(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128671
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】風速加速型風車
(51)【国際特許分類】
F03D 1/04 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
F03D1/04 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033188
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】521518910
【氏名又は名称】合同会社加速流グリーンパワー研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100133411
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 龍郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067677
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 彰司
(72)【発明者】
【氏名】浅井 壮一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 邦光
(72)【発明者】
【氏名】清徳 則雄
(72)【発明者】
【氏名】吉場 康隆
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩司
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB31
3H178CC02
3H178DD28X
(57)【要約】
【課題】風車背面の風速を上げると共に風胴体の出口部分の風速を上げる、」その結果、風車の羽根の回転効率を向上せしめて、発電電力を高めると共に、装置の高さの問題、設置の安定性及び風胴体支持の安定性を改良した風速加速型風車を提供する。
【解決手段】風車は風胴体の内部に設置されており、風胴体はその断面積が風流入口から風車の設置された位置までの間で直線的又は曲線的に縮小するように形成されている前方風胴部材と、その縮小した断面積が風車の設置された位置から風流出口までの間で直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持するように形成された後方風胴部材と、からなり、該後方風胴部材の風流出口に風分散部あるいは風分散形を持つことを特徴とする風速加速型風車。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風車と風胴体とからなり、風車は風胴体の内部に設置されており、風胴体はその断面積が風流入口から風車の設置された位置までの間で直線的又は曲線的に縮小するように形成されている前方風胴部材と、その縮小した断面積が風車の設置された位置から風流出口までの間で直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持するように形成されている後方風胴部材と、からなり、該後方風胴部材の風流出口の口縁に風胴体の外側の風を分散する風分散部を形成したことを特徴とする風速加速型風車。
【請求項2】
風車と内側風胴体と、該内側風胴体の外側に設けられた外側風胴体とからなり、前記風車は前記内側風胴体の内部に設置されており、該内側風胴体は、その断面積が風流入口から風車の設置された位置までの間で直線的又は曲線的に縮小するように形成された前方風胴部材と、その縮小した断面積が風車の設置された位置から風流出口までの間で直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持するように形成された後方風胴部材とからなり、該後方風胴部材の風流出口に風分散部が形成されてなることを特徴とする風速加速型風車。
【請求項3】
風車と内側風胴体と、該内側風胴体の外側に設けた外側風胴体とを有し、前記風車は前記内側風胴体の内部に設置されており、該内側風胴体は、その断面積が風流入口から風車の設置された位置までの間で直線的又は曲線的に縮小するように形成された前方風胴部材と、その縮小した断面積が風車の設置された位置から風流出口までの間で直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持するように形成された後方風胴部材で構成されており、該後方風胴部材の風流出口に風分散部が構成され、また、該外側風胴体は風流入口が内側風胴体の風流出口に対応する位置又はその近傍にあり、風流入口から風流出口までの間で、直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持するように形成されていることを特徴とする風速加速型風車。
【請求項4】
風車が内部に設置されている内側風胴体と、該内側風胴体の外側に設けられた外側風胴体とからなり、内側風胴体は、縦の長さよりも横の長さの方が大きい扁平な横断面を持つ風流入口を有する前方内側風胴部材と、縦の長さよりも横の長さの方が大きい扁平な横断面を持つ風流出口を有する後方内側風胴部材とにより一体的に構成されており、前方内側風胴部材は、その横断面積が風流入口から後方内側風胴部材との接続部分までの間で縮小するように形成されており、後方内側風胴部材は、前方内側風胴部材の縮小した接続部分から風流出口までの間で拡大するか又は同じ横断面積を保持するように形成され、且つ風流出口に風分散部あるいは風分散形を持ち、前記風車は、前方内側風胴部材と後方内側風胴部材との接続部分の近傍に設置されており、前方内側風胴部材と後方内側風胴部材の接続部分の風車以外の隙間に風分散部を持つように構成されており、外側風胴体は、縦の長さよりも横の長さの方が大きい扁平な横断面を持つ風流入口を有する前方外側風胴部材と、縦の長さよりも横の長さの方が大きい扁平な横断面を持つ風流出口を有する後方外側風胴部材とから一体的に構成されており、前方外側風胴部材は、その横断面積が風流入口から後方外側風胴部材との接続部分までの間で縮小するように形成されており、後方外側風胴部材は、前方外側風胴部材の縮小した接続部分から風流出口までの間で拡大するように形成され、且つ風流出口に風分散部あるいは風分散形を持ち、前方外側風胴部材の風流入口が、前方内側風胴部材と後方内側風胴部材前記との接続部分から後方内側風胴部材の風流出口の前までの間に配置されており、後方内側風胴部材の風流出口が、前方外側風胴部材と後方外側風胴部材との接続部分又はその近傍に配置されていることを特徴とする風速加速型風車。
【請求項5】
風車と、風胴体とがあり、風車は、風胴体の内部に設置されており、該風胴体は、その断面積が風流入口から風車の設置された位置までの間で、風流入口が円形(楕円形、多角形を含む)で直線的又は曲線的に縮小し且つなだらかに分散形を形成するように構成されている前方風胴部材と、風車の設置された位置から風流出口までの間で、前記風分散形を維持したまま断面積が直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持する後方風胴部材とからなることを特徴とする風速加速型風車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は風速加速型風車に関し、風車背面の風速を上げると共に風胴体の出口部分の風速を上げる、その結果、風車の羽根の回転効率を向上せしめて、発電電力を高めると共に、設置の高さの問題、装置の安定性及び風胴体支持の安定性を改良した風速加速型風車に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止が叫ばれて、新しいクリーンエネルギーの開発が急務となっている。該クリーンエネルギーの一つとして注目されているのがCO2を排出しない風力発電システムである。しかしながら、風力発電は、現状では石油代替えエネルギーとしての位置は極めて低い。風力エネルギーを有効に捕捉する手段を開発していかなければならない。
【0003】
従来、風力エネルギーの補足手段は揚力型プロペラ式風車による風力発電が主流となっている。該揚力型プロペラ式風車の場合は長大なブレード(プロペラ翼)を必要とするため、風車自体が大型化するという問題がある。また、そのエネルギー効率は40%前後、すなわち、風力エネルギーの40%前後を捕捉しているのが現状である。ちなみに理論的最高効率は59.3%(ベッツの法則)である。
【0004】
前記の風力発電用風車は、(1)できるだけ回転直径の大きな羽根を備え、(2)できるだけ背の高い風車を、(3)できるだけ風が吹く場所に設置する、という方向で発展してきた。
【0005】
しかし、できるだけ多くの風を捕捉するために回転羽根の直径を大きくすると支柱を高くしなければならず、強風に対しては不安定になり、風が強すぎると破損を恐れて運転を停止しなければならない、という問題があり、建設費にしても数億円と莫大である。
【0006】
時に、人がビルの谷間やアーケード街を通過する時、思いもよらぬ強風に出会うことがある。これは、ビルの壁などに堰き止められた風が空隙を求めて谷間やアーケード街の通過可能地点に集中するためである。これは一種のラバール管効果と考えられる。したがって、ラッパ管を前後に繋ぎ合わせた形のラバール管の中央部、すなわち、最小断面積の近傍に風車を置く風力発電装置が提案されている(特許文献1)。
【0007】
本発明者は、扇風機と風車との間に隔壁を設け、その壁面に穴をあけ、その穴を通して扇風機で風を送り、その穴の直後に風車を置き、風車の回転数を検討した。その結果、驚いたことに、隔壁を設けずに扇風機から直接風車に風を送った場合に比べてはるかに風車の回転数が落ちることが判明した。すなわち、風車の回転には、風車に当たる前面の風だけではなく、風車の周辺から背面へと通過する風の量も重要であることが判明し、二重構造風胴体の外側の風胴体により収束した大量の風力を風車背面へと送ることにより風車の発電効率を高める集風型風車が提案されている(特許文献2)。
【0008】
前記した集風型風車は以下に述べる原理で機能する。風車を通過する空気の速度をV、密度をρ、圧力をPとすれば、単位体積当たりの風の全エネルギーは(1/2)ρV2+P=一定であるから、集風は圧力エネルギーが減り、運動エネルギーを増やす。これは、V、Pの整流化(ランダム化の反対)だからエントロピー(S)の減少である。従って、―TΔS(T:温度)だけ自由エネルギーが増大する。従って、集風型の方がエネルギー効率が高い。しかし、これは、ベルヌーイ流管の定常流を想定した場合である。これに風車を置き、エネルギーを取り出せば、風車の背後のVは減少し、Pは増大する。従って、これを定常流に近づけるためには流管外測の高速流の摩擦によって低速流を高速化する必要がある。換言すれば、高速空気分子によって低速化した風車背後の空気分子を後方へ叩き出すのである(特許文献3)。
【0009】
さらに、風車背後の空気分子を叩き出すには中間風胴体の内部に設置されている風車の側面の両側と上下面側との両方に風が吹き抜ける隙間を設け高い風速を持った風を流すことが有効である(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008-520900号公報
【特許文献2】特開2011-140887号公報
【特許文献3】特許第6033870号公報
【特許文献4】特許第6110455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前記特許文献3、特許文献4が基本的な考えである。その詳細を以下に説明する。
【0012】
人がビルの谷間やアーケード街を通過する時、しばしば思いもよらぬ強風に出会うことがある。これは、ビルの壁等に堰き止められた風が空隙を求めて谷間やアーケード街の通過可能地点に集中するためである。通貨空気の質量をm、密度をρ、風速をVとすれば、単位体積当たりの風のエネルギーは、(1/2)ρV2+P=一定であるから、壁で堰き止められて速度が0になればエネルギーは圧力だけとなり、谷間等の入り口の両側の壁に圧力の高い空気の壁が生じる。これが風胴ダクトとなり、風速が上がるものと考えられる。
【0013】
そこで、
図7(a)及び(b)に示すように、扇風機11(φ=240mm)と風車12(φ150mm)とを約750mmの間隔で配置し、風車12の風の流入口の口縁の外側には、それぞれ鍔状の壁部材13 a及び13bを設け、扇風機11から送風した場合の風車12の回転数を観測した。この壁部材13aの外径は扇風機11の風束よりも大きく、また、壁部材13bの外径は扇風機11の風束以下になるように構成した。また、図示していないが、壁部材を設けない場合についても同様にして回転数を観測した。
【0014】
その結果、壁部材13aを設けた場合(
図7(a))は、壁部材を設けなかった場合よりも風車12の回転数が大幅に落ちた。これは風源が扇風機であるために、基本的には扇風機11の羽根の直径に相当する風束しか得られないので、壁
部材の外径を扇風機11の風速より大きくすると、風車12の背面への風流が完全に遮断されるためである。また、壁部材13bを設けた場合(
図7(b))は、
壁部材13aを設けた場合よりも風車の回転数が増大した。これは扇風機11の風束以下の外径を有する壁部材13bを設けた場合、風量の一部が風車の背面に流れるため、風車を通過する風が引っ張られて速度が上がるためであると考えられる。
【0015】
風が風車を通過すると、エネルギーが奪われて風速が下がる。このことは、分子運動論的には温度が下がることである。上記の実験は風車の背面風流の低下エネルギーを外側の風速の大きい、すなわち、動圧・運動エネルギーの大きい空気流との混合・摩擦により補い、風車背面の風流の速度が上がることを示している。その結果、風車の回転数を上げるためには風車を通過する風を風車後方へ強制的に追い出すことが重要であることが分かる。
【0016】
本発明は、前記事情を踏まえて、従来技術の問題点を解決することにあり、風車背面の風速を上げると共に風胴体の出口部分の風速を上げる、その結果、風車の回転効率を向上せしめて、発電電力を高めると共に、装置の高さの問題、装置の安定性及び風胴体支持の安定性を改良した風速加速型風車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的を達成する本発明の風速加速型風車は、風車と風胴体とからなり、風車は風胴体の内部に設置されており、風胴体はその断面積が風流入口から風車の設置された位置までの間で直線的又は曲線的に縮小するように形成されている前方風胴部材と、その縮小した断面積が風車の設置された位置から風流出口までの間で直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持するように形成されている後方風胴部材と、からなり、該後方風胴部材の風流出口の口縁に風胴体の外側の風を分散する風分散部を形成したことを特徴とする風速加速型風車(請求項1)である。
【0018】
前記風胴体は、その断面積が風流入口から風車の設置された位置までの間で風の流れ方向に沿って直線的又は曲線的に縮小するように形成された前方風胴部材により風が速度を上げ風車に導かれる効果を示す。その後、縮小した断面積が風車の設置された位置から風流出口までの間で風の流れ方向に沿って直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持するように形成されている後方風胴部材があることで風車に流入する風の速度が上昇する効果を生む。
【0019】
前記風速加速型風車において、風胴体は風流入口の断面積及び風流出口の断面積が風胴体内に設置された風車の位置における断面積のほぼ2倍であるように構成されていることが好ましい(特許文献2)。
【0020】
前記風分散部は風車の後方に小さい流速で存在する風を強制的に追い出すために風胴体の外側の風を分散し風胴体の外側の風が風胴体内の風との接触面積を増やすものであればその形状に制限はない。
【0021】
<実施例1>
前記風分散部が後方風胴部材の風流出口の口縁の外測に形成した星形風分散部であることを特徴とする。この実施の一形態によれば風胴体の外側の風を分散し、風車の後方に小さい流速で存在する風を強制的に追い出すことができる。
【0022】
<実施例2>
前記風分散部が後方風胴部材の流出口の口縁の外測に形成した鍔状風分散部であることを特徴とする。この実施の一形態によっても風胴体の外側の風を分散し、風車の後方に小さい流速で存在する風を強制的に追い出すことができる。
【0023】
<実施例3>
前記風分散部が後方風胴部材の流出口の周囲に形成した複数の切欠き風分散部であることを特徴とする。この実施の一形態によっても風胴体の外側の風を分散し、風車の後方に小さい流速で存在する風を強制的に追い出すことができる。
【0024】
なお、風分散部の形状は前記に限定されない。風分散部により風胴体の外側を流れる風が分散され、該分散された風と後方風胴部材の風流出口から流れ出す風との接触面積を増やすことができ、風の混合が促進されて、ひいては流出風の速度を上昇させることが有効であり、風胴体内の風を強制的に追い出すことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、風車背面の風速を上げると共に風胴体の出口部分で風速を上げる、その結果、風車の羽根の回転効率を向上せしめて、発電電力を高めると共に、装置の高さの問題、装置の安定性及び風胴体の安定性を改良した風速加速型風車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の風速加速型風車(a)、(b)、(c)の概念図である。
【
図2】星形風分散部(a)、(b)、(c)の例を示す正面図である。
【
図6】星形風分散部の大きさを説明する正面図である。
【
図19】本発明の風速加速型風車(a)、(b)、(c)、(d)の概念図である。
【
図20】切欠き風分散部の平面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、
図1~
図6の風速加速型風車及び風分散部に基づいてその詳細を説明する。
【0028】
図1(a)(b)(c)はそれぞれ本発明の風速加速型風車の概念図であり、図中、21は風車、22dは風車21の設置位置、22は風胴体であり、22-1は前方風胴部材、22-2は後方風胴部材、22aは風流入口、22bは風流出口である。
【0029】
本発明は、前記後方風胴部材22-2の風流出口22bの口縁に風胴体22の外側の空気を分散する風分散部23dを形成したことを特徴とする。
【0030】
風分散部23dの例としては、
図2( a )(b)(c)に示す星形風分散部、
図3に示す鍔状風分散部、
図4に示す切欠き風分散部、
図5に示す歯車形風分散部などが考えられるがこれらの形状に限定されない。
【0031】
図1に示す各風速加速型風車では、(a)に星形風分散部、(b)に鍔状風分散部、(c)は切欠き風分散部が形成されている。
【0032】
図1(a)の星形風分散部の一例としては、
図2(a)(b)(c)に示すように6角形、8連形、16連形などがある。なお、
図6に示すように星形風分散部の最外部を結ぶ外周円Dが描く円の面積が風胴体22の風流出口22bの外径dが描く円の面積の2倍以上であることが好ましい。
【0033】
また、風分散部による圧力損失を外側風胴体への風の流入を妨げないような抵抗とするためには風分散部の面積を風が通過する部分の面積よりも小さくすることが好ましい。
図6において、外側の点線で描かれる円は星形風分散部の頂点を繋ぐ仮想円径であり、内側の実線で示された円は風胴体2の風流出口22bの外径である。仮想円径D及び風流出口外径dで挟まれた円径帯状空間において星形風分散部の面積はそれ以外の部分の面積の半分未満程度であることが好ましい。
【0034】
また、
図5に示すように歯車形風分散部も可能である。これ以外にも波形や鍔形も使用可能でこれらに限定されない。多孔板形も適用可能であるが圧力損失を大きくしないよう な設計が必要である。
【0035】
図1(b)の鍔状風分散部の場合は、
図3に示すように、鍔の高さは鍔の外径Dと風流出口22bの内径d差の半分は内径dの1/10~1/5であることが好ましい。
【0036】
図1(c)の切り欠き風分散部の場合は、
図4に示すように、切欠きは連続に限らず、間隔を開いてもよいが切欠き部での圧力損失の観点から切欠き部の総面積が切欠きのある周囲部の面積の半分を超える程度が好ましい。
【0037】
<実施例4>
つぎに、風速加速型風車の他の実施の一形態について説明する。
他の実施の一形態は、風車と内側風胴体と、該内側風胴体の外側に設けられた外側風胴体とからなり、前記風車は前記内側風胴体の内部に設置されており、該内側風胴体は、その断面積が風流入口から風車の設置された位置までの間で直線的又は曲線的に縮小するように形成された前方風胴部材と、その縮小した断面積が風車の設置された位置から風流出口までの間で直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持するように形成された後方風胴部材とからなり、該後方風胴部材の風流出口に風分散部が形成されてなることを特徴とする風速加速型風車(請求項2)である。
【0038】
以下、
図8及び
図9に示す風速加速型風車の概念図に基づいて、その詳細を説明する。
【0039】
図中、21は風車、22は内側風胴体、25は内側風胴体22の外側に設けられた外側風胴体である。風車21は内側風胴体22の内部に設置されている。
【0040】
図8では、前記内側風胴体22は、断面が風流入口22aから風車21の設置された位置までの間で直線的又は曲線的に縮小するように形成された前方風胴部材22-1と、その縮小した断面積が風車21の設置された位置から風流出口22bまでの間で直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持するように形成された後方風胴部材22-2とからなり、該後方風胴部材22-2の風流出口22bの周囲に複数の切欠き風分散部23dが形成されている。
【0041】
前記外側風胴体25は、その断面が風流入口25aから前記内側風胴体22の風流出口22bに対応する位置又はその近傍までの間で直線的又は曲線的に縮小するように形成された前方外側風胴部材26とその縮小した断面積が前記内側風胴体22の風流流出口22bに対応する位置又はその近傍から該外側風胴体25の風流出口25bまでの間で直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持する後方外側風胴部材27とからなる。
【0042】
そして、前記外側風胴体25の風流入口25aが内側風胴体22の風流入口22aに対応する位置よりも後方に位置するように配置され、且つ前記外側風胴体25の風流出口25bが内側風胴体22の風流出口22bに対応する位置よりも後方に位置するように配置されて構成される。
【0043】
前記構成によって、内側風胴体22と外側風胴体25の内壁との間に風の直線流路が形成され風の取り込みが確実になり、風車21の回転効率が向上する。
【0044】
なお、図面では、外側風胴体25の後方外側風胴部材27がその風流出口25bに向けて断面積を拡大するように形成されているが該後方外側風胴部材27は断面積を同じにする直管としても同様の効果が得られる。また、後方外側風胴部材27の風流入口25aを内側風胴部材22の風流出口22bに対応する位置に配置した例を示したがその対応する位置の近傍であればよく内側風胴体22の風流出口22bより手前でも先方でもよい。
【0045】
さらに、内側風胴体22の風流出口22bに切欠き風分散部23dを形成したことにより外側風胴体25からの風を分散し内側風胴体22から流出する風を叩き出す効果が発揮される。
【0046】
<実施例5>
図9は、前記実施例4の風速加速型風車において、さらに外側風胴体25の風流出口25bに星形風分散部25dを形成したものである。この構成によれば、外側風胴体25の外側を流れる風が分散されて外側風胴体25の内側に入り込み外側風胴体25の内側の空気、ひいては内側風胴体22の中の空気を排出する効果が高めるので好ましい。
【0047】
<実施例6>
図10では、21は風車、該風車21は内側風胴体22の内部に設置されている。
【0048】
前記内側風胴体22は、その断面積が風流入口22aから風車21が設置された位置までの間で直線的又は曲線的に縮小するように形成された前方風胴部材22-1と、その縮小した断面積が風車21の設置された位置から風流出口22bまでの間で直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持するように形成された後方風胴部材22-2とからなり、該後方風胴部材22-2の風流出口22bの周囲に複数の切欠き風分散部23dが形成されている。
【0049】
また、前記外側風胴体25は、その断面積が風流入口25aから風流出口25bまでの間で直線的又は曲線的に縮小するように形成されている。そして前記外側風胴体25の風流入口25aが内側風胴体22の風流入口22aに対応する位置よりも後方に位置するように配置され、且つ前記外側風胴体25の風流出口25bが内側風胴体22の風流出口22bとほぼ同じ位置に配置されている。
【0050】
前記の構成によっても、風の取り込みが確実になり、風車21の回転効率が向上する。さらに、内側風胴体22の風流出口22bに切欠き風分散部23dを形成したことにより外側風胴体25からの風を分散し内側風胴体22から流出する風を叩き出す効果が発揮される。
【0051】
<実施例7>
図11は、前記実施例10の風速加速型風車において、内側風胴体22の風流入口22a及び風流出口22bと外側風胴体25の風流入口25a及び風流出口25bを同じ位置にした構成である。この構成によっても、風の取り込みが確実になり、風車21の回転効率が向上する。
【0052】
<実施例8>
つぎに、風速加速型風車の他の実施の一形態について説明する。
他の実施の一形態は、風車と、内側風胴体と該内側風胴体の外側に設けた外側風胴体を有し、風車は内側風胴体の内部に設置されており、該内側風胴体は、その断面積が風流入口から風車の設置された位置までの間で、直線的又は曲線的に縮小するように形成されている前方風胴部材と、その縮小した断面積が風車の設置された位置から風流出口までの間で、直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持するように形成されている後方風胴部材で構成されており、該方風胴部材の風流出口に風分散部が構成され、また、前記外側風胴部材は、風流入口が前記内側風胴体の風流出口に対応する位置又はその近傍にあり、風流入口から風流出口までの間で、直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持するように形成されていることを特徴とする風速加速型風車である(請求項3)。
【0053】
図12に基づいてその詳細を説明する。内側風胴体22の後方風胴部材22-2の風流出口22bに切欠き風分散部23dが構成され、外側風胴体27の風流入口25aが前記内側風胴体22の風流出口22dに対応する位置又はその近傍にあり、風流入口25aから風流出口25bまでの間で、直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持するように形成されている。
【0054】
前記切欠き風分散部23dは、外側風胴体27に流入しようとする風を分散し該外側風胴体27に流入させることで風車21の風の下流部にある内側風胴体22から出てくる風との接触面積を増加させることができ、風の排出をより促進するものである。
【0055】
<実施例9>
図13は、前記実施例12の風速加速型風車において、外側風胴体27の風流出口25bに星形風分散部25dを形成している。該星形風分散部25dは前記の作業に加えて、外側風胴体27の外側の風を分散し風車21の後方に小さい流速で存在する風を強制的に追い出すものである。
【0056】
<実施例10>
図14には、外側風胴体27の風流入口25aが内側風胴体22の風流出口22bに対応する位置又はその近傍にあり、該外側風胴体27は風流入口25aから風流出口25bまでの間で、直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持するように形成され、その風流入口25aに星型風分散部23dか形成されている。
【0057】
前記星形風分散部23dは、外側風胴体27に流入しようとする風を分散し該外側風胴体27の内部に流入させることで風車21の風の下流部にある内側風胴体22から出てくる風との接触面積を増加させることができ、該風の排出をより促進するものである。
【0058】
<実施例11>
図15には、
図14の風速加速型風車において、さらに外側風胴体27の風流出口25bに星形風分散部25dを形成している。該星形風分散部25dは、前記の作用に加えて、外側風胴体27の外側の風を分散し風車21の後方に小さい流速で存在する風を強制的に追い出すものである。
【0059】
<実施例12>
さらに、風速加速型風車の他の実施の一形態について説明する。
他の実施の一形態は、風車が内部に設置されている内側風胴体と、該内側風胴体の外側に設けられた外側風胴体とからなり、内側風胴体は、縦の長さよりも横の長さの方が大きい扁平な横断面を持つ風流入口を有する前方内側風胴部材と、縦の長さよりも横の長さの方が大きい扁平な横断面を持つ風流出口を有する後方内側風胴部材とにより一体的に構成されており、前方内側風胴部材は、その横断面積が風流入口から後方内側風胴部材との接続部分までの間で縮小するように形成されており、後方内側風胴部材は、前方内側風胴部材の縮小した接続部分から風流出口までの間で拡大するか又は同じ横断面積を保持するように形成され、且つ風流出口の周辺に風分散部あるいは風分散形を持ち、前記風車は、前方内側風胴部材と後方内側風胴部材との接続部分の近傍に設置されており、前方内側風胴部材と後方内側風胴部材の接続部分の風車以外の隙間に風分散部を持つように構成されており、外側風胴体は、縦の長さよりも横の長さの方が大きい扁平な横断面を持つ風流入口を有する前方外側風胴部材と、縦の長さよりも横の長さの方が大きい扁平な横断面を持つ風流出口を有する後方外側風胴部材とから一体的に構成されており、前方外側風胴部材は、その横断面積が風流入口から後方外側風胴部材との接続部分までの間で縮小するように形成されており、後方外側風胴部材は、前方外側風胴部材の縮小した接続部分から風流出口までの間で拡大するように形成され、且つ風流出口の周辺に風分散部あるいは風分散形を持ち、前方外側風胴部材の風流入口が、前方内側風胴部材と後方内側風胴部材との接続部分から後方内側風胴部材の風流出口の前までの間に配置されており、後方内側風胴部材の風流出口が、前方外側風胴部材と後方外側風胴部材との接続部分又はその近傍に配置されていることを特徴とする風速加速型風車(請求項4)である。
【0060】
図16に基づいてその詳細を説明する。風速加速型風車は、横の長さが縦の長さより長い扁平な長方形状の断面を有する筒状の内側風胴体22、内側風胴体22の外側に設けた縦の長さより横の長さが長い扁平な長方形状の断面を有する筒状の外側風胴体23及び風車21とからなる。
【0061】
内側風胴体22は、前方内側風胴部材22aと、中間風胴部材12と、後方内側風胴部材22bが一体的に構成され、風車21は中間風胴部材12の内部に設置されている。なお、風車21は前方内側風胴部材22aの後端部に設置してもよい。風車21の横にある隙間に風分散部21fが設置されている。内側風胴体22の風流出口22eに切欠き風分散部22fが設けられている。
【0062】
外側風胴部材23は、断面積が風の流れ方向に沿って縮小する前方外側風胴部材23aと、逆に拡大する後方外側風胴部材23bが一体的に構成され、外側風胴体23の風流出口23bにも風分散部23fが設けられている。
【0063】
前記構成において、風流入口22c、接続部分22d、風流出口22e、風流入口23c、接続部分23d、風流出口23eの横断面積の関係は以下の通りである。
【0064】
風流入口22cの横断面積は接続部分22dの横断面積よりも大きく、接続部分22dの横断面積は風流出口22eの横断面積よりも小さいか又は等しく、風流入口23cの総横断面積(後方内側風胴部材22dの横断面積を含める)は風流出口23eの面積よりも小さく、また、風流入口23cの実質横断面積(風流入口23cの総断面積から後方内側風胴部材22bの横断面積を引いた面積)は接続部分23dの実質横断面積(接続部分23dの総面積から後方内側風胴部材22bの横断面積を引いた面積)よりも大きい。
【0065】
内側風胴体22は、前記のように構成されるので、風車21の側の両側及び/又は上下面に風がそのまま吹き抜ける隙間ができる。このため、風が該隙間をそのまま吹き抜け、風車21の背面に、吹き抜けた風の高速気流が供給され、集風された高速の風流が風車背面の速度の低下した風流を叩き出し、風車21の速度エネルギーを回復させることになる。
【0066】
また、この一実施例では、中間風胴部材12の風車21以外の隙間に風分散部21fが設けられている。該風分散部21fはルーバー型であることが好ましい。ルーバーは風の流れの方向を一方向に合わせる効果を持つので、風が風車21の風を排出するのに効果的である。ルーバー型は圧力損失が小さくなるように設計すればよい。
【0067】
また、内側風胴体22の風流出口22eに設けられた風分散部22fは、内側風胴体22の外側から流れ込む風を分散し、風車21の後方にある風との接触面積が増えることで混合が促進され風の排出が良好になる。さらに、この実施例では外側風胴体23の風流出口23eにも風分散部23fが設けられる。
【0068】
<実施例13>
図17は、上記の実施例に関連する実施例であって、風車21を設置した場合において、風車21の横にある隙間に風分散部21f、内側風胴体22の風流出口22eに風分散部22fを設けた例を示す。
【0069】
<実施例14>
図18も上記の実施例に関連する実施例であって、風車21を設置した場合において、風車21の横にある隙間の風分散部21fを除き、内側風胴体22の風流出口22eに風分散部22f、外側風胴体23の風流出口23eにも風分散部23fを設けた例を示す。
図20は、
図16、
図17及び
図18の切欠き風分散部の平面図及び側面図である。
【0070】
<実施例15>
風車が内部に設置されている内側風胴体と、該内側風胴体の外側に設けられた外側風胴体とから一体的に構成され、内側風胴体は縦の長さより横の長さの方が大きい扁平な横断面を持つ風流入口を有する前方内側風胴部材と、縦の長さよりも横の長さの方が大きい扁平な横断面を持つ風流出口を有する後方内側風胴部材とから一体的に構成されており、前方内側風胴部材は、その断面積が風流入口から中間風胴部材との接続部分までの間で直線的又は曲線的に傾斜して縮小するように且つなだらかに風分散形をなすように形成されており、中間風胴部材は風分散形を保ち後方内側風胴部材につながり、後方内側風胴部材は、中間風胴部材出口から風流出口まで風分散形を保ちつつ前方内側風胴部材の縮小した横断面積が、中間風胴部材出口から風流出口までの間で拡大するか又は同じ断面積を保持するように形成され、風車は前方内側風胴部材と中間風胴部材との接続部分の近傍に設置されており、中間風胴部材の風車以外の隙間にも風分散部を持つように構成されており、そして、外側風胴体は縦の長さよりも横の長さの方が大きい扁平な横断面を持つ風流入口を有する前方外側風胴部材と、縦の長さよりも横の長さの方が大きい扁平な横断面を持つ風流出口を有する後方外側風胴部材とから一体的に構成されており、その断面積が風分散形であり、前方外側風胴部材は、その断面積が風流入口から後方外側風胴部材との接続部分までの間で縮小するように形成されており、後方外側風胴部材は、前方外側風胴部材の縮小した横断面積が、前方外側風胴部材との接続部分から風流出口までの間で拡大するように形成されており、前方外側風胴部材の風流入口が、前方内側風胴部材と後方内側風胴部材との接続部分から後方の内側風胴部材の風流出口の前までの間に配置されており、後方内側風胴部材の風流出口が、前方外側風胴部材と後方外側風胴部材との接続部分又はその近辺に配置されてなる風速加速型風車である。
【0071】
図19(a)、(b)、(c)、(d)に基づいて、その詳細を説明する。
【0072】
図19(a)は、風車21の横にある隙間に風分散部21fを設置した風速加速型風車の斜視図である。該風速加速型風車は、横の長さが縦の長さより長い扁平な長方形状の断面を有する筒状の内側風胴体22と、該内側風胴体22の外側に設けた横の長さが縦の長さより長い扁平な長方形状を有する筒状の外側風胴体23とから一体的に構成され、風車21が中間風胴部材12の内部の所定の場所に設置されている。
【0073】
内側風胴体22は、横断面積が横の長さが縦の長さよりも長い扁平な長方形状の断面から風分散形の断面となる前方内側風胴部材22aとその風分散形を保持する中間風胴部材12と、風分散形を維持しつつ断面積が拡大してゆく後方内側風胴部材22bとから一体的に構成されている。
【0074】
風車21は、前方内側風胴部材22aの後端部と中間風胴部材12の接続部分22dに設置されていてもよい。風車21の横にある隙間にルーバー型の風分散部21fが設置されて且つ後方内側風胴部材22bの横断面は中間風胴部材12から後方内側風胴部材22bの風流出口22eまでの間で風分散形をしている。
【0075】
外側風胴体23は、断面積が風の流れ方向に沿って縮小する前方外側風胴部材23aと、逆に拡大する後方外側風胴部材23bとから一体的に構成されている。
【0076】
前記前方内側風胴部材22aは、風流入口22cから接続部分22dまでの間で、その形状が扁平な長方形状から風分散形になだらかに変化しながら縮小するように形成されている。そして、中間風胴部材12は、接続部分22dから22d,までの間で横の長さが縦の長さより長い扁平な風分散形の断面形状を、断面積を一定に保つように形成されている。
【0077】
後方内側風胴部材22bは、接続部分22d,から風流出口22eまでの間で、風分散形に変化した中間風胴部材12の末端形状を風の流れ方向に沿って直線的若しくは曲線的に傾斜してその形状を維持したまま拡大している。
【0078】
前方外側風胴部材23は、風流入口23cから接続部分23dまでの間で、その断面積が風の流れ方向に沿って直線的又は曲線的に傾斜してその形状を維持したまま縮小するように形成されている。
【0079】
後方外側風胴部材23bは、接続部分23dから風流出口23eまでの間で、その断面積が風の流れ方向に沿って直線的又は曲線的に傾斜してその形状を維持したまま拡大するように形成されている。
【0080】
なお、
図19(b)は、
図19(a)の風速加速型風車の内側風胴体22の斜視図(外側風胴体23が無い場合の斜視図)であり、横断面積が横の長さが縦の長さよりも長い扁平な長方形状の断面から風分散形の断面となる前方内側風胴部材22aとその風分散形を保持する中間風胴部材12と、風分散形を維持しつつ断面積が拡大していく後方内側風胴部材22bが一体的に構成されている状態を示す。
【0081】
図19(c)は、
図19(a)の風速加速型風車の外側風胴体23の斜視図(外側風胴体23の形状が分散部である斜視図)であり、断面積が風の流れ方向に沿って縮小する前方外側風胴部材23aと、逆に拡大する後方外側風胴部材23bとから一体的に構成されている状態を示す。
【0082】
また、
図19(d)は、内側風胴体22を風の上流側から見た場合の風分散形の模式図であり、一例として星形の風分散形を示す。
【0083】
【0084】
上記の実施例によれば、風分散形及び風車21の両側の隙間を風が吹き抜けることにより、風車21の背面に高速気流が供給され、風車21背面の速度が低下した風流を叩き出し、風車21の速度エネルギーを回復させることができる。
【0085】
<実施例16>
さらに、風速加速型風車の他の実施の一形態について説明する。
【0086】
他の実施の一形態は、風車と、風胴体とがあり、風車は、風胴体の内部に設置されており、該風胴体は、その断面積が風流入口から風車の設置された位置までの間で、風流入口が円形(楕円形、多角形を含む)で直線的又は曲線的に縮小し且つなだらかに風分散形を形成するように構成されている前方風胴部材と、風車の設置された位置から風流出口までの間で、前記風分散形を維持したまま断面積が直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持する後方風胴部材とからなることを特徴とする風速加速型風車(請求項5)である。
【0087】
図21に基づいてその詳細を説明する。風車21が内部に設置された風胴体22は、風車21の設置位置(前方風胴部材22aと後方風胴部材22bの接続部分22d)より前方部分22aが風流入口22cより連続的にその断面積を縮小するよう且つ星形の風分散形になるように形成されており、風車21の位置22dより後方部分22bは風分散形を保持したまま風流出口22eまでその断面積を拡大するか若しくは断面積を一定に保持した風分散形で構成されている。
【0088】
前方風胴部材22aを風流入口22cから断面積を縮小し、それから後方風胴部材22bを拡大若しくは断面積一定で保持し風流出口22eまでもっていくことで流入する風の風速を効果的に上げることができ、そうでない場合に比べ風車21の回転数が上がる効果を有する。
【0089】
さらに、風車21の位置22dで風分散形にすることで風車21と風胴体22の間に大きな隙間ができ、風車21を通過しないで風車位置22を通過する風が多くできる。この風が風車21の後方に存在する風速の落ちた風を追い出すのに効果的に役立つ。さらに風分散形をした後方風胴部材22bの外側を流れる風が分散されるため風胴体22の内側の風との接触面積が増えることで風胴体22から流出しようとする風をさらに強く叩き出す効果を生む。
【0090】
<実施例17>
風胴体の外側に設けた外側風胴体を有し、該外側風胴体は、その断面積が風胴体(以下、内側風胴体という。)の風流出口に対応する位置又はその近傍までの間で、風流入口が円形(楕円形、多角形を含む)で直線的又は曲線的に縮小するように形成されている前方外側風胴部材と、その縮小した断面積が、内側風胴体の風流出口に対応する位置又はその近傍から外側風胴体の風流出口までの間で、直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持するように形成されている後方外側風胴部材とで構成されていることを特徴とする風速加速型風車。
【0091】
図22には、外側風胴体23を設置した例を示す。ここに示す風速加速型風車は、
図21の風速加速型風車に
図25に示す外側風胴体23を設置した構成である。外側風胴体23は前方23aが風の流れ方向に縮小し、接続部分23dより後方23bが拡大する形の場合は、接続部分23dが内側風胴体22の風流出口22e近傍にあるのが良い。
図25に示す外側風胴体は断面積が一定を保持している場合で、外側風胴体23の設置位置は内側風胴体22の風流出口22eが外側風胴体23の内部に収まる位置なら限定されない。外側風胴体23を設けることは、集風型風車20の内側の風を追い出す効果が大きい。よって、さらに風車21の回転数上昇効果を発揮する。
【0092】
<実施例18>
風胴体の外側に設けた外側風胴体を有し、該外側風胴体は、その断面積が風胴体(以下、内側風胴体という。)の風流出口に対応する位置又はその近傍までの間で、流入口の形が風分散形であって直線的又は曲線的に縮小するように形成されている前方外側風胴部材と、その縮小した断面積が、風分散形を維持しながら内側風胴体の風流出口に対応する位置又はその近傍から風流出口までの間で、直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を維持する後方外側風胴部材とで構成されていることを特徴とする風速加速型風車。
【0093】
図23に示す外側風胴体23は、その風流入口23cから風分散形をしており、その断面積が、風胴体(以下、内側風胴体という。)の風流出口に対応する位置又はその近傍までの間で直線的又は曲線的に縮小するように形成された前方外側風胴部材23aと、その縮小した断面積が、風分散形を維持しながら内側風胴体の風流出口に対応する位置又はその近傍から風流出口23eまでの間で、直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持するように形成されている後方外側風胴部材23bとで構成されていることで、外側風胴体23内を通る風が分散され、内側風胴体22から排出される風を外に排出する効果をより大きくすることができる。
【0094】
<実施例19>
風胴体の外側に設けた外側風胴体を有し、該外側風胴体は、その断面積が風胴体(以下、内側風胴体という。)の風流出口に対応する位置又はその近傍までの間で、風流入口が円形(楕円形、多角形を含む)であって、直線的又は曲線的に縮小しながら風分散形を形成する前方外側風胴部材と、その縮小した断面積が、風分散形を維持しながら内側風胴体の風流出口に対応する位置又はその近傍から風流出口までの間で、直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持するように形成された後方外側風胴部材で構成されていることを特徴とする風速加速型風車。
【0095】
図24に示す外側風胴体23は、その断面積が風胴体(以下、内側風胴体という。)の風流出口に対応する位置又はその近傍までの間で、風流入口23cが円形(楕円形、多角形を含む)であって、直線的又は曲線的に縮小しながら風分散形を形成する前方外側風洞部材23aと、その縮小した断面積が、風分散形を維持しながら内側風胴体の風流出口に対応する位置又はその近傍から風流出口23eまでの間で、直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持するように形成された後方外側風胴部材23bで構成されていることで、外側風胴体23内を通る風が分散され、内側風胴体22から排出される風を外に排出する効果をより大きくすることができる。
【0096】
<実施例20>
風胴体の外側に設けた外側風胴体は、その断面積が風流入口から内側風胴体の風流出口より後方までの間で直線的又は曲線的に縮小するか又はその断面積が一定の断面積を保持するように形成されていることを特徴とする風速加速型風車。
【0097】
図25、
図26に示す外側風胴体23は、風分散形を有せず、その断面積が風流入口23cから内側風胴体の風流出口より後方までの間で、直線的又は曲線的に縮小するか又はその断面積が一定の断面積を保持するように形成されている。
【0098】
この場合の設置位置は、内側風胴体22の風流出口22eが外側風胴体23の内部に収まる位置なら限定はされず、外側風胴体23内を通る風が分散され、内側風胴体22から排出される風を外に排出する効果をより大きくすることができる。
【産業上の利用分野】
【0099】
本発明の風分散部を形成した本発明の風速加速型風車によれば、高い発電電圧を得ることができ、高い風力エネルギーを必要とする技術分野、例えば風力発電等の分野で利用可能性が大である。
【符号の説明】
【0100】
21 風車
22 風胴体
22-1 前方風胴部材
22-2 後方風胴部材
22a、25a 風流入口
22b、25b 風流出口
21f、23d、23f、22f、25d 風分散部
25 外側風胴体
26 前方外側風胴部材
27 後方外側風胴部材
【手続補正書】
【提出日】2023-05-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項5】
風車と、風胴体とがあり、風車は、風胴体の内部に設置されており、該風胴体は、その断面積が風流入口から風車の設置された位置までの間で、風流入口が円形(楕円形、多角形を含む)で直線的又は曲線的に縮小し且つなだらかに風車位置の風分散形を形成する前方風胴部材と、風車の設置された位置から風流出口までの間で、前記風分散形を維持したまま断面積が直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持する後方風胴部材とからなることを特徴とする風速加速型風車。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
前記構成によって、内側風胴体22の外壁と外側風胴体25の内壁との間に風の直線又は曲線の流路が形成され風の取り込みが確実になり、風車21の回転効率が向上する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
つぎに、風速加速型風車の他の実施の一形態について説明する。
他の実施の一形態は、風車と、内側風胴体と該内側風胴体の外側に設けた外側
風胴体を有し、風車は内側風胴体の内部に設置されており、該内側風胴体は、
その断面積が風流入口から風車の設置された位置までの間で、直線的又は曲線
的に縮小するように形成されている前方風胴部材と、その縮小した断面積が風
車の設置された位置から風流出口までの間で、直線的若しくは曲線的に拡大す
るか又は同じ断面積を保持するように形成されている後方風胴部材で構成され
ており、該後方風胴部材の風流出口に風分散部が構成され、また、前記外側風
胴部材は、風流入口が前記内側風胴体の風流出口に対応する位置又はその近傍
にあり、風流入口から風流出口までの間で、直線的も若しくは曲線的に拡大す
るか又は同じ断面積を保持するように形成されていることを特徴とする風速加
速型風車である(請求項3)。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
後方内側風胴部材22は、接続部分22dから風流出口22eまでの間で、風分散形に変化した中間風胴部材12の末端形状を風の流れ方向に沿って直線的若しくは曲線的に傾斜してその形状を維持したまま拡大している。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0081
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0081】
図19(c)は、
図19(a)の風速加速型風車の外側風胴体23の斜視図(外側風胴体23の形状が
風分散形である斜視図)であり、断面積が風の流れ方向に沿って縮小する前方外側風胴部材23aと、逆に拡大する後方外側風胴部材23b)とから一体的に構成されている状態を示す。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
他の実施の一形態は、風車と、風胴体とがあり、風車は、風胴体の内部に設置されており、該風胴体は、その断面積が風流入口から風車の設置された位置までの間で、風流入口が円形(楕円形、多角形を含む)で直線的又は曲線的に縮小し且つなだらかに風車位置の風分散形を形成する前方風胴部材と、風車の設置された位置から風流出口までの間で、前記風分散形を維持したまま断面積が直線的若しくは曲線的に拡大するか又は同じ断面積を保持する後方風胴部材とからなる風速加速型風車(請求項5)。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】
図21に基づいてその詳細を説明する。風車21が内部に設置された風胴体22は、風車21の設置位置(前方風胴部材22aと後方風胴部材22bの接続部分22d)
に風分散形が形成され、当該設置位置より前方部分22aが風流入口22cより連続的にその断面積が
縮小するように構成され、風車21の位置22dより後方部分22bは風分散形を保持したまま風流出口22eまで断面積を拡大するか若しくは断面積を一定に保持した風分散形で構成されている。