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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128807
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】精穀機および研削ロール
(51)【国際特許分類】
   B02B 3/06 20060101AFI20230907BHJP
   B02B 7/00 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B02B3/06 A
B02B7/00 P
B02B3/06 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033420
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】弁理士法人勇智国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 正和
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直人
【テーマコード(参考)】
4D043
【Fターム(参考)】
4D043AA03
4D043DA03
4D043DE24
4D043DE56
4D043DH03
4D043HA04
4D043HB07
(57)【要約】
【課題】 メンテナンスおよび生産性の少なくとも一方の観点から改善された精穀機を提供する。
【解決手段】 精穀機は、回転可能なシャフトと、シャフトに沿って同軸状に配列され、シャフトを周方向に取り囲むようにシャフトに対して固定された少なくとも一つの研削ロールと、を備えている。少なくとも一つの研削ロールは、筒状ベースと、筒状ベースの外周面に電着または溶着された砥粒を有する砥粒層と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
精穀機であって、
回転可能なシャフトと、
前記シャフトに沿って同軸状に配列され、前記シャフトを周方向に取り囲むように前記シャフトに対して固定された少なくとも一つの研削ロールと
を備え、
前記少なくとも一つの研削ロールは、筒状ベースと、前記筒状ベースの外周面に電着または溶着された砥粒を有する砥粒層と、を備える
精穀機。
【請求項2】
請求項1に記載の精穀機であって、
前記少なくとも一つの研削ロールは、複数の研削ロールを備え、
前記複数の研削ロールの内部には、前記シャフトの軸線方向に空気を流通させるための流通路が形成されており、
前記精穀機は、前記流通路と、前記研削ロールの外部と、を連通させる連通路が形成されるように、隣り合う二つの筒状ベースの間に配置される中間部材を更に備え、
前記中間部材は、前記軸線方向に見た前記筒状ベースに対応する位置から、前記筒状ベースよりも径方向内側に向けて環状に延在する少なくとも一つの環状部であって、前記連通路に隣接して配置される少なくとも一つの環状部を備える
精穀機。
【請求項3】
請求項2に記載の精穀機であって、
前記シャフトは、鉛直方向に延在するように配置され、
前記少なくとも一つの環状部は、前記連通路に対して下側に配置された下側環状部を含む
精穀機。
【請求項4】
請求項3に記載の精穀機であって、
前記下側環状部の径方向外側の縁部の上側部分は、面取りされた形状を有する
精穀機。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の精穀機であって、
前記少なくとも一つの環状部は、前記連通路に対して上側に配置された上側環状部を含む
精穀機。
【請求項6】
請求項3ないし請求項5のいずれか一項に記載の精穀機であって、
前記中間部材は、少なくとも前記下側環状部の上方を放射状に延在する複数のアームを備え、
前記複数のアームの間の空間が前記連通路として機能する
精穀機。
【請求項7】
請求項3ないし請求項5のいずれか一項に記載の精穀機であって、
前記中間部材は、前記下側環状部から上方に向けて突出する壁部であって、前記下側環状部に沿って、少なくとも部分的に周方向に延在する壁部を備え、
前記下側環状部のうちの、前記壁部が形成されていない箇所、あるいは、前記壁部の突出高さが相対的に低い箇所が前記連通路として機能する
精穀機。
【請求項8】
請求項1に記載の精穀機であって、
前記少なくとも一つの研削ロールの内部には、前記シャフトの軸線方向に空気を流通させるための流通路が形成されており、
前記少なくとも一つの研削ロールは、上縁部と、下縁部と、前記上縁部と前記下縁部との間に配置され、前記流通路と前記研削ロールの外部とを連通させる連通路と、前記軸線方向に見た前記筒状ベースに対応する位置から、前記筒状ベースよりも径方向内側に向けて環状に延在する少なくとも一つの環状部であって、前記連通路に隣接して配置される少なくとも一つの環状部と、を備える
精穀機。
【請求項9】
研削ロールであって、
筒状ベースと、
前記筒状ベースの外周面に電着または溶着された砥粒を有する砥粒層と
を備える研削ロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒を精穀するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
砥石を用いて穀粒を研削する研削ロールを備える精穀機が従来から知られている。例えば、下記の特許文献1は、金剛ロールと称される研削ロールを備える竪型精穀機を開示している。この精穀機は、7個の研削ロールが同軸状に回転シャフトに取り付けられている。このため、研削ロール1個分の重量を、作業者が独りで持てる程度に抑えることができる。その結果、研削ロールが摩耗したときの研削ロールの交換作業の負荷を低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-8241号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の精穀機は改善の余地を残している。例えば、金剛ロールは、比較的摩耗しやすいので、交換頻度が高く(例えば、半年に1回)、交換作業の負荷が大きくなる。しかも、ロールの交換作業は、機械を停止した状態で行う必要があるので、生産性が低下する。また、研削ロールが同軸状に多段に配置される場合、研削ロールの摩耗は、研削ロール間で一律では無い。このため、研削ロールを延命化するために、各研削ロールの摩耗状況に応じて、各研削ロールの並び順を変更すること(以下、研削ロールのローテーションとも呼ぶ)が行われる。そのような変更作業も、作業負荷の増大や生産性の低下を招くことになる。このような問題は、竪型精穀機に限らず、横型精穀機にも共通する。
【0005】
このようなことから、メンテナンスおよび生産性の少なくとも一方の観点から改善された精穀機を提供することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
本発明の第1の形態によれば、精穀機が提供される。この精穀機は、回転可能なシャフトと、シャフトに沿って同軸状に配列され、シャフトを周方向に取り囲むようにシャフトに対して固定された少なくとも一つの研削ロールと、を備えている。少なくとも一つの研削ロールは、筒状ベースと、筒状ベースの外周面に電着または溶着された砥粒を有する砥粒層と、を備えている。
【0008】
この精穀機によれば、筒状ベースの外周面に砥粒が電着または溶着された少なくとも一つの研削ロールが使用される。この研削ロールは、金剛ロールと比べて耐摩耗性に優れているので、研削ロールの交換頻度を低減できる。また、金剛ロールと比べて軽量化できるので、研削ロール1個の重量を、従来の金剛ロール1個の重量(作業者が独りで持てる重量。例えば、25kg以下)と同等に設定すれば、研削ロールの数を低減できる。このため、複数の研削ロールが使用される場合に、研削ロールのローテーションの頻度を低減できる。したがって、メンテナンス性が向上する。しかも、メンテナンスに伴い精穀機を停止させる機会が減り、生産性が向上する。
【0009】
本発明の第2の形態によれば、第1の形態において、少なくとも一つの研削ロールは、複数の研削ロールを備えている。複数の研削ロールの内部には、シャフトの軸線方向に空気を流通させるための流通路が形成されている。精穀機は、流通路と、研削ロールの外部と、を連通させる連通路が形成されるように、隣り合う二つの筒状ベースの間に配置される中間部材を更に備えている。中間部材は、軸線方向に見た筒状ベースに対応する位置から、筒状ベースよりも径方向内側に向けて環状に延在する少なくとも一つの環状部であって、連通路に隣接して配置される少なくとも一つの環状部を備えている。この形態によれば、研削ロールの内部の流通路から連通路を通って径方向外側に向けて流れる空気流が生成されるので、精穀された外皮の分離が促進される。しかも、穀粒が研削ロールの外側から連通路に進入しても、当該穀粒が流通路に進入する前に少なくとも一つの環状部上に留まり、研削ロールの外側に排出される機会を提供できる。したがって、穀粒が研削ロールの外側から連通路を介して流通路に進入することを抑制できる。その結果、研削ロールの内部の清掃負荷を低減できる。
【0010】
本発明の第3の形態によれば、第2の形態において、シャフトは、鉛直方向に延在するように配置される。少なくとも一つの環状部は、連通路に対して下側に配置された下側環状部を含む。この形態によれば、穀粒が流通路に進入することを効率的に抑制できる。
【0011】
本発明の第4の形態によれば、第3の形態において、下側環状部の径方向外側の縁部の上側部分は、面取りされた形状を有する。この形態によれば、上方から研削ロールの周囲に供給され、下方に向かう穀粒の流れが下側環状部の径方向外側の縁部によって阻害されることを抑制できる。また、下方に流れる穀粒が下側環状部の径方向外側の縁部に衝突して連通路に進入することを抑制できる。
【0012】
本発明の第5の形態によれば、第3または第4の形態において、少なくとも一つの環状部は、連通路に対して上側に配置された上側環状部を含む。この形態によれば、中間部材のところで上方かつ径方向内側に向けて跳ねた穀粒が流通路に進入する前に上側環状部に衝突し、研削ロールの外側に排出される機会を提供できる。したがって、穀粒が流通路に進入することを更に抑制できる。
【0013】
本発明の第6の形態によれば、第3ないし第5のいずれかの形態において、中間部材は、少なくとも下側環状部の上方を放射状に延在する複数のアームを備えている。複数のアームの間の空間が連通路として機能する。この形態によれば、穀粒が研削ロールの外側から連通路に進入しても、当該穀粒を複数のアームによって、研削ロールの外側へはじき出すことができる。したがって、穀粒が流通路に進入することを更に抑制できる。複数のアームは、下側環状部と接触していてもよいし、あるいは、離間していてもよい。あるいは、複数のアームは下側環状部と一体的に形成されていてもよい。
【0014】
本発明の第7の形態によれば、第3ないし第5のいずれかの形態において、中間部材は、下側環状部から上方に向けて突出する壁部であって、下側環状部に沿って、少なくとも部分的に周方向に延在する壁部を備えている。下側環状部のうちの、壁部が形成されていない箇所、あるいは、壁部の突出高さが相対的に低い箇所が連通路として機能する。この形態によれば、穀粒が流通路に進入することを壁部によって更に抑制できる。
【0015】
本発明の第8の形態によれば、第1の形態において、少なくとも一つの研削ロールの内部には、シャフトの軸線方向に空気を流通させるための流通路が形成されている。少なくとも一つの研削ロールは、上縁部と、下縁部と、上縁部と下縁部との間に配置され、流通路と研削ロールの外部とを連通させる連通路と、軸線方向に見た筒状ベースに対応する位置から、筒状ベースよりも径方向内側に向けて環状に延在する少なくとも一つの環状部であって、連通路に隣接して配置される少なくとも一つの環状部と、を備えている。この形態によれば、第2の形態と同様の効果が得られる。
【0016】
本発明の第9の形態によれば、研削ロールが提供される。この研削ロールは、筒状ベースと、筒状ベースの外周面に電着または溶着された砥粒を有する砥粒層と、を備えている。この研削ロールによれば、第1の形態と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態による精穀機の概略構成図である。
図2】研削ロールの斜視図である。
図3】研削ロールの周辺を示す断面図である。
図4】研削ロールおよび中間部材の分解斜視図である。
図5】第2実施形態による中間部材を示す分解斜視図である。
図6】第3実施形態による中間部材を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、第1実施形態による精穀機10の概略構成図であり、一部を断面で示している。精穀機10は、本実施形態では玄米を精穀するために使用されるが、精穀機10の処理対象物は米に限らず、任意の穀物(例えば、麦、コーンなど)であってもよい。図1に示すように、精穀機10は、投入口21と、精穀処理部30と、排出口22と、を備えている。精穀処理部30は、複数(図1の例では三つ)の研削ロール50a~50cと、除糠室カバー31と、外筒32と、を備えている。三つの研削ロール50a~50cは、シャフト40に沿って同軸状に鉛直方向に配列されている。本実施形態では、精穀機10は竪型精穀機であり、シャフト40は、鉛直方向に延在するように配置されている。研削ロール50a~50cは、シャフト40を周方向に取り囲むようにシャフト40の上側部分に固定されている。
【0019】
シャフト40は回転可能に軸受41,42によって支持されている。このシャフト40は、モータ25によって提供される回転駆動力によって回転される。具体的には、モータ25の出力シャフトに固定された駆動プーリ26と、シャフト40の下端に固定された被動プーリ27と、駆動プーリ26と被動プーリ27との間に巻き回された無端のVベルト28と、を介して、モータ25からシャフト40へ回転駆動力が伝達される。
【0020】
外筒32は、研削ロール50a~50cを周方向に取り囲んでいる。外筒32は、径方向に貫通する複数の貫通孔を有する網目構造を備えている。研削ロール50a~50cと外筒32との間の環状の空間によって搗精室33が形成される。投入口21から投入された玄米は、搗精室33に導かれる。抵抗体35が、搗精室33内に部分的に突出して研削ロール50a~50cに対向するように配置されている。抵抗体35は、鉛直方向に延在する長尺状の部材であり、玄米の搗精室33内での周方向の移動に抵抗を付与する。抵抗体35の搗精室33内への突出量(換言すれば、研削ロール50a~50cと抵抗体35とのクリアランス)は、調節ハンドル36を操作することによって調節可能である。
【0021】
搗精室33に玄米が供給され、モータ25の回転駆動力によって研削ロール50a~50cが回転すると、玄米が研削ロール50a~50cおよび外筒32によって研削される。玄米の表面が研削されることによって糠層が剥離され、白米が得られる。こうして精穀された白米は、搗精室33の下方に位置する排出口22へ導かれ、排出シュート23から排出される。
【0022】
除糠室カバー31は、外筒32を周方向に取り囲んでいる。外筒32と除糠室カバー31との間の環状の空間によって除糠室34が形成される。搗精室33において玄米から剥離された糠は、外筒32の網目を介して除糠室34に導かれ、さらに、除糠室34の下方に位置する集糠室24へ導かれる。集糠室24内の空気は、排気ダクト(図1参照)を介して吸引ファン(図示省略)によって吸引されている。このため、集糠室24内の糠は、排気ダクトを介して吸引され、回収される。
【0023】
図2は、研削ロール50a~50cの斜視図である。図2に示すように、研削ロール50aは、筒状ベース51を備えている。筒状ベース51は、本実施形態では円筒形状を有しているが、任意の筒形状を有していてもよい。筒状ベース51の外周面には、砥粒が電着または溶着されることによって砥粒層52が形成されている。本実施形態では、砥粒として超砥粒(CBNまたはダイヤモンド)が使用されるが、電着または溶着が可能な他の種類の砥粒が使用されてもよい。筒状ベース51は、電着または溶着が可能な任意の材料(例えば、ステンレス鋼などの金属、表面にメッキが施された樹脂など)から形成され得る。
【0024】
筒状ベース51の内部は空洞であるが、筒状ベース51は、その内部に配置された補強プレート53によって剛性が高められている。補強プレート53は、補強プレート53を鉛直方向に貫通する複数の通風孔54を有している。複数の通風孔54は、周方向に沿って配置されている。研削ロール50b,50cは、研削ロール50aと同一の構成を有している。
【0025】
図3は、研削ロール50a~50cの周辺を示す断面図である。図4は、研削ロール50a,50bおよび中間部材60の分解斜視図である。図3および図4に示すように、研削ロール50a~50cは、ボス57を介してシャフト40に固定されている。研削ロール50aの上には、搗精室33へ玄米を送り込むためのフィードローラ55が配置されている。研削ロール50cの下には、玄米を径方向外側(ひいては、排出シュート23)へ導くためのリング56が配置されている。
【0026】
図3および図4に示すように、研削ロール50aと研削ロール50bとの間、および、研削ロール50bと研削ロール50cとの間には(換言すれば、隣り合う二つの筒状ベース51の間には)、中間部材60がそれぞれ配置されている。なお、図4において、研削ロール50bとリング56との間に配置される中間部材60および研削ロール50cは、単純化のために図示を省略している。中間部材60は、第1の中間部材70と第2の中間部材80と第3の中間部材90とを備えている。第1の中間部材70、第2の中間部材80および第3の中間部材90は、下からこの順序で配置される。
【0027】
図4に示すように、第1の中間部材70は、ディスク形状を有している。第1の中間部材70の中央には、シャフト40が貫通するためのシャフト貫通孔71が形成されている。シャフト貫通孔71よりも径方向外側には、第1の中間部材70を鉛直方向に貫通する複数の通風孔72が形成されている。複数の通風孔72は、周方向に沿って配置されている。第1の中間部材70は環状部73を備えている。環状部73は、シャフト40の軸線AX1が延在する方向(以下、軸線方向と呼ぶ)に見た筒状ベース51に対応する位置から、筒状ベース51よりも径方向内側に向けて環状に延在する部分である。換言すれば、環状部73は、第1の中間部材70の径方向外側の縁部から、通風孔72の径方向外側の縁部までの部分である。環状部73は、特許請求の範囲の「下側環状部」の非限定的な一例である。図2および図4に示すように、第1の中間部材70の径方向の外縁部上側部分74は、面取りされた形状を有している。
【0028】
図4に示すように、第2の中間部材80は、基部82と複数(図4の例では8個)のアーム83とを備えている。基部82は、シャフト40を周方向に取り囲む部分である。基部82の中央には、シャフト40が貫通するためのシャフト貫通孔81が形成されている。複数のアーム83は、基部82から径方向外側に向けて放射状に延在している。図2および図4に示すように、アーム83は、第1の中間部材70の径方向外側の縁部の近傍まで環状部73の上方を延在している。本実施形態では、アーム83は、基端から先端に向かう途中で僅かに折れ曲がった形状を有している。ただし、アーム83は、任意の形状を有し得る。
【0029】
図4に示すように、第3の中間部材90は、第3の中間部材90は、面取りされた外縁部上側部分74を有していない点を除き、第1の中間部材70と同一の大きさおよび形状を有している。第3の中間部材90は、第1の中間部材70と同様に、シャフト貫通孔91と、複数の通風孔92と、環状部93と、を備えている。環状部93は、特許請求の範囲の「上側環状部」の非限定的な一例である。
【0030】
研削ロール50a~50cの内部には、シャフト40の軸線方向に空気を流通させるための流通路58が形成される。具体的には、図3および図4に示すように、吸引ファン(図示せず)の駆動によって、研削ロール50a~50cの各々の通風孔54、第3の中間部材90の通風孔92、第2の中間部材80の複数のアーム83の間の空間、および、第1の中間部材70の通風孔72を通るように流通路58が形成される。
【0031】
また、図2~4に示すように、第2の中間部材80の複数のアーム83の間の空間によって、流通路58と研削ロール50a~50cの外部とを連通させる連通路59が形成される。連通路59は、その下側に位置する第1の中間部材70の環状部73と、上側に位置する第3の中間部材90の環状部93と、に隣接している。空気が、研削ロール50a~50cの内部の流通路58から連通路59を通って径方向外側に向けて流れることによって、搗精室33から除糠室34へ向かう空気流が生成され、その結果、糠の分離が促進される。
【0032】
本実施形態では、第2の中間部材80のアーム83は、軸線方向に見て、通風孔72,92とオーバラップしない位置に配置される。このため、流通路58内での空気の流通を円滑化できる。ただし、アーム83と通風孔72,92との位置関係は、任意に設定され得る。
【0033】
上述した精穀機10によれば、筒状ベース51の外周面に砥粒が電着または溶着された複数の研削ロール50a~50cが使用される。研削ロール50a~50cは、金剛ロールと比べて耐摩耗性に優れているので、研削ロール50a~50cの交換頻度またはローテーション頻度を低減できるとともに、抵抗体35の位置調節(研削ロール50a~50cと抵抗体35とのクリアランス調整)頻度も低減できる。また、金剛ロールと比べて軽量化できるので、研削ロール1個の重量を、従来の金剛ロール1個の重量(作業者が独りで持てる重量。例えば、25kg前後)と同等に設定すれば、研削ロールの数を低減できる。このため、研削ロールのローテーションの頻度を更に低減できる。したがって、メンテナンス性が向上する。しかも、メンテナンスに伴い精穀機10を停止させる機会が減り、生産性が向上する。また、研削ロールの数を低減することによって、研削ロールの各々の高さが増大しても、研削ロール50a~50cは上述の通り耐摩耗性に優れているので、1個の研削ロール内での摩耗ムラは生じにくい。このため、研削ロールの各々の高さが増大することに起因して、搗精性能が低下することもない。
【0034】
さらに、精穀機10によれば、玄米が研削ロール50a~50cの外側から連通路59に進入しても、当該玄米が流通路58に進入する前に第1の中間部材70の環状部73上に留まり、研削ロール50a~50cの外側に排出される機会を提供できる。したがって、玄米が研削ロール50a~50cの外側から連通路59を介して流通路58に進入することを抑制できる。その結果、研削ロール50a~50cの内部の清掃負荷を低減できる。また、第1の中間部材70または第2の中間部材80のところで上方かつ径方向内側に向けて跳ねた玄米が流通路58に進入する前に第3の中間部材90の環状部93に衝突し、研削ロール50a~50cの外側に排出される機会を提供できる。したがって、玄米が流通路58に進入することを更に抑制できる。
【0035】
さらに、精穀機10によれば、玄米が研削ロール50a~50cの外側から連通路59に進入しても、当該玄米を第2の中間部材80のアーム83によって、研削ロール50a~50cの外側へはじき出すことができる。したがって、玄米が流通路58に進入することを更に抑制できる。
【0036】
本実施形態では、研削ロール50a~50cの通風孔54は、第1の中間部材70の通風孔72および第3の中間部材90の通風孔92よりも大きく、通風孔72,92の径方向外側の縁部は、通風孔54の径方向外側の縁部よりも径方向内側に位置している。これによって、研削ロール50a~50cの軽量化と、玄米が流通路58に進入することを抑制する効果と、を両立できる。
【0037】
さらに、精穀機10によれば、第1の中間部材70の外縁部上側部分74は面取りされた形状を有する。このため、上方から研削ロール50a~50cの周囲に供給され、下方に向かう玄米の流れが外縁部上側部分74によって阻害されることを抑制できる。また、下方に流れる玄米が外縁部上側部分74に衝突して連通路59に進入することを抑制できる。
【0038】
以下、図5を参照して第2実施形態について説明する。第2実施形態による精穀機10は、中間部材60に代えて、中間部材160を備えている点のみが第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。図5に示すように、中間部材160は、第1実施形態による第1の中間部材70および第2の中間部材80に代えて、第1の中間部材170を備えている。
【0039】
第1の中間部材170は、ディスク形状を有しており、第1の中間部材70と同様に、シャフト貫通孔71および複数の通風孔72を備えている。第1の中間部材170は、さらに、環状部173を備えている。環状部173は、軸線方向に見た筒状ベース51に対応する位置から、筒状ベース51よりも径方向内側に向けて環状に延在する部分である。第1の中間部材170の上面には、複数のアーム175が放射状に延在している。複数のアーム175の間の空間は、連通路159として機能する。
【0040】
このような中間部材160によっても、中間部材60と同等の効果を得ることができる。つまり、第1の中間部材170は、第1実施形態による第1の中間部材70および第2の中間部材80を一体化した部材に類似する形状を有しており、第1の中間部材70および第2の中間部材80の各機能を併せ持っている。
【0041】
以下、図6を参照して第3実施形態について説明する。第3実施形態による精穀機10は、中間部材60に代えて、中間部材260を備えている点のみが第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。図6に示すように、中間部材260は、第1実施形態による第1の中間部材70および第2の中間部材80に代えて、第1の中間部材270を備えている。
【0042】
第1の中間部材270は、ディスク形状を有しており、第1の中間部材70と同様に、シャフト貫通孔71および複数の通風孔72を備えている。第1の中間部材270は、さらに、環状部273を備えている。環状部273は、軸線方向に見た筒状ベース51に対応する位置から、筒状ベース51よりも径方向内側に向けて環状に延在する部分である。第1の中間部材270は、さらに、環状部273から上方に向けて突出する複数の壁部275を備えている。複数の壁部275の各々は、環状部273に沿って、部分的に周方向に延在している。環状部273のうちの、壁部275が形成されていない箇所は、連通路259として機能する。
【0043】
このような中間部材260によっても、連通路259を確保しつつ、壁部275および環状部273によって、玄米が流通路58に進入することを抑制できる。代替実施形態では、1つの壁部が、環状部273に沿って全体的に(全周的に)周方向に延在していてもよい。この場合、1つの壁部は、突出高さが相対的に高い箇所と、低い箇所と、を有していてもよい。このような構成によれば、突出高さが相対的に低い箇所が連通路として機能し得る。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、上記した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、任意の省略が可能である。
【0045】
例えば、第3の中間部材90は省略可能である。あるいは、中間部材60,160,260は、流通路58と研削ロール50a~50cの外部とを連通させる連通路が形成されるように、隣り合う二つの筒状ベース51の間に配置され、かつ、軸線方向に見た筒状ベース51に対応する位置から筒状ベース51よりも径方向内側に向けて環状に延在する環状部が連通路に隣接して配置される限りにおいて、任意の形状および構造に変形され得る。そのような中間部材は、各々がシャフト40に対して個別に固定される複数の個別部品を備えていてもよいし、あるいは、任意の固定手段(例えば、ボルト止め、溶接など)によって複数の部品が一体化された部材を備えていてもよい。また、そのような中間部材は、任意の固定手段によって、筒状ベース51の上縁部および/または下縁部に取り付けられてもよい。あるいは、中間部材は、鋳造などで一体成形された単一の部品であってもよい。
【0046】
あるいは、研削ロールの数は一つ以上の任意の数に設定可能である。
【0047】
あるいは、研削ロールの数が一つである場合に、中間部材60が省略されるとともに、研削ロールの上縁部と下縁部との間に、連通路と、連通路に隣接して配置される少なくとも一つの環状部と、が配置されてもよい。この場合、連通路は、例えば、研削ロールおよび筒状ベースを研削することで形成されてもよい。また、少なくとも一つの環状部は、筒状ベースの内部に任意の固定手段によって固定されてもよい。研削ロールの数が二つ以上であっても、中間部材60が省略されるとともに、そのような構成が採用されてもよい。
【0048】
あるいは、精穀機10は横型精穀機に変形可能である。
【符号の説明】
【0049】
10...精穀機
21...投入口
22...排出口
23...排出シュート
24...集糠室
25...モータ
26...駆動プーリ
27...被動プーリ
30...精穀処理部
31...除糠室カバー
32...外筒
33...搗精室
34...除糠室
35...抵抗体
36...調節ハンドル
40...シャフト
41,42...軸受
50a,50b,50c...研削ロール
51...筒状ベース
52...砥粒層
53...補強プレート
54...通風孔
55...フィードローラ
56...リング
57...ボス
58...流通路
59,159,259...連通路
60,160,260...中間部材
70,170,270...第1の中間部材
71...シャフト貫通孔
72...通風孔
73,173,273...環状部
74...外縁部上側部分
80...第2の中間部材
81...シャフト貫通孔
82...基部
83...アーム
90...第3の中間部材
91...シャフト貫通孔
92...通風孔
93...環状部
175...アーム
275...壁部
AX1...軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6