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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128882
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】無線通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/72457 20210101AFI20230907BHJP
【FI】
H04M1/72457
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033533
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】樋本 卓
(72)【発明者】
【氏名】早津 英輝
(72)【発明者】
【氏名】丹野 政一
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 敦
(72)【発明者】
【氏名】笠原 圭輔
(72)【発明者】
【氏名】大澤 邦彦
【テーマコード(参考)】
5K127
【Fターム(参考)】
5K127AA25
5K127BA03
5K127DA11
5K127GA22
5K127GA30
5K127JA04
5K127JA14
(57)【要約】
【課題】紛失または盗難にあった場合に適切に制御することができる無線通信装置を提供する。
【解決手段】第1の通信方式により無線通信する第1の通信部と、無線通信装置を無線通信させるための操作を受け付ける操作部と、操作に基づき無線通信を制御する制御部と、無線通信装置の位置を検出する位置検出部と、第1の通信方式の通信可能エリア内において、定められた第1のエリアを記憶する記憶部と、位置検出部により検出された無線通信装置の位置が前記第1のエリア内にあるか否かを判定する判定部と、第1の通信方式とは異なる第2の通信方式により無線通信する第2の通信部と、を備え、無線通信装置の位置が第1のエリア内にないと判定部が判定した場合、第2の通信部は、無線通信装置の位置情報を送信し、制御部は、操作部の操作を無効にする無線通信装置を提供する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信方式により無線通信する第1の通信部と、
無線通信装置を無線通信させるための操作を受け付ける操作部と、
前記操作に基づき前記無線通信を制御する制御部と、
前記無線通信装置の位置を検出する位置検出部と、
前記第1の通信方式の通信可能エリア内において、定められた第1のエリアを記憶する記憶部と、
前記位置検出部により検出された前記無線通信装置の位置が前記第1のエリア内にあるか否かを判定する判定部と、
前記第1の通信方式とは異なる第2の通信方式により無線通信する第2の通信部と、を備え、
前記無線通信装置の位置が前記第1のエリア内にないと前記判定部が判定した場合、
前記第2の通信部は、前記無線通信装置の位置情報を送信し、
前記制御部は、前記操作部の操作を無効にする無線通信装置。
【請求項2】
前記第2の通信方式の通信可能エリアは、前記第1の通信方式の通信可能エリアを全て含む、請求項1の無線通信装置。
【請求項3】
さらに、報知部を備え、
前記判定部は、前記無線通信装置の位置が、前記第1のエリア内であって、前記第1のエリアの境界付近の第2のエリア内にあるか否かの判定を行い、
前記無線通信装置の位置が前記第2のエリア内にある場合、前記報知部は、第1の報知を行う、請求項1または2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記無線通信装置の位置が前記第1のエリア内にないと前記判定部が判定した場合、前記報知部は、第2の報知を行う、請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記無線通信装置の位置が、前記第1のエリア内であって、前記第1のエリアの境界付近の第3のエリア内にあるか否かの判定を行い、
前記無線通信装置の位置が前記第3のエリア内にある場合、前記制御部が前記第2の通信部への給電を行う制御を行う請求項1または2に記載の無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、入力操作を受け付ける入力受付手段と、携帯端末の現在の位置情報を取得する取得手段と、携帯端末が利用される場所の範囲に関する情報を設定する設定手段と、位置情報に基づき、携帯端末が利用される場所の範囲外に位置するか否かを判定する手段と、携帯端末が利用される場所の範囲外であると判定された場合、入力受付手段による入力操作の受付を制限する制限手段と、を備える携帯端末が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、使用者がデータ入力手段から、たとえば半径幾らの範囲、或いは東西幾ら、南北は幾らというような許容エリアの範囲を一旦設定するだけで、電源投入時などのセキュリティオン時に、端末制御部はGPS受信機による測位位置を中心とした範囲を許容エリアに自発的に設定することで、GPS測位結果が予め設定される許容エリアから逸脱すると、外部装置に通報を行う位置通報端末が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-252096号公報
【特許文献2】特開2006-155198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、先行技術文献1および2に記載された技術では、紛失や盗難により所定のエリアを逸脱した場合に、入力受付手段による入力操作の受付を制限し、さらに外部装置に通報を行うことは可能ではあるものの、定期的に位置情報が送信されることにより通信トラフィックが増大し、その端末の通信システムを使用している他のユーザが通信を行いたいタイミングで通信できないといった不具合があった。
【0006】
そこで、本開示の目的は、紛失や盗難の際に起動される位置情報の送信による通信トラフィックの増加を抑制する無線通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示にかかる無線通信装置は、
第1の通信方式により無線通信する第1の通信部と、
無線通信装置を無線通信させるための操作を受け付ける操作部と、
前記操作に基づき前記無線通信を制御する制御部と、
前記無線通信装置の位置を検出する位置検出部と、
前記第1の通信方式の通信可能エリア内において、定められた第1のエリアを記憶する記憶部と、
前記位置検出部により検出された前記無線通信装置の位置が前記第1のエリア内にあるか否かを判定する判定部と、
前記第1の通信方式とは異なる第2の通信方式により無線通信する第2の通信部と、を備え、
前記無線通信装置の位置が前記第1のエリア内にないと前記判定部が判定した場合、
前記第2の通信部は、前記無線通信装置の位置情報を送信し、
前記制御部は、前記操作部の操作を無効にする
無線通信装置である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、紛失や盗難の際に起動される位置情報の送信による通信トラフィックの増加を抑制することができる無線通信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態にかかる無線通信装置の概略構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態にかかる無線通信装置が所定のエリア内にある場合の第1の通信部による通信を示す図である。
図3】実施の形態にかかる無線通信装置が所定のエリア内にない場合の第2の通信部による通信を示す図である。
図4】実施の形態にかかる無線通信装置の第1の通信部による通信と第2の通信部による通信の切り替えを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲にかかる発明を以下の実施の形態に限定するものではない。また、実施の形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0011】
(実施の形態にかかる無線通信装置の構成)
以下、図面を参照して本実施の形態にかかる無線通信装置について説明する。図1は、実施の形態にかかる無線通信装置の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態にかかる無線通信装置10は、第1の通信部11と、操作部12と、制御部13と、位置検出部14と、記憶部15と、判定部16と、第2の通信部17とを備える。また、本実施の形態にかかる無線通信装置10は、必要に応じて、さらに報知部18と、表示部19とを備えていてもよい。無線通信装置10は、いわゆるトランシーバであり、半二重通信方式のセッションを用いたPTT(Push To Talk)方式により通話を行う。したがって、無線通信装置10は、マイク、及びスピーカを有している。図1の各構成は、一例であり、本実施の形態にかかる動作が可能であれば、その他の構成であってもよい。
【0012】
第1の通信部11は、第1の通信方式により無線通信する。第1の通信方式は、例えば業務用無線通信などの他の無線通信装置との音声通信を行うための通信方式である。業務用無線通信は、例えば業務用無線のためのチャンネルを介して、他の無線通信装置と直接(または業務用無線基地局を介して)通信を行う。その際に、後述するように第1の通信方式による通信可能範囲に対して、実際に使用可とするエリアを定め、そのエリア内にてのみ通信を行うことを前提としている。第1の通信部11は、PTT方式により通話を行うための変調器及び復調器を備えている。また、第1の通信部11は、無線LAN(Local Area Network)に接続するためのWi-Fi、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信などの近距離通信を行うものであってもよい。
【0013】
操作部12は、無線通信装置10を他の無線通信装置と無線通信させるための操作を受け付ける。操作部12は、ユーザが無線通信装置10の各種操作を実施するための入力手段である。例えば操作部12には、ユーザが無線通信を開始する際に押下するスイッチ、つまり、PTTスイッチが含まれている。さらには、操作部12は、PTTスイッチ以外の操作ボタンやスイッチ、ノブ、タッチパネル等を有していてもよい。
例えば、ユーザがPTTスイッチを押下している間、マイク(不図示)がユーザの発話を収音する。そして、第1の通信部11が収音信号を変調して、他の無線通信装置に送信する。ユーザがPTTスイッチを離している間、第1の通信部11は他の無線通信装置から無線信号を受信して、復調する。これにより、他の無線通信装置のユーザの発話がスピーカから出力される。
【0014】
制御部13は、操作部12の操作に基づき無線通信を制御する。制御部13は、無線通信装置10の各種制御を実施する。記憶部15に記憶されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで実行することにより制御部13の機能が実現される。例えば制御部13は、判定部16を含む。制御部13は、無線通信装置10の第2の通信部17への給電を制御する機能を備える。
【0015】
無線通信装置10は、位置検出部14により自らの位置を検出する。位置検出部14は、例えばGPS(Global Positioning system)受信部を備える。GPS受信部は、GPS衛星20からGPS信号を受信し、受信したGPS信号に基づいて現在の位置情報(緯度及び経度)を算出する。なお、GPSは、GNSS(Global Navigation Satellite System:全地球航法衛星システム)の一例であり、GPSに限らず、その他の測位システムから受信する信号に基づいて位置情報を取得してもよい。
【0016】
記憶部15は、無線通信装置10の動作に必要なプログラムやデータを記憶する。記憶部15は、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリやハードディスク等である。また、記憶部15は、所定のエリアを記憶する。特に第1の通信方式の通信可能エリア内の所定のエリアAを記憶する。詳細には、第1の通信方式の通信可能エリア内における特定の範囲のみで、無線通信装置10が第1の通信方式による通信を可とするためのエリアAを定め、そのエリアAを記憶する。例えば、記憶部15は、エリアAの内側と外側とを区切る境界線を示す位置情報(緯度、経度)を記憶する。また、記憶部15はエリアAの情報を示す地図情報を記憶していてもよい。
【0017】
判定部16は、取得した無線通信装置10の位置がエリアAにあるか否か判定する。また、判定部16は、取得した無線通信装置10の位置がエリアAの境界付近にあるか否かを判定する。例えば、判定部16は、エリアA内で無線通信装置10のエリアAの境界までの距離が第1のしきい値以下か否かを判定する。また、判定部16は、エリアA内で無線通信装置10のエリアAの境界までの距離が第2のしきい値以下か否かの判定を行う。エリアAの境界付近のエリアを周辺エリアとする。周辺エリアはエリアAの内側のエリアである。
【0018】
第2の通信部17は、第1の通信方式と異なる第2の通信方式により無線通信する。第2の通信方式は、広域通信網で通信する。広域通信網は、例えば、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)などの携帯キャリア回線を用いる。第2の通信部17は、広域通信網により通信を行うための変調器及び復調器を備えている。ここで、第2の通信方式の通信可能エリアは、第1の通信方式の通信可能エリアを全て含んでいる。このため、無線通信装置10は、第1の通信方式の通信可能エリアを出て、第1の通信方式で通信できなくなっても、第2の通信方式で通信し、自らの位置情報を基地局に送信できる。
【0019】
報知部18は、無線通信装置10の所定のエリアAの境界までの距離が第1のしきい値以下の場合、第1の報知を行う。また、報知部18は、無線通信装置10が所定のエリアA内にないと判定部が判定した場合、第2の報知を行う。第1の報知及び第2の報知は、音声であってもよいし、表示であってもよい。報知部18は、報知が音声の場合、他の無線通信装置と通信を行うためのまたはその無線通信装置10が機能を発揮するためのスピーカを用いることができる。また報知部18は、報知が表示の場合、他の無線通信装置と通信を行うためのまたはその無線通信装置10が機能を発揮するための表示部19を用いることができる。
【0020】
表示部19は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどの表示装置を用いることができる。表示部19は、無線通信装置10の操作を行うために表示する。表示部19は、例えば、無線通信装置10が、業務用無線通信装置であれば、他の無線通信装置と通話するための操作を行うために表示する。
【0021】
(実施の形態にかかる無線通信装置の動作)
図2は、実施の形態にかかる無線通信装置が所定のエリア内にある場合の第1の通信部による通信を示す図である。図3は、実施の形態にかかる無線通信装置が所定のエリア内にない場合の第2の通信部による通信を示す図である。図4は、実施の形態にかかる無線通信装置の第1の通信部による通信と第2の通信部による通信の切り替えを示すフローチャートである。図2乃至4を参照して、本実施の形態にかかる無線通信装置の動作を説明する。
【0022】
図2に示すように、本実施の形態にかかる無線通信装置10は、エリアAの内部にある。エリアAは、無線通信装置10の第1の通信方式の通信可能なエリア内にある。エリアAは、無線通信装置10の第1の通信方式の通信可能なエリアを複数に分けたうちの1つであっても複数であってもよい。また、エリアAは、無線通信装置10の記憶部に記憶されている。エリアAは、無線通信装置10にあらかじめ設定されていてもよいし、操作部12で任意に設定してもよい。
【0023】
ここで、図2及び図4に示すように、無線通信装置10は、エリアA内でGPS衛星20からGPS信号を、位置検出部14を用いて受信する(S101)。次に、無線通信装置10は、GPS信号から無線通信装置10の位置情報(緯度及び経度)を算出し、確認する(S102)。そして無線通信装置10の判定部16は、無線通信装置10の位置がエリアAの境界付近か否かを判定する(S103)。
【0024】
例えば、判定部16は、無線通信装置10のエリアAの境界までの距離がしきい値以下か否かを判定してもよい。無線通信装置10からエリアAの境界までの距離がしきい値以下である場合、判定部16は無線通信装置10がエリアAの境界付近にいると判定する。無線通信装置10からエリアAの境界までの距離がしきい値よりも大きい場合、判定部16は無線通信装置10がエリアAの境界付近にいないと判定する。あるいは、地図上にエリアAの境界付近となる境界エリアが設定されていてもよい。
【0025】
無線通信装置10が境界付近にいない場合(S103のNo)、一定時間待機する(S104)。無線通信装置10は、エリアA内でGPS衛星20からのGPS信号を、位置検出部14を用いて受信する(S101)。これにより、無線通信装置10がエリアA内にとどまる場合に処理をループできる。
【0026】
無線通信装置10が境界付近にいる場合(S103のYes)、報知部18が第1の報知を行うとともに、第2の通信部17に給電する(S105)。例えば、報知部18は、エリアAの境界付近に近づいたことを示すメッセージや警告音を出力する。また、制御部13は、エリアAの境界に近づいたときにはじめて第2の通信部17に給電を行う制御を行うことで、無線通信装置10の消費電力を下げることができる。
【0027】
次に、無線通信装置10は、無線通信装置10の位置がエリアA内にあるか否かを判定部16が判定する(S106)。無線通信装置10は、無線通信装置10の位置がエリアA内にある場合(S106のYes)、一定時間待機する(S104)。そして、ステップS101に戻り、無線通信装置10が処理を繰り返す。
【0028】
図3に示すように、無線通信装置10の位置がエリアA内にないと判定部16が判定した場合(S106のNo)、制御部13は、操作部12の操作を無効にするとともに、報知部18が第2の報知を行う(S107)。このため、操作部12は、いかなる操作も受け付けない。あるいは、操作部12は、特定の操作以外の操作を受け付けないようしてもよい。また、無線通信装置10は、表示部19を白表示または黒表示にして表示を受け付けなくしてもよい。また、図3に示すように無線通信装置10の位置がエリアA内にないと判定部16が判定した場合、報知部18は、第2の報知を行う。例えば、報知部18は、エリアAの外側にいることを示すメッセージや警告音を出力する。
【0029】
また、ステップS106で操作を無効化した後、無線通信装置10は、自らの位置情報を第2の通信部17で基地局30に通信する(S108)。例えば、無線通信装置10からの位置情報は、基地局30を介して、管理装置(不図示)に送信される。このため、管理装置の管理者等は、紛失または盗難にあった無線通信装置10の位置を確認できる。このように、無線通信装置10がエリアAの外側に出た場合に、第2の通信部が位置情報を送信する。無線通信装置10がエリアAの中にいる場合、無線通信装置10は、第2の通信部で位置情報を送信しなくてもよい。
【0030】
このようにすることで、本実施の形態は、基地局30からの信号を受信することなく盗難防止用に無線通信装置10の操作を不能にできる。また、内部的に基地局30に位置情報を送信することで紛失または盗難にあった無線通信装置10がどこにあるかを明確に基地局30が把握できる。さらに、本実施の形態は、定期的な位置情報の送信を第2の通信方式により行うため、第1の通信方式で行われている他の通信に影響を与えないようにすることができ、第1の通信方式の通信トラフィックの増加を抑制できる。
【0031】
また、報知部18が第2の報知を行うことで、無線通信装置10の所持者は、エリアA外に出てしまったことを知ることができる。
【0032】
S108の後、無線通信装置10は、GPS信号から無線通信装置10の位置情報(緯度及び経度)を算出し、確認する(S109)。無線通信装置10の位置を確認した後、判定部16は、無線通信装置10の位置がエリアA内にあるか否かを判定する(S110)。判定部16が、無線通信装置10がエリアA内にあると判定した場合(S110のYes)、制御部13は、操作部12の操作を有効にし、第2の通信部への給電を止める(S112)。これにより、第2の通信部が通信のための処理を停止する。さらに、第1の通信部での通信が復旧するため、PTT方式での通信処理を行うことができる。
【0033】
S112で第1の通信部での機能が復旧した無線通信装置10は、ステップS101に戻り処理を繰り返す。したがって、無線通信装置10は、再びエリアA内でGPS衛星20からのGPS信号を、位置検出部14を用いて定期的に受信する(S101)。
【0034】
このようにすることで、一度エリアA外にでた無線通信装置10は、エリアA内に戻ると自動的に復旧することができる。したがって、誤って、無線通信装置10の所持者が、所定の範囲に出てしまった場合に速やかに復旧できる。また、制御部13が第2の通信部17への給電を止める制御を行うことで、無線通信装置10の消費電力を下げることができる。
【0035】
S110で判定部16が、無線通信装置10がエリアA内にないと判定した場合(S110のNo)、無線通信装置10は、一定時間待機する(S111)。次に、第2の通信部17は、無線通信装置10の位置情報を基地局30に送信する(S108)。このため、基地局30は、紛失または盗難にあった無線通信装置10の位置を確認できる。
【0036】
その後、無線通信装置10は、GPS信号を用いて位置検出部14で無線通信装置10の位置を検出する(S109)。その後、判定部16は、無線通信装置10がエリアA内にあるか否か判定する(S110)。このようにループすることで、無線通信装置10の位置を定期的に送信でき、基地局30は、無線通信装置10の位置の移動を把握できる。
【0037】
なお、ステップS103において、無線通信装置10がエリアAの境界付近にいる場合、第1の報知を行うとともに、第2の通信部への給電を開始したが、これらの処理は省略してもよい。あるいは、無線通信装置10は、第1の報知と給電開始のいずれか一方のみを行ってもよい。さらに、第1の報知を行うエリアと、給電を開始するエリアとは異なるエリアであってもよい。
【0038】
例えば、エリアAを第1のエリアとする。第1の報知を行うか否かを判定するエリアを第2のエリアとし、給電を開始するか否かを判定するエリアを第3のエリアとする。記憶部は、第2のエリアと第3のエリアに関する情報を記憶していてもよい。
【0039】
第2のエリア及び第3のエリアは、第1のエリア内のエリアであって、第1のエリアの境界付近のエリアである。第2のエリアと第3のエリアは一致するエリアであってもよく、異なるエリアであってもよい。第2のエリアは第3のエリア内に含まれていてもよく、第3のエリアは第2のエリア内に含まれていてもよい。また、第2のエリアと第3のエリアは少なくとも一部が重複するエリアであってもよい。
【0040】
そして、ステップS103において、判定部16は、無線通信装置10の位置が第2のエリア及び第3のエリア内にあるか否かをそれぞれ判定する。あるいは、エリアAの境界までの距離に対して、それぞれ異なるしきい値を設定してもよい。この場合、第2のエリア内か否かを判定するためのしきい値を第1のしきい値とし、第3のエリア内か否かを判定するためのしきい値を第2のしきい値とする。ステップS103において、判定部は、エリアA内で無線通信装置のエリアAの境界までの距離が第1のしきい値以下かを判定する。これにより、第2のエリア内か否かを判定することができる。同様に、ステップS103において、判定部は、エリアA内で無線通信装置のエリアAの境界までの距離が第2のしきい値以下かを判定する。これにより、判定部は、第3のエリア内か否かを判定することができる。
【0041】
また、ステップS110及びS112において、操作を有効にするか否かの判定を行うエリアと、第2の通信部への給電を止めるか否かの判定を行うエリアは異なるエリアであってもよい。給電を止めるか否かの判定を行うエリアは、操作を有効にするためのエリアに含まれていてもよい。具体的には、給電を行うか否かの判定を行うエリアを上記の第3のエリアとし、操作を有効にするか否かの判定を行うエリアを上記の第1のエリアとすることができる。
【0042】
ステップS110において第1のエリア内である場合、制御部13が操作を有効にする。次に、ステップS112において、判定部16は、無線通信装置10の位置が第3のエリア内にあるか判定してもよい。無線通信装置10の位置が第3のエリアにある場合、制御部13が第2の通信部17への給電を止める制御をする(S112)。または、判定部16は、エリアA内で、無線通信装置10のエリアAの境界までの距離が第2のしきい値以下か否かの判定を行ってもよい。エリアA内で、無線通信装置10のエリアAの境界までの距離が第2のしきい値以下でない場合、制御部13が第2の通信部17への給電を止める制御をする(S112)。すなわち無線通信装置10が境界から第2のしきい値以上離れた場合、制御部13が第2の通信部17への給電を止める制御をする(S112)。このようにすることで、無線通信装置10の消費電力を下げることができる。また、無線通信装置10が第1のエリアの境界付近の第3のエリアにいる場合、制御部13が第2の通信部17への給電を行っている。このため、無線通信装置10が第1のエリアの外側に移動した場合、第2の通信部17が速やかに位置情報を送信することができる。しかしながらこのステップは省略してもよい。
【0043】
また、上述した無線通信装置10における処理の一部又は全部は、コンピュータプログラムとして実現可能である。このようなプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0044】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態による限定は受けない。
【符号の説明】
【0045】
10 無線通信装置
11 第1の通信部
12 操作部
13 制御部
14 位置検出部
15 記憶部
16 判定部
17 第2の通信部
18 報知部
19 表示部
20 GPS衛星
30 基地局
図1
図2
図3
図4