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特開2023-128884ブラスト加工方法、及びブラスト加工装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128884
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】ブラスト加工方法、及びブラスト加工装置
(51)【国際特許分類】
   B24C 9/00 20060101AFI20230907BHJP
   B24C 1/00 20060101ALI20230907BHJP
   B24C 7/00 20060101ALI20230907BHJP
   B24C 5/04 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B24C9/00 Z
B24C1/00 Z
B24C7/00 E
B24C5/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033535
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 幸徳
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 由華
(57)【要約】
【課題】適切な加工条件を簡易に決定できるブラスト加工方法及びブラスト加工装置を提供する。
【解決手段】ブラスト加工方法は、ブラスト加工された対象物の粗さ曲線要素の平均長さRSmを取得するステップと、取得された粗さ曲線要素の平均長さRSmに基づいて、ブラスト加工の加工条件を決定するステップとを含む。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラスト加工された対象物に係る粗さ曲線要素の平均長さRSmを取得するステップと、
前記取得された粗さ曲線要素の平均長さRSmに基づいてブラスト加工の加工条件を決定するステップと、
を含む、ブラスト加工方法。
【請求項2】
前記取得するステップでは、粗さ曲線要素の平均長さRSmを加工条件ごとに取得し、
前記加工条件を決定するステップでは、前記取得された加工条件ごとの粗さ曲線要素の平均長さRSmに基づいて、粗さ曲線要素の平均長さRSmが平衡状態になる加工条件を、前記ブラスト加工の加工条件として決定する、
請求項1記載のブラスト加工方法。
【請求項3】
前記取得するステップでは、算術平均粗さRaを加工条件ごとにさらに取得し、
前記加工条件を決定するステップでは、前記取得された加工条件ごとの算術平均粗さRaに基づいて、粗さ曲線要素の平均長さRSm及び算術平均粗さRaそれぞれが平衡状態になる加工条件を、前記ブラスト加工の加工条件として決定する、
請求項2に記載のブラスト加工方法。
【請求項4】
前記加工条件は、加工時間及び噴射量の少なくとも一方を含む、
請求項1~3の何れか一項に記載のブラスト加工方法。
【請求項5】
前記決定されたブラスト加工の加工条件で対象物をブラスト加工するステップと、
前記ブラスト加工された対象物の粗さ曲線要素の平均長さRSmを測定するステップと、
前記測定された粗さ曲線要素の平均長さRSmが予め設定された長さ閾値以上である場合には、前記ブラスト加工の加工条件を再設定するステップと、
を含む、
請求項1~4の何れか一項に記載のブラスト加工方法。
【請求項6】
前記決定されたブラスト加工の加工条件で対象物をブラスト加工するステップと、
前記ブラスト加工された対象物の算術平均粗さRaを測定するステップと、
前記測定された算術平均粗さRaが予め設定された表面粗さ閾値以上である場合には、前記ブラスト加工の加工条件を再設定するステップと、
を含む、
請求項1~5の何れか一項に記載のブラスト加工方法。
【請求項7】
対象物に噴射材を吹き付けるノズルと、
ブラスト加工された対象物の粗さ曲線要素の平均長さRSmを取得する取得部と、
前記取得された粗さ曲線要素の平均長さRSmに基づいてブラスト加工の加工条件を決定すると共に、前記加工条件で前記ノズルを動作させる制御部と、
を備える、
ブラスト加工装置。
【請求項8】
対象物に噴射材を吹き付けるノズルと、
加工条件に基づいて前記ノズルを動作させる制御部と、
を備え、
前記加工条件は、粗さ曲線要素の平均長さRSmが平衡状態になる加工条件である、
ブラスト加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ブラスト加工方法、及びブラスト加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、半導体素子用基板にブラスト処理を行う方法を開示する。この方法は、表面粗さを測定しながらブラスト処理を行う工程を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2014-522731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ブラスト加工を行う場合には、対象物の総面積とブラスト加工によって対象物につけられた打痕総面積との割合を指標として加工不良が判定される。つまり、総面積に対する打痕総面積の割合が100%に満たない場合には加工ムラが発生していると判定される。このような加工ムラを解消するために、噴射量を多めに設定し、かつ、加工時間を長く設定することが考えられる。しかしながら、過度な加工条件を設定した場合には、対象物の表面に傷がついたり、対象物が変形したりするおそれがある。このため、適切な加工条件を設定することが重要となる。一般的には、総面積に対する打痕総面積の割合は作業者の目視で測定される。このため、適切な加工条件の決定には時間がかかるおそれがある。本開示は、総面積に対する打痕総面積の割合を目視で測定して適切な加工条件を決定する場合よりも、適切な加工条件を簡易に決定するブラスト加工方法及びブラスト加工装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、打痕が表面粗さのパラメータに与える影響に着目し、総面積に対する打痕総面積の割合と粗さ曲線要素の平均長さRSm(日本工業規格JIS B0601:2013)との間に相関があることを見出した。つまり、本発明者は、加工の強さが大きくなるにつれて打痕総面積の割合が大きくなり、それと共に粗さ曲線要素の平均長さRSmが小さくなることを見出した。さらに、本発明者は、総面積に対する打痕総面積の割合が加工の強さに対して飽和、つまり100%に近くなった場合には、粗さ曲線要素の平均長さRSmも加工の強さに対して平衡状態になることを見出した。
【0006】
すなわち、本開示の一側面に係るブラスト加工方法は、以下のステップを含む。
(1)ブラスト加工された対象物に係る粗さ曲線要素の平均長さRSmを取得するステップ。
(2)取得された粗さ曲線要素の平均長さRSmに基づいてブラスト加工の加工条件を決定するステップ。
【0007】
このブラスト加工方法では、ブラスト加工された対象物の粗さ曲線要素の平均長さRSmが取得される。そして、粗さ曲線要素の平均長さRSmに基づいて加工条件が決定される。このように、総面積に対する打痕総面積の割合を決定するブラスト加工の加工条件が、取得された粗さ曲線要素の平均長さRSmに基づいて決定される。このため、この決定方法は、総面積に対する打痕総面積の割合を目視で測定して適切な加工条件を決定する場合よりも、適切な加工条件を簡易に決定できる。
【0008】
一実施形態では、取得するステップで粗さ曲線要素の平均長さRSmを加工条件ごとに取得してもよい。加工条件を決定するステップでは、取得された加工条件ごとの粗さ曲線要素の平均長さRSmに基づいて、粗さ曲線要素の平均長さRSmが平衡状態になる加工条件を、ブラスト加工の加工条件として決定してもよい。
【0009】
このブラスト加工方法では、粗さ曲線要素の平均長さRSmが加工条件ごとに取得される。そして、粗さ曲線要素の平均長さRSmに基づいて、粗さ曲線要素の平均長さRSmが平衡状態になる加工条件がブラスト加工の加工条件として決定される。このように、総面積に対する打痕総面積の割合が100%に近くなる適切なブラスト加工の加工条件が、取得された粗さ曲線要素の平均長さRSmに基づいて決定される。このため、この決定方法は、さらに適切な加工条件を簡易に決定できる。
【0010】
一実施形態では、取得するステップで算術平均粗さRa(日本工業規格JIS B0601:2013)を加工条件ごとにさらに取得してもよい。加工条件を決定するステップでは、取得された加工条件ごとの算術平均粗さRaに基づいて、粗さ曲線要素の平均長さRSm及び算術平均粗さRaそれぞれが平衡状態になる加工条件を、ブラスト加工の加工条件として決定してもよい。
【0011】
このブラスト加工方法では、算術平均粗さRaが加工条件ごとにさらに取得される。そして、算術平均粗さRaに基づいて、粗さ曲線要素の平均長さRSm及び算術平均粗さRaそれぞれが平衡状態になる加工条件がブラスト加工の加工条件として決定される。このように、総面積に対する打痕総面積の割合が100%に近くなる適切なブラスト加工の加工条件が、粗さ曲線要素の平均長さRSmだけでなく算術平均粗さRaに基づいて決定される。算術平均粗さRaは、粗さ曲線要素の平均長さRSmと同様に、総面積に対する打痕総面積の割合と相関がある。このため、この決定方法は、粗さ曲線要素の平均長さRSmだけに基づいて加工条件を決定する場合と比べて、さらに適切な加工条件を簡易に決定できる。
【0012】
一実施形態においては、加工条件は、加工時間及び噴射量の少なくとも一方を含んでもよい。この場合、加工方法は、適切な加工時間及び適切な噴射量の少なくとも一方を簡易に決定できる。
【0013】
一実施形態においては、ブラスト加工方法は、以下のステップを含んでもよい。
(1)決定されたブラスト加工の加工条件で対象物をブラスト加工するステップ。
(2)ブラスト加工された対象物の粗さ曲線要素の平均長さRSmを測定するステップ。
(3)測定された粗さ曲線要素の平均長さRSmが予め設定された長さ閾値以上である場合には、ブラスト加工の加工条件を再設定するステップ。
【0014】
このブラスト加工方法によれば、測定された粗さ曲線要素の平均長さRSmを閾値判定することにより、決定されたブラスト加工の加工条件が適切であるか否かを判定できる。予め設定された長さ閾値は、例えば、上述した、加工の強さに対して平衡状態となった粗さ曲線要素の平均長さRSmとすることができる。これにより、このブラスト加工方法は、測定された粗さ曲線要素の平均長さRSmが予め設定された長さ閾値以上である場合には、対象物に加工ムラが発生する予兆と判断して、ブラスト加工の加工条件を再設定できる。
【0015】
一実施形態においては、ブラスト加工方法は、以下のステップを含んでもよい。
(1)決定されたブラスト加工の加工条件で対象物をブラスト加工するステップ。
(2)ブラスト加工された対象物の算術平均粗さRaを測定するステップ。
(3)測定された算術平均粗さRaが予め設定された表面粗さ閾値以上である場合には、ブラスト加工の加工条件を再設定するステップ。
【0016】
このブラスト加工方法によれば、算術平均粗さRaを閾値判定することにより、決定されたブラスト加工の加工条件が適切であるか否かを判定できる。予め設定された表面粗さ閾値は、例えば、上述した、加工の強さに対して平衡状態となった算術平均粗さRaとすることができる。これにより、このブラスト加工方法は、算術平均粗さRaが予め設定された表面粗さ閾値以上である場合には、対象物に加工ムラが発生する予兆と判断して、ブラスト加工の加工条件を再設定できる。
【0017】
本開示の他側面に係るブラスト加工装置は、ノズル、制御部、及び、取得部を備える。ノズルは、対象物に噴射材を吹き付ける。制御部は、予め設定された加工条件に基づいてノズルを動作させる。取得部は、ブラスト加工された対象物の粗さ曲線要素の平均長さRSmを取得する。制御部は、取得された粗さ曲線要素の平均長さRSmに基づいて対象物の加工条件を決定すると共に、加工条件でノズルを動作させる。
【0018】
このブラスト加工装置によれば、上述したブラスト加工方法と同様に、適切にブラスト加工できる。
【0019】
本開示の他側面に係るブラスト加工装置は、ノズル及び制御部を備える。ノズルは、対象物に噴射材を吹き付ける。制御部は、加工条件に基づいてノズルを動作させる。加工条件は、粗さ曲線要素の平均長さRSmが平衡状態になる加工条件である。
【0020】
このブラスト加工装置によれば、ブラスト加工装置は、粗さ曲線要素の平均長さRSmが平衡状態になる加工条件でブラスト加工できる。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、総面積に対する打痕総面積の割合を目視で測定して適切な加工条件を決定する場合よりも、適切な加工条件を簡易に決定できるブラスト加工方法及びブラスト加工装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、実施形態に係るブラスト加工装置の一例を示す模式図である。
図2図2は、実施形態に係るブラスト加工方法を示すフローチャートである。
図3図3は、他の実施形態に係るブラスト加工装置の一例を示す模式図である。
図4図4は、他の実施形態に係るブラスト加工方法の一例を示すフローチャートである。
図5図5の(A)は、実施例に係るブラスト加工の加工時間及び粗さ曲線要素の平均長さRSmの関係を示すグラフである。図5の(B)は、実施例に係るブラスト加工の加工時間及び算術平均粗さRaの関係を示すグラフである。
図6図6は、実施例に係るブラスト加工の加工時間と、粗さ曲線要素の平均長さRSmと、算術平均粗さRaと、打痕総面積の割合との関係を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は繰り返さない。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0024】
図1は、実施形態に係るブラスト加工装置1の一例を示す模式図である。図2は、実施形態に係るブラスト加工方法M1を示すフローチャートである。一例として、ブラスト加工方法M1は、作業者等によって、ブラスト加工装置1の動作として実施される。
【0025】
図2に示されるように、ブラスト加工方法M1は、対象物Wの粗さ曲線要素の平均長さRSmを取得するステップ(S10)と、対象物Wの算術平均粗さRaを取得するステップ(S14)と、ブラスト加工の加工条件を決定するステップ(S16)と、決定された加工条件でブラスト加工するステップ(S18)を含む。最初に、各ステップにおいて使用されるブラスト加工装置1の一例について説明する。
【0026】
ブラスト加工装置1は、取得部10と、制御部20と、加工部30とを備える。取得部10は、ブラスト加工された対象物Wの粗さ曲線要素の平均長さRSmを加工条件ごとに取得する。加工条件については後述する。対象物Wは例えば薄物の金属片である。具体的な一例として、対象物Wはワッシャであってもよい。
【0027】
取得部10は、表面粗さ測定機11A,11B、パーツフィーダ12、搬送機13A,13B、近接センサ14A,14B,14C及び反転機構15を有する。パーツフィーダ12には、加工部30においてブラスト加工された対象物Wが投入される。搬送機13A,13Bは、パーツフィーダ12に投入された対象物Wを1つずつ順番に搬送する。搬送機13A,13Bは、例えば、ベルトコンベアである。搬送機13Aは、搬送機13Bの上流に位置する。反転機構15は、搬送機13Aと搬送機13Bとの間に配置されており、対象物Wの上下を反転させる。
【0028】
表面粗さ測定機11A,11B及び近接センサ14A,14B,14Cは、一例として、搬送機13A,13Bの上方に配置される。表面粗さ測定機11Aは、具体的な一例として白色干渉計であってもよい。搬送機13A,13Bにおいて、近接センサ14A,14Cは、表面粗さ測定機11A,11Bの上流に位置している。表面粗さ測定機11A,11Bは、近接センサ14A,14Bから所定の間隔を空けて配置される。表面粗さ測定機11A,11B及び近接センサ14A,14B,14Cは、一例として、制御部20に電気的に接続される。
【0029】
制御部20は、例えばPLC(Programmable Logic Controller)として構成される。制御部20は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサと、RAM(RandomAccess Memory)及びROM(Read Only Memory)などのメモリと、タッチパネル、マウス、キーボード、ディスプレイなどの入出力装置と、ネットワークカードなどの通信装置とを含むコンピュータシステムとして構成されてもよい。制御部20は、メモリに記憶されているコンピュータプログラムに基づくプロセッサの制御のもとで各ハードウェアを動作させることにより、制御部20の機能を実現する。制御部20は、対象物の加工条件を決定する決定部21を有する。制御部20は、取得部10及び加工部30の動作を制御する。制御部20は、決定された加工条件に沿って対象物Wを加工するように、加工部30を制御する。
【0030】
加工部30は、対象物に噴射材を吹き付けるノズル31と、噴射材が吹き付けられる複数の対象物Wが収容されるタンブラー32とを有する。タンブラー32には開口部が設けられており、当該開口部に複数の対象物Wが収容される。タンブラー32が回転することで、複数の対象物Wは反転を繰り返す。反転を繰り返す複数の対象物Wに対してノズル31が噴射材を吹き付けることで、複数の対象物Wの一方の面及び他方の面がブラスト加工される。
【0031】
ブラスト加工方法M1は、ブラスト加工装置1の取得部10及び制御部20の動作として実行される。本実施形態では、加工条件は、ブラスト加工の加工時間及び噴射材の噴射量を含む。加工条件は、噴射材の噴射圧力及び噴射材の種類を含んでもよい。
【0032】
最初に、取得部10は、ブラスト加工された対象物Wの粗さ曲線要素の平均長さRSmを加工条件ごとに取得する。本実施形態では、異なる加工時間でブラスト加工された対象物Wの粗さ曲線要素の平均長さRSmを取得する。
【0033】
搬送機13Aに搬送される対象物W(ワッシャ)は、表面粗さ測定機11A側を向く第一面と、第一面の裏側に位置すると共に下方を向く第二面とを含む。搬送機13Aは、近接センサ14Aが対象物Wを検知すると、表面粗さ測定機11Aの下方に対象物Wが位置するように搬送を停止する。対象物Wが停止すると、表面粗さ測定機11Aは、対象物Wの第一面の粗さ曲線要素の平均長さRSmを測定する(ステップS10A)。表面粗さ測定機11Aは、対象物Wの算術平均粗さRaを測定する(ステップS14A)。対象物Wの第一面の粗さ曲線要素の平均長さRSm及び算術平均粗さRaは、制御部20に出力される。
【0034】
次に、近接センサ14Bが対象物Wを検知すると、反転機構15に対象物Wが位置するように搬送を停止する。対象物Wが停止すると、反転機構15は、対象物Wの上下を反転して、搬送機13Bに配置する。搬送機13Bに搬送される対象物Wは、第二面が表面粗さ測定機11B側を向いており、第一面が下方を向いている。搬送機13Bは、近接センサ14Cが対象物Wを検知すると、表面粗さ測定機11Bの下方に対象物Wが位置するように搬送を停止する。対象物Wが停止すると、表面粗さ測定機11Bは、対象物Wの第二面の粗さ曲線要素の平均長さRSmを測定する(ステップS10B)。表面粗さ測定機11Bは、対象物Wの算術平均粗さRaを測定する(ステップS14B)。対象物Wの第二面の粗さ曲線要素の平均長さRSm及び算術平均粗さRaは、制御部20に出力される。
【0035】
最後に、制御部20の決定部21は、取得された粗さ曲線要素の平均長さRSmに基づいて、粗さ曲線要素の平均長さRSmが平衡状態になる加工条件を対象物の加工条件として決定する。平衡状態とは、パラメータ(ここでは加工条件)を変更しても所定範囲内に値が落ち着いている状態である。本実施形態では、異なる加工時間でブラスト加工された複数の対象物Wの粗さ曲線要素の平均長さRSmが取得されている。このため、決定部21は、加工時間ごとに平均長さRSmをプロットし、加工時間をそれ以上長く設定しても粗さ曲線要素の平均長さRSmが小さくならなくなる加工時間を、粗さ曲線要素の平均長さRSmが平衡状態になる加工条件とする。
【0036】
決定部21は、表面粗さ測定機11Aが測定した対象物Wの第一面の粗さ曲線要素の平均長さRSmと、表面粗さ測定機11Bが測定した対象物Wの第二面の粗さ曲線要素の平均長さRSmとに基づいて、粗さ曲線要素の平均長さRSmが平衡状態になる加工条件を決定してもよい。
【0037】
決定部21は、加工時間ではなく噴射量をパラメータとしてもよい。例えば、決定部21は、加工時間を一定とし、噴射量ごとに平均長さRSmをプロットし、噴射量をそれ以上大きく設定しても粗さ曲線要素の平均長さRSmが小さくならなくなる噴射量を、粗さ曲線要素の平均長さRSmが平衡状態になる加工条件としてもよい。
【0038】
制御部20の決定部21は、加工条件ごとに取得された算術平均粗さRaに基づいて、粗さ曲線要素の平均長さRSm及び算術平均粗さRaそれぞれが平衡状態になる加工条件を対象物の加工条件として決定してもよい。例えば、決定部21は、加工時間ごとに算術平均粗さRaをプロットし、加工時間をそれ以上長く設定しても算術平均粗さRaが小さくならなくなる加工時間を、算術平均粗さRaが平衡状態になる加工条件とする。そして、決定部21は、算術平均粗さRaが平衡状態になり、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRSmが平衡状態になる加工条件を採用する。決定部21は、表面粗さ測定機11Aが取得した対象物Wの第一面の算術平均粗さRaと、表面粗さ測定機11Bが測定した対象物Wの第二面の算術平均粗さRaとに基づいて加工条件を決定してもよい。
【0039】
決定部21は、加工時間ではなく噴射量をパラメータとしてもよい。例えば、決定部21は、加工時間を一定とし、噴射量ごとに算術平均粗さRaをプロットし、噴射量をそれ以上大きく設定しても算術平均粗さRaが小さくならなくなる噴射量を、算術平均粗さRaが平衡状態になる加工条件としてもよい。
【0040】
次に、決定された加工条件で対象物Wを加工するステップ(S20)が実施される。
【0041】
決定された加工条件で対象物Wを加工するステップは、ブラスト加工装置1の加工部30の動作として実行される。本実施形態では、ノズル31は、決定部21によって決定された粗さ曲線要素の平均長さRSmが平衡状態になる加工条件で、対象物Wに噴射材を吹き付ける(ステップS20)。
【0042】
[実施形態のまとめ]
本実施形態に係るブラスト加工方法M1では、ブラスト加工された対象物の粗さ曲線要素の平均長さRSmが加工時間ごとに(又は噴射量ごとに)取得される。そして、粗さ曲線要素の平均長さRSmが平衡状態になる加工時間(又は噴射量)が対象物の加工条件として決定される。総面積に対する打痕総面積の割合が大きくなり、噴射材の衝突で発生する打痕の数が多くなると、粗さの凹凸の平均間隔が小さくなる。総面積に対する打痕総面積の割合が100%に近くなると打痕の数が飽和し、粗さの凹凸の平均間隔は平衡状態になる。つまり、加工時間(又は噴射量)を変化させて粗さの凹凸の平均間隔を測定することにより、総面積に対する打痕総面積の割合が100%になる加工時間(又は噴射量)を決定できる。このように、総面積に対する打痕総面積の割合が100%に近くなる適切なブラスト加工の加工条件が、取得された粗さ曲線要素の平均長さRSmに基づいて決定される。このため、このブラスト加工方法M1は、総面積に対する打痕総面積の割合を目視で測定して適切な加工条件を決定する場合よりも、適切な加工条件を簡易に決定できる。
【0043】
ブラスト加工でつけられた打痕の形状は、高さ方向よりも長さ方向に大きい傾向がある。例えば、従来の粗さ測定で使用される、高さ方向の表面粗さ(算術平均粗さRa)の測定値と比べて、長さ方向の表面粗さ(粗さ曲線要素の平均長さRSm)の測定値は、5倍以上の数値となることがある。ブラスト加工方法M1の加工条件は、測定値が大きな数値になる粗さ曲線要素の平均長さRSmによって決定される。従って、ブラスト加工方法M1は、対象物に残留する噴射材残りや破砕した対象物の残留物、微細な振動等の粗さの測定数値に悪影響を与える誤差要因を抑えながら、加工の強さに対しての平衡状態を確認することが可能となる。また、ブラスト加工方法M1の加工条件を、長さ方向の表面粗さ(粗さ曲線要素の平均長さRSm)及び高さ方向の表面粗さ(算術平均粗さRa)の双方によって決定することで、誤差要因をさらに抑えることが可能になる。
【0044】
以上、一実施形態について説明してきたが、本開示は上記実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。
【0045】
表面粗さ測定機11は、制御部20に電気的に接続されていなくてもよい。加工部30は、制御部20によって制御されなくてもよい。例えば、表面粗さ測定機11が測定した対象物の粗さ曲線要素の平均長さRSmを、作業者が制御部20に入力してもよい。粗さ曲線要素の平均長さRSmが平衡状態になる加工条件になるように、作業者が加工部30を制御してもよい。
【0046】
ステップS14では、算術平均粗さRaに代えて、最大高さ粗さRz又は十点平均粗さRzjis(日本工業規格JIS B0601:2013)を取得してもよい。表面粗さ測定機11A及び表面粗さ測定機11Bは、算術平均粗さRaに代えて、最大高さ粗さRz又は十点平均粗さRzjisを取得してもよい。これらの粗さ情報も総面積に対する打痕総面積の割合と一定の相関があると考えられる。このため、算術平均粗さRaに代えて、最大高さ粗さRz又は十点平均粗さRzjisを採用した場合であっても、ブラスト加工装置1及びブラスト加工方法M1は、適切な加工条件を簡易に決定できる。
【0047】
図3は、他の実施形態の一例に係るブラスト加工装置1Aの構成を示す概要図である。図4は、他の実施形態の一例に係るブラスト加工方法M2を示すフローチャートである。以下、上述した本実施形態と変形例との相違点を主として説明する。
【0048】
図4に示されるように、ブラスト加工方法M2は、ブラスト加工方法M1で決定された加工条件で対象物をブラスト加工するステップ(S30)と、ブラスト加工された対象物の粗さ曲線要素の平均長さRSmを測定するステップ(S32)と、測定された粗さ曲線要素の平均長さRSmが予め設定された長さ閾値以上である場合には(S34:YES)、予め設定された加工条件を再設定するステップ(S36)とを含む。ステップS32では、ブラスト加工された対象物の粗さ曲線要素の凹凸の高さを測定してもよい。粗さ曲線要素の凹凸の高さは、例えば、算術平均粗さRaである。粗さ曲線要素の凹凸の高さは、粗さ曲線の最大山高さ、粗さ曲線の最大谷深さ、最大高さ粗さ、十点平均粗さ、二乗平均平方根粗さ、又は中心線平均粗さであってもよい。粗さ曲線要素の凹凸の高さが予め設定された高さ閾値以下である場合には噴射の異常を検出してもよい。最初に、各ステップにおいて使用されるブラスト加工装置1Aの一例について説明する。
【0049】
制御部20は、警告部22を有する。警告部22は、粗さ曲線要素の凹凸の高さが予め設定された高さ閾値以下である場合に、作業者等に対して警告を発する。高さ閾値は、粗さ曲線要素の凹凸の高さを評価するために予め設定される。加工する度に噴射材の消耗やノズルの摩耗によって対象物の粗さ曲線要素の凹凸の高さが小さくなる傾向にある。高さ閾値を設定することにより、加工不良が起きる前に噴射材の補給およびノズルの交換が可能となる。警告部22は、測定された粗さ曲線要素の平均長さRSmが予め設定された長さ閾値以上である場合に、作業者等に対して警告を発してもよい。
【0050】
加工部30は、搬送機33、気体供給源34、貯留容器35、調整弁36A,36B、及び配管37を有する。搬送機33は、対象物Wをノズル31の下方に位置するように搬送する。搬送機33は、一例として、ベルトコンベアである。気体供給源34は、ノズル31に加圧された気体を供給する。気体供給源34は、例えば、コンプレッサ、ガスボンベ、又は送風機である。貯留容器35には、噴射材が貯留される。配管37は、貯留容器35の下方に配置される。気体供給源34は、貯留容器35及び配管37に接続される。配管37は、ノズル31に接続される。調整弁36Aは、気体供給源34と貯留容器35との間に配置される。調整弁36Bは、気体供給源34と配管37との間に配置される。噴射材と気体の固気二相流は、配管37で発生し、ノズル31から対象物Wに噴射される。
【0051】
最初に、ノズル31は、ブラスト加工方法M1で決定された加工条件で対象物Wをブラスト加工する(ステップS30)。加工条件は、例えば、ブラスト加工の加工時間、噴射材の噴射量、及び噴射材の噴射圧力を含む。
【0052】
ブラスト加工の加工時間は、搬送機33の動作によって調整される。具体的には、対象物Wを、ノズル31の下方に停止させる時間によって調整する。搬送機の動作は、制御部20によって制御される。
【0053】
噴射材の噴射量は、噴射材の調整弁38によって調整される。調整弁38は、その開閉により貯留容器35から落下する噴射材の量を調整することで、ノズル31から噴射される噴射材の量を調整する。調整弁38が開くように調整されてその開口面積が増加すると、貯留容器35から落下する噴射材の量が増える。貯留容器35から落下する噴射材の量が増えると、配管37に供給される噴射材の量が増加するので、ノズル31から噴射される噴射材の量が増加する。調整弁38が閉じるように調整されてその開口面積が減少すると、貯留容器35から落下する噴射材の量が減る。貯留容器35から落下する噴射材の量が減ると、配管37に供給される噴射材の量が減少するので、ノズル31から噴射される噴射材の量が減少する。
【0054】
噴射材の噴射圧力は、加圧された気体の調整弁36A,36Bによって調整される。調整弁36A,36Bが開くと、配管37に供給される気体の圧力が大きくなり、ノズル31の噴射圧力が増加する。調整弁36A,36Bが閉じると、配管37に供給される気体の圧力が小さくなり、ノズル31の噴射圧力が減少する。調整弁36A,36Bは、制御部20によって制御される。
【0055】
次に、表面粗さ測定機11は、ブラスト加工された対象物Wの粗さ曲線要素の平均長さRSmを測定する(ステップS32)。測定された粗さ曲線要素の平均長さRSmが予め設定された長さ閾値以上である場合には(ステップS34:YES)、制御部20は、予め設定された加工条件を再設定する(ステップS36)。予め設定された長さ閾値は、加工ムラを判定するための閾値であり、総面積に対する打痕総面積の割合が100%となる粗さ曲線要素の平均長さRSmである。このような粗さ曲線要素の平均長さRSmは、加工条件ごとの対象物Wの粗さ曲線要素の平均長さRSmが加工条件に対して平衡状態となったときの値として決定することができる。測定された粗さ曲線要素の平均長さRSmが平衡状態になる値以上である場合には、予め設定された加工条件が再設定される。例えば、ブラスト加工の加工時間、噴射材の噴射量、及び噴射材の噴射圧力が大きくなるように再設定される。
【0056】
表面粗さ測定機11は、ブラスト加工された対象物Wの算術平均粗さRaを測定してもよい(ステップS32)。測定された算術平均粗さRaが予め設定された表面粗さ以上である場合には(ステップS34:YES)、制御部20は、予め設定された加工条件を再設定してもよい(ステップS36)。
【0057】
次に、表面粗さ測定機11は、ブラスト加工された対象物の粗さ曲線要素の凹凸の高さを測定してもよい。例えば、表面粗さ測定機11は、ブラスト加工された対象物の算術平均粗さRaを測定してもよい。粗さ曲線要素の凹凸の高さが予め設定された高さ閾値以下である場合には、制御部20は、噴射の異常を検出してもよい。制御部20が噴射の異常を検出したとき、警告部22は、作業者等に警告を発生してもよい。例えば、噴射材の消耗又はノズル31の摩耗によって、対象物Wの算術平均粗さRaは低下する。従って、警告部22は、噴射材の補給又はノズル31の交換を警告してもよい。
【0058】
[実施形態のまとめ]
本実施形態に係るブラスト加工方法M2は、次のステップを含む。(1)予め設定された加工条件で対象物をブラスト加工する(ステップS30)。(2)ブラスト加工された対象物の粗さ曲線要素の平均長さRSmを測定する(ステップS32)。(3)測定された粗さ曲線要素の平均長さRSmが予め設定された長さ閾値以上である場合(ステップS34:YES)には、予め設定された加工条件を再設定する(ステップS36)。このように、ブラスト加工方法M2は、測定された粗さ曲線要素の平均長さRSmが予め設定された長さ閾値以上である場合には、対象物に加工ムラが発生する予兆として、加工条件を再設定できる。
【0059】
本実施形態に係るブラスト加工方法M2は、次のステップを含む。(1)予め設定された加工条件で対象物をブラスト加工する(ステップS30)。(2)ブラスト加工された対象物の算術平均粗さRaを測定する(ステップS32)。(3)測定された算術平均粗さRaが予め設定された表面粗さ閾値以上である場合(ステップS34:YES)には、予め設定された加工条件を再設定する(ステップS36)。このように、ブラスト加工方法M2は、測定された算術平均粗さRaが予め設定された表面粗さ閾値以上である場合には、対象物に加工ムラが発生する予兆として、加工条件を再設定できる。
【0060】
本実施形態に係るブラスト加工方法M2は、次のステップを含む。(1)粗さ曲線要素の凹凸の高さを測定する(ステップS38)。(2)粗さ曲線要素の凹凸の高さが予め設定された高さ閾値以下である場合には(ステップS40:YES)、噴射の異常を検出する(ステップS42)。ブラスト加工方法M2によれば、粗さ曲線要素の凹凸の高さに基づいてブラスト加工の異常を検出できる。
【0061】
ステップS32では、算術平均粗さRaに代えて、最大高さ粗さRz又は十点平均粗さRzjisを取得してもよい。表面粗さ測定機11は、算術平均粗さRaに代えて、最大高さ粗さRz又は十点平均粗さRzjisを取得してもよい。これらの粗さ情報も総面積に対する打痕総面積の割合と一定の相関があると考えられる。このため、算術平均粗さRaに代えて、最大高さ粗さRz又は十点平均粗さRzjisを採用した場合であっても、ブラスト加工装置1A及びブラスト加工方法M2は、適切な加工条件を簡易に決定できる。
【実施例0062】
以下、上記実施形態を説明するため、本発明者が実施した実施例について説明する。本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0063】
本実施例では、対象物Wとしてアルミニウム合金A5052の板材を準備した。対象物に対してブラスト加工を行い、粗さ曲線要素の平均長さRSmを測定した。ブラスト加工の噴射材の粒子径は、106μm~125μmであった。ブラスト加工の噴射圧力は、0.15Mpaであった。
【0064】
図5の(A)は、ブラスト加工の加工時間と、粗さ曲線要素の平均長さRSmとの関係を示すグラフである。図5の(B)は、実施例に係るブラスト加工の加工時間及び算術平均粗さRaの関係を示すグラフである。本実施形態では、ブラスト加工を2.5分行うごとに粗さ曲線要素の平均長さRSm及び算術平均粗さRaの測定を行った。すなわち、異なる加工条件でブラスト加工された複数の対象物Wの粗さ曲線要素の平均長さRSm及び算術平均粗さRaの測定を行った。図6は、ブラスト加工の加工時間と、粗さ曲線要素の平均長さRSmと、算術平均粗さRaと、対象物Wにおける打痕総面積の割合とを示す表である。本実施形態では、ブラスト加工の加工時間が7.5分(G1)、12.5分(G2)、20分(G3)及び30分(G4)の時点で、打痕総面積の測定を行った。打痕総面積の測定は、作業者の目視によって行われた。G1における打痕総面積は59%であって、G2における打痕総面積は82%であった。G3における打痕総面積は95%であって、G4における打痕総面積は100%であった。
【0065】
加工時間が20分のとき粗さ曲線要素の平均長さRSmは、72μmであった。加工時間が22.5分のときも粗さ曲線要素の平均長さRSmは、72μmであった。従って、加工時間が20分のとき、対象物Wの粗さ曲線要素の平均長さRSmは、平衡状態であった。本実施例では、対象物Wの粗さ曲線要素の平均長さRSmが平衡状態になる加工条件を、加工時間20分とした。また、加工時間が20分のとき算術平均粗さRaは、2.9μmであった。加工時間が22.5分のときも算術平均粗さRaは、2.9μmであった。従って、加工時間が20分のとき、対象物Wの算術平均粗さRaは、平衡状態であった。本実施例では、対象物Wの粗さ曲線要素の算術平均粗さRaが平衡状態になる加工条件を、加工時間20分とした。加工時間が20分のとき、打痕総面積は95%で飽和することが確認された。
【符号の説明】
【0066】
1,1A…ブラスト加工装置、10…取得部、20…制御部、21…決定部、30…加工部、31…ノズル、W…対象物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6