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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128765
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】作業機械の排出管
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/20 20100101AFI20230907BHJP
【FI】
F01N13/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033348
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】505236469
【氏名又は名称】キャタピラー エス エー アール エル
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】葭 孝彦
(72)【発明者】
【氏名】上原 祐作
(72)【発明者】
【氏名】大塚 隆行
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004AA03
3G004BA02
3G004BA06
3G004DA22
(57)【要約】
【課題】省スペースの簡素な構成で騒音を低減できる作業機械の排出管を提供する。
【解決手段】作業機械のエンジンの排ガスを機体2側の排気管22に排出する作業機械の排出管21であって、下流端部21bの開口縁に、排気流と排気流とともに排気管22に吸い込まれる外気との圧力差を緩和するせん断力緩和構造25を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械のエンジンの排ガスを機体側の排気管に排出する作業機械の排出管であって、
下流端部の開口縁に、排気流とこの排気流とともに排気管に吸い込まれる外気との圧力差を緩和するせん断力緩和構造を有する
ことを特徴とする作業機械の排出管。
【請求項2】
消音器の下流側に接続されている
ことを特徴とする請求項1記載の作業機械の排出管。
【請求項3】
せん断力緩和構造は、下流端部の開口縁に複数形成された三角形状の凹部を有する
ことを特徴とする請求項1または2記載の作業機械の排出管。
【請求項4】
せん断力緩和構造は、下流端部の開口縁に複数形成された四角形状の凹部を有する
ことを特徴とする請求項1乃至3いずれか一記載の作業機械の排出管。
【請求項5】
せん断力緩和構造は、下流端部の開口縁に開口中心側に向けて突出して形成された複数の突起部を有する
ことを特徴とする請求項1乃至4いずれか一記載の作業機械の排出管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械のエンジンの排ガスを機体側の排気管に排出する作業機械の排出管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油圧ショベルなどの作業機械には、エンジンの排ガスを処理する排ガス後処理装置として、排ガスに含まれる窒素酸化物を窒素に還元する排ガス浄化装置が設置される。特に作業機械が小型の油圧ショベルの場合、そのスペースの制約などから、排ガス浄化装置がエンジンにマウントされている。排ガス浄化装置には、排気音を低減するための消音器であるマフラが備えられる。そして、マフラの排出口となるパイプが、機体のカバーに設置された排気管であるテールパイプに排ガスを流入させ、テールパイプから外気へと排ガスが排出される。
【0003】
このような構成において、マフラ側のパイプの外周面に軸方向に延びる突起を周方向に複数形成するとともに、それらに対応してテールパイプの内周面に軸方向に延びる凹溝を周方向に複数形成することで、マフラ側のパイプからテールパイプへの排気にしたがいテールパイプへと吸引される空気流の乱れを低減することによって騒音を低減するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-241366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の排出管の構造では、マフラ側のパイプ外周面の突起とテールパイプ内周面の凹溝との協働によって騒音を低減するため、これらの形状や相互の位置に高い精度が要求され、構成を簡素化することが容易でない。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、省スペースの簡素な構成で騒音を低減できる作業機械の排出管を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、作業機械のエンジンの排ガスを機体側の排気管に排出する作業機械の排出管であって、下流端部の開口縁に、排気流とこの排気流とともに排気管に吸い込まれる外気との圧力差を緩和するせん断力緩和構造を有するものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の作業機械の排出管において、消音器の下流側に接続されているものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の作業機械の排出管におけるせん断力緩和構造が、下流端部の開口縁に複数形成された三角形状の凹部を有するものである。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3いずれか一記載の作業機械の排出管におけるせん断力緩和構造が、下流端部の開口縁に複数形成された四角形状の凹部を有するものである。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4いずれか一記載の作業機械の排出管におけるせん断力緩和構造が、下流端部の開口縁に開口中心側に向けて突出して形成された複数の突起部を有するものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、せん断力緩和構造によって排気流とこの排気流とともに排気管に吸い込まれる外気との境界領域で乱流を生じさせてこれらの圧力差を緩和し、省スペースの簡素な構成で騒音を低減できる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、せん断力緩和構造と消音器での消音機能とで相乗的に騒音を低減できる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、凹部によって縦渦を生じさせて排出管からの排気流と外気との境界領域で乱流を生じさせ、排気流と外気との混合を促進することでせん断力を緩和し、排気流と外気とが混合する際の騒音を低減させることができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、凹部によって縦渦を生じさせて排出管からの排気流と外気との境界領域で乱流を生じさせ、排気流と外気との混合を促進することでせん断力を緩和し、排気流と外気とが混合する際の騒音を低減させることができる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、突起部によって排気流と外気との境界領域に形成される混合層を湾曲させて乱流を生じさせ、混合層における速度勾配を緩やかとして、混合層におけるせん断力を緩和することで、排気流と外気とが混合する際の騒音を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る作業機械の排出管の第1の実施の形態を示す側面図である。
図2】同上排出管を備える作業機械を示す側面図である。
図3】本発明に係る作業機械の排出管の第2の実施の形態の一部を示す側面図である。
図4】本発明に係る作業機械の排出管の第3の実施の形態の一部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を、図1および図2に示された第1の実施の形態、図3に示された第2の実施の形態、および、図4に示された第3の実施の形態に基いて詳細に説明する。
【0019】
先ず、図1および図2に示された第1の実施の形態について説明する。
【0020】
図2に示されるように、作業機械1は、油圧ショベル型のものを例に挙げて説明する。本実施の形態において、作業機械1は、小型の油圧ショベルなどである。作業機械1は、機体2が、下部走行体3とこの下部走行体3に旋回可能に設けられた上部旋回体4とを備え、機体2の上部旋回体4に作業装置5が搭載されている。図示される例では、作業装置5は、バケット形であるが、これに限らず、ブレーカなどが搭載されたものでもよい。
【0021】
上部旋回体4には、旋回フレーム6上に、オペレータの運転席が設けられたキャブ8が搭載されている。なお、以下、前後方向および左右方向については、キャブ8に搭乗したオペレータの視点を基準とする。また、上部旋回体4には、旋回フレーム6上に、燃料タンクおよび作動油タンクなどのタンク類が搭載されている。さらに、上部旋回体4には、機械室(エンジンルーム)10が形成され、機械室10内にエンジン11が設置されている。その他、上部旋回体4には、旋回フレーム6上に、エンジン11により駆動されるポンプ、ポンプの動作により作動油タンクから作動油を各種アクチュエータに対し給排するコントロールバルブなどが搭載されている。上部旋回体4の後端には、カウンタウエイト12が配置されている。
【0022】
機械室10は、キャブ8の後方かつカウンタウエイト12の前方に位置する。機械室10には、エンジン11の他に、エンジン11などの冷却用の熱交換器ユニット(クーリングパッケージ)、クーリングパッケージに外部から吸引した冷却風を当てて冷却する冷却ファン、および、エンジン11の排気系に対して排ガスを浄化処理する排ガス浄化装置である排ガス後処理装置15などが配置されている。本実施の形態において、排ガス後処理装置15は、ブラケットなどを介してエンジン11の上部に取り付けられている。
【0023】
排ガス後処理装置15は、エンジン11からの排ガスの配管に、排ガス中の黒煙を除去する黒煙除去装置(Diesel Particulate Filter)と、排ガス中の窒素酸化物を還元処理する窒素酸化物還元装置(Selective Catalytic Reduction)と、図1に示される消音器であるマフラ20と、を直列に接続したものである。窒素酸化物還元装置は、その上流側の配管に尿素水などの液状還元剤を排ガスに噴射するインジェクタなどの還元剤噴射装置を備えている。
【0024】
マフラ20は、エンジン11(図2)から排出される排ガスの圧力および温度を下げて消音する機能を有する。マフラ20は、エンジン11(図2)の上部に位置する。マフラ20は、筒状に形成されている。本実施の形態において、マフラ20は、一端部から他端部に亘り水平状に配置されている。マフラ20は、例えば左右方向に沿って配置されている。マフラ20は、下流側に排出管21を備える。排出管21の下流側に排気管22が位置する。
【0025】
ここで、排気管22は、テールパイプ、フード側パイプなどとも呼ばれ、排ガスの排出部の最下流に位置して、処理済み排ガスを機体2の外部、つまり外気へと排出する。本実施の形態のように、作業機械1(図2)が小型の油圧ショベル型である場合、排ガス後処理装置15の許容モーメントを超過しないように排出管21を短くしなければならないことから、排ガス後処理装置15の下流端に位置する排出管21に対して排気管22は接続されていない。
【0026】
排気管22は、円筒状に形成されている。排気管22は、機体2側に位置する。排気管22は、機械室10の上部を開閉可能とする平板状などのカバーであるエンジンフード24に取り付けられている。排気管22は、エンジンフード24を貫通して配置され、上流端部22aがエンジンフード24の下部つまり機械室10の内部に位置して下端部を構成し、下流端部22bがエンジンフード24の上部つまり機械室10(機体2)の外部に位置して上端部を構成して、これら上流端部22aと下流端部22bとに亘る中間部22cがエンジンフード24を貫いている。
【0027】
排気管22の上流端部22aは、下方つまり下流端側に向かって徐々に拡径する拡径部となっている。排気管22の中間部22cは、上流側である下部側が上流端部22aと同軸の直管状に形成され、下流側である上部側が例えば後方へと屈曲されている。排気管22の下流端部22bは、先端つまり排出開口が上端から下端に向かって排気方向(矢印Xに示す)上流側に傾斜しており、雨水等が排気管22の内部に侵入することが防止されている。
【0028】
この排気管22の上流端部22aからマフラ20に亘り、排出管21が位置する。本実施の形態では、排出管21はマフラ20に接続される一端部である上流端部21aから、排気管22の上流端部22aに対向する他端部である下流端部21bに亘り、中間部21cが屈曲して形成されている。排出管21は、マフラパイプなどとも呼ばれる。排出管21は、円筒状に形成されている。本実施の形態において、排出管21は、上流端部21aから中間部21cおよび下流端部21bに亘り一定または略一定の径寸法を有する。排出管21の径寸法は、排気管22の径寸法より小さく設定されている。特に、排出管21の径寸法は、排気管22の上流端部22aの径寸法より小さく設定されている。本実施の形態において、排出管21の下流端部21bは、排気管22の上流端部22aに対して下方に離れた位置で対向し、排気管22の上流端部22aと同軸または略同軸に配置されている。
【0029】
そして、排出管21の下流端部21bから排気管22の上流端部22aへと、マフラ20を通過した排ガスが導入されることで、エジェクタ効果によって、機械室10内の外気が排気管22の上流端部22aから排気管22内に吸い込まれる。そこで、排出管21の下流端部21bの開口縁には、排出管21の下流端部21bから排気管22の上流端部22aへと導入される排気流(矢印Gに示す)とこの排気流とともに排気管22に吸い込まれる外気(矢印Aに示す)との圧力差を緩和するせん断力緩和構造25が形成されている。
【0030】
本実施の形態において、せん断力緩和構造25は、三角形状の切欠部である凹部25aを周方向に複数有する形状となっている。凹部25aは、互いに等間隔または略等間隔に離れて配置され、凹部25a,25a間が三角形状(山形)の凸部25bとなっている。すなわち、凹部25aと凸部25bとは、排出管21の周方向に交互に隣接している。各凸部25bは、それぞれ基端部から先端部に向かい徐々に縮径するように開口中心側に傾斜している。したがって、排出管21の下流端部21b側は、いわゆるシェブロンノズル状に形成されている。図示される例では、複数の凹部25aは、互いに同一または略同一形状に形成されている。同様に、複数の凸部25bは、互いに同一または略同一形状に形成されている。凹部25aと凸部25bとは、同一幅または略同一幅に設定されている。
【0031】
そして、エンジン11から排出される排ガスは、排ガス後処理装置15に流入し、黒煙除去装置を通過して黒煙が除去され、窒素酸化物還元装置を通過して窒素酸化物が還元処理された後、マフラ20を通過する際に減圧および冷却されて消音される。マフラ20を通過した排ガスは、排出管21の下流端部21bから排出されて排気管22の上流端部22aに導入され、この導入に伴い、エジェクタ効果によって、機械室10内の外気が排気管22の上流端部22aから排気管22内に吸い込まれ、排ガスと外気とが混合されて排気管22から機体2の外部へと排出される。
【0032】
このとき、排出管21が、その下流端部21bの開口縁にせん断力緩和構造25を備えることで、せん断力緩和構造25によって排気流とこの排気流とともに排気管22に吸い込まれる外気との境界領域で乱流を生じさせてこれらの圧力差を緩和し、省スペースの簡素な構成で騒音を低減できる。
【0033】
本実施の形態では、せん断力緩和構造25が、排出管21の下流端部21bの開口縁に複数形成された三角形状の凹部25aを有することにより、凹部25aによって縦渦を生じさせて排出管21からの排気流と外気との境界領域で乱流を生じさせ、排気流と外気との混合を促進することでせん断力を緩和し、排気流と外気とが混合する際の騒音を低減させることができる。
【0034】
また、凹部25a,25a間に三角形状の凸部25bを有するシェブロンノズル状のせん断力緩和構造25は、騒音低減率も良好であるとともに、高強度に製造できる。
【0035】
また、排出管21はマフラ20に接続されているため、排出管21のせん断力緩和構造25とマフラ20での消音機能とで相乗的に騒音を低減できる。
【0036】
次に、図3に示された第2の実施の形態について説明する。なお、図1および図2に示された第1の実施の形態と同様の部分については、同一符号を付して、説明を簡略化する。
【0037】
本実施の形態の排出管21のせん断力緩和構造25は、排出管21の下流端部21bの開口縁に複数形成された四角形状の切欠部である凹部25cを有するものである。
【0038】
凹部25cは、排出管21の周方向に複数形成されている。凹部25cは、互いに等間隔または略等間隔に離れて配置され、凹部25c,25c間が四角形状(タブ状)の凸部25dとなっている。すなわち、凹部25cと凸部25dとは、排出管21の周方向に交互に隣接している。凸部25dは、それぞれ基端部から先端部に向かい一定の径寸法に形成されている。したがって、排出管21の下流端部21b側は、いわゆるタブノズル状に形成されている。図示される例では、複数の凹部25cは、互いに同一または略同一形状に形成されている。同様に、複数の凸部25dは、互いに同一または略同一形状に形成されている。凹部25cは凸部25dに対し、幅が小さく、例えば1/2未満の幅に設定されている。
【0039】
そして、エンジン11から排出される排ガスは、排ガス後処理装置15に流入し、黒煙が除去され、窒素酸化物が還元処理された後、マフラ20によって減圧および冷却されて消音され、排出管21の下流端部21bから排出されて排気管22の上流端部22aに導入されるとともに、この導入に伴い、エジェクタ効果によって、機械室10内の外気が排気管22の上流端部22aから排気管22内に吸い込まれ、排ガスと外気とが混合されて排気管22から機体2の外部へと排出される。
【0040】
このとき、排出管21が、その下流端部21bの開口縁にせん断力緩和構造25を備えることで、せん断力緩和構造25によって排気流とこの排気流とともに排気管22に吸い込まれる外気との圧力差を緩和し、省スペースの簡素な構成で騒音を低減できるなど、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0041】
特に、本実施の形態によれば、せん断力緩和構造25が、排出管21の下流端部21bの開口縁に複数形成された四角形状の凹部25cを有することにより、凹部25cによって縦渦を生じさせて排出管21からの排気流と外気との境界領域で乱流を生じさせ、排気流と外気との混合を促進することでせん断力を緩和し、排気流と外気とが混合する際の騒音を低減させることができる。
【0042】
また、凹部25c,25c間に四角形状の凸部25dを有するタブノズル状のせん断力緩和構造25は、騒音低減率が特に良好で加工費が安く、安価に製造できる。
【0043】
次に、図4に示された第3の実施の形態について説明する。なお、第1および第2の実施の形態と同様の部分については、同一符号を付して、説明を簡略化する。
【0044】
本実施の形態の排出管21のせん断力緩和構造25は、排出管21の下流端部21bの開口縁に開口中心側に向けて突出して形成された複数の突起部25eを有するものである。
【0045】
突起部25eは、排出管21の周方向に互いに離れて複数形成されている。突起部25eは、排出管21の軸方向に沿って形成されている。突起部25eは、下流端部21bの上流側から下流側、つまり図中の下側から上側に向かい徐々に拡幅する三角形状のV字型刻み目として形成されている。したがって、排出管21の下流端部21b側は、いわゆるノッチノズル状に形成されている。突起部25eの外面側が溝部として形成される。突起部25eは、幅の中央部が排出管21の開口中心側に最も突出する、三角錐状に形成されている。突起部25eは、排出管21の周方向に等間隔または略等間隔に配置されている。
【0046】
そして、エンジン11から排出される排ガスは、排ガス後処理装置15に流入し、黒煙が除去され、窒素酸化物が還元処理された後、マフラ20によって減圧および冷却されて消音され、排出管21の下流端部21bから排出されて排気管22の上流端部22aに導入されるとともに、この導入に伴い、エジェクタ効果によって、機械室10内の外気が排気管22の上流端部22aから排気管22内に吸い込まれ、排ガスと外気とが混合されて排気管22から機体2の外部へと排出される。
【0047】
このとき、排出管21が、その下流端部21bの開口縁にせん断力緩和構造25を備えることで、せん断力緩和構造25によって排気流とこの排気流とともに排気管22に吸い込まれる外気との圧力差を緩和し、省スペースの簡素な構成で騒音を低減できるなど、各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0048】
特に、本実施の形態によれば、せん断力緩和構造25が、排出管21の下流端部21bの開口縁に開口中心側に向けて突出して形成された複数の突起部25eを有するノッチノズル状であることにより、突起部25eによって排気流と外気との境界領域に形成される混合層を湾曲させて乱流を生じさせ、混合層における速度勾配を緩やかとして、混合層におけるせん断力を緩和することで、排気流と外気とが混合する際の騒音を低減させることができる。
【0049】
なお、上記の各実施の形態のせん断力緩和構造25を任意に組み合わせてもよい。
【0050】
また、せん断力緩和構造25は、上記の各実施の形態の形状に限らず、他の任意の形状としてよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、作業機械あるいはその排ガス後処理装置の製造業、販売業などに携わる事業者にとって産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0052】
1 作業機械
11 エンジン
20 消音器であるマフラ
21 排出管
21b 下流端部
22 排気管
25 せん断力緩和構造
25a,25c 凹部
25e 突起部
図1
図2
図3
図4