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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128736
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】医療システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/3207 20060101AFI20230907BHJP
   A61M 25/098 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
A61B17/3207
A61M25/098
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033301
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141829
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 牧人
(74)【代理人】
【識別番号】100123663
【弁理士】
【氏名又は名称】広川 浩司
(72)【発明者】
【氏名】多田 裕一
(72)【発明者】
【氏名】桑野 陽一郎
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160FF21
4C160MM36
4C267AA01
4C267AA32
4C267BB02
4C267BB26
4C267BB43
4C267CC08
4C267GG34
4C267HH08
4C267HH11
(57)【要約】
【課題】血管に挿入されるシャフト部の先端部に配置される切削部の切削可能範囲を、切削のために望ましい目標位置へ自動的に配置でき、操作性が向上する医療システムを提供する。
【解決手段】シャフト部20と、シャフト部20に配置され、シャフト部20の周方向において限定された切削可能範囲Aを有する切削部30と、シャフト部20の周方向において切削部30の切削可能範囲Aと異なる位置に配置された先端チューブ26と、先端チューブ26の位置を変えることによって切削部30の切削可能範囲Aの角度αを変えるためにシャフト部20を回転させる駆動部102と、駆動部102の動作を制御する制御部110と、シャフト部20の造影マーカ28の形状Cを検出する検出部と、を有する医療システム1であって、制御部110は、前記切削部30の切削可能範囲Aを目標位置Pに自動で移動させるため検出部が造影マーカ28の形状Cを検出するまで、駆動部102の回転を制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺なシャフト部と、
前記シャフト部の先端部に配置され、前記シャフト部の周方向において限定された切削可能範囲を有する切削部と、
前記シャフト部に配置され、前記シャフト部の周方向において前記切削部の切削可能範囲と異なる位置に配置された非切削部と、
前記非切削部の位置を変えることによって前記切削部の切削可能範囲の位置を変えるために前記シャフト部を回転させる駆動部と、
前記駆動部の動作を制御する制御部と、
前記シャフト部の造影マーカの形状を検出する検出部と、を有する医療システムであって、
前記制御部は、入力された血管断面情報から前記切削可能範囲が病変部に位置する場合の目標位置と、前記目標位置での前記造影マーカの目標形状を算出し、前記検出部が前記目標位置での前記造影マーカの目標形状を検出するまで、前記駆動部の回転を制御する医療システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記検出部から取得する前記造影マーカの形状から前記切削部の切削可能範囲の位置を特定可能である請求項1に記載の医療システム。
【請求項3】
前記シャフト部は、X線不透過性の造影マーカを有し、
所定の位置からの観察による前記造影マーカの2次元形状は、前記シャフト部の周方向における前記切削部の切削可能範囲の位置と一意的に対応し、
前記制御部は、前記検出部であるX線撮影装置から入力される2次元画像から、前記シャフト部の周方向において前記造影マーカが配置される位置を算出する請求項1または2に記載の医療システム。
【請求項4】
前記シャフト部の内部に配置されて先端部に前記切削部が固定された駆動シャフトと、
前記駆動シャフトを回転させる回転駆動源と、を有し、
前記制御部は、前記切削部の切削可能範囲の位置が前記目標位置に到達した場合に前記回転駆動源を作動させる請求項1~3のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項5】
前記シャフト部の内部に配置される排出ルーメンに吸引力を作用させる吸引駆動源を有し、
前記制御部は、前記切削部の切削可能範囲の位置が前記目標位置に到達した場合に前記吸引駆動源を作動させる請求項1~4のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項6】
前記シャフト部の内部に配置されて先端部に前記切削部が固定された駆動シャフトと、
前記駆動シャフトを回転させる回転駆動源と、を有し、
前記制御部は、前記吸引駆動源を作動させた後に前記回転駆動源を作動させる請求項5に記載の医療システム。
【請求項7】
前記切削部または前記シャフト部に配置されて前記切削部に応力が作用する際に当該応力を検出する接触センサを有し、
前記制御部は、前記接触センサの検出結果を受信し、当該検出結果に基づいて前記吸引駆動源および/または前記回転駆動源の作動を制御する請求項5または6に記載の医療システム。
【請求項8】
前記シャフト部の軸心が曲がるように前記シャフト部を湾曲させる湾曲駆動源を有し、
前記制御部は、前記血管断面情報と、前記シャフト部の周方向における前記切削部の切削可能範囲の位置と、から前記シャフト部の湾曲角度の目標角度を算出し、前記シャフト部の湾曲が前記目標角度になるように前記湾曲駆動源を制御する請求項1~7のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項9】
前記シャフト部または前記切削部を前記シャフト部の軸心に沿って移動させる軸心方向位置調整部を有し、
前記制御部は、前記血管断面情報と、前記シャフト部または前記切削部の軸心方向の位置と、から移動目標位置を算出し、前記シャフト部または前記切削部が前記移動目標位置となるように前記軸心方向位置調整部を制御する請求項1~8のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記切削部による切削の最中に前記シャフト部の周方向における前記切削部の切削可能範囲の位置が前記目標位置からずれる際に、前記軸心方向位置調整部を制御して前記切削部を前記軸心方向に沿って戻るように移動させる請求項9に記載の医療システム。
【請求項11】
前記制御部は、前記切削部による切削の最中に前記シャフト部の周方向における前記切削部の切削可能範囲の位置が前記目標位置からずれる際に、前記駆動部を制御して前記ずれが減少するように調整する請求項1~10のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項12】
前記制御部は、前記血管断面情報と、前記検出部である画像取得装置から入力される画像とを、前記シャフト部が挿入される血管から分岐する側枝の位置で位置合わせする請求項1~11のいずれか1項に記載の医療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体管腔の物体を排出するための医療システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、血管等の生体管腔から血栓等を体外へ排出する医療デバイスが使用されている。例えば、アテレクトミーデバイスは、血管内のプラークや血栓などの病変部を切削して排出するために使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-053062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
血管内のプラークや血栓などの病変部は、血管内で偏在していることが多い。アテレクトミーデバイス等の切削部を偏在した病変部に当接させるためには、切削部の方向付けが必要である。しかし、手技の際に利用されることの多いX線画像は2次元画像であるため、X線撮影装置を回転させながら複数の画像を取得することで、偏在した病変部と切削部を位置合わせしなければならず、煩雑である。
【0005】
例えば特許文献1には、カテーテルの周方向の位置に応じて、X線撮影装置により観察される造影マーカの見え方が異なるように、造影マーカの形状を設定したカテーテルが記載されている。しかしながら、X線撮像装置によりカテーテルの周方向の位置を特定できても、カテーテルを目標の回転角度となるように術者が調整する必要がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、血管に挿入されるシャフト部の先端部に配置される切削部の切削可能範囲を、切削のために望ましい目標位置へ自動的に回転させて配置でき、操作性が向上する医療システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明に係る医療デシステムは、長尺なシャフト部と、前記シャフト部の先端部に配置され、前記シャフト部の周方向において限定された切削可能範囲を有する切削部と、前記シャフト部に配置され、前記シャフト部の周方向において前記切削部の切削可能範囲と異なる位置に配置された非切削部と、前記非切削部の位置を変えることによって前記切削部の切削可能範囲の位置を変えるために前記シャフト部を回転させる駆動部と、前記駆動部の動作を制御する制御部と、前記シャフト部の造影マーカの形状を検出する検出部と、を有する医療システムであって、前記制御部は、入力された血管断面情報から前記切削可能範囲が病変部に位置する場合の目標位置と、前記目標位置での前記造影マーカの目標形状を算出し、前記検出部が前記目標位置での前記造影マーカの目標形状を検出するまで、前記駆動部の回転を制御する。
【発明の効果】
【0008】
上記のように構成した医療システムは、血管に挿入されるシャフト部の先端部に配置される切削部の切削可能範囲を、切削のために望ましい目標位置へ自動的に回転させて配置できるため、シャフト部の周方向の位置の制御が容易となり、操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る医療システムの全体正面図である。
図2】医療デバイスの先端部付近拡大断面図である。
図3】医療システムの構成図である。
図4】制御部の動作を示すフローチャートである。
図5】病変部の近くに切削部を配置した状態を示す断面図である。
図6】(A)は現状の切削部の切削可能範囲の位置およびその目標位置を示す図、(B)は現状の造影マーカの形状およびその目標形状を示す図である。
図7】(A)は切削部の切削可能範囲が目標位置に到達した状態を示す図、(B)は造影マーカの目標形状を示す図である。
図8】切削部の切削可能範囲の位置を目標位置に一致させた状態を示す断面図である。
図9】病変部を切削した状態を示す断面図である。
図10】本実施形態に係る医療システムの変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面における各部材の大きさや比率は、説明の都合上誇張され実際の大きさや比率とは異なる場合がある。
【0011】
本実施形態に係る医療システム1は、急性下肢虚血や深部静脈血栓症において、血管内に挿入され、血栓、プラーク、アテローム、石灰化病変等の物体を破壊して排出する処置に用いられる。本明細書では、デバイスの血管に挿入する側を「先端側」、操作する側を「基端側」と称することとする。なお、破壊して排出する物体は、必ずしも血栓、プラーク、アテローム、石灰化病変に限定されず、生体管腔内に存在し得る物体は、全て該当し得る。
【0012】
医療システム1は、図1~3に示すように、先端部に物体を破壊する切削部30が配置された医療デバイス10と、医療デバイス10の位置を調整する位置調整部100と、医療デバイス10および位置調整部100の動作を制御する制御部110とを有している。
【0013】
医療デバイス10は、基端側へ物体を通すことが可能な排出ルーメン21を備えた長尺なシャフト部20と、シャフト部20の先端部に配置される切削部30と、シャフト部20の基端部が連結される操作部40とを備えている。医療デバイス10は、さらに、シャフト部20に設けられる駆動シャフト22を回転させる回転駆動源70と、シャフト部20に設けられる排出ルーメン21に連通する吸引駆動源80と、吸引駆動源80が吸引した廃液が排出される排出通路50と、排出通路50に連通して排出通路50を介して廃液を受け取る排液バッグ90とを有している。
【0014】
シャフト部20は、回転駆動源70により回転駆動される駆動シャフト22と、駆動シャフト22を回転可能に収容する外管23と、外管23の先端部の側面に固定される先端チューブ26とを備えている。
【0015】
駆動シャフト22は、切削部30に連結されて、回転力を切削部30に伝達する。駆動シャフト22は、柔軟で、かつ基端側から作用する回転の動力を先端側に伝達可能な特性を有する。駆動シャフト22は、切削された物体を基端側へ移動させるための排出ルーメン21が形成されている。駆動シャフト22は、外管23を貫通し、先端部に切削部30が固定されている。駆動シャフト22の基端部は、回転駆動源70に連結されている。駆動シャフト22は、先端に、排出ルーメン21が開口する先端開口部24を有している。先端開口部24は、切削して形成される吸引対象物であるデブリが入り込む入口である。駆動シャフト22の基端部は、排出ルーメン21に吸引力を作用させる吸引駆動源80に連結される。なお、排出ルーメン21は、駆動シャフト22の内部ではなく、外管23と駆動シャフト22の間や、駆動シャフト22の内側に設けられる他の管体の内部に形成されてもよい。駆動シャフト22は、エネルギーを照射する光ファイバーでもよい。
【0016】
切削部30は、血栓、プラークや石灰化病変等の物体を切削して小さくする部材である。したがって、“切削”とは、接触する物体に力を作用させて、物体を小さくすることを意味する。切削における力の作用方法や、切削後の物体の形状や形態は、限定されない。切削部30は、上述した物体を切削できる強度を有している。切削部30は、駆動シャフト22の先端部に固定されている。切削部30は、駆動シャフト22よりも先端側へ突出する円筒である。切削部30は、中空であり、排出ルーメン21と連通してもよい。切削部30の先端は、鋭利な刃31を備えている。なお、刃31の形状は、特に限定されない。切削部30は、刃ではなく、微小な砥粒を多数有してもよい。切削部30は光ファイバーの先端部でもよい。
【0017】
回転駆動源70は、操作部40の内部に配置されて、駆動シャフト22を回転させる。回転駆動源70は、例えばモータである。回転駆動源70の回転速度は、特に限定されないが、例えば5,000~200,000rpmである。
【0018】
吸引駆動源80は、操作部40の内部に配置される。吸引駆動源80は、例えばポンプであり、駆動シャフト22の排出ルーメン21の基端部に連通し、排出ルーメン21に吸引力(陰圧)を作用させる。吸引駆動源80は、排出ルーメン21を介して吸引した排液を、下流側へ移動させて、排液バッグ90へ排出する。吸引駆動源80は、例えばペリスタルティックポンプであるが、ダイヤフラム式ポンプであってもよい。ペリスタルティックポンプは、回転する複数のローラーによりチューブを部分的に潰し、潰した位置を移動させることで、チューブの内部の流体を移動させる。
【0019】
外管23は、可撓性を備える管体であり、基端部が操作部40に固定されている。外管23の先端部は、切削部30の基端側に位置している。シャフト部20の一部である外管23は、先端部に、L字状の造影マーカ28を有している。造影マーカ28は、シャフト部20の軸心方向Xに沿って延びる第1部位28Aと、第1部位28Aの先端部から周方向Rの一方側へ延びる第2部位28Bとを備えている。造影マーカ28は、X線不透過性の材料により形成される。X線不透過性の材料は、例えば金、白金、銀、ビスマス、タングステンを含む2種類以上の合金が挙げられる。外部のX線撮影装置である画像取得装置130により撮影される2次元画像における造影マーカ28の形状Cは、外管23(シャフト部20)の軸心を中心とする周方向Rの位置(角度)に対応して一意的に決まる。外管23(シャフト部20)の周方向Rの位置とは、外管23(シャフト部20)の特定の部位が、予め設定された基準位置Sに対してシャフト部20の軸心を中心として形成する角度である。すなわち、外管23が血管に対して回転して外管23の周方向Rの角度が変化すると、外管23における造影マーカ28の角度が周方向Rへ変化し、それに伴ってX線撮影装置により撮影される2次元画像における造影マーカ28の形状Cが変化する。それによって、2次元画像における造影マーカ28の形状Cから、外管23の周方向Rの角度を逆算することが可能である。したがって、制御部110は、X線撮影装置から得られる造影マーカ28を含む画像情報を基に演算することにより、外管23の周方向Rの角度を特定できる。なお、造影マーカ28の形状Cは、外管23の周方向Rの角度を特定できれば、特に限定されず、例えば螺旋状に並ぶ複数の孔が形成された円管形状であってもよい。また、外管23は、先端部に、所定の角度で曲がる湾曲部を有してもよい。これにより、外管23を回転させることで、外管23の湾曲部よりも先端側の位置を変更でき、切削部30を除去する物体に接触しやすくできる。
【0020】
先端チューブ26は、可撓性を備える管体であり、外管23の先端部の外周面に固定されている。先端チューブ26は、内部にガイドワイヤWを挿入可能なガイドワイヤWルーメン27を有している。外管23が回転すると、外管23に対する先端チューブ26の周方向Rの角度が変化する。シャフト部20の先端部には、シャフト部20の周方向Rに、切削能力を備えない非切削部である先端チューブ26と、先端チューブ26が配置されることによって限定された範囲でのみ切削能力を発揮できる切削部30とが配置される。したがって、シャフト部20が回転することで、図6に示すように、非切削部である先端チューブ26の非切削範囲Bが回転し、切削部30の切削可能範囲Aが、周方向Rへ移動することができる。
【0021】
外管23の先端面には、図1~3に示すように、接触センサ25が設けられる。接触センサ25は、先端側に配置される切削部30が病変部等の硬い部位に接触して基端方向へ移動する際に、切削部30と接触して応力を検出し、後述する制御部110へ検出結果を送信できる。なお、接触センサ25の位置は、外管23の先端面に限定されず、例えば切削部30に配置されてもよい。
【0022】
排出通路50は、吸引駆動源80と排液バッグ90の間に配置され、吸引駆動源80から排出される廃液を、排液バッグ90へ搬送する。排出通路50は、術者が内部の流れを目視できるように、透明または半透明であることが好ましい。
【0023】
位置調整部100は、シャフト部20を軸心方向Xに沿って移動させる軸心方向位置調整部101と、シャフト部20を軸心方向Xを中心とする周方向Rへ回転させる駆動部102とを有している。
【0024】
軸心方向位置調整部101は、医療デバイス10の操作部40および/またはシャフト部20と連結し、操作部40および/またはシャフト部20を軸心方向Xに沿って直線的に移動させる直動駆動機構を有している。直動駆動機構は、制御部110により駆動を制御される。これにより、軸心方向位置調整部101は、シャフト部20および切削部30を軸心方向Xに沿って移動させることができる。
【0025】
駆動部102は、医療デバイス10の操作部40および/またはシャフト部20と連結し、操作部40および/またはシャフト部20を軸心方向Xを中心に回転させる回転駆動機構を有している。回転駆動機構は、制御部110により駆動を制御される。これにより、駆動部102は、シャフト部20を、軸心方向Xを中心に回転させることができる。なお、軸心方向位置調整部101および駆動部102を有する位置調整部100は、3次元的に動作可能なロボットアーム等であってもよい。
【0026】
制御部110は、記憶回路および演算回路を備えている。記憶回路は、プログラムや、各種パラメータを格納する。演算回路は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、記憶回路からプログラムや各種パラメータを読み込み、演算処理を行うことができる。
【0027】
制御部110は、さらに、術者が操作や各種設定を行えるように、情報を画像として表示するモニター等の表示部111と、タッチパネル、キーボードおよび/またはマウス等の入力部112とを有している。制御部110は、例えばコンピュータである。
【0028】
制御部110は、医療システム1による処置を行う前に、患者の血管断面情報113を記憶する。血管断面情報113は、例えば超音波画像診断装置、CT(computed tomography)装置や、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等により取得される3次元的な血管の画像である。制御部110は、画像取得装置130や接触センサ25から受信する情報、および記憶している血管断面情報113に基づき、回転駆動源70、吸引駆動源80、軸心方向位置調整部101および駆動部102の動作を制御する。
【0029】
また、制御部110は、画像取得装置130に接続されて画像情報を受信でき、かつ接触センサ25から検出結果を受信できる。画像取得装置130は、血管に挿入された医療デバイス10を体外から観察可能なX線撮影装置である。本実施形態において、画像取得装置130は、シャフト部20の周方向Rにおける切削部30の切削可能範囲Aの角度を検出する検出部である。X線撮影装置は、2次元画像を取得できる。制御部110は、画像取得装置130により取得される2次元画像の座標を、記憶している血管断面情報113の座標に重ね合わせることができる。なお、画像取得装置130は、医療デバイス10を血管に挿入した状態で画像を取得可能であればX線撮影装置に限定されず、例えば超音波画像診断装置、CT(computed tomography)装置等であってもよい。したがって、得られる画像は、2次元画像ではなく3次元画像であってもよい。得られる画像が3次元画像である場合、造影マーカ28の形状Cは、2次元画像から外管23の周方向Rの角度を特定できる形状でなくてもよい。
【0030】
制御部110は、画像取得装置130や接触センサ25から受信する情報、および記憶した血管断面情報113に基づき、回転駆動源70、吸引駆動源80、軸心方向位置調整部101および駆動部102の動作を制御する。
【0031】
次に、図4に示すフローチャートを参照しつつ、医療システム1の動作制御について説明する。
【0032】
医療システム1による処置を行う前に、制御部110は、X線撮影装置で撮影される2次元画像と血管断面情報113の軸心方向Xの位置と周方向Rの位置を合わせる。2次元画像と血管断面情報113の位置を合わせてない場合、血管断面情報113の病変位置が、2次元画像のどの位置に対応するかを特定できない。このため、制御部110は、2次元画像と血管断面情報113の位置を合わせることによって、血管断面情報113の病変位置が、X線撮影装置で撮影される2次元画像のどの位置にあるかを特定できる。制御部110は、位置合わせを行った後に、図6に示すように、基準位置S(例えば、血管断面情報113のクロックポジションにおける12時方向)を設定し、基準位置Sから病変位置までの周方向Rの角度βを算出する。ところで、制御部110は、基準位置Sから切削部30の切削可能範囲Aまでの周方向Rの角度αに対応する、X線撮影装置で撮影される2次元画像における造影マーカ28の形状Cを、事前に設定されている。例えば、切削部30の切削可能範囲Aの周方向Rの角度αに対応する、2次元画像における造影マーカ28の第1部位28Aに対して第2部位28Bが突出する方向や程度が、事前に設定されている。制御部110は、患者の血管断面情報113を記憶する。術者は、表示部111等に表示した血管断面情報113から、血管の病変部Lの位置を特定する。病変部Lの位置とは、治療する血管における血管の延在方向の位置や、血管の周方向の位置(角度β)等を意味する。続いて、術者は、特定した病変部Lを切削するために望ましい位置に切削部30を配置するための、血管に対する切削可能範囲Aの周方向Rの目標位置Pと、血管に対する切削部30の軸心方向Xの移動目標位置を決定し、入力部112により制御部110へ設定する。なお、周方向Rの目標位置Pおよび軸心方向Xの移動目標位置は、制御部110により算出されてもよい。
【0033】
次に、術者は、医療デバイス10のガイドワイヤルーメン27に、ガイドワイヤWの基端を挿入する。この後、ガイドワイヤWをガイドとして、医療デバイス10を血管内に挿入する。次に、術者は、制御部110を操作して、制御部110による制御を開始する。
【0034】
制御部110は、軸心方向位置調整部101を作動させて、図5に示すように、シャフト部20を先端方向へ移動させる(S1)。また、制御部110は、画像取得装置130からの情報により、血管に対する造影マーカ28の軸心方向Xの位置を特定し、切削部30が移動目標位置に到達するまで、シャフト部20を先端方向へ移動させる。
【0035】
制御部110は、切削部30が移動目標位置に到達したと判別すると(S2)、軸心方向位置調整部101によるシャフト部20の先端方向への移動を停止させる(S3)。次に、制御部110は、画像取得装置130から得られる画像情報に含まれる造影マーカ28の形状Cから、図6および7に示すように、血管に対する切削可能範囲Aの周方向Rの角度αを特定する(S4)。
【0036】
次に、制御部110は、駆動部102を作動させて、外管23を回転させる(S5)。制御部110は、駆動部101を制御して外管23を回転させつつ、X線撮影装置で撮影される造影マーカ28の形状Cから切削部30の現状の切削可能範囲Aの周方向Rの角度αを算出する。そして、制御部110は、X線撮影装置で撮影される造影マーカ28の形状Cにより特定される切削可能範囲Aの周方向Rの角度αが、前述の算出した基準位置Sから病変位置までの周方向Rの角度βに一致するまで、駆動部102を制御してシャフト部20を回転させる。すなわち、制御部110は、基準位置Sから病変位置までの周方向Rの角度βから現状の切削可能範囲Aの周方向Rの角度αを引いた角度(β-α)で、駆動部101を回転させて、切削可能範囲Aを目標位置Pに一致させる。もしくは、制御部110は、画像取得装置130で撮影される画像情報から、切削可能範囲Aの目標位置Pと、切削可能範囲Aが目標位置Pに到達した場合の造影マーカ形状28の目標形状Tを算出し、画像取得装置130が目標位置Pでの造影マーカ形状28の目標形状Tを検出するまで、駆動部101の回転を制御してもよい。制御部110は、画像取得装置130からの情報により造影マーカ28の周方向Rの角度αを逐次算出し、図7および8に示すように、切削可能範囲Aが目標位置Pに到達するまで、外管23を回転させる。制御部110は、切削可能範囲Aの周方向Rの角度αが目標位置Pである病変位置の角度βに到達したと判別すると(S6)、駆動部102による外管23の回転を停止させる(S7)。すなわち、切削部30の切削可能範囲Aの周方向Rの角度αが、基準位置Sから病変位置までの周方向Rの角度βと一致した後に、制御部110は、駆動部102を制御して外管23の回転を停止させる。これにより、先端チューブ26を含むシャフト部20および切削部30が、血管内の周方向Rにおいて、病変部Lを切削するために望ましい位置に配置される。一例として、病変部Lが、血管の内壁面に周方向Rへ偏って設けられる場合に、制御部110は、非切削範囲Bである先端チューブ26を病変部Lが設けられない側に配置し、切削可能範囲Aである切削部30を病変部Lが設けられる側に配置する。なお、切削可能範囲Aは、周方向Rへ範囲を有しているため、角度αは、例えばその中央値とすることができる。また、目標位置Pは、周方向Rへ範囲を有しているため、角度βは、例えばその中央値とすることができる。
【0037】
次に、制御部110は、吸引駆動源80を作動させる(S8)。これにより、排出ルーメン21に吸引力が作用する。続いて、制御部110は、回転駆動源70を作動させて、駆動シャフト22および切削部30を回転させる(S9)。次に、制御部110は、軸心方向位置調整部101を作動させて、図9に示すように、シャフト部20を先端方向へ移動させる(S10)。制御部110は、画像取得装置130からの情報により特定される、血管に対する切削部30の軸心方向Xの位置が、病変部Lの切削を完了する予定の位置に到達するまで、シャフト部20および切削部30を先端方向へ移動させる。なお、病変部Lの切削を完了する予定の位置は、制御部110によって血管断面情報113から算出される。
【0038】
切削部30が先端方向へ移動すると、切削部30の刃31が病変部Lに接触し、病変部Lを切削する。切削部30により切削された病変部Lは、デブリとなって、駆動シャフト22の先端開口部24から排出ルーメン21に吸引される。吸引されたデブリを含む排液は、吸引駆動源80を通って排出流路から排液バッグ90に排出される。
【0039】
制御部110は、回転駆動源70を作動させた後、画像取得装置130からの情報により、切削可能範囲Aの周方向Rの角度αの目標位置Pからのずれ(角度β-α)を算出する。そして、制御部110は、算出したずれが予め設定された閾値を超える場合に(S11)、駆動部102を作動させて切削可能範囲Aの周方向Rの角度αを目標位置Pに一致させるように制御する(S12)。すなわち、制御部110は、切削可能範囲Aの周方向Rの角度αの、目標位置Pの角度βからのずれができるだけ生じないように制御する。これにより、病変部Lを切削することで力を受ける切削可能範囲Aの周方向Rの角度αが目標位置Pの角度βからずれることを抑制し、病変部Lを適切に切削できる。なお、周方向Rの目標位置Pの角度βは、血管の延在方向の位置によって変化してもよい。この場合、制御部110は、血管の延在方向の位置に応じて、切削可能範囲Aの周方向Rの角度αを最適に変化させて、病変部Lを効果的に切削できる。
【0040】
制御部110は、画像取得装置130からの情報により得られる、切削部30の血管に対する軸心方向Xの位置が、切削を完了する予定の位置に到達したと判別すると(S13)、軸心方向位置調整部101によるシャフト部20の先端方向への移動を停止させる(S14)。これにより、血管の適切な位置で病変部Lの切削を停止でき、安全性を向上できる。なお、制御部110は、切削部30が血管内を軸心方向Xに沿って往復移動しつつ切削するように、軸心方向位置調整部101を制御してもよい。
【0041】
次に、制御部110は、回転駆動源70を停止させて切削部30の回転を停止させる(S15)。続いて、制御部110は、吸引駆動源80を停止させて吸引を停止させる(S16)。これにより、制御部110による医療システム1の動作制御が完了する。
【0042】
以上のように、本実施形態に係る医療システム1は、長尺なシャフト部20と、シャフト部20の先端部に配置され、シャフト部20の周方向において限定された切削可能範囲Aを有する切削部30と、シャフト部20に配置され、シャフト部20の周方向Rにおいて切削部30の切削可能範囲Aと異なる角度(位置)に配置された非切削部(先端チューブ26)と、非切削部の角度(位置)を変えることによって切削部30の切削可能範囲Aの角度α(位置)を変えるためにシャフト部20を回転させる駆動部102と、駆動部102の動作を制御する制御部110と、シャフト部20の造影マーカ28の形状を検出する検出部(画像取得装置130)と、を有する医療システム1であって、制御部110は、入力された血管断面情報113から切削可能範囲Aが病変部に位置する場合の目標位置Pと、目標位置Pでの造影マーカ28の形状Cを算出し、検出部が目標位置Pでの造影マーカ28の目標形状Tを検出するまで、駆動部102の回転を制御する。これにより、医療システム1は、シャフト部20の先端部に配置される切削部30の切削可能範囲Aを、切削のために望ましい目標位置Pへ自動的に回転させて配置できるため、シャフト部20の周方向Rの位置の制御が容易となり、操作性が向上する。
【0043】
制御部110は、検出部(画像取得装置130)から取得する造影マーカ28の形状Cから切削部30の切削可能範囲Aの角度α(位置)を特定可能である。これにより、制御部110は、切削部30の切削可能範囲Aを、所定の位置(例えば、目標位置P)へ移動させる制御を行うことができる。
【0044】
シャフト部20は、X線不透過性の造影マーカ28を有し、所定の位置からの観察による造影マーカ28の2次元形状Cは、シャフト部20の周方向Rにおける切削部30の切削可能範囲Aの角度α(位置)と一意的に対応し、制御部110は、検出部である画像取得装置130(例えば、X線撮影装置)から入力される2次元画像から、シャフト部20の周方向Rにおいて造影マーカ28が配置される位置を算出する。これにより、医療システム1は、シャフト部20の周方向Rにおける切削部30の切削可能範囲Aの角度α(位置)を自動で検出できるため、シャフト部20の角度(位置)の制御が容易となり、操作性が向上する。
【0045】
医療システム1は、シャフト部20の内部に配置されて先端部に切削部30が固定された駆動シャフト22と、駆動シャフト22を回転させる回転駆動源70と、を有し、制御部110は、切削部30の切削可能範囲Aの角度α(位置)が目標位置Pに到達した場合に回転駆動源70を作動させる。これにより、医療システム1は、切削部30による切削を自動的に開始することができる。
【0046】
医療システム1は、シャフト部20の内部に配置される排出ルーメン21に吸引力を作用させる吸引駆動源80を有し、制御部110は、切削部30の切削可能範囲Aの角度α(位置)が目標位置Pに到達した場合に吸引駆動源80を作動させる。これにより、医療システム1は、吸引の開始を自動で判断して行うことができるため、操作性が向上する。
【0047】
医療システム1は、シャフト部20の内部に配置されて先端部に切削部30が固定された駆動シャフト22と、駆動シャフト22を回転させる回転駆動源70と、を有し、制御部110は、吸引駆動源80を作動させた後に回転駆動源70を作動させる。これにより、医療システム1は、切削の開始を自動で判断して行うことができるため、操作性が向上する。また、医療システム1は、吸引の開始の後に切削を開始させるため、切削により生じるデブリが吸引されずに体内で飛散することを効果的に抑制できる。
【0048】
医療システム1は、シャフト部20または切削部30をシャフト部20の軸心方向Xに沿って移動させる軸心方向位置調整部101を有し、制御部110は、血管断面情報113と、シャフト部20または切削部30の軸心方向Xの位置と、から移動目標位置を算出し、シャフト部20または切削部30が移動目標位置となるように軸心方向位置調整部101を制御する。これにより、医療システム1は、切削部30を、周方向Rの目標位置Pに加えて、切削のために望ましい軸心方向Xの移動目標位置へ自動的に配置できるため、切削部30の切削可能範囲Aの位置の制御をより自動的に行うことができ、操作性が向上する。
【0049】
制御部110は、切削部30による切削の最中にシャフト部20の周方向Rにおける切削部30の切削可能範囲Aの角度α(位置)が目標位置Pからずれる際に、軸心方向位置調整部101を制御して切削部30を軸心方向Xに沿って戻るように移動させる。これにより、切削の際に切削部30が力を受けて周方向Rの目標位置Pからずれた場合に、軸心方向Xの位置を戻すことで、切削部30が望ましい位置に配置されるように再調整して、切削を継続することができる。
【0050】
制御部110は、切削部30による切削の最中にシャフト部20の周方向Rにおける切削部30の切削可能範囲Aの角度α(位置)が目標位置Pからずれる際に、駆動部102を制御してずれが減少するように調整する。これにより、切削の際に切削部30が力を受けて目標位置Pからずれることを抑制し、切削部30の位置を切削のために望ましい位置に維持できるため、切削性能の低下を抑制できる。
できる。
【0051】
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、切削部30は、回転体ではなく、例えば軸心方向Xに沿って移動することで切削する構造や、レーザーを照射する部材でもよい。切削部30が回転体でない場合には、造影マーカ28は、シャフト部20ではなく切削部30に配置されてもよい。
【0052】
また、制御の変形例として、制御部110は、切削を開始する前の切削部30が病変部Lへ接触した場合に、回転駆動源70を作動させて切削部30による病変部Lの切削を開始させてもよい。すなわち、制御部110は、吸引駆動源80を作動させて吸引を開始し(S8)、その後に、回転駆動源70を作動させずに、軸心方向位置調整部101を作動させて、シャフト部20および切削部30を先端方向へ移動させる。切削部30が病変部Lに接触すると、切削部30が病変部Lにより基端側へ押されて、接触センサ25(図2、3を参照)により応力が検出される。制御部110は、接触センサ25による検出結果が予め設定した閾値を超える場合に、切削部30が病変部Lに接触したと判断して、回転駆動源70を作動させることができる。これにより、駆動シャフト22とともに切削部30が回転し、病変部Lが切削される。なお、接触センサ25は、切削部30に配置されてもよい。また、制御部110は、接触センサ25による検出結果が予め設定した閾値を超える場合に、切削部30が病変部Lに接触したと判断して、吸引駆動源80および回転駆動源70の両方を作動させてもよい。したがって、変形例に係る医療システム1は、切削部30またはシャフト部20に配置されて切削部30に応力が作用する際に当該応力を検出する接触センサ25を有し、制御部110は、接触センサ25の検出結果を受信し、当該検出結果に基づいて吸引駆動源80および/または回転駆動源70の作動を制御する。これにより、医療システム1は、接触センサ25からの検出結果により切削部30が病変部Lに接触したことを自動で判別して、吸引および/または切削の動作を自動で行うことができるため、操作性が向上する。
【0053】
また、図10に示す変形例のように、医療システム1は、シャフト部20の先端部を曲げる動作を自動で行うための構造を有してもよい。例えば、医療デバイス10の外管23の内部に牽引ワイヤ140が配置され、牽引ワイヤ140の先端部141が、外管23の内周面の、周方向の特定の位置に固定される。牽引ワイヤ140の基端部は、操作部40の内部に配置される湾曲駆動源142に連結される。湾曲駆動源142は、制御部110により動作を制御され、牽引ワイヤ140を先端方向および基端方向へ移動させることができる。したがって、制御部110は、湾曲駆動源142を制御して牽引ワイヤ140を基端方向へ牽引させて、シャフト部20の先端を、一方向へ曲げることができる。さらに、制御部110は、湾曲駆動源142を制御して牽引ワイヤ140を基端方向へ移動させて、シャフト部20の先端を、シャフト部20の弾性力によって元の形状へ戻すことができる。以上のように、医療システム1は、シャフト部20の軸心が曲がるようにシャフト部20を湾曲させる湾曲駆動源142を有し、制御部110は、血管断面情報113と、シャフト部20の周方向Rにおける切削部30の切削可能範囲Aの角度α(位置)と、からシャフト部20の湾曲角度の目標角度を算出し、シャフト部20の湾曲が目標角度になるように湾曲駆動源142を制御することができる。これにより、医療システム1は、切削部30を、切削のために望ましい位置へ、シャフト部20を湾曲させることで自動で配置できる。このため、医療システム1は、血管内の切削部30の位置を、望ましい位置へ高精度に制御できるため、切削性能を向上できる。
【0054】
また、制御部110は、血管断面情報113と、検出部である画像取得装置130から入力される画像とを、シャフト部20が挿入される血管から分岐する側枝の位置で位置合わせしてもよい。これにより、医療システム1は、血管断面情報113と、画像取得装置130から入力される画像とを高精度に位置合わせでき、制御部110による医療システム1の制御の精度を向上できる。
【0055】
また、シャフト部20の周方向Rにおける切削部30の切削可能範囲Aの角度αを検出するために、医療システム1は、切削部30の切削可能範囲Aの角度を始めに記憶し、その角度から切削部30が回転した角度を例えば駆動部102により検出することで、画像取得装置130により造影マーカ28を観察せずに、切削部30の切削可能範囲Aの角度αを特定することもできる。
【符号の説明】
【0056】
1 医療システム
10 医療デバイス
20 シャフト部
21 排出ルーメン
22 駆動シャフト
23 外管
25 接触センサ
26 先端チューブ(非切削部)
28 造影マーカ
30 切削部
70 回転駆動源
80 吸引駆動源
100 位置調整部
101 軸心方向位置調整部
102 駆動部
113 血管断面情報
130 画像取得装置(検出部)
142 湾曲駆動源
X 軸心方向
R 周方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10