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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128813
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッドおよび記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20230907BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/14 611
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033431
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 英
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EC07
2C056EC29
2C056EC30
2C056FA10
2C056FA13
2C056HA06
2C056HA09
2C056HA42
2C056HA46
2C056HA51
2C056KB16
2C057AF82
2C057AN01
2C057AN05
2C057AR14
(57)【要約】
【課題】優れた吐出性能を有する液体吐出ヘッドおよび記録装置を提供する。
【解決手段】液体吐出ヘッドは、ノズルと、圧力室と、加圧部と、コネクタと、ヘッドカバーとを備える。ノズルは、液体を吐出する。圧力室は、ノズルに繋がる。加圧部は、駆動信号に応じて圧力室に圧力を付与する。コネクタは、加圧部に電気的に接続され、駆動信号を外部から受け取る。ヘッドカバーは、板状であり、ノズル、圧力室、加圧部およびコネクタを覆う。ヘッドカバーは、天板と、側板と、貫通孔と、切欠部とを有する。天板は、互いに交差する第1方向および第2方向に延び、ノズルの反対側に位置する。側板は、第1方向および第2方向に交差する第3方向に延び、天板に繋がる。貫通孔は、側板に近接する天板を貫通し、コネクタを収容する。切欠部は、貫通孔に近接する側板に位置し、貫通孔と繋がる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルと、
前記ノズルに繋がる圧力室と、
駆動信号に応じて前記圧力室に圧力を付与する加圧部と、
前記加圧部に電気的に接続され、前記駆動信号を外部から受け取るコネクタと、
前記ノズル、前記圧力室、前記加圧部および前記コネクタを覆う板状のヘッドカバーと
を備え、
前記ヘッドカバーは、
互いに交差する第1方向および第2方向に延び、前記ノズルの反対側に位置する天板と、
前記第1方向および前記第2方向に交差する第3方向に延び、前記天板に繋がる側板と、
前記側板に近接する前記天板を貫通し、前記コネクタを収容する貫通孔と、
前記貫通孔に近接する前記側板に位置し、前記貫通孔と繋がる切欠部と
を有する液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記コネクタと前記ヘッドカバーとの間に位置するコネクタカバーを有する、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記コネクタは、前記コネクタカバーから突出する部分を有する、請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記コネクタカバーは、前記コネクタの周囲に位置し、前記第1方向および前記第2方向に沿う平坦面を有する、請求項2または3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記コネクタカバーは、前記コネクタよりも前記側板から離れて位置し、前記第1方向および前記第2方向に沿う第1面と、前記第1面よりも前記側板に近接し、前記ノズルからの距離が前記第1面よりも小さい第2面とを有する、請求項2または3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記コネクタカバーは、前記貫通孔の端部に位置する前記ヘッドカバーに接触する部分を有する、請求項2~5のいずれか1つに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記コネクタカバーは、前記切欠部の端部に位置する前記ヘッドカバーに接触する部分を有する、請求項2~6のいずれか1つに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1つに記載の液体吐出ヘッドを備える記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、液体吐出ヘッドおよび記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置として、インクジェット記録方式を利用したインクジェットプリンタやインクジェットプロッタが知られている。このようなインクジェット方式の印刷装置には、液体を吐出させるための液体吐出ヘッドが搭載されている。
【0003】
かかる液体吐出ヘッドは、外部からの駆動信号を受け取るコネクタを有したものが知られている。たとえば、金属製のヘッドカバーに開口を設け、ヘッドカバーと接触しないように引き出されたコネクタを有する液体吐出ヘッドがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-248755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の液体吐出ヘッドでは、たとえば、コネクタの設置位置等によっては電磁ノイズが発生し、吐出性能に不具合が生じる可能性がある。
【0006】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、優れた吐出性能を有する液体吐出ヘッドおよび記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様による液体吐出ヘッドは、ノズルと、圧力室と、加圧部と、コネクタと、ヘッドカバーとを備える。ノズルは、液体を吐出する。圧力室は、前記ノズルに繋がる。加圧部は、駆動信号に応じて前記圧力室に圧力を付与する。コネクタは、前記加圧部に電気的に接続され、前記駆動信号を外部から受け取る。ヘッドカバーは、板状であり、前記ノズル、前記圧力室、前記加圧部および前記コネクタを覆う。前記ヘッドカバーは、天板と、側板と、貫通孔と、切欠部とを有する。天板は、互いに交差する第1方向および第2方向に延び、前記ノズルの反対側に位置する。側板は、前記第1方向および前記第2方向に交差する第3方向に延び、前記天板に繋がる。貫通孔は、前記側板に近接する前記天板を貫通し、前記コネクタを収容する。切欠部は、前記貫通孔に近接する前記側板に位置し、前記貫通孔と繋がる。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、優れた吐出性能を有する液体吐出ヘッドおよび記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係るプリンタの概略的な正面を模式的に示す正面図である。
図2図2は、実施形態に係るプリンタの概略的な平面を模式的に示す平面図である。
図3図3は、実施形態に係る液体吐出ヘッドの概略的な構成を示す斜視図である。
図4図4は、図3に示すコネクタ部を拡大した斜視図である。
図5図5は、図4に示すA-A線に沿った断面図である。
図6図6は、変形例に係る液体吐出ヘッドが有するコネクタ部を拡大した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する液体吐出ヘッドおよび記録装置の実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態により本開示が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0011】
また、以下に示す実施形態では、「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」といった表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密に「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」であることを要しない。すなわち、上記した各表現は、たとえば製造精度、設置精度などのずれを許容するものとする。
【0012】
また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0013】
[実施形態]
<プリンタの構成>
まず、図1および図2を参照して実施形態に係る記録装置の一例であるプリンタの概要について説明する。図1は、実施形態に係るプリンタの概略的な正面を模式的に示す正面図である。図2は、実施形態に係るプリンタの概略的な平面を模式的に示す平面図である。実施形態に係るプリンタは、たとえば、カラーインクジェットプリンタである。
【0014】
図1に示すように、プリンタ1は、給紙ローラ2と、ガイドローラ3と、塗布機4と、ヘッドケース5と、複数の搬送ローラ6と、複数のフレーム7と、複数の液体吐出ヘッド8と、搬送ローラ9と、乾燥機10と、搬送ローラ11と、センサ部12と、回収ローラ13とを備える。搬送ローラ6は、搬送部の一例である。
【0015】
さらに、プリンタ1は、プリンタ1の各部を制御する制御部14を有している。制御部14は、給紙ローラ2、ガイドローラ3、塗布機4、ヘッドケース5、複数の搬送ローラ6、複数のフレーム7、複数の液体吐出ヘッド8、搬送ローラ9、乾燥機10、搬送ローラ11、センサ部12および回収ローラ13の動作を制御する。
【0016】
プリンタ1は、印刷用紙Pに液滴を着弾させることにより、印刷用紙Pに画像や文字の記録を行う。印刷用紙Pは、記録媒体の一例である。印刷用紙Pは、使用前において給紙ローラ2に巻かれた状態になっている。プリンタ1は、印刷用紙Pを、給紙ローラ2からガイドローラ3および塗布機4を介してヘッドケース5の内部に搬送する。
【0017】
塗布機4は、コーティング剤を印刷用紙Pに一様に塗布する。これにより、印刷用紙Pに表面処理を施すことができることから、プリンタ1の印刷品質を向上させることができる。
【0018】
ヘッドケース5は、複数の搬送ローラ6と、複数のフレーム7と、複数の液体吐出ヘッド8とを収容する。ヘッドケース5の内部には、印刷用紙Pが出入りする部分などの一部において外部と繋がっている他は、外部と隔離された空間が形成されている。
【0019】
ヘッドケース5の内部空間は、必要に応じて、温度、湿度、および気圧などの制御因子のうち、少なくとも1つが制御部14によって制御される。搬送ローラ6は、ヘッドケース5の内部で印刷用紙Pを液体吐出ヘッド8の近傍に搬送する。
【0020】
フレーム7は、矩形状の平板であり、搬送ローラ6で搬送される印刷用紙Pの上方に近接して位置している。また、図2に示すように、フレーム7は、長手方向が印刷用紙Pの搬送方向に直交するように位置している。そして、ヘッドケース5の内部には、複数(たとえば、4つ)のフレーム7が、印刷用紙Pの搬送方向に沿って所定の間隔で位置している。
【0021】
液体吐出ヘッド8には、図示しない液体タンクから液体、たとえば、インクが供給される。液体吐出ヘッド8は、液体タンクから供給される液体を吐出する。
【0022】
制御部14は、画像や文字などのデータに基づいて液体吐出ヘッド8を制御し、印刷用紙Pに向けて液体を吐出させる。液体吐出ヘッド8と印刷用紙Pとの間の距離は、たとえば、0.5~20mm程度である。
【0023】
液体吐出ヘッド8は、フレーム7に固定されている。液体吐出ヘッド8は、長手方向が印刷用紙Pの搬送方向に直交するように位置している。
【0024】
すなわち、本実施形態に係るプリンタ1は、プリンタ1の内部に液体吐出ヘッド8が固定されている、いわゆるラインプリンタである。なお、本実施形態に係るプリンタ1は、ラインプリンタに限られず、いわゆるシリアルプリンタであってもよい。
【0025】
シリアルプリンタとは、液体吐出ヘッド8を、印刷用紙Pの搬送方向に交差する方向、たとえば、略直交する方向に往復させるなどして移動させながら記録する動作と、印刷用紙Pの搬送とを交互に行う方式のプリンタである。
【0026】
図2に示すように、1つのフレーム7に複数(たとえば、5つ)の液体吐出ヘッド8が固定されている。図2では、印刷用紙Pの搬送方向の前方に3つ、後方に2つの液体吐出ヘッド8が位置している例を示しており、印刷用紙Pの搬送方向において、それぞれの液体吐出ヘッド8の中心が重ならないように液体吐出ヘッド8が位置している。
【0027】
そして、1つのフレーム7に位置する複数の液体吐出ヘッド8によって、ヘッド群8Aが構成されている。4つのヘッド群8Aは、印刷用紙Pの搬送方向に沿って位置している。同じヘッド群8Aに属する液体吐出ヘッド8には、4色のインクが供給される。これにより、プリンタ1は、4つのヘッド群8Aを用いて4色のインクによる印刷を行うことができる。
【0028】
各液体吐出ヘッド8から吐出されるインクの色は、たとえば、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)およびブラック(K)である。制御部14は、各液体吐出ヘッド8を制御して複数色のインクを印刷用紙Pに吐出することにより、印刷用紙Pにカラー画像を印刷することができる。
【0029】
なお、印刷用紙Pの表面処理をするために、液体吐出ヘッド8からコーティング剤を印刷用紙Pに吐出してもよい。
【0030】
また、1つのヘッド群8Aに含まれる液体吐出ヘッド8の個数や、プリンタ1に搭載されているヘッド群8Aの個数は、印刷する対象や印刷条件に応じて適宜変更可能である。たとえば、1つの液体吐出ヘッド8で印刷可能な範囲を印刷するのであれば、プリンタ1に搭載されている液体吐出ヘッド8の個数は1つでもよい。
【0031】
ヘッドケース5の内部で印刷処理された印刷用紙Pは、搬送ローラ9によってヘッドケース5の外部に搬送され、乾燥機10の内部を通る。乾燥機10は、印刷処理された印刷用紙Pを乾燥する。乾燥機10で乾燥された印刷用紙Pは、搬送ローラ11で搬送されて、回収ローラ13で回収される。
【0032】
プリンタ1では、乾燥機10で印刷用紙Pを乾燥することにより、回収ローラ13において、重なって巻き取られる印刷用紙P同士が接着したり、未乾燥の液体が擦れたりすることを抑制することができる。
【0033】
センサ部12は、位置センサや速度センサ、温度センサなどにより構成されている。制御部14は、センサ部12からの情報に基づいて、プリンタ1の各部における状態を判断し、プリンタ1の各部を制御することができる。
【0034】
ここまで説明したプリンタ1では、印刷対象(すなわち、記録媒体)として印刷用紙Pを用いた場合について示したが、プリンタ1における印刷対象は印刷用紙Pに限られず、ロール状の布などを印刷対象としてもよい。
【0035】
また、プリンタ1は、印刷用紙Pを直接搬送する代わりに、搬送ベルト上に載せて搬送するものであってもよい。搬送ベルトを用いることで、プリンタ1は、枚葉紙や裁断された布、木材、タイルなどを印刷対象とすることができる。
【0036】
また、プリンタ1は、液体吐出ヘッド8から導電性の粒子を含む液体を吐出するようにして、電子機器の配線パターンなどを印刷してもよい。また、プリンタ1は、液体吐出ヘッド8から反応容器などに向けて所定量の液体の化学薬剤や化学薬剤を含んだ液体を吐出させて、化学薬品を作製してもよい。
【0037】
また、プリンタ1は、液体吐出ヘッド8をクリーニングするクリーニング部を備えていてもよい。クリーニング部は、たとえば、ワイピング処理やキャッピング処理によって液体吐出ヘッド8の洗浄を行う。
【0038】
ワイピング処理とは、たとえば、柔軟性のあるワイパーで、液体が吐出される部位の面を払拭することで、液体吐出ヘッド8に付着していた液体を取り除く処理である。
【0039】
また、キャッピング処理は、たとえば、次のように実施する。まず、液体を吐出される部位の面を覆うようにキャップを被せる(これをキャッピングという)。これにより、液体を吐出される部位の面とキャップとの間に、略密閉された空間が形成される。次に、このような密閉された空間で液体の吐出を繰り返す。これにより、ノズル21A(図3参照)に詰まっていた、標準状態よりも粘度が高い液体や異物などを取り除くことができる。
【0040】
<液体吐出ヘッドの構成>
次に、図3図5を参照して実施形態に係る液体吐出ヘッド8の構成について説明する。図3は、実施形態に係る液体吐出ヘッドの概略的な構成を示す斜視図である。
【0041】
図3に示すように、液体吐出ヘッド8は、ノズル層21と、圧力室層22と、加圧部23と、コネクタ部26と、第1流路27と、第2流路28と、ヘッドカバー29と、放熱板30,31とを備える。
【0042】
ノズル層21は、印刷用紙P(図1参照)と対向する液体吐出ヘッド8の底面側に位置している。ノズル層21は、ノズル21Aを有している。ノズル21Aは、ノズル層21を厚み方向に貫通する貫通孔であり、液体吐出ヘッド8の内部に供給された液体は、ノズル21Aから外部へ吐出される。
【0043】
圧力室層22は、ノズル層21の上に位置している。圧力室層22は、ノズル21Aに繋がる圧力室22Aを有している。圧力室22Aの内部には、第1流路27から液体が供給される。
【0044】
加圧部23は、駆動信号に応じて圧力室22Aに圧力を付与する。加圧部23は、通電により変位する圧電素子を有しており、圧力室22Aの内部圧力を変化させる。
【0045】
コネクタ部26は、コネクタ24を有する。コネクタ24は、加圧部23に電気的に接続され、制御部14(図1参照)から出力された制御信号に応じて駆動信号を外部から受け取る。コネクタ24は、ヘッドカバー29から離れて位置している。また、コネクタ部26は、コネクタ24とヘッドカバー29との間に位置するコネクタカバー25を有してもよい。なお、コネクタ部26の詳細については後述する。
【0046】
第1流路27は、液体吐出ヘッド8の内部に液体を供給する。第2流路28は、液体吐出ヘッド8の内部から液体を回収する。第2流路28から回収された液体は、たとえば、図示しないフィルタを通じて第1流路27に供給される。
【0047】
ヘッドカバー29は、板状であり、ノズル21A、圧力室22A、加圧部23およびコネクタ24を覆うように位置している。なお、ヘッドカバー29の詳細については後述する。
【0048】
放熱板30,31は、ヘッドカバー29を挟んで向かい合うように位置している。放熱板30,31は、ヘッドカバー29の側面に取り付けられており、液体吐出ヘッド8の内部で発生した熱を放散させる。
【0049】
図4は、図3に示すコネクタ部を拡大した斜視図である。図5は、図4に示すA-A線に沿った断面図である。
【0050】
なお、説明を分かりやすくするために、図5には、鉛直上向きを正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を図示している。また、以下の説明では、便宜的に、液体吐出ヘッド8においてノズル21A(図3参照)が位置する方向、すなわち、Z軸負方向側を「下」または「下方」と呼称し、Z軸正方向側を「上」または「上方」と呼称する場合がある。
【0051】
ヘッドカバー29は、天板291と、側板292と、貫通孔293と、切欠部294とを有する。天板291は、互いに交差するX軸方向およびY軸方向に沿って延びる部分である。天板291は、ノズル21A(図3参照)の反対側に位置している。X軸方向およびY軸方向は、第1方向および第2方向の一例である。
【0052】
側板292は、XY平面に沿うように位置する天板291のうち、X軸正方向側の端部に繋がるようにZ軸方向に沿って延びる部分である。側板292には、放熱板30が取り付けられている。Z軸方向は、第3方向の一例である。
【0053】
貫通孔293は、天板291を貫通する部分である。貫通孔293は、X軸方向の中央よりも側板292に近接する部分に位置している。貫通孔293には、コネクタ24が収容されている。図5に示すように、コネクタ24は、貫通孔293からZ軸正方向側に突出する部分を有してもよい。
【0054】
切欠部294は、側板292に位置し、貫通孔293と繋がる部分である。これにより、ヘッドカバー29は、天板291から側板292に至る開口を有することとなることから、側板292に近接するコネクタ24とヘッドカバー29とを適度に離間させることができる。このため、実施形態に係る液体吐出ヘッド8によれば、電磁ノイズが発生しにくくなり、吐出性能に不具合が生じる可能性を低減することができる。
【0055】
ヘッドカバー29は、たとえば、アルミニウムなど、導電性を有する金属材料により構成できる。また、ヘッドカバー29は、たとえば、導電性または絶縁性を有する樹脂材料により構成されてもよい。
【0056】
また、液体吐出ヘッド8がコネクタカバー25を有する場合、コネクタカバー25は、コネクタ24とヘッドカバー29との間に位置している。コネクタカバー25は、コネクタ24とヘッドカバー29との隙間を埋めるように位置している。コネクタカバー25は、例えば、絶縁性を有する樹脂材料により構成されることが好ましい。
【0057】
また、図5に示すように、ヘッドカバー29は、封止材60を用いて封止される。封止材60は、たとえば、コネクタ24およびコネクタカバー25に密着するように位置している。これにより、ヘッドカバー29の貫通孔293および切欠部294は、コネクタカバー25および封止材60によって封止される。
【0058】
封止材60の材料は、たとえば、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂などを用いることができる。封止材60は、たとえば、ヘッドカバー29の天板291およびコネクタカバー25に密着するように位置してもよい。
【0059】
また、コネクタカバー25は、第1面251と、第2面252と、側面253と、凹部254とを有してもよい。第1面251は、コネクタ24よりもヘッドカバー29の側板292から離れて位置しており、X軸方向およびY軸方向に沿う部分である。第2面252は、第1面251よりも側板292に近接し、ノズル21A(図3参照)からの距離が第1面251よりも小さい部分である。すなわち、コネクタカバー25は、第1面251と第2面252との間に段差を有する。言い換えると、コネクタカバー25において、第2面252は、第1面251よりも低くに位置している。
【0060】
このように、第1面251と第2面252との間に段差を有するコネクタカバー25を使用することにより、たとえば、第2面252に付着させた封止材60の材料が硬化するまで、第2面252にとどまらせやすい。このため、作業性が向上するとともに、封止性が向上する。
【0061】
側面253は、X軸正方向側の端部に位置し、放熱板30と対向する部分である。凹部254は、側面253からX軸負方向よりに没入した部分である。図5に示すように、側面253は、放熱板30と接触する部分を有してもよい。これにより、たとえば、コネクタカバー25および/または放熱板30が変形しにくくなり、液体吐出ヘッド8の耐久性が向上する。また、コネクタカバー25から放熱板30への熱伝導により、たとえば、液体吐出ヘッド8の放熱性が向上する。
【0062】
なお、凹部254に代えて、側面253からX軸正方向よりに突出した凸部を有してもよい。かかる場合、凸部が、放熱板30と接触する部分を有すると、コネクタカバー25および/または放熱板30が変形しにくくなり、液体吐出ヘッド8の耐久性が向上する。
【0063】
また、図5に示すように、コネクタ24は、コネクタカバー25からZ軸正方向側に突出する部分を有してもよい。これにより、たとえば、コネクタ24とコネクタカバー25とを跨ぐように付着させた封止材60の材料が硬化するまで、コネクタ24とコネクタカバー25との間にとどまらせやすい。このため、作業性が向上するとともに、封止性が向上する。
【0064】
なお、液体吐出ヘッド8は、コネクタカバー25を有さなくてもよい。液体吐出ヘッド8がコネクタカバー25を有さない場合、封止材60は、ヘッドカバー29の開口とコネクタ24との隙間を埋めるように位置させてもよい。このとき、大量の封止材60が必要となるとともに、作業が煩雑になる可能性がある。これに対し、上述したようにコネクタカバー25を有すると、封止材60の使用量を低減することができるとともに、封止性がさらに向上する。
【0065】
また、コネクタカバー25は、貫通孔293の端部に位置するヘッドカバー29に接触する部分を有してもよい。また、コネクタカバー25は、切欠部294の端部に位置するヘッドカバー29に接触する部分を有してもよい。これにより、たとえば、コネクタカバー25とヘッドカバー29との隙間を小さくすることができ、液体吐出ヘッド8の封止性が向上する。
【0066】
放熱板30は、ヘッドカバー29のX軸正方向側に位置しており、側板292に固定されている。放熱板31は、ヘッドカバー29のX軸負方向側に位置しており、ヘッドカバー29に固定されている。放熱板30,31は、たとえばアルミニウム、銅、ステンレス鋼などの金属材料で構成されており、液体吐出ヘッド8の内部で発生した熱を放散させる。
【0067】
また、図5に示すように、液体吐出ヘッド8は、基板40と、内部コネクタ50とをさらに備える。
【0068】
基板40は、YZ平面に沿う面401,402を有している。面401は、コネクタ24と向かい合うように位置している。面402は、面401の反対側に位置している。コネクタ24は、X軸方向に沿う方向に屈曲した屈曲部241を有している。面401には、屈曲部241の端面24Aが装着されている。コネクタ24は、いわゆるライトアングルコネクタであってもよい。
【0069】
内部コネクタ50は、面402に装着されている。内部コネクタ50は、コネクタ24と電気的に接続されており、コネクタ24から受け取った駆動信号を各素子に分配する。
【0070】
<変形例>
図6は、変形例に係る液体吐出ヘッドが有するコネクタ部を拡大した斜視図である。図6に示す液体吐出ヘッド8は、コネクタカバー25が第2面252を有さない点で実施形態に係る液体吐出ヘッド8と相違する。変形例に係るコネクタカバー25は、コネクタ24の周囲に位置する第1面251を平坦面として有している。本変形例に係る液体吐出ヘッド8においても、コネクタカバー25の第1面251が位置するコネクタ24の周囲に封止材60の材料を付着させやすい構造であるため、作業性が向上する。
【0071】
<その他の変形例>
上述の実施形態では、液体吐出ヘッド8が放熱板30,31を有するとして説明したが、放熱板30および31のうち、一方または両方を有さなくてもよい。また、かかる場合、ヘッドカバー29が放熱板30,31の機能を兼ねてもよい。
【0072】
以上のように、実施形態に係る液体吐出ヘッド8は、ノズル21Aと、圧力室22Aと、加圧部23と、コネクタ24と、ヘッドカバー29とを備える。ノズル21Aは、液体を吐出する。圧力室22Aは、ノズル21Aに繋がる。加圧部23は、駆動信号に応じて圧力室22Aに圧力を付与する。コネクタ24は、加圧部23に電気的に接続され、駆動信号を外部から受け取る。ヘッドカバー29は、板状であり、ノズル21A、圧力室22A、加圧部23およびコネクタ24を覆う。ヘッドカバー29は、天板291と、側板292と、貫通孔293と、切欠部294とを有する。天板291は、互いに交差する第1方向および第2方向に延び、ノズル21Aの反対側に位置する。側板292は、第1方向および第2方向に交差する第3方向に延び、天板291につながる。貫通孔293は、側板292に近接する天板291を貫通し、コネクタ24を収容する。切欠部294は、貫通孔293に近接する側板292に位置し、貫通孔293と繋がる。これにより、実施形態に係る液体吐出ヘッド8によれば、優れた吐出性能を有することができる。
【0073】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 プリンタ
8 液体吐出ヘッド
14 制御部
21A ノズル
22A 圧力室
23 加圧部
24 コネクタ
25 コネクタカバー
29 ヘッドカバー
251 第1面
252 第2面
291 天板
292 側板
293 貫通孔
294 切欠部
図1
図2
図3
図4
図5
図6