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特開2023-128870再生可能エネルギー管理装置、及び再生可能エネルギー管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128870
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】再生可能エネルギー管理装置、及び再生可能エネルギー管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20230907BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033518
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小澤 洋司
(72)【発明者】
【氏名】河野 泰隆
(72)【発明者】
【氏名】金子 聡
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】共通部分及び個別利用部分を有する設備において再生可能エネルギーの管理を効率良く行う再生可能エネルギー管理装置及び再生可能エネルギー管理方法を提供する。
【解決手段】再生可能エネルギー管理システム1において、再生可能エネルギー管理装置である統合DC管理サーバ40は、事業者によって管理され利用者が利用する設備の消費電力において、事業者に対応づけられる消費電力の部分と、利用者に対応づけられる消費電力の部分とをそれぞれ算出し、算出した各消費電力の部分と、事業者に対応づけられたパラメータ及び利用者に対応づけられたパラメータとに基づき、事業者が調達することが必要な再生可能エネルギー量を算出する必要再生可能エネルギー量予測部と、算出した必要な再生可能エネルギーに関する情報を出力する再生可能エネルギー調達計画作成部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサ及びメモリを有し、
事業者によって管理され利用者が利用する設備の消費電力において、前記事業者に対応づけられる消費電力の部分と、前記利用者に対応づけられる消費電力の部分とをそれぞれ算出し、算出した各消費電力の部分と、前記利用者が管理し利用する設備の消費電力の部分についての、前記事業者に対応づけられたパラメータ及び前記利用者に対応づけられたパラメータとに基づき、前記事業者が調達することが必要な再生可能エネルギー量を算出する必要再生可能エネルギー量予測部と、
前記算出した必要な再生可能エネルギーに関する情報を出力する再生可能エネルギー調達計画作成部と
を備える、再生可能エネルギー管理装置。
【請求項2】
前記利用者に対応づけられたパラメータとして、前記利用者の環境要件を示す値を算出し、前記事業者に対応づけられたパラメータとして、前記事業者の環境要件を示す値を算出する換算係数算出部を備え、
前記必要再生可能エネルギー量予測部は、前記算出した各消費電力の部分と、前記事業者の環境要件を示す値及び前記利用者の環境要件を示す値とに基づき、前記事業者が調達することが必要な再生可能エネルギー量を算出する、
請求項1に記載の再生可能エネルギー管理装置。
【請求項3】
前記事業者が調達する予定の再生可能エネルギー量を算出し、算出した前記調達する予定の再生可能エネルギー量と、前記算出した、前記事業者が調達することが必要な再生可能エネルギー量とを比較することで、再生可能エネルギーの過不足を推定する再生可能エネルギー過不足検知部を備える、請求項1に記載の再生可能エネルギー管理装置。
【請求項4】
前記設備は、前記利用者が利用する機器と、前記利用者が利用する機器を管理する、前記事業者が管理する機器とを有し、
前記利用者が利用する機器の前記管理者が管理する機器への影響度を算出する影響度算出部を備え、
前記必要再生可能エネルギー量予測部は、前記算出した影響度と、前記事業者に対応づけられたパラメータとに基づき、前記事業者に対応づけられる消費電力の部分を算出する、
請求項1に記載の再生可能エネルギー管理装置。
【請求項5】
前記設備は、前記利用者が利用する機器と、前記利用者が利用する機器を管理する、前記事業者が管理する機器とを有するデータセンタであり、
前記影響度算出部は、前記影響度を、前記利用者が利用する機器の構成、消費電力、温度、又は用途の少なくともいずれかに基づき算出する、
請求項4に記載の再生可能エネルギー管理装置。
【請求項6】
前記再生可能エネルギーの不足を検知した場合に、前記再生可能エネルギーの不足を解消するための情報を出力する再生可能エネルギー調達計画作成部を備える、請求項3に記載の再生可能エネルギー管理装置。
【請求項7】
前記必要再生可能エネルギー量予測部は、前記再生可能エネルギーの不足が検知された場合に、前記利用者の環境要件を示す値を変更し、変更した値に基づき、前記事業者が調達することが必要な再生可能エネルギー量を算出する、請求項3に記載の再生可能エネルギー管理装置。
【請求項8】
前記再生可能エネルギー調達計画作成部は、前記算出した、前記事業者が調達することが必要な再生可能エネルギー量と、前記算出した、調達する予定の再生可能エネルギーとの差分を示す情報を出力する、請求項3に記載の再生可能エネルギー管理装置。
【請求項9】
情報処理装置が、
事業者によって管理され利用者が利用する設備の消費電力において、前記事業者に対応づけられる消費電力の部分と、前記利用者に対応づけられる消費電力の部分とをそれぞれ算出し、算出した各消費電力の部分と、前記利用者が管理し利用する設備の消費電力の部分についての、前記事業者に対応づけられたパラメータ及び前記利用者に対応づけられたパラメータとに基づき、前記事業者が調達することが必要な再生可能エネルギー量を算出する必要再生可能エネルギー量予測処理と、
前記算出した必要な再生可能エネルギーに関する情報を出力する再生可能エネルギー調達計画作成処理と
を実行する、再生可能エネルギー管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生可能エネルギー管理装置、及び再生可能エネルギー管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化の原因となっている二酸化炭素など温室効果ガスの排出を防ぐために化石燃料からの脱却を目指す、いわゆる脱炭素化が注目されている。この点、データセンタ(Data Center: DC)には多数の情報処理装置や通信機器が設定されており、これらの運用及
び稼働には多量の電力を必要とする。そこで、再生可能エネルギーを用いてこれらの運用及び稼働を行うことで、脱炭素化を達成しようとする試みがなされている。
【0003】
ここで、特許文献1には、需要家の電力の調達に関して、電力調達支援システムが、複数の需要家に対する電力を複数の調達ソースから調達することを支援するべく、電力の調達コスト、再エネ比率又はノンカーボン比率を含む評価指標を受け付け、受け付けた評価指標に基づいて、複数の需要家が分類された一つ以上の需要家組合せと、各需要家組合せについて一つ以上の調達ソースの各々の電力調達量と、を決定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-039699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、データセンタには、以下の事情が存在する。すなわち、データセンタには、利用者が機器等を持ち込むハウジング(個別部分)と、全利用者の運用のための他の機器が設けられる共通部分(基幹ネットワーク機器等)とがあるが、利用者は前者に対して消費電力に由来する温室効果ガス(ここでは二酸化炭素(Carbon Dioxide:CO2)とする)の排出量の削減の責任、後者は事業者が責任を負う。また、再生可能エネルギーの利用により、CO2排出量の削減ができるため、利用電力及び、再生可能エネルギーの管理が必要で
ある。
【0006】
しかしながら、各利用者が独自に実際の電力を調達し、これを自身の持ち込んだ機器に供給することは、事業者の電力設備変更などが伴うため、難しい。また、環境価値証書などの個別の調達はスケールメリットが活かせず、コストが高い。そこで、事業者が事業者分と利用者分とを一括して調達し、各利用者の再生可能エネルギー活用を実施することで、スケールメリットにより、コストを低減できる。しかし、利用者の利用状況により、事業者が責任を持つ共通部分の消費電力が変わる。さらに各利用者と事業者とでは、それぞれが設定する環境要件(目標の再生可能エネルギーの割合など)も異なっているため、事業者と利用者とを合わせて、どれだけの再生可能エネルギーを調達すればよいかを算出することは難しい。
このような事情から、事業者と利用者が連携して再生可能エネルギーの管理を効率良く管理する仕組みが求められている。
【0007】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、共通部分及び個別利用部分を有する設備において再生可能エネルギーの管理を効率良く行うことが可能な再生可能エネルギー管理装置、及び再生可能エネルギー管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の一つは、プロセッサ及びメモリを有し、事業者によって管理され利用者が利用する設備の消費電力において、前記事業者に対応づけられる消費電力の部分と、前記利用者に対応づけられる消費電力の部分とをそれぞれ算出し、算出した各消費電力の部分と、前記利用者が管理し利用する設備の消費電力の部分についての、前記事業者に対応づけられたパラメータ及び前記利用者に対応づけられたパラメータとに基づき、前記事業者が調達することが必要な再生可能エネルギー量を算出する必要再生可能エネルギー量予測部と、前記算出した必要な再生可能エネルギーに関する情報を出力する再生可能エネルギー調達計画作成部とを備える、再生可能エネルギー管理装置、である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、共通部分及び個別利用部分を有する設備において再生可能エネルギーの管理を効率良く行うことができる。
上記した以外の構成及び効果等は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る再生可能エネルギー管理システムの構成の一例を示す図である。
図2】統合DC管理サーバが備えるハードウェア及び機能の一例を説明する図である。
図3】再エネ管理テーブルの一例を示す図である。
図4】再エネ調達方法種類テーブルの一例を示す図である。
図5】必要再エネ量予測テーブルの一例を示す図である。
図6】再エネ調達実績テーブルの一例を示す図である。
図7】再エネ調達計画テーブルの一例を示す図である。
図8】DC利用者管理サーバが備えるハードウェア及び機能の一例を示す図である。
図9】DC利用者環境要件テーブルの一例を示す図である。
図10】DC利用者機器増減設計画テーブルの一例を示す図である。
図11】再生可能エネルギー調達計画第1作成処理の一例を説明する図である。
図12】影響度算出処理の詳細を説明するフロー図である。
図13】必要生成エネルギー量予測処理を説明するフロー図である。
図14】再生可能エネルギー過不足検知処理の詳細を説明するフロー図である。
図15】再生可能エネルギー調達計画作成処理の詳細を説明するフロー図である。
図16】事業者管理画面の一例を示す図である。
図17】再生可能エネルギー調達計画第2作成処理の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本実施形態に係る再生可能エネルギー管理システム1の構成の一例を示す図である。再生可能エネルギー管理システム1は、DC事業者用管理端末10と、DC利用者用端末20と、統合DC管理システム30(再生可能エネルギー管理システム)と、1又は複数のデータセンタ60とを含んで構成される(DC:Data Center)。
【0012】
DC事業者用管理端末10は、データセンタ60を管理する事業者が利用する情報処理装置である。
【0013】
DC利用者用端末20は、データセンタ60を利用する利用者が利用する情報処理装置である。
【0014】
データセンタ60は、共通IT機器62と、共通設備63と、1又は複数のハウジング設備64と、DCIM61(Data Center Infrastructure Management)とを備える(I
T:Information Technology)。
【0015】
ハウジング設備64は、利用者ごとに設けられる。ハウジング設備64は、本実施形態では、サーバ装置69、ストレージ装置70、及びNW機器71を含む(NW:NetWork
)。ハウジング設備64は、各利用者が設置し、利用及び管理する。これらの設備及び機器(以下、これらは機器と総称する)は、電力を消費しつつ稼働する。
【0016】
共通設備63は、各利用者及び事業者が共通して利用する設備である。共通設備63は、本実施形態では、空調設備66、照明設備66、及び昇降機68を含む。これらの設備は、電力を消費しつつ稼働する。
【0017】
共通IT機器62は、各利用者及び事業者が共通して利用するIT機器である。共通IT機器62は、基幹NW機器65を含む。当該機器は、電力を消費しつつ稼働する。
【0018】
DCIM61は、データセンタ60における各設備及び機器の稼働状態に関する情報を収集し管理する。例えば、DCIM61は、データセンタ60の各設備及び機器の構成(ラックの構成)、消費電力、温度、風量、電源の状態等を測定し記憶する。
【0019】
各利用者は、自身が利用するハウジング設備64(個別部分)の利用に必要な電力のうち、所定割合(再生可能エネルギー利用率又は再エネ率)を、再生可能エネルギー(太陽光、風力、地熱、バイオマス等。以下、再エネと略記する場合もある。)によって調達する責任がある。また、各利用者は、この再生可能エネルギーの調達について、所定の要件(環境要件)を課している。環境要件は、利用者ごとに異なりうる。
【0020】
事業者は、共通IT機器62及び共通設備(共通部分)の利用に必要な電力のうち、所定割合(再生可能エネルギー利用率又は再エネ率)を、再生可能エネルギー(太陽光、風力、地熱、バイオマス等)によって調達する責任がある。なお、この共通部分の消費電力は、各利用者の個別部分の利用に応じて影響を受ける。また、事業者は、これらの再生可能エネルギーの調達について、所定の要件(環境要件)を課している。
【0021】
統合DC管理システム30(再生可能エネルギー管理システム)は、統合DC管理サーバ40(再生可能エネルギー管理装置)及びDC利用者管理サーバ50を備える。統合DC管理システム30は、例えば、SaaS(Software as a Service)として、各利用者
に提供される。すなわち、統合DC管理システム30は、DC事業者用管理端末10及びDC利用者端末20から、ネットワーク経由でアクセスされる。そして、統合DC管理システム30は、ネットワーク経由で各DCからの情報を収集する。
【0022】
統合DC管理サーバ40は、データセンタ60における電力消費及び事業者の環境要件に基づく再生可能エネルギーの必要調達量を、データセンタ60の共通部分が寄与する部分及び個別部分が寄与する部分のそれぞれを個別に考慮することで予測し、再生可能エネルギーが不足するか否かを検知すると共に、不足する場合は、不足を解消するための再生可能エネルギーの調達計画を作成して、事業者に提供する。
【0023】
なお、統合DC管理サーバ40は、再エネ率を算出する時間単位(以下、再エネ管理単位という)を記憶している。本実施形態では、再エネ管理単位は1年であるものとするが、例えば1時間であってもよい。
【0024】
また、統合DC管理サーバ40は、再生可能エネルギーの必要量を集計する時間単位(以下、集計単位という)を記憶している。集計単位は、再生可能エネルギー管理単位以下の時間である。本実施形態では、集計単位は1ヶ月であるものとするが、例えば1時間であってもよい。
【0025】
DC利用者管理サーバ50は、再生可能エネルギーに関する利用者の情報(例えば、利用者の環境要件、個別部分の機器及び装置の増設及び減設の計画の情報)をDC利用者用端末20から取得して記憶する。
【0026】
DC事業者及び各DC利用者管理サーバ50と統合DC管理サーバとの間、また、統合DC管理サーバとデータセンタ60との間は、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、又は専用線等の有線又は無線の通信ネ
ットワーク5、6により通信可能となっている。
【0027】
次に、図2は、統合DC管理サーバ40が備えるハードウェア及び機能の一例を説明する図である。
【0028】
統合DC管理サーバ40は、換算係数算出プログラム45、影響度算出プログラム46、必要再エネ量予測プログラム47、再エネ過不足検知プログラム48、及び再エネ調達計画作成プログラム49の各プログラムを記憶している。
【0029】
統合DC管理サーバ40は、再エネ管理テーブル100、再エネ調達方法種類テーブル200、必要再エネ量予測テーブル300、再エネ調達実績テーブル400、及び再エネ調達計画テーブル500の各情報を管理している。
【0030】
影響度算出プログラム46は、利用者が利用する機器の状態に基づくパラメータ(以下、影響度という)を算出する。影響度は、消費電力に関する、個別部分の共通部分への影響の大きさを表す。影響度の詳細は後述する。
【0031】
必要再エネ量予測プログラム47は、データセンタ60の消費電力において、事業者に対応づけられる共通部分の消費電力と、利用者に対応づけられる個別部分の消費電力とをそれぞれ算出し、算出した各消費電力と、事業者に対応づけられたパラメータ(本実施形態では、次述する事業者の環境要件)及び利用者に対応づけられたパラメータ(本実施形態では、次述する利用者の環境要件)と、影響度とに基づき、事業者が調達することが必要な再生可能エネルギー量を算出する。
【0032】
換算係数算出プログラム45は、利用者に対応づけられたパラメータとして、利用者の環境要件を示す値を算出し、事業者に対応づけられたパラメータとして、事業者の環境要件を示す値を算出する。なお、本パラメータは必ずしも環境要件である必要は無く、その他の基準となるパラメータであってもよい。
【0033】
再エネ過不足検知プログラム48は、事業者が調達する予定の再生可能エネルギー量と、必要再エネ量予測プログラム47が算出した、事業者が調達することが必要な再生可能エネルギー量とを比較することで、再生可能エネルギーの過不足を推定する。
【0034】
再エネ調達計画作成プログラム49は、必要再エネ量予測プログラム47が算出した必要な再生可能エネルギーに関する情報を出力する。
【0035】
また、統合DC管理サーバ40は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array
)等の処理装置41(プロセッサ)と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の主記憶装置42(メモリ)と、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)
などの補助記憶装置43と、NIC(Network Interface Card)、無線通信モジュール、USB(Universal Serial Interface)モジュール、又はシリアル通信モジュール等で構成される通信装置44とを備える。なお、統合DC管理サーバ40は、マウスやキーボード等で構成される入力装置と、液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等で構成される出力装置とを備えていてもよい。
次に、統合DC管理サーバ40が記憶する各情報の詳細を説明する。
【0036】
(再エネ管理テーブル)
再エネ管理テーブル100は、事業者及び各利用者が備える環境要件に関するパラメータを記憶したテーブルである。
図3は、再エネ管理テーブル100の一例を示す図である。再エネ管理テーブル100は、事業者又は利用者の識別情報が設定される事業者利用者101、事業者又は利用者が有する環境要件の項目が設定される要件項目102、事業者又は利用者が有する環境要件を示す数値が設定される要件数値103、事業者又は利用者が調達する再生可能エネルギーの調達方法の種類の識別情報が設定される調達方法種類104、事業者又は利用者の再生可能エネルギーの調達に関する換算係数が設定される換算係数105、及び、事業者又は利用者の個別部分の利用による共通部分への消費電力の影響度が設定される影響度106の各項目を有する1以上のレコードで構成される。
【0037】
要件項目102には、例えば、RE100、CDPといった、環境要件の認証に関する団体名等が設定される。要件数値103には、再エネ率、再生可能エネルギーの調達元、又は、電力をCO2(Carbon Diocide:二酸化炭素)に換算した場合のCO2の削減数値等の情報が設定される。換算係数は、環境要件を示す数値を再生可能エネルギー量に変換するための数値である。
【0038】
(再エネ調達方法種類テーブル)
再エネ調達方法種類テーブル200は、再生可能エネルギーの各種類の調達方法の内容を記憶したテーブルである。
図4は、再エネ調達方法種類テーブル200の一例を示す図である。再エネ調達方法種類テーブル200は、再生可能エネルギーの調達方法の種類の識別情報が設定される種類ID201(再エネ管理テーブル100の調達方法種類104に対応)、その種類の名称が設定される種類名202、その種類の調達方法により達成可能な環境要件の項目の情報が設定される対応可能要件203、及びその種類の調達方法の内容が設定される調達方法204の各項目を有する1以上のレコードで構成される。
【0039】
調達方法204には、その種類の調達によって取得する証書(再生可能エネルギーを使用する(CO2を排出しない)ことによる環境価値)の種類、その証書の取得(すなわち再生可能エネルギーの調達)に必要な費用(単位電気量当たりの単価)が設定される。
【0040】
(必要再エネ量予測テーブル)
必要再エネ量予測テーブル300は、統合DC管理サーバ40が予測した、事業者及び各利用者に必要な再生可能エネルギー量の予測の履歴を記憶したテーブルである。
【0041】
図5は、必要再エネ量予測テーブルの一例を示す図である。必要再エネ量予測テーブル300は、予測を行った日付が設定される作成日301、その予測の対象の期間(集計単位での期間。以下、予測期間という。)が設定される予測対象302、その予測対象の事業者又は利用者の識別情報が設定される事業者利用者303、その予測に係る再生可能エネルギーの調達方法の種類が設定される調達方法種類ID304、予測期間における消費
電力量の予測値が設定される消費電力量305、及び、その予測の対象の期間に必要な再生可能エネルギー量の予測値が設定される必要再生可能エネルギー量306の各項目を有する1以上のレコードで構成される。
【0042】
(再エネ調達実績テーブル)
再エネ調達実績テーブル400は、事業者が行った過去の再生可能エネルギーの調達の履歴を記憶したテーブルである。
【0043】
図6は、再エネ調達実績テーブル400の一例を示す図である。再エネ調達実績テーブル400は、事業者による再生可能エネルギーの調達日が設定される調達日401、その調達方法の内容が設定される調達方法402、調達された再生可能エネルギー量が設定される調達再生可能エネルギー量403、その再生可能エネルギーの償却期間が設定される償却期間404、調達に要した費用が設定される調達金額405、及びその調達に係る契約の期間が設定される契約期間406の各項目を有する1以上のレコードで構成される。
【0044】
なお、調達再生可能エネルギー量403には、その種類の調達によって取得する証書(再エネ調達方法種類テーブル200の調達方法204)が設定される。
【0045】
(再エネ調達計画テーブル)
再エネ調達計画テーブル500は、統合DC管理サーバ40が作成した、事業者の再生可能エネルギーの調達計画の内容を記憶したテーブルである。
【0046】
図7は、再エネ調達計画テーブルの一例を示す図である。再エネ調達計画テーブル500は、事業者による再生可能エネルギーの調達の予定日が設定される計画調達日501、その調達方法の種類が設定される調達方法種類ID502、その調達される再生可能エネルギー量が設定される調達再生可能エネルギー量503、及び、その調達が実行されたか否かを示す情報(「調達済み」又は「調達予定」)が設定されるステータス504の各項目を有する1以上のレコードで構成される。再生可能エネルギーの調達が完了した場合には、事業者等により、ステータス504の「調達予定」が「調達済み」に変更される。
【0047】
図8は、DC利用者管理サーバ50が備えるハードウェア及び機能の一例を示す図である。DC利用者管理サーバ50は、DC利用者環境要件テーブル600、及びDC利用者機器増減設計画テーブル700の各情報を記憶している。
【0048】
また、DC利用者管理サーバ50は、統合DC管理サーバ40と同様に、処理装置51(プロセッサ)と、主記憶装置52(メモリ)と、補助記憶装置53と、通信装置54とを備える。なお、DC利用者管理サーバ50は、入力装置と、出力装置とを備えていてもよい。
次に、DC利用者管理サーバ50が記憶する各情報の詳細を説明する。
【0049】
(DC利用者環境要件テーブル)
DC利用者環境要件テーブル600は、各利用者の環境要件に関する情報を記憶したテーブルである。
図9は、DC利用者環境要件テーブル600の一例を示す図である。DC利用者環境要件テーブル600は、利用者の識別情報が設定される利用者601、その利用者が有する環境要件の項目が設定される要件項目602(再エネ管理テーブル100の要件項目102に対応)、その利用者が有する環境要件の数値が設定される要件数値603(再エネ管理テーブル100の要件数値103に対応)、及び、その環境要件に関する契約の契約日又は更新日が設定される契約日更新日604の各項目を有する1以上のレコードで構成される。なお、DC利用者環境要件テーブル600には、各利用者が設定した環境要件の情
報が設定される。
【0050】
(DC利用者機器増減設計画テーブル)
DC利用者機器増減設計画テーブル700は、各利用者の個別部分の機器の構成の変更(機器の増設及び減設)の計画内容を記憶した情報である。
【0051】
図10は、DC利用者機器増減設計画テーブル700の一例を示す図である。DC利用者機器増減設計画テーブル700は、利用者の識別情報が設定される利用者701、その利用者が機器を増設又は減設する予定の日付が設定される日付702、その増設又は減設の計画の内容(実施日及び機器の増減設の内容)が設定される増減設計画703、及び、その増設又は減設の期間が設定される計画期間704の各項目を有する1以上のレコードで構成される。なお、本実施形態では、増減設計画703には、各利用者が情報を設定するものとする。
【0052】
以上に説明した統合DC管理サーバ40、DC利用者管理サーバ50の機能は、処理装置41、51が、主記憶装置42、42又は補助記憶装置43、53に格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。また上記のプログラムは、例えば、記録媒体に記録して配布することができる。なお、各情報処理装置は、その全部または一部が、例えば、クラウドシステムによって提供される仮想サーバのように、仮想化技術やプロセス空間分離技術等を用いて提供される仮想的な情報処理資源を用いて実現されるものであってもよい。また、各情報処理装置によって提供される機能の全部または一部は、例えば、クラウドシステムがAPI(Application Programming Interface)等を介し
て提供するサービスによって実現してもよい。
次に、統合DC管理システム30が実行する処理について説明する。
【0053】
<再生可能エネルギー調達計画第1作成処理>
図11は、再生可能エネルギー調達計画第1作成処理の一例を説明する図である。この処理は、例えば、DC事業者用管理端末10にユーザから所定の入力がなされた場合、所定のタイミング又は時間間隔(例えば、年度の開始時、利用者の環境要件に関する契約が締結又は変更された場合)、に開始される。
【0054】
まず、DC事業者用管理端末10は、再生可能エネルギー調達計画の作成要求を送信する(s1)。統合DC管理サーバ40は、この作成要求を受信すると、DC利用者管理サーバ50に、利用者の環境要件の取得を要求する利用者環境要件要求を送信する(s3)。
【0055】
DC利用者管理サーバ50は、利用者環境要件要求を受信すると、既存の利用者の環境要件の情報(DC利用者環境要件テーブル600の情報)を、統合DC管理サーバ40に送信する(s5)。DC利用者管理サーバ50は、利用者の環境要件の情報を受信すると、受信した情報を再エネ管理テーブル100に設定する。
【0056】
また、統合DC管理サーバ40は、DCIM61に、データセンタ60の運用に関する実績情報の取得要求を送信する(s7)。DCIM61は、この取得要求を受信すると、統合DC管理サーバ40に、データセンタの運用に関する実績情報(例えば、データセンタにおける、各機器の構成の変更の履歴、各機器の用途、各機器又はデータセンタ(共通部分及び個別部分)の温度、及び機器の消費電力)を送信する(s9)。
【0057】
統合DC管理サーバ40は、データセンタの運用に関する実績情報を受信すると、事業者及び各利用者の再生可能エネルギーの換算係数を算出する(s11)。
【0058】
具体的には、統合DC管理サーバ40は、事業者及び各利用者のそれぞれの主体について、以下の処理を行う。すなわち、統合DC管理サーバ40は、再エネ管理テーブル100を参照し、当該主体にかかるレコードの要件項目102及び要件数値103を取得する。
【0059】
そして、統合DC管理サーバ40は、取得した要件数値103に基づき、当該主体の換算係数を算出する。例えば、統合DC管理サーバ40は、要件数値である再エネ率を換算係数とする。また、例えば、統合DC管理サーバ40は、要件数値であるCO2排出削減量を所定の換算式(例えば、全体消費電力に排出係数を乗算する)を用いることで再エネ率に変換し、これを換算係数とする。なお、統合DC管理サーバ40は、算出した換算係数を、再エネ管理テーブル100の換算係数105に設定する。
【0060】
また、統合DC管理サーバ40は、再エネ調達方法種類テーブル200を参照し、対応可能要件203に前記取得した要件項目102が設定されているレコードの種類IDを特定することで、当該主体の再生可能エネルギーの調達方法の種類を特定する。統合DC管理サーバ40は、特定した調達方法の種類を、再エネ管理テーブル100の調達方法種類104に設定する。
【0061】
統合DC管理サーバ40は、各個別部分の、共通部分への影響度(必要な再生可能エネルギー量への影響)を算出する影響度算出処理s13を実行する。
【0062】
統合DC管理サーバ40は、s11で特定した調達方法の種類ごとに、必要再生可能エネルギーの合計量(事業者及び全利用者分の合計量。以下、種類別必要再生可能エネルギー合計量という。)を予測する必要生成エネルギー量予測処理s15を実行する。
【0063】
統合DC管理サーバ40は、必要生成エネルギー量予測処理s15で算出した必要再生可能エネルギーの合計量が現在不足しているか否かを、s11で特定した調達方法の種類ごとに検知する、再生可能エネルギー過不足検知処理s17を実行する。
【0064】
統合DC管理サーバ40は、再生可能エネルギー過不足検知処理s17の結果に基づき、再生可能エネルギーの調達が必要であるか否かを、s11で特定した調達方法の種類ごとに判定する(s19)。再生可能エネルギーの調達が必要な場合は(s19:YES)、統合DC管理サーバ40は、再生可能エネルギー調達計画を作成(更新)する再生可能エネルギー調達計画s21を実行し、その後はs23の処理が実行される。一方、再生可能エネルギーの調達が必要でない場合は(s19:NO)、統合DC管理サーバ40は、s23の処理を実行する。
【0065】
s23において統合DC管理サーバ40は、現在の再生可能エネルギー調達計画をDC事業者用管理端末10に送信する。
次に、上記の各処理の詳細を説明する。
【0066】
<影響度算出処理>
図12は、影響度算出処理s13の処理の詳細を説明するフロー図である。まず、影響度算出プログラム46は、利用者を一つ選択する(s201)。
【0067】
影響度算出プログラム46は、s201で選択した利用者について、その利用者が既存の利用者である場合には、その増減設計画による、共通部分への影響度を算出する(s203)。
【0068】
具体的には、影響度算出プログラム46は、必要再エネ量予測テーブル300の事業者
に係るレコードの消費電力量305の増減と、s9で取得した消費電力の実績値とから影響度を算出する。
【0069】
また、影響度算出プログラム46は、s201で選択した利用者の現在の機器の状態(構成又は機器の用途等)に基づく、共通部分への影響度を算出する(s205)。
【0070】
例えば、影響度算出プログラム46は、s201で選択した利用者の個別部分に設置されている各機器の種類(例えば、サーバ装置、通信機器)と、各機器の用途(例えば、演算処理、通信処理)とを、s9で受信した実績情報から取得する。影響度算出プログラム46は、取得した各機器の種類に設定されている所定の重み値(例えば、サーバ装置の重み値はネットワーク機器の重み値より大きい)と取得した各種類の機器の用途又は動作状況に設定されている所定の重み値(例えば、計算用途の機器の重み値は通信用との機器の重み値より大きい。温度が高い機器ほど重み値が高い。)との乗算値を、機器ごとに算出する。影響度算出プログラム46は、算出した各乗算値を合計することで、選択した利用者の個別部分により、共通部分への影響度を算出する。
【0071】
なお、ここで説明した共通部分への影響度の算出方法は一例であり、影響度算出プログラム46は、例えば、各機器又はデータセンタ60の温度(例えば、個別部分又は共通部分の温度が高いほど影響度が大きくなる)、空調機器の風量、各機器の電源状態に基づいて影響度を算出してもよい。
【0072】
影響度算出プログラム46は、s203及びs205で算出した影響度の合計値を、再エネ管理テーブル100の影響度106に設定する。なお、ここで説明した影響度の算出方法は一例であり、影響度算出プログラム46は、利用者の増減設計画及び個別部分の機器構成に応じて、任意の方法で影響度を算出してよい。
【0073】
影響度算出プログラム46は、s203及びs205の処理を実行していない利用者がいるか否かを確認する(s207)。s203及びs205の処理を実行していない利用者がいる場合は、影響度算出プログラム46は、その利用者を選択すべくs131以降の処理を繰り返す。s203及びs2035の処理を実行していない利用者がいない場合は、影響度算出処理s13は終了する。
【0074】
<必要生成エネルギー量予測処理>
図13は、必要生成エネルギー量予測処理s15を説明するフロー図である。まず、必要再エネ量予測プログラム47は、利用者を一つ選択する(s301)。
【0075】
必要再エネ量予測プログラム47は、現在の個別部分の機器の情報に基づき、予測期間における、各利用者の個別部分の消費電力を予測する(s303)。なお、予測期間は集計単位の期間である。
【0076】
例えば、必要再エネ量予測プログラム47は、s9で受信した実績情報(各機器の構成及び消費電力量)に基づき消費電力を算出する。
【0077】
必要再エネ量予測プログラム47は、再エネ管理テーブル100における換算係数と、s303で算出した個別部分の消費電力とに基づき、予測期間における、利用者の個別部分の必要再生可能エネルギーP_REを算出(予測)する(s305)。
【0078】
例えば、必要再エネ量予測プログラム47は、再エネ管理テーブル100を参照し、利用者に係るレコードの換算係数105の値を取得し、取得した利用者の換算係数105の値と、s303で算出した、個別部分の将来の消費電力とを乗算することで、利用者の個
別部分の必要再生可能エネルギーP_REを算出する。
【0079】
必要再エネ量予測プログラム47は、利用者の調達方法の種類(利用者の環境要件に対応する調達方法の種類)に係る、種類別必要再生可能エネルギー合計量(なお、初期値は0に予め設定されている)に、s305で算出した、利用者の個別部分の必要再生可能エネルギーP_REを加える(s307)。
【0080】
具体的には、必要再エネ量予測プログラム47は、再エネ管理テーブル100を参照し、利用者に係るレコードの要件項目102を取得する。必要再エネ量予測プログラム47は、再エネ調達方法種類テーブル200を参照し、対応可能要件203に、前記取得した要件項目102が設定されているレコードの種類ID201を特定する。必要再エネ量予測プログラム47は、その種類IDに係る種類別必要再生可能エネルギー合計量に、s305で算出したP_REを加える。
【0081】
必要再エネ量予測プログラム47は、DC利用者機器増減設計画テーブル700等に基づき、予測期間における、既存及び新規の利用者の個別部分の消費電力を算出(予測)する(s309)。
【0082】
既存の利用者の場合、例えば、必要再エネ量予測プログラム47は、DC利用者機器増減設計画テーブル700を参照し、利用者701に利用者が設定されているレコードを取得する。そして、必要再エネ量予測プログラム47は、取得したレコードのうち、増減設計画703の実施日及び計画期間704から特定される期間が前記予測期間を含んでいるレコードの増減設計画703の各機器の電力値と、前記予測期間とをそれぞれ乗算し、さらにそれらの乗算値を合計することで、消費電力を予測する。
【0083】
新規の利用者の場合、例えば、必要再エネ量予測プログラム47は、s9で受信した実績情報又は所定の管理テーブルから、新規導入された機器及びその消費電力のデータを取得することで、利用者の個別部分の消費電力を算出する。
【0084】
なお、ここで説明した消費電力の算出方法は一例であり、必要再エネ量予測プログラム47は、個別部分の機器の構成の変動による消費電力の変化を予測するものであればよい。
【0085】
次に、必要再エネ量予測プログラム47は、s309で予測した利用者の個別部分の消費電力と、影響度算出処理s13で算出した利用者の影響度とに基づき、当該利用者の機器の利用に基づく、予測期間における、共通部分の消費電力を予測する(s311)。具体的には、必要再エネ量予測プログラム47は、利用者の個別部分の消費電力と利用者の影響度を乗算することで共通部分の消費電力を算出する。
【0086】
必要再エネ量予測プログラム47は、再エネ管理テーブル100における換算係数と、s311で予測した共通部分の消費電力とに基づき、予測期間における、事業者の必要再生可能エネルギーP_RE_dcを算出(予測)する(s313)。
【0087】
例えば、必要再エネ量予測プログラム47は、再エネ管理テーブル100を参照し、事業者に係るレコードの換算係数105の値を取得し、取得した事業者の換算係数105の値と、s311で算出した共通部分の消費電力とを乗算することで、個別部分から影響を受ける分に相当する事業者の必要再生可能エネルギーP_RE_dcを算出する。
【0088】
次に、必要再エネ量予測プログラム47は、事業者の調達方法の種類(事業者の環境要件に対応する調達方法の種類)に係る、種類別必要再生可能エネルギー合計量に、s31
3で算出した、事業者の必要再生可能エネルギーP_RE_dcを加える(s315)。
【0089】
具体的には、必要再エネ量予測プログラム47は、DC利用者環境要件テーブル600を参照し、事業者に係るレコードの要件項目602を取得する。必要再エネ量予測プログラム47は、再エネ調達方法種類テーブル200を参照し、対応可能要件203に、前記取得した要件項目602が設定されているレコードの種類ID201を特定する。必要再エネ量予測プログラム47は、その種類IDに対応づけられた種類別必要再生可能エネルギー合計量に、s313で算出したP_RE_dcを加える。
【0090】
必要再エネ量予測プログラム47は、s301~s315の処理を全ての利用者について実行したか否かを確認する(s317)。s301~s315の処理を全ての利用者について実行した場合は(s317:Yes)、必要再エネ量予測プログラム47は、s319の処理を実行する。s301~s315の処理を全ての利用者について実行していない場合は(s317:No)、必要再エネ量予測プログラム47は、その実行していない利用者を選択すべくs301の処理を繰り返す。
【0091】
s319において必要再エネ量予測プログラム47は、予測期間における、共通部分(事業者固有の分)による消費電力を予測する。
【0092】
例えば、必要再エネ量予測プログラム47は、DC利用者機器増減設計画テーブル700を参照し、利用者701に事業者が設定されているレコードを取得する。そして、必要再エネ量予測プログラム47は、取得したレコードのうち、増減設計画703の実施日及び計画期間704により特定される期間が予測期間を含んでいるレコードの増減設計画703の各機器の消費電力と、前記予測期間とを乗算することで、予測期間における共通部分の消費電力を算出する。
【0093】
次に、必要再エネ量予測プログラム47は、再エネ管理テーブル100における換算係数と、s319で予測した共通部分の消費電力とに基づき、予測期間における、事業者の共通部分の必要再生可能エネルギーP_RE_dc0を算出(予測)する(s321)。
【0094】
具体的には、必要再エネ量予測プログラム47は、再エネ管理テーブル100を参照し、事業者に係るレコードの換算係数105の値を取得し、取得した事業者の換算係数105の値と、s319で算出した事業者の共通部分の消費電力とを乗算することで、事業者の必要再生可能エネルギーP_RE_dc0を算出する。
【0095】
次に、必要再エネ量予測プログラム47は、事業者の調達方法の種類(事業者の環境要件に対応する調達方法の種類)に係る、種類別必要再生可能エネルギー合計量に、s321で算出した、事業者の共通部分の必要再生可能エネルギーP_RE_dc0を加える(s323)。以上で必要生成エネルギー量予測処理s15は終了する。
【0096】
具体的には、必要再エネ量予測プログラム47は、再エネ管理テーブル100を参照し、事業者に係るレコードの要件項目102を取得する。必要再エネ量予測プログラム47は、再エネ調達方法種類テーブル200を参照し、対応可能要件203に、前記取得した要件項目102が設定されているレコードの種類ID201を特定する。必要再エネ量予測プログラム47は、その種類IDに係る種類別必要再生可能エネルギー合計量に、s321で算出したP_RE_dc0を加える。
【0097】
<再生可能エネルギー過不足検知処理>
図14は、再生可能エネルギー過不足検知処理s17の詳細を説明するフロー図である。再エネ過不足検知プログラム48は、再生可能エネルギーの調達方法の種類の一つを選
択する(s401)。
【0098】
再エネ過不足検知プログラム48は、s401で選択した種類の、予測期間における再生エネルギー調達量を集計する(s403)。
【0099】
例えば、再エネ過不足検知プログラム48は、再エネ調達計画テーブル500を参照し、予測期間が計画調達日501に設定され、s401で選択された種類が調達方法種類ID502に設定され、ステータス504が「調達済み」である全てのレコードの調達再生可能エネルギー量503の値を取得し、取得した値を合計する。なお、再エネ過不足検知プログラム48は、ステータスが「調達予定」であるレコードを加えてもよい。
【0100】
再エネ過不足検知プログラム48は、s403で集計した予測期間における再生可能エネルギー調達量と、必要再生エネルギー量予測処理s15で算出した予測期間における必要再生エネルギー量とを比較することで、再生可能エネルギーが予測期間において不足するか否かを判定する(s405)。
【0101】
例えば、再エネ過不足検知プログラム48は、s403で集計した再生可能エネルギー調達量が、必要再生エネルギー量予測処理s300で算出した、上記選択した種類に係る必要再生エネルギー量未満であるか否かを判定する。
【0102】
再エネ過不足検知プログラム48は、s401~s405の処理を全ての再生可能エネルギーの調達方法の種類について実行したか否かを確認する(s407)。s401~s405の処理を全ての再生可能エネルギーの調達方法の種類について実行した場合は(s407:Yes)、再生可能エネルギー過不足検知処理s17は終了する。s401~s405の処理を実行してない再生可能エネルギーの調達方法の種類がある場合は(s407:No)、再エネ過不足検知プログラム48は、その種類を選択すべくs401の処理を繰り返す。
【0103】
<再生可能エネルギー調達計画作成処理>
図15は、再生可能エネルギー調達計画作成処理s21の詳細を説明するフロー図である。
【0104】
再エネ調達計画作成プログラム49は、調達方法の種類を一つ選択する(s501)。
【0105】
再エネ調達計画作成プログラム49は、s501で選択した種類の調達方法について、再生可能エネルギー過不足検知処理s17で算出した予測期間の再生可能エネルギー調達量と、必要生成エネルギー量予測処理s15で算出した、予測期間における種類別必要再生エネルギーの合計量との差分を算出する(s503)。
【0106】
再エネ調達計画作成プログラム49は、s501で選択した種類の調達方法において、単価が最も安い選択肢を特定する(s505)。
【0107】
例えば、再エネ調達計画作成プログラム49は、再エネ管理テーブル100を参照することで事業者に係るレコードの調達方法種類104の内容を特定し、さらに再エネ調達方法種類テーブル200を参照することで前記特定した調達方法種類104に係るレコードの調達方法204の選択肢を全て取得する(例えば、非化石証書、グリーン電力証書、VPPA、及び自家発電)。そして、再エネ調達計画作成プログラム49は、取得した調達方法のうち最も単価が安い調達方法の種類を特定する。
【0108】
なお、再エネ調達計画作成プログラム49は、再エネ調達実績テーブル400の調達金
額405に係る金額実績を用いて調達方法の種類を特定してもよい。また、再エネ調達計画作成プログラム49は、単価以外の基準に基づいて、調達方法の選択肢を特定してもよい(例えば、調達リスクが最小の選択肢)。
【0109】
再エネ調達計画作成プログラム49は、s503及びs505の処理結果に基づき、再生可能エネルギー調達計画を作成する(s507)。
【0110】
例えば、再エネ調達計画作成プログラム49は、再エネ調達計画テーブル500に新規レコードを作成し、計画調達日501に前記予測期間、調達方法種類ID502に前記選択した調達方法の選択肢、調達再生可能エネルギー量503にs503で算出した差分、ステータス504に「調達予定」をそれぞれ設定する。
【0111】
再エネ調達計画作成プログラム49は、全ての調達方法の種類について、s501~s507の処理を実行したか否かを判定する(s509)。全ての調達方法の種類について、s501~s507の処理を実行した場合は(s509:Yes)、再生可能エネルギー調達計画作成処理s21は終了する。s501~s507の処理を実行していない調達方法の種類がある場合は、再エネ調達計画作成プログラム49は、その調達方法の種類を選択すべくs501の処理を繰り返す。
【0112】
(事業者管理画面)
図16は、事業者管理画面の一例を示す図である。事業者管理画面1000は、情報を表示する再生可能エネルギーの調達方法の種類の選択をユーザから受け付ける種類選択欄1010と、種類選択欄1010で選択された種類の調達方法により調達した又は調達される予定の再生可能エネルギーの情報が表示される再生可能エネルギー情報表示欄1020と、再生可能エネルギー情報表示欄1020において調達量が不足する将来の時期(予測期間)における再生可能エネルギー調達計画の内容が表示される調達計画表示欄1030とを備える。
【0113】
再生可能エネルギー情報表示欄1020には、過去、現在、及び将来の再生可能エネルギーの調達量(実績又は計画)の推移1021と、過去の所定日時からの、各利用者及び事業者の必要再生可能エネルギーの累計量の推移1022とが表示される。また、再生可能エネルギー情報表示欄1020には、再生可能エネルギーの需要量に対して再生可能エネルギーの調達量が不足する時期及び不足量の情報1023が表示される。
【0114】
調達計画表示欄1030には、再生可能エネルギーの不足分の調達に係る費用1031と、再生可能エネルギーの調達計画の内容1032が表示される。
【0115】
<再生可能エネルギー調達計画第2作成処理>
図17は、再生可能エネルギー調達計画第2作成処理の一例を説明する図である。この処理は、例えば、新規の利用者がデータセンタ60を使用することを決定した契機に開始される。
【0116】
まず、新規の利用者が使用するDC利用者用端末20が、DC事業者用管理端末10に、データセンタ60の利用に関する契約依頼を送信する(s51)。
【0117】
DC事業者用管理端末10は、契約依頼を受信すると、受信した契約依頼に含まれる環境要件等の情報(DC利用者環境要件テーブル600に対応する情報)を、DC利用者管理サーバ50に送信する(s53)。DC利用者管理サーバ50は、受信した情報を、DC利用者環境要件テーブル600に登録する。
【0118】
その後のs1~s17までの処理は、再生可能エネルギー調達計画第1作成処理と同様である。ただし、s11~s19の処理においては、DC事業者用管理端末10は、新規の利用者に係る処理のみを行う。
【0119】
s19において統合DC管理サーバ40は、再生可能エネルギー過不足検知処理s17の結果に基づき、再生可能エネルギーの調達が必要であるか否かを、s11で特定した調達方法の種類ごとに判定する(s19)。再生可能エネルギーの調達が必要な場合は(s19:YES)、統合DC管理サーバ40は、s55の処理を実行し、再生可能エネルギーの調達が必要でない場合は(s19:NO)、統合DC管理サーバ40は、再生可能エネルギー調達計画第1作成処理と同様のs23の処理を実行する。
【0120】
s55において統合DC管理サーバ40は、新規の利用者に係る環境要件を変更した契約の情報を作成する。例えば、統合DC管理サーバ40は、s17で算出した不足分の再生可能エネルギーを解消するように、環境要件を変更する(例えば、再エネ率を下げる、産地を変更する、環境要件の項目を変更する)。
【0121】
統合DC管理サーバ40は、s55で作成した契約の情報を、DC事業者用管理端末10を介して、新規の利用者のDC利用者用端末20に送信する(s57)。
【0122】
新規の利用者のDC利用者用端末20は、受信した契約の情報に対応した、新たな契約依頼を、DC事業者用管理端末10を介して、新規の利用者の情報処理装置に送信する(s59)。
【0123】
統合DC管理サーバ40は、新たな契約依頼を受信すると、s11~s15の処理を再び実行する(s61)。その後、統合DC管理サーバ40は、再生可能エネルギー調達計画第1作成処理と同様のs21の処理を実行する。その後は、s23の処理が実行される。
【0124】
なお、本処理では統合DC管理サーバ40は、s55において新規の契約者に対して環境要件の変更を行ったが、他の既存の利用者又は事業者に対して環境要件の変更を行い、さらにs57~s61の処理を同様に行ってもよい。
【0125】
また、s61において統合DC管理サーバ40は、さらにs17~s61の処理を行い、必要再生可能エネルギーが不足しないことを確認又は再度判定してもよい。
【0126】
以上に説明したように、本実施形態の再生可能エネルギー管理装置は、事業者に対応づけられる共通部分の消費電力と、利用者に対応づけられる個別部分の消費電力とをそれぞれ算出し、算出した各消費電力の部分と、事業者に対応づけられたパラメータ(環境要件)及び利用者に対応づけられたパラメータ(環境要件)とに基づき、事業者が調達することが必要な再生可能エネルギー量を算出し、算出した必要な再生可能エネルギーに関する情報を出力する。
【0127】
すなわち、本実施形態の再生可能エネルギー管理装置は、所定の設備において、責任者が異なる(利用者及び事業者)共通部分と個別部分をそれぞれ分離して、それぞれに応じたパラメータによって、必要再生可能エネルギー量を算出する。これにより、共通部分及び個別利用部分を有する設備において再生可能エネルギーの管理を効率良く行うことができる。
【0128】
また、本実施形態の再生可能エネルギー管理装置は、利用者及び事業者の環境要件を示す値を算出し、これらに基づき、事業者が調達することが必要な再生可能エネルギー量を
算出する。
【0129】
これにより、利用者及び事業者の事情に応じた再生可能エネルギーの利用が可能となる。
【0130】
また、本実施形態の再生可能エネルギー管理装置は、事業者が調達することが必要な再生可能エネルギー量を算出し、これと、調達を予定している(調達を計画している)再生可能エネルギーとを比較することで、再生可能エネルギーの過不足を推定する。
【0131】
これにより、事業者は、環境要求に沿った量の再生可能エネルギーを利用することができる。
【0132】
また、本実施形態での設備は、利用者が利用する機器と利用者が利用する機器を管理する、事業者の管理機器とを有しており、再生可能エネルギー管理装置は、利用者が利用する機器の、管理者が管理する機器への影響度と、事業者の環境要件とに基づき、事業者に対応づけられる共通部分の消費電力を算出する。
【0133】
これにより、事業者の共通部分の消費電力を利用者の個別利用部分と切り離して算出することができる。
【0134】
また、本実施形態での設備は、利用者が利用する機器と、利用者が利用する機器を管理する、事業者が管理する機器とを有するデータセンタであり、再生可能エネルギー管理装置は、影響度を、利用者が利用する機器の構成、消費電力、温度、又は用途の少なくともいずれかに基づき算出する。
【0135】
これにより、データセンタの共通部分の運用の実情に応じて、事業者の共通部分の消費電力を正確に算出することができる。
【0136】
また、本実施形態の再生可能エネルギー管理装置は、再生可能エネルギーの不足を検知した場合に、再生可能エネルギーの不足を解消するための情報を出力する。
【0137】
これにより、事業者に、環境要求に沿った再生可能エネルギーの利用を促すことができる。
【0138】
また、本実施形態の再生可能エネルギー管理装置は、再生可能エネルギーの不足が検知された場合に、利用者の環境要件を示す値を変更し、変更した値に基づき、事業者が調達することが必要な再生可能エネルギー量を算出する。
【0139】
これにより、事業者は、運用可能な環境要件の下で、再生可能エネルギーを利用することができる。
【0140】
また、本実施形態の再生可能エネルギー管理装置は、事業者が調達することが必要な再生可能エネルギー量と、調達する予定の(調達を計画している)再生可能エネルギー量との差分を示す情報を出力する。
【0141】
これにより、事業者に、環境要求に沿った再生可能エネルギーの利用を促すことができる。
【0142】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、任意の構成要素を用いて実施可能である。以上説明した実施形態や変形例はあくまで一例で
あり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記では種々の実施形態や変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0143】
例えば、本実施形態では、事業者が管理し利用者が利用する設備としてデータセンタを例示したが、同様の管理利用形態を採用している他の施設(個別利用部分と共通部分を有する施設)を対象としてもよい。
【0144】
また、本実施形態の各装置が備える各機能の一部は他の装置に設けてもよいし、別装置が備える機能を同一の装置に設けてもよい。
【0145】
また、本実施形態で説明したプログラムの構成は一例であり、例えば、プログラムの一部を他のプログラムに組み込み、又は複数のプログラムを一つのプログラムとして構成してもよい。
【符号の説明】
【0146】
1 再生可能エネルギー管理システム
30 統合DC管理システム
40 DC利用者管理サーバ
50 DC利用者管理サーバ
60 データセンタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16
図17