(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128810
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】撮像システムおよび撮像方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/66 20230101AFI20230907BHJP
H04N 23/69 20230101ALI20230907BHJP
H04N 23/695 20230101ALI20230907BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20230907BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20230907BHJP
G03B 17/14 20210101ALI20230907BHJP
G01S 3/48 20060101ALI20230907BHJP
G01S 7/02 20060101ALI20230907BHJP
G01S 13/68 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
H04N5/232 030
H04N5/232 960
H04N5/232 990
G03B17/56 B
G03B15/00 P
G03B15/00 R
G03B15/00 U
G03B17/14
G03B15/00 G
G01S3/48
G01S7/02 218
G01S13/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033425
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】流郷 幸治
【テーマコード(参考)】
2H101
2H105
5C122
5J070
【Fターム(参考)】
2H101EE08
2H105AA06
2H105AA13
2H105AA14
2H105AA18
5C122EA65
5C122EA66
5C122EA68
5C122FA16
5C122FB04
5C122FE02
5C122FE03
5C122GD01
5C122GD06
5C122HA82
5C122HA88
5C122HB01
5C122HB10
5J070AA02
5J070AC12
5J070AC13
5J070AD08
5J070AE09
5J070AF01
5J070AK36
5J070BB04
(57)【要約】
【課題】画像内に特定の被写体が入っていることを短時間に検出できる、低コストの撮像システム等を提供する。
【解決手段】実施形態の撮像システムは、撮像部と、受信部と、演算部と、判定部とを備える。撮像部は、光学系により結像した光学像を撮像素子により撮像して画像を取得する。受信部は、送信機から送信された固有情報を含む電波信号を受信して、受信信号を出力する。演算部は、受信信号に基づき、電波信号の到来角を演算する。判定部は、到来角に基づき、画像の画角内に送信機が入っているか否かを判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系により結像した光学像を撮像素子により撮像して画像を取得する撮像部と、
送信機から送信された固有情報を含む電波信号を受信して、受信信号を出力する受信部と、
前記受信信号に基づき、前記電波信号の到来角を演算する演算部と、
前記到来角に基づき、前記画像の画角内に前記送信機が入っているか否かを判定する判定部と、
を備える撮像システム。
【請求項2】
前記受信部は、複数のアンテナを備え、
前記演算部は、前記複数のアンテナが受信した前記電波信号の位相差に基づき、前記電波信号の到来角を演算する、
請求項1に記載の撮像システム。
【請求項3】
前記撮像部の撮像方向を変更する追尾機構と、
前記画角内に前記送信機が入っていないと判定された場合に、前記追尾機構を制御して、前記画角内に前記送信機が入るように前記撮像方向を変更する制御部と、
をさらに備える、請求項1または2に記載の撮像システム。
【請求項4】
前記画角を変更するズーム機構と、
前記画角内に前記送信機が入っていないと判定された場合に、前記ズーム機構を制御して、前記画角内に前記送信機が入るように前記画角を変更する制御部と、
をさらに備える、請求項1または2に記載の撮像システム。
【請求項5】
前記撮像部による撮像開始を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記画角内に前記送信機が入っていないと判定されている間は撮像開始を禁止し、前記画角内に前記送信機が入ったと判定されたときに撮像開始を許可する、
請求項1または2に記載の撮像システム。
【請求項6】
前記追尾機構は、前記光学系の光軸の方向を変更する、
請求項3に記載の撮像システム。
【請求項7】
前記撮像部を備えるカメラと、
前記カメラが設置されるカメラ補助装置と、
を備え、
前記追尾機構は、前記カメラ補助装置に設けられている、
請求項6に記載の撮像システム。
【請求項8】
前記光学系は、焦点距離を変更可能なズーム光学系であり、
前記ズーム機構は、前記ズーム光学系の焦点距離を変更することで前記画角を変更する、
請求項4に記載の撮像システム。
【請求項9】
カメラ本体と、前記カメラ本体に着脱可能な交換レンズと、を有するカメラを備え、
前記撮像素子は前記カメラ本体に設けられ、
前記ズーム光学系および前記ズーム機構は前記交換レンズに設けられている、
請求項8に記載の撮像システム。
【請求項10】
前記ズーム機構は、前記撮像素子により得られた撮像画像の一部を切り出して前記画像を取得することで、前記画角を変更する電子ズーム機構である、
請求項4に記載の撮像システム。
【請求項11】
結像された光学像を撮像して画像を取得する撮像ステップと、
送信機から送信された固有情報を含む電波信号を受信して、受信信号を出力する受信ステップと、
前記受信信号に基づき、前記電波信号の到来角を演算する演算ステップと、
前記到来角に基づき、前記画像の画角内に前記送信機が入っているか否かを判定する判定ステップと、
を備える撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光学像を撮像して画像を取得する撮像システムおよび撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学像を撮像して画像を取得する撮像システムにおいて、特定の被写体が画像内にあるか否かを検出する技術が提案されている。
【0003】
こうした技術の一例として、カメラ側から第1の電波をビーム走査し、被写体の電波応答器が第1の電波を受信したら固有情報を含む第2の電波を返信する自動追尾装置がある。
【0004】
しかし、こうした自動追尾装置は、ビーム走査の機構が必要であるため、コストが高くなって装置が大型化し、さらにビーム走査に要する時間だけ被写体が検出されるまでの時間が長くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、実施形態は、画像内に特定の被写体が入っていることを短時間に検出できる、低コストの撮像システムおよび撮像方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の撮像システムは、撮像部と、受信部と、演算部と、判定部とを備える。撮像部は、光学系により結像した光学像を撮像素子により撮像して画像を取得する。受信部は、送信機から送信された固有情報を含む電波信号を受信して、受信信号を出力する。演算部は、前記受信信号に基づき、前記電波信号の到来角を演算する。判定部は、前記到来角に基づき、前記画像の画角内に前記送信機が入っているか否かを判定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係わる撮像システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係わる撮像システムと被写体を示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係わる撮像システムにおける到来角の演算方法を説明するための図である。
【
図4】第1の実施形態に係わる受信アンテナの配置例を示す図表である。
【
図5】第1の実施形態に係わる撮像システムの作用を示すフローチャートである。
【
図6】第1の実施形態の変形例1に係わる撮像システムの構成を示すブロック図である。
【
図7】第1の実施形態の変形例2に係わる撮像システムの構成を示すブロック図である。
【
図8】第2の実施形態に係わる撮像システムの構成を示すブロック図である。
【
図9】第2の実施形態に係わる撮像システムと被写体を示す図である。
【
図10】第2の実施形態に係わる撮像システムの作用を示すフローチャートである。
【
図11】第2の実施形態の変形例に係わる撮像システムの構成を示すブロック図である。
【
図12】第3の実施形態に係わる撮像システムの構成を示すブロック図である。
【
図13】第3の実施形態に係わる撮像システムの作用を示すフローチャートである。
【
図14】第3の実施形態に係わり、集合写真を撮る場合の撮像システムと複数の被写体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
(構成)
【0010】
図1は、第1の実施形態に係わる撮像システム1の構成を示すブロック図である。
図2は、第1の実施形態に係わる撮像システム1と被写体20を示す図である。
【0011】
撮像システム1は、例えば、スチルカメラ、ビデオカメラ、ドローンなどのカメラ1A(
図2等参照)を備えている。後述するように、撮像システム1は、カメラ1Aが設置されるカメラ補助装置1B(
図2、
図6、
図7、
図9、
図14等参照)をさらに備えてもよい。
図2および
図9にはカメラ補助装置1Bがジンバルである例、
図14にはカメラ補助装置1Bが三脚である例を、それぞれ図示している。
【0012】
送信機2は、電波信号RWを能動的に送信するタグであり、被写体20により保持される。被写体20は、人や動物などの生物であってもよし、車や建物などの非生物であっても構わず、送信機2を保持可能であれば特定の対象に限定されない。送信機2は、例えば、固有情報メモリ21と、送信アンテナ22と、送信コントローラ23と、を備えている。
【0013】
固有情報メモリ21は、送信機2の固有情報を不揮発に記憶する。固有情報は、送信機2の個体に固有の情報であり、識別情報と呼ばれる場合もある。固有情報の例は、固有ID(Identification)である。複数の被写体20がそれぞれの送信機2を保持する場合、送信機2毎に異なる固有情報により、ある被写体20と他の被写体20を区別できる。
【0014】
送信アンテナ22は、固有情報を含む電波信号RWを送信する。送信アンテナ22が送信する電波信号RWには方位測定用の情報が含まれ、電波信号RWを受信する撮像システム1は、送信機2からの電波信号RWの到来角θ(
図3参照)を求めることが可能となっている。
【0015】
送信コントローラ23は、固有情報メモリ21から固有情報を読み出して、固有情報および方位測定用の情報を含む電波信号RWを、送信アンテナ22から送信する。
【0016】
送信機2の具体例は、BLE(Bluetooth(登録商標) low energy)電波発信機(BLEビーコン)である。ただし、送信機2は、BLEに限らず、例えばUWB(Ultra Wide Band:超広帯域無線通信)などの電波信号を送信する構成であっても構わない。
【0017】
送信機2は、被写体20が身につけるバッジや名札(被写体20が動物であれば首輪)などで構成されていても構わないし、被写体20が保持するスマートフォンがBLEビーコンとして機能する構成であっても構わないし、特定の構成に限定されない。
【0018】
撮像システム1は、送信機2から送信された電波信号RWに基づき、被写体20が画像の画角に入るように調整し、画像を撮像する。ここで、撮像システム1が撮像する画像は、静止画像と動画像の何れでも構わない。
【0019】
図1に示すように、第1の実施形態の撮像システム1は、撮像部11と、受信部12と、カメラコントローラ13と、追尾機構14と、を備えている。
【0020】
撮像部11は、光学像を結像する光学系11bと、光学像を撮像して画像を取得する撮像素子11aと、を備えている。
【0021】
受信部12は、光学系11bの光軸Oに関連付けて配置された受信アンテナ12aを備えている。受信部12は、送信機2から送信された固有情報を含む電波信号RWを受信アンテナ12aにより受信して、受信信号を出力する。
【0022】
受信アンテナ12aは、複数のアンテナを備え、
図2および
図3にはアンテナ12a1およびアンテナ12a2を備える例を示している。
【0023】
カメラコントローラ13は、制御部13aと、メモリ13bと、判定部13cと、演算部13dと、を備えている。
【0024】
演算部13dは、受信部12から出力された受信信号に基づき、電波信号RWの到来角θを演算する。演算部13dが到来角θを演算する原理について、
図3を参照して説明する。
図3は、第1の実施形態に係わる撮像システム1における到来角θの演算方法を説明するための図である。
【0025】
受信アンテナ12aに対して到来角θで入射した電波信号RWは、
図3に示すように、アンテナ12a1とアンテナ12a2において、それぞれ異なる位相で受信される。ここで、アンテナ12a1とアンテナ12a2は、既知の距離dだけ離れて配置されている。電波信号RWの波長をλとし、アンテナ12a1で受信した電波信号RWと、アンテナ12a2で受信した電波信号RWとの位相差をφとする。
【0026】
このとき、演算部13dは、複数のアンテナ12a1,12a2が受信した電波信号RWの位相差φに基づき、電波信号RWの到来角θを、次の式(1)のように演算する。
(φλ/2πd)=cosθ ・・・(1)
【0027】
このような到来角θの演算は、例えば、BLEの電波伝播方向検出機能であるAoA(Angle of Arrival)により行われる。
【0028】
受信アンテナ12aに、2つより多くのアンテナを設ければ、到来角θをより高い精度で測定できる。
図4は、第1の実施形態における受信アンテナ12aの配置例を示す図表である。
【0029】
受信アンテナ12aは、
図4のA欄に示すように、例えばx軸上に複数のアンテナを直線状に配列して構成されてもよい。この場合、x軸に対する到来角θxを求められる。
【0030】
また、受信アンテナ12aは、
図4のB欄に示すように、例えばx-z平面上に複数のアンテナをグリッド状に配列して構成されてもよい。この場合、x軸方向に配列された複数のアンテナの位相差からx軸に対する到来角θxを求められ、y軸方向に配列された複数のアンテナの位相差からy軸に対する到来角θyを求められるため、到来角θを、xyz空間における方位として求められる。
【0031】
さらに、受信アンテナ12aは、
図4のC欄に示すように、原点を中心として、例えばx-y平面上に複数のアンテナを円形状に配列して構成されても構わない。この場合も、到来角θを、xyz空間における方位として求められる。
【0032】
図4には幾つかの配置例を示したが、アンテナレイアウトは、複数のアンテナの位置関係が既知であれば、特定のレイアウトに限定されない。
【0033】
撮像部11の光学系11bの光軸Oは、
図4のxyz空間における既知の方向を向いているものとする。すると、xyz空間においてアンテナレイアウトが定まっている受信アンテナ12aは、光学系11bの光軸Oに関連付けて配置されていることになる。これにより、光軸Oと電波信号RWの到来角θとの角度関係が求められる。
【0034】
判定部13cは、到来角θに基づき、画像の画角内に送信機2が入っているか否かを判定する。撮像部11の撮像素子11aから取得される画像の画角は、光学系11bの焦点距離、撮像素子11aの有効画素領域の大きさなどから求められる。また、電子ズームを行う場合には、有効画素領域のどの部分から、どのような画像フォーマット(画像の縦横比)で、どのような大きさの領域を切り出して画像を取得するかにより、画像の画角を求められる。
【0035】
判定部13cは、光学系11bの光軸Oと、電波信号RWの到来角θと、画像の画角とに基づき、電波信号RWの送信元である送信機2が画角内に入っているか否かを判定する。
【0036】
メモリ13bは、光学系11bの焦点距離、撮像素子11aの画像フォーマットおよび有効画素領域の大きさなどの撮像システム1に関連する各種のパラメータと、制御部13aにより実行される処理プログラムと、を含む各種の情報を記憶する。
【0037】
制御部13aは、メモリ13bに記憶された処理プログラムに従って、各種のパラメータを読み込み、撮像システム1内の各部を制御する。
【0038】
追尾機構14は、例えばアクチュエータ等を備え、撮像部11の撮像方向を変更する。追尾機構14による撮像方向の変更は、例えば、光学系11bの光軸Oの方向を変更することにより行われる。ただしこれに限らず、光学系11bのイメージサークル内で撮像素子11aをシフトすることで撮像方向を変更してもよいし、その他の方法を用いても構わない。
【0039】
制御部13aは、判定部13cにより画角内に送信機2が入っていないと判定された場合に、追尾機構14を制御して、画角内に送信機2が入るように撮像方向を変更する。
(作用)
【0040】
図5は、第1の実施形態に係わる撮像システム1の作用を示すフローチャートである。
【0041】
図5に示す処理を開始すると、受信部12が送信機2から送信された電波信号RWを受信して、受信信号を出力する(ステップS1)。
【0042】
制御部13aは、受信信号に含まれる固有情報から、電波信号RWを送信した送信機2が、撮像対象の被写体20が保持する送信機2であるか否かを確認する。ここで撮像対象の被写体20が保持する送信機2であると確認されたら、演算部13dが、到来角θを演算する(ステップS2)。
【0043】
判定部13cが、到来角θに基づき、画角内に送信機2が入っているか否かを判定する(ステップS3)。
【0044】
ここで、画角内に送信機2が入っていないと判定された場合は、制御部13aが追尾機構14を制御して、画角内に送信機2が入るように撮像方向を変更する(ステップS4)。
【0045】
こうして追尾機構14を用いた自動追尾を行った結果、ステップS3において画角内に送信機2が入っていると判定された場合は、撮像部11により被写体20の光学像を撮像して、画像(静止画像または動画像)を取得する(ステップS5)。
【0046】
制御部13aは、取得した画像に、例えば固有情報を関連付けて、メモリ13bまたは適宜の記録媒体に記憶する(ステップS6)。この処理により、特定の被写体20が保持する送信機2の固有情報が画像に関連付けられるため、特定の被写体20が写っている画像を容易に検索可能となる。
【0047】
その後、処理を終了するか、または引き続き撮影を行うかを制御部13aが判定して(ステップS7)、引き続き撮影を行う場合にはステップS1へ戻って上述した処理を繰り返して行う。従って、画角内に送信機2が入り続けるように、撮像方向が繰り返し調整される。
【0048】
一方、処理を終了すると判定した場合は、
図5の処理を終了する。
【0049】
第1の実施形態によれば、被写体20が保持する送信機2から送信される、固有情報を含む電波信号RWを、撮像システム1が検出して到来角θを演算するようにした。このため、画像内に特定の被写体20が入っていることを短時間に検出できる。これにより、低コストの撮像システム1および撮像方法を提供できる。
(第1の実施形態の変形例1)
【0050】
図6は、第1の実施形態の変形例1に係わる撮像システム1の構成を示すブロック図である。
【0051】
図1の構成では、追尾機構14は撮像システム1内に設けられており、例えば、カメラ1Aに設けられていてもよい。これに対し、
図6に示す変形例1は、追尾機構14を、カメラ補助装置1Bに設けている。カメラ補助装置1Bは、撮像部11を備えるカメラ1Aが設置される、三脚、ジンバルなどの装置である。
【0052】
変形例1において、カメラ補助装置1Bは、例えば1つ以上の軸の周りにカメラ1Aを回転可能に支持する。追尾機構14は、軸の周りにカメラ1Aを回転するアクチュエータ等を備える。
【0053】
カメラ補助装置1Bは、カメラ1Aと通信を行って回転方向および回転量の指示を取得し、追尾機構14のアクチュエータを駆動してカメラ1Aのヨー、ピッチ(またはさらにロール)などの内の1つ以上を調整し、送信機2を保持する被写体20が画角内に入るようにする。
【0054】
なお、カメラ補助装置1Bが、1つ以上の軸方向にカメラ1Aをシフトする機構を備える場合も、回転に加えて、または回転に代えて、シフトを行って送信機2を保持する被写体20が画角内に入るようにすればよい。
(第1の実施形態の変形例2)
【0055】
図7は、第1の実施形態の変形例2に係わる撮像システム1の構成を示すブロック図である。
【0056】
カメラ1A内には、撮像部11、受信部12、およびカメラコントローラ13に加えて、オートフォーカス(AF)制御部16、画像認識部17、照明装置18、およびマイクロフォン19が設けられている。
【0057】
AF制御部16は、例えばコントラストAFまたは位相差AFなどにより、光学系11bのフォーカス位置を調整する。
【0058】
画像認識部17は、撮像部11により取得された画像に画像認識処理を行い、例えば、人や動物の顔認識などを行う。
【0059】
照明装置18は、被写体20へ向けて照明光を照射する。画角の外側に照明光が照射されると光量の無駄となるため、照明装置18による照明光の照射範囲は、画角をカバーできる範囲である。
【0060】
マイクロフォン19は、撮像システム1の周囲の音声を収集して電気信号に変換する。撮像システム1では、画角の外からの音声が雑音として入るのを低減するため、光軸Oの方向を中心としたある程度の指向性をもったマイクロフォン19を用いることがある。
【0061】
追尾機構14がカメラ補助装置1B内に設けられている場合、追尾機構14が画角内に送信機2が入るように撮像方向を変更すると、照明装置18の照明方向、およびマイクロフォン19の音声収集方向も変更され、撮像方向と同じ方向を向く。これにより、照明装置18が画角内に照明光を照射する状態、およびマイクロフォン19が被写体20側の音声を収集する状態を維持できる。
【0062】
なお、追尾機構14がカメラ1A内に設けられている構成の場合には、さらに、照明装置18の照明方向、およびマイクロフォン19の音声収集方向が光軸Oの方向に一致するように、追尾機構14が自動追尾するように構成するとよい。
【0063】
また、上述では、送信機2が画角に入るように撮像方向を調整しているが、一般的に送信機2は人などの被写体20よりも小さいため、送信機2が画角内にあっても、画角内の端であると撮像対象の被写体20の一部が写らないこともある。このため、画像認識部17による画像認識(顔認識など)の結果を用いて、送信機2を保持する被写体20が画角内に確実に入るようにするとよい。
【0064】
さらに、AF制御部16によりAF検出を行うと、被写体20までの距離を知ることができる。被写体20までの距離が分かれば、人などの被写体20が、画像内においてどのくらいの大きさであるかを推定できる。そこで、制御部13aが被写体20までの距離情報をAF制御部16から取得して、距離情報に基づき、被写体20が画角内に入っているか否かを判定部13cがさらに精密に判定するように、制御部13aが制御しても構わない。
(第2の実施形態)
(構成)
【0065】
図8は、第2の実施形態に係わる撮像システム1の構成を示すブロック図である。第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の部分に同一の符号を付して説明を省略し、主に異なる点について説明する。
【0066】
図8に示す撮像システム1は、
図1の撮像システム1から追尾機構14を省略し、撮像部11内にズーム機構15を設けたものとなっている。また、光学系11bとして、焦点距離を変更可能なズーム光学系11b1を採用している。ズーム機構15は、ズーム光学系11b1の焦点距離を変更することで、撮像部11により取得される画像の画角を変更する。
【0067】
なお、カメラ1Aが、カメラ本体1A1と、カメラ本体1A1に着脱可能な交換レンズ1A2と、を有するレンズ交換式である場合、撮像素子11aはカメラ本体1A1に設けられ、ズーム光学系11b1およびズーム機構15は交換レンズ1A2に設けられていてもよい。
【0068】
図9は、第2の実施形態に係わる撮像システム1と被写体20を示す図である。
【0069】
図2に示す例と比べて、
図9に示す例では、被写体20が、より撮像システム1に近接した位置に移動している。例えば、
図2で撮像システム1と被写体20の距離がL1であるとすると、
図9では、撮像システム1と被写体20の距離がL1よりも小さいL2となっている。
【0070】
第2の実施形態では、送信機2を保持する被写体20が画角内に入っていない場合、画角を変更することにより、被写体20が画角内に入るように調整する。
(作用)
【0071】
図10は、第2の実施形態に係わる撮像システム1の作用を示すフローチャートである。
【0072】
図10に示す処理を開始すると、
図5と同様のステップS1~S3の処理を行う。
【0073】
ステップS3において、画角内に送信機2が入っていないと判定された場合は、制御部13aがズーム機構15を制御して、画角内に送信機2が入るように画角を変更する(ステップS4A)。
【0074】
こうしてズーム機構15を用いて画角の変更を行った結果、ステップS3において画角内に送信機2が入っていると判定された場合のステップS5~S7の処理は、
図5と同様である。
【0075】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態とほぼ同様の効果を奏するとともに、画角を変更する技術を用いることにより、被写体20が画角内に入るようにできる。
(第2の実施形態の変形例)
【0076】
図11は、第2の実施形態の変形例に係わる撮像システム1の構成を示すブロック図である。
【0077】
ズーム機構として、
図8に示す構成では光学ズームを行うズーム機構15を採用したが、
図11に示す構成では電子ズームを行う電子ズーム機構15'を採用している。また、
図8のズーム光学系11b1に代えて、
図11の撮像システム1は光学系11bを備えている。
【0078】
電子ズーム機構15'は、撮像素子11aにより光電変換して得られた撮像画像の一部を切り出して画像を取得することで、画角を変更する。
【0079】
変形例の撮像システム1の作用は、ステップS4Aの画角の変更を電子ズームにより行う点を除いて、
図10に示した作用と同様である。
【0080】
なお、カメラ1Aに、ズーム光学系11b1と、光学ズームを行うズーム機構15と、電子ズームを行う電子ズーム機構15'と、を設けても構わない。こうした構成では、例えば、光学ズームで画角を変更可能な範囲内では光学ズームを用い、光学ズームのテレ端に達したところで電子ズームに移行するなどの処理が行われる。この場合でも、
図10に示した処理を適用できる。
【0081】
また、本実施形態のカメラ1Aに、AF制御部16、画像認識部17、照明装置18、およびマイクロフォン19が設けられていても構わないことは勿論である。このとき、照明装置18が照明光の照射範囲を変更可能なズーム照明装置である場合、光学ズームまたは電子ズームによる画角の変更に合わせて、照明光の照射範囲を変更するとよい。
【0082】
同様に、マイクロフォン19が音声収集の指向性の範囲を変更可能なズームタイプのマイクロフォンである場合、画角の変更に合わせて指向性の範囲を変更するとよい。
【0083】
さらに、ズームにより画角が変化しても被写体20が画角内に確実に入るように、画像認識部17による画像認識(顔認識など)の結果を用いてもよい。
【0084】
そして、撮像システム1と被写体20の距離が例えば
図2に示すL1から
図9に示すL2に変化した場合、AF制御部16が取得した被写体20までの距離情報に基づき、画像上の被写体20の大きさが一定となるようにズームを行ってもよい。
【0085】
なお、第1の実施形態で説明した追尾機構14による被写体20の自動追尾と、第2の実施形態で説明したズーム機構15,15'による画角の変更とは、それぞれ単独に行ってもよいし、両方を組み合わせて行っても構わない。
【0086】
また、電子ズームを行っているときは、画像を切り出す範囲の中心位置を撮像画像内で移動させることで、自動追尾を行うことができる。従って、電子ズームの場合、電子的な追尾機構を用いてもよい。
(第3の実施形態)
(構成)
【0087】
図12は、第3の実施形態に係わる撮像システム1の構成を示すブロック図である。第3の実施形態では、第1,2の実施形態と同様の部分に同一の符号を付して説明を省略し、主に異なる点について説明する。
【0088】
第1の実施形態では自動追尾を行うことで被写体20が画角内に入るようにし、第2の実施形態では画角を変更することで被写体20が画角内に入るようにした。これに対して、第3の実施形態は、被写体20が画角外にあるときは撮像開始を禁止し、被写体20が画角内にあるときに撮像開始を許可することで、被写体20が画角内に入るようにしている。
【0089】
図12に示すように、撮像システム1は、
図1の撮像システム1から追尾機構14を省略したものとなっている。撮像システム1の制御部13aは、撮像部11による撮像開始を制御する。
(作用)
【0090】
図13は、第3の実施形態に係わる撮像システム1の作用を示すフローチャートである。
【0091】
図13に示す処理を開始すると、
図5と同様のステップS1~S3の処理を行う。
【0092】
ステップS3において、画角内に送信機2が入っていないと判定された場合は、制御部13aが撮像部11による撮像開始を禁止して(ステップS11)、ステップS3の判定処理に戻る。従って、画角内に送信機2が入っていないと判定されている間は、撮像開始が禁止され続ける。
【0093】
また、ステップS3において画角内に送信機2が入ったと判定された場合は、制御部13aが撮像部11による撮像開始を許可する(ステップS12)。これにより、静止画像または動画像の撮像開始が可能となる。
【0094】
その後のステップS5~S7の処理は、
図5と同様である。
【0095】
なお、
図13の処理では送信機2が画角内か画角外かに応じて撮像開始の許可/禁止を行ったが、画角だけでなく、さらに、AF制御部16(
図7参照)による検出結果に基づき撮像開始の許可/禁止を制御してもよい。
【0096】
この場合、ステップS3において、画角内に送信機2が入っていないと判定されることと、被写体20にピントが合っていないと判定されることとの少なくとも一方が成り立つ場合は、ステップS11により撮像開始を禁止する。一方、ステップS3において、画角内に送信機2が入っていると判定されることと、被写体20にピントが合っていると判定されることとの両方が成り立つ場合は、ステップS12により撮像開始を許可する。
【0097】
図14は、第3の実施形態に係わり、集合写真を撮る場合の撮像システム1と複数の被写体20を示す図である。
【0098】
本実施形態の構成は、例えば複数の被写体20の集合写真を撮る場合にも適用できる。
【0099】
図14の例では、被写体20として人物20a~20iの9人がおり、人物20b~20iの8人は撮像システム1の画角内に既に入っている。8人の人物20b~20iの内の、例えば4人は送信アンテナ22b~22eを備える送信機2を保持している。集合写真の場合、送信アンテナ22b~22eは全ての人物が保持する必要はなく、集合写真の周辺にいる人物が保持していればよい。撮像システム1は、送信アンテナ22b~22eからの電波信号RWに基づき、送信アンテナ22b~22eが画角内に入っていることを確認できる。
【0100】
一方、送信アンテナ22aを備える送信機2は、人物20aにより保持されている。撮像システム1は、送信アンテナ22aからの固有情報を含む電波信号RWに基づき、送信アンテナ22aが画角内に入っていないことを確認できる。
【0101】
カメラ1Aに搭載されているタイマー撮影機能を用いる場合、カメラ1Aのシャッタボタンを押した人物20aは、タイマー設定時間以内に画角内に入らなければならない。従って、カメラ1Aと複数の被写体20との距離が離れている場合、人物20aは急いで複数の被写体20側へ移動する必要があった。
【0102】
これに対し、第3の実施形態によれば、人物20aが保持する送信機2の送信アンテナ22aが画角内に入っていない間は撮像開始が禁止されるため、人物20aは急いで移動する必要がなくなる。
【0103】
なお、撮像開始の禁止に、タイマー撮影機能を併用しても構わない。この場合、送信アンテナ22a~22eの全てが画角内に入ったと判定されたところで、タイマー撮影機能のタイマーカウントを開始すればよい。これにより、撮影タイミングに合わせて好ましい表情を作るなどの時間的余裕が、シャッタボタンを押した人物20aを含む各人物20a~20iに生じる。
【0104】
なお、第1の実施形態で説明した追尾機構14による被写体20の自動追尾と、第2の実施形態で説明したズーム機構15,15'による画角の変更と、第3の実施形態で説明した被写体20が画角内/外にあるときの撮像開始の許可/禁止とは、それぞれ単独に行ってもよいし、任意の2つ以上を組み合わせて行っても構わない。
【0105】
例えば、集合写真の場合、複数の被写体20の全てが画角内に入るように自動追尾と画角の変更との少なくとも一方をさらに行ってもよい。具体的に、複数の被写体20の中央が撮像方向になるように自動追尾による調整を行い、複数の被写体20の全てが画角内の適切な範囲に入るように画角を変更する。そして、複数の被写体20の全てが画角内に入るまでは撮影開始を禁止し、複数の被写体20の全てが画角内に入ったところで撮影開始を許可すればよい。
【0106】
第3の実施形態によれば、第1,2の実施形態とほぼ同様の効果を奏するとともに、被写体20が画角内に入るまでは撮影開始を禁止するため、被写体20が確実に画角内に入るようにできる。
【0107】
なお、上述では本発明が撮像システム1である場合を主に説明したが、撮像システム1と同様の動作を行う撮像方法であってもよい。
【0108】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0109】
1…撮像システム、1A…カメラ、1A1…カメラ本体、1A2…交換レンズ、1B…カメラ補助装置、2…送信機、11…撮像部、11a…撮像素子、11b…光学系、11b1…ズーム光学系、12…受信部、12a…受信アンテナ、12a1,12a2…アンテナ、13…カメラコントローラ、13a…制御部、13b…メモリ、13c…判定部、13d…演算部、14…追尾機構、15…ズーム機構、15'…電子ズーム機構、16…AF制御部、17…画像認識部、18…照明装置、19…マイクロフォン、20…被写体、20a~20i…人物、21…固有情報メモリ、22,22a~22e…送信アンテナ、23…送信コントローラ、O…光軸、RW…電波信号、d…距離、θ…到来角、φ…位相差