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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012882
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】滅菌装置
(51)【国際特許分類】
   F16J 13/18 20060101AFI20230119BHJP
   A61L 2/00 20060101ALI20230119BHJP
   A61L 2/06 20060101ALN20230119BHJP
【FI】
F16J13/18
A61L2/00
A61L2/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116617
(22)【出願日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000148025
【氏名又は名称】サクラ精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 憲明
(72)【発明者】
【氏名】牧 登志夫
【テーマコード(参考)】
3J046
4C058
【Fターム(参考)】
3J046AA12
3J046AA13
3J046BC01
3J046BC03
3J046DA10
4C058AA12
4C058BB05
4C058DD03
4C058EE01
4C058EE02
(57)【要約】
【課題】扉を下降させる場合であっても扉の下端部と床面との間での挟み込みを防止する。
【解決手段】開口部31の周縁に本体爪部38が形成された、圧力容器又は耐圧密閉容器である容器本体33と、本体爪部38と係合する扉爪部36が周縁に形成され、容器本体33に対して上下動することで本体爪部38と扉爪部36との係合及び解除を実行できるように上下動可能であって、且つ本体爪部38と扉爪部36とが係合していない状態のときに容器本体33の開口部31に対して外開き可能に設けられた扉32と、扉32の前面に配置されて、扉32を上下方向に摺動可能に支持し、且つ扉32の上下方向の長さよりも上下方向の長さが長く形成されて、扉32と一体に外開き可能に設けられた扉カバー34と、扉32を、扉カバー34の上端部及び下端部から突出しない範囲で上下方向に移動させるための移動装置50とを具備する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面側に開口する開口部の周縁に本体爪部が形成された、圧力容器又は耐圧密閉容器である容器本体と、
前記本体爪部と係合する扉爪部が周縁に形成され、前記容器本体に対して上下動することで前記本体爪部と扉爪部との係合及び解除を実行できるように上下動可能であって、且つ前記本体爪部と扉爪部とが係合していない状態のときに前記容器本体の開口部に対して外開き可能に設けられた扉と、
前記扉の前面に配置されて、前記扉を上下方向に摺動可能に支持し、且つ前記扉の上下方向の長さよりも上下方向の長さが長く形成されて、前記扉と一体に外開き可能に設けられた扉カバーと、
前記扉を、前記扉カバーの上端部及び下端部から突出しない範囲で上下方向に移動させるための移動装置と、を具備することを特徴とする滅菌装置。
【請求項2】
前記扉カバーには、前記扉の上下方向の位置を表示するインジケータが設けられていることを特徴とする請求項1記載の滅菌装置。
【請求項3】
前記インジケータは、前記扉カバー正面において上下方向に沿って開口する開口溝と、前記扉の前面側から前方に突出して前記開口溝に収容される突出部と、を有することを特徴とする請求項2記載の滅菌装置。
【請求項4】
前記扉は、前記扉カバーに対して上下2カ所で摺動可能に支持されていることを特徴とする請求項1~請求項3のうちのいずれか1項記載の滅菌装置。
【請求項5】
前記移動装置は、
往復動するロッドを有する直動装置が前記扉カバーに取り付けられ、ロッドの先端が前記扉に取り付けられて構成されていることを特徴とする請求項1~請求項4のうちのいずれか1項記載の滅菌装置。
【請求項6】
前記移動装置は、
往復動するロッドを有する直動装置が、ロッドが水平方向を向くように前記扉カバーに取り付けられ、ロッドの水平方向の往復動を上下方向の往復動に変換する変換機構がロッドの先端と扉との間に設けられていることを特徴とする請求項1~請求項4のうちのいずれか1項記載の滅菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被滅菌物を滅菌する滅菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病院等においては、治療用の包帯、メス、鉗子、手術着等の滅菌が必要な被滅菌物を滅菌処理する必要がある。このような被滅菌物の滅菌には、被滅菌物を収容する圧力容器や耐圧密閉容器を有し、飽和蒸気、酸化エチレンガス、又は気化させた過酸化水素などの滅菌剤を使用する滅菌装置が用いられることが多い。
【0003】
滅菌装置を構成する圧力容器又は耐圧密閉容器には、圧力容器又は耐圧密閉容器の開口部を開閉する扉が設けられている。
特許文献1には、滅菌装置を構成する圧力容器又は耐圧密閉容器における扉構造が開示されている。
特許文献1に開示された扉構造によれば、圧力容器又は耐圧密閉容器の扉と、圧力容器の本体又は耐圧密閉容器の本体(以下、容器本体と称する)には、それぞれ複数の係止爪が設けられており、容器本体の複数の係止爪と、扉の複数の係止爪が互いに係止することにより扉がロックされる。
【0004】
容器本体に設けられている複数の係止爪は、上方から見るとL字状の部材で構成されており、容器本体の開口部の前方側の端面の左右両側から前方側に向けて突出し、そこから内側に向けて互いに向かい合うように突出して配置されている。すなわち、容器本体に設けられている係止爪は、開口部の前方側の端面との間で隙間を有するようにして設けられている。
【0005】
扉に設けられている複数の係止爪は、扉の左右両側に突出するようにして配置されており、容器本体に設けられている複数の係止爪の開口部の前方側の端面との間の隙間に位置するように設けられている。
扉を閉じて容器本体内の圧力を上昇させる際には、容器本体に設けられている複数の係止爪と扉に設けられている複数の係止爪とが係止するような位置に扉を上下動させる。
扉を開ける場合には、扉を上下動させて扉の複数の係止爪が容器本体に設けられている複数の係止爪と係止しない位置に移動させて扉を開閉可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-190357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
扉の開閉時に、扉と容器本体の係止爪の係止及び係止解除するために扉を上下動する構造の滅菌装置においては、次のような課題がある。
扉を開けて被滅菌物を容器本体へ収納し、また容器本体から取り出したりした後、扉を閉めて扉と容器本体の係止爪同士を係止させるために扉を下降させていく場合、下降する扉と床面との間で何らかの物体が挟み込まれてしまう可能性があり、特に作業者が足を置いていると下降する扉と床面との間で作業者の足が挟み込まれてしまい危険性が高い。
【0008】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、扉を下降させる場合であっても扉の下端部と床面との間での挟み込みを防止することができる滅菌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる滅菌装置によれば、前面側に開口する開口部の周縁に本体爪部が形成された、圧力容器又は耐圧密閉容器である容器本体と、前記本体爪部と係合する扉爪部が周縁に形成され、前記容器本体に対して上下動することで前記本体爪部と扉爪部との係合及び解除を実行できるように上下動可能であって、且つ前記本体爪部と扉爪部とが係合していない状態のときに前記容器本体の開口部に対して外開き可能に設けられた扉と、前記扉の前面に配置されて、前記扉を上下方向に摺動可能に支持し、且つ前記扉の上下方向の長さよりも上下方向の長さが長く形成されて、前記扉と一体に外開き可能に設けられた扉カバーと、前記扉を、前記扉カバーの上端部及び下端部から突出しない範囲で上下方向に移動させるための移動装置と、を具備することを特徴としている。
この構成を採用することによって、扉が閉じた状態から扉を開ける場合には、本体爪部と扉爪部の係合を解除するために、移動装置が扉を上昇させる。このとき、扉は、扉カバーに対して上下方向に摺動可能に支持されているので、扉カバーは上下動せずに扉のみが上昇し、本体爪部と扉爪部との係合が解除される。
また、係合が解除された状態において、扉を外開きする場合には、扉カバーが容器本体に対して外開きするため、扉カバーに支持されている扉も扉カバーと一体となって外開きする。
扉を閉じる場合には、外開きの状態から扉カバー及び扉を閉じ、移動装置が扉を下降させる。このとき、扉は、扉カバーに対して上下方向に摺動可能に支持されているので、扉カバーは上下動せずに扉のみが下降し、本体爪部と扉爪部とが係合する。このように、扉カバーは上下動せずに、扉カバーの内側で扉のみが上下動するので、扉が下降するときに、扉と床面との間に物を挟み込むようなことが無く、特に作業者の足などを挟み込んでしまう危険性を排除できる。
【0010】
また、前記扉カバーには、前記扉の上下方向の位置を表示するインジケータが設けられていることを特徴としてもよい。
この構成によれば、作業者は、扉カバーの内側で扉が上下動しても、扉がどの位置にあるのかをインジケータによって確認できる。
【0011】
また、前記インジケータは、前記扉カバー正面において上下方向に沿って開口する開口溝と、前記扉の前面側から前方に突出して前記開口溝に収容される突出部と、を有することを特徴としてもよい。
【0012】
また、前記扉は、前記扉カバーに対して上下2カ所で摺動可能に支持されていることを特徴としてもよい。
この構成によれば、扉が扉カバーに対して前後方向に揺動することを防止できる。
【0013】
また、前記移動装置は、往復動するロッドを有する直動装置が前記扉カバーに取り付けられ、ロッドの先端が前記扉に取り付けられて構成されていることを特徴としてもよい。
【0014】
また、前記移動装置は、往復動するロッドを有する直動装置が、ロッドが水平方向を向くように前記扉カバーに取り付けられ、ロッドの水平方向の往復動を上下方向の往復動に変換する変換機構がロッドの先端と扉との間に設けられていることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の滅菌装置によれば、扉を下降させる場合であっても扉の下端部と床面との間での挟み込みを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】滅菌装置の概略正面図である。
図2】扉が上昇したところを示す滅菌装置の概略正面図である。
図3】扉と扉カバーの位置関係を示す斜視図である。
図4】扉カバー内側の構造を示す正面図である。
図5】扉カバー内側の構造を示す斜め右側からの斜視図である。
図6】扉カバー内側の構造を示す斜め左側からの斜視図である。
図7】扉の上下動動作を実行する制御系のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1及び図2に滅菌装置を正面から見たところを示す。なお、図1図2では扉カバー34の裏側に位置する扉32、開口部31、容器本体33は破線で図示している。
図3は、扉カバーと扉の位置関係を示す斜視図である。なお、図3では滅菌装置の前面側のみを示している。
【0018】
滅菌装置30は、圧力容器又は耐圧密閉容器である容器本体33を有している。本実施形態の滅菌装置30は、例として蒸気滅菌装置であるとし、容器本体33内に被滅菌物であるメス、鉗子等の被滅菌物を収容可能としている。
【0019】
容器本体33の前面側には、開口部31が形成されており、開口部31を開閉するための扉32が設けられている。扉32の正面には扉カバー34が設けられている。
容器本体33は、前面側から見て上下方向にやや長い概略長方形状をしており、開口部31も正面視すると概略長方形状をしている。
また、開口部31を閉塞する扉32も開口部31を閉塞できる大きさの概略長方形状をしている。
【0020】
扉カバー34は、正面から見ると扉32が完全に隠れる状態の大きさを有している。また、扉32が扉カバー34の内側で上下動した場合であっても、扉カバー34は上下動することは無い。
【0021】
滅菌装置30は、本実施形態では床面Gに設置しており、扉カバー34の下端部の位置は、床面Gにほぼ接する程度の長さとなるように構成されている。
したがって、床面Gと扉カバー34の下端部との間には隙間は生じていない。
なお、滅菌装置30は、床面Gよりも下方に凹んだ凹部内に配置することもあるが、この場合であっても、扉カバー34の下端部の位置は床面Gにほぼ接する程度とし、床面Gと扉カバー34の下端部との間には隙間は生じさせない。
【0022】
扉32には、容器本体33と係合するための複数の扉爪部36が設けられている。本実施形態では、扉爪部36は、扉32の左右両側において上下方向に沿って複数配置されている。
容器本体33の開口部31の左右周縁には、扉爪部36と係合する複数の本体爪部38が設けられている。
具体的には、複数の本体爪部38は、開口部31の周縁と所定の隙間を空けるように、前方側に突出した位置に配置されている。扉32の扉爪部36は、本体爪部38と開口部31の周縁の間に配置され、扉32の上下動によって本体爪部38と開口部31の周縁の間の隙間内を摺動する。
【0023】
図1では、扉32は閉じた状態であって、扉32の扉爪部36は、本体爪部38と開口部31の周縁との間に位置することで、扉32が容器本体33から開かないように扉爪部36と本体爪部38が係合している。
図2は、扉32を上昇させて、扉爪部36が、本体爪部38と隣接する本体爪部38との間に位置している状態を示す。この状態では、扉爪部36と本体爪部38とが係合していないので、扉32は開口部31に対して開くことができる。
【0024】
図4に扉カバー内側の内部構成を示す正面図を示し、図5図6図3の内部構造を右斜め及び左斜めから見たところを示している。
なお、図4図6では、扉カバー34を省略しており、扉カバー34が取り付けられる上下方向に伸びる左右枠40a、40bと、左右枠40a、40bの上端部を水平方向に連結する上枠40cと、左右枠40a、40bの下端部を水平方向に連結する下枠40dを含む四角形状の枠体40が示されている。ただし、図6では扉カバーの枠体40は省略している。
また、枠体40には、左右枠40a、40bを連結するように水平方向に支持する複数本の横枠41が設けられている。
【0025】
横枠41の奥に扉32が配置されており、右枠40bと横枠41との間に蝶番44が固定され、蝶番44は枠体40(扉カバー34)と一体となっている。
蝶番44は、図5に示すように、容器本体33との間で上下方向を軸線方向とした複数の回動軸46によって、扉カバー34を外開き可能となるように取り付けられている。
【0026】
なお、本実施形態では、蝶番44の回動軸46は、容器本体33の右側に取り付けられているため、扉カバー34は、左側から開くように構成されている。
しかし、蝶番44の回動軸46を容器本体33の左側に取り付け、扉カバー34を右側から開くような構成であってもよい。
【0027】
扉32は、扉カバー34に対して上下動自在となるように支持されている。本実施形態では、扉カバー34の枠体40に固定された蝶番44に、扉32が上下動自在に支持されているが、扉カバー34、枠体40、または横枠41のいずれかに扉32が上下動自在に支持されていてもよい。
扉32の前面側には上下方向に延びる支持棒48が設けられ、この支持棒48が蝶番44に対して上下方向に摺動可能となるように支持されている。
この支持棒48は、扉32の前面側において上部と下部の2カ所に設けられている。このため扉32は扉カバー34に対して、前後方向に揺動することを防止できる。
【0028】
扉32を扉カバー34に対して上下動させる上下動機構50は、横枠41においてロッド53が水平方向に駆動するよう配置された直動装置52と、直動装置52によって水平方向に駆動するロッド53の先端部に取り付けられたクランク部54とを有している。
クランク部54は、「く」の字状に形成された部材であって、クランク部54の一端がロッド53の先端部に対して回動自在に取り付けられ、クランク部54の他端が支点として蝶番44(又は扉カバー34の枠体40の一部)に対して回動自在に取り付けられている。そしてクランク部54の折れ曲がった中間部が扉32に回動自在に取り付けられている。
【0029】
直動装置52によってロッド53が水平方向に伸びると、クランク部54の折れ曲がった中間部は下降するように回動し、扉32を下降させる。
直動装置42によってロッド53が水平方向に縮むと、クランク部54の折れ曲がった中間部が上昇するように回動し、扉32を上昇させる。
【0030】
このように、直動装置52を、ロッド53が水平方向に伸縮するように配置したことにより、横枠41の扉カバー34と扉32の狭い隙間であっても支障なく扉32を上下動させることができる。
【0031】
また、直動装置52としては、アクチュエータ、モータとボールネジの組み合わせ、エアシリンダーなどロッド53を突出入させることができればどのような構成を採用してもよい。
【0032】
扉カバー34には、現在の扉32の上下方向の位置を示すインジケータ60が設けられている。
インジケータ60は、扉カバー34正面において上下方向に沿って開口する開口溝62と、扉32の前面側から前方に突出して開口溝62に収容される突出部64とを有している。突出部64の先端部は視認しやすいように、扉カバー34の前面側とは異なる色、例えば赤色などの色にしておくとよい。
【0033】
扉カバー34が上下動せず、扉カバー34の内側で扉32が上下動すると、作業者には扉32がどの位置にあるかがわからないため、インジケータ60を設けることにより、作業者は現在の扉32の上下方向の位置を把握することができる。
【0034】
また、インジケータ60は、扉32の前面側に設けられた突出部64によって、扉32の上下方向の位置を直接表示しているために、故障や誤動作のおそれがなく確実な表示が行える。
【0035】
扉カバー34には、作業者が扉32を外開きする際に把持するための取っ手66が設けられている。
本実施形態では、蝶番44の回動軸46が正面視右側に設けられているため、取っ手66は正面視左側に設けられている。外開きの開く方向を逆にする場合には、蝶番44の回動軸46を正面視左側に設けて取っ手66を正面視右側に設ける。
【0036】
図7に、扉32の上下動の制御にかかわる制御系のブロック図を示す。
滅菌装置30には、装置全体の動作を制御する制御部70が設けられている。制御部70は、予め設定された動作プログラムに基づいて動作するCPU及びメモリ等から構成される。
滅菌装置30には、扉32の駆動スイッチ72が設けられており、作業者が駆動スイッチ72を操作することにより、扉32と容器本体33との各爪部36、38どうしの係合又は係合解除が行われる。
【0037】
また、制御部70には、扉32が上昇した位置(扉32と容器本体33との各爪部36、38の係合が解除されている)か、扉32が下降した位置(扉32と容器本体33との各爪部36、38が係合している)かのどちらかを検出している扉位置センサー75からの信号が入力される。
【0038】
滅菌工程を実施する前の段階においては、扉32は扉カバー34の内側で上昇しており、扉32と容器本体33との各爪部36、38どうしの係合が解除された状態であって、作業者は取っ手66を把持して扉32(扉32と一体となった扉カバー34も含め)を自由に外開き可能となっている。
【0039】
作業者は、容器本体33内に被滅菌物を収納した後、取っ手66を把持して扉32(扉32と一体となった扉カバー34も含め)を閉じる。そして、作業者は駆動スイッチ72を操作する。
作業者によって操作された駆動スイッチ72は制御部70に開閉信号を出力する。
開閉信号を受信した制御部70は、扉位置センサー75が扉32が上昇した位置にあることを検出している場合であれば、上下動機構50の直動装置52に扉32を下降させる制御信号を出力する。扉32を下降させる制御信号を受信した直動装置52は、ロッド53を突出させる方向に動作する。ロッド53の突出によりクランク部54の中間部が下降し、これに伴って扉32が下降する。
【0040】
扉32は、予め設定された所定距離下降する。制御部70は、予め扉32の上下動距離に基づく直動装置52の動作時間を記憶しておき、扉32が所定距離下降するように直動装置52を制御する。
扉32の上下動は、扉爪部36と本体爪部38の係合及び係合解除にあるため、複数設けられた本体爪部38どうしの間隔の半分の距離だけ扉32は上下動すれば良い。本実施形態では、扉32の上下動距離は50mm程度を想定している。
【0041】
このように、扉32を下降させる際において、扉カバー34は上下動せず、扉カバー34の下端部と床面との間には隙間が生じていないため、作業者が扉32と床面との間で足を挟み込んでしまうことを防ぐことができる。
【0042】
また、滅菌工程の終了後、容器本体33から滅菌済みの被滅菌物を取り出す場合には、作業者は駆動スイッチ72を操作して扉32を上昇させる。
作業者によって操作された駆動スイッチ72は制御部70に開閉信号を出力する。
開閉信号を受信した制御部70は、扉位置センサー75が、扉32が下降した位置にあることを検出している場合であれば、上下動機構50の直動装置52に扉32を上昇させる制御信号を出力する。扉32を上昇させる制御信号を受信した直動装置52は、ロッド53を縮めさせる方向に動作する。ロッド53が縮むことによりクランク部54の中間部が上昇し、これに伴って扉32が上昇する。
【0043】
なお、上述した駆動スイッチ72は、1つのスイッチであって、扉32を開く場合(扉32の上昇)と扉32を閉じる場合(扉32の下降)の双方を制御していたが、扉32を開く場合のスイッチと扉32を閉じる場合のスイッチをそれぞれ別個に設けてもよい。
【0044】
なお、上述してきた実施形態では滅菌装置として、圧力容器を用いる蒸気滅菌装置の場合について説明したが、耐圧密閉容器を用いる酸化エチレンガス、又は気化させた過酸化水素などの滅菌剤を使用する滅菌装置においても同様に本願発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0045】
30 滅菌装置
31 開口部
32 扉
33 容器本体
34 扉カバー
36 扉爪部
38 本体爪部
40 枠体
40a 左枠
40b 右枠
40c 上枠
40d 下枠
41 横枠
42 直動装置
44 蝶番
46 回動軸
48 支持棒
50 上下動機構
52 直動装置
53 ロッド
54 クランク部
60 インジケータ
62 開口溝
64 突出部
66 取っ手
70 制御部
72 駆動スイッチ
75 扉位置センサー
G 床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7