(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128888
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】接点監視装置、及び、接点監視方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/00 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
G01R31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033549
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003171
【氏名又は名称】株式会社戸上電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100212026
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真生
(72)【発明者】
【氏名】大西 健太
(72)【発明者】
【氏名】江口 和樹
【テーマコード(参考)】
2G036
【Fターム(参考)】
2G036AA14
2G036BB06
2G036BB07
2G036CA10
(57)【要約】
【課題】安定した監視動作と消費電力の低減との両立を図る。
【解決手段】本開示の一側面に係る接点監視装置は、外部の無電圧接点に対して、制限抵抗を介して電力を供給可能な電力供給部と、制限抵抗が第1抵抗値を有する第1状態と、制限抵抗が第1抵抗値よりも大きい第2抵抗値を有する第2状態とを切替可能な切替部と、制限抵抗と無電圧接点との間の監視電圧が入力されるコントローラと、を備える。コントローラは、監視電圧に基づいて、無電圧接点が電気的に接続された状態であるか否かを判定することと、無電圧接点が電気的に接続された状態であると判定した場合に、切替部により第1状態から第2状態に切り替えることと、を実行するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の無電圧接点に対して、制限抵抗を介して電力を供給可能な電力供給部と、
前記制限抵抗が第1抵抗値を有する第1状態と、前記制限抵抗が前記第1抵抗値よりも大きい第2抵抗値を有する第2状態とを切替可能な切替部と、
前記制限抵抗と前記無電圧接点との間の監視電圧が入力されるコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記監視電圧に基づいて、前記無電圧接点が電気的に接続された状態であるか否かを判定することと、
前記無電圧接点が電気的に接続された状態であると判定した場合に、前記切替部により前記第1状態から前記第2状態に切り替えることと、を実行するように構成されている、接点監視装置。
【請求項2】
前記電力供給部は、前記制限抵抗を介して前記無電圧接点に電圧を印加する電池を有し、
前記接点監視装置は、前記電池から電力が供給されることで動作する通信装置を更に備え、
前記通信装置は、前記無電圧接点が電気的に接続された状態であるか否かの判定結果を示す情報を、無線通信により出力するように構成されている、請求項1に記載の接点監視装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記無電圧接点が電気的に接続された状態へ遷移した回数をカウントするように構成されている、請求項1又は2に記載の接点監視装置。
【請求項4】
前記コントローラは、入力される情報に変化が無い状態が所定時間継続した場合に、入力される情報の読み取りを継続し、出力値を維持した状態でスリープモードに遷移するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の接点監視装置。
【請求項5】
前記電力供給部は、前記制限抵抗を介して前記無電圧接点に電圧を印加する電池を有し、
前記コントローラは、前記電池から電力が供給されることで動作し、
前記電池の電圧値は、前記コントローラに供給される電圧の値よりも大きい、請求項1~4のいずれか一項に記載の接点監視装置。
【請求項6】
前記制限抵抗は、第1インピーダンス抵抗と、前記第1インピーダンス抵抗に直列に接続された第2インピーダンス抵抗と、を含み、
前記切替部は、前記第1インピーダンス抵抗及び前記第2インピーダンス抵抗のいずれか一方に並列に接続されたスイッチを有し、
前記コントローラは、前記スイッチを閉状態から開状態に遷移させることで、前記第1状態から前記第2状態に切り替えるように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の接点監視装置。
【請求項7】
前記制限抵抗は、第1インピーダンス抵抗と、前記第1インピーダンス抵抗に並列に接続された第2インピーダンス抵抗と、を含み、
前記切替部は、前記第1インピーダンス抵抗及び前記第2インピーダンス抵抗のいずれか一方に直列に接続されたスイッチを有し、
前記コントローラは、前記スイッチを閉状態から開状態に遷移させることで、前記第1状態から前記第2状態に切り替えるように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の接点監視装置。
【請求項8】
外部の無電圧接点が電気的に接続された状態に遷移した際に、前記無電圧接点に対して、制限抵抗を介して電力を供給することと、
前記制限抵抗と前記無電圧接点との間の監視電圧に基づいて、前記無電圧接点が電気的に接続された状態であるか否かを判定することと、
前記無電圧接点が電気的に接続された状態であると判定された場合に、前記制限抵抗が第1抵抗値を有する第1状態から、前記制限抵抗が前記第1抵抗値よりも大きい第2抵抗値を有する第2状態に切り替えることと、を含む接点監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接点監視装置、及び、接点監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無電圧接点の状態を監視する技術が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-183265号公報
【特許文献2】特開平1-202674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、安定した監視動作と消費電力の低減との両立に有用な接点監視装置、及び、接点監視方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る接点監視装置は、外部の無電圧接点に対して、制限抵抗を介して電力を供給可能な電力供給部と、制限抵抗が第1抵抗値を有する第1状態と、制限抵抗が第1抵抗値よりも大きい第2抵抗値を有する第2状態とを切替可能な切替部と、制限抵抗と無電圧接点との間の監視電圧が入力されるコントローラと、を備える。コントローラは、監視電圧に基づいて、無電圧接点が電気的に接続された状態であるか否かを判定することと、無電圧接点が電気的に接続された状態であると判定した場合に、切替部により第1状態から第2状態に切り替えることと、を実行するように構成されている。
【0006】
電力供給部は、制限抵抗を介して無電圧接点に電圧を印加する電池を有してもよい。上記接点監視装置は、上記電池から電力が供給されることで動作する通信装置を更に備えてもよい。通信装置は、無電圧接点が電気的に接続された状態であるか否かの判定結果を示す情報を、無線通信により出力するように構成されていてもよい。
【0007】
コントローラは、無電圧接点が電気的に接続された状態へ遷移した回数をカウントするように構成されていてもよい。
【0008】
コントローラは、入力される情報に変化が無い状態が所定時間継続した場合に、入力される情報の読み取りを継続し、出力値を維持した状態でスリープモードに遷移するように構成されていてもよい。
【0009】
電力供給部は、制限抵抗を介して無電圧接点に電圧を印加する電池を有してもよい。コントローラは、上記電池から電力が供給されることで動作してもよい。電池の電圧値は、コントローラに供給される電圧の値よりも大きくてもよい。
【0010】
制限抵抗は、第1インピーダンス抵抗と、第1インピーダンス抵抗に直列に接続された第2インピーダンス抵抗と、を含んでもよい。切替部は、第1インピーダンス抵抗及び第2インピーダンス抵抗のいずれか一方に並列に接続されたスイッチを有してもよい。コントローラは、スイッチを閉状態から開状態に遷移させることで、第1状態から第2状態に切り替えるように構成されていてもよい。
【0011】
制限抵抗は、第1インピーダンス抵抗と、第1インピーダンス抵抗に並列に接続された第2インピーダンス抵抗と、を含んでもよい。切替部は、第1インピーダンス抵抗及び第2インピーダンス抵抗のいずれか一方に直列に接続されたスイッチを有してもよい。コントローラは、スイッチを閉状態から開状態に遷移させることで、第1状態から第2状態に切り替えるように構成されていてもよい。
【0012】
本開示の一側面に係る接点監視方法は、外部の無電圧接点が電気的に接続された状態に遷移した際に、無電圧接点に対して、制限抵抗を介して電力を供給することと、制限抵抗と無電圧接点との間の監視電圧に基づいて、無電圧接点が電気的に接続された状態であるか否かを判定することと、無電圧接点が電気的に接続された状態であると判定された場合に、制限抵抗が第1抵抗値を有する第1状態から、制限抵抗が第1抵抗値よりも大きい第2抵抗値を有する第2状態に切り替えることと、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、安定した監視動作と消費電力の低減との両立に有用な接点監視装置、及び、接点監視方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、接点監視装置の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、コントローラのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、コントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、コントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、各装置における状態の遷移の一例を示すタイミングチャートである。
【
図6】
図6は、接点監視装置の一例を示す模式図である。
【
図7】
図7(a)、
図7(b)、及び
図7(c)は、監視対象の接点が接続された状態を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1には、一実施形態に係る接点監視装置が模式的に示されている。
図1に示される接点監視装置1は、外部機器90に設けられた無電圧接点92の状態を監視する装置である。接点監視装置1は、無電圧接点92が開状態及び閉状態のいずれの状態であるかを監視する。無電圧接点92は、例えば、可動接点と固定接点とを含むスイッチ、又は、リレーに含まれるスイッチ部分である。無電圧接点とは、外部(外部機器90にとっての外部である接点監視装置1)からの電力の供給を受けて、その開閉状態を監視することが可能な接点を意味する。
【0017】
本開示では、無電圧接点92が開状態である場合を「開放状態」と称し、無電圧接点92が閉状態である場合を「接続状態」と称する。開放状態では、無電圧接点92に含まれる接点部分同士が物理的に離れている。接続状態では、無電圧接点92に含まれる接点部分同士が物理的に接続され(接触し)、且つ、電気的に接続されている。
【0018】
外部機器90は、種々の産業用の機器のいずれかであり、その種類は限定されない。外部機器90は、例えば、外部機器90の外部の事象に起因して、無電圧接点92の開閉状態が切り替わるように構成されている。外部機器90は、その内部又は制御対象等において異常が生じた場合に、無電圧接点92の開閉状態が切り替わるように構成されていてもよい。外部機器90は、検出対象が検知された場合、又は、検出対象の物理量が所定レベルに達した場合に、無電圧接点92の開閉状態が切り替わるように構成されていてもよい。
【0019】
外部機器90では、無電圧接点92の開閉状態を切り替える事象が生じる前では、無電圧接点92が開放状態となり、上記事象が生じた後では、無電圧接点92が接続状態となってもよい。すなわち、無電圧接点92がa接点であってもよい。外部機器90の一例としては、検出対象の水位が所定レベルに達したことを検出可能な水位計が挙げられる。水位計に含まれる無電圧接点92は、検出対象の水位が所定レベルに達した場合に、開放状態から接続状態に遷移する。以下、外部機器90が水位計である場合を例に説明する箇所があるが、外部機器90が水位計に限定されるものではない。
【0020】
接点監視装置1は、例えば、電力供給部10と、アース20と、切替部30と、電圧調節部40と、コントローラ50と、通信モジュール70と、を備える。電力供給部10の少なくとも一部、アース20、切替部30、電圧調節部40、コントローラ50、及び、通信モジュール70は、一つの筐体(不図示)に収容されていてもよい。以下、接点監視装置1に含まれる各要素について説明する。
【0021】
電力供給部10は、外部の無電圧接点92に対して、制限抵抗を介して電力を供給可能な回路である。電力供給部10は、例えば、接点監視装置1内に設けられた電池からの電力(電圧)を無電圧接点92に対して供給可能な回路である。一例では、電力供給部10は、無電圧接点92が接続状態となったときに、電力供給部10に含まれる電池から無電圧接点92に電流を流すことで、無電圧接点92に対して電圧(電力)を供給する。無電圧接点92の一端(例えば、固定接点)に電力供給部10が接続され、無電圧接点92の他端(例えば、可動接点)にアース20が接続されている。電力供給部10は、電池12と、制限抵抗14と、を含んでもよい。
【0022】
電池12は、例えば、一次電池である。電池12の電圧は、3V~10Vであってもよく、3.5V~9Vであってもよく、4V~8Vであってもよい。接点監視装置1において、電池12の電圧が所定レベル(例えば、3.5V程度、又は4V程度)を下回ったときに、電池12の交換が行われてもよい。電池12は、二次電池であってもよい。
【0023】
制限抵抗14は、無電圧接点92に対して直列に接続されている。制限抵抗14は、例えば、電池12と無電圧接点92との間に配置されている。制限抵抗14の一端は、電池12に接続され、制限抵抗14の他端は、無電圧接点92の一端に接続されている。無電圧接点92が接続状態となったときに、電池12、制限抵抗14、無電圧接点92、及び、アース20によって閉回路が形成される。上記閉回路では、電池12を起点として、制限抵抗14、無電圧接点92、及びアース20が、この順に並ぶ。上記閉回路の構成により、電池12からの電流が、制限抵抗14及び無電圧接点92に流れる。電池12から流れる電流の値は、電池12の電圧値を制限抵抗14が有する抵抗値で除算することにより得られる値に略一致する。
【0024】
制限抵抗14と無電圧接点92との間(
図1に示されるP点)の電圧が、コントローラ50に入力される。以下、コントローラ50に入力される点Pの電圧を「監視電圧Vs」と称する。上記閉回路が形成される場合、監視電圧Vsの値は、アース20の基準電位(例えば、0V)に略一致する。アース20の基準電位に略一致する入力電圧を「Low電圧」と称する。無電圧接点92が開放状態である場合、上記閉回路は形成されず、電池12からの電流が点Pを介して、コントローラ50に流れる。コントローラ50の入力抵抗は、制限抵抗14よりも非常に大きい抵抗値を有し、監視電圧Vsの値は、電池12の電圧値に略一致する。電池12の電圧値に略一致する入力電圧を「Hi電圧」と称する。以上のように、制限抵抗14は、プルアップ抵抗として機能してもよい。
【0025】
制限抵抗14は、例えば、第1インピーダンス抵抗16と、第2インピーダンス抵抗18と、を含む。第1インピーダンス抵抗16及び第2インピーダンス抵抗18それぞれは、1つ又は複数の抵抗器によって構成される。第1インピーダンス抵抗16と第2インピーダンス抵抗18とは互いに直列に接続されている。第1インピーダンス抵抗16の抵抗値は、第2インピーダンス抵抗18の抵抗値よりも大きくてもよい。第1インピーダンス抵抗16の抵抗値は、第2インピーダンス抵抗18の抵抗値の2倍~200倍程度であってもよい。第1インピーダンス抵抗16の抵抗値は、第2インピーダンス抵抗18の抵抗値に略一致していてもよい。
【0026】
切替部30は、制限抵抗14が第1抵抗値を有する低インピーダンス状態(第1状態)と、制限抵抗14が第1抵抗値よりも大きい第2抵抗値を有する高インピーダンス状態(第2状態)とを切替可能な回路である。切替部30は、制限抵抗14の抵抗値(より詳細には、無電圧接点92が接続状態において、上記閉回路に含まれる抵抗の抵抗値)を切り替える。切替部30は、例えば、制限抵抗切替スイッチ32(スイッチ)を有する。
【0027】
制限抵抗切替スイッチ32は、第1インピーダンス抵抗16及び第2インピーダンス抵抗18のいずれか一方に対して並列に接続されている。制限抵抗切替スイッチ32は、第1インピーダンス抵抗16に対して並列に接続されてもよい。制限抵抗切替スイッチ32では、コントローラ50からの制御信号に基づいて、自身の開閉状態が切り替わる。制限抵抗切替スイッチ32は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)スイッチ等のアナログスイッチであってもよい。制限抵抗切替スイッチ32が閉状態である場合、第1インピーダンス抵抗16と制限抵抗切替スイッチ32とを含む並列回路の抵抗値は、ゼロ(Ω)に略一致する。この場合、制限抵抗14の抵抗値は、第2インピーダンス抵抗18の抵抗値に略一致する。
【0028】
一方、制限抵抗切替スイッチ32が開状態である場合、制限抵抗切替スイッチ32の影響を受けず、制限抵抗14の抵抗値は、第1インピーダンス抵抗16と第2インピーダンス抵抗18とを含む直列回路の抵抗値に略一致する。以上のように、制限抵抗切替スイッチ32の開閉状態に応じて、制限抵抗14の抵抗値が変化する。制限抵抗切替スイッチ32が閉状態となると、第1インピーダンス抵抗16が抵抗として寄与しなくなるので、制限抵抗切替スイッチ32が開状態である場合の制限抵抗14の抵抗値が、制限抵抗切替スイッチ32が閉状態である場合に比べて大きくなる(高くなる)。制限抵抗切替スイッチ32が開状態である場合、制限抵抗14は高インピーダンス状態となり、制限抵抗切替スイッチ32が閉状態である場合、制限抵抗14は低インピーダンス状態となる。
【0029】
制限抵抗切替スイッチ32が閉状態から開状態に遷移した際に、制限抵抗14では、第1インピーダンス抵抗16の寄与が大きくなる。そのため、第1インピーダンス抵抗16の抵抗値が第2インピーダンス抵抗18の抵抗値よりも大きい場合、低インピーダンス状態と高インピーダンス状態との間で、抵抗値の差が大きくなる。これにより、低インピーダンス状態において無電圧接点92に供給される電力と、高インピーダンス状態において無電圧接点92に供給される電力との差を大きくすることができる。
【0030】
電圧調節部40は、電池12からの電圧値を調節して、コントローラ50及び通信モジュール70に電圧を供給する回路である。電圧調節部40は、電池12からの電圧値を、コントローラ50を動作させるための電圧値に調節する。電圧調節部40は、電池12からの電圧値を、通信モジュール70を動作させるための電圧値に調節する。電圧調節部40は、例えば、降圧レギュレータである。電圧調節部40からコントローラ50に供給される電圧は、3V程度であってもよい。電圧調節部40から通信モジュール70に供給される電圧は、3V程度であってもよい。
【0031】
電池12の電圧値(電池12が供給可能な電圧の値)は、コントローラ50を動作させるためにコントローラ50に供給される電圧の値よりも大きくてもよい。電池12の電圧値は、通信モジュール70を動作させるために通信モジュール70に供給される電圧の値よりも大きくてもよい。
【0032】
コントローラ50は、無電圧接点92の状態を判定すると共に、切替部30を制御するコンピュータである。コントローラ50は、マイクロコンピュータであってもよい。コントローラ50は、電池12から電力(電源)が供給されることで動作してもよい。電池12から電力が供給されることには、電圧調節部40等の他の回路を介して電池12から電圧が供給(印加)されることも含む。コントローラ50は、機能上の構成(以下、「機能モジュール」という。)として、電圧情報取得部52と、接点状態判定部54と、切替制御部56と、監視情報出力部58と、を有する。これらの機能モジュールが実行する処理は、コントローラ50が実行する処理に相当する。
【0033】
電圧情報取得部52は、制限抵抗14(第2インピーダンス抵抗18)と無電圧接点92との間の点Pにおける監視電圧Vsを示す情報を取得する。電圧情報取得部52は、所定のサンプリング周期において(サンプリング周期ごとに)、監視電圧Vsを示す情報の取得を繰り返してもよい。サンプリング周期は、例えば、数ミリ秒に設定されている。
【0034】
接点状態判定部54は、監視電圧Vsに基づいて、無電圧接点92が電気的に接続された状態であるか否かを判定する。接点状態判定部54は、監視電圧Vsに基づいて、無電圧接点92が接続状態及び開放状態のいずれであるかを判定する。接点状態判定部54は、上記サンプリング周期において(サンプリング周期ごとに)、監視電圧Vsに基づく判定を繰り返してもよい。接点状態判定部54は、無電圧接点92の状態についての現在の判定結果と、継続して得られる監視電圧Vsの値とに基づいて、無電圧接点92の状態を判定してもよい。
【0035】
一例では、無電圧接点92の現在の状態が開放状態であると判定されているときに、接点状態判定部54は、監視電圧VsがLow電圧である状態が所定の判定時間だけ継続した場合に、無電圧接点92が接続状態に遷移したと判定する。無電圧接点92の現在の状態が接続状態であると判定されているときに、接点状態判定部54は、監視電圧VsがHi電圧である状態が所定の判定時間だけ継続した場合に、無電圧接点92が開放状態に遷移したと判定する。上記判定時間は、予め定められており、例えば、数十ミリ秒に設定されている。
【0036】
切替制御部56は、無電圧接点92が電気的に接続された状態(接続状態)であると判定された場合に、切替部30により、低インピーダンス状態から高インピーダンス状態に切り替える。切替制御部56は、例えば、制限抵抗切替スイッチ32を閉状態から開状態に遷移させることで、低インピーダンス状態から高インピーダンス状態に切り替える。監視電圧VsがLow電圧であることが上記判定時間だけ継続したときに、接続状態であると判定される場合、無電圧接点92が実際に接続されてから、判定時間が経過するまでの間では、制限抵抗14は低インピーダンス状態となる。判定時間が経過した後では、制限抵抗14は高インピーダンス状態となる。
【0037】
切替制御部56は、無電圧接点92が電気的に接続されていない状態(開放状態)であると判定された場合に、切替部30により、高インピーダンス状態から低インピーダンス状態に切り替える。切替制御部56は、例えば、制限抵抗切替スイッチ32を開状態から閉状態に遷移させることで、高インピーダンス状態から低インピーダンス状態に切り替える。
【0038】
監視情報出力部58は、無電圧接点92の状態の監視結果を示す情報を出力する。監視情報出力部58は、例えば、無電圧接点92が電気的に接続された状態であるか否かの判定結果を示す情報を通信モジュール70に出力する。監視情報出力部58は、無電圧接点92の状態の判定結果が開放状態から接続状態に遷移した場合、及び、無電圧接点92の状態の判定結果が接続状態から開放状態に遷移した場合に、その判定結果を示す情報を通信モジュール70にそれぞれ出力してもよい。
【0039】
図2に示されるように、コントローラ50は、回路80を有する。回路80は、1つ又は複数のプロセッサ82と、メモリ84と、ストレージ86と、入出力ポート88と、タイマ89とを含む。ストレージ86は、例えば不揮発性の半導体メモリ等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。ストレージ86は、予め設定された制御手順で接点監視装置1を動作させることをコントローラ50に実行させるためのプログラムを記憶している。例えばストレージ86は、上述した各機能モジュールを構成するためのプログラムを記憶している。
【0040】
メモリ84は、ストレージ86の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ82による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ82は、メモリ84と協働して上記プログラムを実行することで、コントローラ50の各機能モジュールを構成する。入出力ポート88は、プロセッサ82からの指令に従って、接点監視装置1に含まれる各種回路、及び通信モジュール70等との間で電気信号の入出力を行う。タイマ89は、例えば一定周期の基準パルスをカウントすることで経過時間を計測する。なお、回路80は、必ずしもプログラムにより各機能を構成するものに限られない。例えば回路80は、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により少なくとも一部の機能を構成してもよい。
【0041】
図1に戻り、通信モジュール70(通信装置)は、無電圧接点92が電気的に接続された状態であるか否かの判定結果を示す情報を、無線通信により出力する装置である。通信モジュール70は、電池12から電力(電源)が供給されることで動作してもよい。電池12から電力が供給されることには、電圧調節部40等の他の回路を介して電池12から電圧が供給(印加)されることも含む。通信モジュール70は、上記判定結果が遷移したときに、その遷移した後の判定結果を示す情報を出力してもよい。
【0042】
通信モジュール70は、通信ネットワーク上のサーバに上記判定結果を示す情報を送信してもよい。上記サーバは、通信モジュール70から出力された情報を、ユーザ端末等に送信してもよい。通信モジュール70が利用する無線通信は、LPWA(Low Power Wide Area)通信方式であってもよい。通信モジュール70は、集積回路(IC:Integrated Circuit)によって構成されてもよい。コントローラ50及び通信モジュール70が、同一の回路基板に搭載されていてもよい。通信モジュール70が備えられずに、コントローラ50が、通信モジュール70の機能を有してもよい。この場合、コントローラ50の一部の機能が通信装置を構成する。
【0043】
続いて、
図3及び
図4を参照しながら、接点監視装置1において実行される接点監視方法の一例として、コントローラ50が実行する一連の処理を説明する。
図3及び
図4は、所定のサンプリング周期ごとに、コントローラ50が実行する一連の処理を示すフローチャートである。コントローラ50により1つの周期で実行される一連の処理の内容は、無電圧接点92に関して、現在の(前の周期での)判定結果がいずれであるかによって異なる。
図3に示される一連の処理は、現在の(前の周期での)判定結果が、開放状態である場合に実行される。
【0044】
コントローラ50は、ステップS11,S12を実行する。ステップS11では、例えば、電圧情報取得部52が、制限抵抗14と無電圧接点92との間の点Pにおける監視電圧Vsを示す情報を取得する。ステップS12では、例えば、接点状態判定部54が、ステップS11で得られた監視電圧Vsが、Low電圧であるか否かを判断する。ステップS12において、監視電圧VsがLow電圧ではないと判断された場合(ステップS12:NO)、コントローラ50が実行する処理は、ステップS13に進む。ステップS13の詳細は、後述する。
【0045】
ステップS12において、監視電圧VsがLow電圧であると判断された場合(ステップS12:YES)、コントローラ50が実行する処理は、ステップS14に進む。ステップS14では、例えば、接点状態判定部54が、監視電圧Vsが所定の第1判定条件を満たすか否かを判断する。接点状態判定部54は、監視電圧VsがLow電圧である状態が、所定の判定時間継続した場合(所定数の周期だけ連続した場合)に、上記第1判定条件を満たすと判断する。接点状態判定部54は、監視電圧VsがLow電圧である状態が上記判定時間継続していない場合(所定数の周期だけ連続していない場合)に、第1判定条件を満たさないと判断する。
【0046】
ステップS14において、監視電圧Vsが第1判定条件を満たさないと判断された場合(ステップS14:NO)、コントローラ50が実行する処理は、ステップS13に進む。以上のように、監視電圧VsがHi電圧である場合、又は、監視電圧VsがLow電圧であっても、第1判定条件を満たさない場合、コントローラ50は、ステップS13を実行する。ステップS13では、例えば、接点状態判定部54が、無電圧接点92の状態が開放状態に維持されていると判定する。ステップS13の実行後、当該周期での一連の処理は終了する。
【0047】
ステップS14において、監視電圧Vsが第1判定条件を満たすと判断された場合(ステップS14:YES)、コントローラ50が実行する処理は、ステップS15に進む。ステップS15では、例えば、接点状態判定部54が、無電圧接点92の状態が開放状態から接続状態に遷移したと判定する。無電圧接点92が実際に接続され(監視電圧VsがLow電圧に遷移し)、監視電圧Vsが第1判定条件を満たすことで、コントローラ50により、接続状態に遷移したと判定される。
【0048】
次に、コントローラ50は、ステップS16を実行する。ステップS16では、例えば、切替制御部56が、制限抵抗14が低インピーダンス状態から高インピーダンス状態に切り替わるように切替部30を制御する。一例では、切替制御部56は、制限抵抗切替スイッチ32を閉状態から開状態に遷移させて、高インピーダンス状態に切り替える。これにより、電池12から流れる電流の値が、ステップS16の実行前の電流値よりも小さくなる。
【0049】
次に、コントローラ50は、ステップS17を実行する。ステップS17では、例えば、監視情報出力部58が、無電圧接点92の状態が接続状態に遷移したことを示す情報を通信モジュール70に出力する。通信モジュール70は、上記情報を受け取ると、受け取った情報を接点監視装置1の外部に無線通信により送信する。これにより、例えば、接点監視装置1とは別の遠隔地にいるユーザが、無電圧接点92の状態が接続状態に遷移したことを知ることができる。ステップS17の実行後、当該周期での一連の処理は終了する。
【0050】
図4は、所定のサンプリング周期ごとに、コントローラ50が実行する一連の処理を示すフローチャートである。
図4に示される一連の処理は、現在の(前の周期での)判定結果が、接続状態である場合に実行される。
【0051】
コントローラ50は、ステップS21,S22を実行する。ステップS21では、例えば、電圧情報取得部52が、ステップS11と同様に、監視電圧Vsを示す情報を取得する。ステップS22では、例えば、接点状態判定部54が、ステップS21で得られた監視電圧Vsが、Hi電圧であるか否かを判断する。ステップS12において、監視電圧VsがHi電圧ではないと判断された場合(ステップS22:NO)、コントローラ50が実行する処理は、ステップS23に進む。ステップS23の詳細は、後述する。
【0052】
ステップS22において、監視電圧VsがHi電圧であると判断された場合(ステップS22:YES)、コントローラ50が実行する処理は、ステップS24に進む。ステップS24では、例えば、接点状態判定部54が、監視電圧Vsが所定の第2判定条件を満たすか否かを判断する。接点状態判定部54は、監視電圧VsがHi電圧である状態が、所定の判定時間継続した場合(所定数の周期だけ連続した場合)に、第2判定条件を満たすと判断する。接点状態判定部54は、監視電圧VsがHi電圧である状態が上記判定時間継続していない場合(所定数の周期だけ連続していない場合)に、第2判定条件を満たさないと判断する。
【0053】
ステップS24において、監視電圧Vsが第2判定条件を満たさないと判断された場合(ステップS24:NO)、コントローラ50が実行する処理は、ステップS23に進む。以上のように、監視電圧VsがLow電圧である場合、又は、監視電圧VsがHi電圧であっても、第2判定条件を満たさない場合、コントローラ50は、ステップS23を実行する。ステップS23では、例えば、接点状態判定部54が、無電圧接点92の状態が接続状態に維持されていると判定する。ステップS23の実行後、当該周期での一連の処理は終了する。
【0054】
ステップS24において、監視電圧Vsが第2判定条件を満たすと判断された場合(ステップS24:YES)、コントローラ50が実行する処理は、ステップS25に進む。ステップS25では、例えば、接点状態判定部54が、無電圧接点92の状態が接続状態から開放状態に遷移したと判定する。無電圧接点92が実際に開放され(監視電圧VsがHi電圧に遷移し)、監視電圧Vsが第2判定条件を満たすことで、コントローラ50により、開放状態に遷移したと判定される。
【0055】
次に、コントローラ50は、ステップS26を実行する。ステップS26では、例えば、切替制御部56が、制限抵抗14が高インピーダンス状態から低インピーダンス状態に切り替わるように切替部30を制御する。一例では、切替制御部56は、制限抵抗切替スイッチ32を開状態から閉状態に遷移させて、低インピーダンス状態に切り替える。これにより、無電圧接点92が次に接続状態となった直後において、電池12から流れる電流の値が、ステップS26の実行前の状態で流れる場合の電流値よりも大きくなる。
【0056】
次に、コントローラ50は、ステップS27を実行する。ステップS27では、例えば、監視情報出力部58が、無電圧接点92の状態が開放状態に遷移したことを示す情報を通信モジュール70に出力する。通信モジュール70は、上記情報を受け取ると、受け取った情報を接点監視装置1の外部に無線通信により送信する。これにより、例えば、接点監視装置1とは別の遠隔地にいるユーザが、無電圧接点92の状態が開放状態に遷移したことを知ることができる。ステップS27の実行後、当該周期での一連の処理は終了する。
【0057】
図3及び
図4それぞれに示される一連の処理は一例であり、適宜変更可能である。上記一連の処理において、コントローラ50は、1つのステップと次のステップとを並列に実行してもよく、上述した例とは異なる順序で各ステップを実行してもよい。コントローラ50は、上述した例とは異なる内容のステップを実行してもよい。
【0058】
図5には、無電圧接点92の状態、及び、接点監視装置1に含まれる各回路の状態の時間変化を示すタイミングチャートが示されている。「外部機器接点状態」は、無電圧接点92の実際の状態を表す。「コントローラ入力電圧」は、監視電圧Vsが、Hi電圧及びLow電圧のいずれであるかを表す。「接点判定結果」は、無電圧接点92の状態に関するコントローラ50の判定結果を表す。「アナログSW制御状態」は、制限抵抗切替スイッチ32の開閉状態を表す。「回路インピーダンス」は、制限抵抗14が低インピーダンス状態及び高インピーダンス状態のいずれであるかを表す。「接点監視回路電流」は、電池12から、制限抵抗14及び無電圧接点92の直列回路に流れる電流値の程度を表す。
【0059】
時刻t0は初期状態となっている時刻であり、無電圧接点92は、開放状態となっている。すなわち、時刻t0において、無電圧接点92が接続状態となる事象は発生していない。時刻t0では、無電圧接点92に電流が流れないので、監視電圧VsがHi電圧(Hiレベル)であり、コントローラ50は、無電圧接点92が開放状態であると判定している。制限抵抗切替スイッチ32は、閉状態に維持されており、制限抵抗14は低インピーダンス状態となっている。
【0060】
時刻t1において、無電圧接点92が接続状態となる事象(例えば、水位が検出レベルに到達するという事象)が発生し、無電圧接点92の実際の状態が接続状態に遷移している。時刻t1において、無電圧接点92に電流が流れ始めるので、監視電圧VsがLow電圧(Lowレベル)に遷移する。コントローラ50の判定結果は、上述したような判定条件を満たさないので、時刻t1においては変化しない。判定結果の変化により制限抵抗切替スイッチ32の切替が行われるので、制限抵抗切替スイッチ32は閉状態に維持され、制限抵抗14は低インピーダンス状態に維持される。その結果、無電圧接点92が接続状態となった直後では、無電圧接点92に流れる電流値(
図5において「I1」で示されている。)は大きい。
【0061】
時刻t2において、監視電圧VsがLow電圧であることが、上記判定時間だけ継続し、無電圧接点92の状態に関するコントローラ50の判定結果が、接続状態に変化する。これにより、制限抵抗切替スイッチ32が閉状態から開状態に遷移されて、制限抵抗14は、高インピーダンス状態に切り替わる。その結果、無電圧接点92に流れる電流値(
図5において「I2」で示されている。)は、無電圧接点92が接続状態となった直後での上記電流値I1よりも小さい。これにより、時刻t2以降において、制限抵抗14において消費される電力が、無電圧接点92が接続状態となった直後(時刻t1から時刻t2までの間)に比べて低下する。
【0062】
時刻t3まで、無電圧接点92が接続状態となっており、時刻t3において、無電圧接点92が接続状態となる事象が解消し(例えば、水位が検出レベルを下回り)、無電圧接点92の実際の状態が開放状態に遷移している。時刻t3において、無電圧接点92への電流の供給が停止するので、監視電圧VsがHi電圧(Hiレベル)に遷移する。コントローラ50の判定結果は、上述したような判定条件を満たさないので、時刻t3においては変化しない。判定結果の変化により制限抵抗切替スイッチ32の切替が行われるので、制限抵抗切替スイッチ32は開状態に維持され、制限抵抗14は高インピーダンス状態に維持される。
【0063】
時刻t4において、監視電圧VsがHi電圧であることが、上記判定時間だけ継続し、無電圧接点92の状態に関するコントローラ50の判定結果が、開放状態に変化する。これにより、制限抵抗切替スイッチ32が開状態から閉状態に遷移されて、制限抵抗14は、低インピーダンス状態に切り替わる。時刻t4以降の状態は、時刻t0における初期状態と同じである。
【0064】
(変形例)
制限抵抗14の構成は、上述の例に限られない。
図6に示される接点監視装置1Aは、電力供給部10が、制限抵抗14に代えて制限抵抗14Aを有する点で、接点監視装置1と相違する。制限抵抗14Aでは、第2インピーダンス抵抗18が、第1インピーダンス抵抗16に並列に接続されている。そして、切替部30の制限抵抗切替スイッチ32が、第2インピーダンス抵抗18に直列に接続されている。すなわち、第1インピーダンス抵抗16と、第2インピーダンス抵抗18及び制限抵抗切替スイッチ32が直列接続されている回路とが、並列接続されている。
【0065】
制限抵抗切替スイッチ32が閉状態である場合、制限抵抗14Aは、第1インピーダンス抵抗16と第2インピーダンス抵抗18とが並列に接続された回路となる。そのため、制限抵抗14Aの抵抗値は、第1インピーダンス抵抗16と第2インピーダンス抵抗18とからなる並列抵抗の抵抗値に略一致する。一方、制限抵抗切替スイッチ32が開状態である場合、第2インピーダンス抵抗18が制限抵抗14Aに寄与せず、制限抵抗14Aの抵抗値は、第1インピーダンス抵抗16の抵抗値に略一致する。
【0066】
第1インピーダンス抵抗16単体の抵抗値は、第1インピーダンス抵抗16と第2インピーダンス抵抗18とからなる並列抵抗の抵抗値に比べて大きい。そのため、制限抵抗切替スイッチ32が閉状態である場合、制限抵抗14Aは、第1抵抗値を有する低インピーダンス状態(第1状態)となり、制限抵抗切替スイッチ32が開状態である場合、制限抵抗14Aは、第1抵抗値よりも大きい第2抵抗値を有する高インピーダンス状態(第2状態)となる。接点監視装置1Aにおいても、コントローラ50(切替制御部56)は、制限抵抗切替スイッチ32を閉状態から開状態に遷移させることで、低インピーダンス状態から高インピーダンス状態に切り替える。制限抵抗14Aにおいても、第1インピーダンス抵抗16の抵抗値が、第2インピーダンス抵抗18の抵抗値よりも大きくてもよい。
【0067】
接点監視装置1Aは、接点監視装置1と異なり、電圧調節部40を備えなくてもよい。この場合、コントローラ50及び通信モジュール70それぞれには、電池12からの電圧が他の回路を介さずに供給されてもよい。接点監視装置1Aの電池12(電源)は、2以上の電池(例えば、2個の3Vの電池)が直列接続されることで構成されてもよい。電力供給部10は、電池12(内蔵電池)に代えて、商用電源又はUSB給電等の外部電源から電力の供給を受けて、その電力を無電圧接点92に対して供給してもよい。
【0068】
コントローラ50は、無電圧接点92が電気的に接続された状態(接続状態)へ遷移した回数をカウントする機能を有してもよい。
図1に示されるように、コントローラ50は、機能モジュールとして接続回数計測部62を有してもよい。接続回数計測部62は、基準時刻から、無電圧接点92が開放状態から接続状態に遷移した回数をカウントしてもよい。上記基準時刻は、所定の設定時間(例えば、1日)単位でリセットされてもよく、又は、コントローラ50へのリセット信号の入力によってリセットされてもよい。
【0069】
コントローラ50は、入力される情報に変化が無い状態が所定時間継続した場合に、入力される情報の読み取りを継続し、出力値を維持した状態でスリープモードに遷移する機能を有してもよい。スリープモードは、通常モード(スリープモードに遷移していないモード)に比べて、コントローラ50で消費される電力が少ないモードである。コントローラ50は、機能モジュールとしてモード制御部64を有してもよい。モード制御部64は、コントローラ50に入力される監視電圧Vsに変化が無い状態が所定時間継続した場合、コントローラ50を通常モードからスリープモードに遷移させてもよい。スリープモードに遷移した場合、コントローラ50は、監視電圧Vsの読み取りを継続し、制限抵抗切替スイッチ32に出力している信号の状態を維持する。
【0070】
一例では、モード制御部64は、監視電圧VsがHi電圧である状態が所定時間継続した場合、又は、監視電圧VsがLow電圧である状態が所定時間継続した場合に、コントローラ50を通常モードからスリープモードに遷移させる。モード制御部64は、監視電圧Vsが、前の周期での電圧(Hi電圧又はLow電圧)から変化した場合に、スリープモードを解除し、コントローラ50を通常モードに遷移させてもよい。
【0071】
上述の例では、判定結果が変化した場合に、同じ周期において、制限抵抗切替スイッチ32の開閉状態(制限抵抗14,14Aの抵抗値)が切り替えられる。これに代えて、コントローラ50は、監視電圧Vsに基づき判定結果が変化した周期よりも後の周期(例えば、1つ後の周期)において、制限抵抗切替スイッチ32の開閉状態を切り替えてもよい。
【0072】
外部機器90において、無電圧接点92の開閉状態を切り替える事象が生じる前では、無電圧接点92が接続状態となり、上記事象が生じた後では、無電圧接点92が開放状態となってもよい。すなわち、無電圧接点92がb接点であってもよい。この場合も、コントローラ50は、上記事象が解消した後において、無電圧接点92が接続状態であると判定した場合に、切替部30により、制限抵抗14,14Aを低インピーダンス状態から高インピーダンス状態に切り替えてもよい。
【0073】
制限抵抗14,14Aが、上述の例とは異なり、プルダウン抵抗として機能してもよい。この場合、電池12が、制限抵抗を介さずに無電圧接点92の一端(例えば、固定接点)に接続され、制限抵抗14,14Aが、無電圧接点92の他端(例えば、可動接点)とアース20との間に配置されてもよい。この例では、無電圧接点92が接続状態となった場合に形成される閉回路において、電池12を起点として、無電圧接点92、制限抵抗14,14A、及び、アース20が、この順に並ぶ。
【0074】
無電圧接点92の他端と制限抵抗14,14Aとの間の電圧が、監視電圧Vsとしてコントローラ50に入力されてもよい。無電圧接点92が接続状態となった場合、上記閉回路が形成されるので、無電圧接点92と制限抵抗14,14Aとの間の監視電圧Vsは、Hi電圧となる。無電圧接点92が開放状態となった場合、コントローラ50の入力端子はアース20に接続され、監視電圧Vsは、Low電圧となる。制限抵抗14,14Aがプルダウン抵抗として機能する場合、プルアップ抵抗として機能する場合に比べて、無電圧接点92の状態と、監視電圧Vsのレベルとの関係(組合せ)が異なる。コントローラ50は、制限抵抗14,14Aがプルアップ抵抗として機能する場合と同様に、無電圧接点92の状態の判定、及び、切替部30による制限抵抗14,14Aの抵抗値の切替を行ってもよい。
【0075】
[実施形態の効果]
以上に説明した接点監視装置1,1Aは、外部の無電圧接点92に対して、制限抵抗14,14Aを介して電力を供給可能な電力供給部10と、制限抵抗14,14Aが第1抵抗値を有する低インピーダンス状態(第1状態)と、制限抵抗14,14Aが第1抵抗値よりも大きい第2抵抗値を有する高インピーダンス状態(第2状態)とを切替可能な切替部30と、制限抵抗14,14Aと無電圧接点92との間の監視電圧Vsが入力されるコントローラ50と、を備える。コントローラ50は、監視電圧Vsに基づいて、無電圧接点92が電気的に接続された状態であるか否かを判定することと、無電圧接点92が電気的に接続された状態であると判定した場合に、切替部30により低インピーダンス状態から高インピーダンス状態に切り替えることと、を実行するように構成されている。
【0076】
接点監視装置に接続される外部機器90の無電圧接点92の動作状態を監視する際に、監視装置から電力(電圧及び電流)を供給する必要がある。無電圧接点92が開放された状態が継続すると、無電圧接点92の接点部分の表面において、酸化皮膜又は硫化皮膜が生成されることがある。
図7(a)には、無電圧接点92の接点部分94a,94bの表面に皮膜IFが形成されている様子が模式的に例示されている。
図7(b)に示されるように、皮膜IFが形成された無電圧接点92が接続された状態(より詳細には、接点部分94aと接点部分94bとが物理的に接触した状態)に遷移したときに、監視装置からの電力の供給量が少ないと、電気的なエネルギーにより皮膜IFを破壊することができないおそれがある。皮膜IFが破壊できないと、無電圧接点92の接点同士が接触不良(電気的に接続されていない状態)となり、正常な監視ができない可能性がある。
【0077】
監視装置からの電力の供給量が多いと、
図7(c)に示されるように、無電圧接点92が接続状態に遷移した際に、皮膜IFが破壊されて、無電圧接点92が接触不良となる可能性が低減される。しかしながら、監視装置からの電力の供給量を多くすると、監視装置において消費される電力が増大してしまう。一例として、監視装置が自身に搭載された電池から無電圧接点92に電力を供給する場合、電池からの供給電力を増加させると(電池からの電流の供給量を増加させると)、電池容量の消費が激しくなり、結果として電池寿命を早めてしまう可能性がある。
【0078】
これに対して、上記接点監視装置1,1Aでは、無電圧接点92が電気的に接続された状態であると判定した場合に、切替部30により低インピーダンス状態から高インピーダンス状態に切り替わる。無電圧接点92が開放状態から接続状態に遷移する際には、皮膜IFを破壊するために、電力の必要量は大きい。一方、無電圧接点92が接続状態となった後、接続状態を維持するための電力の必要量は小さい。接点監視装置1では、切替部30による切替によって、無電圧接点92が接続状態に遷移するときに、無電圧接点92に供給される電力(電流量)を大きくでき、接続状態を維持するときに、無電圧接点92に供給される電力(電流量)を小さくできる。また、抵抗値の切替えにより、無電圧接点92に供給される電力の切替えが行われるので、無電圧接点92の状態の監視を継続して行うことができる。従って、上記接点監視装置1,1Aは、安定した監視動作と消費電力の低減との両立に有用である。
【0079】
以上に説明した接点監視装置1,1Aにおいて、電力供給部10は、制限抵抗14,14Aを介して無電圧接点92に電圧を印加する電池12を有してもよい。接点監視装置1,1Aは、電池12から電力が供給されることで動作する通信モジュール70(通信装置)を更に備えてもよい。通信モジュール70は、無電圧接点92が電気的に接続された状態であるか否かの判定結果を示す情報を、無線通信により出力するように構成されていてもよい。無線通信により電池12の電力が消費されるが、接点監視装置1では、低インピーダンス状態への切替えにより消費電力が低減される。そのため、無電圧接点92の状態を監視するための電池と同じ電池を用いて無線通信を行う監視装置であっても、電池の長寿命化に有用である。
【0080】
以上に説明した接点監視装置1,1Aにおいて、コントローラ50は、無電圧接点92が電気的に接続された状態へ遷移した回数をカウントするように構成されていてもよい。接点監視装置1では、低インピーダンス状態に切り替わっても、無電圧接点92に対して電流が流れる期間が中断されない。従って、無電圧接点92が接続状態に遷移した回数を、カウントする際の精度を向上させるのに有用である。
【0081】
以上に説明した接点監視装置1,1Aにおいて、コントローラ50は、入力される情報に変化が無い状態が所定時間継続した場合に、入力される情報の読み取りを継続し、出力値を維持した状態でスリープモードに遷移するように構成されていてもよい。接点監視装置1,1Aでは、制限抵抗14の抵抗値を切り替えた状態を維持すればよく、低インピーダンス状態とするための出力値が変化しないので、低インピーダンス後でも、スリープモードが維持される。従って、接点監視装置1,1Aにおける消費電力の低減に更に有用である。
【0082】
以上に説明した接点監視装置1,1Aにおいて、コントローラ50は、電池12から電力が供給されることで動作してもよい。電池12の電圧値は、コントローラ50に供給される電圧の値よりも大きくてもよい。電池12が供給可能な電圧値が大きいほど、無電圧接点92に対して供給される電力(電流)が大きい。そのため、無電圧接点92に形成された皮膜IFを破壊できない可能性が低減される。従って、無電圧接点92の状態の監視を安定化させるのに更に有用である。
【0083】
以上に説明した接点監視装置1において、制限抵抗14は、第1インピーダンス抵抗16と、第1インピーダンス抵抗16に直列に接続された第2インピーダンス抵抗18と、を含んでもよい。切替部30は、第1インピーダンス抵抗16及び第2インピーダンス抵抗18のいずれか一方に並列に接続された制限抵抗切替スイッチ32を有してもよい。コントローラ50は、制限抵抗切替スイッチ32を閉状態から開状態に遷移させることで、低インピーダンス状態から高インピーダンス状態に切り替えるように構成されていてもよい。この場合、制限抵抗切替スイッチ32の開閉状態の切り替えにより、制限抵抗14の抵抗値の変化が行われるので、制限抵抗14の回路構成が簡素化される。従って、接点監視装置1の簡素化に有用である。
【0084】
以上に説明した接点監視装置1Aにおいて、制限抵抗14Aは、第1インピーダンス抵抗16と、第1インピーダンス抵抗16に並列に接続された第2インピーダンス抵抗18と、を含んでもよい。切替部30は、第1インピーダンス抵抗16及び第2インピーダンス抵抗18のいずれか一方に直列に接続されたスイッチを有してもよい。コントローラ50は、制限抵抗切替スイッチ32を閉状態から開状態に遷移させることで、低インピーダンス状態から高インピーダンス状態に切り替えるように構成されていてもよい。この場合、制限抵抗切替スイッチ32の開閉状態の切り替えにより、制限抵抗14Aの抵抗値の変化が行われるので、制限抵抗14Aの回路構成が簡素化される。従って、接点監視装置1Aの簡素化に有用である。
【0085】
以上に説明した接点監視装置1,1Aにおいて実行される接点監視方法は、外部の無電圧接点92が電気的に接続された状態に遷移した際に、無電圧接点92に対して、制限抵抗14,14Aを介して電力を供給することと、制限抵抗14,14Aと無電圧接点92との間の監視電圧Vsに基づいて、無電圧接点92が電気的に接続された状態であるか否かを判定することと、無電圧接点92が電気的に接続された状態であると判定された場合に、制限抵抗14,14Aが第1抵抗値を有する低インピーダンス状態(第1状態)から、制限抵抗14,14Aが第1抵抗値よりも大きい第2抵抗値を有する高インピーダンス状態(第2状態)に切り替えることと、を含む。この接点監視方法では、接点監視装置1,1Aと同様の効果が得られるので、安定した監視動作と消費電力の低減との両立に有用である。
【符号の説明】
【0086】
1,1A…接点監視装置、10…電力供給部、12…電池、14,14A…制限抵抗、16…第1インピーダンス抵抗、18…第2インピーダンス抵抗、30…切替部、32…制限抵抗切替スイッチ、50…コントローラ、70…通信モジュール、90…外部機器、92…無電圧接点。