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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128688
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】導電性混合物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/04 20060101AFI20230907BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
C08L23/04
C08K3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033221
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(74)【代理人】
【識別番号】100120765
【弁理士】
【氏名又は名称】小滝 正宏
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】岸本 元太郎
(72)【発明者】
【氏名】小泉 順二
(72)【発明者】
【氏名】青江 竜太
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB031
4J002BB212
4J002DA016
4J002FD116
4J002GQ02
(57)【要約】
【課題】体積抵抗率が小さく、押出成形またはブロー成形を可能とする導電性混合物を提供する。
【解決手段】導電性混合物は、MFR(メルトマスフローレート)の範囲が0.1g/10分以上、50g/10分以下の第1ポリエチレン樹脂と、平均分子量が1000から5000で、酸価が10から80の変性ポリエチレン樹脂である第2ポリエチレン樹脂と、分岐構造若しくは架橋構造を有するカーボンナノチューブ(CNT)である炭素系導電材料を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MFR(メルトマスフローレート)の範囲が0.1g/10分以上、50g/10分以下の第1ポリエチレン樹脂と、
平均分子量が1000から5000の第2ポリエチレン樹脂と、
炭素系導電材料を含む導電性混合物。
【請求項2】
前記第2ポリエチレン樹脂は、酸価が10から80の変性ポリエチレン樹脂であり、
前記炭素系導電材料は、分岐構造若しくは架橋構造を有するカーボンナノチューブ(CNT)である請求項1に記載の導電性混合物。
【請求項3】
前記第1ポリエチレン樹脂と前記第2ポリエチレン樹脂の混合比は60対40から90対10であり、
前記導電性混合物において、前記第1ポリエチレン樹脂と前記第2ポリエチレン樹脂の合計の割合は60重量%から98重量%であり、
前記炭素系導電材料の割合は2重量%から40重量%である請求項1又は請求項2に記載の導電性混合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に炭素系導電材料と熱可塑性樹脂であるポリエチレン樹脂を混合した導電性混合物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
静電気放電や電界シールドなどの用途への適用に向け、熱可塑性樹脂と炭素系導電材料との混合物である導電性混合物の開発が進められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、熱可塑性樹脂にカーボンナノチューブを配合する導電性樹脂組成物の製造方法に関する技術が記載されている。特許文献1では、実施例において、導電性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂100重量部に対してカーボンナノチューブ100重量部を混合し、溶融混練により作製される。また、その後に熱プレスシート成形機に投入・加熱し、溶融混練を行い、縦200mm・横200mm・厚み1.0mmのプレスシートを作製している。実施例1では、熱可塑性樹脂にポリエチレン樹脂を使用し、0.04Ω・cmの体積抵抗率が得られたことが示されている。
【0004】
また、非特許文献1には、ポリプロピレン(PP)と高密度ポリエチレン(HDPE)の2成分系にカーボンブラック(CB)を混練りした複合材料の射出成形体に関する技術が記載されている。そして、表2において、PPが75vol%、HDPEが20vol%、CBが5vol%の混合比の場合に最小値の電気伝導性16Ω・cmが得られたことが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-75719号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】油井浩他、高分子論文集、vol.53、No.11、p.745-p.753(1996)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、熱可塑性樹脂と炭素系導電材料を混合した導電性混合物を様々な用途に適用するには、上記の体積抵抗率などの特性も重要であるが、加工性、すなわち成形性も非常に重要である。例えば、回路基板から発生するノイズ対策で薄肉の導電シートを適用する際は、押出成形が可能な導電性混合物が求められる。また車載用ECU(電子制御ユニット)ケースにおいても導電材料が適用され、射出成形が代表的な工法であるが、大型形状や中空構造が必要な製品においてはブロー成形が可能な導電性混合物が求められる。
【0008】
上記の特許文献1では、体積抵抗率において良好な特性が得られているが、カーボンナノチューブをポリエチレン樹脂100重量部に対して100重量部、すなわち、同重量部配合することによって実現している。カーボンナノチューブは、一般的にナノサイズの炭素繊維がミクロンオーダーで凝集したものであり、樹脂と混練した時に解きほぐすことが難しい。そのため、押出成形によるシート形状に成形することが難しい。一方、非特許文献1では、CBの分散状態は良好であるが、電気伝導性が悪く依然として課題を有している。なお、導電性混合物において、体積抵抗率としては、1Ω・cm未満が目標とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題に鑑み、体積抵抗率が小さく、押出成形またはブロー成形を可能とする導電性混合物を提供するものであり、請求項1の本発明は、MFR(メルトマスフローレート)の範囲が0.1g/10分以上、50g/10分以下の第1ポリエチレン樹脂と、平均分子量が1000から5000の第2ポリエチレン樹脂と、炭素系導電材料を含む導電性混合物である。
【0010】
請求項1の本発明では、MFR(メルトマスフローレート)の範囲が0.1g/10分以上、50g/10分以下の第1ポリエチレン樹脂と、平均分子量が1000から5000の第2ポリエチレン樹脂と、炭素系導電材料を含む導電性混合物であり、第1のポリエチレン樹脂のMFR(メルトマスフローレート)の範囲が0.1g/10分以上、50g/10分以下であるので流動性に優れている。なお、流動性の観点からは、0.1g/10分以上、40g/10分以下がより望ましい。
【0011】
また、第2ポリエチレン樹脂は、第1ポリエチレン樹脂と同一の組成であるため良好に相溶すると共に、平均分子量が1000から5000であるので、炭素系導電材料の濡れ性が向上し、ポリエチレン樹脂内への炭素系導電材料の良好な分散を実現し、低体積抵抗率の導電性混合物を得ることができる。その結果、シート形状への押出成形が可能となり、押出成形、及びブロー成形を含む幅広い成形方法に適用することができる。
【0012】
ここで、平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって測定された値である。
【0013】
なお、第1ポリエチレン樹脂の分子量は数万以上で、単体で押出成形、ブロー成形等の汎用的な加工法により形状賦形が可能なものであることが望ましい。これにより、第2ポリエチレン樹脂との混合比率の調整により加工方法に適した粘度調整が可能である。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、第2ポリエチレン樹脂は、酸価が10から80の変性ポリエチレン樹脂であり、炭素系導電材料は、分岐構造若しくは架橋構造を有するCNT(カーボンナノチューブ)である導電性混合物である。なお、高分子における酸価とは、油脂1グラム中に存在する遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数である。
【0015】
請求項2の発明では、第2ポリエチレン樹脂、すなわち、低分子量のポリエチレン樹脂は、酸価が10から80の変性ポリエチレン樹脂であるので、遊離脂肪酸により炭素系導電材料の濡れ性がさらに向上し、ポリエチレン樹脂内への炭素系導電材料の良好な分散を実現し、体積抵抗率の小さい導電性混合物を得ることができる。
【0016】
また、炭素系導電材料の中でカーボンナノチューブ(CNT)は、抵抗値が低いという特性を有する半面、樹脂に混合した際に凝集し易く、押出機等の汎用的な混練装置を用いて均一分散させることは難しいという課題があった。本発明では、分岐構造若しくは架橋構造を有するCNTと、上記の酸価が10から80の変性ポリエチレン樹脂(第2ポリエチレン樹脂)、及び第1のポリエチレン樹脂と混合した時に、分岐構造若しくは架橋構造を有するCNTが均一に樹脂中に分散することにより、少量のCNT混合で効果的に電気的性能を発揮し、体積抵抗率の小さく、シート形状への押出成形が可能となり、押出成形、及びブロー成形を含む幅広い成形方法に適用することが可能な導電性混合物を得ることができる。
【0017】
なお、第2ポリエチレン樹脂の酸価が10未満の場合は、炭素系導電材料の濡れ性の程度が低く、体積抵抗率が高くなるので望ましくない。一方、第2ポリエチレン樹脂の酸価が80を越える場合は、第2ポリエチレン樹脂の変質の程度が高くなり、導電性混合物の品質が低下するので望ましくない。
【0018】
請求項3の本発明は、請求項1又は請求項2の発明において、第1ポリエチレン樹脂と第2ポリエチレン樹脂の混合比は60対40から90対10であり、導電性混合物において、第1ポリエチレン樹脂と第2ポリエチレン樹脂の合計の割合は60重量%から98重量%であり、炭素系導電材料の割合は2重量%から40重量%である導電性混合物である。
【0019】
請求項3の本発明では、第1ポリエチレン樹脂と第2ポリエチレン樹脂の混合比は60対40から90対10であり、導電性混合物において、第1ポリエチレン樹脂と第2ポリエチレン樹脂の合計の割合は60重量%から98重量%であり、炭素系導電材料の割合は2重量%から40重量%であるので、1Ω・cm未満の体積抵抗率を達成し、且つ、シート形状への押出成形が可能となり、押出成形、及びブロー成形を含む幅広い成形方法に適用することが可能な導電性混合物を得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
MFR(メルトマスフローレート)の範囲が0.1g/10分以上、50g/10分以下の第1ポリエチレン樹脂と、平均分子量が1000から5000の第2ポリエチレン樹脂と、炭素系導電材料を含む導電性混合物であり、第1のポリエチレン樹脂のMFR(メルトマスフローレート)の範囲が0.1g/10分以上、50g/10分以下であるので流動性に優れ、第2ポリエチレン樹脂は、第1ポリエチレン樹脂と同一の組成であるため良好に相溶すると共に、平均分子量が1000から5000であるので、炭素系導電材料の濡れ性が向上し、ポリエチレン樹脂内への炭素系導電材料の良好な分散を実現し、低体積抵抗率の導電性混合物を得ることができる。その結果、シート形状への押出成形が可能となり、押出成形、及びブロー成形を含む幅広い成形方法に適用することができる。
【0021】
また、第2ポリエチレン樹脂は、酸価が10から80の変性ポリエチレン樹脂であり、炭素系導電材料は、分岐構造若しくは架橋構造を有するCNT(カーボンナノチューブ)であるので、第1のポリエチレン樹脂と混合した時に、分岐構造若しくは架橋構造を有するCNTが均一に樹脂中に分散することにより、少量のCNT混合で効果的に電気的性能を発揮し、体積抵抗率の小さく、シート形状への押出成形が可能となり、押出成形、及びブロー成形を含む幅広い成形方法に適用することが可能な導電性混合物を得ることができる。
【0022】
また、第1ポリエチレン樹脂と第2ポリエチレン樹脂の混合比は60対40から90対10であり、導電性混合物において、第1ポリエチレン樹脂と第2ポリエチレン樹脂の合計の割合は60重量%から98重量%であり、炭素系導電材料の割合は2重量%から40重量%であるので、1Ω・cm未満の体積抵抗率を達成し、且つ、シート形状への押出成形が可能となり、押出成形、及びブロー成形を含む幅広い成形方法に適用することが可能な導電性混合物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の導電性混合物は、MFR(メルトマスフローレート)の範囲が0.1g/10分以上、50g/10分以下の第1ポリエチレン樹脂と、平均分子量が1000から5000の第2ポリエチレン樹脂と、炭素系導電材料を含む導電性混合物である。
【0024】
<ポリエチレン樹脂>
第1ポリエチレン樹脂及び第2ポリエチレン樹脂は、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等が挙げられる。特に、HDPEは高剛性であるので、例えば、電気自動車のバッテリ筐体等の構造物成形体への適用が可能であり、用途範囲が広い。なお、本発明におけるMFRはJIS(日本工業規格)K6922-2に従って測定して求めることができる。
【0025】
<炭素系導電材料>
炭素系導電材料は、分岐構造若しくは架橋構造を有するCNT(カーボンナノチューブ)が挙げられる。
【0026】
<他の原料>
導電性混合物に配合できる他の原料は、例えば、ワックス、脂肪族金属塩、酸化防止剤、光安定剤、滑材、難燃剤等が挙げられる。ワックス、脂肪族金属塩は、ポリエチレン樹脂と炭素系導電材料を溶融混練する際に、炭素系導電材料の濡れ性をさらに向上させ、高分散とするために用いる。ワックスとしては、パラフィンワックスなどの天然ワックス、アマイドワックスなどの半合成ワックス、またはポリエチレンワックスなどの合成ワックスが挙げられる。また、脂肪族金属塩は、直鎖脂肪族モノカルボン酸の金属塩などが挙げられる。
【0027】
酸化防止剤は、例えば、フェノール系、硫黄系、リン系が挙げられ、光安定剤は、例えば、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系安定剤が挙げられる。滑材は、例えば、炭化水素系、脂肪酸系、脂肪族アミド系、金属石鹸系、エステル系が挙げられ、難燃剤は、例えば、臭素化合物、リン化合物、塩素化合物が挙げられる。
【0028】
実施例及び比較例で使用した原料は、以下の通りである。
<第1ポリエチレン樹脂:A>
第1ポリエチレン樹脂は、高密度ポリエチレン(HDPE)を使用した。
A1 日本ポリエチレン(株)製 ノバテックHD HF560、MFR:7.0
A2 日本ポリエチレン(株)製 ノバテックHD HE122R、MFR:0.2
A3 日本ポリエチレン(株)製 ノバテックHD HJ490、MFR:20.0
【0029】
<第2ポリエチレン樹脂(変性ポリエチレン):B>
B1 三井化学(株)製 2203A、平均分子量:2700、酸価:30
B2 三井化学(株)製 1105A、平均分子量:1500、酸価:60
B3 三井化学(株)製 320MP、平均分子量:3000、酸価:1
なお、平均分子量の大きい変性ポリエチレンとして、
B’ 日本ポリエチレン(株)製 アドテックスFT71Aを使用した。
【0030】
<炭素系導電材料:C>
キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク製 ATHLOS 100を使用した。
【0031】
<混練加工性>
第1ポリエチレン樹脂、第2ポリエチレン樹脂と炭素系導電材料の混練は、2軸混練押出機((株)パーカーコーポレーション製の同方向回転二軸押出機、HK-25D)を使用した。スクリュー径は、φ25mm、L/D=41である。原材料を第1ポリエチレン樹脂、第2ポリエチレン樹脂と炭素系導電材料の2ヶ所に分けてスクリュー根本に投入し、以下の条件で混練を行い、ペレットを作製した。
ア.設定温度:原料供給部のみ50℃、他は200℃
イ.スクリュー回転数:400rpm
ウ.押出量:6kg/時間
【0032】
<シート押出加工性>
2軸混練押出機で得られたペレットをTダイ押出成形機((株)プラスチック工学研究所製)に投入してシートを作製した。スクリュー(フルフライトスクリュ(圧縮比=3.0))径は、φ20mm、L/D=25である。また、ダイスはコートハンガーダイ(ダイス幅:150mm幅、リップ幅:1mm)を使用し、以下の条件でシートを作製した。
ア.押出機設定温度:原料供給部のみ190℃、他は200℃
イ.ロール設定温度:100℃
ウ.スクリュー回転数:50~150rpmの範囲で変量して厚みを調整
【0033】
<体積抵抗率の測定>
体積抵抗率は、押出成形後のシートについて、4端子4探針法定電流印加方式により体積抵抗率(Ω・cm)を測定した。
【0034】
<電界シールドの測定>
KEC関西電子工業振興センターで開発されたKEC法を用いて100kHzから1GHzの領域の電界シールド効果を測定した。
【0035】
<混練加工性、シート押出加工性及び体積抵抗率評価>
実施例1から実施例8と、比較例1から比較例8に関する配合比及び評価事項としての導電性、成形性について表1にまとめた。なお、Dは導電性混合物に対する第1ポリエチレン樹脂と第2ポリエチレン樹脂の合計の割合(重量%)、Fは導電性混合物に対する炭素系導電材料の割合(重量%)である。また、Eは第1ポリエチレン樹脂と第2ポリエチレン樹脂の混合比である。
【0036】
ここで、比較例1から比較例3は、第2ポリエチレン樹脂に高分子量のポリエチレンを使用し、また、比較例1はさらに炭素系導電材料の割合が低い場合である。また、比較例4は炭素系導電材料の割合が低い場合であり、比較例5は炭素系導電材料の割合が高い場合である。また、比較例6は第2ポリエチレン樹脂の割合が高い場合であり、比較例7は第2ポリエチレン樹脂の割合が低い場合である。また、比較例8は第2ポリエチレン樹脂の酸価が小さい場合である。
【0037】
表1における混練加工性評価は、以下に分類した。
〇:混練加工性良好。
*1:2軸混練押出機のモータ過負荷で、混練不可。
*2:原料が2軸混練押出機供給部から内部に搬送できず、混練不可。
*3:2軸混練押出機のトルク変動が大きく、安定して混練できない。
【0038】
また、実施例1、実施例3、実施例4、実施例7及び実施例8についてシート成形性を確認した。表1におけるシート押出加工性評価は、以下に分類した。
〇:シート幅は均一、且つシート表面は平滑で穴開き等の欠陥なし。
△:シート幅は均一、ただし、シート表面にやや凹凸あり。
【0039】
【表1】
【0040】
上記の評価結果より、実施例1から実施例8において、本発明の導電性混合物は、1Ω・cm未満の低体積抵抗率と良好な混練加工性を有することが確認された。また、シート押出加工性では、実施例4のシート厚みが0.3mmの場合を除き、平滑なシート形状への押出成形性を有することが確認された。したがって、1mm以下の薄肉シートの場合、炭素系導電材料の混合割合は30重量%以下が望ましく、さらに肉薄の場合は、25重量%以下が望ましい。
【0041】
<電界シールド評価>
表1の実施例1、実施例2及び実施例3の試料について、電界シールド効果の測定を実施し、0.5kHz、2MHz、100MHz及び1GHzにおける結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
表2の結果を含め、0.1kHzから1GHzの広範囲の周波数帯で30dB以上の良好な電界シールド効果が得られた。
【0044】
したがって、本発明の導電性混合物は、ブロー成形を含む幅広い成形方法に適用することができる。また、静電気放電や電界シールドなどの幅広い用途に適用することができる。