培養シートの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態1に従う藻類培養シートの断面を模式的に示す図である。
図2】藻類培養に用いられている藻類培養シートの断面を模式的に示す図である。
図3】藻類培養シートを用いた藻類培養の方法の一例を説明するための図である。
図4】基材層が有する特徴に応じた効果を説明するための図である。
図5】基材層が導光性を有する場合の効果を説明するための図である。
図6】基材層が自発光素子によって構成される場合の効果を説明するための図である。
図7】培養層に担持体が含まれている場合における藻類培養シートの断面を模式的に示す図である。
図8】培養層に担持体が含まれている場合の効果を説明するための図である。
図9】藻類培養シートの製造手順の一例を示すフローチャートである。
図10】藻類培養シートの製造手順の他の例を示すフローチャートである。
図11】実施の形態2に従う藻類培養シートを用いて藻類培養を行なう様子を模式的に示す図である。
図12】実施の形態3に従う藻類培養シートにおいて藻類培養が行なわれている様子を模式的に示す断面図である。
図13】藻類培養シートを筒状又は袋状に形成する手順を説明するための図である。
図14】基材層上の一部の領域のみに培養層が積層された藻類培養シートを筒状又は袋状に形成する手順を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施の形態」とも称する。)について、図面を用いて詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図面は、理解の容易のために、適宜対象を省略又は誇張して模式的に描かれている。
【0018】
[1.実施の形態1]
<1-1.概要>
藻類(例えば、微細藻類)は、例えば、温暖化ガスである二酸化炭素の固定に利用することができる。また、藻類は、タンパク源又はエネルギー源として利用することができる。このように、藻類は、様々な用途に用いることが可能であり、非常に有用である。藻類の一例としては、真性細菌である藍藻、並びに、単細胞生物である珪藻、黄緑藻及び渦鞭毛藻が挙げられる。
【0019】
藻類は、例えば、藻類培養シート上で培養される。藻類培養シートを用いた藻類培養については、後程詳しく説明する。本実施の形態1に従う藻類培養シート10においては、効率的な藻類培養を可能とする工夫が取り入れられている。例えば、藻類培養シート10においては、効率的な藻類培養を可能とするために、その取扱い性が改善されている。以下、藻類培養シート10の構成、及び、藻類培養シート10の製造方法について順に説明する。
【0020】
<1-2.藻類培養シートの構成>
(1-2-1.全体構成)
図1は、本実施の形態1に従う藻類培養シート10の断面を模式的に示す図である。図1に示されるように、藻類培養シート10は、基材層100と、基材層100上に積層された培養層200とを含んでいる。藻類培養シート10においては、基材層100及び培養層200が一体的に形成されている。基材層100は、培養層200を支持するように構成されている。培養層200においては、藻類が培養される。基材層100及び培養層200の各々については、後程詳しく説明する。
【0021】
図2は、藻類培養に用いられている藻類培養シート10の断面を模式的に示す図である。図2に示されるように、藻類培養シート10においては、培養層200上に複数の種藻類300が配置される。これにより、藻類の培養が行なわれる。なお、培養層200上において培養される藻類の種類は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0022】
図3は、藻類培養シート10を用いた藻類培養の方法の一例を説明するための図である。図3に示されるように、例えば、培養層200上に複数の種藻類300が配置された状態の藻類培養シート10が上から吊り下げられ、かつ、藻類培養シート10の下端部が栄養水供給部400内の栄養水に浸かった状態で、藻類培養が行なわれる。なお、栄養水は、藻類培養シート10の上方から供給されてもよい。
【0023】
例えば、基材層100及び培養層200の各々が毛細管現象によって栄養水を栄養水供給部400から吸い上げ、吸い上げられた栄養水が複数の種藻類300の各々へ供給される。また、藻類培養シート10における培養層200側から光及び二酸化炭素(CO)が複数の種藻類300の各々へ供給される。これにより、複数の種藻類300の各々における光合成が促進され、藻類が増殖する。
【0024】
上述のように、藻類培養シート10においては、培養層200が基材層100上に積層されている。したがって、藻類培養シート10の強度は、培養層200のみによって藻類培養シートが形成される場合と比較して高い。藻類培養シート10は、強度が高いため、強度が低い場合と比較して取扱い性が良い。
【0025】
例えば、藻類培養シート10の強度が高いため、ロール・ツー・ロールのラインにおいて藻類培養シート10を搬送することが可能となる。すなわち、ロール・ツー・ロールのラインにおいて藻類培養シート10を搬送しながら、藻類培養を行なうことが可能となる。その結果、藻類培養シート10を用いた藻類培養における生産性を高めることができる。また、藻類培養シート10が培養層200以外に基材層100を含むことによって、培養層200のみによって藻類培養シートが形成される場合と比較して管理面及び衛生面も改善され得る。また、藻類培養シート10の強度が高いため、藻類培養シート10を高い位置から吊るすことが可能となり、生産性が改善される。
【0026】
(1-2-2.基材層の構成)
再び図1を参照して、基材層100は、例えば、樹脂によって構成されていてもよい。基材層100を構成する樹脂は、例えば、透光性を有していてもよい。透光性を有する樹脂の一例としては、オレフィン系樹脂及びポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。
【0027】
図4は、基材層100が有する特徴に応じた効果を説明するための図である。図4を参照して、基材層100が透光性を有する場合に、藻類培養シート10における基材層100側から藻類培養シート10へ照射された光は、基材層100を透過し、培養層200において増殖する藻類(種藻類300を含む。)へ供給される。したがって、基材層100が透光性を有する場合には、培養層200において培養されている藻類へ、藻類培養シート10における両面から光が照射される。その結果、培養中の藻類の光合成活性を高めることができる。
【0028】
また、基材層100が透光性を有する場合に、例えば、基材層100において、培養層200が積層された面とは反対の面に防曇加工が施されていてもよい。例えば、培養層200が積層された面とは反対の面において、可食性又は非可食性の界面活性剤を用いることによって防曇加工が施されてもよい。これにより、基材層100の面のうち培養層200が積層された面とは反対の面が曇ることに起因する光散乱が抑制される。その結果、藻類培養シート10における基材層100側から藻類培養シート10へ照射される光が培養層200において培養されている藻類に効率的に供給されるため、培養中の藻類の光合成活性を高めることができる。
【0029】
また、基材層100が透光性を有する場合に、例えば、基材層100において、培養層200が積層された面とは反対の面に光反射防止加工が施されていてもよい。例えば、光反射防止加工が施されていない基材層100と比較して、基材層100における全光線透過率が0.5%から10%向上していることが好ましい。これにより、基材層100の面のうち培養層200が積層された面とは反対の面における光の反射が抑制される。その結果、藻類培養シート10における基材層100側から照射される光が培養層200において培養されている藻類に効率的に供給されるため、培養中の藻類の光合成活性を高めることができる。
【0030】
また、基材層100を構成する樹脂は、例えば、ガス透過性を有していてもよい。ガス透過性を有する樹脂の一例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)及びポリ塩化ビニル(PVC)が挙げられる。また、基材層の構造は、よりガス透過性が高い多孔体であってもよい。基材層100がガス透過性を有する場合に、藻類培養シート10における基材層100側から藻類培養シート10へ供給される二酸化炭素は、基材層100を透過し、培養層200において増殖する藻類(種藻類300を含む。)へ供給される。したがって、基材層100がガス透過性を有する場合には、培養層200において培養されている藻類へ、藻類培養シート10における両面から二酸化炭素が供給される。その結果、培養中の藻類の光合成活性を高めることができる。
【0031】
また、基材層100は、例えば、不織布又は紙等の導水性を有する材料によって構成されていてもよい。これにより、基材層100において吸い上げられた栄養水(水分及び養分)が培養層200側の面の各領域に略均一に供給される。その結果、培養層200の領域毎での栄養水供給量の差の発生を抑制することができる。
【0032】
また、基材層100は、例えば、導光性を有する部材によって構成されていてもよい。導光性を有する部材の一例としては、LGP(Light Guiding Panel)及び光ファイバーが挙げられる。
【0033】
図5は、基材層100が導光性を有する場合の効果を説明するための図である。図5を参照して、基材層100が導光性を有する場合に、藻類培養シート10の上端側から藻類培養シート10へ照射される光は、基材層100の上端から基材層100内へ進入し、基材層100内で拡散する。拡散した光の一部は、培養層200側へ照射され、培養層200において増殖する藻類へ供給される。その結果、培養中の藻類の光合成活性を高めることができる。
【0034】
また、基材層100は、例えば、自発光素子によって構成されていてもよい。自発光素子の一例としては、EL(Electro Luminescence)、蛍光灯及びLED(Light-Emitting Diode)等の電流駆動型の発光素子が挙げられる。
【0035】
図6は、基材層100が自発光素子によって構成される場合の効果を説明するための図である。図6を参照して、基材層100においては、培養層200へ向かって発光するように自発光素子が配置されている。基材層100を構成する自発光素子には、電源500によって電圧が印加される。電源500によって電圧が印加されると、各自発光素子が発光し、光が基材層100側から培養層200へ照射される。自発光素子によって藻類へ光を照射することによって、藻類へ安定的に光を供給することができる。また、自発光素子が発する光の波長及び量を調整することによって、所望の光を藻類へ供給することができる。その結果、培養中の藻類の光合成活性を高めることができる。
【0036】
また、例えば、基材層100において、培養層200が積層された面に凹凸が賦形されていてもよい。すなわち、基材層100において、培養層200が積層された面に粗さが形成されていてもよい。例えば、培養層200が積層される面にエンボスパターンが形成されることによって、又は、培養層200が積層される面に梨地加工が施されることによって粗さが形成されてもよい。培養層200が積層された面に粗さが形成されていることによって、藻類培養シート10における培養層200側から藻類培養シート10へ光が照射された場合に、基材層100のうち粗さが形成された面において光の乱反射が生じる。その結果、培養層200において培養中の藻類へ一方向のみから光が照射される事態の発生を抑制することができる。また、培養層200が積層される面に粗さが形成されることによって、培養層200の積層時におけるハジキの発生を抑制することができる。また、培養層200が積層される面における粗さを調整することによって、基材層100及び培養層200間における物理的作用(アンカー効果)の大きさを調整することができる。その結果、基材層100に対する培養層200の密着性及び剥離性を調整することができる。
【0037】
また、例えば、基材層100において、培養層200が積層された面に表面処理が施されていてもよい。表面処理の一例としては、コロナ放電又はグロー放電等を用いた放電処理が挙げられる。培養層200が積層される面に表面処理が施されることによって、培養層200の積層時におけるハジキの発生を抑制することができる。また、培養層200が積層される面に施される表面処理を調整することによって、基材層100及び培養層200間における化学的作用に起因する培養層200の密着性及び剥離性を調整することができる。
【0038】
また、例えば、基材層100において、培養層200が積層される面には、表面層が形成されていてもよい。例えば、基材層100において、培養層200が積層される面に、MCPポリマーによって構成される表面層が形成されていてもよい。この場合に、藻類培養シート10は、基材層100、表面層及び培養層200の3層を含むことになる。培養層200が積層される面に表面層が形成されることによって、培養層200の積層時におけるハジキの発生を抑制することができる。また、培養層200が積層される面に形成される表面層を調整することによって、基材層100及び培養層200間における物理的及び化学的作用に起因する培養層200の密着性及び剥離性を調整することができる。また、表面層がMCPポリマーによって構成されることにより、基材層100に対する藻類の親和性が高まる。その結果、基材層100に藻類の培養に適した表面性を持たせることができる。
【0039】
(1-2-3.培養層の構成)
再び図1を参照して、培養層200は、例えば、生分解性樹脂によって構成されていてもよい。生分解性樹脂とは、自然界における微生物の関与によって、環境に悪影響を与えない低分子化合物に分解される樹脂のことをいう。生分解性樹脂の一例としては、ポリビニルアルコール(PVA)、多糖類及び小糖類(例えば、セルロース、CD(シクロデキストリン)及びでん粉)並びにポリ乳酸(PLA)が挙げられる。培養層200が生分解性樹脂によって構成される場合には、藻類が培養された培養層200を基材層100から剥離し、剥離された培養層200から必要成分を抽出した後に、培養層200を肥料等として自然に還元することができる。
【0040】
また、培養層200は、例えば、可食性の生分解性樹脂によって構成されていてもよい。可食性の生分解性樹脂の一例としては、寒天、こんにゃく及びオブラートが挙げられる。培養層200が可食性の生分解性樹脂によって構成される場合には、藻類が培養された培養層200を基材層100から剥離した後に、培養された藻類を培養層200ごと食用にすることができる。
【0041】
また、培養層200は、例えば、スポンジ等の多孔体によって構成されていてもよい。培養層200が多孔体によって構成されることにより、藻類の立体的な培養が可能となるため、藻類の収率を向上させることができる。なお、多孔体におけるセルの体積は、例えば、培養する藻類の種類に応じて適宜調整されてもよい。これにより、藻類の種類に応じた効率的な培養を実現することができる。
【0042】
培養層200が多孔体によって構成される場合に、培養層200は、例えば、3Dプリンタによって形成されてもよい。多孔体を人工的に作製することによって、藻類が生育しやすい環境を確実性高く実現することができる。
【0043】
また、培養層200は、例えば、綿、織物、又は、化学繊維によって構成されたニット等の生地により構成されていてもよい。培養層200において培養される藻類に適した構造を有する生地を培養層200に用いることによって、藻類が生育しやすい環境を実現することができる。また、培養層200が生地によって構成される場合には、ニードルパンチを用いることによって培養層200を嵩高にすることができる。その結果、藻類の立体的な培養が可能となる。
【0044】
また、培養層200は、例えば、水溶性樹脂を含んでいてもよい。例えば、水溶性樹脂は、培養層200にランダムに分散して含まれていてもよい。水溶性樹脂とは、水に可溶な樹脂のことをいう。水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド及びカルボキシメチルセルロースが挙げられる。培養層200に水溶性樹脂が含まれる場合には、藻類が培養された培養層200を基材層100から剥離し、剥離された培養層200を水に溶かすことによって藻類を効率的に回収することができる。また、培養層200が水溶性樹脂を含んでいる場合に、培養層200に少なくとも1種類以上の担持体110が含まれていてもよい。
【0045】
図7は、培養層200に担持体110が含まれている場合における藻類培養シート10の断面を模式的に示す図である。図7に示されるように、この例においては、培養層200に担持体110が含まれている。
【0046】
担持体110としては、例えば、吸着性多孔質体が用いられる。吸着性多孔質体としては、例えば、活性炭、アルミナ、チューブ状含水ケイ酸アルミニウム(例えば、ハロイサイト、モンモリロナイト又はカオリナイト)、シリカゲル、ゼオライト、層状複水酸化物(Layered Double Hydroxide:LDH)、非晶質アルミニウムケイ酸塩及びシクロデキストリン等が挙げられる。担持体110は、少なくとも1種類以上の栄養分を吸着している。担持体110によって吸着されている栄養分は、藻類の生育を促進する成分によって構成されている。
【0047】
図8は、培養層200に担持体110が含まれている場合の効果を説明するための図である。図8を参照して、例えば、藻類培養シート10を用いた藻類培養の開始から時間が経過するのに応じて、培養層200に含まれる水溶性樹脂の溶解が進行する。水溶性樹脂の溶解が進行するのに伴い、担持体110に担持されている栄養分が徐放され、徐放された栄養分が培養層200上に配置された種藻類300へ供給される。これにより、培養層200において培養中の複数の種藻類300の各々へ栄養分を均一に投与することができる。
【0048】
また、培養層200が水溶性樹脂を含む場合に、水溶性樹脂が溶解すると、培養層200内において空隙率が上昇する。培養層200内において生じた空隙部分に藻類が増殖するため、空隙率が上昇することによって、藻類の増殖速度を上昇させることができる。また、空隙率の上昇を管理し、藻類の増殖分布を均一にすることによって、藻類の製造管理を比較的容易にすることができる。
【0049】
また、培養層200は疎水性を有していてもよい。これにより、培養層200において培養された藻類の回収が比較的容易になる。また、培養層200は、基材層100に対して密着性及び剥離性を有していてもよい。これにより、培養層200において培養された藻類を培養層200ごと基材層100から剥離することができる。
【0050】
また、培養層200は、例えば、天然由来原料によって構成されていてもよい。天然由来原料の一例としては、鉋屑、葉脈、へちま繊維及び茶殻等の人工改質を経ない材料が挙げられる。
【0051】
また、培養層200は、例えば、導光性を有する部材を含んでいてもよい。導光性を有する部材の一例としては、LGP及び光ファイバーが挙げられる。培養層200が導光性を有する場合に、藻類培養シート10を用いた藻類培養が行なわれるときは、例えば、藻類培養シート10の上端側から藻類培養シート10へ照射される光が、培養層200の上端から培養層200内へ進入し、培養層200内で拡散する。拡散した光の一部は、培養層200において培養中の藻類へ供給される。その結果、培養中の藻類の光合成活性を高めることができる。
【0052】
また、培養層200は、例えば、導水性を有する材料によって構成されていてもよい。これにより、培養層200において吸い上げられた栄養水(水分及び養分)が培養層200の各領域に略均一に供給される。その結果、培養層200の領域毎での栄養水供給量の差の発生を抑制することができる。
【0053】
<1-3.藻類培養シートの製造方法>
図9は、藻類培養シート10の製造手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートにおける各工程は、例えば、製造装置によって行なわれる。
【0054】
図9を参照して、製造装置は、基材層100を準備する(ステップS100)。製造装置は、基材層100上に培養層200を積層し、積層シートを製造する(ステップS110)。製造装置は、製造された積層シートに滅菌処理を施し、藻類培養シート10を製造する(ステップS120)。
【0055】
ステップS110においては、例えば、基材層100上にキャスティング法によって培養層200が積層されてもよい。キャスティング法を用いることによって、厚みのある培養層200を容易に形成することができる。
【0056】
また、ステップS110においては、例えば、基材層100上に印刷法によって培養層200が積層されてもよい。印刷法としては、例えば、スクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷又はインクジェット印刷を適用することができる。印刷法を用いることによって、基材層100の平面方向における領域毎に所望の形状を有する培養層200を比較的容易に形成することができる。その結果、藻類培養シート10における所望の領域において藻類を培養することができる。また、基材層100上において疎水パターンが印刷法によって形成されてもよい。
【0057】
また、ステップS110においては、例えば、基材層100上にスプレー法によって培養層200が積層されてもよい。また、ステップS110においては、例えば、基材層100に培養層200を貼り合わせることによって、基材層100上に培養層200が積層されてもよい。基材層100に培養層200を貼り合わせるために、例えば、水のりが用いられてもよい。
【0058】
また、ステップS120においては、積層シートに電離放射線を照射することによって、積層シートの滅菌処理が行なわれてもよい。電離放射線の一例としては、ガンマ線及び電子線が挙げられる。これにより、積層シートにおける滅菌を効果的に行なうことができる。また、ガンマ線を照射することによって滅菌処理が行なわれる場合には、積層シートの反物ごと滅菌処理を行なうことができる。したがって、ステップS110を経て積層シートが製造された後に、積層シートの反物が製造され、積層シートの反物に対して滅菌処理が施されてもよい。また、ガンマ線の照射によって、基材層100及び培養層200間の密着性の向上、及び、培養層200における高分子化(水溶性ポリマーの架橋による不溶化等)を図ることができる。
【0059】
図10は、藻類培養シート10の製造手順の他の例を示すフローチャートである。このフローチャートにおける各工程は、例えば、製造装置によって行なわれる。なお、このフローチャートにおけるステップS200,S210は、それぞれ図9のフローチャートにおけるステップS100,S110と同一である。したがって、ステップS200,S210については、説明を繰り返さない。
【0060】
図10を参照して、ステップS210において積層シートが製造されると、製造装置は、積層シートのロール(反物)を製造し、製造されたロールを密封袋に入れて密封する(ステップS220)。製造装置は、密封袋内に密封されたロールに対して滅菌処理を施し、ロール状の藻類培養シート10を製造する(ステップS230)。なお、密封袋は、例えば、オレフィン系の樹脂製であってもよい。
【0061】
この例においては、密封袋内に密封された状態で積層シートのロールに滅菌処理が施される。そのため、密封袋が開封されるまでロール状の藻類培養シート10の滅菌状態を維持することができ、藻類培養シート10の品質管理を比較的容易にすることができる。なお、ステップS230における滅菌処理は、例えば、図9のステップS120における滅菌処理と同様な方法(例えば、ガンマ線を照射する方法)で行なわれてもよい。
【0062】
<1-4.特徴>
以上のように、本実施の形態1に従う藻類培養シート10は、基材層100と、培養層200とを備える。培養層200は、基材層100に積層されており、藻類を培養するように構成されている。藻類培養シート10によれば、培養層200が基材層100に積層されており培養層200単体で藻類培養シートが構成される場合と比較して藻類培養シート10の強度が高いため、藻類培養シート10の取扱い性を改善することができる。
【0063】
また、本実施の形態1に従う藻類培養シート10においては、培養層200が可食性の生分解性樹脂によって構成されていてもよい。藻類培養シート10によれば、培養層200が可食性の生分解性樹脂で構成されるため、培養された藻類を培養層200ごと食用にすることができる。
【0064】
また、本実施の形態1に従う藻類培養シート10には、電離放射線による滅菌処理が施されていてもよい。藻類培養シート10によれば、藻類培養シート10に電離放射線による滅菌処理が施されているため、所望の藻類以外の微生物が藻類培養シート10に混入した状態で所望の藻類の培養が行なわれる可能性を低減することができる。
【0065】
[2.実施の形態2]
上記実施の形態1に従う藻類培養シート10においては、培養層200上に複数の種藻類300が配置された場合に、複数の種藻類300の各々が外部に露出していた。しかしながら、種藻類300は、必ずしも外部に露出していなくてもよい。本実施の形態2に従う藻類培養シート10Aにおいては、培養層200上に配置された複数の種藻類300が保護層600によって覆われている。これにより、培養層200における藻類の培養中に、所望の藻類以外の微生物が培養層200に混入する可能性を低減することができる。
【0066】
<2-1.藻類培養シートの構成>
図11は、本実施の形態2に従う藻類培養シート10Aを用いて藻類培養を行なう様子を模式的に示す図である。図11に示されるように、藻類培養シート10Aにおいては、培養層200上に複数の種藻類300が配置されており、複数の種藻類300の各々が保護層600によって覆われている。すなわち、藻類培養シート10Aは、基材層100と、基材層100上に積層された培養層200と、培養層200上に積層された保護層600とを含んでいる。
【0067】
保護層600は、例えば、透光性及びガス透過性を有する樹脂によって構成される。これにより、保護層600を透過した二酸化炭素が種藻類300へ供給されると共に、保護層600を透過した光が種藻類300へ供給される。また、基材層100又は培養層200によって吸い上げられた栄養水が種藻類300へ供給される。これにより、種藻類300における光合成が活性化される。
【0068】
<2-2.特徴>
以上のように、本実施の形態2に従う藻類培養シート10Aにおいては、培養層200上に配置された複数の種藻類300が保護層600によって覆われている。したがって、藻類培養シート10Aによれば、培養層200における藻類の培養中に、所望の藻類以外の微生物が培養層200に混入する可能性を低減することができる。
【0069】
[3.実施の形態3]
また、藻類培養シートが単層で構成される場合もある。以下では、単層の藻類培養シート10Bについて説明する。
【0070】
図12は、本実施の形態3に従う藻類培養シート10Bにおいて藻類培養が行なわれている様子を模式的に示す断面図である。図12に示されるように、藻類培養シート10Bは、単層で構成されており、培養層200Bを含む。
【0071】
培養層200Bは、例えば、生分解性樹脂によって構成されていてもよい。生分解性樹脂の一例としては、ポリビニルアルコール、多糖類(例えば、セルロース、CD及びでん粉)及びポリ乳酸が挙げられる。培養層200Bが生分解性樹脂によって構成される場合には、藻類が培養された培養層200Bから必要成分を抽出した後に、培養層200Bを肥料等として自然に還元することができる。
【0072】
また、培養層200Bは、例えば、可食性の生分解性樹脂によって構成されていてもよい。可食性の生分解性樹脂の一例としては、寒天、こんにゃく及びオブラートが挙げられる。培養層200Bが可食性の生分解性樹脂によって構成される場合には、藻類が培養された培養層200Bごと食用にすることができる。
【0073】
また、培養層200Bは、例えば、水溶性樹脂を含んでいてもよい。水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド及びカルボキシメチルセルロースが挙げられる。培養層200Bに水溶性樹脂が含まれる場合には、藻類が培養された培養層200Bを水に溶かすことによって藻類を効率的に回収することができる。また、培養層200Bが水溶性樹脂を含んでいる場合に、培養層200Bに少なくとも1種類以上の担持体110が含まれていてもよい。
【0074】
担持体110としては、例えば、吸着性多孔質体が用いられる。吸着性多孔質体としては、例えば、活性炭、アルミナ、チューブ状含水ケイ酸アルミニウム(例えば、ハロイサイト、モンモリロナイト又はカオリナイト)、シリカゲル、ゼオライト、層状複水酸化物、非晶質アルミニウムケイ酸塩及びシクロデキストリン等が挙げられる。担持体110は、少なくとも1種類以上の栄養分を吸着している。担持体110によって吸着されている栄養分は、藻類の生育を促進する成分によって構成されている。
【0075】
例えば、藻類培養シート10Bを用いた藻類培養の開始から時間が経過するのに応じて、培養層200Bに含まれる水溶性樹脂の溶解が進行する。水溶性樹脂の溶解が進行するのに伴い、担持体110に担持されている栄養分が徐放され、徐放された栄養分が培養層200B上に配置された種藻類300へ供給される。これにより、培養層200Bにおいて培養中の複数の種藻類300の各々へ栄養分を均一に投与することができる。
【0076】
また、培養層200Bが水溶性樹脂を含む場合に、水溶性樹脂が溶解すると、培養層200B内において空隙率が上昇する。培養層200B内において生じた空隙部分に藻類が増殖するため、空隙率が上昇することによって、藻類の増殖速度を上昇させることができる。また、空隙率の上昇を管理し、藻類の増殖分布を均一にすることによって、藻類の製造管理を比較的容易にすることができる。
【0077】
また、培養層200Bは疎水性を有していてもよい。これにより、培養層200Bにおいて培養された藻類の回収が比較的容易になる。また、培養層200Bは、例えば、天然由来原料によって構成されていてもよい。天然由来原料の一例としては、鉋屑、葉脈、へちま繊維及び茶殻等の人工改質を経ない材料が挙げられる。
【0078】
また、培養層200Bは、例えば、導光性を有する部材を含んでいてもよい。導光性を有する部材の一例としては、LGP及び光ファイバーが挙げられる。培養層200Bが導光性を有する場合に、藻類培養シート10Bを用いた藻類培養が行なわれるときは、例えば、藻類培養シート10Bの上端側から藻類培養シート10Bへ照射される光が、培養層200Bの上端から培養層200B内へ進入し、培養層200B内で拡散する。拡散した光の一部は、培養層200Bにおいて培養中の藻類へ供給される。その結果、培養中の藻類の光合成活性を高めることができる。
【0079】
また、培養層200Bは、例えば、導水性を有する材料によって構成されていてもよい。これにより、培養層200Bにおいて吸い上げられた栄養水(水分及び養分)が培養層200Bの各領域に略均一に供給される。その結果、培養層200Bの領域毎での栄養水供給量の差の発生を抑制することができる。
【0080】
また、培養層200B上に保護層600(図12においては不図示)が積層されてもよい。これにより、培養層200B上に配置された複数の種藻類300が保護層600によって覆われる。その結果、培養層200Bにおける藻類の培養中に、所望の藻類以外の微生物が培養層200Bに混入する可能性を低減することができる。
【0081】
また、藻類培養シート10Bの製造過程において、培養層200Bは、キャスティング法によって形成されてもよい。キャスティング法を用いることによって、厚みのある培養層200Bを容易に形成することができる。
【0082】
また、藻類培養シート10Bの製造過程において、培養層200Bに電離放射線が照射されることによって、培養層200Bに滅菌処理が施されてもよい。電離放射線の一例としては、ガンマ線及び電子線が挙げられる。これにより、培養層200Bにおける滅菌を効果的に行なうことができる。また、ガンマ線を照射することによって滅菌処理が行なわれる場合には、培養層200Bの反物ごと滅菌処理を行なうことができる。また、密封袋内に密封された状態で培養層200Bのロールに滅菌処理が施されてもよい。この場合には、密封袋が開封されるまでロール状の藻類培養シート10Bの滅菌状態を維持することができ、藻類培養シート10Bの品質管理を比較的容易にすることができる。
【0083】
[4.他の実施の形態]
上記実施の形態の思想は、以上で説明された実施の形態に限定されない。以下、上記実施の形態の思想を適用できる他の実施の形態の一例について説明する。
【0084】
<4-1>
上記実施の形態1において、藻類培養シート10は、基材層100と、培養層200とを含んでいた。しかしながら、藻類培養シート10の構成はこれに限定されない。藻類培養シート10は、基材層100及び培養層200に加えて他の層を含んでもよい。すなわち、藻類培養シート10は、3層以上で構成されてもよい。
【0085】
<4-2>
また、上記実施の形態1に従う藻類培養シート10においては、1層の培養層200上に複数の種藻類300が配置された。しかしながら、培養層200及び種藻類300の関係はこれに限定されない。例えば、藻類培養シート10においては、スプレー法によって、培養層200と複数の種藻類300を含む層とが交互に形成されていてもよい。これにより、複数の種藻類300がバランスよく配置されるため、複数の種藻類300の各々へ水分及び養分が均一に供給される。その結果、藻類の増殖成長が均一になり、藻類の製造管理が容易になる。
【0086】
<4-3>
また、上記実施の形態1に従う藻類培養シート10は、例えば、培養層200が内側に位置するように丸められ、筒状又は袋状に形成されてもよい。
【0087】
図13は、藻類培養シート10を筒状又は袋状に形成する手順を説明するための図である。図13の左側を参照して、藻類培養シート10は、培養層200が内側に位置するように丸められてもよい。その結果、図13の右側に示されるような筒状の藻類培養シート10が形成されてもよい。この筒状の藻類培養シート10においては、培養層200が内側に位置し、基材層100が外側に位置している。これにより、培養層200に異物が侵入する可能性を低減することができる。
【0088】
また、藻類培養シート10においては、基材層100上の一部の領域のみに培養層200が積層されていてもよい。そのような藻類培養シート10に関しても、培養層200が内側に位置するように丸められてもよい。
【0089】
図14は、基材層100上の一部の領域のみに培養層200が積層された藻類培養シート10を筒状又は袋状に形成する手順を説明するための図である。図14の左側を参照して、基材層100上の一部の領域のみに培養層200が積層された藻類培養シート10は、培養層200が内側に位置するように丸められてもよい。その結果、図14の右側に示されるような筒状の藻類培養シート10が形成されてもよい。この筒状の藻類培養シート10においては、培養層200が内側に位置し、基材層100が外側に位置している。例えば、基材層100が透明で、培養層200が不透明であってもよい。この場合には、例えば、外部の光源によって発された光が基材層100を透過するため、筒状又は袋状に形成された藻類培養シート10内に光が取り込まれる。また、基材層100及び培養層200の両方が不透明な場合に、筒状又は袋状の藻類培養シート10の内側に光源が配置されてもよい。
【0090】
以上、本発明の実施の形態について例示的に説明した。すなわち、例示的な説明のために、詳細な説明及び添付の図面が開示された。よって、詳細な説明及び添付の図面に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須でない構成要素が含まれることがある。したがって、それらの必須でない構成要素が詳細な説明及び添付の図面に記載されているからといって、それらの必須でない構成要素が必須であると直ちに認定されるべきではない。
【0091】
また、上記実施の形態は、あらゆる点において本発明の例示にすぎない。上記実施の形態は、本発明の範囲内において、種々の改良や変更が可能である。すなわち、本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じて具体的構成を適宜採用することができる。
【符号の説明】
【0092】
10,10A,10B 藻類培養シート、100 基材層、110 担持体、200 培養層、300 種藻類、400 栄養水供給部、500 電源、600 保護層。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14