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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128883
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】ソフトウェア更新装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/65 20180101AFI20230907BHJP
【FI】
G06F8/65
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033534
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】濱走 正美
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376AB40
5B376CA27
5B376CA30
5B376CA32
5B376CA36
5B376CA43
(57)【要約】
【課題】ソフトウェアを更新するソフトウェア更新装置を提供する。
【解決手段】住宅設備機器2とネットワークを介して接続され、住宅設備機器2で利用されるソフトウェアを更新するソフトウェア更新装置1は、ソフトウェアの更新に利用される更新用ソフトウェアを更新ファイルとして記憶する更新ファイル記憶部10と、住宅設備機器2の運転状況を示す運転情報を住宅設備機器2から取得する運転情報取得部11と、運転情報取得部11により取得された運転情報に基づいて住宅設備機器2が運転中であるか否かを判定する運転状態判定部12と、運転状態判定部12の判定結果に基づいて、少なくとも運転中でない住宅設備機器2を、更新ファイルを配信する配信対象として設定する配信対象設定部13と、配信対象として設定された住宅設備機器2に対して更新ファイルを配信する更新ファイル配信部14と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅設備機器とネットワークを介して接続され、前記住宅設備機器で利用されるソフトウェアを更新するソフトウェア更新装置であって、
前記ソフトウェアの更新に利用される更新用ソフトウェアを更新ファイルとして記憶する更新ファイル記憶部と、
前記住宅設備機器の運転状況を示す運転情報を前記住宅設備機器から取得する運転情報取得部と、
前記運転情報取得部により取得された前記運転情報に基づいて前記住宅設備機器が運転中であるか否かを判定する運転状態判定部と、
前記運転状態判定部の判定結果に基づいて、少なくとも運転中でない前記住宅設備機器を、前記更新ファイルを配信する配信対象として設定する配信対象設定部と、
前記配信対象として設定された前記住宅設備機器に対して前記更新ファイルを配信する更新ファイル配信部と、
を備えるソフトウェア更新装置。
【請求項2】
前記配信対象設定部は、運転を停止している前記住宅設備機器を前記配信対象として設定する請求項1に記載のソフトウェア更新装置。
【請求項3】
前記配信対象設定部は、エラーで運転を停止している前記住宅設備機器を、前記配信対象から除外する請求項1又は2に記載のソフトウェア更新装置。
【請求項4】
前記更新ファイル配信部が前記更新ファイルの配信を行おうとする時点の前記更新ファイル配信部の負荷を算定する負荷算定部と、
前記負荷算定部により算定された負荷が予め設定された値より大きい場合に、前記更新ファイル配信部による配信を中止させる配信中止部と、を更に備える請求項1から3のいずれか一項に記載のソフトウェア更新装置。
【請求項5】
前記ネットワークの通信状態を、1日を所定の時間毎に区分けした時間帯毎に判定する通信状態判定部を更に備え、
前記更新ファイル配信部は、前記通信状態が予め設定された基準よりも悪い時間帯を避けて、前記更新ファイルを配信する請求項1から4のいずれか一項に記載のソフトウェア更新装置。
【請求項6】
前記住宅設備機器の管理を行う地域が、複数のブロックに区分けされ、
単一の前記ブロックに複数の前記住宅設備機器が含まれ、
前記更新ファイル配信部は、単一の前記ブロックに含まれる複数の前記住宅設備機器を複数のグループに区分けしたグループ毎に前記更新ファイルを配信する請求項1から5のいずれか一項に記載のソフトウェア更新装置。
【請求項7】
前記住宅設備機器は、燃料電池装置である請求項1から6のいずれか一項に記載のソフトウェア更新装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅設備機器とネットワークを介して接続され、住宅設備機器で利用されるソフトウェアを更新するソフトウェア更新装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、機器のIoT化が進み、様々なサービスが提供されている。このような機器の一例として、例えば住宅に設けられる給湯器や燃料電池等の住宅設備機器がある。住宅設備機器には、遠隔で配信されたソフトウェア(パラメータ)を受信し、当該住宅設備機器においてセットアップする機能を備えているものがある。このようなソフトウェアの配信に関する技術として、例えば下記に出典を示す特許文献1に記載のものがある。
【0003】
特許文献1には、燃料電池システムについて記載されている。この燃料電池システムは、燃料電池を有する燃料電池ユニットと、燃料電池を運転するための制御プログラムを実行するプロセッサと、第1領域と第2領域とを含むメモリと、更新指示部とを備えている。第1領域には、プロセッサにおいて実行される制御プログラムとしての第1制御プログラムが記憶され、第2領域には、第1制御プログラムに代えてプロセッサにおいて実行される更新された制御プログラムである第2制御プログラムが記憶される。更新指示部は、燃料電池の発電停止期間中に、プロセッサにて実行される制御プログラムを、第1制御プログラムから第2制御プログラムに切り替えるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-73546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ソフトウェアの更新は不定期で実施されることが多く、また、不具合対策で実施する場合もあることから、迅速に、且つ、確実に実施することが望まれる。ソフトウェアの更新においては、通常、サーバーから配信されるが、ネットワークの通信状況や機器の状態(停止以外)によっては、更新を行うことができなかったり、ソフトウェアの更新が失敗したりして、ソフトウェアの未更新による不具合が発生する可能性がある。また、ソフトウェアの更新状況によっては、所期の運転に影響を与える可能性もあり、省エネルギー性や経済性に対しても影響を与える恐れがある。また、仮に不具合が発生すると、現地での修理対応が必要となり、ユーザに支障を与えることになる。
【0006】
そこで、迅速に、且つ、確実にソフトウェアを更新することが可能なソフトウェア更新装置が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るソフトウェア更新装置の特徴構成は、
住宅設備機器とネットワークを介して接続され、前記住宅設備機器で利用されるソフトウェアを更新するソフトウェア更新装置であって、
前記ソフトウェアの更新に利用される更新用ソフトウェアを更新ファイルとして記憶する更新ファイル記憶部と、
前記住宅設備機器の運転状況を示す運転情報を前記住宅設備機器から取得する運転情報取得部と、
前記運転情報取得部により取得された前記運転情報に基づいて前記住宅設備機器が運転中であるか否かを判定する運転状態判定部と、
前記運転状態判定部の判定結果に基づいて、少なくとも運転中でない前記住宅設備機器を、前記更新ファイルを配信する配信対象として設定する配信対象設定部と、
前記配信対象として設定された前記住宅設備機器に対して前記更新ファイルを配信する更新ファイル配信部と、
を備えている点にある。
【0008】
このような特徴構成とすれば、住宅設備機器の運転状態を把握しながら、最適な状況下でネットワークを介して住宅設備機器で利用される更新ソフトウェアを配信することが可能となる。また、住宅設備機器の運転状態に応じて更新ファイルが配信できないといった状況を回避できる。したがって、迅速に、且つ、確実にソフトウェアを更新することが可能なソフトウェア更新装置を実現できる。
【0009】
また、前記配信対象設定部は、運転を停止している前記住宅設備機器を前記配信対象として設定すると好適である。
【0010】
このような構成とすれば、住宅設備機器の運転に支障を与えないようにすることができる。
【0011】
また、前記配信対象設定部は、エラーで運転を停止している前記住宅設備機器を、前記配信対象から除外すると好適である。
【0012】
このような構成とすれば、住宅設備機器の運転状態に応じて更新ファイルが配信できないといった状況を回避できる。また、これにより、更新ファイルを配信したにもかかわらず、更新できないといった状況を回避でき、ネットワークが無駄に混雑するといった状況を回避できる。
【0013】
また、前記ソフトウェア更新装置は、
前記更新ファイル配信部が前記更新ファイルの配信を行おうとする時点の前記更新ファイル配信部の負荷を算定する負荷算定部と、
前記負荷算定部により算定された負荷が予め設定された値より大きい場合に、前記更新ファイル配信部による配信を中止させる配信中止部と、を更に備えると好適である。
【0014】
このような構成とすれば、更新ファイル配信部の負荷に応じて、最適な状況下でネットワークを介して住宅設備機器で利用されるソフトウェアを確実に更新することが可能となる。
【0015】
また、前記ソフトウェア更新装置は、
前記ネットワークの通信状態を、1日を所定の時間毎に区分けした時間帯毎に判定する通信状態判定部を更に備え、
前記更新ファイル配信部は、前記通信状態が予め設定された基準よりも悪い時間帯を避けて、前記更新ファイルを配信すると好適である。
【0016】
このような構成とすれば、更新ファイルの配信に要する時間を短くできる。また、更新ファイルの配信に伴い、更に、ネットワークの通信状態が悪化するといった状況を回避することが可能となる。また、ネットワークの通信状態の悪化に伴って配信が失敗するといった状況を回避できる。
【0017】
また、前記住宅設備機器の管理を行う地域が、複数のブロックに区分けされ、
単一の前記ブロックに複数の前記住宅設備機器が含まれ、
前記更新ファイル配信部は、単一の前記ブロックに含まれる複数の前記住宅設備機器を複数のグループに区分けしたグループ毎に前記更新ファイルを配信すると好適である。
【0018】
このような構成とすれば、住宅設備機器に対して一斉に更新ファイルを配信する場合に比べて、ネットワークの通信状態が悪化するといった状況を回避し易くなり、また、ネットワークの通信状態の悪化に伴って配信が失敗するといった状況を回避できる。
【0019】
また、前記住宅設備機器は、燃料電池装置であると好適である。
【0020】
例えば、住宅設備機器が燃料電池装置の場合、発電に対する影響を低減しつつ、ソフトウェアを更新することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ソフトウェア更新装置の構成を示す模式図である。
図2】住宅設備機器の運転状況の説明図である。
図3】時間毎の通信量及び配信の状況の説明図である。
図4】更新ファイルの配信に係るグループ分けの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係るソフトウェア更新装置は、ネットワークを介して接続された住宅設備機器で利用されるソフトウェアを更新する機能を備えて構成される。以下、本実施形態のソフトウェア更新装置1について説明する。
【0023】
図1には、ソフトウェア更新装置1の模式図が示される。また、図1には、ソフトウェア更新装置1とネットワークを介して接続される住宅設備機器2も示される。住宅設備機器2とは、住宅3に備えられる設備の機器であって、具体的には、住宅3に設けられる給湯器、コンロ、ファンヒータ、警報器、エアコン、床暖房装置、燃料電池装置等の住宅設備が挙げられる。また、これらを遠隔操作するための操作機器であるリモコンも含まれる。このような住宅設備機器2は、自己状態(例えば、正常であるか否か等)を把握でき、直接、ネットワークに接続されたり、あるいはリモコンを介してネットワークに接続されたりする。ネットワークとは、インターネット回線であって、無線ネットワーク及び有線ネットワークの双方を含み、例えば有線ネットワークの場合には光ケーブル回線やケーブルテレビ回線だけでなく、その他の優先によるネットワークが含まれる。また、ソフトウェア更新装置1と住宅設備機器2とは、このネットワークを介して双方向通信ができるように構成されている。これにより、住宅設備機器2からソフトウェア更新装置1に各種データが伝達され、ソフトウェア更新装置1は住宅設備機器2の機器状態を把握することが可能となる。したがって、ソフトウェア更新装置1は、住宅設備機器2で利用されるソフトウェアを更新するだけでなく、住宅設備機器2を管理するサーバーとして機能する。
【0024】
ソフトウェア更新装置1は、このようなネットワークを介して住宅設備機器2で利用されるソフトウェアを更新する。住宅設備機器2で利用されるソフトウェアとは、住宅設備機器2に組み込まれているソフトウェアであって、住宅設備機器2を動作させるソフトウェアにあたる。図1に示されるように、ネットワークを介して接続される住宅設備機器2が複数ある場合には、これらを識別できるように住宅設備機器2毎に識別情報(例えば識別番号)を付与して管理するとよい。
【0025】
また、ソフトウェア更新装置1は、住宅設備機器2の運転状態(運転中、停止中、エラー停止中)を監視し、機器状態(住宅設備機器2の状態)を監視できるように構成されている。住宅設備機器2には、機器の状態を検知するセンサ(図示せず)が搭載されている。住宅設備機器2が、燃料電池装置である場合には、センサにより発電状態に関する情報(例えばガスの使用量、発電量、温度等)を取得するセンサを備えるとよい。
【0026】
図1に示されるように、ソフトウェア更新装置1は、更新ファイル記憶部10、運転情報取得部11、運転状態判定部12、配信対象設定部13、更新ファイル配信部14、負荷算定部15、配信中止部16、通信状態判定部17を備えて構成され、各機能部は、ソフトウェアの更新に係る処理を行うために、CPUを中核部材としてハードウェア又はソフトウェアあるいはその両方で構築されている。
【0027】
更新ファイル記憶部10は、ソフトウェアの更新に利用される更新用ソフトウェアを更新ファイルとして記憶する。ソフトウェアの更新に利用される更新用ソフトウェアとは、住宅設備機器2に組み込まれたソフトウェアを更新するソフトウェアである。このような更新用ソフトウェアは電子ファイルの形態で更新ファイル記憶部10に記憶される。上述したように住宅設備機器2には、様々な種類の機器が含まれるが、更新ファイル記憶部10には、住宅設備機器2の種類や型番毎に更新用ソフトウェアが記憶されている。もちろん、ソフトウェアを更新する必要がない住宅設備機器2がある場合には、当該住宅設備機器2の更新用ソフトウェアを記憶しなくてもよい。また、住宅設備機器2にあっては、更新用ソフトウェアで組み込まれているソフトウェアが更新された後、更に更新する場合もある。そこで、更新ファイル記憶部10には、更新用ソフトウェアが用意された際に、順次、更新用ソフトウェアを記憶するように構成するとよい。もちろん、更新ファイル記憶部10には、住宅設備機器2の種類や型番毎に、最新の更新用ソフトウェアのみを記憶するように構成してもよい。
【0028】
運転情報取得部11は、住宅設備機器2の運転状況を示す運転情報を住宅設備機器2から取得する。住宅設備機器2の運転状況とは住宅設備機器2の状態にあたる。このような運転状況は、図2に示されるように、少なくとも「運転中」と「停止中」とが含まれる。また、図2に示されるように、「停止中」には、ユーザの意図や機器自身の判断あるいは管理装置(図示せず)からの指令に応じて停止している「停止中(通常)」(以下「通常停止中」と称することもある)と、住宅設備機器2において運転に支障があるために停止している「停止中(エラー)」(以下「エラー停止中」と称することもある)とを分けるとよい。本実施形態では、このような運転状況を示す情報は運転情報として扱われる。運転情報は、住宅設備機器2からネットワークを介して住宅設備機器2に予め設定された時間毎に、ソフトウェア更新装置1に伝達され、運転情報取得部11により取得される。運転情報取得部11は、取得した運転情報を、取得した時刻を示す時刻情報と共に、住宅設備機器2毎に記憶しておくとよい。
【0029】
図1に戻り、運転状態判定部12は、運転情報取得部11により取得された運転情報に基づいて住宅設備機器2が運転中であるか否かを判定する。運転情報取得部11により取得された運転情報とは、住宅設備機器2からネットワークを介して伝達された住宅設備機器2の運転状況を示す情報であって、本実施形態では運転情報取得部11に記憶されている。また、運転情報には、運転情報が取得された時点において住宅設備機器2が、運転中であるか、通常停止中であるか、エラー停止中であるかを示す情報が含まれる。したがって、運転状態判定部12は、運転情報取得部11に記憶されている、住宅設備機器2からネットワークを介して伝達された住宅設備機器2の運転状況を示す運転情報に基づいて、運転情報が取得された時点において住宅設備機器2が、運転中であるか否かを判定する。
【0030】
配信対象設定部13は、運転状態判定部12の判定結果に基づいて、少なくとも運転中でない住宅設備機器2を、更新ファイルを配信する配信対象として設定する。運転状態判定部12の判定結果とは、運転状態判定部12が、住宅設備機器2が運転中であるか否かを判定した結果である。ソフトウェア更新装置1は、住宅設備機器2が運転中であれば支障が出ないようにするために更新ファイルの配信を避け、運転中でない住宅設備機器2に対して更新ファイルを配信するように構成されている。更新ファイルを配信する配信対象とは、ソフトウェア更新装置1が更新ファイルを配信する住宅設備機器2である。
【0031】
少なくとも運転中でない住宅設備機器2とは、運転を停止している住宅設備機器2が相当する。したがって、配信対象設定部13は、運転を停止している住宅設備機器2を配信対象として設定する。このとき、エラーで運転を停止している住宅設備機器2に、更新ファイルを配信しても、エラーで運転を停止している住宅設備機器2が適切に更新ファイルを受け取ることができない可能性がある。また、エラーで運転を停止している住宅設備機器2が更新ファイルを受け取ったとしても、ソフトウェアを更新することができない可能性もある。そこで、本実施形態では、配信対象設定部13は、エラーで運転を停止している住宅設備機器2を、配信対象から除外する。エラーで運転を停止している住宅設備機器2は、上述したように運転情報に基づいて特定することが可能である。したがって、配信対象設定部13は、通常停止中である住宅設備機器2を更新ファイルの配信対象として設定し、運転中の住宅設備機器2及びエラー停止中である住宅設備機器2は更新ファイルの配信対象から除外するとよい。このような配信対象の住宅設備機器2は、上述した識別情報に基づいて管理するとよい。
【0032】
したがって、ソフトウェア更新装置1では、図2に示されるように、「運転中」の住宅設備機器2は配信を「不可」とし、「通常停止中」の住宅設備機器2は配信を「可能」とするとよい。また、「エラー停止中」の住宅設備機器2は配信を「不可」とするとよい。
【0033】
図1に戻り、更新ファイル配信部14は、配信対象として設定された住宅設備機器2に対して更新ファイルを配信する。配信対象として設定された住宅設備機器2とは、上述した配信対象設定部13により設定された、更新ファイルを配信する対象となっている住宅設備機器2である。したがって、更新ファイル配信部14は、更新ファイルを配信する対象となっている住宅設備機器2に対して更新ファイルを配信する。なお、上述したように住宅設備機器2には識別情報が付与されていることから、更新ファイル配信部14が配信する住宅設備機器2も識別情報に基づいて管理するとよい。
【0034】
負荷算定部15は、更新ファイル配信部14が更新ファイルの配信を行おうとする時点の更新ファイル配信部14の負荷を算定する。更新ファイル配信部14が更新ファイルの配信を行おうとする時点とは、少なくとも配信対象設定部13により配信対象の住宅設備機器2が設定されてから、更新ファイル配信部14が更新ファイルを配信するまでの間における時点である。更新ファイル配信部14の負荷とは、更新ファイル配信部14における演算負荷であって、例えば住宅設備機器2に対して更新ファイルの配信を行っている場合には、更新ファイルの配信を行っていない場合に比べて負荷が大きくなる。また、更新ファイルの配信だけでなく、例えば配信対象設定部13から当該配信対象設定部13が設定した更新ファイルの配信対象である住宅設備機器2を示す情報(識別情報)を取得している場合や、管理装置(図示せず)からの指令を受信している場合や、管理装置(図示せず)へ情報を発信している場合にも負荷が大きくなる。更新ファイル配信部14の負荷が大きすぎる場合には、更新ファイルの配信に支障が出る可能性がある。そこで、負荷算定部15は、少なくとも配信対象設定部13により配信対象の住宅設備機器2が設定されてから、更新ファイル配信部14が更新ファイルを配信するまでの間において更新ファイル配信部14の負荷を算定する。このような更新ファイル配信部14の負荷は、例えば更新ファイル配信部14が有する演算処理ユニットの稼働率や使用率とすることも可能であるし、あるいは更新ファイル配信部14が同時に配信可能な住宅設備機器2の数と、現在、更新ソフトウェアを配信している住宅設備機器2の数との比とすることも可能である。更には、住宅設備機器2に対して配信している更新ファイルのファイルサイズや、運転状態判定部12から伝達される情報の通信量とすることも可能である。また、負荷算定部15は、配信対象設定部13により配信対象の住宅設備機器2が設定されてから、更新ファイル配信部14が更新ファイルを配信するまでの間における、所定の時点の負荷を算定するとよいが、配信対象設定部13により配信対象の住宅設備機器2が設定されてから、更新ファイル配信部14が更新ファイルを配信するまでの間における負荷の平均を算定するように構成してもよい。なお、負荷が大きいとは、負荷が重いことと同じことを示す。
【0035】
配信中止部16は、負荷算定部15により算定された負荷が予め設定された値より大きい場合に、更新ファイル配信部14による配信を中止させる。負荷算定部15により算定された負荷とは、更新ファイル配信部14の負荷である。更新ファイル配信部14の負荷が算定された場合には、更新ファイル配信部14は更新ファイルの配信が予定されている。例えば更新ファイルの配信を予定している更新ファイル配信部14の負荷がある程度あり、更に更新ファイルを配信すると、現在、更新ファイル配信部14が行っている処理に支障が出る可能性がある。そこで、配信中止部16は、更新ファイル配信部14の負荷が予め設定された値よりも大きい場合に、更新ファイル配信部14により配信を中止させる。配信中止部16により更新ファイルの配信が中止された場合には、更新ファイル配信部14の負荷が予め設定された値以下となった場合に、配信の中止を解除して、更新ファイル配信部14が配信を行うように構成してもよいし、改めて配信対象設定部13により配信対象として設定された場合に更新ファイルを配信するように構成してもよい。
【0036】
通信状態判定部17は、ネットワークの通信状態を、1日を所定の時間毎に区分けした時間帯毎に判定する。ネットワークの通信状態とは、ネットワークを構成する回線を利用して送受信されているデータの量(通信量)が多いか少ないかを示す指標であって、所謂ネットワークのトラフィックが相当する。一般的に、昼食どきや、夕方から夜半までの間はネットワークの通信速度が低下することが多い。そこで、通信状態判定部17は、住宅設備機器2が設けられている住宅3におけるネットワークの通信状態、あるいは住宅設備機器2が設けられている住宅3を含む地域におけるネットワークの通信状態を所定時間毎に区分けした時間帯毎に判定する。
【0037】
図3の(a)には、通信状態判定部17により判定された通信量の一例が示される。図3の(a)の例では、0時から8時までは通信量が少なく、8時から12時までは通信量が中程度であることが示される。また、12時から13時までは通信量が多く、13時から16時までは通信量が中程度であり、更に、16時から24時までは通信量が多い状態であることが示される。通信状態判定部17の判定結果は、更新ファイル配信部14に伝達される。なお、通信量が少ないとは、ネットワークに沿って伝達されているデータの量が、所定の第1データ量未満である場合であって、通信量が多いとは、ネットワークに沿って伝達されているデータの量が、上記第1データ量よりも多い第2データ量以上である場合であって、通信量が中程度であるとは、ネットワークに沿って伝達されているデータの量が、第1データ量以上で、且つ、第2データ量未満である場合をいう。
【0038】
更新ファイル配信部14は、通信状態が予め設定された基準よりも悪い時間帯を避けて、更新ファイルを配信する。すなわち、図3の(a)の通信量の状態では、図3の(b)に示されるように、0時から8時までは配信を行うようにし、12時から13時までの間、及び16時から24時までの間は、配信を行わないようにする(配信を禁止する)。また、8時から12時までの間、及び13時から16時までの間は、条件付きで配信を行うようにするとよい。具体的には、更新ファイルの内容(例えば、重要度)に応じて配信するようにしてよいし、同時に配信する住宅設備機器2の数を限定して(減らして)配信するようにしてもよい。また、ソフトウェアの更新を行う更新予定が予め設定されている場合には、通信量が多い時間帯に設定されている場合には、配信対象の数を低減したり、ソフトウェアの更新を行うタイミングを変更したりし、通信量が少ない時間帯にソフトウェアを更新する配信対象の数を増大したり、ソフトウェアの更新を行うタイミングを前倒ししたりするとよい。また、通信量が少ない時間帯において、ソフトウェアの更新を行うようにしてもよい。例えば、回線が混雑している時間帯においては、通信速度が低下し、更新ファイルの配信に時間を要し、例えばタームオーバーによって配信が失敗する可能性があるが、上記のように配信する時間帯を規定することでこのような配信の失敗を回避できる。なお、仮に配信が失敗した場合には、予め設定された回数だけリトライを行うように構成することも可能であるし、改めて更新スケジュールを設定し、新たな更新スケジュールに基づいて更新ファイルの配信を行うように構成することも可能である。
【0039】
ここで、ソフトウェア更新装置1が、住宅設備機器2の管理を行う地域(管理地域)が図4に示されるように複数に区分けされているとする。図4の例では、管理地域が、Aブロック、Bブロック、Cブロック、及びDブロックの4つに区分けされているとする。また、夫々のブロック、すなわち単一のブロックには複数の住宅設備機器2が含まれているとする。図4の例では、Aブロックに7つの住宅設備機器2が含まれ、Bブロックに9つの住宅設備機器2が含まれ、Cブロックに6つの住宅設備機器2が含まれ、Dブロックに6つの住宅設備機器2が含まれている。
【0040】
この場合、更新ファイル配信部14は、単一のブロックに含まれる複数の住宅設備機器2を複数のグループに区分けしたグループ毎に更新ファイルを配信するとよい。図4の例では、Aブロック、Bブロック、Cブロック、及びDブロックの夫々に属する複数の住宅設備機器2は、第1グループ、第2グループ、第3グループの3つのグループに区分けされている。したがって、更新ファイル配信部14は、例えばAブロックに属する住宅設備機器2に対して更新ファイルを配信する場合には、まず、Aブロックの第1グループ、第2グループ、及び第3グループのうちのいずれか1つのグループに属する住宅設備機器2に更新ファイルを配信し、この配信が終了すると、残り2つのグループのうちの一方に属する住宅設備機器2に更新ファイルを配信し、更にこの配信が終了すると、残りのグループに属する住宅設備機器2に更新ファイルを配信するとよい。これにより、一つのブロックにおける配信するタイミングを分散する(時間的にずらす)ことができ、一つのグループ内において配信が集中して通信量が過多となる状況を回避できる。また、このような場合、Aブロックの所定のグループに属する住宅設備機器2に更新ファイルを配信している際に、他のブロックの所定のグループに属する住宅設備機器2に更新ファイルを配信するように構成してもよい。ソフトウェア更新装置1は、このようなマップを用いて住宅設備機器2を管理すると好適である。また、上述したブロックやグループ分けは、手動で行ってもよいし、自動で行ってもよい。なお、このようなブロックやグループ分けに基づいて更新ファイルを配信する場合には、更新ファイルの配信対象となったグループのうち、運転中でない住宅設備機器2に対して配信するとよい。
【0041】
以上のように構成することで、ソフトウェア更新装置1と住宅設備機器2との間のネットワークについては、回線使用率を緩和する、すなわち回線の渋滞を緩和することができる。また、以上のように構成することで、配信対象として設定された通常停止中の住宅設備機器2が更新ファイルを受信し、通常停止中においてソフトウェアの更新を行うことが可能となる。したがって、住宅設備機器2の運転に支障が出ないようにソフトウェアの更新を行うことが可能となる。また、住宅設備機器2の状態を把握及び制御することで、ソフトウェア更新装置1の負荷やネットワークの渋滞の緩和を鑑みることが可能となり、確実にソフトウェアを更新することが可能となる。更には、住宅設備機器2が最適な運転状態となるため、将来の故障を抑制し、メンテナンスに係るコストを低下につなげることが可能となる。また、ネットワークと連携することにより、住宅設備機器2の健全性を把握することが可能となるため、サービス面の向上につなげることが可能となる。
【0042】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、ソフトウェア更新装置1が、エラー停止中の住宅設備機器2には更新ファイルを配信しないとして説明した。例えば、ソフトウェア更新装置1は、エラー停止中の住宅設備機器2を復旧させるように構成することも可能であるし、また、復旧に応じて自動的に更新ファイルを配信するように構成することも可能である。
【0043】
(2)上記実施形態では、更新ファイル配信部14が更新ファイルを配信するとして説明したが、更新ファイル配信部14が、一旦、関連端末(住宅設備機器2に関連する端末、すなわち、住宅設備機器2を遠隔操作可能なリモコンや、住宅設備機器2の所有者が有する携帯端末等)に配信し、この関連端末から住宅設備機器2に伝達するように構成することも可能である。
【0044】
(3)上記実施形態では、通信状態判定部17がネットワークの通信状態を判定するとして説明したが、住宅設備機器2がネットワークの通信状態を判定し、この判定結果をソフトウェア更新装置1に伝達するように構成することも可能である。また、通信状態判定部17及び住宅設備機器2の双方においてネットワークの通信状態を判定するように構成することも可能である。また、これらの判定は、自動で行っても手動で行ってもよい。
【0045】
(4)上記実施形態では、配信対象設定部13は、運転を停止している住宅設備機器2を配信対象として設定するとして説明したが、例えばメンテナンスに伴い試運転が行われている住宅設備機器2を配信対象として設定することも可能である。
【0046】
(5)上記実施形態では、配信対象設定部13は、エラーで運転を停止している住宅設備機器2を、配信対象から除外するとして説明したが、配信対象設定部13が、エラーで運転を停止している住宅設備機器2を配信対象として設定するように構成することも可能である。
【0047】
(6)上記実施形態では、負荷算定部15が、更新ファイル配信部14が更新ファイルの配信を行おうとする時点の更新ファイル配信部14の負荷を算定し、配信中止部16が、負荷算定部15により算定された負荷が予め設定された値より大きい場合に、更新ファイル配信部14による配信を中止させるとして説明した。しかしながら、更新ファイル配信部14が、更新ファイルの配信を行おうとする時点の負荷にかかわらず、更新ファイルの配信を行うように構成することも可能である。
【0048】
(7)上記実施形態では、更新ファイル配信部14は、通信状態が予め設定された基準よりも悪い時間帯を避けて、更新ファイルを配信するとして説明したが、更新ファイル配信部14は、通信状態にかかわらず更新ファイルを配信するように構成することも可能である。
【0049】
上記実施形態では、更新ファイル配信部14は、単一のブロックに含まれる複数の住宅設備機器2を複数のグループに区分けしたグループ毎に更新ファイルを配信するとして説明したが、更新ファイル配信部14が、ブロックやグループにかかわらず、更新ファイルを配信するように構成することも可能である。
【0050】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、住宅設備機器とネットワークを介して接続され、住宅設備機器で利用されるソフトウェアを更新するソフトウェア更新装置に用いることが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1:ソフトウェア更新装置
2:住宅設備機器
10:更新ファイル記憶部
11:運転情報取得部
12:運転状態判定部
13:配信対象設定部
14:更新ファイル配信部
15:負荷算定部
16:配信中止部
17:通信状態判定部
図1
図2
図3
図4