(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128680
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】食用ビーズ製造装置
(51)【国際特許分類】
B01J 2/08 20060101AFI20230907BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20230907BHJP
A23L 29/256 20160101ALI20230907BHJP
B01J 13/02 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B01J2/08
A23L5/00 C
A23L29/256
B01J13/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033204
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】309043768
【氏名又は名称】テクノ環境機器株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592157098
【氏名又は名称】ラボテック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521099095
【氏名又は名称】ハンドベル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】517113118
【氏名又は名称】佐々木 慧
(74)【代理人】
【識別番号】100146020
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 善光
(74)【代理人】
【識別番号】100062328
【弁理士】
【氏名又は名称】古田 剛啓
(72)【発明者】
【氏名】吉川 恵
(72)【発明者】
【氏名】山崎 琢平
(72)【発明者】
【氏名】岡田 祥嗣
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 慧
【テーマコード(参考)】
4B035
4B041
4G005
【Fターム(参考)】
4B035LC16
4B035LE07
4B035LE12
4B035LE20
4B035LG02
4B035LG12
4B035LG25
4B041LC10
4B041LD10
4B041LE02
4B041LH10
4B041LK02
4B041LK18
4B041LP14
4B041LP27
4G005AA04
4G005AB14
4G005BA11
4G005CA03
4G005DB02X
4G005DB17Z
4G005DD07Z
4G005EA01
(57)【要約】
【課題】植物油又は動物油等の食用油を内包した大きい食用ビーズを段取り替えなしで連続生産ができる食用ビーズ製造装置を提供することを提供することを課題とする。
【解決手段】アルギン酸ナトリウムを含む粘ちょう性水溶液を貯留する外包液用貯留槽と、食用油を貯留する内包油用貯留槽と、塩化カルシウム水溶液を貯留するビーズ作成水槽と、食用油を流下可能な内管、及び、粘ちょう性水溶液を流下可能な外管を有する二重管と、二重管の下端から下方に延長させた外管のみのビーズ用内層・外層形成部とを備え、粘ちょう性水溶液送給ポンプをオンさせ、食用油送給断続手段を所定時間送給状態・所定時間送給停止状態のサイクルを繰り返させ、食用油送給断続手段を送給停止状態にさせたときにビーズ用内層・外層形成部に形成される粘ちょう性水溶液のみが流下する部位を分離手段により上下方向に分離させる制御をする食用ビーズ製造装置により課題解決できた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルギン酸ナトリウムを含む粘ちょう性水溶液を貯留する外包液用貯留槽と、
植物油又は動物油を含む食用油を貯留する内包油用貯留槽と、
塩化カルシウム水溶液を貯留するビーズ作成水槽と、
前記ビーズ作成水槽の上方に上下方向に配設し、前記食用油を流下可能な内管、及び、前記粘ちょう性水溶液を流下可能な外管を有する二重管と、
前記二重管の下端から下方に延長させた前記外管のみのビーズ用内層・外層形成部と、
前記内包油用貯留槽と前記内管を接続させた配管に介在させた、前記食用油を断続的に送給する食用油送給断続手段と、
前記外包液用貯留槽と前記外管を接続させた配管に介在させた、前記粘ちょう性水溶液を送給する粘ちょう性水溶液送給ポンプと、
前記ビーズ用内層・外層形成部の外管の周壁に取り付けた、流下中の前記粘ちょう性水溶液の分離手段と、制御部と、を備え、
前記制御部が、
前記粘ちょう性水溶液送給ポンプをオンさせながら、前記食用油送給断続手段に所定時間送給状態にさせた後に所定時間送給停止状態にするというサイクルを繰り返させ、前記食用油送給断続手段を所定時間送給停止状態にしたときに前記ビーズ用内層・外層形成部に形成される前記粘ちょう性水溶液のみが流下する部位を前記分離手段により上下方向に分離させる制御をすることを特徴とする食用ビーズ製造装置。
【請求項2】
前記分離手段が、
圧縮空気を供給する圧縮機と、
前記ビーズ用内層・外層形成部の外管の周壁に管内に圧縮空気を噴射可能に取り付けられた空気噴射部と、
前記圧縮機と前記空気噴射部とを接続する配管に介在させた、流動する圧縮空気の遮断又は流動の切替を可能にする電磁弁と、を備え、
前記制御部が、
前記空気噴射部の先端の高さに前記粘ちょう性水溶液のみが流下するタイミングで、前記電磁弁を圧縮空気流動可能にさせて前記空気噴射部から圧縮空気を噴射させて、前記粘ちょう性水溶液を上下方向で分離させる制御をすることを特徴とする請求項1に記載の食用ビーズ製造装置。
【請求項3】
前記食用油送給断続手段が、前記食用油の送給を食用油送給ポンプのみからなる形態、又は、前記食用油の送給を食用油送給ポンプと電磁弁との組み合わせの形態であることを特徴とする請求項1又は2に記載の食用ビーズ製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物油や動物油等の食用油を内包した食用ビーズを製造する食用ビーズ製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、わさびの葉、茎、根の少なくとも1つをすり潰してペースト状とし、前記わさびペーストに酒精及び植物油を混合して放置後、油分を分取し、二重パイプの内部パイプから前記油分を、外部パイプから透明殻用溶液を、それぞれ吐出し、前記二重パイプの吐出口で前記油分と前記透明殻用溶液との接触により得られるビーズを、塩化カルシウム溶液中に滴下させて製造するわさびビーズの製造方法が開示されている。
【0003】
特許文献2には、内包される層A及び被覆層Bからなる可食性粒子において、内包される層Aがゾル又はゲルであり、被覆層Bが平均厚み20μ以上、250μ以下、含水率70%以上、85%未満のゲルであるイクラ様人工魚卵を、二重管状ノズルから内包される層用ゾル及び被覆層用ゾルを放出してビーズとなる粒子を作るというイクラ様人工魚卵の製造方法が開示されている。
【0004】
特許文献3には、水、アルギン酸ナトリウム、微生物または食品添加物、所定の温度で加熱可能な加熱器、所定の撹拌速度で撹拌可能な撹拌機、及び、温度センサーを有し、原材料ゾルを作製する混合溶解部と、水及び塩化カルシウムを貯留し、アルギン酸大玉ビーズの製品取り出しカゴを出し入れ自在に内設するビーズ作製水槽と、混合溶解部からビーズ作製水槽へ原材料ゾルを送給する送給ポンプと混合溶解部の混合溶解容器内から吸引した原材料ゾルをビーズ作製水槽の上方の空間で落下させる注入ノズルと、を備え、注入ノズルに、注入ノズル内を流動する原材料ゾルを所定の長さに分離する分離手段を配設し、前記分離手段が、流入ノズルに空気を供給するコンプレッサーと、前記注入ノズル内部に空気を噴射させる噴射部と、コンプレッサーと噴出部との間に配設し、流動する空気を所定のタイミングで噴出および遮断する電磁弁を備え、前記アルギン酸大玉ビーズの径の大きさによって、前記注入ノズルにおける、前記注入ノズルに取り付けた前記噴射部の位置と前記注入ノズルの原材料ゾルを落下させる開口部の位置との間隔を変えることを特徴とするアルギン酸大玉ビーズ作製装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6901789号公報
【特許文献2】特許第2983002号公報
【特許文献3】特許第6873421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の発明は、二重パイプの下端から滴下する液だれを作ることによってわさびビーズを作る方法であり、ビーズの大きさを変えるためには内部パイプ径と外部パイプ径の比を変え液だれの大きさを変えることを行うが、大きい直径のビーズを作ろうとして二重パイプの内径を大きくすると所定の大きさに至る前に液だれの重量が液だれの表面張力を上回るため、実施例などに記載されているように直径が8mmまでしかできないという問題があった。
【0007】
特許文献2の発明は、二重管状ノズルから放出される粒子がイクラ様人工魚卵になるとの製造方法であるが、イクラ様人工魚卵の直径の大きさを変える方法についての記載が見当たらず、イクラ様人工魚卵の直径の大きさを変えることは困難であるという問題があった。
【0008】
特許文献3の発明は、直径が20mm程度の大きさのビーズを作る方法であるが、ビーズの大きさを変えるには空気噴射部と注入ノズル下端との間の長さを変える方法であるので、ビーズの大きさを変えるときは注入ノズルを取り換えるという段取り替えをしなければならない煩わしさがあるという問題があった。また、特許文献3の装置は注入ノズルが一重管であるので、わさびビーズ、イクラ様人工魚卵、又は、植物からとれる、レモン油、オレンジ油、みかん油などの植物油を内包した食用ビーズのような二重層のビーズを作ることができないという問題もあった。
【0009】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、植物油又は動物油等の食用油を内包した大きい食用ビーズを段取り替えなしで連続生産ができる食用ビーズ製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の食用ビーズ製造装置は、アルギン酸ナトリウムを含む粘ちょう性水溶液を貯留する外包液用貯留槽と、植物油又は動物油を含む食用油を貯留する内包油用貯留槽と、塩化カルシウム水溶液を貯留するビーズ作成水槽と、前記ビーズ作成水槽の上方に上下方向に配設し、前記食用油を流下可能な内管、及び、前記粘ちょう性水溶液を流下可能な外管を有する二重管と、前記二重管の下端から下方に延長させた前記外管のみのビーズ用内層・外層形成部と、前記内包油用貯留槽と前記内管を接続させた配管に介在させた、前記食用油を断続的に送給する食用油送給断続手段と、前記外包液用貯留槽と前記外管を接続させた配管に介在させた、前記粘ちょう性水溶液を送給する粘ちょう性水溶液送給ポンプと、前記ビーズ用内層・外層形成部の外管の周壁に取り付けた、流下中の前記粘ちょう性水溶液の分離手段と、制御部と、を備え、前記制御部が、前記粘ちょう性水溶液送給ポンプをオンさせながら、前記食用油送給断続手段に所定時間送給状態にさせた後に所定時間送給停止状態にするというサイクルを繰り返させ、前記食用油送給断続手段を所定時間送給停止状態にしたときに前記ビーズ用内層・外層形成部に形成される前記粘ちょう性水溶液のみが流下する部位を前記分離手段により上下方向に分離させる制御をすることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の食用ビーズ製造装置は、請求項1において、前記分離手段が、圧縮空気を供給する圧縮機と、前記ビーズ用内層・外層形成部の外管の周壁に管内に圧縮空気を噴射可能に取り付けられた空気噴射部と、前記圧縮機と前記空気噴射部とを接続する配管に介在させた、流動する圧縮空気の遮断又は流動の切替を可能にする電磁弁と、を備え、前記制御部が、前記空気噴射部の先端の高さに前記粘ちょう性水溶液のみが流下するタイミングで、前記電磁弁を圧縮空気流動可能にさせて前記空気噴射部から圧縮空気を噴射させて、前記粘ちょう性水溶液を上下方向で分離させることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の食用ビーズ製造装置は、請求項1又は2において、前記食用油送給断続手段が、前記食用油の送給を食用油送給ポンプのみからなる形態、又は、前記食用油の送給を食用油送給ポンプと電磁弁との組み合わせの形態であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1~3のいずれかに記載の食用ビーズ製造装置は、前記食用油送給断続手段を所定時間オンさせるオン時間を長くすれば大きいビーズ、例えば直径20mmのビーズを製造でき、前記オン時間を短くすれば小さいビーズ、例えば直径5mmのビーズを製造することができる。このように、製造したいビーズの大きさに合わせて前記食用油送給断続手段をオンさせる所定時間を可変させることにより、同じの大きさのビーズを連続的に製造でき、又は、異なる大きさのビーズを例えば3つの異なる大きさのビーズを10個ずつ順に段取り替え不要で連続的に製造することができる。
【0014】
内包される食用油が内層を流下し、外包する粘ちょう性水溶液が外層を流下している部位に、例えば空気噴射部から圧縮空気を噴射すれば前記食用油が飛び散ってしまいビーズ内に食用油を内包させることができないが、粘ちょう性水溶液のみを流下させるタイミングを意図的につくり、ここを狙って圧縮空気を噴射させて粘ちょう性水溶液のみを分離させるので、食用油を内包したきれいなビーズが製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】食用油をポンプのオンオフ制御で送給する本発明の食用ビーズ製造装置の全体構成説明図である。
【
図2】二重管とビーズ用内層・外層形成部の説明図であって、
図1におけるA部拡大図である。
【
図3】
図2における二重管とビーズ用内層・外層形成部に食料油と粘ちょう性水溶液を流下させている状態を示す説明図である。
【
図4】食用油をポンプと2方向電磁弁制御で送給する本発明の食用ビーズ製造装置の全体構成説明図である。
【
図5】食用油をポンプと3方向電磁弁制御で送給する本発明の食用ビーズ製造装置の全体構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の食用ビーズ製造装置1は、植物油又は動物油などの食用油を内包させた食用ビーズ50を、直径が20mm程度の大きな食用ビーズ50から直径が数ミリの小さい食用ビーズ50まで任意の大きさの食用ビーズ50を連続生産でき、大きさを変えるときには部材の取り換え作業なしで生産ができる。
【0017】
前記植物油としては、柑橘類の果皮から採取される、例えばみかん油、レモン油、オレンジ油などの柑橘油があり、さらにサラダ油、菜種油、大豆油、アマニ油、パーム油、ひまわり油、ひまし油、米ぬか油、とうもろこし胚芽油などがあり、前記動物油としては、魚油、肝油、鯨油、さなぎ油、骨油などがある。
【0018】
本発明の食用ビーズ製造装置1は、
図1~
図3に示すように、アルギン酸ナトリウムを含む粘ちょう性水溶液30を貯留する外包液用貯留槽2と、植物油又は動物油を含む食用油31を貯留する内包油用貯留槽3と、塩化カルシウム水溶液32を貯留するビーズ作成水槽4と、前記ビーズ作成水槽4の上方に上下方向に配設し、前記食用油31を流下可能な内管6、及び、前記粘ちょう性水溶液30を流下可能な外管7を有する二重管8と、前記二重管8の下端から下方に延長させた前記外管7のみのビーズ用内層・外層形成部9と、前記内包油用貯留槽3と前記内管6を接続させた配管26に介在させた、前記食用油31を断続的に送給する食用油送給断続手段10と、前記外包液用貯留槽2と前記外管7を接続させた配管27に介在させた、前記粘ちょう性水溶液30を送給する粘ちょう性水溶液送給ポンプ11と、前記ビーズ用内層・外層形成部9の外管7の周壁に取り付けた、流下中の前記粘ちょう性水溶液30の分離手段20と、制御部(図示なし)と、を備え、前記制御部が、前記粘ちょう性水溶液送給ポンプ11をオンさせながら、前記食用油送給断続手段10に所定時間送給状態にさせた後に所定時間送給停止状態にするというサイクルを繰り返させ、前記食用油送給断続手段10を所定時間送給停止状態にしたときに前記ビーズ用内層・外層形成部9に形成される前記粘ちょう性水溶液30のみが流下する部位を前記分離手段20により上下方向に分離させる制御をする。
【0019】
まず、前記外包液用貯留槽2は、アルギン酸ナトリウムを含む粘ちょう性水溶液30を貯留する槽である。前記アルギン酸ナトリウムは冷水や温水によく溶けて粘ちょうな水溶液となり、アルギン酸ナトリウム水溶液が塩化カルシウム水溶液32に接すると瞬時にイオン架橋が起こりゲル化することから、アルギン酸ナトリウムを食用ビーズ50の外包材の材料として使用する。
【0020】
前記内包油用貯留槽3は、植物油又は動物油を含む食用油31を貯留する槽である。食用ビーズ50の味や香りや色は食用油31によって異なるので、種々の味や香りや色の食用ビーズ50を製造することができる。例えば、レモン油を使用すればレモン味の鮮やかな黄色の玉を内包した食用ビーズ50を作ることができる。
【0021】
前記ビーズ作成水槽4は、塩化カルシウム水溶液32を貯留し、食用ビーズ50を収納する収納カゴ5を出し入れ自在に内設している。上方に設置したビーズ用内層・外層形成部9から落下してくる、アルギン酸ナトリウムを含む粘ちょう性水溶液30で外包された塊を塩化カルシウム溶液32で瞬時に球状に変え、2層構造で球形の食用ビーズ50が完成する。
【0022】
前記収納カゴ5内に2層構造で球形の食用ビーズ50が所定の数できたら、前記収納カゴ5を前記ビーズ作成水槽4から取り出し水洗いして食用ビーズ50が完成する。
【0023】
前記二重管8は、前記ビーズ作成水槽4の上方に上下方向に配設され、前記食用油31を流下可能な内管6、及び、前記粘ちょう性水溶液30を流下可能な外管7を有する。
図3に示すように、前記二重管8の内管6には食用油31が上端の開口部から流下され、外管7には粘ちょう性水溶液30が前記外管7の周壁に設けた穴部から前記内管6の外周面と前記外管7の内周面との間の輪状の隙間に流入され下方に向かって流下する。
【0024】
そして、前記ビーズ用内層・外層形成部9は、前記二重管8の下端から下方に延長された前記外管7のみの部分であり、前記ビーズ用内層・外層形成部9においては、
図3に示すように、内層に該当する中心部に内管6から流下した食用油31が流下され、前記内層の外側の外層は前記内管6と前記外管7との間の輪状の隙間から流下した前記粘ちょう性水溶液30が流下する2層の流れが形成される。
【0025】
そして、前記ビーズ用内層・外層形成部9の外管7の周壁に、流下中の前記粘ちょう性水溶液30を分離する分離手段20が取り付けられている。
【0026】
前記分離手段20は、圧縮空気33を供給する圧縮機21と、前記ビーズ用内層・外層形成部9の外管7の周壁に管内に圧縮空気33を噴射可能に取り付けられた空気噴射部22と、前記圧縮機21と前記空気噴射部22とを接続する配管28に介在させた、流動する圧縮空気33の遮断又は流動の切替を可能にする電磁弁23と、を備え、前記制御部が、前記空気噴射部22の先端の高さに前記粘ちょう性水溶液30のみが流下するタイミングで、前記電磁弁23を圧縮空気流動可能にさせて前記空気噴射部22から圧縮空気33を噴射させて、前記粘ちょう性水溶液30を上下方向で分離させる制御をする。
【0027】
前記圧縮機21は、コンプレッサーであり圧縮空気33を作り出し、前記圧縮空気33が前記空気噴射部22から噴射され前記粘ちょう性水溶液30を上下方向で分離させる。
【0028】
前記空気噴射部22は、前記ビーズ用内層・外層形成部9の外管7の周壁に取り付けられ、圧縮空気33を外管内を流下する前記粘ちょう性水溶液に向けて噴射する。この噴射により前記粘ちょう性水溶液30が上下方向で分離され、1つ1つの前記食用ビーズ50相当の大きさに分離される。
【0029】
前記電磁弁23は、前記圧縮機21と前記空気噴射部22とを接続する配管28に介在させた、流動する圧縮空気33の遮断又は流動の切替を可能にし、例えば2方向電磁弁などがある。前記電磁弁23が開のときは前記空気噴射部22から圧縮空気33を噴射させ、閉のときは前記空気噴射部22から圧縮空気33は噴射されない。
【0030】
前記食用油送給断続手段10は、前記内包油用貯留槽3と前記内管6の上端の開口部を接続させた配管26に介在させた、前記食用油31を送給する手段であり、前記食用油送給断続手段10としては、例えば
図1に示すように、前記食用油31の送給を食用油送給ポンプ10aのみで制御する形態A、そして食用油送給ポンプ10aと電磁弁との組み合わせの形態として、
図4に示すように、前記食用油31の送給を食用油送給ポンプ10aと2方向電磁弁24との組み合わせで制御する形態B、又は、
図5に示すように、前記食用油31の送給を食用油送給ポンプ10aと3方向電磁弁25との組み合わせで制御する形態Cがある。前記食用油送給断続手段10は、これらに限定されず、前記食用油31を断続的に送給制御ができる形態であればいずれの形態でもよい。
【0031】
前記形態Aの場合は、例えば可変定量形液体ポンプ10a等があり、前記食用油送給断続手段10を送給状態にするときは前記可変定量形液体ポンプ10aをオンさせ、前記食用油送給断続手段10を送給停止状態にするときは前記可変定量形液体ポンプ10aをオフさせる制御をする。
【0032】
前記形態Bの場合は、例えば、
図4に示すように、可変定量形液体ポンプ10aと2方向電磁弁24の組み合わせがあり、前記食用油送給断続手段10を送給状態にするときは前記可変定量形液体ポンプ10aをオンさせ前記2方向電磁弁24を開状態にし、前記食用油送給断続手段10を送給停止状態にするときは、前記可変定量形液体ポンプ10aはオン状態を維持させ前記2方向電磁弁24を閉状態にする制御をする。
【0033】
前記形態Cの場合は、例えば、
図5に示すように、可変定量形液体ポンプ10aと3方向電磁弁25の組み合わせがあり、前記食用油送給断続手段10を送給状態にするときは前記可変定量形液体ポンプ10aをオンさせ前記3方向電磁弁25を前記内管6に接続された配管26へ送給する状態にし、前記食用油送給断続手段10を送給停止状態にするときは、前記可変定量形液体ポンプ10aはオン状態を維持させ前記3方向電磁弁25を前記内包油用貯留槽3に接続された配管29を経由して食用油31を前記内包油用貯留槽3に戻す制御をする。
【0034】
前記食用油送給断続手段10は前記制御部により送給状態又は送給停止状態の制御をされ、前記食用油31を前記内管6に送給したり送給を停止したりする。前記食用油送給断続手段10を送給停止状態にさせた時間帯は前記内管6の下端の開口部6aのところで流下中の前記食用油31の先頭がとどまって流下を停止する。
【0035】
前記粘ちょう性水溶液送給ポンプ11は、前記外包液用貯留槽2と前記外管7を接続させた配管27に介在させた、前記粘ちょう性水溶液30を送給するポンプであり、例えば可変定量形液体ポンプ等がある。前記粘ちょう性水溶液送給ポンプ11は、前記食用ビーズ50製造時は常時作動され前記粘ちょう性水溶液30を前記外管7の内周面と前記内管6の外周面との間の輪状の隙間に送給し続ける。
【0036】
前記制御部は、前記食用油送給断続手段10、前記粘ちょう性水溶液送給ポンプ11、前記圧縮機21、及び、前記電磁弁23と電気回路で接続されている。また、前記制御部、前記食用油送給断続手段10、前記粘ちょう性水溶液送給ポンプ11、前記圧縮機21、及び、前記電磁弁23は、商用電源と電気的に接続されている。
【0037】
前記制御部は、少なくとも前記食用油送給断続手段10の送給状態・送給停止状態の制御をし、さらに前記食用油送給断続手段10を送給停止状態にさせたときに生ずる、前記ビーズ用内層・外層形成部9内の前記粘ちょう性水溶液30のみの部分が前記空気噴射部22の先端の高さのところに流下した瞬間に前記電磁弁23を開にし、圧縮空気33を前記空気噴射部22の先端から噴射させる制御をする。この前記電磁弁23を開にするタイミングの設定は、前記食用油送給断続手段10の送給停止状態のタイミングと、前記ビーズ用内層・外層形成部9内の前記粘ちょう性水溶液30のみの部分が前記空気噴射部22の先端の高さのところに流下したタイミングとの時間差を確認して、その時間差分を前記食用油送給断続手段10の送給停止状態のタイミングにずらして設定する。
【0038】
そして、前記制御部が、前記粘ちょう性水溶液送給ポンプ11をオンさせながら、前記食用油送給断続手段10に所定時間送給状態にさせた後に所定時間送給停止状態にするというサイクルを繰り返させ、前記食用油送給断続手段10を所定時間送給停止状態にしたときに前記ビーズ用内層・外層形成部9に形成される前記粘ちょう性水溶液30のみが流下する部位を前記分離手段20により上下方向に分離させる制御をする
【0039】
前記食用油送給断続手段10を送給状態にする時間を長く設定すると直径が大きい、例えば20mmの球形の食用ビーズ50を製造でき、送給状態にする時間を短く設定すると直径が小さい、例えば5mmの球形の食用ビーズ50を製造できる。このように、前記食用油送給断続手段10の送給状態の時間の設定を変えることにより大きさの異なる前記食用ビーズ50を製造できる。時間設定は操作盤(図示なし)ですることができる。
【0040】
前記操作盤では、前記食用油送給断続手段10のオンオフ操作、及び、送給時間設定・送給停止時間設定、前記粘ちょう性水溶液送給ポンプ11のオンオフ操作、前記圧縮機21のオンオフ操作、前記電磁弁23を開にするタイミングである時間間隔設定、電源オンオフ操作などができる。
【0041】
次に、使用方法を説明する。
図1に示すように、前記外包液用貯留槽2内に前記粘ちょう性水溶液30を貯留させ、前記内包油用貯留槽3内に前記食用油31を貯留させ、前記収納カゴ5を内設した前記ビーズ作成水槽4内に前記塩化カルシウム水溶液30を貯留する。そして、操作盤の電源を入れ、前記制御部、前記食用油送給断続手段10、前記粘ちょう性水溶液送給ポンプ11、前記圧縮機21、及び、前記電磁弁23を作動可能状態にする。
【0042】
図3に示すように、前記二重管8の範囲において、前記食用油送給断続手段10を送給状態にすることにより、前記内管6内に前記食用油31が充満されながら流下し、前記粘ちょう性水溶液送給ポンプ11オンにより、前記外管7の内周面と前記内管6の外周面との間の輪状の隙間に前記粘ちょう性水溶液30が充満されながら流下し、前記ビーズ用内層・外層形成部9においては、中心部である内層に前記食用油31と外層に前記粘ちょう性水溶液30との2層を形成した流体が流下する。
【0043】
そして、前記食用油送給断続手段10を所定時間送給停止状態にし所定時間送給状態にする制御を繰り返すことにより、前記ビーズ用内層・外層形成部9において、前記2層部分と前記粘ちょう性水溶液30のみの部分とを交互に形成させ、前記粘ちょう性水溶液30のみの部分を前記空気噴射部22から圧縮空気33を噴射させて前記粘ちょう性水溶液30のみの部分を上下方向で分離させ前記2層部分の塊を1つずつ形成する。分離された前記塊は圧縮空気33によって下方に押し出され落下する。
【0044】
前記分離された前記2層部分は、前記ビーズ用内層・外層形成部9の前記外管7の最下端の開口部から滴下して、前記ビーズ作成水槽4の前記塩化カルシウム溶液32と接触し瞬時に球形にかつゲル状に変化し前記食用ビーズ50が完成する。完成した前記食用ビーズ50は前記収納カゴ5内に収納されるので前記収納カゴ5を前記ビーズ作成水槽4から取り出して、前記食用ビーズ50を水洗いする。
【符号の説明】
【0045】
1 食用ビーズ製造装置
2 外包液用貯留槽
3 内包油用貯留槽
4 ビーズ作成水槽
5 収納カゴ
6 内管
6a 開口部
7 外管
8 二重管
9 ビーズ用内層・外層形成部
10 食用油送給断続手段
11 粘ちょう性水溶液送給ポンプ
20 分離手段
21 圧縮機
22 空気噴射部
23 電磁弁
24 電磁弁
25 電磁弁
26 配管
27 配管
28 配管
29 配管
30 粘ちょう性水溶液
31 食用油
32 塩化カルシウム水溶液
33 圧縮空気
50 食用ビーズ