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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128818
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】刈払装置および刈払システム
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/00 20060101AFI20230907BHJP
   A01D 34/86 20060101ALI20230907BHJP
   A01G 23/00 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
A01D34/00 Z
A01D34/86
A01G23/00 551Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033438
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩永 充生
(72)【発明者】
【氏名】河田 朋巳
(72)【発明者】
【氏名】中村 洋太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 順也
(72)【発明者】
【氏名】片山 敦
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 茂樹
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083AA02
2B083CA07
2B083DA03
2B083HA59
2B083JA09
2B083JA10
(57)【要約】
【課題】簡素な構成で下刈り作業を行うことができる装置およびシステムを提供する。
【解決手段】ワイヤーに懸架される刈払装置であって、本体部と、柱状の支持部材と、支持部材と連結されワイヤーに沿って移動する移動機構とを備え、本体部は、筒状のフレームと、フレームの一方の端部に設けられる刈払刃と、フレームに固定される発動機と、フレームにおいて一方の端部と発動機の固定箇所との間に位置し、フレームと支持部材とを連結する連結部と、を備える、刈払装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーに懸架される刈払装置であって、
本体部と、柱状の支持部材と、前記支持部材と連結され前記ワイヤーに沿って移動する移動機構とを備え、
前記本体部は、
筒状のフレームと、
前記フレームの一方の端部に設けられる刈払刃と、
前記フレームに固定される発動機と、
前記フレームにおいて前記一方の端部と前記発動機の固定箇所との間に位置し、前記フレームと前記支持部材とを連結する連結部と、
を備える、
刈払装置。
【請求項2】
前記連結部は、前記フレームを第1方向に回転させる力と前記フレームを前記第1方向と反対の第2方向に回転させる力とが略等しくなる位置に設けられる、
請求項1に記載の刈払装置。
【請求項3】
前記フレームに内挿され、前記発動機によって駆動される回転軸と、
前記回転軸の回転を前記刈払刃に伝達する伝達機構と、
を備える、
請求項1または2に記載の刈払装置。
【請求項4】
前記発動機の駆動力によって発電する発電機と、
N(Nは1以上の整数)個のモーターと、
を備える、
請求項1から3までのうちいずれか1項に記載の刈払装置。
【請求項5】
前記N個のモーターは、第1モーターを含み、
前記支持部材は、
前記移動機構と連結される第1部材と、
前記連結部と連結される第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との間に設けられ、前記第2部材を前記第2部材の長手方向に沿った軸を中心に回転させる前記第1モーターを有する回転機構と、
を備える、
請求項4に記載の刈払装置。
【請求項6】
前記第1モーターに流れる電流を計測する計測部と、
前記電流の計測値に基づいて、前記第2部材の回転を制御する制御部と、
を備える、
請求項5に記載の刈払装置。
【請求項7】
前記N個のモーターは、第2モーターを含み、
前記移動機構は、前記第2モーターを有し、前記第2モーターの駆動力によって第1の軸を中心に前記支持部材を回転させることで第1の角度を調整する角度調整機構を備え、
前記第1の角度は、前記移動機構の底面と、前記第1の軸と平行な軸および前記支持部材の中心軸を含む第1の平面とがなす角度である、
請求項4から6までのうちいずれか1項に記載の刈払装置。
【請求項8】
前記N個のモーターは、第3モーターを含み、
前記移動機構は、前記第3モーターを有し、前記第3モーターの駆動力によって前記支持部材を上下方向に移動させる上下調整機構を備える、
請求項4から7までのうちいずれか1項に記載の刈払装置。
【請求項9】
前記刈払刃と前記フレームとの間に配置された保護カバーを備え、
前記保護カバーは、前記刈払刃の上面を含む面に対して、各々が直交し、かつ所定の間隔で配置された複数のプレートを有する、
請求項1から8までのうちいずれか1項に記載の刈払装置。
【請求項10】
請求項1から9までのうちいずれか1項に記載の刈払装置と、
第1の支柱と、第2の支柱と、第3の支柱と、第4の支柱と、
前記第1の支柱と前記第2の支柱との間に張られた第1ワイヤーと、
前記第3の支柱と前記第4の支柱との間に張られた第2ワイヤーと、
前記第1ワイヤーに沿って移動する第1自走装置と、
前記第2ワイヤーに沿って移動する第2自走装置と、
前記第1自走装置と前記第2自走装置との間に張られた搬送ワイヤーとを備え、
前記ワイヤーは前記搬送ワイヤーである、
刈払システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈払装置および刈払システムに関する。
【背景技術】
【0002】
植林された樹木の生育を妨げる雑草などを刈り取る、所謂下刈り(または、下草刈り)に関する技術が開発されている。例えば、特許文献1には、巻き上げ装置を用いて架線を巻き上げることで、当該架線から吊り下げられた刈払装置を移動させ、当該刈払装置を用いて下刈りを行う刈払システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-136919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、例えば、山間部の斜面に沿って刈払装置を移動させるためには、架線を長く張る必要がある。このため、架線を巻き上げる巻き上げ機が大型化するという問題があった。また、特許文献1に記載の刈払装置は、柱状の形状をしており、長手方向に沿った軸を回転軸とする円盤状の刈払刃が設けられている。このため、山の斜面の角度に応じて、刈払刃の角度が調整できないといった問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る刈払装置の一態様は、ワイヤーに懸架される刈払装置であって、本体部と、柱状の支持部材と、前記支持部材と連結され前記ワイヤーに沿って移動する移動機構とを備え、前記本体部は、筒状のフレームと、前記フレームの一方の端部に設けられる刈払刃と、前記フレームに固定される発動機と、前記フレームにおいて前記一方の端部と前記発動機の固定箇所との間に位置し、前記フレームと前記支持部材とを連結する連結部とを備える。
【0006】
本発明に係る刈払システムの一態様は、刈払装置と、第1の支柱と、第2の支柱と、第3の支柱と、第4の支柱と、前記第1の支柱と前記第2の支柱との間に張られた第1ワイヤーと、前記第3の支柱と前記第4の支柱との間に張られた第2ワイヤーと、前記第1ワイヤーに沿って自走する第1自走装置と、前記第2ワイヤーに沿って自走する第2自走装置と、前記第1自走装置と前記第2自走装置との間に張られた搬送ワイヤーとを備え、前記ワイヤーは前記搬送ワイヤーである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る刈払装置によれば、連結部を備えるので、山の斜面の角度に応じて、刈払刀の角度を調整できる。また、本発明に係る刈払システムによれば、第1自走装置及び第2自走装置は巻き上げ機を用いることなく自走するので、システム全体を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る刈払システムSysについて説明するための模式図である。
図2】第1実施形態に係る刈払装置1の斜視図である。
図3】角度調整機構240および車体221の接続箇所を拡大した斜視図である。
図4】回転機構340および連結部105の構成を説明するための拡大図である。
図5】第1実施形態に係る刈払装置1の機能的構成を示すブロック図である。
図6図2における本体部100を+Y方向から-Y方向へ平面した場合の模式図である。
図7】保護カバー122の構成を説明するための拡大図である。
図8】本体部100を+Z方向から-Z方向へ平面した場合の模式図である。
図9】角度調整機構240および車体221の接続箇所を+Y方向から-Y方向へ平面視した場合の模式図である。
図10】角度調整機構240および車体221の接続箇所を+X方向から-X方向へ平面視した場合の模式図である。
図11】角度調整機構240および車体221の接続箇所を+X方向から-X方向へ平面視した場合の模式図である。
図12】変形例1に係る刈払システムSysAについて説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法および縮尺は実際と異なる場合があり、理解を容易にするために模式的に示す部分もある。また、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0010】
1.第1実施形態
第1実施形態では、ワイヤーW1およびワイヤーW2に沿って自走可能な移動機構200を備える刈払装置1と、刈払装置1が懸架されるワイヤーW1およびワイヤーW2を搬送する第1自走装置V1および第2自走装置V2とを有する刈払システムSysを例示して、本発明に係る刈払装置1および刈払システムSysについて説明する。本明細書において自走とは、移動するために必要な動力源を機構または装置が備えることを意味する。
【0011】
1.1.刈払システムの概要
図1は、第1実施形態に係る刈払システムSysについて説明するための模式図である。刈払システムSysは、下草Grを刈る刈払装置1と、支柱P1~P4と、ワイヤーW1およびワイヤーW2と、ワイヤーW3およびワイヤーW4と、第1自走装置V1および第2自走装置V2とを備える。
【0012】
ワイヤーW3は、支柱P1と、支柱P2との間に架けられる。ワイヤーW4は、支柱P3と、支柱P4との間に架けられる。第1自走装置V1は、ワイヤーW3に沿って移動する。第2自走装置V2は、ワイヤーW4に沿って移動する。本実施形態において、第1自走装置V1および第2自走装置V2は、各々、発動機と、発電機と、バッテリーと、モーターと、車輪とを搭載する。発電機は、発動機の駆動力によって発電する。そして、発電機は、バッテリーを充電する。モーターは、バッテリーを電源とすることで、車輪を駆動する。これにより、第1自走装置V1は、ワイヤーW3に沿って自走することができる。また、第2自走装置V2は、ワイヤーW4に沿って自走することができる。ワイヤーW1およびワイヤーW2は、第1自走装置V1と、第2自走装置V2との間に架けられる。換言すれば、ワイヤーW1およびワイヤーW2は、第1自走装置V1および第2自走装置V2を介して、ワイヤーW3と、ワイヤーW4との間に架けられる。このため、ワイヤーW3およびワイヤーW4は、互いに平行または略平行であることが好ましい。ワイヤーW3およびワイヤーW4が互いに平行または略平行である場合、ワイヤーW1およびワイヤーW2が撓みにくくなり、また、ワイヤーW1およびワイヤーW2へ過剰な張力が加わりにくくなる。刈払装置1は、ワイヤーW1およびワイヤーW2に懸架される。刈払装置1は、移動機構200を備える。移動機構200は、ワイヤーW1およびワイヤーW2に沿って、刈払装置1を移動させる。このため、ワイヤーW1およびワイヤーW2は、互いに平行または略平行であることが好ましい。以下では、便宜上、ワイヤーW1およびワイヤーW2が、第1自走装置V1と、第2自走装置V2との間に、互いに平行に架けられる場合を想定する。
【0013】
刈払装置1は、移動機構200がワイヤーW1およびワイヤーW2に沿って移動し、また、第1自走装置V1がワイヤーW3に沿って移動し、第2自走装置V2がワイヤーW4に沿って移動することで、支柱P1~P4に囲まれた範囲内を移動することができる。すなわち、ユーザーは、支柱P1~P4に囲まれた範囲内で、刈払装置1を移動させることによって、樹木Trを避けながら、支柱P1~P4に囲まれた範囲内の下草Grを刈ることができる。
【0014】
1.2.刈払装置の構成および機能
以下、図2図11を参照しつつ、第1実施形態に係る刈払装置1の構成および機能について説明する。
【0015】
図2は、第1実施形態に係る刈払装置1の斜視図である。刈払装置1は、本体部100と、移動機構200と、支持部材300とを備える。移動機構200は、搬送機構220と、角度調整機構240と、上下調整機構260とを備える。角度調整機構240は、搬送機構220の備える車体221に設けられる。上下調整機構260は、角度調整機構240と連結される。支持部材300は、第1部材320と、回転機構340と、第2部材360とを備える。回転機構340は、第1部材320と、第2部材360とを連結する。第2部材360は、柱状の部材である。支持部材300は、上下調整機構260と連結される。すなわち、支持部材300は、移動機構200と連結される。
【0016】
本体部100は、フレーム101と、発動機102と、発電機103と、連結部105と、刈払部120とを備える。フレーム101は、中空かつ柱状の部材である。連結部105は、本体部100と、支持部材300とを連結する。連結部105は、具体的には、フレーム101と、第2部材360とを連結する。本実施形態において、第1部材320、回転機構340、第2部材360および連結部105は、同一軸上に並ぶ。支持部材300は移動機構200と連結されることから、本体部100は、支持部材300を介して、移動機構200と連結される。
【0017】
発動機102は、内燃機関を含んで構成され、例えば、灯油等を燃料とする。発動機102は、フレーム101に固定される。発電機103は、発動機102の駆動力を、電力に変換する。また、発電機103は、刈払装置1が備える複数のモーターの電源として機能する。また、発電機103は、フレーム101に固定され、発動機102と、連結部105との間に位置する。
【0018】
搬送機構220は、車体221と、車輪222~225と、搬送モーター226および搬送モーター227とを備える。車輪222~225は、円盤状の部材であって、側面部の円周方向に沿ってV字型の溝を有する。また、車輪222~225は、車体221の一方の面に設けられる。なお、以下において、車体221における車輪222~225が設けられていない面を、「車体221の底面」と称することがある。車体221は、車輪222~225を、回動自在に支持する。搬送機構220は、車輪222~225を介して、ワイヤーW1およびワイヤーW2に懸架される。具体的には、車輪222および車輪224は、ワイヤーW2に懸架され、車輪223および車輪225は、ワイヤーW1に懸架される。搬送モーター226および搬送モーター227は、車体221に固定される。搬送モーター226は、発電機103を電源とすることで、車輪222および車輪223を駆動する。また、搬送モーター227は、発電機103を電源とすることで、車輪224および車輪225を駆動する。これにより、搬送機構220を備える移動機構200は、ワイヤーW1およびワイヤーW2に沿って、刈払装置1を移動させることができる。
【0019】
なお、本実施形態において、車体221の底面を含む面を、XY平面と称する。また、XY平面に含まれる軸であって、ワイヤーW1およびワイヤーW2と平行な軸を、X軸と称する。ここで、X軸と平行な方向のうち、車輪224から車輪222へ向かう方向を+X方向、+X方向と反対の方向を-X方向と設定する。また、XY平面に含まれる軸であって、X軸と垂直な軸を、Y軸と称する。ここで、Y軸と平行な方向のうち、車輪222から車輪223へ向かう方向を+Y方向、+Y方向と反対の方向を-Y方向と設定する。また、XY平面の法線と平行な軸を、Z軸と称する。ここで、Z軸と平行な方向のうち、車体221の底面から、車輪222~225が設けられる面へ向かう方向を+Z方向、+Z方向と反対の方向を-Z方向と設定する。図2において、第1部材320、回転機構340、第2部材360および連結部105は、各々、Z軸と平行に延びる。換言すれば、図2において、支持部材300および連結部105は、Z軸と平行である。
【0020】
図3は、角度調整機構240および車体221の接続箇所を拡大した斜視図である。角度調整機構240は、モーター241と、モーター242と、接続部材243と、接続部材244とを備える。また、角度調整機構240は、上下調整機構260と連結される。上下調整機構260は、モーター261と、ふたつのガイド262と、ギアボックス263とを備える。ギアボックス263は、モーター261と連結される。モーター241、モーター242およびモーター261は、搬送モーター226および搬送モーター227と同様、発電機103を電源とする。また、上下調整機構260は、第1部材320と連結される。すなわち、第1部材320は、移動機構200と連結される。第1部材320は、駆動ポール321と、ふたつのポール322と、固定部材323とを備える。なお、図3において、第1部材320は、Z軸と平行である。また、本実施形態において、モーター241の回転軸は、Y軸と平行である。また、モーター241の回転軸と平行な軸と、モーター242の回転軸と平行な軸とは、直交する。また、モーター242の回転軸と平行な軸と、第1部材320とは、直交する。すなわち、モーター242の回転軸と平行な軸と、支持部材300とは、直交する。
【0021】
モーター241は、車体221に固定される。接続部材243は、モーター241と、モーター242とを連結する。接続部材244は、モーター242と、ギアボックス263とを連結する。ガイド262は、円筒状の部材であって、接続部材244に固定される。また、ガイド262は、ふたつの底面を貫通する孔を有する。図3において、ガイド262の有するふたつの底面は、XY平面と平行である。また、ガイド262の有する孔は、ガイド262をZ軸と平行に貫通する。ガイド262の有する孔には、ポール322が挿通される。ポール322は、柱状の部材である。図3において、ポール322は、Z軸と平行に延びる。ギアボックス263は、ギアを含んで構成され、モーター261の駆動力を駆動ポール321へ伝達する。図3において、ギアボックス263は、モーター261の駆動力を駆動ポール321へ伝達することで、駆動ポール321を+Z方向または-Z方向へ移動させる。駆動ポール321は、所謂ラックギアであり、ギアボックス263の有するギアと噛み合う複数の歯を側面部に有する。図3において、駆動ポール321は、Z軸と平行に延びる柱状の部材であり、ギアボックス263を介してモーター261によって駆動されることで、+Z方向または-Z方向へ移動される。固定部材323は、駆動ポール321と、ふたつのポール322とを固定する板状の部材である。すなわち、固定部材323は、駆動ポール321がモーター261によって駆動されることで、駆動ポール321と同方向へ移動される。また、固定部材323は、駆動ポール321に伴って移動される際、ポール322を駆動ポール321と同方向へ移動させる。ポール322は、ガイド262に挿通され、ガイド262に往復動自在に支持される。駆動ポール321およびポール322は、固定部材323と、回転機構340とを連結する。
【0022】
以上より、図3において、ギアボックス263は、モーター261の駆動力を第1部材320へ伝達することで、第1部材320を+Z方向または-Z方向へ移動させる。すなわち、上下調整機構260は、モーター261の駆動力によって、支持部材300を+Z方向または-Z方向へ移動させることができる。
【0023】
図4は、回転機構340および連結部105の構成を説明するための拡大図である。回転機構340は、モーター341と、トルクリミッター342とを含んで構成される。
【0024】
モーター341は、発電機103を電源とすることで、トルクリミッター342を介して、第2部材360を、第2部材360の長手方向に沿った軸を中心に回転させる。すなわち、モーター341は、発電機103を電源とすることで、連結部105を介して第2部材360と連結された本体部100を、支持部材300の長手方向に沿った軸を中心に回転させる。
【0025】
トルクリミッター342は、カップリング(軸継手)の一種であり、過負荷がかかるとトルクの伝達を遮断する機能を有する。トルクリミッター342は、モーター341の駆動力を第2部材360へ伝達することで、第2部材360を回転させる。また、モーター341の駆動力が第2部材360へ伝達される状況において、トルクリミッター342に対して所定の値よりも大きいトルクが加えられた場合、トルクリミッター342は、第2部材360へ伝達される駆動力(トルク)を、所定の値以下に維持することができる。例えば、モーター341がトルクリミッター342および第2部材360を介して本体部100へ駆動力を伝達する状況において、本体部100が障害物と接触して正常に回転できない場合、トルクリミッター342は、本体部100へのトルクの伝達を遮断することで、モーター341の故障や本体部100の破損を防止することができる。
【0026】
連結部105は、角度調整軸151と、固定ネジ152および固定ネジ153と、ふたつのUボルト154と、上部部材155と、下部部材156とを備える。Uボルト154は、U字型の部材である。ふたつのUボルト154および下部部材156は、フレーム101を挟み込むことで固定する。上部部材155は、第2部材360に固定される。角度調整軸151は、上部部材155と、下部部材156とを連結する。また、上部部材155および下部部材156は、角度調整軸151軸を中心に回転する。固定ネジ152および固定ネジ153は、上部部材155と、下部部材156とを、任意の位置で固定する。すなわち、固定ネジ152および固定ネジ153を緩め、上部部材155および下部部材156を回転させた後、固定ネジ152および固定ネジ153を再度締め直すことで、第2部材360と、フレーム101とがなす角度を任意に変更できる。
【0027】
図5は、第1実施形態に係る刈払装置1の機能的構成を示すブロック図である。刈払装置1は、モーター241と、モーター242と、モーター261と、モーター341と、搬送モーター226と、搬送モーター227と、計測部106と、制御部400と、通信装置500とを備える。
【0028】
計測部106は、モーター341に流れる電流を計測する。そして、計測部106は、モーター341に流れる電流の計測値を、制御部400へ出力する。
【0029】
制御部400は、刈払装置1の制御プログラムや、ユーザーからの制御操作に基づく操作情報等の各種情報を記憶する記憶部と、CPU(Central Processing Unit)と、その他各種回路とを備える。なお、制御部400は、CPUの代わりに、FPGA(field-programmable gate array)等のプログラマブルロジックデバイスを備えるものでもよい。制御部400は、モーター241と、モーター242と、モーター261と、モーター341と、搬送モーター226と、搬送モーター227と、計測部106と、通信装置500と、電気的に接続される。制御部400は、CPUが、記憶部に記憶される制御プログラムに従って動作することで、刈払装置1の各部の動作を制御する。具体的には、制御部400は、モーター241と、モーター242と、モーター261と、モーター341と、搬送モーター226と、搬送モーター227との動作を制御する。
【0030】
制御部400は、計測部106から、モーター341に流れる電流の計測値を取得する。また、制御部400は、当該計測値に基づいて、モーター341の動作を制御する。換言すれば、制御部400は、当該計測値に基づいて、第2部材360の回転を制御する。モーター341に流れる電流は、モーター341にかかる負荷によって変化する。このため、例えば、モーター341にかかる負荷が過負荷な状態において、制御部400は、モーター341に流れる電流の計測値に基づいて、モーター341の動作を制御することで、モーター341にかかる負荷を低減する。なお、モーター341にかかる負荷が過負荷な状態において、制御部400は、モーター341に流れる電流の計測値に基づいて、モーター341以外の各部の動作を制御することで、モーター341にかかる負荷を低減してもよい。
【0031】
通信装置500は、例えば、コントローラー等の外部機器と通信を実行する。通信は、有線通信と無線通信とが含まれるが、無線通信であることが好ましい。例えば、刈払装置1のユーザーがコントローラーを用いて刈払装置1に対する操作を行う場合、当該コントローラーは、ユーザーからの操作に応じて、刈払装置1に対する操作の内容を示す制御情報を送信する。通信装置500は、当該コントローラーから送信された制御情報を受信する。制御部400は、制御情報に基づいて、刈払装置1の各部の動作を制御する。
【0032】
図6は、図2における本体部100を+Y方向から-Y方向へ平面視した場合の模式図である。本体部100は、フレーム101と、発動機102と、発電機103と、連結部105と、刈払部120とに加え、シャフト104を備える。刈払部120は、伝達機構121と、保護カバー122と、刈払刃123とを備える。
【0033】
シャフト104は、発動機102の駆動力を刈払部120へ伝達するための回転軸である。シャフト104は、フレーム101に内挿される。シャフト104は、発動機102によって駆動されることで、シャフト104の長手方向と平行な軸を中心に回転する。シャフト104は、刈払部120の備える伝達機構121を介して、刈払刃123へ発動機102の駆動力を伝達する。すなわち、発動機102は、シャフト104および伝達機構121を介して、刈払刃123を回転させる。また、シャフト104は、発電機103へ発動機102の駆動力を伝達する。これにより、発電機103は、発動機102の駆動力によって発電することができる。
【0034】
伝達機構121は、例えば、複数のギアによって構成される。伝達機構121は、発動機102の駆動力を刈払刃123へ伝達することで、刈払刃123を駆動する。換言すれば、伝達機構121は、シャフト104の回転を刈払刃123へ伝達することで、刈払刃123を回転させる。すなわち、伝達機構121は、シャフト104の回転を、刈払刃123の回転へ変換する。
【0035】
保護カバー122は、石等の障害物から刈払刃123を保護したり、また刈払刃123から刈払装置1のユーザーを保護したりするためのカバーである。保護カバー122は、刈払刃123と、フレーム101との間に配置される。
【0036】
刈払刃123は、下草Grを刈るための円盤状の刈刃である。刈払刃123は、発動機102の駆動力がシャフト104および伝達機構121を介して伝達されることで回転する。図6において、刈払刃123は、Z軸を中心に回転する。刈払装置1は、回転した刈払刃123を下草Grと接触させることで、下草Grを刈り払う。
【0037】
刈払部120は、フレーム101の端部L1に設けられる。すなわち、刈払刃123は、フレーム101の端部L1に設けられる。また、発動機102は、フレーム101の端部L2に固定される。端部L1および端部L2は、各々、フレーム101の先端部であって、互いに異なる先端部に位置する。また、連結部105は、端部L1と、端部L2との間の位置L3に設けられる。
【0038】
連結部105は、フレーム101を一の方向に回転させる力と、フレーム101を当該一の方向と反対の方向に回転させる力とが略等しくなる位置に設けられることが好ましい。換言すれば、連結部105を回転中心として、フレーム101にはたらく力のモーメントが略つり合うことが好ましい。具体的には、図6において、連結部105は、フレーム101をY軸と平行な軸を中心に時計回り方向に回転させる力と、フレーム101をY軸と平行な軸を中心に反時計回り方向に回転させる力とが略等しくなる位置に設けられることが好ましい。これにより、本体部100の姿勢が安定し、例えば、下刈り作業時や移動時に生じる揺れを低減することができる。本実施形態において、位置L3は、フレーム101をY軸と平行な軸を中心に時計回り方向に回転させる力と、フレーム101をY軸と平行な軸を中心に反時計回り方向に回転させる力とが略等しくなる位置である。また、角度調整軸151は、Y軸と平行である。
【0039】
図7は、保護カバー122の構成を説明するための拡大図である。保護カバー122は、複数のプレートPTを有する。プレートPTは、板状に形成される。複数のプレートPTは、各々、刈払刃123の上面を含む面と直交するように、保護カバー122に設けられる。また、複数のプレートPTは、互いに所定の間隔をあけて配置される。これにより、刈払部120は、石等の障害物から刈払刃123を保護し、また刈払刃123から刈払装置1のユーザーを保護しながら、下草Grを刈り払うことができる。複数のプレートPTは、互いに1cm以上かつ2cm以下の間隔をあけて配置されることが好ましい。当該間隔が1cm以上かつ2cm以下である場合、保護カバー122は、より効果的に、障害物から刈払刃123を保護し、また刈払刃123からユーザーを保護することができる。
【0040】
図8は、本体部100を+Z方向から-Z方向へ平面視した場合の模式図である。前述の通り、回転機構340の備えるモーター341は、発電機103を電源とすることで、連結部105を介して第2部材360と連結された本体部100を、支持部材300の長手方向に沿った軸(ここでは、Z軸と平行な軸)を中心に回転させる。すなわち、モーター341は、フレーム101の端部L1に設けられた刈払部120を、支持部材300の長手方向に沿った軸を中心に旋回させる。これにより、刈払装置1は、広範囲の下草Grを刈り払うことができる。
【0041】
図9は、角度調整機構240および車体221の接続箇所を+Y方向から-Y方向へ平面視した場合の模式図である。また、図9は、モーター241の動作を説明するための説明図である。角度調整機構240の備えるモーター241は、車体221に対する第1部材320の傾きを変化させる。具体的には、図9において、モーター241は、モーター241の回転軸を中心に第1部材320を所定の角度だけ回転させることで、車体221に対する第1部材320の傾きを変化させる。すなわち、角度調整機構240は、モーター241の駆動力によってモーター241の回転軸を中心に支持部材300を回転させることで、車体221の底面と、モーター241の回転軸と平行な軸および支持部材300の中心軸を含む平面とがなす角度を調整する。従って、角度調整機構240は、モーター241の駆動力によって、連結部105を介して支持部材300と連結された本体部100の姿勢を変化させる。これにより、刈払装置1は、斜面の下刈りを行う場合に、斜面の角度に応じて刈払部120の角度を変化させることができる。なお、本実施形態において、モーター241の回転軸と平行な軸および支持部材300の中心軸を含む平面を、「第1の平面」と称することがある。また、車体221の底面と、第1の平面とがなす角度を、「第1の角度」と称することがある。
【0042】
図10および図11は、角度調整機構240および車体221の接続箇所を+X方向から-X方向へ平面視した場合の模式図である。なお、図10および図11において、モーター241およびモーター242の図示は省略する。また、図10は、モーター242の動作を説明するための説明図である。角度調整機構240の備えるモーター242は、車体221に対する第1部材320の傾きを変化させる。具体的には、図10において、不図示のモーター242は、モーター242の回転軸を中心に第1部材320を所定の角度だけ回転させることで、車体221に対する第1部材320の傾きを変化させる。すなわち、角度調整機構240は、モーター242の駆動力によってモーター242の回転軸を中心に支持部材300を回転させることで、連結部105を介して支持部材300と連結された本体部100の姿勢を変化させる。これにより、刈払装置1は、斜面の下刈りを行う場合に、斜面の角度に応じて刈払部120の角度を変化させることができる。
【0043】
図11は、モーター261の動作を説明するための説明図である。前述の通り、ギアボックス263は、モーター261の駆動力を第1部材320へ伝達することで、第1部材320を+Z方向または-Z方向へ移動させる。すなわち、上下調整機構260は、モーター261の駆動力によって、支持部材300を+Z方向または-Z方向へ移動させる。従って、上下調整機構260は、モーター261の駆動力によって、連結部105を介して支持部材300と連結された本体部100を+Z方向または-Z方向へ移動させる。これにより、刈払装置1は、例えば、高低差のある場所の下刈りを行う場合に、地面までの距離に応じて刈払部120の高度を変化させることができる。
【0044】
なお、本実施形態において、+Z方向を上方向、-Z方向を下方向と称することがある。すなわち、上下調整機構260は、モーター261の駆動力によって、支持部材300を上方向または下方向へ移動させる。
【0045】
以上より、第1実施形態によれば、刈払装置1は、移動機構200によって、ワイヤーW1およびワイヤーW2に沿って移動することができる。また、ワイヤーW1およびワイヤーW2は、第1自走装置V1および第2自走装置V2の移動に伴って、支柱P1~P4に囲まれた範囲内を移動することができる。すなわち、刈払システムSysは、巻き上げ装置を使用することなく、所定の範囲内において、刈払装置1を移動させることができる。
【0046】
また、第1実施形態によれば、刈払装置1は、本体部100の姿勢、および、本体部100の地面からの高さを変化させることができる。すなわち、刈払装置1は、下刈りの対象となる地形に合わせて、刈払刃123の角度や地面までの距離を調整することができる。
【0047】
また、第1実施形態によれば、刈払装置1は、モーター341に対して過剰な負荷がかかる場合、モーター341にかかる負荷を低減することができる。すなわち、刈払装置1は、モーター341の故障を防止することができる。
【0048】
また、第1実施形態によれば、刈払部120は、刈払刃123の上面を含む面に対して各々直交し、かつ、所定の間隔をあけて配置された複数のプレートを有する保護カバー122を備える。すなわち、刈払装置1は、石等の障害物から刈払刃123を保護し、また刈払刃123から刈払装置1のユーザーを保護しながら、下草Grを刈り払うことができる。
【0049】
以上に説明したように、第1実施形態に係る刈払装置1は、ワイヤーW1およびワイヤーW2に懸架される刈払装置1であって、本体部100と、柱状の支持部材300と、支持部材300と連結されワイヤーW1およびワイヤーW2に沿って移動する移動機構200とを備え、本体部100は、筒状のフレーム101と、フレーム101の端部L1に設けられる刈払刃123と、フレーム101に固定される発動機102と、フレーム101において端部L1と端部L2との間に位置し、フレーム101と支持部材300とを連結する連結部105とを備える。
【0050】
また、第1実施形態に係る刈払システムSysは、刈払装置1と、支柱P1と、支柱P2と、支柱P3と、支柱P4と、支柱P1と支柱P2との間に張られたワイヤーW3と、支柱P3と支柱P4との間に張られたワイヤーW4と、ワイヤーW3に沿って移動する第1自走装置V1と、ワイヤーW4に沿って移動する第2自走装置V2と、第1自走装置V1と第2自走装置V2との間に張られた搬送ワイヤーとを備え、ワイヤーW1およびワイヤーW2は搬送ワイヤーである。
【0051】
すなわち、本実施形態に係る刈払装置1は、ワイヤーに沿って自走することができる。これにより、刈払システムSysは、巻き上げ装置を使用することなく、簡素な構成で下刈り作業を行うことができる。
【0052】
なお、第1実施形態において、刈払装置1は「刈払装置」の一例であり、本体部100は「本体部」の一例であり、支持部材300は「支持部材」の一例であり、移動機構200は「移動機構」の一例であり、フレーム101は「フレーム」の一例であり、端部L1は「一方の端部」の一例であり、刈払刃123は「刈払刃」の一例であり、発動機102は「発動機」の一例であり、端部L2は「発動機の固定箇所」の一例であり、連結部105は「連結部」の一例であり、支柱P1は「第1の支柱」の一例であり、支柱P2は「第2の支柱」の一例であり、支柱P3は「第3の支柱」の一例であり、支柱P4は「第4の支柱」の一例であり、ワイヤーW3は「第1ワイヤー」の一例であり、ワイヤーW4は「第2ワイヤー」の一例である。また、第1実施形態において、「ワイヤー」および「搬送ワイヤー」は、各々、ワイヤーW1およびワイヤーW2を一例とする。
【0053】
また、第1実施形態に係る刈払装置1において、連結部105は、フレーム101を第1方向に回転させる力とフレーム101を第1方向と反対の第2方向に回転させる力とが略等しくなる位置L3に設けられる。
【0054】
すなわち、本実施形態に係る刈払装置1において、本体部100の姿勢が安定し、下刈り作業時や移動時等に生じる揺れが低減される。これにより、刈払装置1は、下刈り作業を実施する状況において、刈払部120を障害物等に接触させる可能性を低減することができる。
【0055】
なお、第1実施形態において、位置L3は「位置」の一例である。また、第1実施形態において、「第1方向に回転させる力」は、例えば、図6において、フレーム101をY軸と平行な軸を中心に時計回り方向に回転させる力を一例とする。また、「第1方向と反対の第2方向に回転させる力」は、例えば、図6において、フレーム101をY軸と平行な軸を中心に反時計回り方向に回転させる力を一例とする。
【0056】
また、第1実施形態に係る刈払装置1は、フレーム101に内挿され、発動機102によって駆動されるシャフト104と、シャフト104の回転を刈払刃123に伝達する伝達機構121と、を備える。
【0057】
すなわち、本実施形態に係る刈払装置1は、伝達機構121を介して刈払刃123に駆動力を伝達するシャフト104を、装置から露出させない。これにより、刈払装置1は、例えば、ユーザーがシャフト104の回転に巻き込まれるリスクを低減することができる。
【0058】
なお、第1実施形態において、シャフト104は「回転軸」の一例であり、伝達機構121は「伝達機構」の一例である。
【0059】
また、第1実施形態に係る刈払装置1は、発動機102の駆動力によって発電する発電機103と、N(Nは1以上の整数)個のモーターと、を備える。
【0060】
これにより、本実施形態に係る刈払装置1は、発電機103を各モーターの電源とすることで、外部からの電力供給を必要とすることなく、各部を動作させることができる。
【0061】
なお、第1実施形態において、発電機103は「発電機」の一例である。また、第1実施形態において、「N(Nは1以上の整数)個のモーター」は、搬送モーター226、搬送モーター227、モーター241、モーター242、モーター261およびモーター341を一例とする。
【0062】
また、第1実施形態に係る刈払装置1において、N個のモーターは、モーター341を含み、支持部材300は、移動機構200と連結される第1部材320と、連結部105と連結される第2部材360と、第1部材320と第2部材360との間に設けられ、第2部材360を第2部材360の長手方向に沿った軸を中心に回転させるモーター341を有する回転機構340と、を備える。
【0063】
すなわち、本実施形態に係る刈払装置1は、モーター341を用いることで、連結部105を介して第2部材360と連結された本体部100の備える刈払刃123を、第2部材360の長手方向に沿った軸を中心に旋回させることができる。これにより、刈払装置1は、一度に広範囲の下草Grを刈り払うことができる。
【0064】
なお、第1実施形態において、モーター341は「第1モーター」の一例であり、第1部材320は「第1部材」の一例であり、第2部材360は「第2部材」の一例であり、回転機構340は「回転機構」の一例である。
【0065】
また、第1実施形態に係る刈払装置1は、モーター341に流れる電流を計測する計測部106と、モーター341に流れる電流の計測値に基づいて、第2部材360の回転を制御する制御部400と、を備える。
【0066】
すなわち、本実施形態に係る刈払装置1は、例えば、モーター341にかかる負荷が過負荷な状態において、モーター341に流れる電流の計測値に基づいて、モーター341の動作を制御することで、モーター341にかかる負荷を低減することができる。これにより、刈払装置1は、例えば、モーター341の故障を防止することができる。
【0067】
なお、第1実施形態において、計測部106は「計測部」の一例であり、制御部400は「制御部」の一例である。
【0068】
また、第1実施形態に係る刈払装置1において、N個のモーターは、モーター241を含み、移動機構200は、モーター241を有し、モーター241の駆動力によってモーター241の回転軸を中心に支持部材300を回転させることで第1の角度を調整する角度調整機構240を備える。ここで、第1の角度は、移動機構200の底面と、モーター241の回転軸と平行な軸および支持部材300の中心軸を含む第1の平面とがなす角度である。
【0069】
すなわち、本実施形態に係る刈払装置1は、例えば、斜面の下刈りを行う場合において、支持部材300と連結された本体部100の備える刈払刃123を、斜面の角度に応じて傾けることができる。これにより、刈払装置1は、地形に沿って下刈りを行うことができるため、刈払刃123を地面に接触させるリスクを低減することができる。
【0070】
なお、第1実施形態において、モーター241は「第2モーター」の一例であり、モーター241の回転軸は「第1の軸」の一例であり、角度調整機構240は「角度調整機構」の一例である。
【0071】
また、第1実施形態に係る刈払装置1において、N個のモーターは、モーター261を含み、移動機構200は、モーター261を有し、モーター261の駆動力によって支持部材300を上下方向に移動させる上下調整機構260を備える。
【0072】
すなわち、本実施形態に係る刈払装置1は、例えば、高低差のある場所の下刈りを行う場合において、支持部材300と連結された本体部100の備える刈払刃123の地面までの距離を調整することができる。これにより、刈払装置1は、地形に合わせて刈払刃123の高さを変化させることで、下草Grを根本付近から刈り払うことができる。
【0073】
なお、第1実施形態において、モーター261は「第3モーター」の一例であり、上下調整機構260は「上下調整機構」の一例である。
【0074】
また、第1実施形態に係る刈払装置1は、刈払刃123とフレーム101との間に配置された保護カバー122を備え、保護カバー122は、刈払刃123の上面を含む面に対して、各々が直交し、かつ所定の間隔で配置された複数のプレートPTを有する。
【0075】
すなわち、本実施形態に係る刈払装置1は、複数のプレートPTを有する保護カバー122を備えることで、石等の障害物から刈払刃123を保護し、また刈払刃123から刈払装置1のユーザーを保護しながら、下草Grを刈り払うことができる。これにより、刈払装置1は、刈り払い作業を安全に実行することができる。
【0076】
なお、第1実施形態において、保護カバー122は「保護カバー」の一例であり、プレートPTは「プレート」の一例である。
【0077】
2.変形例
以上の実施形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。また、以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜併合され得る。なお、以下に例示する変形例において作用や機能が前述の実施形態と同等である要素については、以上の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜省略する。
【0078】
2.1.変形例1
前述の実施形態において、刈払装置1が懸架される2本のワイヤーが、第1自走装置V1と、第2自走装置V2との間に架けられる場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、刈払装置1が懸架される2本のワイヤーは、2本の支柱の間に架けられるような態様であってもよい。
【0079】
図12は、変形例1に係る刈払システムSysAについて説明するための模式図である。刈払システムSysAは、支柱P1~P4の代わりに支柱P5および支柱P6を備える点と、ワイヤーW1およびワイヤーW2の代わりにワイヤーW5およびワイヤーW6を備える点と、ワイヤーW3、ワイヤーW4、第1自走装置V1および第2自走装置V2を備えない点とにおいて、第1実施形態に係る刈払システムSysと相違する。本変形例において、刈払装置1は、ワイヤーW5およびワイヤーW6に懸架される。移動機構200は、ワイヤーW5およびワイヤーW6に沿って、刈払装置1を移動させる。ワイヤーW5およびワイヤーW6は、支柱P5と、支柱P6との間に架けられる。すなわち、刈払システムSysAは、刈払装置1が懸架される2本のワイヤーが、第1自走装置V1および第2自走装置V2の間に架けられる代わりに、2本の支柱(支柱P5および支柱P6)の間に架けられる点において、第1実施形態に係る刈払システムSysと相違する。
【0080】
以上より、変形例1によれば、刈払装置1は、支柱P5と、支柱P6との間に架けられたワイヤーW5およびワイヤーW6に懸架される。また、刈払装置1は、移動機構200によって、ワイヤーW5およびワイヤーW6に沿って移動することができる。すなわち、刈払システムSysAは、刈払システムSysと比べて、より簡素な構成で下刈り作業を行うことができる。
【0081】
2.2.変形例2
前述の実施形態および変形例において、刈払装置1がユーザーからの制御操作の内容を示す操作情報に基づいて、刈払装置1の各部の動作を制御する場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、傾きの程度を検出可能な複数のセンサーを設け、当該センサーから出力された傾きの程度を示す情報に基づいて、各部の動作を制御してもよい。傾きの程度を検出可能なセンサーとしては、加速度センサーや、ジャイロセンサー等が採用され得る。
【0082】
例えば、車体221と、連結部105とに、加速度センサーを設けてもよい。車体221と、連結部105とに、加速度センサーを設けた場合、車体221に設けられた加速度センサーおよび連結部105に設けられた加速度センサーの各々から出力された傾きの程度を示す情報に基づいて、モーター241およびモーター242の動作を制御することができる。これにより、例えば、車体221が水平な状態ではない場合であっても、支持部材300の傾きを容易にコントロールすることが可能となり、下刈り作業を適切に実行することができる。また、下刈り作業を行う際にモーター341等の駆動部にかかる負荷は、例えば、刈払刃123と、刈り払われる対象物とがなす角度によって変化する。このため、加速度センサーから出力された傾きの程度を示す情報に基づいて、刈払刃123の傾きをコントロールすることで、モーター341等の駆動部にかかる負荷を低減することができる。
【0083】
2.3.変形例3
前述の実施形態および変形例において、無線通信を用いて、ユーザーから制御情報を取得する場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、GPS(Global Positioning System)の人工衛星から発せられる電波を受信することで、現在位置を示す情報を取得してもよい。このような場合、GPS機能に対応するアンテナを備えることが好ましい。
【0084】
例えば、刈払装置1と、第1自走装置V1と、第2自走装置V2とに、GPS機能に対応するアンテナと、所定の無線通信規格に準拠した無線通信に対応するアンテナとを設ける。刈払装置1、第1自走装置V1および第2自走装置V2は、GPSの人工衛星から、各々の現在位置を示す情報を取得する。刈払装置1は、無線通信を用いて、第1自走装置V1から第1自走装置V1の現在位置を示す情報を取得し、第2自走装置V2から第2自走装置V2の現在位置を示す情報を取得する。また、刈払装置1は、刈払装置1の目的地となる地点の位置情報と、刈払装置1の現在位置を示す情報と、第1自走装置V1の現在位置を示す情報と、第2自走装置V2の現在位置を示す情報とに基づいて、当該地点に到達するために必要なモーターの回転数を算出する。そして、刈払装置1は、無線通信を用いて、第1自走装置V1と、第2自走装置V2とに、各々のモーターの回転数を通知する。刈払装置1、第1自走装置V1および第2自走装置V2は、各々、算出された回転数でモーターを駆動することで、刈払装置1を目的地となる地点へ到達させることができる。なお、刈払装置1の目的地となる地点の位置情報は、例えば、予め制御部400の備える記憶部に記憶されていてもよいし、無線通信を用いて、ユーザーから取得されてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1…刈払装置、100…本体部、101…フレーム、102…発動機、103…発電機、104…シャフト、105…連結部、106…計測部、120…刈払部、121…伝達機構、122…保護カバー、123…刈払刃、151…角度調整軸、152…固定ネジ、154…Uボルト、155…上部部材、156…下部部材、200…移動機構、220…搬送機構、221…車体、222~225…車輪、226…搬送モーター、240…角度調整機構、241…モーター、242…モーター、243…接続部材、260…上下調整機構、261…モーター、262…ガイド、263…ギアボックス、300…支持部材、320…第1部材、321…駆動ポール、322…ポール、323…固定部材、340…回転機構、341…モーター、342…トルクリミッター、360…第2部材、400…制御部、500…通信装置、L1…端部、L3…位置、P1~P6…支柱、PT…プレート、V1…第1自走装置、V2…第2自走装置、W1~W6…ワイヤー、Gr…下草、Tr…樹木、Sys…刈払システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12