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特開2023-128844制駆動力制御方法及び制駆動力制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128844
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】制駆動力制御方法及び制駆動力制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/18 20120101AFI20230907BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20230907BHJP
【FI】
B60W30/18
B60W60/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033487
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】飯田 智晴
(72)【発明者】
【氏名】塩澤 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】西田 雪徳
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA51
3D241CD15
3D241CE04
3D241CE05
3D241DA13Z
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DC25Z
3D241DC33Z
3D241DC35Z
3D241DC50Z
3D241DC59Z
(57)【要約】
【課題】前方の目標位置と自車両との相対距離に応じた速度プロファイルに基づき自車両を減速する際の違和感を軽減する。
【解決手段】前方の目標位置と自車両との間の相対距離を算出し(S3)、目標位置までの距離に応じた車速を示す速度プロファイルであって第1減速度で減速して目標位置より手前で所定の設定速度に達する第1速度プロファイルに基づいて第1目標速度を算出し(S4)、目標位置までの距離に応じた速度プロファイルとして設定され且つ第1減速度よりも大きな第2減速度で減速して目標位置で設定速度となる第2速度プロファイルに基づいて第2目標速度を算出し(S5)、目標位置に対する自車両の相対速度から第1目標速度を減算した差分を第2目標速度から第1目標速度を減算した差分で除算した割合が大きいほどより大きな補正量で減算して、アクセル操作に応じた制駆動力を補正する(S7、S8)。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両のアクセルペダルの操作量に応じた制駆動力を算出し、
前記自車両の現在位置と自車両の進行方向前方の予め設定された所定の位置との間の相対距離を算出し、
前記目標位置までの距離に応じた車速を示す速度プロファイルであって第1減速度で減速して前記目標位置よりも第1距離だけ前記自車両に近い第1地点において所定の設定速度に達して前記第1地点から前記目標位置まで前記設定速度を維持する第1速度プロファイルと、前記相対距離と、に基づいて第1目標速度を算出し、
前記目標位置までの距離に応じた速度プロファイルとして設定され且つ前記第1減速度よりも大きな第2減速度で減速して前記目標位置において前記設定速度となる第2速度プロファイルと、前記相対距離と、に基づいて第2目標速度を算出し、
前記目標位置に対する前記自車両の相対速度を検出し、
前記相対速度が前記第1目標速度以上である場合に、前記相対速度から前記第1目標速度を減算した差分を前記第2目標速度から前記第1目標速度を減算した差分で除算した割合が大きいほどより大きな補正量を算出し、
前記アクセルペダルの操作量に応じて算出した前記制駆動力から前記補正量を減算することにより補正済制駆動力を算出し、
算出された前記補正済制駆動力に基づいて前記自車両の制駆動力を制御する、
ことを特徴とする制駆動力制御方法。
【請求項2】
前記目標位置までの距離に応じた車速を示す速度プロファイルであって前記第1減速度よりも小さな第3減速度で減速して前記第1距離より長い第2距離だけ前記目標位置よりも前記自車両に近い第2地点において前記設定速度に達して前記第2地点から前記目標位置まで前記設定速度を維持する第3速度プロファイルと、前記相対距離と、に基づいて第3目標速度を算出し、
前記相対速度が前記第3目標速度以上である場合に、前記相対速度から前記第3目標速度を減算した差分を前記第1目標速度から前記第3目標速度を減算した差分で除算した割合が大きいほどより大きな補正量を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の制駆動力制御方法。
【請求項3】
前記目標位置までの距離に応じた車速を示し且つ前記第1減速度で減速して前記目標位置において前記設定速度に達する速度プロファイルの速度を、第1速度だけ低下させるとともに前記設定速度で下限値を制限することにより、前記第1速度プロファイルを取得することを特徴とする請求項1又は2に記載の制駆動力制御方法。
【請求項4】
前記目標位置までの距離に応じた車速を示し且つ前記第1減速度で減速して前記目標位置において前記設定速度に達する速度プロファイルの速度を、第1速度だけ低下させるとともに前記設定速度で下限値を制限することにより、前記第1速度プロファイルを取得し、前記目標位置までの距離に応じた車速を示し且つ前記第3減速度で減速して前記目標位置において前記設定速度に達する速度プロファイルの速度を、前記第1速度よりも高い第2速度だけ低下させるとともに前記設定速度で下限値を制限することにより、前記第3速度プロファイルを取得することを特徴とする請求項2に記載の制駆動力制御方法。
【請求項5】
前記相対距離が短い場合に比べて長い場合に前記第1距離をより短くすることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の制駆動力制御方法。
【請求項6】
前記補正量が0でない場合には、前記相対距離の変化に関わらず前記第1距離を保持することを特徴とする請求項5に記載の制駆動力制御方法。
【請求項7】
前記目標位置の変化速度を制限することを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の制駆動力制御方法。
【請求項8】
前記自車両の前方の静止物標の位置の所定距離手前の地点である静止位置を前記目標位置として設定することを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の制駆動力制御方法。
【請求項9】
前記自車両の前方の移動体の位置の所定距離手前の地点である移動位置を前記目標位置として設定することを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の制駆動力制御方法。
【請求項10】
前記自車両の前方の移動体の位置の所定距離手前の地点である移動位置を前記目標位置として設定し、
前記自車両の進行方向における前記移動体の速度を検出し、
検出した前記速度が低い場合よりも高い場合に前記第1距離をより長くすることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の制駆動力制御方法。
【請求項11】
前記補正量が0でない場合には、前記速度の変化に関わらず前記第1距離を保持することを特徴とする請求項10に記載の制駆動力制御方法。
【請求項12】
前記自車両の進行方向における前記移動体の加速度を検出し、
検出された前記加速度が大きいほど前記補正量を減少させる、
ことを特徴とする請求項9~11のいずれか一項に記載の制駆動力制御方法。
【請求項13】
前記自車両の進行方向における前記自車両に対する前記移動体の相対加速度を検出し、
検出された前記相対加速度が大きいほど前記補正量を減少させる、
ことを特徴とする請求項9~12のいずれか一項に記載の制駆動力制御方法。
【請求項14】
アクセルペダルと、
自車両の制駆動力を発生させる制駆動力発生機構と、
前記アクセルペダルの操作量に応じた制駆動力を算出し、前記自車両の現在位置と自車両の進行方向前方の予め設定された所定の位置である目標位置との間の相対距離を算出し、前記目標位置までの距離に応じた車速を示す速度プロファイルであって第1減速度で減速して前記目標位置よりも第1距離だけ前記自車両に近い第1地点において所定の設定速度に達して前記第1地点から前記目標位置まで前記設定速度を維持する第1速度プロファイルと、前記相対距離と、に基づいて第1目標速度を算出し、前記目標位置までの距離に応じた速度プロファイルとして設定され且つ前記第1減速度よりも大きな第2減速度で減速して前記目標位置において前記設定速度となる第2速度プロファイルと、前記相対距離と、に基づいて第2目標速度を算出し、前記目標位置に対する前記自車両の相対速度を検出し、前記相対速度が前記第1目標速度以上である場合に、前記相対速度から前記第1目標速度を減算した差分を前記第2目標速度から前記第1目標速度を減算した差分で除算した割合が大きいほどより大きな補正量を算出し、前記アクセルペダルの操作量に応じて算出した前記制駆動力から前記補正量を減算することにより補正済制駆動力を算出し、算出された前記補正済制駆動力に基づいて前記制駆動力発生機構を制御するコントローラと、
を備えることを特徴とする制駆動力制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制駆動力制御方法及び制駆動力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自車両が停車する地点を予測し、予測した地点までの距離に応じた車速の目標値である計画速度を生成し、生成された計画速度に沿うように自車両を減速制御する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-208829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自車両前方の目標位置と自車両との相対距離に応じて自車両を減速させる速度調整には、運転者によって個人差がある。このため運転者の期待する車速変化と異なる速度プロファイルで自車両を減速させると、運転者に違和感を与える虞がある。
本発明は、自車両前方の目標位置と自車両との相対距離に応じた速度プロファイルに基づいて自車両を減速させる際の運転者の違和感を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る制駆動力制御方法では、自車両のアクセルペダルの操作量に応じた制駆動力を算出し、自車両の現在位置と自車両の進行方向前方の予め設定された所定の位置である目標位置との間の相対距離を算出し、目標位置までの距離に応じた車速を示す速度プロファイルであって第1減速度で減速して目標位置よりも第1距離だけ自車両に近い第1地点において所定の設定速度に達して第1地点から目標位置まで設定速度を維持する第1速度プロファイルと、相対距離と、に基づいて第1目標速度を算出し、目標位置までの距離に応じた速度プロファイルとして設定され且つ第1減速度よりも大きな第2減速度で減速して目標位置において設定速度となる第2速度プロファイルと、相対距離と、に基づいて第2目標速度を算出し、目標位置に対する自車両の相対速度を検出し、相対速度が第1目標速度以上である場合に、相対速度から第1目標速度を減算した差分を第2目標速度から第1目標速度を減算した差分で除算した割合が大きいほどより大きな補正量を算出し、アクセルペダルの操作量に応じて算出した制駆動力から補正量を減算することにより補正済制駆動力を算出し、算出された補正済制駆動力に基づいて自車両の制駆動力を制御する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、自車両前方の目標位置と自車両との相対距離に応じた速度プロファイルに基づいて自車両を減速させる際の運転者の違和感を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の制駆動力制御装置の概略構成の一例を示す図である。
図2】アクセルペダルの操作量に応じた制駆動トルクの模式図である。
図3】第1実施形態の制駆動力制御方法の一例の説明図である。
図4】目標位置において所定の設定速度に達する第1速度プロファイルの比較例を示す図である。
図5】(a)は第1速度プロファイルの設定例の一例の説明図であり、(b)は第1速度プロファイルの設定例の他の例の説明図である。
図6図1のコントローラの機能構成の一例のブロック図である。
図7】第1実施形態の補正トルク設定部の機能構成の一例のブロック図である。
図8】第1実施形態の制駆動力制御方法の一例のフローチャートである。
図9】第2実施形態の補正トルク設定部の機能構成の一例のブロック図である。
図10】第2実施形態の制駆動力制御方法の一例の説明図である。
図11】第3実施形態の補正トルク設定部の機能構成の一例のブロック図である。
図12】相対速度感応ゲインの一例の特性を示す図である。
図13】第4実施形態の補正トルク設定部の機能構成の一例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる場合が含まれる。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、下記の実施形態に例示した装置や方法に特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
(第1実施形態)
(構成)
図1を参照する。自車両1は制駆動力制御装置10を備える。制駆動力制御装置10は、駆動力指示操作子であるアクセルペダルに対する運転者による操作量に応じて自車両1に発生させる駆動トルク及び制動トルク(以下、総称して「制駆動トルク」と表記することがある)を制御する。
図2を参照して、アクセルペダルの操作量Acに応じた制駆動トルクを模式的に説明する。制駆動力制御装置10は、アクセルペダルの操作量Acが所定の閾値Ac0よりも大きいときには車両に駆動トルクを発生させ、操作量Acが所定の閾値Ac0よりも小さいときには車両に制動トルクを発生させる。このような操作量Acに応じた制駆動トルクの制御を、以下の説明において「ワンペダル制御」と表記することがある。
【0010】
操作量Acが最大値(100%)であるときに駆動トルクは最大値(100%)となり、操作量Acが小さくなるほど駆動トルクが小さくなり、操作量Acが閾値Ac0に至ると駆動トルクが0となる。閾値Ac0は、例えば操作量Acの最大値の4分の1(25%)程度であってよい。操作量Acが閾値Ac0よりも小さくなると、操作量Acが小さくなるほど制動トルクが大きくなり、操作量Acが0に至ると制動トルクは所定値Td0となる。
図1を参照する。制駆動力制御装置10は、測位装置11と、地図データベース(地図DB)12と、外界センサ13と、車両センサ14と、コントローラ15と、制駆動力発生機構16を備える。
【0011】
測位装置11は、自車両1の現在位置を測定する。測位装置11は、例えば全地球型測位システム(GNSS)受信機を備えてよい。GNSS受信機は、例えば地球測位システム(GPS)受信機等であり、複数の航法衛星から電波を受信して自車両1の現在位置を測定する。測位装置11は、慣性航法装置であってもよい。
図DB12は、地図情報のデータベースである。地図DB12は、例えばカーナビゲーションシステムが備える地図DBであってもよい。地図DB12は、例えば自動運転用の地図情報として好適な高精度地図データであってもよい。コントローラ15は、自車両の現在位置の周囲の状況の情報を地図DB12から取得する。例えばコントローラ15は、自車両1の進行方向の前方に存在する停止線の情報を地図DB12から取得する。
【0012】
外界センサ13は、自車両1の周囲環境についての様々な情報(周囲環境情報)を検出する。外界センサ13は、自車両1の周囲に存在する物体、自車両1と物体との相対位置、自車両1と物体との距離、物体が存在する方向等の自車両1の周囲環境を検出する。外界センサ13は、検出した周囲環境の情報を周囲環境情報としてコントローラ15に出力する。
例えば外界センサ13は、自車両1に対する自車両1周囲の他車両などの移動体や静止物標の相対位置を検出する。ここで静止物標とは、例えば自車両1が走行する道路に設けられた信号機、路面上の線(車線区分線等)や、路肩の縁石、ガードレールや、自車両1が走行する道路上の停止線や静止物体(例えば障害物)である。
【0013】
外界センサ13は、例えばフルHD解像度のカラーカメラのような単眼のカメラを備えてよい。カメラは、自車両1の周囲環境の認識対象を含む画像を撮像し、その撮像画像を周囲環境情報としてコントローラ15へ出力する。
また、外界センサ13は、レーザレンジファインダ(LRF)やレーダ、LiDAR(Light Detection and Ranging)のレーザレーダなどの測距装置を備えてよい。測距装置は、例えば、自車両周囲に存在する物体との相対距離と方向により定まる相対位置を検出する。測距装置は、検出した測距データを周囲環境情報としてコントローラ15へ出力する。
【0014】
車両センサ14は、自車両1から得られる様々な情報(車両情報)を検出する。車両センサ14には、例えば、自車両1の走行速度(車速)Vを検出する車速センサ、自車両1が備える各タイヤの回転速度を検出する車輪速センサ、自車両1の3軸方向の加速度(減速度を含む)を検出する3軸加速度センサ(Gセンサ)、ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角センサ、操向輪の転舵角を検出する転舵角センサ、自車両1に生じる角速度を検出するジャイロセンサ、ヨーレイトを検出するヨーレイトセンサ、自車両1のアクセルペダルの操作量Acを検出するアクセルセンサと、運転者によるブレーキ操作量を検出するブレーキセンサが含まれる。
【0015】
コントローラ15は、自車両1の制駆動力の制御を行う電子制御ユニットである。コントローラ15は、プロセッサ20と、記憶装置21等の周辺部品とを含む。プロセッサ20は、例えばCPUやMPUであってよい。記憶装置21は、半導体記憶装置や、磁気記憶装置、光学記憶装置等を備えてよい。記憶装置21は、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるROM及びRAM等のメモリを含んでよい。以下に説明するコントローラ15の機能は、例えばプロセッサ20が、記憶装置21に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
なお、コントローラ15を、以下に説明する各情報処理を実行するための専用のハードウエアにより形成してもよい。例えば、コントローラ15は、汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路を備えてもよい。例えばコントローラ15はFPGA等のPLD等を有していてもよい。
【0016】
コントローラ15は、アクセルペダルの操作量Acに応じて自車両1の車輪に発生させる駆動トルク又は制動トルクのトルク指令値Tfを設定し、トルク指令値Tfに応じて制駆動力発生機構16を駆動して自車両1に駆動トルク又は制動トルクを発生させる。コントローラ15によるトルク指令値Tfの設定処理については後述する。
制駆動力発生機構16は自車両1の車輪に接続した駆動源であり、自車両1の車輪に駆動トルクや制動トルクを発生させる、例えば駆動用モータや内燃機関、あるいはブレーキアクチュエータである。以下、本実施形態においては一例として、制駆動力発生機構16は駆動用モータであるものとする。制駆動力発生機構16はコントローラ15からの制御信号(トルク指令値Tf)に応じて、自車両1を駆動する駆動トルク又は自車両1を制動する制動トルクを発生する。
【0017】
次に、コントローラ15によるトルク指令値の設定処理について説明する。コントローラ15は、アクセルペダルの踏込みにより加速し、アクセルペダルの踏み戻しにより減速する制御を行う所謂ワンペダル制御を実行する。
図3を参照する。コントローラ15は、外界センサ13や地図DB12によって、自車両1の進行方向の前方に存在する静止物標や移動体を検出すると、自車両1の進行方向の前方において、これらの静止物標や移動体に対する自車両1の相対速度Vrを所定の設定速度Vsとする位置である目標位置Xtrgを設定する。例えば静止物標を検出した場合には、静止物標の所定距離手前の地点を、自車両1を静止させる目標位置Xtrgとして設定する(すなわち設定速度Vsは0である)。また例えば、自車両前方に移動体を検出した場合には、移動体の速度Vfを所定の設定速度Vsに設定し、移動体の所定距離手前の地点を目標位置Xtrgとして設定する。すなわち、自車両1を静止させる位置、あるいは前方の移動体から所定距離手前の地点などの、自車両の進行方向前方の予め設定された所定の位置を目標位置Xtrgを設定する。図3は、自車両1の進行方向の前方を走行する先行車両2を移動体として検出した例を示している。
【0018】
コントローラ15は、自車両1の現在位置と目標位置Xtrgとの間の相対距離Xrを算出し、目標位置Xtrgまでの距離に応じた速度プロファイルP1、P2を用いて、自車両1の車速Vを制御する。
このとき、自車両1の前方の目標位置Xtrgと自車両1との相対距離Xrに応じて自車両1を減速させる速度調整には、上記のとおり運転者によって個人差がある。このため運転者の期待する車速変化と異なる速度プロファイルで自車両1を減速させると、運転者に違和感を与える虞がある。
【0019】
そこでコントローラ15は、目標位置Xtrgに対する自車両1の現在の相対速度Vrを検出し、相対速度Vrが速度プロファイルを超えた差に応じた補正トルクTcを算出する。そして、アクセルペダルの操作量Acに応じて算出された基本制駆動トルクTbから補正トルクTcを減算することによりトルク指令値Tfを算出し、トルク指令値Tfに基づいて制駆動力発生機構16を駆動して自車両1の制駆動トルクを制御する。
このように、相対速度Vrが速度プロファイルを超えても直ちに相対速度Vrが速度プロファイルに沿って変化するように自車両1の車速Vを直接制御するのではなく、アクセルペダルの操作量Acに応じた基本制駆動トルクTbを、補正トルクTcで減少補正する。このため、運転者の意図であるアクセルペダルの操作量Acを自車両1の速度調整に反映することができる。この結果、第1速度プロファイルP1に基づいて自車両1を減速させる際の運転者の違和感を軽減できる。
【0020】
例えば第1実施形態のコントローラ15は、目標位置Xtrgまでの距離に応じた車速を示す速度プロファイルとして、第1速度プロファイルP1と第2速度プロファイルP2を設定する。図2において細い実線と一点鎖線は、第1速度プロファイルP1と第2速度プロファイルP2の一例を示し、太い実線は相対速度Vrの変化の一例を示している。
第1速度プロファイルP1は、第1減速度G1で減速して目標位置Xtrgよりも第1距離D1だけ自車両1に近い第1地点Xo1において所定の設定速度Vsに達して第1地点Xo1から目標位置まで設定速度Vsを維持する。
第2速度プロファイルP2は、第1減速度G1よりも大きな第2減速度G2で減速して目標位置Xtrgにおいて設定速度Vsとなる。
第1実施形態における第1減速度G1は、例えば日常走行における比較的弱い制動時の減速度(例えば0.1G)以下の値に設定してよい。第1実施形態における第2減速度G2は、例えば日常走行における比較的強い制動時の減速度(例えば0.2G)程度の値に設定してよい。
【0021】
コントローラ15は、第1速度プロファイルP1と相対距離Xrとに基づいて自車両1の第1目標速度V1を算出するとともに、第2速度プロファイルP2と相対距離Xrとに基づいて自車両1の第2目標速度V2を算出する。
例えば、第1速度プロファイルP1は、相対距離Xrを変数とする第1目標速度V1の計算式として設定してよい。例えばコントローラ15は、次式(1)に基づいて第1目標速度V1を算出してよい。
【数1】
【0022】
上式(1)の第1速度プロファイルP1は、第1減速度G1で減速して目標位置Xtrgにおいて設定速度Vsに達する速度プロファイル(2×G1×Xr)1/2+Vsの速度を、第1オフセット速度Vo1=(2×G1×Xo1)1/2だけ低下させるとともに、下限値を設定速度Vsで制限することにより得られる。
すなわち第1速度プロファイルP1は、速度プロファイル(2×G1×Xr)1/2+Vsが、図3のプロファイル特性図の下方向に第1オフセット速度Vo1だけオフセットされ、下限値が設定速度Vsで制限されたプロファイルである。
【0023】
また例えば、第2速度プロファイルP2も、相対距離Xrを変数とする第2目標速度V2の計算式として設定してよい。例えばコントローラ15は、次式(2)に基づいて第2目標速度V2を算出してよい。
V2=(2×G2×Xr)1/2+Vs…(2)
コントローラ15は、目標位置Xtrgに対する自車両1の現在の相対速度Vrを検出する。相対速度Vrが第1目標速度V1以上である場合に、相対速度Vrから第1目標速度V1を減算した差分を第2目標速度V2から第1目標速度V1を減算した差分で除算した割合(Vr-V1)/(V2-V1)が大きいほどより大きな補正トルクTcを算出する。相対速度Vrが第1目標速度V1未満の場合には補正トルクTcを0に設定する。
【0024】
次に、第1速度プロファイルP1を、目標位置Xtrgよりも第1距離D1だけ自車両1に近い第1地点Xo1において所定の設定速度Vsに達するように設定する理由について説明する。
図4は、比較のため目標位置Xtrgにおいて所定の設定速度Vsに達するように設定された第1速度プロファイルP1を示す。
自車両1の前方の移動体(図3の例では先行車両2)の所定距離手前の地点を目標位置Xtrgとして設定した場合には、移動体の速度Vfが変動することがある。その結果、例えば移動体が減速することによって自車両1と移動体との間の相対距離がXr2からXr1へと変化し相対速度VrがVr1からVr2に変化すると、相対速度Vrが速度プロファイルP1、P2を超えることによって補正トルクTcが0から正の値に変化する。
【0025】
補正トルクTcは割合(Vr-V1)/(V2-V1)が大きいほどより大きな値に設定される。このため、図4のような第1速度プロファイルP1を設定すると、自車両1が目標位置Xtrgのすぐ近くに近づいたときに分母の(V2-V1)が0に近くなるので補正トルクTcの変化が大きくなる。この結果、補正トルクTcで補正された自車両1の制駆動トルクが大きく変動して、運転者に違和感を与える虞がある。
また、静止物標の所定距離手前の地点を目標位置Xtrgとして設定した場合においても、自車両1が目標位置Xtrgのすぐ近くに近づいたときに、(例えばアクセルペダルの踏み込みにより)相対速度Vrが速度プロファイルP1、P2を超えると同様の現象が発生する。
【0026】
このため、第1速度プロファイルP1を、目標位置Xtrgよりも第1距離D1だけ自車両1に近い第1地点Xo1において所定の設定速度Vsに達するように設定する。これにより図4に示す第1速度プロファイルP1と比べて、目標位置Xtrgのすぐ近くにおける第2目標速度V2と第1目標速度V1の差分(V2-V1)を大きくできる。このため、自車両1が目標位置Xtrgのすぐ近くに近づいたときに自車両1の制駆動トルクが大きく変動するのを抑制できる。
【0027】
なお、図3の第1速度プロファイルP1は、速度プロファイル(2×G1×Xr)1/2+Vsを図3のプロファイル特性図の下方向にオフセットすることにより得たが、右方向にオフセットすることにより第1速度プロファイルP1を得てもよい。
例えば図5(a)に示すように、速度プロファイル(2×G1×Xr)1/2+Vsを右方向に第1距離D1だけオフセットするとともに、下限値を設定速度Vsで制限することにより第1速度プロファイルP1を得てもよい。
例えばコントローラ15は、次式(3)に基づいて第1目標速度V1を算出してよい。
【数2】
【0028】
図5(a)の第1速度プロファイルP1と図5(b)の第1速度プロファイルP1とを比較する。第1地点Xo1における図5(a)及び図5(b)の第1速度プロファイルP1の傾きをそれぞれα1及びα2とすると、傾きα2の方が傾きα1よりも小さくなる。
このため、図5(a)の第1速度プロファイルP1よりも図5(b)の第1速度プロファイルの方が、自車両1が第1地点Xo1を越えるときの第1目標速度V1の変化が小さく、補正トルクTcの変動を抑制できる。
【0029】
続いて、コントローラ15の機能について更に詳細に説明する。図6は、コントローラ15の機能構成の一例のブロック図である。コントローラ15は、基本制駆動トルク設定部30と、目標位置設定部31と、レートリミッタ32と、補正トルク設定部33と、減算器34を備える。
基本制駆動トルク設定部30は、アクセルペダルの操作量Acと、車速センサが検出した自車両1の車速Vと、に応じて基本制駆動トルクTbを設定する。例えば図2に示す特性線のように、アクセルペダルの操作量Acが所定の閾値Ac0よりも大きいときには、操作量Acと閾値Ac0との差分に応じて操作量Acが大きいほど大きくなる駆動トルクを基本制駆動トルクTbとして設定してよい。アクセルペダルの操作量Acが所定の閾値Ac0よりも小さいときには、操作量Acと閾値Ac0との差分に応じて操作量Acが小さいほど大きくなる制動トルクを基本制駆動トルクTbとして設定してよい。
また基本制駆動トルク設定部30は、例えば自車両1の車速Vが高いほど、基本制駆動トルクTbの傾きを大きくし、自車両1の車速Vが低いほど基本制駆動トルクTbの傾きを小さくする。
【0030】
図6を参照する。目標位置設定部31は、自車両1の進行方向の前方の静止物標や移動体に対して自車両1の相対速度Vrを設定速度Vsとする位置である目標位置Xtrgを設定する。例えば、目標位置設定部31は、地図DB12の地図情報や外界センサ13からの周囲環境情報に基づいて自車両1の進行方向の前方に存在する停止線や静止物体などの静止物標を検出する。目標位置設定部31は、静止物標の所定距離手前の地点を目標位置Xtrgとして設定する。
また、例えば、目標位置設定部31は、外界センサ13からの周囲環境情報に基づいて自車両1の進行方向の前方に存在する移動体を検出する。目標位置設定部31は、静止物標の所定距離手前の地点を目標位置Xtrgとして設定する。
目標位置設定部31は、自車両1の現在位置と目標位置Xtrgとの間の相対距離Xrと、目標位置Xtrgに対する自車両1の相対速度Vrを検出する。静止物標に対して目標位置Xtrgを設定した場合には、相対速度Vrは自車両1の現在の車速Vとなり、移動体に対して目標位置Xtrgを設定した場合には、相対速度Vrは移動体に対する自車両1の現在の相対速度となる。
【0031】
レートリミッタ32は、目標位置設定部31から出力される相対距離Xrの速度変化を制限して、補正トルク設定部33に出力する。これにより、目標位置Xtrgが変化した場合にその変化速度を制限する。
補正トルク設定部33は、目標位置設定部31が検出した相対速度Vrと、レートリミッタ32により速度変化が制限された相対距離Xrとに基づいて、補正トルクTcを設定する。補正トルクTcについては後述する。
減算器34は、基本制駆動トルク設定部30が算出した基本制駆動トルクTbから補正トルクTcを減算することによりトルク指令値Tfを算出する。減算器34は、算出したトルク指令値Tfを制駆動力発生機構16へ出力する。
【0032】
図7は、第1実施形態の補正トルク設定部33の機能構成の一例のブロック図である。補正トルク設定部33は、第1目標速度算出部40aと、第2目標速度算出部40bと、第1補正部41aと、割合算出部42と、リミッタ43と、ゲイン乗算部44を備える。
第1目標速度算出部40aと第1補正部41aは、第1速度プロファイルP1と、相対距離Xrと、に基づいて自車両1の車速Vの目標値である第1目標速度V1を算出する。
このとき第1目標速度算出部40aは、次式(4)に基づいて第1目標速度V1の初期値V1bを算出する。
V1b=(2×G1×Xr)1/2+Vs…(4)
【0033】
第1補正部41aは、初期値V1bから第1オフセット速度Vo1を減じた差分が設定速度Vs以上である場合に、初期値V1bから第1オフセット速度Vo1を減じることによって、第1目標速度V1=V1b-Vo1を算出する。一方で、初期値V1bから第1オフセット速度Vo1を減じた差分が設定速度Vs未満である場合は、第1目標速度V1の値を設定速度Vsに設定する。すなわち、第1目標速度V1の下限値を設定速度Vsで制限する。これにより、第1補正部41aは上式(1)の第1目標速度V1を算出する。
第2目標速度算出部40bは、上式(2)に基づいて第2目標速度V2を算出する。
【0034】
割合算出部42は、第2目標速度V2と第1目標速度V1との速度差分(V2-V1)に対する、相対速度Vrと第1目標速度V1との速度差分(Vr-V1)の割合(Vr-V1)/(V2-V1)を補正係数αとして算出する。
リミッタ43は、割合算出部42が算出した補正係数αを、下限値αmin以上且つ上限値αmax以下の範囲の値に制限する。
下限値αminは、0以上の値に設定する。これにより、相対速度Vrが第1目標速度V1以下のときに補正トルクTcの出力を停止できる。例えば下限値αminは「0」に設定してよい。
【0035】
上限値αmaxは、基本制駆動トルクTbを減少補正する補正トルクTcの最大許容値に応じて適宜設定してよい。例えば上限値αmaxは「2」に設定してよい。
ゲイン乗算部44は、リミッタ43により制限された補正係数αに、調整ゲインK1を乗算して得られる積を補正トルクTcとして算出する。調整ゲインK1の値は固定でもよく、第1実施形態と同様に相対距離Xrに応じた調整ゲインK1でもよい。後述の第2実施形態~第4実施形態においても同様である。
【0036】
このため、相対速度Vrが第1目標速度V1以下の場合には補正トルクTcの値は「0」に設定される。相対速度Vrが、第1目標速度V1より大きく且つ第2目標速度V2以下の場合には、補正トルクTcの値はK1×(Vr-V1)/(V2-V1)に設定される。相対速度Vrが、第2目標速度V2より大きい場合には、上限値K1×αmaxにより制限されるまでK1×(Vr-V1)/(V2-V1)に設定される。
【0037】
図3からわかるように、自車両1が目標位置Xtrgに近づくほど、第2目標速度V2と第1目標速度V1との速度差分(V2-V1)が小さくなり、補正係数αが大きくなる。このため、自車両1が目標位置Xtrgに近づくほど大きな補正トルクTcで基本制駆動トルクTbを減少補正できる。
また、自車両の相対速度Vrが、第1速度プロファイルP1に基づく第1目標速度V1から第2速度プロファイルP2に基づく第2目標速度V2まで変化すると、補正係数αは「0」から「1」に変化する。
このため、相対速度Vrが第1速度プロファイルP1を超えるまでは補正トルクTcの値を「0」に設定することができる。
一方で、相対速度Vrが第1速度プロファイルP1を超えた場合には、相対速度Vrが高くなるほど補正トルクTcが増加して、相対速度Vrが第2目標速度V2に至ると補正トルクTcの値は「K1」となる。
したがって、調整ゲインK1を適宜設定することにより、相対速度Vrが第2速度プロファイルP2上の第2目標速度V2に至ったときの補正トルクTcの値を任意に設定できる。
【0038】
(動作)
図6は、第1実施形態の制駆動力制御方法の一例のフローチャートである。
ステップS1において基本制駆動トルク設定部30は、基本制駆動トルクTbを設定する。
ステップS2において目標位置設定部31は、目標位置Xtrgを設定する。
ステップS3において目標位置設定部31は、自車両1と目標位置Xtrgとの相対距離Xrを算出する。
ステップS4において補正トルク設定部33の第1目標速度算出部40aと第1補正部41aは、第1速度プロファイルP1と相対距離Xrとに基づいて第1目標速度V1を算出する。
ステップS5において補正トルク設定部33の第2目標速度算出部40bは、第2速度プロファイルP2と相対距離Xrとに基づいて第2目標速度V2を算出する。
【0039】
ステップS6において目標位置設定部31は、目標位置Xtrgに対する自車両1の相対速度Vrを検出する。
ステップS7において補正トルク設定部33は、相対速度Vrと第1目標速度V1と第2目標速度V2とに基づいて補正トルクTcを算出する。
ステップS8において減算器34は、基本制駆動トルクTbから補正トルクTcを減算することによりトルク指令値Tfを算出する。
ステップS9において制駆動力発生機構16は、トルク指令値Tfに応じて、自車両1を駆動する駆動トルク又は自車両1を制動する制動トルクを発生する。その後に処理は終了する。
【0040】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態の補正トルク設定部33の機能構成の一例のブロック図である。第2実施形態の補正トルク設定部33は、第1実施形態の補正トルク設定部33に類似する構成を有しており、同一又は類似の構成要素については同じ参照符号で示す。
第2実施形態の補正トルク設定部33は、第3目標速度算出部40cと、第2補正部41bと、切替部45と、加算器46を備える。
第3目標速度算出部40cと第2補正部41bは、目標位置Xtrgまでの距離に応じた車速を示す第3速度プロファイルP3と、相対距離Xrと、に基づいて第3目標速度V3を算出する。
第3速度プロファイルP3は、第1減速度G1よりも小さな第3減速度G3で減速して第1距離D1より長い第2距離D2だけ目標位置Xtrgよりも自車両1に近い第2地点Xo2において設定速度Vsに達して第2地点Xo2から目標位置Xtrgまで設定速度Vsを維持する。
【0041】
例えば、第3速度プロファイルP3は、相対距離Xrを変数とする第3目標速度V3の計算式として設定してよい。例えば第3目標速度算出部40cと第2補正部41bは、次式(5)に基づいて第3目標速度V3を算出してよい。
【数3】
上式(5)の第3速度プロファイルP3は、第3減速度G3で減速して目標位置Xtrgにおいて設定速度Vsに達する速度プロファイル(2×G3×Xr)1/2+Vsの速度を、第2オフセット速度Vo2=(2×G3×Xo2)1/2だけ低下させるとともに、下限値を設定速度Vsで制限することにより得られる。
【0042】
このため第3目標速度算出部40cは、次式(6)に基づいて第3目標速度V3の初期値V3bを算出する。
V3b=(2×G3×Xr)1/2+Vs…(6)
第2補正部41bは、初期値V3bから第2オフセット速度Vo2を減じた差分が設定速度Vs以上である場合に、初期値V3bから第2オフセット速度Vo2を減じることによって、第3目標速度V3=V3b-Vo2を算出する。一方で、初期値V3bから第2オフセット速度Vo2を減じた差分が設定速度Vs未満である場合は、第3目標速度V3の値を設定速度Vsに設定する。すなわち、第3目標速度V3の下限値を設定速度Vsで制限する。これにより、第1補正部41aは上式(5)の第3目標速度V3を算出する。
【0043】
一方で、第1目標速度算出部40aと第1補正部41aは、第1速度プロファイルP1と、相対距離Xrと、に基づいて自車両1の車速Vの目標値である第1目標速度V1を算出する。また、第2目標速度算出部40bは、第2速度プロファイルP2と、相対距離Xrと、に基づいて第2目標速度V2を算出する。
図10に、第2実施形態の第1速度プロファイルP1と、第2速度プロファイルP2と、第3速度プロファイルP3の例を示す。
第2実施形態において、第1速度プロファイルP1の減速度G1は、例えば日常走行における比較的強い制動時の減速度(例えば0.2G)程度の値に設定し、第2速度プロファイルP2の減速度G2は、例えば追突防止などの急制動時の減速度(例えば0.3G)以上の値に設定し、第3速度プロファイルP3の減速度G3は、例えば日常走行における比較的弱い制動時の減速度(例えば0.1G)以下の値に設定してよい。
【0044】
第2実施形態の割合算出部42は、相対速度Vrと、第1入力速度VLと、第2入力速度VHを入力として取得する。割合算出部42は、第2入力速度VHと第1入力速度VLとの速度差分(VH-VL)に対する、相対速度Vrと第1入力速度VLとの速度差分(Vr-VL)の割合(Vr-VL)/(VH-VL)を補正係数αとして算出する。
切替部45は、相対速度Vrが第1目標速度V1より大きいか否かに応じて、割合算出部42に入力される第1入力速度VLを第1目標速度V1と第3目標速度V3との間で切り替える。また相対速度Vrが第1目標速度V1より大きいか否かに応じて、割合算出部42に入力される第2入力速度VHを第2目標速度V2と第1目標速度V1との間で切り替える。
【0045】
具体的には、相対速度Vrが第1目標速度V1以下の場合には、切替部45は、第3目標速度V3と第1目標速度V1とをそれぞれ第1入力速度VL及び第2入力速度VHとして割合算出部42に入力する。この場合、割合算出部42は、第1目標速度V1と第3目標速度V3との速度差分(V1-V3)に対する、相対速度Vrと第3目標速度V3との速度差分(Vr-V3)の割合(Vr-V3)/(V1-V3)を補正係数αとして算出する。
相対速度Vrが第1目標速度V1より大きい場合には、切替部45は、第1目標速度V1と第2目標速度V2とをそれぞれ第1入力速度VL及び第2入力速度VHとして割合算出部42に入力する。この場合、割合算出部42は、第2目標速度V2と第1目標速度V1との速度差分(V2-V1)に対する、相対速度Vrと第1目標速度V1との速度差分(Vr-V1)の割合(Vr-V1)/(V2-V1)を補正係数αとして算出する。
【0046】
さらに切替部45は、相対速度Vrが第1目標速度V1より大きい場合に、補正係数αをオフセットさせるオフセット値Offsetの値を「1」に設定する。相対速度Vrが第1目標速度V1以下の場合には、オフセット値Offsetの値を「0」に設定する。
第2実施形態のリミッタ43の機能は、第1実施形態のリミッタ43の機能と同様である。
加算器46は、リミッタ43により制限された補正係数αに、オフセット値Offsetを加算した和(α+Offset)をゲイン乗算部44に入力する。ゲイン乗算部44は、和(α+Offset)に、調整ゲインK1を乗算して得られる積K1×(α+Offset)を補正トルクTcとして算出する。
【0047】
このため、相対速度Vrが第3目標速度V3以下の場合には補正トルクTcの値は「0」に設定される。相対速度Vrが、第3目標速度V3より大きく且つ第1目標速度V1以下の場合には、補正トルクTcの値はK1×(Vr-V3)/(V1-V3)に設定される。相対速度Vrが、第1目標速度V1より大きく且つ第2目標速度V2以下の場合には、補正トルクTcの値はK1×((Vr-V1)/(V2-V1)+1)に設定される。相対速度Vrが、第2目標速度V2より大きい場合には、上限値K1×(αmax+1)により制限されるまでK1×((Vr-V1)/(V2-V1)+1)に設定される。
なお、図9の構成例では、加算器46はリミッタ43の後段に設けられたが、これに代えて割合算出部42とリミッタ43との間に設けてもよい。
【0048】
図10からわかるように、自車両1が目標位置Xtrgに近づくほど、第1目標速度V1と第3目標速度V3との速度差分(V1-V3)が小さくなる。また、第2目標速度V2と第1目標速度V1との速度差分(V2-V1)が小さくなる。このため自車両1が目標位置Xtrgに近づくほど補正係数αが大きくなるので、大きな補正トルクTcで基本制駆動トルクTbを減少補正できる。
また、相対速度Vrが第3速度プロファイルP3を超えるまでは補正トルクTcの値を「0」に設定することができる。
また、調整ゲインK1を適宜設定することにより、相対速度Vrが第1速度プロファイルP1上の第1目標速度V1に至ったときの補正トルクTcを任意の値「K1」に設定できる。
【0049】
さらに、自車両の相対速度Vrが、第1速度プロファイルP1に基づく第1目標速度V1から第2速度プロファイルP2に基づく第2目標速度V2まで変化すると、補正係数αとオフセット値Offsetとの和(α+Offset)は、「1」から「2」に変化する。
したがって、調整ゲインK1を適宜設定することにより、相対速度Vrが第2速度プロファイルP2上の第2目標速度V2に至ったときの補正トルクTcを任意の値「2×K1」に設定できる。
【0050】
(第3実施形態)
図11は、第3実施形態の補正トルク設定部33の機能構成の一例のブロック図である。第3実施形態の補正トルク設定部33と第2実施形態の補正トルク設定部33との差異は、第1補正部41aが相対距離Xrや移動体の速度Vfに応じて第1距離D1を設定し、第2補正部41bが相対距離Xrや移動体の速度Vfに応じて第2距離D2を設定する点である。
【0051】
図4を参照して説明したように、目標位置Xtrgにおいて所定の設定速度Vsに達するように第1速度プロファイルP1が設定されると、自車両1が目標位置Xtrgのすぐ近くに近づいたときに、割合(Vr-V1)/(V2-V1)の分母(V2-V1)が0に接近して補正トルクTcの変化が大きくなることにより、自車両1の制駆動トルクの変動が大きくなる虞がある。目標位置Xtrgにおいて所定の設定速度Vsに達するように第3速度プロファイルP3を設定した場合も同様である。
このため、第1補正部41aは、目標位置Xtrgよりも第1距離D1だけ自車両1に近い第1地点Xo1において設定速度Vsに達するように、第1速度プロファイルP1を設定している。また、第2補正部41bも、目標位置Xtrgよりも第2距離D2だけ自車両1に近い第2地点Xo2において所定の設定速度Vsに達するように、第3速度プロファイルP3を設定している。
【0052】
しかしながら、自車両1が目標位置Xtrgから十分に離れている場合(すなわち相対距離Xrが長い)場合には、補正トルクTcの変化が大きくならないため、目標位置Xtrgよりも自車両1に近い地点で設定速度Vsに達するように速度プロファイルを設定しなくてもよい。
むしろ、目標位置Xtrgよりも自車両1に近い地点で設定速度Vsに達するように速度プロファイルを設定すると、目標位置Xtrgよりも手前で自車両1の車速Vが設定速度Vsになるように制駆動トルクが補正されるため、自車両1の車速Vが不必要に早く設定速度Vsになる虞がある。例えば、設定速度Vsが0である場合には、自車両1が目標位置Xtrgの手前で静止してしまう虞がある。
そこで、第1補正部41a及び第2補正部41bは、相対距離Xrが短い場合に比べて長い場合に第1距離D1及び第2距離D2をより短くする。
【0053】
また、図4を参照して説明したように、移動体の手前の地点を目標位置Xtrgとして設定した場合には、移動体の速度Vfが変動することで相対速度Vrが速度プロファイルを超え易くなり、相対距離Xrが短い場合には制駆動トルクが大きく変動して運転者に違和感を与える虞がある。
そこで、第1補正部41a及び第2補正部41bは、移動体の速度Vfが低い場合に比べて高い場合に第1距離D1及び第2距離D2をより長くする。
【0054】
例えば、第1補正部41aは、次式(7)に基づいて第1オフセット速度Vo1を設定してよい。
Vo1=K2a×(2×G1×Vf×T)1/2…(7)
上式(7)によれば、速度Vfが高いほど第1オフセット速度Vo1が大きくなり、第1距離D1が長くなる。
上式(7)においてK2aは、相対距離Xrに応じて設定される相対速度感応ゲインである。
第1補正部41aは、相対距離Xrが短い場合に比べて長い場合に相対速度感応ゲインK2aをより小さくする。これにより、相対距離Xrが短い場合に比べて長い場合に第1距離D1が短くなる。
図12は、相対速度感応ゲインK2aの一例の特性を示す図である。例えば、相対距離Xrが0~d0aまでの範囲では相対速度感応ゲインK2aは1であり、相対距離Xrがd0a以上の範囲では、相対距離Xrが大きくなるほど相対速度感応ゲインK2aは減少する。これにより、相対距離Xrが長いほど第1距離D1が短くなる。
【0055】
一方で第2補正部41bは、次式(8)に基づいて第2オフセット速度Vo2を設定してよい。
Vo2=K2b×(2×G3×Vf×T)1/2…(8)
上式(8)によれば、速度Vfが高いほど第2オフセット速度Vo2が大きくなり、第2距離D2が長くなる。
上式(8)においてK2bは、相対距離Xrに応じて設定される相対速度感応ゲインである。相対速度感応ゲインK2bの特性は、図12を参照して説明した相対速度感応ゲインK2aと同じ、又は類似した特性であってよい。
【0056】
なお、第1補正部41a及び第2補正部41bは、アクセルペダルの操作量Acに応じた基本制駆動トルクTbが補正トルクTcにより補正されている場合(すなわち、相対距離Xrが第3速度プロファイルP3を超えており補正トルクTcが0でない場合)に、上式(7)による第1オフセット速度Vo1の設定及び上式(8)による第2オフセット速度Vo2の設定を中止して第1オフセット速度Vo1及び第2オフセット速度Vo2の値を保持してもよい。
これにより、補正トルクTcに基づく補正中に第1速度プロファイルP1や第3速度プロファイルP3が変更されることによって、補正トルクTcが急変して自車両1に急な減速度が生じるのを抑制できる。
【0057】
なお、上記の第3実施形態は、第1~3速度プロファイルP1~P3を設定する構成において、第1補正部41aと第2補正部41bとが相対距離Xrや移動体の速度Vfに応じて第1距離D1及び第2距離D2を設定する例について説明したが、第1実施形態のように第1、2速度プロファイルP1、P3を設定する構成においても同様に、第1補正部41aが相対距離Xrや移動体の速度Vfに応じて第1距離D1を設定してもよい。
【0058】
(第4実施形態)
上記のとおり、自車両1の進行方向の前方の移動体の手前に目標位置Xtrgを設定した場合には、移動体との相対速度Vrが目標位置Xtrgにおいて設定速度Vsになる速度プロファイルに基づいて自車両1を減速させる。
このため、移動体が減速している場合には、目標位置Xtrgにおいて相対速度Vrを設定速度Vsにできないことがある。そこで、第4実施形態の補正トルク設定部33は、移動体が減速している場合には補正トルクTcを増加させる。
具体的には、自車両1の進行方向の前方において検出された移動体の加速度aを検出し、検出された加速度aが大きいほど補正トルクTcを減少させる。言い換えれば、負値の加速度である減速度が大きいほど補正トルクTcを増加させる。
【0059】
図13は、第4実施形態の補正トルク設定部33の機能構成の一例のブロック図である。第4実施形態の補正トルク設定部33は、図11を参照して説明した第3実施形態の補正トルク設定部33に類似する構成を有しており、同一の構成要素については同じ参照符号で示す。
第4実施形態の補正トルク設定部33は、加速度算出部47と、ゲイン乗算部48と、加算器49を備える。
【0060】
加速度算出部47は、自車両の進行方向の前方に存在する移動体の所定距離手前の地点が目標位置Xtrgとして設定された場合に、相対速度Vrを微分することにより自車両1に対する移動体の相対加速度を算出する。
加速度算出部47は、移動体の速度Vfを微分して移動体の加速度を算出してもよい。以下、加速度算出部47が算出した相対加速度又は移動体の加速度を総称して「加速度a」と記載することがある。
【0061】
ゲイン乗算部48は、加速度算出部47が算出した加速度aに、負の値の調整ゲインK3を乗算して得られる積を第2補正トルクTc2として算出する。したがって加速度aが減速度を示す場合(すなわち加速度aが0より小さい場合)に、第2補正トルクTc2は正の値を有する。
例えば調整ゲインK3は、相対距離Xrが長い場合よりも短い場合により絶対値が大きくなる負値のゲインであってよい。例えば調整ゲインK3は、相対距離Xrが短いほど絶対値が大きくなる負値のゲインであってよい。これにより、自車両1が目標位置Xtrgに近づくほど大きな第2補正トルクTc2で基本制駆動トルクTbを減少補正できる。
【0062】
ゲイン乗算部44は、リミッタ43により制限された補正係数αとオフセット値Offsetとの和(α+Offset)に、調整ゲインK1を乗算して得られる積を第1補正トルクTc1として算出する。
加算器49は、第1補正トルクTc1と第2補正トルクTc2の和を補正トルクTcとして算出して、図4に示す減算器34に出力する。
なお、第1実施形態及び第2実施形態の補正トルク設定部33にも、同様に加速度算出部47と、ゲイン乗算部48と、加算器49を加えてもよい。
【0063】
(実施形態の効果)
(1)コントローラ15は、自車両1のアクセルペダルの操作量に応じた制駆動力を算出し、自車両1の現在位置と自車両の進行方向前方の予め設定された所定の位置である目標位置との間の相対距離を算出し、目標位置までの距離に応じた車速を示す速度プロファイルであって第1減速度で減速して目標位置よりも第1距離だけ自車両1に近い第1地点において所定の設定速度に達して第1地点から目標位置まで設定速度を維持する第1速度プロファイルと、相対距離と、に基づいて第1目標速度を算出し、目標位置までの距離に応じた速度プロファイルとして設定され且つ第1減速度よりも大きな第2減速度で減速して目標位置において設定速度となる第2速度プロファイルと、相対距離と、に基づいて第2目標速度を算出し、目標位置に対する自車両1の相対速度を検出し、相対速度が第1目標速度以上である場合に、相対速度から第1目標速度を減算した差分を第2目標速度から第1目標速度を減算した差分で除算した割合が大きいほどより大きな補正量を算出し、アクセルペダルの操作量に応じて算出した制駆動力から補正量を減算することにより補正済制駆動力を算出し、算出された補正済制駆動力に基づいて自車両1の制駆動力を制御する。
これにより、第1速度プロファイルに基づいて自車両1を減速させる際の運転者の違和感を軽減できる。また、自車両1が目標位置に近づくほど大きな補正量で制駆動力を減少補正できる一方で、自車両1が目標位置のすぐ近くに近づいたときに補正トルクTcの変化が大きくなって自車両1の制駆動トルクが大きく変動するのを抑制できる。
また、相対速度が第1速度プロファイルを超えるまでは補正量の値を「0」に設定することができる。一方で、相対速度が第1速度プロファイルを超えた場合には、相対速度と第1目標速度との差分が大きくなるほど補正量を増加させて、相対速度が第2速度プロファイル上の第2目標速度に至ったときの補正量の値を任意に設定できる。
【0064】
(2)コントローラ15は、目標位置までの距離に応じた車速を示す速度プロファイルであって第1減速度よりも小さな第3減速度で減速して第1距離より長い第2距離だけ目標位置よりも自車両1に近い第2地点において設定速度に達して第2地点から目標位置まで設定速度を維持する第3速度プロファイルと、相対距離と、に基づいて第3目標速度を算出し、相対速度が第3目標速度以上である場合に、相対速度から第3目標速度を減算した差分を第1目標速度から第3目標速度を減算した差分で除算した割合が大きいほどより大きな補正量を算出してもよい。
これにより、相対速度が第3速度プロファイルを超えるまでは補正量の値を「0」に設定することができる。一方で、相対速度が第3速度プロファイルを超えた場合には、相対速度と第3目標速度との差分が大きくなるほど補正量を増加させて、相対速度が第1速度プロファイル上の第1目標速度に至ったときの補正量の値を任意に設定できる。さらに、相対速度が第1速度プロファイルを超えた場合には、相対速度と第1目標速度との差分が大きくなるほど補正量を増加させて、相対速度が第2速度プロファイル上の第2目標速度に至ったときの補正量の値を任意に設定できる。
【0065】
(3)コントローラ15は、目標位置までの距離に応じた車速を示し且つ第1減速度で減速して目標位置において設定速度に達する速度プロファイルの速度を、第1速度だけ低下させるとともに設定速度で下限値を制限することにより、第1速度プロファイルを取得してもよい。これにより、第1減速度で減速して目標位置よりも第1距離だけ自車両1に近い第1地点において所定の設定速度に達して第1地点から目標位置まで設定速度を維持する第1速度プロファイルを設定できる。
【0066】
(4)コントローラ15は、目標位置までの距離に応じた車速を示し且つ第3減速度で減速して目標位置において設定速度に達する速度プロファイルの速度を、第1速度よりも高い第2速度だけ低下させるとともに設定速度で下限値を制限することにより、第3速度プロファイルを取得してもよい。これにより、第3減速度で減速して第1距離より長い第2距離だけ目標位置よりも自車両1に近い第2地点において設定速度に達して第2地点から目標位置まで設定速度を維持する第3速度プロファイルを設定できる。
【0067】
(5)コントローラ15は、相対距離が短い場合に比べて長い場合に第1距離をより短くしてもよい。これにより、自車両1が目標位置から十分に離れており、自車両1が目標位置のすぐ近くに近づいたときに生じる大きな補正量の変動の発生の虞が低い場合には、目標位置よりも手前で自車両1の車速が設定速度になるように制駆動力が制御されるのを抑制できる。
(6)コントローラ15は、補正量が0でない場合には、相対距離の変化に関わらず第1距離を保持してもよい。これにより、制駆動力の補正中に第1速度プロファイルが変更されて、自車両1に急な減速度が生じるのを抑制できる。
【0068】
(7)コントローラ15は、目標位置の変化速度を制限してもよい。これにより、目標位置の急な変化により制駆動力が急変するのを抑制できる。
(8)コントローラ15は、自車両1の前方の静止物標の位置の所定距離手前の地点を、自車両1を停止させる目標位置として設定してもよい。これにより、自車両1の前方の静止物標の手前に停止できるように自車両1を減速できる。
(9)コントローラ15は、自車両1の前方の移動体の位置の所定距離手前の地点を目標位置として設定してもよい。これにより、自車両1の前方の移動体の手前において自車両1と移動体との相対速度が設定速度になるように自車両1を減速できる。
【0069】
(10)コントローラ15は、自車両1の前方の移動体の位置の所定距離手前の地点を目標位置として設定し、自車両1の進行方向における移動体の速度を検出し、検出した速度が遅い場合よりも早い場合に第1距離をより長くしてもよい。これにより、自車両1の前方の移動体が移動しても相対速度が第1速度プロファイルを超えるのを抑制できるため、自車両1が目標位置のすぐ近くに近づいても大きな補正量の変動の発生を抑制できる。
(11)コントローラ15は、補正量が0でない場合には、速度の変化に関わらず第1距離を保持してもよい。これにより、制駆動力の補正中に第1速度プロファイルが変更されて、自車両1に急な減速度が生じるのを抑制できる。
【0070】
(12)コントローラ15は、自車両1の進行方向における移動体の加速度を検出し、検出された加速度が大きいほど補正量を減少させてもよい。また、自車両1の進行方向における自車両1に対する移動体の相対加速度を検出し、検出された相対加速度が大きいほど補正量を減少させてもよい。
これにより、移動体が減速していても、移動体の手前の目標位置において自車両1と移動体との相対速度が設定速度になるように制御し易くなる。
【符号の説明】
【0071】
1…自車両、2…先行車両、10…制駆動力制御装置、11…測位装置、12…地図データベース(地図DB)、13…外界センサ、14…車両センサ、15…コントローラ、16…制駆動力発生機構、20…プロセッサ、21…記憶装置、30…基本制駆動トルク設定部、31…目標位置設定部、32…レートリミッタ、33…補正トルク設定部、34…減算器、40a…第1目標速度算出部、40b…第2目標速度算出部、40c…第3目標速度算出部、41a…第1補正部、41b…第2補正部、42…割合算出部、43…リミッタ、44、48…ゲイン乗算部、45…切替部、46、49…加算器、47…加速度算出部
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