(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128839
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】可搬型昇降リフト作業台
(51)【国際特許分類】
B66F 9/06 20060101AFI20230907BHJP
B66F 7/16 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B66F9/06 J
B66F7/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033478
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】大島 努
(72)【発明者】
【氏名】竹下 佳代
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊行
(72)【発明者】
【氏名】一条 勝則
(72)【発明者】
【氏名】加瀬 知弘
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA08
3F333AB05
3F333AC07
3F333BA01
3F333BD01
3F333CA12
3F333DA03
3F333DB04
(57)【要約】
【課題】高所作業の現場に運搬することができる可搬型昇降リフト作業台を提供する。
【解決手段】本発明にかかる可搬型昇降リフト作業台100は、ベース102と、ベースに着脱可能であって伸縮可能なポール104と、ベースに着脱可能であってポールを伸縮させるポンプ106と、ベースに着脱可能であってポンプの作動流体を貯留するタンク108と、ポールに着脱可能なカゴ状のステージ110と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースに着脱可能であって伸縮可能なポールと、
前記ベースに着脱可能であって前記ポールを伸縮させるポンプと、
前記ベースに着脱可能であって前記ポンプの作動流体を貯留するタンクと、
前記ポールに着脱可能なカゴ状のステージと、
を備えることを特徴とする可搬型昇降リフト作業台。
【請求項2】
前記ポールの下端にはフランジが設けられていて、
前記ポールを傾けて前記フランジを先頭にして該ポールを前記ベースに近づける姿勢において、
前記フランジの下端には横方向に突出する係合突起が設けられていて、
前記フランジの上端にはU字切欠きが形成されていて、
前記ベースは、
前記フランジの係合突起を係止して傾いた前記ポールを立てるための支点となる係止部と、
前記係止部より取付方向前方に配置され、前記ポールが立てられた状態で前記フランジのU字切欠きを締結するボルトと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の可搬型昇降リフト作業台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所作業に用いられる可搬型昇降リフト作業台に関する。
【背景技術】
【0002】
各種高所作業において、高所作業車を使用できない狭隘な現場では、長梯子や高所作業台が用いられる。しかし長梯子を用いて高所作業を行う場合、作業者がバランスを崩して転落する可能性があり安全上の問題がある。一方、高所作業台を設置する場合には、高所作業台の組立や調整に時間を要し、コストも増加してしまう。
【0003】
特許文献1には、移動式の昇降台装置が記載されている。この昇降台装置は、走行用の車輪を有する台車本体と、台車本体の上部に設けたリンク機構と、リンク機構の上部に設けた作業台と、昇降装置とを備える。昇降装置は、リンク機構を伸縮させることで作業台を昇降させる装置であって、台車本体に立設され回動する搬送部と、搬送部を回動させる駆動部と、被搬送部とを有する。被搬送部は、搬送部の回動により昇降し、リンク機構側に連結されている。
【0004】
この昇降台装置は、昇降装置によってリンク機構を伸縮させることにより、作業者が搭乗する作業台を昇降させることができる。そして特許文献1の昇降台装置では、上記の構成により、コンパクト化を図ることができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし特許文献1の昇降台装置では、コンパクト化を図り、さらに作業者が搭乗する作業台を昇降させることができるものの、装置を構成する各部材を分解して運搬する点について考慮されていない。このため特許文献1の昇降台装置は、装置全体の総重量によっては、高所作業の現場に運搬することができず、高所作業を行うことができないおそれがある。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、高所作業の現場に運搬することができる可搬型昇降リフト作業台を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明にかかる可搬型昇降リフト作業台の代表的な構成は、ベースと、ベースに着脱可能であって伸縮可能なポールと、ベースに着脱可能であってポールを伸縮させるポンプと、ベースに着脱可能であってポンプの作動流体を貯留するタンクと、ポールに着脱可能なカゴ状のステージと、を備えることを特徴とする。
【0009】
上記構成では、伸縮可能なポールと、ポールを伸縮させるポンプと、ポンプの作動流体を貯留するタンクとがいずれも、可搬型昇降リフト作業台のベースに着脱可能となっている。また、作業者が搭乗するカゴ状のステージは、ポールに着脱可能となっている。これにより、可搬型昇降リフト作業台は、ベース、ポール、ポンプ、タンクおよびステージに容易に分解し組み立てることができる。
【0010】
したがって上記構成によれば、可搬型昇降リフト作業台を各部材に分解して軽トラックなどに積載して運搬し、さらに高所作業の現場で各部材を組み立てて高所作業を行うことができる。また、可搬型昇降リフト作業台を各部材に分解することで、作業者が各部材を運搬することもできる。このようにして、高所作業車を使用できない狭隘な現場であっても、可搬型昇降リフト作業台を確実に運搬して、高所作業を行うことができる。
【0011】
上記のポールの下端にはフランジが設けられていて、ポールを傾けてフランジを先頭にしてポールをベースに近づける姿勢において、フランジの下端には横方向に突出する係合突起が設けられていて、フランジの上端にはU字切欠きが形成されていて、ベースは、フランジの係合突起を係止して傾いたポールを立てるための支点となる係止部と、係止部より取付方向前方に配置され、ポールが立てられた状態でフランジのU字切欠きを締結するボルトと、を備えるとよい。
【0012】
これにより、重量のあるポールをベースに取り付ける場合、まず、ポールを傾けてベースに近づける。つぎに、ポールが傾いた姿勢でポールのフランジの下端に位置する係合突起を、ベースの係止部(例えばL字金具)に引っ掛けて係止させて、さらに係止部を支点として傾いたポールを立てる。これにより、ポールが傾いた姿勢でフランジの上端に位置するU字切欠きは、ポールが立てられた状態でフランジの係合突起よりも取付方向前方に位置する。
【0013】
そして、ポールが立てられた状態でフランジのU字切欠きを、ベースの係止部よりも取付方向前方に配置されたボルトによって締結することにより、重量のあるポールをベースに容易に取り付けることができる。
【0014】
一方、ベースからポールを取り外す場合、まず、ボルトを緩めて、ポールの下端のフランジの係合突起と係止したベースの係止部を支点として、立てられた状態のポールを傾ける。これにより、ポールは、フランジの下端に係合突起が位置し、フランジの上端にU字切欠きが位置する姿勢となる。つぎに、傾いた姿勢のポールをベースから遠ざけることにより、重量のあるポールをベースから容易に取り外すことができる。したがって上記構成によれば、ベースとポールの組立と分解を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高所作業の現場に運搬することができる可搬型昇降リフト作業台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態における可搬型昇降リフト作業台を示す図である。
【
図3】ポールとベースの取り付け部分近傍を説明する図である。
【
図4】ポールをベースに取り付ける手順を示す図である。
【
図5】
図4に後続するポールをベースに取り付ける手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態における可搬型昇降リフト作業台(以下、作業台100)を示す図である。
図2は作業台100が分解された状態を示す図である。作業台100は、ベース102と、ポール104と、ポンプ106と、タンク108と、ステージ110とを備える。
図3はポール104とベース102の取り付け部分近傍を説明する図である。
【0019】
ベース102は、枠状に形成されていて、各角部112にキャスター114とアウトリガー116が取り付けられている。アウトリガー116は、
図2の矢印Aに示すように角部112を中心にして回転可能となっていて、ベース102から張り出させることでベース102を安定した状態で設置させることができる。また、アウトリガー116をベース102に沿うようにして畳むことで、ベース102がコンパクトになって容易に運搬可能となる。
【0020】
ポール104は、
図2の矢印Bに示すようにベース102に着脱可能であって、さらに
図1の矢印Cに示すように伸縮可能となっている。ここで矢印Bの方向は、ポール104をベース102に取り付ける取付方向である(
図4(a)参照)。またポール104は、作業台100を構成する各部材のうち最も重量のある部材である。
【0021】
ポンプ106は、
図2の矢印Dに示すようにベース102に着脱可能であって、例えば水圧によりポール104を伸縮させる。なおポンプ106には、バッテリユニットが接続されていて同一の筐体内に収容されている。タンク108は、矢印Eに示すようにベース102に着脱可能であって、ポンプ106の作動流体を貯留する。一例として、作動流体は水、ポール104は水圧シリンダ、ポンプ106は水圧ポンプとすることができる。ただし、作動流体を油として、ポール104を油圧シリンダ、ポンプ106を油圧ポンプとしてもよい。
【0022】
ステージ110は、
図2の矢印Fに示すようにポール104に着脱可能であって、さらにカゴ状に形成されていて、高所作業を行う作業者が搭乗可能となっている。またステージ110は、ポール104に向かって張り出した取付部118を有し、ポール104の上端120に取付部118を載置して固定することで、ポール104に取り付け可能となっている。
【0023】
このように、作業台100では、ポール104、ポンプ106およびタンク108がいずれもベース102に着脱可能となっていて、さらにステージ110がポール104に着脱可能となっている。これにより、作業台100は、ベース102、ポール104、ポンプ106、タンク108およびステージ110に容易に分解し組み立てることができる。
【0024】
また、
図2に示すようにポール104の下端122には、フランジ124が設けられている。ベース102は、一対の係止部126、128と一対のボルト130、132とを有する。一対の係止部126、128は、例えばL字金具であって、ポール104のフランジ124に対面している。一対のボルト130、132は、一対の係止部126、128よりも矢印Bに示す取付方向前方に配置されている。
【0025】
以下、重量のあるポール104をベース102に取り付けるための構成および手順について説明する。
図4はポール104をベース102に取り付ける手順を示す図である。
【0026】
ポール104をベース102に取り付ける場合、まず、
図4(a)に示すようにポール104を傾けて寝かせてフランジ124を先頭にして、矢印Bに示す取付方向に沿ってポール104をベース102に近づける。
【0027】
ここで、
図4(a)に示すポール104が傾いた姿勢において、フランジ124の下端134には、横方向すなわち取付方向と直交する方向に突出する係合突起136が設けられている。また、ポール104が傾いた姿勢において、フランジ124の上端138には、一対のU字切欠き140、142が形成されている。
【0028】
ベース102の一対の係止部126、128は、
図3および
図4(a)に示すベース102の横方向に差し渡された板部材144に取り付けられている。また、一対のボルト130、132は、板部材144よりも取付方向前方でベース102の横方向に差し渡された板部材146に螺合している。
【0029】
さらに
図3および
図4(b)に示すように、係止部126は、板部材144に立設する柱部148と、上部150とを有する。係止部126の上部150は、柱部148から取付方向後方に向かって屈曲して延びていて、さらに板部材144に対面する側に段差部152が形成されている。また上部150には、固定ボルト154が螺合している。なお係止部128は、例えば
図3に示すように柱部156と、段差部158が形成された上部160と、上部160に螺合する固定ボルト162とを有する。
【0030】
つぎに、
図4(b)に示すように傾いた姿勢のポール104をベース102にさらに近づけて、ポール104のフランジ124の下端134に位置する係合突起136を、ベース102の係止部126の上部150と板部材144の間に挿入する。これにより、ポール104の係合突起136は、係止部126の上部150に形成された段差部152に一旦引っ掛かって係止された状態となる。なおこのとき、係合突起136は、
図5(b)に示す係止部128の上部160に形成された段差部158にも一旦引っ掛かって係止された状態となる。
【0031】
図5は、
図4に後続するポール104をベース102に取り付ける手順を示す図である。続いて
図5(a)の矢印Gに示すように、ベース102の一対の係止部126、128の段差部152、158(
図4(b)および
図5(b)参照)を支点として、傾いたポール104を立てる。
【0032】
これにより、ポール104が傾いた姿勢でフランジ124の上端138に位置するU字切欠き140、142は、ポール104が立てられた状態でフランジ124の係合突起136よりも取付方向前方に位置する。
【0033】
つぎに、
図5(b)の矢印Bにそれぞれ示すように、立てられた状態のポール104をさらに取付方向前方に移動させて、フランジ124の係合突起136を、ベース102の係止部126の柱部148に突き当てる。このとき、フランジ124のU字切欠き140も取付方向前方に移動して、ベース102のボルト130を入り込ませてボルト130に当接する。なおこのとき、フランジ124の係合突起136は、係止部128の柱部156(
図3参照)に突き当たり、さらにフランジ124のU字切欠き142がボルト132に当接している。
【0034】
そして、ポール104が立てられた状態でフランジ124のU字切欠き140、142を、
図5(b)の矢印Hに示すようにベース102のボルト130、132によって締結する。さらに矢印Jに示すように、ベース102の一対の係止部126、128の上部150、160に螺合した固定ボルト154、162によって、フランジ124の係合突起136を締結する。このようにして、重量のあるポール104をベース102に容易に取り付けることができる。
【0035】
一方、ベース102からポール104を取り外す場合、まず、ベース102のボルト130、132と固定ボルト154、162を緩める。つぎに、立てられた状態のポール104を取付方向後方に移動させた後(
図5(a)参照)、ポール104のフランジ124の係合突起136と係止したベース102の一対の係止部126、128を支点として、立てられた状態のポール104を傾けて寝かせた状態とする(
図4(b)参照)。
【0036】
これにより、ポール104は、フランジ124の下端134に係合突起136が位置し、フランジ124の上端138にU字切欠き140、142が位置する姿勢となる。続いて、傾いた姿勢のポール104をベース102から遠ざけることにより、重量のあるポール104をベース102から容易に取り外すことができる(
図4(a)参照)。このようにして作業台100では、ベース102とポール104の組立と分解を容易に行うことができる。
【0037】
したがって作業台100によれば、作業台100を各部材に分解して軽トラックなどに積載して運搬し、さらに高所作業の現場で各部材を組み立てて高所作業を行うことができる。また、作業台100を各部材に分解することで、作業者が各部材を運搬することもできる。このようにして作業者は、高所作業車を使用できない狭隘な現場であっても、作業台100を確実に運搬して、作業台100を用いて高所作業を行うことができる。
【0038】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、高所作業に用いられる可搬型昇降リフト作業台として利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
100…作業台、102…ベース、104…ポール、106…ポンプ、108…タンク、110…ステージ、112…ベースの角部、114…キャスター、116…アウトリガー、118…ステージの取付部、120…ポールの上端、122…ポールの下端、124…フランジ、126、128…係止部、130、132…ボルト、134…フランジの下端、136…係合突起、138…フランジの上端、140、142…U字切欠き、144、146…板部材、148、156…係止部の柱部、150、160…係止部の上部、152、158…係止部の段差部、154、162…固定ボルト