(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128701
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】鉄筋結束作業機
(51)【国際特許分類】
E04G 21/12 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
E04G21/12 105E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033243
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】512056670
【氏名又は名称】株式会社トーハンスチール
(71)【出願人】
【識別番号】522086766
【氏名又は名称】株式会社TSエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100133411
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 龍郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067677
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 彰司
(72)【発明者】
【氏名】川上 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】倉田 昇
(72)【発明者】
【氏名】奥村 明
(57)【要約】
【課題】 鉄筋結束作業の作業性向上及び作業労力軽減を可能にする鉄筋結束作業機を提供する。
【解決手段】 鉄筋を自動的に結束可能な鉄筋結束ユニット1と、該鉄筋結束ユニット1を支持すると共に鉄筋に滑り接触するベース部22と、鉄筋上において作業者が前記鉄筋結束ユニット1の位置を立ち姿勢のまま制御可能なハンドル25と、作業者が立ち姿勢のまま前記鉄筋結束ユニット1を制御可能な操作部材26とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋を自動的に結束可能な鉄筋結束ユニットと、該鉄筋結束ユニットを支持すると共に鉄筋に滑り接触するベース部と、鉄筋上において作業者が前記鉄筋結束ユニットの位置を立ち姿勢のまま制御可能なハンドルと、前記作業者が立ち姿勢のまま前記鉄筋結束ユニットを制御可能な操作部材とを備える、鉄筋結束作業機。
【請求項2】
鉄筋に対する前記ベース部の滑り接触面がリング状に形成される、請求項1に記載の鉄筋結束作業機。
【請求項3】
鉄筋に対する前記ベース部の滑り接触面が耐摩耗性を有する合成樹脂で形成される、請求項1又は2に記載の鉄筋結束作業機。
【請求項4】
前記ハンドルが前記ベース部に対して上下揺動可能に連結され、前記ハンドルを上下に揺動させることで前記鉄筋結束ユニットが上下動可能とされる、請求項1,2又は3に記載の鉄筋結束作業機。
【請求項5】
前記ベース部と前記ハンドルとの間にダンパが配設される、請求項4に記載の鉄筋結束作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリート構造物を構築する際に用いて好適な、鉄筋結束作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート構造物を構築する際に、格子状に配設した鉄筋の交差部を結束する作業を効率的、省力的に行えるようにするため、モータの動力を利用する手持ち式の鉄筋結束機が提案されている(特許文献1,2等参照)。この種の鉄筋結束機は、結束線をループ状に曲げつつ送り出して鉄筋に掛け回す結束線送り機構と、鉄筋に巻かれた状態で結束線を切断する結束線切断機構と、切断された結束線を捩って結束する結束線捩り機構とを備え、作業者のトリガ操作により結束線送り動作と結束線切断動作と結束線捩り動作とを連続的に実行して1サイクルの結束動作を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5-3494号公報
【特許文献2】特開2003-64876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記鉄筋結束機によれば、結束線の送り出し、切断及び捩りはモータの動力により自動で行われるが、鉄筋結束機が手持ち式のため、作業者の労力軽減効果は限定的である。すなわち、作業に当たっては、作業者が鉄筋結束機を手に持って鉄筋上を歩行したりしゃがんだりを繰り返す必要があるので、作業性が悪く、作業者の疲労も大きい。
【0005】
そこで、手持ち式の鉄筋結束機を上下方向に延びる操作棒の下端に連結し、操作棒の上端にハンドルを設け、このハンドルの近傍に鉄筋結束機制御用の操作部材を配設し、作業者がハンドルを把持して立ったままで鉄筋検束作業を行えるようにした作業機も提供されている。
【0006】
しかし、立ち操作式の作業機は、操作棒やハンドルの重量も含めた作業機の全体を作業者が鉄筋上で運搬しなければならないので、作業者の疲労が大きい。また、運搬時には作業機の全体を持ち上げ、結束時には作業機を結束作業位置にセットするという動作を繰り返さなければならない。よって、作業性向上及び作業労力軽減の観点から十分なものであるとは到底いえない。
【0007】
本発明は、前記のような事情に鑑みてなされたもので、鉄筋結束作業の作業性向上及び作業労力軽減を可能にする鉄筋結束作業機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明に係る鉄筋結束作業機は、鉄筋を自動的に結束可能な鉄筋結束ユニットと、該鉄筋結束ユニットを支持すると共に鉄筋に滑り接触するベース部と、鉄筋上において作業者が前記鉄筋結束ユニットの位置を立ち姿勢のまま制御可能なハンドルと、前記作業者が立ち姿勢のまま前記鉄筋結束ユニットを制御可能な操作部材とを備えることを特徴とする(請求項1)。
【0009】
本発明によれば、作業者は、鉄筋上における鉄筋結束ユニットの位置をハンドルによって立ち姿勢のまま制御する。そして、作業者は、鉄筋結束位置にて、操作部材によって立ち姿勢のままで鉄筋結束ユニットを作動させる。これにより一か所の鉄筋の結束が完了する。この工程を繰り返すことで、次々と鉄筋を結束することができる。
【0010】
本発明によれば、ベース部が鉄筋に滑り接触するので、作業者は、ハンドルを用いて立ち姿勢のまま鉄筋上において鉄筋結束ユニットを少ない労力で移動させることができる。また、作業者は、操作部材によって立ち姿勢のままで鉄筋結束ユニットを制御できる。これらの要因により、鉄筋結束作業の作業性が向上し、且つ、作業労力も軽減される。
【0011】
実施の一形態として、鉄筋に対する前記ベース部の滑り接触面がリング状に形成される態様としてもよい(請求項2)。このようにすれば、鉄筋上で鉄筋結束ユニットを全方位へと省力的に移動させることができる。また、鉄筋上での鉄筋結束作業機の旋回も容易となる。
【0012】
実施の一形態として、鉄筋に対する前記ベース部の滑り接触面が耐摩耗性を有する合成樹脂で形成される態様としてもよい(請求項3)。
【0013】
実施の一形態として、前記ハンドルが前記ベース部に対して上下揺動可能に連結され、前記ハンドルを上下に揺動させることで前記鉄筋結束ユニットが上下動可能とされる態様としてもよい(請求項4)。
【0014】
実施の一形態として、前記ベース部と前記ハンドルとの間にダンパが配設される態様としてもよい(請求項5)。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の一形態に係る鉄筋結束作業機に含まれる鉄筋結束ユニットの一例の内部を開示した全体側面図である。
【
図2】本発明の実施の一形態に係る鉄筋結束作業機の全体斜視図であり使用方法説明図である。
【
図3】
図2の鉄筋結束作業機のベース部の一部破断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
本発明の実施の一形態に係る鉄筋結束作業機は、鉄筋を自動的に結束可能な鉄筋結束ユニットを備えている。鉄筋結束ユニットとしては、鉄筋を自動的に結束可能なものであれば具体的な構成は問わないが、一例として、手持ち式として提供されている従来公知の鉄筋結束機を利用することができる。したがって、まずは、
図1を参照して公知の手持ち式の鉄筋結束機の概要について説明する。
【0018】
図1の鉄筋結束ユニット(従来公知の手持ち式鉄筋結束機)1は、筐体2内に結束線捩り機構3と結束線送り機構4を内蔵しており、筐体2のグリップ部5の前方に配置したマガジン6内に結束線リール(図示せず)が装填される。グリップ部5の端部には蓄電池7が装着され、電源回路基板(制御回路を含む)8を通じて結束線捩り機構3の捩りモータ9と結束線送り機構4の送りモータ10へ電力を供給する。
【0019】
結束線送り機構4は、
図1において紙面の表裏方向に配列されて相互に噛合う二つのV溝付歯車11の一方のV溝付歯車を送りモータ10にて駆動し、二つのV溝付歯車11にて結束線を挟んで送り出す構成であり、結束線リールに巻かれた結束線は、結束線送り機構4により
図1の上方へ送り出される。送出された結束線は、上側のノーズ12の内周のガイド溝に沿って円弧状に成形されて鉄筋の周囲を廻り、先端は下側のガイドプレート13に沿って結束線捩り機構3へと送り込まれる。
【0020】
結束線捩り機構3は、捩り軸14とその先端に取付けた三枚のクランププレート15(図において紙面の表裏方向に並んでいる)とからなり、中央のクランププレートの両側に配置された二枚のクランププレートがカム機構により開閉される。結束線は中央のクランププレートと一方の外側クランププレートとの間を通して送出され、鉄筋の周囲を廻って他方の外側クランププレートと中央クランププレートの間に進入し、この外側クランププレートが閉じて結束線の先端をクランプする。結束線の先端をクランプした後に、結束線送り機構4が逆転駆動されて結束線を引戻し、結束線を鉄筋に巻きつけた状態として先に述べた一方の外側クランププレートが閉じ、このクランププレートと中央クランププレートとにより結束線ループの後端をクランプする。
【0021】
そして、結束線切断機構(図示せず)が結束線ループの後端を切断し、結束線ループの両端をクランプした状態で捩り軸14が回転し、結束線ループの両端を捩り合わせることによって鉄筋が結束される。グリップ部5の近傍に配設される操作部材としてのトリガ17が作業者により駆動されることで、結束線送り、結束線ループの先端クランプ、結束線引戻し、結束線ループの後端クランプ、結束線カット、結束線捩り及び初期位置復帰という1サイクルの各動作工程が、制御回路基板16に搭載したマイクロプロセッサ(図示せず)の制御により順次自動的に実行される。
【0022】
なお、本発明の鉄筋結束作業機は、従来公知の手持ち式の鉄筋結束機をそのまま用いて作製するものに限定されないことは勿論である。手持ち式の鉄筋結束機の基本構成を参考にして、適宜変形・修正を加えた鉄筋結束ユニットを用いることとしてもよい。とにかく、鉄筋結束のための1サイクルを自動的に実行可能なものであればよい。
【0023】
次に、
図2~
図4を参照して、鉄筋結束ユニット1を備える本実施の一形態の鉄筋結束作業機20について説明する。
【0024】
図2において、作業者及び鉄筋結束作業機20は、多数の鉄筋が格子状に配設された鉄筋面上に位置している。そして、作業者は、鉄筋結束作業機20を用いて、鉄筋同士の多数の交差部(要結束部位)21を結束する。
【0025】
図2に示すように、本発明の実施の一形態に係る鉄筋結束作業機20は、鉄筋を自動的に結束可能な鉄筋結束ユニット1と、鉄筋結束ユニット1を支持すると共に鉄筋に滑り接触するベース部22と、鉄筋上において作業者が鉄筋結束ユニット1の位置を立ち姿勢のまま制御可能なハンドル25と、作業者が立ち姿勢のまま鉄筋結束ユニット1を制御可能な操作部材26とを備える。
【0026】
作業者は、鉄筋上における鉄筋結束ユニット1の位置をハンドル25によって立ち姿勢のまま制御する。そして、作業者は、鉄筋結束ユニット1と鉄筋の要結束部位21との位置合わせを行い、操作部材26によって立ち姿勢のままで鉄筋結束ユニット1を作動させる。これにより一か所の鉄筋の結束が完了する。この工程を繰り返すことで、次々と鉄筋を結束することができる。
【0027】
前記鉄筋結束作業機20によれば、ベース部22が鉄筋に滑り接触するので、作業者は、ハンドル25を用いて立ち姿勢のまま鉄筋上において鉄筋結束ユニット1を少ない労力で円滑に移動させることができる。また、作業者は、操作部材26によって立ち姿勢のままで鉄筋結束ユニット1を制御できる。これらの要因により、鉄筋結束作業の作業性が向上し、且つ、作業労力も軽減される。
【0028】
以下、
図2の鉄筋結束作業機20の各構成要素について説明する。
【0029】
鉄筋結束ユニット1の基本構成の一例は、
図1を参照して既に説明した通りである。
図2の鉄筋結束作業機20には、
図1の鉄筋結束ユニット1が、ノーズ12とガイドプレート13とを下向きにして搭載されている。
【0030】
ベース部22は、鉄筋結束ユニット1を支持すると共に鉄筋に滑り接触する。ベース部22が鉄筋に滑り接触することで、作業者が鉄筋上で鉄筋結束作業機20を省力的且つ円滑に移動させることができる。一例として、ベース部22は、ベースフレーム23と、このベースフレーム23の下面に配設される滑り部材24とで形成される。滑り部材24の下面は鉄筋への滑り接触面となる。
【0031】
ベースフレーム23は、金属や、剛性を有する合成樹脂等を用いて形成することができる。
図2の例では、作業者から見て前後方向に延びる長方形の枠体としてベースフレーム23が形成されている。ベースフレーム23を枠体として形成すれば、鉄筋結束ユニット1と鉄筋の要結束部位21との位置関係を作業者が上から目視しやすいので好適である。
【0032】
滑り部材24の少なくとも下面は、鉄筋上でベース部22を滑り移動させやすい素材で形成される。そのような素材として、例えば、耐摩耗性を有する合成樹脂を用いることができる。滑り性の良好な合成樹脂を用いることにより、鉄筋上でベース部22を、少ない力で静かに滑らかに移動させることができる。また、耐摩耗性を有する合成樹脂を用いることで、長期間の使用に耐え得るベース部22となる。合成樹脂を用いることで、鉄筋結束作業機20の全体としての軽量化にも貢献できる。ベースフレーム23に対して滑り部材24を着脱可能としておけば、滑り部材24の新旧交換ができて好適である。なお、滑り部材24の全体、さらにはベース部22の全体を合成樹脂で形成しても良いことは勿論である。
【0033】
図2の例では、滑り部材24の下面(鉄筋に対するベース部22の滑り接触面)がリング状に形成される。このようにすれば、鉄筋上で鉄筋結束作業機20を全方位へと省力的に移動させることができる。この場合、全方位への滑り移動性を高めるため、
図3に示すように、滑り部材24の断面形状を、下向きの台形状又は下向きの截頭二等辺三角形状に形成すると好適である。また、滑り部材24の下面をリング状に形成することで、滑り部材24を中心として鉄筋上で鉄筋結束作業機20を省力的に旋回させることもできる。これにより、鉄筋結束作業機20の方向転換を少ない労力で円滑に行うことができる。なお、滑り部材24がリング状とは、真円のほか、楕円形も含むものとする。
【0034】
滑り部材の他の例として、
図4に示すように、ベースフレーム23の下面に前後方向に延びる滑り板26を配設してもよい。具体的には、例えば、前後方向に細長く延びる左右一対の滑り板26,26を
図2のベースフレーム23の左右一対の下面に固定してもよい。この場合、作業者は、ハンドル25を押し引き操作することで、鉄筋上で鉄筋結束作業機20を前後方向に省力的且つ円滑に移動させることができる。
【0035】
ハンドル25は、鉄筋上において作業者が鉄筋結束ユニット1の位置を立ち姿勢のまま制御するためのものである。ハンドル25は、ベース部22に対して上下揺動可能に連結される。
図2の例では、鉄筋結束作業機20を操作する作業者から見て、ベース部22の前部にハンドル25の下端が枢支ピン27によって取り付けられている。ハンドル25は、ベース部22上から二股部28が作業者側へ向けて斜め後方へ延び、後端部にT字状部29が形成され、このT字状部29の左右の両端部がグリップ部30,30とされている。ハンドル25の二股部28は、枢支ピン27によってベースフレーム23に接続されている。ハンドル25の全体的な長さは、
図2に示すように、作業者が自然に立った状態で、両手で楽に左右のグリップ部30,30を把持できるような長さとすると好適である。
【0036】
本実施の一形態では、鉄筋結束ユニット1がハンドル25に取り付けられている。したがって、鉄筋結束ユニット1は、ハンドル25を介してベース部22に支持される。具体的には、ハンドル25の二股部28に左右一対の取付板31,31が固着され、この左右一対の取付板31,31に鉄筋結束ユニット1が取り付けられている。これにより、作業者がハンドル25を上下に揺動させることで鉄筋結束ユニット1が上下動可能とされる。鉄筋結束ユニット1は、ノーズ12とガイドプレート13とが下向きとなるように配設される。このため、作業者がハンドル25を上下に揺動させることで、鉄筋結束ユニット1のノーズ12とガイドプレート13とを、鉄筋の要結束部21に対して接近させたり離隔させたりすることができる。
【0037】
ハンドル25とベース部22との間には、ダンパ32が配設される。ダンパ32は、鉄筋結束ユニット1の荷重を支えることで、作業者の労力を軽減させる。ダンパ32の形式は、ガス式であってもスプリング式であってもよい。
図2の例では、左右一対のダンパ32,32がハンドル25の二股部28とベースフレーム23との間に架設され、ハンドル25を上下動させる際に左右のバランスが保持されるようになっている。
【0038】
操作部材26は、作業者が立ち姿勢のまま鉄筋結束ユニット1を制御可能なものである。
図2の例では、操作部材の一例として、ハンドル25の一方のグリップ部30の近傍に操作レバー26が配設されている。操作レバー26は、操作力伝達部材33を介して、鉄筋結束ユニット1のトリガ17に作動上連結される。操作力伝達部材33としては、アウターチューブ内にインナーワイヤが挿入された押し引き操作自在なボーデンケーブルを採用することができる。作業者が操作レバー26を引き操作することで、ボーデンケーブル33を介して鉄筋結束ユニット1のトリガ17が駆動され、鉄筋結束ユニットの1サイクルの結束動作が自動的に実行される。作業者が操作レバー26を解放すると、図示しないばねによって操作レバー26が非操作位置へと自動的に戻される。
【0039】
操作部材26は、作業者が足で操作可能なものであってもよい。例えば、ベースフレーム23の後端部にペダル式又はボタン式等の操作部材を配設し、この操作部材を適宜の操作力伝達部材で鉄筋結束ユニット1に駆動上連結したものであってもよい。この場合、作業者がペダル式又はボタン式等の操作部材26を足で踏むことで、作業者が立ち姿勢のまま鉄筋結束ユニット1を制御することができる。
【0040】
鉄筋結束ユニット1が遠隔操作用の受信部を備えている場合には、操作部材の別例として、受信部に制御信号を送信可能なリモコン送信機を採用することもできる。この場合、リモコン送信機は、ハンドル25のグリップ部30の近傍に固定しておいてもよいし、作業者が携行してもよい。
【0041】
作業者は、次のようにして鉄筋結束作業機20を使用することができる。
図2に示すように、格子状に配設された鉄筋上に鉄筋結束作業機20を載置する。作業者は、ハンドル25のグリップ部30,30を両手で把持し、ハンドル25の傾斜角度を、鉄筋結束ユニット1が鉄筋面から浮いた状態に保持する。この状態で、鉄筋には、ベース部22を構成する滑り部材24の下面のみが当接する。このため作業者は、ハンドル25を介して鉄筋結束作業機20の全体を鉄筋上で前後方向や左右方向に滑り移動させたり、旋回させたりすることができる。鉄筋結束ユニット1のノーズ12とガイドプレート13との間のスペースを要結束部となる鉄筋の交差部21の真上に位置させ、ハンドル25を下方へ揺動させる。そして、ノーズ12とガイドプレート13との間に鉄筋の交差部21が位置した状態で、手元の操作レバー26を引き操作する。これにより、鉄筋結束ユニット1が結束のための1サイクルの動作を自動的に行い、結束線により鉄筋の交差部21が結束される。同様にして、次々と鉄筋の多数の交差部21を結束することができる。
【0042】
前記鉄筋結束作業機20によれば、ベース部22が鉄筋に滑り接触するので、作業者は、ハンドル25を用いて立ち姿勢のまま鉄筋上において鉄筋結束ユニット1を少ない労力で円滑に移動させることができる。また、作業者は、操作部材26によって立ち姿勢のままで鉄筋結束ユニット1を制御できる。これらの要因により、鉄筋結束作業の作業性が向上し、且つ、作業労力も軽減される。
【0043】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 鉄筋結束ユニット
22 ベース部
25 ハンドル
26 操作部材
32 ダンパ