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特開2023-128746生体情報処理システム、信号処理装置、切替装置、およびコンピュータプログラム
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  • 特開-生体情報処理システム、信号処理装置、切替装置、およびコンピュータプログラム 図1
  • 特開-生体情報処理システム、信号処理装置、切替装置、およびコンピュータプログラム 図2
  • 特開-生体情報処理システム、信号処理装置、切替装置、およびコンピュータプログラム 図3
  • 特開-生体情報処理システム、信号処理装置、切替装置、およびコンピュータプログラム 図4
  • 特開-生体情報処理システム、信号処理装置、切替装置、およびコンピュータプログラム 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128746
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】生体情報処理システム、信号処理装置、切替装置、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
A61B5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033313
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 徹男
(72)【発明者】
【氏名】原田 喜晴
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XB03
4C117XC27
4C117XE13
4C117XE15
4C117XE33
4C117XE37
4C117XE58
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プローブの仕様に応じて柔軟な運用が可能な生体情報処理システムを提供する。
【解決手段】信号処理装置22は、第一状態と第二状態とを切り替え可能である生体情報処理装置20に搭載される。信号処理装置22は、生体情報処理装置20が第一状態で動作するか第二状態で動作するかを指定する状態指定情報に基づいて、センサ31より出力される生体情報に対応する信号を処理する。信号処理装置22は、プローブ30が生体情報処理装置20に接続されると種別特定情報を受け付け、切替装置が生体情報処理装置20に接続されると切替情報を受け付ける。信号処理装置22は、状態指定情報の書き替えが許可されており、切替情報による第一状態から第二状態への切り替え要求を受け付けており、かつ種別特定情報が第二機能での動作に適合するセンサ種別を特定している場合、第二状態での動作を指定するように状態指定情報を書き替える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報に対応する信号を出力するセンサ、および当該センサの種別を特定する種別特定情報を保持した第一情報要素を備えているプローブが接続されるように構成されており、第一機能で動作可能な第一状態と当該第一機能よりも高い第二機能で動作可能な第二状態とを切り替え可能である生体情報処理装置と、
前記生体情報処理装置に搭載されており、前記生体情報処理装置が前記第一状態で動作するか前記第二状態で動作するかを指定する状態指定情報を記憶しているストレージと、
前記生体情報処理装置に接続可能であり、前記第一状態から前記第二状態への切り替えを要求する第一切替情報を保持した第二情報要素を備えている第一切替装置と、
前記生体情報処理装置に搭載されており、前記状態指定情報の書き替えの可否を規定する制御装置と、
前記生体情報処理装置に搭載されており、前記プローブが前記生体情報処理装置に接続されると前記種別特定情報を受け付けるとともに前記状態指定情報に基づいて前記信号を処理し、かつ前記第一切替装置が前記生体情報処理装置に接続されると前記第一切替情報を受け付ける信号処理装置と、
を備えており、
前記信号処理装置は、前記制御装置により前記状態指定情報の書き替えが許可されており、前記第一切替情報による前記第一状態から前記第二状態への切り替え要求を受け付けており、かつ前記第二機能での動作に適合するセンサ種別を特定している前記種別特定情報が保持された前記第一情報要素を備えたプローブが前記生体情報処理装置に接続された場合、前記第二状態での動作を指定するように前記状態指定情報を書き替える、
生体情報処理システム。
【請求項2】
前記生体情報処理装置は、前記プローブが接続されるコネクタを備えており、
前記第二情報要素を除く前記第一切替装置の少なくとも一部は、前記プローブと共通する部品により形成されており、前記コネクタに接続可能である、
請求項1に記載の生体情報処理システム。
【請求項3】
前記生体情報処理装置に接続可能であり、
前記第二状態から前記第一状態への切り替えを要求する第二切替情報を保持した第三情報要素を備えている第二切替装置を備えており、
前記信号処理装置は、前記第二切替装置が前記生体情報処理装置に接続されると、前記第二切替情報に基づいて前記第一状態での動作を指定するように前記状態指定情報を書き替える、
請求項1または2に記載の生体情報処理システム。
【請求項4】
前記生体情報処理装置は、前記プローブが接続されるコネクタを備えており、
前記第三情報要素を除く前記第二切替装置の少なくとも一部は、前記プローブと共通する部品により形成されており、前記コネクタに接続可能である、
請求項3に記載の生体情報処理システム。
【請求項5】
第一機能で動作可能な第一状態と当該第一機能よりも高い第二機能で動作可能な第二状態とを切り替え可能である生体情報処理装置に搭載され、当該生体情報処理装置に接続されたプローブが備えているセンサより出力される生体情報に対応する信号を処理する信号処理装置であって、
前記生体情報処理装置が前記第一状態で動作するか前記第二状態で動作するかを指定する状態指定情報に基づいて、前記信号を処理するプロセッサと、
前記センサの種別を特定する種別特定情報を保持したプローブが前記生体情報処理装置に接続されると当該種別特定情報を受け付け、かつ前記第一状態から前記第二状態への切り替えを要求する切替情報を保持した切替装置が前記生体情報処理装置に接続されると当該切替情報を受け付けるインタフェースと、
を備えており、
前記プロセッサは、前記状態指定情報の書き替えが許可されており、前記切替情報による前記第一状態から前記第二状態への切り替え要求を受け付けており、かつ前記種別特定情報が前記第二機能での動作に適合するセンサ種別を特定している場合、前記第二状態での動作を指定するように前記状態指定情報を書き替える、
信号処理装置。
【請求項6】
第一機能で動作可能な第一状態と当該第一機能よりも高い第二機能で動作可能な第二状態とを切り替え可能である生体情報処理装置に搭載され、当該生体情報処理装置に接続されたプローブが備えているセンサより出力される生体情報に対応する信号を処理する信号処理装置のプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記信号処理装置は、
前記生体情報処理装置が前記第一状態で動作するか前記第二状態で動作するかを指定する状態指定情報に基づいて、前記信号を処理し、
前記センサの種別を特定する種別特定情報を保持したプローブが前記生体情報処理装置に接続されると当該種別特定情報を受け付け、
前記第一状態から前記第二状態への切り替えを要求する切替情報を保持した切替装置が前記生体情報処理装置に接続されると当該切替情報を受け付け、
前記状態指定情報の書き替えが許可されており、前記切替情報による前記第一状態から前記第二状態への切り替え要求を受け付けており、かつ前記種別特定情報が前記第二機能での動作に適合するセンサ種別を特定している場合、前記第二状態での動作を指定するように前記状態指定情報を書き替える、
コンピュータプログラム。
【請求項7】
第一機能で動作可能な第一状態と当該第一機能よりも高い第二機能で動作可能な第二状態とを切り替え可能である生体情報処理装置に接続可能なコネクタと、
前記コネクタを通じて前記生体情報処理装置に搭載された信号処理装置に受け付けられることによって前記生体情報処理装置を前記第二状態から前記第一状態へ切り替えさせる切替情報を保持した情報要素と、
を備えている、
切替装置。
【請求項8】
前記情報要素を除く少なくとも一部が、生体情報に対応する信号を出力するセンサを備えているプローブと共通する部品により形成されており、前記コネクタは、当該プローブが接続される前記生体情報処理装置のコネクタに接続可能である、
請求項7に記載の切替装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被検者の生体情報を処理するシステムに関連する。本開示は、各々が当該システムの一部を構成しうる信号処理装置と切替装置にも関連する。本開示は、当該信号処理装置に搭載されたプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムにも関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、プローブと生体情報処理装置とを含む生体情報処理システムを開示している。プローブは、センサと情報要素を備えている。センサは、生体に装着されて生体情報に対応する信号を出力するように構成されている。情報要素は、センサを特定する情報を備えている。プローブが生体情報処理装置に接続されると、情報要素の情報が生体情報処理装置により読み出される。生体情報処理装置は、当該情報に応じた動作を行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-123093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、プローブの仕様に応じて柔軟な運用が可能な生体情報処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、生体情報処理システムであって、
生体情報に対応する信号を出力するセンサ、および当該センサの種別を特定する種別特定情報を保持した第一情報要素を備えているプローブが接続されるように構成されており、第一機能で動作可能な第一状態と当該第一機能よりも高い第二機能で動作可能な第二状態とを切り替え可能である生体情報処理装置と、
前記生体情報処理装置に搭載されており、前記生体情報処理装置が前記第一状態で動作するか前記第二状態で動作するかを指定する状態指定情報を記憶しているストレージと、
前記生体情報処理装置に接続可能であり、前記第一状態から前記第二状態への切り替えを要求する第一切替情報を保持した第二情報要素を備えている第一切替装置と、
前記生体情報処理装置に搭載されており、前記状態指定情報の書き替えの可否を規定する制御装置と、
前記生体情報処理装置に搭載されており、前記プローブが前記生体情報処理装置に接続されると前記種別特定情報を受け付けるとともに前記状態指定情報に基づいて前記信号を処理し、かつ前記第一切替装置が前記生体情報処理装置に接続されると前記第一切替情報を受け付ける信号処理装置と、
を備えており、
前記信号処理装置は、前記制御装置により前記状態指定情報の書き替えが許可されており、前記第一切替情報による前記第一状態から前記第二状態への切り替え要求を受け付けており、かつ前記第二機能での動作に適合するセンサ種別を特定している前記種別特定情報が保持された前記第一情報要素を備えたプローブが前記生体情報処理装置に接続された場合、前記第二状態での動作を指定するように前記状態指定情報を書き替える。
【0006】
本開示の一態様は、第一機能で動作可能な第一状態と当該第一機能よりも高い第二機能で動作可能な第二状態とを切り替え可能である生体情報処理装置に搭載され、当該生体情報処理装置に接続されたプローブが備えているセンサより出力される生体情報に対応する信号を処理する信号処理装置であって、
前記生体情報処理装置が前記第一状態で動作するか前記第二状態で動作するかを指定する状態指定情報に基づいて、前記信号を処理するプロセッサと、
前記センサの種別を特定する種別特定情報を保持したプローブが前記生体情報処理装置に接続されると当該種別特定情報を受け付け、かつ前記第一状態から前記第二状態への切り替えを要求する切替情報を保持した切替装置が前記生体情報処理装置に接続されると当該切替情報を受け付けるインタフェースと、
を備えており、
前記プロセッサは、前記状態指定情報の書き替えが許可されており、前記切替情報による前記第一状態から前記第二状態への切り替え要求を受け付けており、かつ前記種別特定情報が前記第二機能での動作に適合するセンサ種別を特定している場合、前記第二状態での動作を指定するように前記状態指定情報を書き替える。
【0007】
本開示の一態様は、第一機能で動作可能な第一状態と当該第一機能よりも高い第二機能で動作可能な第二状態とを切り替え可能である生体情報処理装置に搭載され、当該生体情報処理装置に接続されたプローブが備えているセンサより出力される生体情報に対応する信号を処理する信号処理装置のプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記信号処理装置は、
前記生体情報処理装置が前記第一状態で動作するか前記第二状態で動作するかを指定する状態指定情報に基づいて、前記信号を処理し、
前記センサの種別を特定する種別特定情報を保持したプローブが前記生体情報処理装置に接続されると当該種別特定情報を受け付け、
前記第一状態から前記第二状態への切り替えを要求する切替情報を保持した切替装置が前記生体情報処理装置に接続されると当該切替情報を受け付け、
前記状態指定情報の書き替えが許可されており、前記切替情報による前記第一状態から前記第二状態への切り替え要求を受け付けており、かつ前記種別特定情報が前記第二機能での動作に適合するセンサ種別を特定している場合、前記第二状態での動作を指定するように前記状態指定情報を書き替える。
【0008】
上記のような構成によれば、第一切替装置を生体情報処理装置に接続することにより直ちに第一状態から第二状態への切り替えがなされるのではなく、第二機能での動作に適合するプローブが情報処理装置に接続され、かつ制御装置により状態指定情報の書き替えが許可されるまでは、第二状態への切り替えを保留できる。第一切替装置が情報処理装置に接続されるタイミングと、状態指定情報が第二状態を指定するように書き替えられることによって第二機能での動作が実際に有効とされるタイミングとを、様々な事情に応じて異ならせることができるので、第一切替装置が情報処理装置に接続された後でも第一機能での動作に適合するプローブの使用を継続できる。したがって、プローブの仕様に応じて柔軟な運用が可能な生体情報処理システムを提供できる。
【0009】
本開示の一態様は、切替装置であって、
第一機能で動作可能な第一状態と当該第一機能よりも高い第二機能で動作可能な第二状態とを切り替え可能である生体情報処理装置に接続可能なコネクタと、
前記コネクタを通じて前記生体情報処理装置に搭載された信号処理装置に受け付けられることによって前記生体情報処理装置を前記第二状態から前記第一状態へ切り替えさせる切替情報を保持した情報要素と、
を備えている。
【0010】
第一機能での動作に適合するプローブは、第二状態での動作を指定された情報処理装置に接続しても使用できないことが一般的である。上記の構成によれば、第二状態へ切り替えられた情報処理装置を、必要に応じて第一状態へ戻すことができる。これにより、情報処理装置における第一機能での動作に適合するプローブの使用を再開できる。したがって、プローブの仕様に応じて柔軟な運用が可能な生体情報処理システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る生体情報処理システムにおいて、生体情報処理装置にプローブが接続された状態を例示している。
図2】一実施形態に係る生体情報処理システムにおいて、生体情報処理装置に第一切替装置が接続された状態を例示している。
図3】上記の生体情報処理装置に搭載された信号処理装置により実行される処理の流れを例示している。
図4】上記の生体情報処理装置がとりうる複数の状態を例示している。
図5】一実施形態に係る生体情報処理システムにおいて、生体情報処理装置に第二切替装置が接続された状態を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について以下詳細に説明する。各図面においては、例示される各要素を認識可能な大きさとするために、縮尺を適宜に変更している。
【0013】
図1は、一実施形態に係る生体情報処理システム10(以下、情報処理システム10と略称する)の機能構成を例示している。
【0014】
情報処理システム10は、生体情報処理装置20(以下、情報処理装置20と略称する)を含んでいる。情報処理装置20は、プローブ30が接続されるコネクタ21を備えている。プローブ30は、被検者に装着されて当該被検者の生体情報を取得するための装置である。
【0015】
情報処理装置20は、第一機能で動作可能な第一状態と当該第一機能よりも高い第二機能で動作可能な第二状態とを切り替え可能に構成されている。本明細書においては、「第一機能よりも高い第二機能」という表現を、第二機能により取得されうる生体情報の種別が第一機能により取得されうる生体情報の種別よりも多い場合、第二機能により取得されうる特定の生体情報の情報量が第一機能により取得されうる当該生体情報の情報量よりも多い場合、および第二機能により取得されうる特定の生体情報の分解能(resolution)が第二機能により取得されうる当該生体情報の分解能よりも高い場合などを含めて描写するために用いている。
【0016】
プローブ30は、センサ31を備えている。センサ31は、被検者の生体情報に対応する検出信号を出力するように構成されている。検出信号は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。センサ31の一例としては、発光素子と受光素子を有する光センサが挙げられる。この場合、生体情報として血中吸光物質濃度や脈拍が検出される。センサ31の別例としては、血管に挿入され、圧力トランスデューサを有するカテーテルが挙げられる。この場合、生体情報として血圧が検出される。
【0017】
プローブ30は、第一情報要素32を備えている。第一情報要素32は、センサ31の種別を特定する種別特定情報を保持している。ここで用いられる「センサ31の種別」という表現は、センサ31が上記の第一機能と第二機能のいずれに適合する機種であるかを示す意味である。第一情報要素32の例としては、種別特定情報が記憶されたメモリや、種別特定情報に対応付けられた特定の回路素子の値(抵抗素子の値、コンデンサ素子の値、インダクタ素子の値、ダイオードの順方向降下電圧)などが挙げられる。
【0018】
なお、本実施形態に係る情報処理システム10においては、第一機能での動作に適合するプローブ30は、第二状態での動作を指定された情報処理装置20に接続しても使用できないものとする。
【0019】
プローブ30は、ケーブル33とコネクタ34を備えている。ケーブル33は、センサ31から出力された検出信号を伝達する信号線を含んでいる。コネクタ34は、ケーブル33の一端に設けられている。コネクタ34は、情報処理装置20のコネクタ21に接続されるように構成されている。第一情報要素32は、ケーブル33やコネクタ34を含むプローブ30における任意の箇所に配置されうる。
【0020】
情報処理装置20は、信号処理装置22を備えている。信号処理装置22は、プローブ30を通じて取得された生体情報をユーザが認識可能な形態で提供できるようにするための信号処理を行なう装置である。信号処理装置22は、入力インタフェース221、ストレージ222、プロセッサ223、および通信インタフェース224を備えている。
【0021】
情報処理装置20は、制御装置23を備えている。制御装置23は、情報処理装置20の動作を制御する装置である。当該動作は、プローブ30を通じて取得された生体情報のユーザが認識可能な形態での提供を含む。制御装置23は、通信インタフェース231、プロセッサ232、および出力インタフェース233を備えている。
【0022】
入力インタフェース221は、コネクタ21に入力された検出信号を受け付けるように構成されている。検出信号がアナログ信号である場合、入力インタフェース221は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。この説明は、以降に記載される入力インタフェース221が受け付けうる全ての信号や情報について適用される。
【0023】
入力インタフェース221は、コネクタ21を通じてプローブ30の第一情報要素32に保持された種別特定情報も取得するように構成されている。
【0024】
ストレージ222は、状態指定情報を格納している。状態指定情報は、情報処理装置20が第一状態と第二状態のいずれで動作するかを指定するように構成されている。ストレージ222は、不揮発性の半導体メモリやハードディスク装置により実現されうる。
【0025】
プロセッサ223は、ストレージ222に格納されている状態指定情報を参照するように構成されている。プロセッサ223は、参照された状態指定情報に基づいて、第一状態または第二状態で情報処理装置20を動作させるように構成されている。具体的には、状態指定情報が第一状態を指定している場合、プロセッサ223は、入力インタフェース221により受け付けられた検出信号に対して第一機能に係る信号処理を実行する。状態指定情報が第二状態を指定している場合、プロセッサ223は、入力インタフェース221により受け付けられた検出信号に対して第二機能に係る信号処理を実行する。
【0026】
信号処理装置22の通信インタフェース224と制御装置23の通信インタフェース231は、両者の間で信号およびデータの双方向通信が可能に構成されている。
【0027】
信号処理装置22のプロセッサ223は、信号処理の結果として取得された処理済み情報を、通信インタフェース224から出力するように構成されている。当該情報は、制御装置23の通信インタフェース231により受信される。制御装置23のプロセッサ232は、当該情報に基づいて、ユーザインタフェースを通じてユーザに提供するための出力信号を、出力インタフェース233から出力するように構成されている。一例として、出力信号は、情報処理装置20に搭載された不図示の表示装置に処理済み情報を表示させるための信号でありうる。別例として、出力信号は、情報処理装置20と通信可能に接続された不図示の外部装置へ処理済み情報を送信するための信号でありうる。
【0028】
出力信号は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。出力信号がアナログ信号である場合、出力インタフェース233は、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0029】
制御装置23は、信号処理装置22のストレージ222に格納される状態指定情報の書き替えの可否を規定する機能も備えている。具体的には、制御装置23のプロセッサ232は、状態指定情報の書き替えを許可する許可信号を、通信インタフェース231から信号処理装置22へ送信できるように構成されている。
【0030】
許可信号の送信は、情報処理装置20の起動時に自動的になされてもよいし、情報処理装置20のユーザインタフェースを通じて入力されるユーザの指示に応答してなされてもよい。
【0031】
図2に例示されるように、情報処理システム10は、第一切替装置40を含んでいる。第一切替装置40は、情報処理装置20を第一状態から第二状態へ切り替えるために情報処理装置20に接続される装置である。
【0032】
第一切替装置40は、第二情報要素41を備えている。第二情報要素41は、第一状態から第二状態への切り替えを要求する第一切替情報を保持している。第二情報要素41の例としては、第一切替情報が記憶されたメモリや、第一切替情報に対応付けられた特定の回路素子の値(抵抗素子の値、コンデンサ素子の値、インダクタ素子の値、ダイオードの順方向降下電圧)などが挙げられる。
【0033】
第一切替装置40が情報処理装置20に接続されると、信号処理装置22のプロセッサ223は、入力インタフェース221を通じて第一切替情報を取得するように構成されている。一旦取得された第一切替情報は、情報処理装置20への電力供給が断たれても保持される。
【0034】
情報処理装置20を第一状態から第二状態へ切り替えるためには、(1)状態指定情報の書き替えが許可されていること、(2)第一状態から第二状態への切り替えが要求されていること、および(3)第二機能での動作に適合するセンサ種別を特定する種別特定情報が保持された第一情報要素32を備えたプローブ30が情報処理装置20に接続されていることが満足される必要がある。
【0035】
第一切替装置40が情報処理装置20に接続されることにより第一切替情報が保持された後に第二機能での動作に適合する種別特定情報が保持された第一情報要素32を備えたプローブ30がコネクタ21に接続されると、信号処理装置22のプロセッサ223は、制御装置23から許可信号を受け付けたかを判断するように構成されている。許可信号を受け付けたと判断された場合、プロセッサ223は、ストレージ222に格納された状態指定情報を、第二状態での動作を指定するように書き替えるように構成されている。以降は書き替えられた状態指定情報がプロセッサ223により参照されるので、センサ31から出力される検出信号に対して第二機能に係る信号処理が実行される。
【0036】
図3図4を参照しつつ、上記のように構成された情報処理システム10の動作について説明する。図3は、信号処理装置22のプロセッサ223により実行される処理の流れを例示している。図4は、切り替え条件を構成する各要素の状態と情報処理装置20の動作の関係を例示している。
【0037】
プロセッサ223は、入力インタフェース221を通じて種別特定情報が取得されたかを判断する(STEP1)。種別特定情報が取得された場合(STEP1においてYES)、情報処理装置20にプローブ30が接続されている。
【0038】
続いて、プロセッサ223は、取得された種別特定情報が特定しているセンサ種別が第二機能での動作に適合しているかを判断する(STEP2)。取得された種別特定情報が特定しているセンサ種別が第一機能での動作に適合している場合(STEP2においてNO)、プロセッサ223は、ストレージ222に格納されている状態指定情報が第一状態を指定しているかを判断する(STEP3)。
【0039】
状態指定情報が第一状態を指定していると判断されると(STEP3においてYES)、プロセッサ223は、センサ31から出力された検出信号に対して第一機能に係る信号処理を実行する(STEP4)。換言すると、情報処理装置20は第一状態で動作する。
【0040】
この状況は、図4におけるケース番号1、3、5、および7に対応している。すなわち、状態指定情報の書き替えが許可されているかに依らず、状態指定情報が第一状態を指定している状況で第一機能での動作に適合するプローブ30が接続されると、情報処理装置20は第一状態で動作する。
【0041】
他方、取得された種別特定情報が特定しているセンサ種別が第二機能での動作に適合している場合(STEP2においてYES)、プロセッサ223は、ストレージ222に格納されている状態指定情報が第二状態を指定しているかを判断する(STEP5)。
【0042】
状態指定情報が第一状態を指定していると判断されると(STEP5においてNO)、プロセッサ223は、第一状態から第二状態への切り替えが要求されているかを判断する(STEP6)。すなわち、プロセッサ223は、第二機能での動作に適合するプローブ30の接続に先立ち第一切替装置40が情報処理装置20に接続されたかを判断する。
【0043】
第一状態から第二状態への切り替えが要求されていないと判断されると(STEP6においてNO)、プロセッサ223は、センサ31から出力された検出信号に対して第一機能に係る信号処理を実行する(STEP4)。換言すると、情報処理装置20は、第二機能での動作に適合するプローブ30が接続されていても、第一状態で動作する。この状況は、図4におけるケース番号2と6に対応している。
【0044】
第一状態から第二状態への切り替えが要求されていると判断されると(STEP6においてYES)、プロセッサ223は、制御装置23により状態指定情報の書き替えが許可されているかを判断する(STEP7)。
【0045】
状態指定情報の書き替えが許可されていない場合(STEP7においてNO)、プロセッサ223は、センサ31から出力された検出信号に対して第一機能に係る信号処理を実行する(STEP4)。換言すると、情報処理装置20は、第二機能での動作に適合するプローブ30が接続されていても、第一状態で動作する。この状況は、図4におけるケース番号4に対応している。
【0046】
状態指定情報の書き替えが許可されている場合(STEP7においてYES)、プロセッサ223は、ストレージ222に格納されている状態指定情報を、第二状態を指定するように書き替える(STEP8)。
【0047】
続いて、プロセッサ242は、センサ31から出力された検出信号に対して第二機能に係る信号処理を実行する(STEP9)。換言すると、情報処理装置20は、第二状態で動作する。この状況は、図4におけるケース番号8に対応している。
【0048】
状態指定情報が第二状態を指定している状況で第二機能での動作に適合するプローブ30が情報処理装置20に接続された場合においても(STEP1においてYES、STEP2においてYES、STEP5においてYES)、情報処理装置20は、第二状態で動作する(STEP9)。この状況もまた、図4におけるケース番号8に対応している。
【0049】
プロセッサ223は、入力インタフェース241を通じて種別特定情報が取得されていないと判断されると(STEP1においてNO)、入力インタフェース221を通じて第一切替情報が取得されたかを判断する(STEP10)。すなわち、プロセッサ223は、第一切替装置40が情報処理装置20に接続されているかを判断する。
【0050】
第一切替情報が取得されたと判断されると(STEP10においてYES)、プロセッサ223は、第一切替情報を保持する(STEP11)。第一切替情報は、ストレージ222に格納されてもよいし、他の記憶領域に格納されてもよい。その後、処理はSTEP1に戻る。
【0051】
上記のような構成によれば、第一切替装置40を情報処理装置20に接続することにより直ちに第一状態から第二状態への切り替えがなされるのではなく、第二機能での動作に適合するプローブ30が情報処理装置20に接続され、かつ制御装置23により状態指定情報の書き替えが許可されるまでは、第二状態への切り替えを保留できる。第一切替装置40が情報処理装置20に接続されるタイミングと、状態指定情報が第二状態を指定するように書き替えられることによって第二機能での動作が実際に有効とされるタイミングとを、様々な事情に応じて異ならせることができるので、第一切替装置40が情報処理装置20に接続された後でも第一機能での動作に適合するプローブ30の使用を継続できる。したがって、プローブ30の仕様に応じて柔軟な運用が可能な生体情報処理システム10を提供できる。
【0052】
前述の通り、第一機能での動作に適合するプローブ30は、第二状態での動作を指定された情報処理装置20に接続しても使用できない。すなわち、第一機能での動作に適合するプローブ30が情報処理装置20に接続されたことが検出され、かつ状態指定情報が第二状態を指定している場合(STEP1においてYES、STEP2においてNO、STEP3においてNO)、プロセッサ223は、情報処理装置20を第一状態で動作させることなく処理を終了する。この状況は、図4におけるケース番号9に対応している。
【0053】
図5に例示されるように、情報処理システム10は、第二切替装置50を含みうる。第二切替装置50は、情報処理装置20を第二状態から第一状態へ切り替えるために情報処理装置20に接続される装置である。
【0054】
第二切替装置50は、第三情報要素51を備えている。第三情報要素51は、第二状態から第一状態への切り替えを要求する第二切替情報を保持している。第三情報要素51の例としては、第二切替情報が記憶されたメモリや、第二切替情報に対応付けられた特定の回路素子の値(抵抗素子の値、コンデンサ素子の値、インダクタ素子の値、ダイオードの順方向降下電圧)などが挙げられる。
【0055】
第二切替装置50が情報処理装置20に接続されると、信号処理装置22のプロセッサ223は、入力インタフェース221を通じて第二切替情報を取得するように構成されている。
【0056】
本例においては、プロセッサ223は、入力インタフェース221を通じて種別特定情報と第一切替情報のいずれも取得されていないと判断されると(図3のSTEP1においてNO、STEP10においてNO)、入力インタフェース221を通じて第二切替情報が取得されたかを判断する(STEP12)。すなわち、プロセッサ223は、第二切替装置50が情報処理装置20に接続されているかを判断する。
【0057】
第二切替情報が取得されたと判断されると(STEP12においてYES)、プロセッサ223は、ストレージ222に格納された状態指定情報を、第一状態を指定するように書き替える(STEP13)。その後、処理はSTEP1に戻る。
【0058】
第二切替情報が取得されていないと判断されると(STEP12においてNO)、プロセッサ242は、情報処理装置20に何も接続されていないと判断し、処理をSTEP1に戻す。
【0059】
第一機能での動作に適合するプローブは、第二状態での動作を指定された情報処理装置に接続しても使用できないことが一般的である。このような構成によれば、第二状態へ切り替えられた情報処理装置20を、必要に応じて第一状態へ戻すことができる。したがって、情報処理装置20における第一機能での動作に適合するプローブ30の使用を再開できる。結果として、情報処理システム10の運用に係る柔軟性をさらに高めることができる。
【0060】
図2に例示されるように、第一切替装置40は、ケーブル42とコネクタ43を備えている。ケーブル42は、信号処理装置22による第一切替情報の取得に使用される信号線を含んでいる。コネクタ43は、ケーブル42の一端に設けられている。コネクタ43は、情報処理装置20のコネクタ21に接続されるように構成されている。すなわち、第一切替装置40は、プローブ30が接続されるコネクタ21に接続される。なお、第二情報要素41は、ケーブル42やコネクタ43を含む第一切替装置40における任意の箇所に配置されうる。
【0061】
このような構成によれば、第二情報要素41を除く第一切替装置40の少なくとも一部を、プローブ30と共通する部品により形成できる。第一切替装置40に固有の部品の設計や製造に係るコストを低減できるので、情報処理システム10の運用コストの増大を抑制できる。
【0062】
しかしながら、図2に例示されるように、情報処理装置20は、コネクタ21とは別のコネクタ24を備えうる。この場合、第一切替装置40は、別のコネクタ24に接続されるコネクタ44を備えうる。ケーブル42は省略されうる。
【0063】
図5に例示されるように、第二切替装置50は、ケーブル52とコネクタ53を備えている。ケーブル52は、信号処理装置22による第二切替情報の取得に使用される信号線を含んでいる。コネクタ53は、ケーブル52の一端に設けられている。コネクタ53は、情報処理装置20のコネクタ21に接続されるように構成されている。すなわち、第二切替装置50は、プローブ30が接続されるコネクタ21に接続される。なお、第三情報要素51は、ケーブル52やコネクタ53を含む第二切替装置50における任意の箇所に配置されうる。
【0064】
このような構成によれば、第三情報要素51を除く第二切替装置50の少なくとも一部を、プローブ30と共通する部品により形成できる。第二切替装置50に固有の部品の設計や製造に係るコストを低減できるので、情報処理システム10の運用コストの増大を抑制できる。
【0065】
しかしながら、図5に例示されるように、第二切替装置50は、別のコネクタ24に接続されるコネクタ54を備えうる。この場合、ケーブル52は省略されうる。別のコネクタ24は、第一切替装置40が接続されるコネクタと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0066】
これまで説明した各種の機能を有する信号処理装置22のプロセッサ223と制御装置23のプロセッサ232の各々は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、上述した処理を実行するコンピュータプログラムが記憶されうる。ROMは、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。汎用マイクロプロセッサは、ROM上に記憶されたプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。当該コンピュータプログラムは、汎用メモリにプリインストールされてもよいし、通信ネットワークを介して外部サーバからダウンロードされてから汎用メモリにインストールされてもよい。この場合、外部サーバは、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。なお、ストレージ222は、当該汎用メモリにより実現されてもよい。
【0067】
信号処理装置22のプロセッサ223と制御装置23のプロセッサ232の各々は、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの上記のコンピュータプログラムを実行可能な専用集積回路によって実現されてもよい。この場合、当該専用集積回路に含まれる記憶素子に上記のコンピュータプログラムがプリインストールされる。当該記憶素子は、コンピュータプログラムを記憶しているコンピュータ可読媒体の一例である。なお、ストレージ222は、当該記憶素子により実現されてもよい。
【0068】
信号処理装置22のプロセッサ223と制御装置23のプロセッサ232の各々は、汎用マイクロプロセッサと専用集積回路の組合せによっても実現されうる。
【0069】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0070】
上記の実施形態においては、信号処理装置22が状態指定情報を格納するためのストレージを備えている。しかしながら、当該機能を有するストレージは、制御装置23が備えてもよいし、情報処理装置20において信号処理装置22および制御装置23とは独立した装置として設けられてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10:生体情報処理システム、20:生体情報処理装置、21:コネクタ、22:信号処理装置、221:入力インタフェース、222:ストレージ、223:プロセッサ、23:制御装置、30:プローブ、31:センサ、32:第一情報要素、40:第一切替装置、41:第二情報要素、50:第二切替装置、51:第三情報要素
図1
図2
図3
図4
図5