(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128650
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 5/06 20060101AFI20230907BHJP
B65B 43/18 20060101ALI20230907BHJP
B65B 43/30 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B65B5/06
B65B43/18
B65B43/30 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033156
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】段 良雄
【テーマコード(参考)】
3E003
3E030
【Fターム(参考)】
3E003AA05
3E003AB03
3E003BA01
3E003BA03
3E003BA06
3E003BB04
3E003BC04
3E003BD04
3E003CA10
3E003CB03
3E003CB05
3E003DA05
3E003DA06
3E030AA04
3E030BA02
3E030BB02
3E030BC02
3E030CA02
3E030CA09
3E030CB01
3E030CC02
3E030DA01
3E030DA07
3E030EA01
3E030EB01
3E030FA10
3E030GA03
3E030GA05
(57)【要約】
【課題】サイクルタイムが短く作業効率の良い包装機を提供する。
【解決手段】
一辺が開口した状態の袋Hを把持する把持機構20と、この把持機構20に把持された袋HにワークWを投入する充填機構50とを有し、前記充填機構50は、昇降駆動源51の駆動を受けて昇降する昇降軸52と、前記昇降軸52と一体に昇降するワーク投入部53と、前記ワーク投入部53より先に袋H内に進入して当該袋Hの開口部に係止する補助爪541が設けられた開口補助部54とを備えている包装機において、前記昇降軸52には、開口補助部54を下方から支持するとともに開口補助部54と離脱可能に構成された係止部材521が設けられており、前記開口補助部54には、前記補助爪541が袋Hに進入する高さで当該開口補助部54の下降を停止させる停止機構543が設けられていることを特徴とする包装機10による。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一辺が開口した状態の袋を把持する把持機構と、この把持機構に把持された袋にワークを投入する充填機構とを有し、
前記充填機構は、昇降駆動源の駆動を受けて昇降する昇降軸と、
前記昇降軸と一体に昇降するワーク投入部と、
前記ワーク投入部より先に袋内に進入して当該袋の開口部に係止する補助爪が設けられた開口補助部とを有する包装機において、
前記昇降軸には、開口補助部を下方から支持可能かつ開口補助部と離脱可能に構成された係止部材が設けられており、
前記開口補助部には、前記補助爪が袋内に進入する高さで当該開口補助部の下降を停止させる停止機構が設けられていることを特徴とする包装機。
【請求項2】
前記昇降駆動源が電動アクチュエータであることを特徴とする請求項1に記載の包装機。
【請求項3】
前記充填機構は、開口補助部の高さを検出する検出手段を備えており、
前記開口補助部は、前記検出手段からの信号に基づき前記補助爪を開閉させる補助爪開閉部を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の包装機。
【請求項4】
前記ワークが袋より小さい平体からなり、
前記ワーク投入部は、ワークより小さいチャック爪を開閉駆動させる投入チャックを備えており、
前記充填機構は、袋の上からワークを挟持する挟持爪を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の包装機。
【請求項5】
前記ワーク投入部は、複数対の投入チャックと、これら投入チャックの何れか一つが把持機構に把持された袋の上方に位置するように投入チャックを移動させる移動手段とを備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載の包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給された袋を開口して、所望ワークを投入後、当該袋を封止する包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、先行文献1および先行文献2に示すように袋を把持する把持機構と、この把持機構に把持された袋内にワークを投入するワーク投入部と、このワーク投入部より先に袋内に進入して当該袋の開口部を保持する開口補助部とを有する包装機が知られている。このような包装機は、前記開口補助機構を移動させる開口補助機構用の駆動源と、ワーク投入部用の駆動源とが別々に設けられており、開口補助機構を袋の開口部に係止可能な所定の位置まで移動した後に、ワーク投入部用の駆動源が駆動するように構成されている。これにより、ワークおよびワーク投入部は、開口補助機構によって十分大きく開いた状態に保持される袋の開口部を通過することが可能となり、当該通過途中で袋に係止すること等が防止される。このため、ワークの投入時に袋が把持機構から脱落することが防止され、安定してワークを投入可能等の特徴があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-126208号公報
【特許文献2】特開2007-055670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の包装機は、補助爪を移動させる補助爪用の駆動源とワークを移動させるワーク用の駆動源をそれぞれ別に設けていた。そのため、ワークを投入する際、それぞれの可動部等が干渉しないよう互いに動作待ちの時間を設ける必要があり、サイクルタイムが長くなるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて創生されたものであり、サイクルタイムを短縮可能な包装機の提供を目的とする。この目的を達成するために本発明は、一辺が開口した状態の袋を把持する把持機構と、この把持機構に把持された袋にワークを投入する充填機構とを有し、前記充填機構は、昇降駆動源の駆動を受けて昇降する昇降軸と、前記昇降軸と一体に昇降するワーク投入部と、前記ワーク投入部より先に袋内に進入して当該袋の開口部に係止する補助爪が設けられた開口補助部とを有する包装機において、前記昇降軸には、開口補助部を下方から支持可能かつ開口補助部と離脱可能に構成された係止部材が設けられており、前記開口補助部には、前記補助爪が袋内に進入する高さで当該開口補助部の下降を停止させる停止機構が設けられていることを特徴とする。なお、前記昇降駆動源が電動アクチュエータであることが好ましい。また、前記充填機構は、開口補助部の高さを検出する検出手段を備えており、前記開口補助部は、前記検出手段からの信号に基づき前記補助爪を開閉させる補助爪開閉部を有することが好ましい。さらに、前記ワークが袋より小さい平体からなり、前記ワーク投入部は、ワークより小さいチャック爪を開閉駆動させる投入チャックを備えており、前記充填機構は、袋の上からワークを挟持する挟持爪を有することが好ましい。しかも、前記ワーク投入部は、複数対の投入チャックと、これら投入チャックの何れか一つが把持機構に把持された袋の上方に位置するように投入チャックを移動させる移動手段を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明の包装機は、袋の開口状態を保持する開口補助部とワーク投入部の両方が昇降軸に連動して昇降するように構成されており、この昇降軸を昇降させる昇降駆動源一つで開口補助部とワーク投入部の位置制御ができるため、従来の包装機のように可動部の干渉防止用の動作待ち等が必要なくなる。結果、サイクルタイムを短くすることができる等の利点がある。同時に、制御が必要な駆動源が減少することで、制御部の構成を単純化でき、比較的安価に製造可能になる等の利点もある。なお、前記昇降駆動源が電動アクチュエータであり、昇降速度を適宜調節することが可能であるため、よりサイクルタイムを短くすることが可能となる。また、前記補助爪が開口補助部の高さを検出する検出手段からの信号に基づき開閉駆動するため、袋を安定して開口させることが可能等の利点もある。さらに、挟持爪が袋に投入されたワークを挟持するため、投入チャックを袋から抜き出す際にワークが一緒に抜け出ることを防止でき、平体のワークであっても安定して袋内に投入することが可能となる等の利点もある。しかも、ワーク投入部が投入チャックを複数対備えており、ワークを袋に投入している間に次段のワークの準備が可能となるため、よりサイクルタイムを短くすることが可能となる等の利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る包装機の構造を示す平面概略図である。
【
図2】
図1の状態から次の状態へ移行する動作を示す平面概略図である。
【
図3】本発明に係る包装機の充填機構の構造を示す要部拡大一部切欠き正面図である。
【
図4】本発明に係る包装機の充填機構の構造を示す要部拡大一部切欠き側面図である。
【
図5】
図3の状態から次の状態へ移行する動作を示す要部拡大一部切欠き正面図である。
【
図6】
図4の状態から次の状態へ移行する動作を示す要部拡大一部切欠き側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
図1および
図2において10は、矩形の袋Hに所定のワークWを投入する包装機10である。この包装機10は、
図1に示すように基台11上に固定された駆動モータ12と、この駆動モータ12の駆動を受けて間欠回転可能な回転テーブル13とを備えている。また、回転テーブル13には、袋Hを把持する把持機構20が複数組円周方向に沿って所定の間隔で設けられており、前記基台11上には、
図1に示すように前記回転テーブル13による把持機構20の間欠回転停止位置に袋Hを供給する給袋装置30と、袋Hを開口する開口機構40と、開口された袋H内にワークWを投入する充填機構50と、ワークWを内包する袋Hの開口部を閉鎖する封止機構70と、開口部が閉鎖された袋Hを排出する排出シュート80とが配設されている。さらに、包装機10は、制御部(図示せず)を備えており、この制御部により各機構の駆動が制御されている。
【0009】
前記袋Hは、その一辺を開口可能にした矩形の平袋であり、内部にワークWを貯留可能な容量に設定されている。この袋Hは、アルミニウムからなる外層と、熱可塑性樹脂の一例であるポリプロピレンからなる内層からなる二層構造を成しており、加熱されることで内層のポリプロピレンが溶着され、当該加熱箇所を封止可能に構成されている。また、前記ワークWは、袋Hより小さい平坦物が複数枚重なり構成されたシート状部材である。
【0010】
前記把持機構20は、それぞれ袋Hの側方縁部を把持する一対の把持爪21、21を備えており、この把持爪21、21は、所定の把持爪開閉機構の駆動を受けて開閉可能に構成されている。
【0011】
前記給袋装置30は、前記袋Hを収納可能なマガジン31を備えている。このマガジン31は、上側に開口した箱形状に構成されており、その内部には、水平姿勢の袋Hが複数枚重ねられている。このマガジン31の上方には、供給シリンダ32が設けられており、この供給シリンダ32の駆動部先端には、供給用吸着パッド33が設けられている。この供給用吸着パッド33には、供給用吸気手段(図示せず)が連続しており、この供給用吸気手段が作動することにより、供給用吸着パッド33に袋Hを吸着保持できる。また、前記供給シリンダ32は、水平方向に延びる回転軸34を中心に前記把持機構20に向けて90度回転可能かつ、前記供給用吸着パッド33をマガジン31および把持機構20に向けて往復駆動可能に構成されている。これら構造により、供給用吸着パッド33は、袋Hを吸着保持しながら、供給シリンダ32の駆動により回転軸34と接近、離反する方向に往復駆動可能かつ回転軸34の駆動により旋回して、把持機構20に袋Hを受け渡し可能となる。なお、袋Hは、供給シリンダ32の回転時に水平姿勢から90度向きを変えた鉛直姿勢となるため、前記マガジン31内では、鉛直姿勢になった際、開口部が上方に向くよう揃えられている。
【0012】
前記開口機構40は、前記把持機構20とほぼ同じ高さに設けられており、前記把持爪21、21に把持された袋Hの表裏面それぞれに当接する一対の開口用吸着パッド41,41およびこの開口用吸着パッド41,41を袋Hと直交方向に往復駆動させる開口駆動部(図示せず)を備える。開口用吸着パッド41には、開口用吸気手段(図示せず)が連続しており、この開口用吸気手段が作動することにより、開口用吸着パッド41が袋Hを吸着可能となる。
【0013】
前記充填機構50は、
図3に示すようにその可動部が上下方向に昇降駆動可能な昇降駆動源51と、この昇降駆動源51の可動部に連結された昇降軸52を有しており、この昇降軸52には、前記袋Hの移動経路より上方にワーク投入部53および開口補助部54が支持されている。この昇降駆動源51は、停止位置および下降速度等を調節可能に構成された電動アクチュエータであり、前記制御部からに接続されている。また、前記ワーク投入部53は、前記昇降軸52およびこれと平行に延びるガイド軸に固定された回転機構531と、これの駆動を受けて回転する回転筐体534とを備えており、回転機構531は、
図4に示すように回転駆動源の一例であるロータリーテーブル532を有している。このロータリーテーブル532の駆動軸には、前記昇降軸52を中心に回転する第一ギア533が嵌合しており、この第一ギア533には、前記回転筐体534が連結されている。このため、回転筐体534は、ロータリーテーブル532の駆動を受けて一体に回転する。この回転筐体534の内部には、周方向に180度の間隔を空けて第二ギア535,535が2個設置されており、これら第二ギア535,535の下面には、それぞれこれと一体に回転する投入チャック536、536が取り付けられている。この投入チャック536は、前記ワークWを把持するチャック爪と、このチャック爪を開閉駆動するチャック爪開閉部とから構成されており、チャック爪は、前記ワークWより小さくその下端から把持したワークWの下端がはみ出るよう構成されている。
【0014】
また、前記昇降軸52には、前記第二ギア535と同じ高さに第三ギア537が固定されている。この第三ギア537は、前記第二ギア535、535と嵌合可能に構成されており、前記ロータリーテーブル532の駆動を受けて昇降軸52を中心に公転する第二ギア535,535をそれぞれの軸芯を中心に自転させるように構成されている。これら第三ギア537および第二ギア535,535は、第二ギア535がロータリーテーブル532の駆動を受けて公転する際、後述するワーク供給機構60に合わせた所定の角度第二ギア535、535を自転させるように設計されており、本実施形態においては、第二ギア535が昇降軸52を中心に一周公転する間に当該第二ギア535が半周自転するように設計されている。
【0015】
なお、本包装機10は、前記ロータリーテーブル532の駆動を受けて一方の投入チャック536が把持機構20に把持された袋Hの上方に達した際、他方の投入チャック536の下方となる位置にワーク供給機構60が設けられている。このワーク供給機構60は、第二の回転テーブル61と、この第二の回転テーブル61回転させる第二の回転駆動部(図示せず)を有しており、第二の回転テーブル61上には、ワークWが周方向等間隔に載置されている。この第二の回転テーブル61は、前記投入チャック536がワークWを抜き出すと、所定の角度間欠回転し、次段のワークWを投入チャック536の下方に待機させるよう構成されている。このため、
図6に示すように一方の投入チャック536およびこれに把持されたワークWが袋Hの内部に進入した際、他方の投入チャック536は、ワーク供給機構60上に配置された次段のワークWを把持することができる。また、
図1および
図2に示すようにワークWが前記第二の回転テーブル61の径方向沿うように並べられているため、第二の回転テーブル61上に載置可能なワークWの数を増やすことが可能となり、作業効率が向上する。
【0016】
前記開口補助部54は、前記昇降軸52に固定された係止部材の一例であるセットカラー521に下方から支持されており、前記袋Hの上端縁部に係止可能な一対の補助爪541,541とこの補助爪541,541を袋Hと直交する方向に往復移動させる補助爪開閉部542とを有している。この補助爪541,541は、その先端部が下方に向かい屈曲する板材から構成されており、補助爪開閉部542が駆動することにより、互いに接近離反する構成されている。また、補助爪開閉部542は、
図7の二点鎖線に示すように補助爪541、541を接近させた状態で待機しており、補助爪541,541が袋Hの内部に侵入後にこれらを離反させるように構成されている。これにより、拡開した補助爪541,541が袋Hの上端縁部に係止して当該袋Hの開口部を十分広くなおかつ、均一に広げておくことが可能となる。このため、後述するワークWの投入時、袋H内に進入する投入チャック536およびワークWが袋Hに接触することを防止する。
【0017】
また、開口補助部54の下面には、昇降軸52と平行に延びる副軸543が固定されており、前記基台11には、副軸543の延長に当接部材55が固定されている。これら副軸543および当接部材55は、前記補助爪541、541の先端部が袋H内に進入可能な高さに開口補助部54が停止する所定の長さ寸法に設計されている。これら構造により、開口補助部54は、副軸543が当接部材55に当接するまでは、昇降軸52の昇降に連動して一体に昇降する一方、副軸543が当接部材55に当接すると停止する。さらに、前記副軸543には、ドグ544が装着され、充填機構50は、ドグ544を検出する検出手段の一例とである近接センサ561,562を備えている。この近接センサ561、562は、上下方向に所定の隙間空けて配置されており、上側の近接センサ561は、
図3に示すように前記開口補助部54がセットカラー521に押し上げられている状態においてドグ544を検出可能な高さに設置され、下側の近接センサ562は、
図5に示すように副軸543が当接部材55と当接している状態においてドグ544を検出可能な高さに設置されている。このため、近接センサ561,562からの信号により、ドグ544およびこれに連動する開口補助部54の高さを検出することができる。
【0018】
さらに、充填機構50は、ワークWが抜け出ることを防止する抜け出し防止機構として、前記袋Hの移載経路の下方に配置される一対の挟持爪571,571と、この挟持爪571,571を袋Hと直交方向に開閉駆動させる挟持爪開閉部572とを備えている。この挟持爪571,571は、袋Hの上からワークWのみを挟持するように構成されており、その先端が前記投入チャック536の下方から突出した部分を把持するように設置されている。
【0019】
前記封止機構70は、袋Hの開口箇所付近を挟持するよう配置された一対のヒータ部材71,71と、このヒータ部材71,71を袋Hと直交方向に往復駆動させる封止駆動部(図示せず)とから構成されており、このヒータ部材71,71は、袋Hの表裏面それぞれに当接した際、この袋Hを溶着する温度にまで加熱するよう構成されている。
【0020】
前記排出シュート80は、前記袋Hに対して十分な広さを有する中空筒状部材から構成されており、その上側開口端が前記袋Hの移動経路より下方に位置するよう配設されている。
【0021】
次に、上記のように構成された包装機10の作用を説明する。
駆動信号が入力されると、制御部が把持爪開閉機構を作動させ、把持爪21、21が開かれる。把持爪21、21が開かれると前記給袋装置30が駆動し、前記マガジン31から袋Hを1枚抜き出して把持爪21、21に供給する。袋Hが供給されると把持爪開閉機構が逆方向に作動して把持爪21、21を閉じる。このため、袋Hは、その両側縁部を把持爪21、21に把持される。このように袋Hが把持機構20に把持されると制御部は、前記供給用吸気手段の駆動を停止するとともに、前記供給シリンダ32を逆駆動させて供給用吸着パッド33を下降させる。これにより、前記供給用吸着パッド33が袋Hから外れて後退するとともにして、マガジン31内最上位の次段の袋Hに向かって下降する。このように供給用吸着パッド33が袋Hから離れると、制御部は、回転テーブル13を回転させ、把持機構20および袋Hを開口機構40に向かい移動させる。
【0022】
制御部は、把持爪21、21が開口機構40と相対する位置に達すると、回転テーブル13を停止させるとともに、前記開口駆動部を駆動させ、開口用吸着パッド41,41を互いに接近させる。互いに接近した開口用吸着パッド41,41が袋Hの表裏面それぞれに当接すると、制御部は、前記開口用吸気手段が駆動させるとともに開口駆動部を再度駆動させて開口用吸着パッド41,41を互いに離反させる。これにより、袋Hは、表裏面がそれぞれ異なる方向に引っ張られて開口する。制御部は、袋Hが開口すると、前記開口用吸気手段を停止させるとともに、開口用吸着パッド41,41を袋Hから外す。制御部は、開口用吸着パッド41,41が袋Hから外れると、回転テーブル13を再度回転させ、把持機構20および袋Hを充填機構50に向かい移動させる。
【0023】
把持爪21、21および袋Hが前記充填機構50の開口補助部54の下方に達すると制御部は、回転テーブル13の回転を停止させるとともに、前記昇降駆動源51を駆動させて昇降軸52と、これに連動する前記ワーク投入部53および開口補助部54を下降する。その後、前記開口補助部54は所定の高さまで下降すると、前記副軸543が当接部材55に当接して下降停止する。同時に前記下側の近接センサ562が副軸543に固定されたドグ544を検出し、制御部に検出信号を出力する。制御部は、検出信号を受信すると、前記開口補助部54の補助爪開閉部542を駆動させて補助爪541,541を離反させる。これにより、補助爪541,541が
図7に示すように袋Hの開口部に係止する。その後、昇降駆動源51が昇降軸52をさらに下降させると、セットカラー521が開口補助部54から離脱するとともに、昇降軸52に連動して下降するワーク投入部53の投入チャック536および当該投入チャック536に保持されたワークWが補助爪541,541の間を通過して袋H内に進入する。この時、前述のように開口補助部54により、袋Hは、開口部が開いた状態を保持されているため、進入するワークWおよび投入チャック536が袋Hの内面に接触し難く、当該接触により袋Hが把持機構20から外れること等が防止される。このように、昇降駆動源51一つでワーク投入部53および開口補助部54の両方を昇降させることが可能で駆動源を複数個備える必要がない。結果、従来の包装機のようにワーク投入部53と開口補助部54との衝突等を防止するために、それぞれの駆動部を一旦停止させる所謂動作待ちの時間等が不要となり、サイクルタイムが向上する。同時に、昇降駆動源51一つでワーク投入部53および開口補助部54の位置制御が可能となるため、制御部の構成を簡易化することができ、安価に製造可能になる等の利点も生じる。
【0024】
上述のように袋Hに投入チャック536およびワークWが進入すると前記挟持爪開閉部572が駆動し、挟持爪571,571が袋Hの上からワークWを挟持する。その後、チャック爪開閉部が逆駆動して投入チャック536を開くとともに、前記昇降駆動源51が逆駆動して昇降軸52およびワーク投入部53を上昇させる。この時、挟持爪571,571に把持されていることで、ワークWが投入チャック536と一緒に袋Hから抜け出ることが防止されている。このため、平体のワークWであっても安定して袋H内に投入される。その後、昇降軸52のセットカラー521が開口補助部54に当接し、開口補助部54およびワーク投入部53を当初の高さまで復帰させる。この復帰時、開口補助部54の上昇に従い、前記ドグ544が下側の近接センサ562の検出域から脱出すると、制御部は、ワーク投入部53が開口補助部54に対して十分上昇しており、投入チャック536が補助爪541、541から抜け出ていると判断し、前記補助爪開閉部542を駆動させて補助爪541,541を再度接近させる。
【0025】
また、上述のように一方の投入チャック536が袋HにワークWを投入しているとき、他方の投入チャック536は、前記ワーク供給機構60の第二の回転テーブル61上の次段のワークWを把持している。このように、片方の投入チャック536がワークWを投入している間に他方の投入チャック536が次段のワークWを受け取れるため、ワークWの投入後に別途次段のワークWを受け取る工程を取る必要がなく、サイクルタイムを短くできる。さらに、昇降軸52が最上位まで上昇すると、制御部は、前記回転テーブル13を駆動させて袋Hを封止機構70に向けて移動させるとともに前記ロータリーテーブル532および前記第二の回転テーブル61を所定の角度ずつ回転させる。これにより、前記投入チャック536は、互いの位置が切り替えられるとともに、次段のワークWの上方に投入チャック536が待機することとなる。
【0026】
把持爪21、21が封止機構70の下方に達すると制御部は回転テーブル13を停止させるとともに、前記封止駆動部を駆動させてヒータ部材71,71を接近させる。このように互いに接近したヒータ部材71,71が袋Hの表裏面それぞれに当接することで、袋Hの開口部付近がヒータ部材71,71の熱により、溶着する。溶着後、制御部は、封止駆動部を複動させて、ヒータ部材71,71を袋Hの表裏面から離反させるとともに、回転テーブル13を再度回転させ、把持機構20および袋Hを排出シュート80に向かい移動させる。把持爪21、21が排出シュート80の上方に達すると制御部は回転テーブル13を停止させるとともに、把持爪開閉機構を駆動させて把持爪21、21を開き、袋Hを排出シュート80内に落下させる。その後制御部は、回転テーブル13を再度回転させ、把持機構20を給袋装置30に向かい移動させ、次段の袋Hを受け取る。
【0027】
なお、本発明に係る包装機10は、前述したものに限定するものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、前記充填機構50は、上記包装機10のように回転テーブル13の回転に従い袋Hを移載する構造の包装機に限らず、(特許文献1に示されるように)給袋装置30が袋Hを供給した位置で袋Hの開口およびワークの投入を行う包装機(図示せず)等、他の構成の包装機に適用されても良い。また、前記副軸543は、前記補助爪541、541が袋H内に進入する所定の高さで前記開口補助部54を停止させる停止機構の一例であり、前述の高さで開口補助部54を停止可能であれば、その他構成であっても何ら問題ない。同様にロータリーテーブル532および第一ギア533ないし第三ギア537による遊星歯車機構は、前記投入チャック536を移動させる移動手段の一例であり、モータ等の回転駆動源により、投入チャック536を移動させる構成であっても何ら問題ない。さらに、前記昇降駆動源51が停止位置や下降速度を調節可能に構成された電動アクチュエータであるため、例えば、補助爪541が袋Hに入るまでは、高速で下降しその後、低速下降する等、適宜速度調節することが可能となり、高速かつ安全にワークWを投入可能となる。
【0028】
また、充填機構50には、前記開口補助部54を袋Hに向けて付勢する付勢手段を備えていても良い。これにより、上記包装機10のように開口補助部54が自重で袋Hに向けて移動できない構造の包装機であっても開口補助部54を袋Hに向けて移動させることが可能となり、上記充填機構50を適用することが可能となる。さらに、前記補助爪541,541が複数対設けられていても何ら問題なく、ワークに合わせて、補助爪が袋と平行方向に拡開するように構成されていても何ら問題ない。
【符号の説明】
【0029】
10 … 包装機
13 … 回転テーブル
20 … 把持機構
30 … 給袋装置
40 … 開口機構
50 … 充填機構
51 … 昇降駆動源
52 … 昇降軸
521… 係止部材
53 … ワーク投入部
54 … 開口補助部
541… 補助爪
60 … ワーク供給機構
70 … 封止機構
80 … 排出シュート